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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023138402
(43)【公開日】2023-10-02
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/32 20060101AFI20230922BHJP
【FI】
B65D6/32 B BRH
B65D6/32 BSF
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035726
(22)【出願日】2023-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2022043936
(32)【優先日】2022-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅也
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA30
3E061AB09
3E061AD04
3E061DA12
3E061DB01
3E061DB06
(57)【要約】
【課題】注出口部の欠け、及び肩部の垂れを抑制したポリエチレン製の容器を提供すること。
【解決手段】
内容物が注出される注出口部と、前記注出口部から径方向の外側に張り出す肩部とを有する剛性の天面部と、可撓性の胴部と、剛性の底部とを備え、前記天面部は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、前記胴部及び前記底部は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、3.0~6.5g/10minである容器とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が注出される注出口部と、前記注出口部から径方向の外側に張り出す肩部とを有する剛性の天面部と、可撓性の胴部と、剛性の底部とを備え、
前記天面部は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、
前記胴部及び前記底部は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、
前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、3.0g/10min~6.5g/10minである容器。
【請求項2】
前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、4.0g/10min~6.3g/10minである請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、4.0g/10min~5.5g/10minである請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記高密度ポリエチレン樹脂が、数平均分子量の異なる複数種の高密度ポリエチレン樹脂を含有する請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記胴部の前記天面部側の端面が、前記天面部に覆われている請求項1又は4に記載の容器。
【請求項6】
ポリエチレン樹脂からなる請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記胴部の厚さは、150μm~350μmである請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記天面部と前記底部とを近接させることにより、前記胴部が変形可能である請求項7に記載の容器。
【請求項9】
前記天面部の前記胴部側の端面の形状が、円形である請求項8に記載の容器。
【請求項10】
前記注出口部に着脱可能なキャップを備える請求項9に記載の容器。
【請求項11】
前記キャップは、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる請求項10に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステル系樹脂とポリエチレン系樹脂を含む樹脂組成物を用いて成形されたボトル形状やチューブ形状の容器が知られている。このような容器は、筒状スリーブで胴部を形成し、肩部や口部を構成する別体の成形品と熱溶着して製造することができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-094975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の複数種類の樹脂をポリマーアロイにした樹脂組成物を用いて成形された容器では、マテリアルリサイクルが難しいという課題がある。また、樹脂としてポリエチレン樹脂のみを含む樹脂組成物を用いて容器を製造すると、注出口部の欠けや、肩部の垂れが起きやすいという課題がある。
【0005】
本発明の一態様は、注出口部の欠け、及び肩部の垂れを抑制したポリエチレン製の容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構成とすることにより、上記課題を解決したものである。本発明の一態様に係る容器は、内容物が注出される注出口部と、前記注出口部から径方向の外側に張り出す肩部とを有する剛性の天面部と、可撓性の胴部と、剛性の底部とを備え、前記天面部は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、前記胴部及び前記底部は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、3.0g/10min~6.5g/10minである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、注出口部の欠け、及び肩部の垂れを抑制したポリエチレン製の容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態による容器を示す断面図である。
