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特開2023-139378炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139378
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20230927BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20230927BHJP
   H01L 21/76 20060101ALI20230927BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H01L29/78 652H
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652D
H01L29/78 652P
H01L29/78 652R
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/06 301M
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022044878
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】馬場 正和
(72)【発明者】
【氏名】原田 信介
(57)【要約】
【課題】nリッチ側にチャージバランスがずれた際に、炭化珪素半導体装置の全体の耐圧低下を抑制することができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】活性領域に第1の第1導電型領域52と第1の第2導電型領域53とを交互に繰り返し配置した第1並列pn層51と、終端領域に第2の第1導電型領域55と第2の第2導電型領域56とを交互に繰り返し配置した第2並列pn層54と、終端領域に耐圧構造を構成する第2導電型の第1半導体領域32と、活性領域に設けられた第2導電型の第2半導体領域13を備え、第1の第1導電型領域52および第2の第1導電型領域55は、第1並列pn層51上および第2並列pn層54上に設けられた第2導電型の領域13、32の不純物濃度が低いほど、不純物濃度が低くなっている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素からなる半導体基板と、
活性領域において前記半導体基板の内部に設けられた、第1の第1導電型領域と第1の第2導電型領域とを前記半導体基板の第1主面に平行な第1方向に交互に繰り返し配置した第1並列pn層と、
前記活性領域の周囲を囲む終端領域において前記半導体基板の内部に設けられた、第2の第1導電型領域と第2の第2導電型領域とを前記第1方向に交互に繰り返し配置した第2並列pn層と、
前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1並列pn層との間に設けられた所定の素子構造と、
前記半導体基板の第1主面に設けられ、前記素子構造に電気的に接続された第1電極と、
前記半導体基板の第2主面に設けられた第2電極と、
前記終端領域において前記半導体基板の第1主面と前記第2並列pn層との間に選択的に設けられ、前記活性領域の周囲を囲み、前記第1電極に電気的に接続されて耐圧構造を構成する第2導電型の第1半導体領域と、
前記活性領域において前記第1並列pn層上に設けられた、前記第1半導体領域より不純物濃度が高い第2導電型の第2半導体領域と、
を備え、
前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域は、前記第1並列pn層上および前記第2並列pn層上に設けられた第2導電型の領域の不純物濃度が低いほど、不純物濃度が低くなっていることを特徴とする炭化珪素半導体装置。
【請求項2】
前記第1の第2導電型領域と前記第2の第2導電型領域とは、同じ不純物濃度であり、
前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域の不純物濃度が低いほど、前記第1の第2導電型領域および前記第2の第2導電型領域の幅を狭くすることでチャージバランスを取っていることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体領域は、前記活性領域側の第1の第1半導体領域と、前記第1の第1半導体領域より不純物濃度が低い第2の第1半導体領域とから構成され、
前記第1の第1導電型領域、前記第1の第1半導体領域と対向する位置に設けられた前記第2の第1導電型領域、前記第2の第1半導体領域と対向する位置に設けられた前記第2の第1導電型領域の順で不純物濃度が低くなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項4】
前記第1の第2導電型領域と、当該第1の第2導電型領域と隣接する2つの前記第1の第1導電型領域の半分とから構成される領域、および、
前記第2の第2導電型領域と、当該第2の第2導電型領域と隣接する2つの前記第2の第1導電型領域の半分とから構成される領域で、チャージバランスが取られていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体領域内に、前記第1半導体領域の不純物濃度分布を外側へ向って減少させる空間変調領域を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の炭化珪素半導体装置。
【請求項6】
活性領域において炭化珪素からなる半導体基板の内部に、第1の第1導電型領域と第1の第2導電型領域とを前記半導体基板の第1主面に平行な第1方向に交互に繰り返し配置した第1並列pn層と、前記活性領域の周囲を囲む終端領域において前記半導体基板の内部に、第2の第1導電型領域と第2の第2導電型領域とを前記第1方向に交互に繰り返し配置した第2並列pn層と、を形成する第1工程と、
前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1並列pn層との間に所定の素子構造を形成する第2工程と、
前記半導体基板の第1主面に、前記素子構造に電気的に接続された第1電極を形成する第3工程と、
前記半導体基板の第2主面に第2電極を形成する第4工程と、
前記終端領域において、前記半導体基板の第1主面と前記第2並列pn層との間に選択的に、前記活性領域の周囲を囲み、前記第1電極に電気的に接続されて耐圧構造を構成する第2導電型の第1半導体領域を形成する第5工程と、
前記活性領域において前記第1並列pn層上に、前記第1半導体領域より不純物濃度が高い第2導電型の第2半導体領域を形成する第6工程と、
を含み、
前記第1工程では、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域を形成後、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域に第1導電型となる不純物を選択的にイオン注入することで、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域を、前記第1並列pn層および前記第2並列pn層上に設けられた第2導電型の領域の不純物濃度が低いほど、不純物濃度を低く形成することを特徴とする炭化珪素半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドリフト層を、n型領域とp型領域とを基板主面に平行な方向に交互に繰り返し隣接して配置してなる並列pn層とした超接合(SJ:Super Junction)構造の半導体装置が公知である。並列pn層を構成するn型領域およびp型領域は、半導体基板(半導体チップ)の主面に平行にストライプ状に延在する。並列pn層を構成するn型領域およびp型領域は、半導体基板の中央(チップ中央)の活性領域から半導体基板の端部(チップ端部)にわたって、半導体基板の略全体に略均一に設けられている。