図2】一実施形態による容器を示す断面の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、好適な実施形態に基づいて、本発明を説明する。図1は、一実施形態による容器10を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態の容器10は、内容物が注出される注出口部11と、注出口部11から径方向の外側に張り出す肩部12とを有する天面部1と、胴部2と、底部3とを備える。
【0010】
(天面部)
天面部1は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる。これにより、容器10が落下したり、容器10に衝撃が加わった際に、天面部1が破損することを抑制することができ、天面部1は、優れた耐衝撃性を有する。
【0011】
なお、本明細書において、主成分とは、樹脂組成物の所定割合以上を占める成分であり、含有量が70質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、最も好ましくは100%の成分である。
【0012】
天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレート(MFR)は、3.0g/10min~6.5g/10minである。なお、本明細書において、メルトフローレートは、ISO1133に準拠して210℃かつ荷重2.16kgで測定した値である。天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが3.0g/10min~6.5g/10minであることにより、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物で注出口部11を成形しても、注出口部11の欠けを抑制することができる。また、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物で肩部12を成形しても、肩部12の垂れを抑制することができる。
【0013】
天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートは、4.0g/10min~6.3g/10minであることが好ましく、4.0g/10min~5.5g/10minであることがより好ましい。天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、4.0g/10min~6.3g/10minであることにより、注出口部11の欠けをより抑制し、肩部12の垂れをより抑制することができる。また、天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、4.0g/10min~5.5g/10minであることにより、注出口部11の欠けをさらに抑制し、肩部12の垂れをさらに抑制することができる。
【0014】
天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂は、数平均分子量分布の異なる複数種類の高密度ポリエチレン樹脂を含有することが好ましい。換言すると、天面部1を構成する高密度ポリエチレン樹脂は、数平均分子量の異なる複数種類の高密度ポリエチレン樹脂を含有することが好ましい。これにより、高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートを容易に所望の範囲とすることがきるため、注出口部11の欠けをより抑制し、肩部12の垂れをより抑制することができる。なお、本実施形態における数平均分子量分布又は数平均分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量分布又は数平均分子量である。
【0015】
数平均分子量は、例えば、測定装置として、昭和電工(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)System21を用い、標準ポリスチレンとエチルベンゼンにより検量線を作成し、この検量線を利用して測定することができる。標準ポリスチレンとしては、分子量が、3,650,000、2,170,000、1,090,000、681,000、204,000、52,000、30,200、13,800、3,360、1,300、550のものを用いることができる。GPCにより得られた分子量分布を示す曲線に基づくピーク面積の割合から、数平均分子量(g/mol)を算出する。
【0016】
高密度ポリエチレン樹脂の数平均分子量は、10,000~300,000が好ましい。
【0017】
数平均分子量の異なる複数種類の高密度ポリエチレンの割合(比率)は、特に制限はないが、数平均分子量の異なる2種の高密度ポリエチレンを含有する場合、一の高密度ポリエチレンと他の高密度ポリエチレンとの質量比は、1:9~9:1とすることができる。
【0018】
天面部1を構成する樹脂組成物は、モノマテリアル容器(単一の材料からなる容器)として分類される上で、許容される範囲で、ポリエチレン樹脂以外の他の材料を含有していてもよい。具体的には、ポリエチレン樹脂以外の他の材料の含有量は、天面部1を構成する樹脂組成物に対し、30%未満である。
【0019】
他の材料としては、特に制限されないが、例えば、ポリエチレン樹脂以外の樹脂や、金属箔、無機物の蒸着膜、各種接着剤などが挙げられる。
【0020】
ポリエチレン樹脂以外の樹脂としては、特に制限されないが、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン以外のポリオレフィン系樹脂、エラストマーなどのゴムなどが挙げられる。
【0021】
ポリアミド系樹脂としては、例えば、6-ナイロン樹脂、6,6-ナイロン樹脂、6,10-ナイロン樹脂、ヘキサンジアミンとテレフタル酸との脱水縮合体であるナイロン9T樹脂などが挙げられる。