【0003】
従来のSJ構造の炭化珪素半導体装置の構造について、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)を例に説明する。図12は、従来の炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図13図14は、それぞれ図12の切断線AA-AA’および切断線BB-BB’における断面構造を示す断面図である。
【0004】
図12図14に示す従来の炭化珪素半導体装置150は、炭化珪素からなる半導体基板(半導体チップ)140の活性領域110に一般的なトレンチゲート構造を備え、ドリフト層102を並列pn層151としたSJ構造の縦型MOSFETである。半導体基板140は、矩形状の平面形状を有する。活性領域110は、略矩形状の平面形状を有し、半導体基板140の中央(チップ中央)に設けられている。活性領域110の周囲は、中間領域120を介してエッジ終端領域130に囲まれている。
【0005】
中間領域120には、ゲートランナー等のゲート配線層(不図示)が配置される。エッジ終端領域130は、中間領域120と半導体基板140の端部(チップ端部)との間の領域である。エッジ終端領域130には、耐圧構造として、接合終端拡張(JTE:Junction Termination Extension)構造132と、n+型チャネルストッパ領域134と、が配置されている。JTE構造132は、中間領域120を介して活性領域110の周囲を囲む。
【0006】
+型チャネルストッパ領域134は、JTE構造132よりも外側(チップ端部側)に、JTE構造132と離れて配置され、半導体基板140の端部に達する。n+型チャネルストッパ領域134は、半導体基板140の端部に沿って延在し、JTE構造132の周囲を囲む。図12には、n+型チャネルストッパ領域134の内周を破線134aで示す。n+型チャネルストッパ領域134は破線134aから外側の全域に設けられており、n+型チャネルストッパ領域134の外周は半導体基板140の端部である。
【0007】
並列pn層151は、活性領域110からエッジ終端領域130にわたって半導体基板140の略全体に一様に設けられている。並列pn層151は、n型領域152とp型領域153とを半導体基板140のおもて面に平行な第1方向Xに交互に繰り返し隣接して配置したSJ構造である。並列pn層151のn型領域152およびp型領域153は、半導体基板140のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向Yにストライプ状に延在する。図12には、p型領域153をハッチングで示す。
【0008】
並列pn層151のn型領域152およびp型領域153は、JTE構造132およびn+型チャネルストッパ領域134の直下(n+型ドレイン領域101(図13図14参照)側)においてエッジ終端領域130の略全域に配置される。並列pn層151は、JTE構造132およびn+型チャネルストッパ領域134の全周で深さ方向ZにJTE構造132およびn+型チャネルストッパ領域134に隣接し、JTE構造132とn+型チャネルストッパ領域134との間で半導体基板140のおもて面に達する。
【0009】
従来の炭化珪素半導体装置150の断面構造について説明する。半導体基板140は、炭化珪素からなるn+型出発基板141にドリフト層102およびp型ベース領域104となる各エピタキシャル層142,143を順に積層させてなる。半導体基板140のp型エピタキシャル層143側の主面をおもて面とし、n+型ドレイン領域101であるn+型出発基板141側の主面を裏面とする。エピタキシャル層142はドリフト層(ドリフト領域)102となる部分であり、並列pn層151を含む。
【0010】
p型エピタキシャル層143の、エッジ終端領域130の部分はエッチングにより除去され、半導体基板140のおもて面に段差131が形成されている。半導体基板140のおもて面は、段差131を境にして、活性領域110側の部分(以下、第1面とする)140aよりもエッジ終端領域130側の部分(以下、第2面とする)140bでn+型ドレイン領域101側に凹んでいる。符号140cは、半導体基板140のおもて面の第1面140aと第2面140bとをつなぐ部分(以下、第3面とする)である。
【0011】
エッジ終端領域130において半導体基板140のおもて面の第2面140bに、n-型エピタキシャル層142が露出されている。半導体基板140のおもて面の第2面140bの表面領域においてn-型エピタキシャル層142の内部に、JTE構造132を構成する複数のp型領域と、n+型チャネルストッパ領域134と、がそれぞれ選択的に設けられている。図12図13には、活性領域110の周囲を囲む同心状に隣接して配置されてJTE構造132を構成する複数のp型領域を一つのp-型領域133で示す。
【0012】
JTE構造132のp-型領域133は、活性領域110から段差131よりも外側まで延在するp+型外周領域113を介してソース電極(不図示)の電位に固定されている。p+型外周領域113の段差131よりも外側の部分と、JTE構造132のp-型領域133と、n+型チャネルストッパ領域134と、は半導体基板140のおもて面の第2面140bに露出されている。半導体基板140のおもて面の第2面140bに露出とは、当該第2面140b上のフィールド絶縁膜135に接することである。
【0013】
並列pn層151のn型領域152およびp型領域153は、活性領域110からエッジ終端領域130にわたって半導体基板140の略全体に等間隔に配置されている。並列pn層151のn型領域152およびp型領域153は、中間領域120においてp+型外周領域113の直下に配置され、エッジ終端領域130においてp-型領域133およびn+型チャネルストッパ領域134の直下に配置されて、深さ方向Zにp+型外周領域113、p-型領域133およびn+型チャネルストッパ領域134に接する。
【0014】
並列pn層151のn型領域152およびp型領域153は、JTE構造132のp-型領域133とn+型チャネルストッパ領域134との間で半導体基板140のおもて面の第2面140bに露出されている。並列pn層151の隣接するn型領域152とp型領域153とでチャージバランスがとれるように、並列pn層151のn型領域152およびp型領域153それぞれのキャリア濃度(不純物濃度)および幅(第1方向Xの幅)Wn,Wpが設定される。
【0015】
チャージバランスがとれているとは、n型領域152のキャリア濃度と幅Wnとの積で表されるチャージ量と、p型領域153のキャリア濃度と幅Wpとの積で表されるチャージ量と、がプロセスのばらつきによる許容誤差を含む範囲で略同じであることを意味する。符号102aは、並列pn層151とn+型ドレイン領域101との間のSJ構造でない通常のn型ドリフト領域である。符号114,116,136は、それぞれ層間絶縁膜、ドレイン電極およびパッシベーション膜である。
【0016】
従来のSJ構造の炭化珪素半導体装置として、活性領域におけるn型カラム領域の幅とp型カラム領域の幅を、エッジ終端領域におけるn型カラム領域の幅とp型カラム領域の幅より広くし、エッジ終端領域における第2並列pn構造の不純物濃度を、活性領域における第1並列pn領域の不純物濃度よりも低くさせることで、エッジ終端領域の耐圧を活性領域の耐圧よりも高くすることができる炭化珪素半導体装置が知られている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【0017】
また、従来のSJ構造の炭化珪素半導体装置として、活性領域での並列pn領域を構成するp型カラム領域の幅およびn型カラム領域の幅を終端領域より広くする炭化珪素半導体装置が知られている(例えば、下記特許文献2、3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2020-174170号公報
【特許文献2】特開2019-102761号公報
【特許文献3】特開2019-021788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ここで、従来の並列pn層151では、ドリフト層102のn型領域152は、チップ全域(活性領域110、中間領域120およびエッジ終端領域130)で同じ高不純物濃度となっている。このため、n型領域152のキャリア濃度と幅Wnとの積で表されるチャージ量が、p型領域153のキャリア濃度と幅Wpとの積で表されるチャージ量より大きくなる状態(以下、nリッチと称する。)にチャージバランス(CB:Charge Balance)がずれた際に、並列pn層151(SJ領域)が空乏化した後に余剰キャリアによる電荷が残留する。
【0020】
エッジ終端領域130のJTE構造132の不純物濃度は外側ほど濃度が低く設計されており、nリッチの条件では、SJ領域が空乏化した後の残留電荷量が高く、外側ほど想定よりも早くJTE構造132内の空乏化が進む。このため、所望の耐圧が得られる前にJTE構造132が空乏化してしまい耐圧が低下するという課題がある。
【0021】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、nリッチ側にチャージバランスがずれた際に、炭化珪素半導体装置の全体の耐圧低下を抑制することができる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、次の特徴を有する。活性領域において、炭化珪素からなる半導体基板の内部に、第1の第1導電型領域と第1の第2導電型領域とを前記半導体基板の第1主面に平行な第1方向に交互に繰り返し配置した第1並列pn層が設けられる。前記活性領域の周囲を囲む終端領域において前記半導体基板の内部に、第2の第1導電型領域と第2の第2導電型領域とを前記第1方向に交互に繰り返し配置した第2並列pn層が設けられる。前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1並列pn層との間に所定の素子構造が設けられる。前記半導体基板の第1主面に、前記素子構造に電気的に接続された第1電極が設けられる。前記半導体基板の第2主面に第2電極が設けられる。前記終端領域において前記半導体基板の第1主面と前記第2並列pn層との間に選択的に、前記活性領域の周囲を囲み、前記第1電極に電気的に接続されて耐圧構造を構成する第2導電型の第1半導体領域が設けられる。前記活性領域において前記第1並列pn層上に、前記第1半導体領域より不純物濃度が高い第2導電型の第2半導体領域が設けられる。前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域は、前記第1並列pn層上および前記第2並列pn層上に設けられた第2導電型の領域の不純物濃度が低いほど、不純物濃度が低くなっている。
【0023】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1の第2導電型領域と前記第2の第2導電型領域とは、同じ不純物濃度であり、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域の不純物濃度が低いほど、前記第1の第2導電型領域および前記第2の第2導電型領域の幅を狭くすることでチャージバランスを取っていることを特徴とする。
【0024】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1半導体領域は、前記活性領域側の第1の第1半導体領域と、前記第1の第1半導体領域より不純物濃度が低い第2の第1半導体領域とから構成され、前記第1の第1導電型領域、前記第1の第1半導体領域と対向する位置に設けられた前記第2の第1導電型領域、前記第2の第1半導体領域と対向する位置に設けられた前記第2の第1導電型領域の順で不純物濃度が低くなっていることを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1の第2導電型領域と、当該第1の第2導電型領域と隣接する2つの前記第1の第1導電型領域の半分とから構成される領域、および、前記第2の第2導電型領域と、当該第2の第2導電型領域と隣接する2つの前記第2の第1導電型領域の半分とから構成される領域で、チャージバランスが取られていることを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる炭化珪素半導体装置は、上述した発明において、前記第1半導体領域内に、前記第1半導体領域の不純物濃度分布を外側へ向って減少させる空間変調領域を有していることを特徴とする。
【0027】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。まず、活性領域において炭化珪素からなる半導体基板の内部に、第1の第1導電型領域と第1の第2導電型領域とを前記半導体基板の第1主面に平行な第1方向に交互に繰り返し配置した第1並列pn層と、前記活性領域の周囲を囲む終端領域において前記半導体基板の内部に、第2の第1導電型領域と第2の第2導電型領域とを前記第1方向に交互に繰り返し配置した第2並列pn層と、を形成する第1工程を行う。次に、前記活性領域において前記半導体基板の第1主面と前記第1並列pn層との間に所定の素子構造を形成する第2工程を行う。次に、前記半導体基板の第1主面に、前記素子構造に電気的に接続された第1電極を形成する第3工程を行う。次に、前記半導体基板の第2主面に第2電極を形成する第4工程を行う。次に、前記終端領域において、前記半導体基板の第1主面と前記第2並列pn層との間に選択的に、前記活性領域の周囲を囲み、前記第1電極に電気的に接続されて耐圧構造を構成する第2導電型の第1半導体領域を形成する第5工程を行う。次に、前記活性領域において前記第1並列pn層上に、前記第1半導体領域より不純物濃度が高い第2導電型の第2半導体領域を形成する第6工程を行う。前記第1工程では、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域を形成後、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域に第1導電型となる不純物を選択的にイオン注入することで、前記第1の第1導電型領域および前記第2の第1導電型領域を、前記第1並列pn層および前記第2並列pn層上に設けられた第2導電型の領域の不純物濃度が低いほど、不純物濃度を低く形成する。
【0028】
上述した発明によれば、活性領域から外側に行くほどn型領域(第1の第1導電型領域、第2の第1導電型領域)のキャリア濃度を低くしているため、表面のp型領域(第2導電型の第1半導体領域、第2導電型の第2半導体領域)の濃度が薄い領域ほどn型領域のキャリア濃度が薄くなっている。これにより、チャージバランスがnリッチになった際、表面のp型領域の濃度が低い領域ほどドリフト層内の残留電荷量が少なくなり、所望の耐圧が得られるようにJTE領域(第2導電型の第1半導体領域)の空乏化が進む。このため、nリッチにチャージバランスがずれた際の耐圧低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法によれば、nリッチ側にチャージバランスがずれた際に、炭化珪素半導体装置の全体の耐圧低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図2図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。
図3図1の切断線A1-A2における断面構造を示す断面図である。
図4図1の切断線A2-A3における断面構造を示す断面図である。