【0022】
ポリエステル系樹脂(バイオポリエステル樹脂を含む)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などが挙げられる。
【0023】
ポリエチレン以外のポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン樹脂(バイオポリプロピレン樹脂を含む)、エチレン-α-オレフィン共重合体などが挙げられる。この場合、α-オレフィンとしては、1-ブテン、1-ヘキセン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンなどが挙げられる。
【0024】
天面部1は、剛性を有する。天面部1が、剛性を有することにより、胴部2が可撓性を有していても容器10を正立姿勢で保持することができる。また、通常、可撓性を有する胴部が変形すると、容器全体のバランスが崩れ、不安定になるが、本実施形態の容器10では、天面部1が剛性を有することにより、内容物が減少し、可撓性を有する胴部2の張りがなくなり変形しやすい状態となっても、胴部2の初期の形状を維持することができる。よって、容器10は、安定して自立することができ、また、内容物が無くなるまで外観を維持することができる。
【0025】
具体的には、天面部1は、胴部2よりも剛性が高い。天面部1は、胴部2よりも剛性が高いことにより、胴部2が可撓性を有していても容器10を正立姿勢で保持することができる。また、容器10は、安定して自立することができ、さらに、内容物が無くなるまで外観を維持することができる。
【0026】
天面部1の厚さは、0.5mm~2.5mmであることが好ましく、1mm~1.5mmであることがより好ましい。天面部1の厚さは、底部3の厚さよりも小さいことが好ましい。天面部1の厚さが、底部3の厚さよりも小さいことにより、容器10は、より安定して自立することができる。
【0027】
天面部1の形成方法は、胴部2の一部に天面部1が重なるように射出成形する方法や、胴部2を装着したマンドレル上に溶融樹脂を吐出して型で締め付けて成形する方法を採用することができる。
【0028】
図2は、一実施形態による容器10を示す断面の部分拡大図である。図2に示すように、天面部1は、胴部2の天面部1側の端面21を覆っていることが好ましい。これにより、外部からの衝撃に対し、天面部1と胴部2とが剥離しにくくなる。
【0029】
天面部1は、図2に示すように、胴部2の天面部1側の端面21を覆い、且つ、胴部2の天面部1側の端部を挟むように、胴部2の外面及び内面と重ね合わせて、胴部2と接合してもよい。また、天面部1は、下端部(注出口部11と反対側の端部)の内面と、胴部2の外面とを重ね合わせて、胴部2と接合してもよく、下端部の外面と、胴部2の内面とを重ね合わせて、胴部2と接合してもよい。
【0030】
天面部1の胴部2側の端面21の形状は、円形であってよい。これにより、天面部1は、胴部2の天面部1側の端面21を容易に覆うことができ、外部からの衝撃に対し、天面部1と胴部2とがより剥離しにくくなる。
【0031】
(胴部)
胴部2は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる。胴部2を構成する樹脂組成物に含まれるポリエチレン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE、密度0.910~0.965kg/m)、中密度ポリエチレン(MDPE、密度0.940kg/m程度)、低密度ポリエチレン(LDPE、密度0.910~0.930kg/m)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、密度0.910~0.925kg/m)などが挙げられる。ポリエチレン樹脂の分類は、JIS K 6899-1:2000において定義されたものを示す。これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
胴部2を構成する樹脂組成物は、モノマテリアル容器として分類される上で、許容される範囲で、ポリエチレン樹脂以外の他の材料を含有していてもよい。他の材料としては、天面部1で他の材料として用いることができる材料と同様である。具体的には、ポリエチレン樹脂以外の他の材料の含有量は、胴部2を構成する樹脂組成物に対し、30%未満である。胴部2を構成する樹脂組成物は、容器分野のポリエチレン樹脂モノマテリアル(単一素材)として、許容される量以外は、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。
【0033】
胴部2は単層であっても、複数層の積層体であってもよい。胴部2は、複数層の積層体であって、最内層が線状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。これにより、胴部2と天面部1、胴部2と底部3との密着性や溶着性を向上させることができる。胴部2は、単一のフィルムで形成されていてもよく、積層フィルムで形成されていてもよい。
【0034】
また、胴部2は、複数層の積層体であって、最外層が直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)であることが好ましい。これにより、天面部1と胴部2との接合部において、天面部1と胴部2との密着性や溶着性をより向上させることができる。
【0035】
積層体は、共押出成形や押出ラミネート法、ドライラミネート法、コーティング法などで製造することができ、これらを組み合わせて製造してもよい。
【0036】
胴部2は、可撓性を有する。容器10は、可撓性の胴部2を有するが、内容物が入っていない状態でも、自重で胴部2が屈曲することなく、自立していることが好ましい。胴部2が、可撓性を有することにより、容器10の廃棄時に、胴部2を容易に圧縮することができるため、容器10は容易に減容化することができる。そして、容器10を資源としてリサイクルするために回収する際、効率良く回収することができる。
【0037】