図5】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のn型領域のキャリア濃度分布を示す平面図である。
図6】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のn型領域のキャリア濃度とJTE構造の関係を示す断面図である。
図7】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のn型領域のキャリア濃度、p型領域の幅およびJTE構造のキャリア濃度の関係を示す平面図である。
図8】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のJTE構造の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図9】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のJTE構造の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図10】実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のJTE構造の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図11】実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置のJTE構造の詳細を示す断面図である。
図12】従来の炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図13図12の切断線AA-AA’における断面構造を示す断面図である。
図14図12の切断線BB-BB’における断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる炭化珪素半導体装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の構造についてMOSFETを例に説明する。図1は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。図1には、例えば3mm2角の半導体基板40のレイアウトを示す。図1では、第1,2並列pn層51,54のn型領域(第1,2の第1導電型領域)52,55およびp型領域(第1,2の第2導電型領域)53,56の個数が簡略化され、図2図4と異なる。
【0033】
図2は、図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。図2には、活性領域10に配置される同一構造の複数の単位セル(素子の構成単位)のうちの1つの単位セルを示す。図3図4は、それぞれ図1の切断線A1-A2および切断線A2-A3における断面構造を示す断面図である。図3には、中間領域20との境界付近から、中間領域20とエッジ終端領域30との境界付近までを示す。図4には、中間領域20とエッジ終端領域30との境界付近から半導体基板40の端部(チップ端部)までを示す。
【0034】
図1図4に示す実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置50は、炭化珪素(SiC)からなる半導体基板(半導体チップ)40に活性領域10、中間領域20およびエッジ終端領域30を備え、活性領域10からエッジ終端領域30にわたってドリフト層(ドリフト領域)2を並列pn層(第1,2並列pn層51,54)としたSJ構造のトレンチゲート構造(素子構造)の縦型MOSFETである。活性領域10は、MOSFETがオン状態のときに主電流が流れる領域であり、半導体基板40の中央(チップ中央)に配置されている。
【0035】
中間領域20は、活性領域10に隣接して、活性領域10の周囲を囲む。エッジ終端領域30は、中間領域20と半導体基板40の端部との間の領域であり、中間領域20を介して活性領域10の周囲を囲む。活性領域10および中間領域20は、ドリフト層2を第1並列pn層51としたSJ構造である。エッジ終端領域30は、ドリフト層2を第2並列pn層54としたSJ構造である。
【0036】
活性領域10と中間領域20との境界は、後述する少数キャリア(正孔)引き抜きのためのp++型外周コンタクト領域21(図3参照)の内側端部(内周)である。中間領域20とエッジ終端領域30との境界は、後述するJTE構造32の内側端部(内周)である。JTE構造32の内側端部とは、JTE構造32を構成する複数のp型領域(図4では、p-型領域32aとその外側のp--型領域32b)のうちの最も内側のp型領域(図4ではp-型領域32a)の内側端部であり、中間領域20の後述するp+型外周領域13(図4参照、第2導電型の第2半導体領域)との接合部(界面)である。
【0037】
エッジ終端領域30は、活性領域10および中間領域20におけるドリフト層2の、半導体基板40のおもて面(第1主面)側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。耐圧とは、リーク電流が過度に増大せず、素子が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。エッジ終端領域30には、耐圧構造として、p-型領域(第1の第1半導体領域)32aとその外側のp--型領域(第2の第1半導体領域)32bから構成される接合終端拡張(JTE)構造32(第2導電型の第1半導体領域)と、n+型チャネルストッパ領域34と、が配置されている。JTE構造32は、中間領域20を介して活性領域10の周囲を囲む。
【0038】
JTE構造32は、複数のp型領域を、活性領域10から離れるにしたがって不純物濃度の低いp型領域が配置されるように、中間領域20を介して活性領域10の周囲を囲む同心状に隣接して配置した構造である。JTE構造32により、中間領域20よりも外側の電界集中が緩和され、所定電圧(エッジ終端領域30の耐圧)未満の電圧印加による素子破壊を防止することができる。
【0039】
+型チャネルストッパ領域34は、JTE構造32よりも外側に、JTE構造32と離れて配置され、例えば半導体基板40の端部の4辺(直線部)で半導体基板40の端部に達する。n+型チャネルストッパ領域34は、半導体基板40の端部に沿って延在して、JTE構造32の周囲を囲む。図1には、n+型チャネルストッパ領域34の内周を破線34aで示す。n+型チャネルストッパ領域34は破線34aから外側の全域に設けられており、n+型チャネルストッパ領域34の外周は略矩形状の平面形状の半導体基板40の端部である。
【0040】
第1並列pn層51は、n型領域52とp型領域53とを半導体基板40のおもて面に平行な第1方向Xに交互に繰り返し隣接して配置したSJ構造である。第1並列pn層51のn型領域52およびp型領域53は、半導体基板40のおもて面に平行でかつ第1方向Xと直交する第2方向Yにストライプ状に中間領域20の端部付近まで延在している。
【0041】
また、第1並列pn層51は、第1方向Xに活性領域10および中間領域20に配置されている。したがって、第1並列pn層51と第2並列pn層54との境界は中間領域20端部に位置する。第1並列pn層51は、活性領域10および中間領域20を通るn型領域52およびp型領域53を有する。
【0042】
第1並列pn層51のn型領域52およびp型領域53は、深さ方向Zに、中間領域20のp+型外周領域13に接する。第1並列pn層51のp型領域53は、p+型外周領域13を介してソース電極15(図2図3参照)の電位に固定されている。
【0043】