胴部2の厚さは、150μm~350μmであることが好ましく、200μm~300μmであることがより好ましい。胴部2の厚さが、150μm~350μmであることにより、胴部2をより容易に圧縮することができる。
【0038】
胴部2の厚さは、天面部1の厚さ及び底部3の厚さのいずれよりも小さいことが好ましい。胴部2の厚さが、天面部1の厚さ及び底部3の厚さのいずれよりも小さいことにより、胴部2をより容易に圧縮することができるため、容器10はより容易に減容化することができる。また、容器10の原料の使用量を減らすことができ、ゴミの減量に貢献することができる。
【0039】
胴部2の形状は、円筒状であってよい。胴部2の形状は、天面部1及び底部3の形状に応じて任意の形状とすることができ、例えば、角筒状、又は円筒状から角筒状に遷移する形状であってもよい。
【0040】
胴部2は、無機蒸着層や金属箔層を設けることにより、ガスバリア性や遮光性、メタリック調の加飾効果などを付与することもできる。
【0041】
胴部2は、押出成形やインフレーション成形、射出成形等で成形した筒状部材であってもよいし、フィルムの一端と他端とを接合した筒状部材であってもよい。フィルムの接合は、接着剤を用いて接合してもよいし、熱溶着や高周波溶着、超音波溶着などを用いて接合してもよい。
【0042】
(底部)
底部3は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる。底部3を構成する樹脂組成物に含まれるポリエチレン樹脂としては、胴部2と同様の樹脂を用いることができる。底部3は、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。底部3を構成する樹脂組成物に対する、高密度ポリエチレン樹脂の含有量が100%であることがより好ましい。底部3は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることにより、底部3の耐衝撃性を高めることができる。
【0043】
底部3を構成する樹脂組成物は、モノマテリアル容器として分類される上で、許容される範囲で、ポリエチレン樹脂以外の他の材料を含有していてもよい。具体的には、ポリエチレン樹脂以外の他の材料の含有量は、底部3を構成する樹脂組成物に対し、30%未満である。他の材料としては、天面部1で他の材料として用いることができる材料と同様である。底部3を構成する樹脂組成物は、容器分野のポリエチレン樹脂モノマテリアルとして、許容される量以外は、ポリエチレン樹脂であることが好ましい。
【0044】
底部3は、胴部2とは別体に成形されていてよい。この場合、底部3は、胴部2の下端(天面部1との接合部と反対側の端部)の開口を閉止する。底部3は、底部3の外周をヒートシール等によって胴部2の内周面に接合することにより、胴部2の下端の開口を閉止してよい。
【0045】
底部3の平面視形状は、特に限定されないが、円形、楕円形、多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)等が挙げられる。底部3の平面視形状が、多角形である場合、角に丸みを帯びていてもよい。
【0046】
底部3は、剛性を有する。底部3は、剛性を有することにより、内容物が減少し、可撓性を有する胴部2の張りがなくなり変形しやすい状態となっても、胴部2の初期の形状を維持することができる。よって、容器10は、安定して自立することができる。
【0047】
具体的には、底部3は、変形に耐え得る剛性を有していることが好ましい。また、底部3は、天面部1よりも剛性が高いことが好ましい。底部3は、天面部1よりも剛性が高いことにより、容器10は、より安定して自立することができる。
【0048】
底部3は、単層であっても、複数層の積層体であってもよい。
【0049】
底部3の厚さは、特に制限されないが、1mm~15mmであることが好ましい。これにより、底部3は、自立に十分な剛性と、胴部2との十分な接着強度の両立が容易になる。
【0050】
底部3の厚さは、天面部1の厚さよりも大きいことが好ましい。底部3の厚さが、天面部1の厚さよりも大きいことにより、容器10は、より安定して自立することができる。また、底部3の重量は、天面部1の重量よりも重いことが好ましい。底部3の重量が、天面部1の重量よりも重いことにより、容器10の重心を低くすることができ、容器10は、より安定して自立することができる。
【0051】
底部3は、底板を含んでいてもよい。底板の外周部には、底板の面と垂直の面を有するリブが設けられていることが好ましい。これにより、胴部2と底部3との接合強度を保ちやすくなる。胴部2と底部3の接合は、接着剤や、熱溶着、高周波溶着、超音波溶着などを用いることができる。
【0052】
上述の通り、天面部1は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、胴部2及び底部3は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることにより、ポリエチレン製の容器10を提供することができる。即ち、容器10は、ポリエチレン樹脂からなる。よって、容器10は、容易に樹脂材料のマテリアルリサイクルを行うことができる。
【0053】
また、上述の通り、容器10は、剛性の天面部1と、可撓性の胴部2と、剛性の底部3とを備え、天面部1と底部3とを近接させることにより、胴部2が変形可能である。よって、廃棄時に、天面部1及び底部3で胴部2を挟んで潰すことで、胴部2を容易に圧縮することができる。以上により、容器10は、容易に減容化することができ、容器10をリサイクルするために回収する際、効率良く回収し、容易に樹脂材料のマテリアルリサイクルを行うことができる。
【0054】
(容器の他の例)
容器10は、注出口部11に着脱可能なキャップを備えていてよい。キャップは、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。これにより、ポリエチレン製のキャップ付きの容器10を提供することができる。即ち、キャップ付きの容器10は、ポリエチレン樹脂からなる。よって、キャップ付きの容器10は、容易に樹脂材料のマテリアルリサイクルを行うことができる。
【実施例0055】
数平均分子量22,000の高密度ポリエチレンと数平均分子量120,000の高密度ポリエチレンを混合し、表1に示すMFRを有するポリエチレン樹脂を製造した。各実施例及び各比較例において、容器を100個ずつ製造した。
【0056】
(実施例1)
厚さ350μmのポリエチレン樹脂フィルムをマンドレルに巻き付け、一方の側端部と対向する他方の側端部とを重ね合わせ、熱溶着することで、円筒形状の胴部を製造した。引き続き、表1に示すMFRを有するポリエチレン樹脂を用いて、天面部を圧縮成形法により胴部と一体に成形した。この際、胴部の天面部側の端面が、天面部で覆われるようにした。得られた天面部と胴部に、ポリエチレン樹脂製の底部(底板)をはめ、熱溶着により胴部と底部とを溶着し、容器を製造した。
【0057】
(実施例2)
胴部を以下の層構成の積層フィルムにした以外は、実施例1と同様にして、容器を製造した。括弧内は各層の厚さを示す。
(内側)LLDPE(100μm)/6-ナイロン(12μm)/PET(15μm)/LLDPE(100μm)(外側)
【0058】
(実施例3~6)
天面部を形成するポリエチレン樹脂を表1に示すMFRのポリエチレン樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして容器を製造した。
【0059】
(比較例1,3,4)
天面部を形成するポリエチレン樹脂を表1に示すMFRのポリエチレン樹脂に変更した以外は、実施例1と同様にして容器を製造した。
【0060】
(比較例2)
天面部を形成するポリエチレン樹脂を表1に示すMFRのポリエチレン樹脂に変更した以外は、実施例2と同様にして容器を製造した。
【0061】
メルトフローレート(MFR)は、ISO1133に準拠して、210℃、荷重2.16kgにおける値(g/10min)を測定した。
【0062】
(注出口部の欠けの評価)
各実施例及び各比較例のそれぞれの容器100個について、注出口部の欠けの評価を行った。注出口部の欠けの評価は、目視により行った。評価基準は、以下のとおりである。
[評価基準]
○:注出口部の欠けが発生していない。
×:注出口部が一部欠けており、本来樹脂が存在すべき部分に樹脂が存在していないところがある。
【0063】
(肩部の垂れの評価)
各実施例及び各比較例のそれぞれの容器100個について、肩部の垂れの評価を行った。垂れの評価は、目視により行った。評価基準は、以下のとおりである。
[評価基準]
○:肩部の垂れが発生していない。
×:肩部から胴部に向かって、樹脂がはみ出しており、垂れが発生している。
【0064】
(天面部の外観の評価)
各実施例及び各比較例のそれぞれの容器100個について、天面部の外観の評価を行った。天面部表面の外観について、樹脂の流れ模様が見えるか、目視により評価を行った。評価基準は、以下のとおりである。
[評価基準]
○:流れ模様が目立たない。
×:明らかに流れ模様が目立つ。
【0065】
表1に、注出口部の欠け、肩部の垂れ、天面部の外観の評価において、100個の容器の中で評価が○であった容器の数を示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1に示すように、実施例1~6の容器では、98個以上の容器において、注出口部の欠け、及び肩部の垂れが発生せず、また、外観も良好であった。一方、比較例1~4の容器では、注出口部の欠け、及び肩部の垂れのいずれかにおいて、歩留まりが劣っていた。
【0068】
(本発明の態様)
本発明は、以下の態様を含む。
<態様1>
内容物が注出される注出口部と、前記注出口部から径方向の外側に張り出す肩部とを有する剛性の天面部と、可撓性の胴部と、剛性の底部とを備え、
前記天面部は、高密度ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、
前記胴部及び前記底部は、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなり、
前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、3.0g/10min~6.5g/10minである容器。
<態様2>
前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、4.0g/10min~6.3g/10minである態様1に記載の容器。
<態様3>
前記高密度ポリエチレン樹脂のメルトフローレートが、4.0g/10min~5.5g/10minである態様1に記載の容器。
<態様4>
前記高密度ポリエチレン樹脂が、数平均分子量の異なる複数種の高密度ポリエチレン樹脂を含有する態様1から3のいずれか一つに記載の容器。
<態様5>
前記胴部の前記天面部側の端面が、前記天面部に覆われている態様1から4のいずれか一つに記載の容器。
<態様6>
ポリエチレン樹脂からなる態様1から5のいずれか一つに記載の容器。
<態様7>
前記胴部の厚さは、150μm~350μmである態様1から6のいずれか一つに記載の容器。
<態様8>
前記天面部と前記底部とを近接させることにより、前記胴部が変形可能である態様1から7のいずれか一つに記載の容器。
<態様9>
前記天面部の前記胴部側の端面の形状が、円形である態様1から8のいずれか一つに記載の容器。
<態様10>
前記注出口部に着脱可能なキャップを備える態様1から9のいずれか一つに記載の容器。
<態様11>
前記キャップは、ポリエチレン樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる態様10に記載の容器。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。また、実施形態で説明した複数の特徴は適宜組み合せることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 天面部
11 注出口部
12 肩部
2 胴部
21 端面
3 底部
10 容器
図1
図2