第2並列pn層54は、n型領域55とp型領域56とを半導体基板40のおもて面に平行な第1方向Xに交互に繰り返し隣接して配置したSJ構造である。第2並列pn層54のn型領域55およびp型領域56は、第1並列pn層51のn型領域52およびp型領域53に平行して第2方向Yにストライプ状に延在する。第2並列pn層54は、第2方向Yに活性領域10および中間領域20の第1並列pn層51の両側にそれぞれ接続して、エッジ終端領域30にのみ配置されている。第2並列pn層54は、第1方向Xに第1並列pn層51の両側にそれぞれ隣接して、エッジ終端領域30にのみ配置されている。第2並列pn層54は、第1並列pn層51の第1方向Xに最も外側のp型領域53に第1方向Xに外側にn型領域55が隣接するように配置される。また、第2並列pn層54は、第1方向XにJTE構造32の外側端部(外周)よりも外側に少なくとも1つのp型領域56が配置されるように、第1方向XにJTE構造32の外側端部よりも外側まで配置されている。
【0044】
第2並列pn層54のp型領域56を第1方向XにJTE構造32の外側端部よりも外側まで配置することで、MOSFETのオフ時にJTE構造32の外側端部への電界集中を抑制することができる。JTE構造32の外側端部とは、JTE構造32を構成する複数のp型領域のうちの最も内側のp型領域の外側端部である。また、第2並列pn層54は、第1方向XにJTE構造32の外側端部から例えば10μm以下程度の範囲まで配置されてもよい。
【0045】
第2並列pn層54を配置する範囲を第1方向XにJTE構造32の外側端部から上記範囲内として、エッジ終端領域30に配置されるフローティングのp型領域56の個数を少なくする。これによって、MOSFETのスイッチング等によりエッジ終端領域30に蓄積されて外部へ吐き出されずに残る少数キャリア(正孔)の蓄積電荷量を低減させることができる。このため、第1方向XにJTE構造32の外側端部よりも外側に配置されるp型領域56の個数は少ないことが好ましい。
【0046】
第2並列pn層54は、第1方向XにJTE構造32の外側端部から上記範囲内であれば、第1方向Xにn+型チャネルストッパ領域34の直下(n+型ドレイン領域1側)まで配置されてもよい。第1方向Xに第2並列pn層54と半導体基板40の端部との間に後述する通常のn-型ドリフト領域2b(図4参照)が配置されてもよい。この通常のn-型ドリフト領域2bを設けないか、またはこの通常のn-型ドリフト領域2bの幅を狭くするほど、半導体基板40を小型化することができる。
【0047】
第2並列pn層54のn型領域55およびp型領域56は、深さ方向Zに、JTE構造32に接する。第2並列pn層54のp型領域56は、JTE構造32と接するp+型外周領域13を介してソース電極15(図2図3参照)の電位に固定されている。
【0048】
図5は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のn型領域のキャリア濃度分布を示す平面図である。実施の形態1では、活性領域10と中間領域20、JTE構造32の領域(p-型領域32aとp--型領域32b)ごとにn型領域52、55のキャリア濃度を個別に設定し、活性領域10から外側に行くほどn型領域52、55のキャリア濃度を低くしている。
【0049】
具体的には、活性領域10と中間領域20のn型領域52のキャリア濃度をn1として、JTE構造32のp-型領域32aの下部(p-型領域32aよりドレイン電極16側の領域)のn型領域55のキャリア濃度をn2として、JTE構造32のp--型領域32bの下部のn型領域55のキャリア濃度をn3とすると、n1≧n2≧n3が成り立つ。
【0050】
図6は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のn型領域のキャリア濃度とJTE構造の関係を示す断面図である。図7は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のn型領域のキャリア濃度、p型領域の幅およびJTE構造のキャリア濃度の関係を示す平面図である。図6は、図1の切断線A2-A3における断面構造を示す断面図である。図6図7に示すように、n型領域52、55は、第1並列pn層51、第2並列pn層54上に設けられたp型領域(p+型外周領域13、p-型領域32a、p--型領域32b)のキャリア濃度が低いほど、キャリアが低くなっている。また、n型領域52、55のキャリア濃度の切り替わりは表面のp型領域のキャリア濃度が変わる位置と重なっている。
【0051】
一方、p型領域53、56のキャリア濃度は、活性領域10、JTE構造32の全領域で同一となっており、p型領域53、56の幅を、外側になるほどp型領域53、56の幅を狭く伸縮することでチャージバランス(CB)が全領域でとれている。チャージバランスがとれているとは、並列pn層のn型領域のキャリア濃度(不純物濃度)と幅との積で表されるチャージ量と、p型領域のキャリア濃度と幅との積で表されるチャージ量と、がプロセスのばらつきによる許容誤差を含む範囲で略同じであることを意味する。
【0052】
具体的には、活性領域10と中間領域20のp型領域53の幅をWp1として、JTE構造32のp-型領域32aの下部のp型領域56の幅をWp2として、JTE構造32のp--型領域32bの下部のp型領域56の幅をWp3とすると、Wp1≧Wp2≧Wp3が成り立つ。
【0053】
また、各領域でセルピッチWcは同じであり、Wn1+Wp1=Wn2+Wp2=Wn3+Wp3=Wcが成り立つ。ここで、Wn1は、活性領域10と中間領域20のn型領域52の幅であり、Wn2は、JTE構造32のp-型領域32aの下部のn型領域55の幅であり、Wn3は、JTE構造32のp--型領域32bの下部のp型領域55の幅である。セルピッチWcとは、1つのp型領域53、56と当該p型領域53、56に隣接する2つのn型領域52、55の半分とから構成される領域の幅である。各セルピッチWcに対して、いずれの領域でもp型領域53、56のキャリア濃度p、n型領域52、55のキャリア濃度、p型領域53、56の幅から算出されるチャージバランスは、ジャストバランス(0)相当になるようにp型領域53、56の幅は設計されている。
【数1】
【0054】
つまり、上記式が成り立つ。
【0055】
ここで、表面のp型領域(p+型外周領域13、p-型領域32a、p--型領域32b)のキャリア濃度が変化する境界(a)、(b)と、境界(a)、(b)に最も近いp型領域53、56との距離は、それぞれの領域(活性領域10と中間領域20、JTE構造32のp-型領域32a、JTE構造32のp--型領域32b)におけるn型領域52、55の幅の1/2となっている。このようにすることで、各セルピッチWcに対して、チャージバランスを、ジャストバランス(0)相当にすることができる。これにより、局所的にチャージバランスがずれることを防ぎ、空乏層を均一に広げることができる。
【0056】
このように、実施の形態1では、表面のp型領域の濃度が薄い領域ほどn型領域52、55のキャリア濃度が薄くなっている。これにより、チャージバランスがnリッチになった際、表面のp型領域の濃度が低い領域ほどドリフト層2内の残留電荷量が少なくなり、所望の耐圧が得られるようにJTE領域32の空乏化が進む。このため、nリッチにチャージバランスがずれた際の耐圧低下を抑制することができる。
【0057】
実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置50の断面構造について説明する。図2に示すように、活性領域10において半導体基板40のおもて面側に一般的なトレンチゲート構造が設けられている。トレンチゲート構造は、p型ベース領域4、n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6、ゲートトレンチ7、ゲート絶縁膜8およびゲート電極9で構成される。半導体基板40は、炭化珪素からなるn+型出発基板41のおもて面上にドリフト層2およびp型ベース領域4となる各エピタキシャル層42,43を順に堆積してなる。
【0058】
半導体基板40のp型エピタキシャル層43側の主面をおもて面として、n+型出発基板41側の主面を裏面(第2主面)とする。n+型出発基板41は、n+型ドレイン領域1である。p型エピタキシャル層43の、エッジ終端領域30の部分はエッチングにより除去され、半導体基板40のおもて面に段差31が形成されている。半導体基板40のおもて面は、段差31を境にして、活性領域10側の部分(第1面)40aよりもエッジ終端領域30側の部分(第2面)40bでn+型ドレイン領域1側に凹んでいる。
【0059】
半導体基板40のおもて面の第2面40bは、p型エピタキシャル層43が除去されることで露出されたn-型エピタキシャル層42の露出面である。半導体基板40のおもて面の第1面40aと第2面40bとをつなぐ部分(第3面:段差31のメサエッジ)40cで、活性領域10および中間領域20とエッジ終端領域30と素子分離される。ゲートトレンチ7は、深さ方向Zに半導体基板40のおもて面の第1面40aからp型エピタキシャル層43を貫通してn-型エピタキシャル層42内に達する。
【0060】
ゲートトレンチ7は、例えば、半導体基板40のおもて面に平行な方向に(ここでは第2方向Yに)ストライプ状に延在する。ゲートトレンチ7の内部に、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極9が設けられている。p型ベース領域4、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、互いに隣り合うゲートトレンチ7間にそれぞれ選択的に設けられている。p型ベース領域4は、p型エピタキシャル層43の、n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6を除く部分である。
【0061】
p型ベース領域4は、活性領域10から外側(チップ端部側)へ延在して、半導体基板40のおもて面の第3面40cに達する。n+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6は、半導体基板40のおもて面の第1面40aとp型ベース領域4との間に、p型ベース領域4に接してそれぞれ選択的に設けられ、かつ半導体基板40のおもて面の第1面40aに露出されている。半導体基板40のおもて面の第1面40aに露出とは、層間絶縁膜14のコンタクトホールにおいてソース電極15に接することである。
【0062】
++型コンタクト領域6は、n+型ソース領域5よりもゲートトレンチ7から離れて配置されている。n-型エピタキシャル層42の、後述するn型電流拡散領域3、p+型領域11,12、p+型外周領域13、p-型領域32a、p--型領域32bおよびn+型チャネルストッパ領域34を除く部分がMOSFETのドリフト領域として機能するドリフト層2であり、第1,2並列pn層51,54を含む。ドリフト層2の、第1,2並列pn層51,54とn+型出発基板41との間の部分がSJ構造でない通常のn型ドリフト領域2aであってもよい。
【0063】
第1,2並列pn層51,54は、n-型エピタキシャル層42の内部の上述した所定位置に設けられている。第1,2並列pn層51,54は、例えば、ドリフト層2となるn-型エピタキシャル層42を複数回に分けて多段にエピタキシャル成長させるごとに当該n-型エピタキシャル層42に深さ方向Zに同導電型領域同士が隣接するようにイオン注入によりn型領域52,55およびp型領域53,56となる各領域をそれぞれ選択的に形成する多段エピタキシャル方式を用いて形成される。
【0064】
また、第1,2並列pn層51,54は、例えば、n型エピタキシャル層にトレンチ(以下、SJトレンチとする)を形成してn型領域52,55となる部分を残し、SJトレンチをp型領域53,56となるp型エピタキシャル層で埋め込むトレンチ埋め込みエピタキシャル方式を用いて形成されてもよい。
【0065】
活性領域10においてp型ベース領域4と第1並列pn層51(ドリフト層2)との間に、n型電流拡散領域3およびp+型領域11,12がそれぞれ選択的に設けられている。n型電流拡散領域3およびp+型領域11,12は、例えば、n-型エピタキシャル層42の内部にイオン注入により形成された拡散領域である。n型電流拡散領域3およびp+型領域11,12は、ゲートトレンチ7の底面よりもn+型ドレイン領域1側に深い位置に配置され、ゲートトレンチ7に平行して第2方向Yに直線状に延在している。
【0066】
n型電流拡散領域3は、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(CSL:Current Spreading Layer)である。n型電流拡散領域3は、互いに隣り合うゲートトレンチ7間において、p+型領域11,12、p型ベース領域4および第1並列pn層51のn型領域52に接し、ゲートトレンチ7の底面よりもn+型ドレイン領域1側に深い位置に達する。n型電流拡散領域3に代えて、n-型エピタキシャル層42のイオン注入されない部分が配置されてもよい。
【0067】
+型領域11,12は、ゲートトレンチ7の底面にかかる電界を緩和する機能を有する。p+型領域11,12は、深さ方向Zにそれぞれ第1並列pn層51の異なるp型領域53に接する。p+型領域11は、p型ベース領域4と離れて配置され、深さ方向Zにゲートトレンチ7の底面に対向する。p+型領域12は、互いに隣り合うゲートトレンチ7間において、p型ベース領域4に接して、かつp+型領域11およびゲートトレンチ7と離れて設けられている。
【0068】
層間絶縁膜14は、活性領域10のコンタクト部および後述する中間領域20の外周コンタクト部を除いて、半導体基板40のおもて面の全面を覆う。活性領域10のコンタクト部は、ソース電極15とn+型ソース領域5およびp++型コンタクト領域6とのオーミックコンタクト部である。中間領域20の外周コンタクト部は、ソース電極15と後述するp++型外周コンタクト領域21(p++型外周コンタクト領域21を設けない場合はp型ベース領域4)とのオーミックコンタクト部である。
【0069】
中間領域20において半導体基板40のおもて面側には、活性領域10から、p型ベース領域4と、第1方向Xに最も外側のゲートトレンチ7の底面に対向するp+型領域11(以下、p+型外周領域13とする)と、が延在している。中間領域20のp型ベース領域4は、活性領域10の周囲を囲む。中間領域20において、半導体基板40のおもて面の第1面40aとp型ベース領域4との間に、p++型コンタクト領域(以下、p++型外周コンタクト領域)21が選択的に設けられている。
【0070】
++型外周コンタクト領域21は、MOSFETのスイッチング等によりエッジ終端領域30に蓄積された少数キャリア(正孔)を、MOSFETのオフ時にp+型外周領域13およびp型ベース領域4を介してソース電極15へ引き抜くためのソース電極15との外周コンタクト部である。p++型外周コンタクト領域21は、活性領域10の周囲を囲む。p++型外周コンタクト領域21は、ソース電極15の中間領域に延在する部分にオーミック接触している。
【0071】
+型外周領域13は、活性領域10と中間領域20との境界に沿って延在して、活性領域10の周囲を囲む。p+型外周領域13には、活性領域10のすべてのp+型領域11,12の端部が連結されている。また、p+型外周領域13は、半導体基板40のおもて面の段差31よりも外側へ延在して、半導体基板のおもて面の第2面40bに露出されている。半導体基板40のおもて面の第2面40bに露出とは、当該第2面40b上の後述するフィールド酸化膜35に接することである。
【0072】
中間領域20およびエッジ終端領域30において半導体基板40のおもて面の上には、p++型外周コンタクト領域21よりも外側の全面に、フィールド酸化膜35および層間絶縁膜14を順に積層した絶縁層が設けられている。中間領域20においてフィールド酸化膜35上には、p++型外周コンタクト領域21よりも外側に、ゲート電極9とゲートパッド(不図示)とを電気的に接続するゲートランナーとなるポリシリコン(poly-Si)層22および金属配線層23が順に積層されている。
【0073】
半導体基板40のおもて面の第2面40bの表面領域においてn-型エピタキシャル層42の内部に、JTE構造32を構成する複数のp型領域が選択的に設けられ、その外側にJTE構造32と離れてn+型チャネルストッパ領域34が選択的に設けられている。JTE構造32を構成する複数のp型領域のうちの最も内側のp型領域は、半導体基板40のおもて面に平行な方向にp+型外周領域13に接する。JTE構造32を構成する複数のp型領域は、p+型外周領域13を介してソース電極15の電位に固定されている。
【0074】
JTE構造32とn+型チャネルストッパ領域34との間はSJ構造でない通常のn-型ドリフト領域2bである。JTE構造32を構成する複数のp型領域(p-型領域32a、p--型領域32b)とn+型チャネルストッパ領域34とはn-型エピタキシャル層42へのイオン注入により形成された拡散領域であり、半導体基板40のおもて面の第2面40bに露出されている。通常のn-型ドリフト領域2bは、n-型エピタキシャル層42の表面領域にイオン注入されずに残る部分であり、半導体基板40のおもて面の第2面40bに露出されている。
【0075】
第1並列pn層51のn型領域52およびp型領域53は、中間領域20において深さ方向Zにp+型外周領域13に隣接する。第2並列pn層54のn型領域55およびp型領域56は、深さ方向ZにJTE構造32のp-型領域32a、p--型領域32bに対向する。第2並列pn層54のn型領域55およびp型領域56は、エッジ終端領域30において深さ方向Zにp+型外周領域13に隣接する。
【0076】
第2並列pn層54とJTE構造32のp-型領域32a、p--型領域32bとの間はSJ構造でない通常のn-型ドリフト領域2bである。第2並列pn層54と半導体基板40の端部との間にSJ構造でない通常のn-型ドリフト領域2cが配置されてもよい。通常のn-型ドリフト領域2cは、n-型エピタキシャル層42の、第2並列pn層54と半導体基板40の端部との間にイオン注入されずに残る部分である。
【0077】
半導体基板40のおもて面の第2,3面40b,40cは、上述したようにフィールド酸化膜35および層間絶縁膜14を順に積層した絶縁層で覆われている。パッシベーション膜36は、半導体基板40のおもて面の全面を覆って、半導体基板40のおもて面を保護する。ソース電極15の、パッシベーション膜36の開口部から露出する部分はソースパッドとして機能する。半導体基板40の裏面(n+型出発基板41の裏面)の全面に、ドレイン電極(第2電極)16が設けられている。
【0078】
次に、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置50の製造方法について説明する。まず、n+型ドレイン領域1となるn+型出発基板(半導体ウエハ)41のおもて面上に、第1,2並列pn層51,54を含むドリフト層2を形成する。例えば多段エピタキシャル方式を用いる場合、ドリフト層2となるn-型エピタキシャル層42を複数回に分けて多段(例えば9段)にエピタキシャル成長させるごとに当該n-型エピタキシャル層42に深さ方向Zに同導電型領域同士が隣接するようにイオン注入によりn型領域52、55およびp型領域53、56となる各領域をそれぞれ選択的に形成する。また、n型領域52、55およびp型領域53、56は、トレンチ埋め込みエピタキシャル方式で形成してもよい。
【0079】
ここで、図8図10は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置のJTE構造の製造途中の状態を示す断面図である。図8に示すように、多段エピタキシャル方式でも、トレンチ埋め込みエピタキシャル方式でも、最初は、n型領域52、55のキャリア濃度を最もキャリア濃度が低いn3で形成し、p型領域53、56のキャリア濃度をpで形成する。
【0080】
次に、図9に示すように、活性領域10と中間領域20のn型領域52、JTE構造32のp-型領域32aの下部のn型領域55にn型のイオンを注入して、キャリア濃度を高くしてn2とする。次に、図10に示すように、活性領域10と中間領域20のn型領域52にn型のイオンを注入して、キャリア濃度を高くしてn1とする。このようにして、活性領域10から外側に行くほどn型領域52、55のキャリア濃度を低く形成することができる。
【0081】
次に、イオン注入により、第1並列pn層51の表面領域に、n型電流拡散領域3、p+型領域11,12およびp+型外周領域13を形成する。活性領域10および中間領域においてn-型エピタキシャル層42の最上段に第1並列pn層51を形成せずに、n型電流拡散領域3、p+型領域11,12およびp+型外周領域13を形成してもよい。n型電流拡散領域3、p+型領域12およびp+型外周領域13は下部および上部の2段に分けてn-型エピタキシャル層42をエピタキシャル成長させるごとに形成し、p+型領域11はp+型領域12およびp+型外周領域13の下部と同時に形成してもよい。
【0082】
次に、n-型エピタキシャル層42の上に、p型ベース領域4となるp型エピタキシャル層43をエピタキシャル成長させる。これによって、n+型出発基板41上にエピタキシャル層42,43が順に積層され、かつn型エピタキシャル層42に第1,2並列pn層51,54を含む半導体基板(半導体ウエハ)40が作製される。次に、p型エピタキシャル層43の、エッジ終端領域30側の部分をエッチングにより除去して、半導体基板40のおもて面に、活性領域10側の部分(第1面40a)よりもエッジ終端領域30側の部分(第2面40b)で低くした段差31を形成する(図3,4参照)。
【0083】
エッジ終端領域30において新たに半導体基板40のおもて面となった第2面40bに、n型電流拡散領域(第1導電型の第3半導体領域)3が露出される。半導体基板40のおもて面の、第1面40aと第2面40bとの間の部分(第3面40c)は例えば第1,2面40a,40bに対して鈍角(傾斜面)をなしてもよいし、略直角(垂直面)をなしていてもよい。半導体基板40のおもて面の第2,3面40b,40cには、p型ベース領域4およびp+型外周領域13が露出される。この段差31を形成するエッチングにより、p型エピタキシャル層43とともにn-型エピタキシャル層42が若干除去されてもよい。
【0084】
次に、イオン注入により、n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6、p++型外周コンタクト領域21、JTE構造32の複数のp型領域(p-型領域32a、p--型領域32b)、およびn+型チャネルストッパ領域34をそれぞれ選択的に形成する。n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6およびp++型外周コンタクト領域21は、p型エピタキシャル層43の表面領域にそれぞれ形成する。p型エピタキシャル層43の、n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6およびp++型外周コンタクト領域21を除く部分がp型ベース領域4となる。
【0085】
JTE構造32のp-型領域32a、p--型領域32bおよびn+型チャネルストッパ領域34は、エッジ終端領域30における半導体基板40のおもて面の第2面40bに露出するn-型エピタキシャル層42の表面領域にそれぞれ選択的に形成する。n+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6、p++型外周コンタクト領域21、JTE構造32の複数のp型領域(p-型領域32a、p--型領域32b)、およびn+型チャネルストッパ領域34の形成順序は入れ替え可能である。段差31の形成前にn+型ソース領域5、p++型コンタクト領域6およびp++型外周コンタクト領域21を形成してもよい。
【0086】
次に、エピタキシャル層42,43にイオン注入した不純物を活性化させるための熱処理(以下、活性化アニールとする)を行う。次に、半導体基板40のおもて面からn+型ソース領域5およびp型ベース領域4を貫通して、n型電流拡散領域3の内部においてp+型領域11に対向するゲートトレンチ7を形成する。次に、半導体基板40のおもて面およびゲートトレンチ7の内壁に沿ってゲート絶縁膜8を形成する。次に、ゲートトレンチ7の内部に埋め込むように半導体基板40のおもて面上に堆積したポリシリコン層をエッチバックして、ゲート電極9となる部分をゲートトレンチ7の内部に残す。
【0087】
中間領域20およびエッジ終端領域30において半導体基板40のおもて面にフィールド酸化膜35を形成する。中間領域20においてフィールド酸化膜35上に、ゲートランナーとなるポリシリコン層22を形成する。このポリシリコン層22は、ゲート電極9の形成時に半導体基板40のおもて面上に堆積したポリシリコン層の一部で形成してもよい。次に、半導体基板40のおもて面の全面に層間絶縁膜14を形成する。次に、一般的な方法により半導体基板40の両面にそれぞれ表面電極(ソース電極15、ゲートパッド、金属配線層23およびドレイン電極16)を形成する。
【0088】
次に、半導体基板40のおもて面の、ソース電極15の一部(ソースパッドとなる部分)と、ゲートパッドと、金属配線層23と、を除く部分をパッシベーション膜36で覆って保護する。その後、半導体ウエハ(半導体基板40)をダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、図1~4に示す炭化珪素半導体装置50が完成する。
【0089】
以上、説明したように、実施の形態1によれば、活性領域から外側に行くほどn型領域のキャリア濃度を低くしているため、表面のp型領域の濃度が薄い領域ほどn型領域のキャリア濃度が薄くなっている。これにより、チャージバランスがnリッチになった際、表面のp型領域の濃度が低い領域ほどドリフト層内の残留電荷量が少なくなり、所望の耐圧が得られるようにJTE領域の空乏化が進む。このため、nリッチにチャージバランスがずれた際の耐圧低下を抑制することができる。
【0090】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の構造について説明する。図11は、実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置のJTE構造の詳細を示す断面図である。実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトおよび活性領域の断面構造は、実施の形態1と同じであるため、記載を省略する(図1図2参照)。図11は、図1の切断線A2-A3における断面構造を示す断面図である。
【0091】
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置は、JTE構造32が、空間変調JTE構造39となっている。空間変調JTE構造39は、JTE構造32を構成する互いに隣り合うp型領域(p-型領域32a、p--型領域32b)に、これら2つの領域の中間の不純物濃度と空間的に等価な不純物濃度分布を有する空間変調領域39aを配置して、JTE構造32全体の不純物濃度分布を外側(チップ端部側)へ向って緩やかに減少させた構造である。図11では、空間変調領域39aをp-型領域32aに配置した例を示す。空間変調領域39aは、p--型領域32bに配置されていてもよく、p-型領域32aとp--型領域32bとの両方に配置されていてもよく、p-型領域32aとp--型領域32bとの間に配置されていてもよい。
【0092】
空間変調JTE構造39を構成する空間変調領域39aは、自身の両側それぞれに隣接する領域と略同じ不純物濃度の2つの小領域を所定パターンで交互に繰り返し隣接して配置してなる。図11の例では、p-型領域32a内にp+型外周領域13と略同じ不純物濃度の領域を、外側に行くほど間を空けて複数配置している。空間変調領域39a全体の空間的な不純物濃度分布は2つの小領域の幅および不純物濃度比で決まる。空間変調JTE構造39は、空間変調領域39aを有していない一般的なJTE構造32と比べて、所定耐圧をより安定して確保可能である。
【0093】
実施の形態2にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法は、実施の形態1にかかる炭化珪素半導体装置の製造方法において、p-型領域32a、p--型領域32bから構成されるJTE構造32を形成後、イオン注入によりJTE構造32内に空間変調領域39aを形成することで、空間変調JTE構造39を形成すればよい。
【0094】
以上、説明したように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を奏する。また、実施の形態2によれば、JTE構造内に空間変調領域を有している。このため、空間変調領域を有していない一般的なJTE構造と比べて、所定耐圧をより安定して確保可能である。
【0095】
以上において本発明は、上述した各実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上述した各実施の形態において、並列pn層とn+型出発基板との間のSJ構造でない通常のn型ドリフト領域の不純物濃度が並列pn層のn型領域の不純物濃度よりも高くてもよい。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本発明にかかる炭化珪素半導体装置および炭化珪素半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるSJ構造のパワー半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 n+型ドレイン領域
2 ドリフト層
2a 第1,2並列pn層とn+型出発基板との間のSJ構造でない通常のn型ドリフト領域
3 n型電流拡散領域
4 p型ベース領域
5 n+型ソース領域
6 p++型コンタクト領域
7 ゲートトレンチ
8 ゲート絶縁膜
9 ゲート電極
10 活性領域
11,12 p+型領域
13 p+型外周領域
14 層間絶縁膜
15 ソース電極
16 ドレイン電極
20 中間領域
21 p++型外周コンタクト領域
22 ポリシリコン層(ゲートランナー)
23 金属配線層(ゲートランナー)
30 エッジ終端領域
31 半導体基板のおもて面の段差
32 JTE構造
32a JTE構造のp-型領域
32b JTE構造のp--型領域
34 n+型チャネルストッパ領域
35 フィールド酸化膜
36 パッシベーション膜
39 空間変調JTE構造
39a 空間変調領域
40 半導体基板
40a 半導体基板のおもて面の活性領域側の部分(第1面)
40b 半導体基板のおもて面のエッジ終端領域側の部分(第2面)
40c 半導体基板のおもて面の、第1面と第2面とをつなぐ部分(第3面)
41 n+型出発基板
42 n-型エピタキシャル層
43 p型エピタキシャル層
50 炭化珪素半導体装置
51 第1並列pn層
52 第1並列pn層のn型領域
53 第1並列pn層のp型領域
54 第2並列pn層
55 第2並列pn層のn型領域
56 第2並列pn層のp型領域
n1 第1並列pn層のn型領域の幅
p1 第1並列pn層のp型領域の幅
n2、Wn3 第2並列pn層のn型領域の幅
p2、Wp3 第2並列pn層のp型領域の幅
c セルピッチ
X 半導体基板のおもて面に平行な方向(第1方向)
Y 半導体基板のおもて面に平行で第1方向と直交する方向(第2方向)
Z 深さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14