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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139505
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】容器回転式混合機及び混合方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 29/64 20220101AFI20230927BHJP
   B01F 35/45 20220101ALI20230927BHJP
   B01F 29/30 20220101ALI20230927BHJP
   B01F 27/09 20220101ALI20230927BHJP
   B01F 27/171 20220101ALI20230927BHJP
   B01F 27/80 20220101ALI20230927BHJP
   B01F 27/051 20220101ALI20230927BHJP
   B01F 23/60 20220101ALI20230927BHJP
   B02C 18/10 20060101ALI20230927BHJP
   B01F 27/90 20220101ALI20230927BHJP
【FI】
B01F29/64
B01F35/45
B01F29/30
B01F27/09
B01F27/171
B01F27/80
B01F27/051
B01F23/60
B02C18/10
B01F27/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045068
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】岡部 岳
【テーマコード(参考)】
4D065
4G035
4G036
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4D065CB03
4D065CC03
4D065DD12
4D065ED06
4D065ED16
4D065ED27
4D065EE08
4D065EE15
4G035AB48
4G036AA05
4G036AA06
4G036AA07
4G037DA21
4G037DA30
4G078AA03
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA01
4G078CA17
4G078DA26
4G078DA30
4G078EA08
(57)【要約】
【課題】 容器内に投入される材料を精度よく混合することができる容器回転式混合機を提供する。
【解決手段】 容器回転式混合機の容器に取り付けられるチョッパーは、容器内に配置され容器に取り付けられる回転軸と、容器の外部に配置され回転軸を回転駆動するモーターと、回転軸に固定され回転軸を中心とする点対称形状であって回転軸の半径方向に延びる線分に対して回転軸の回転方向側と異なる反対方向側に位置する第1回転羽根と、回転軸に固定され回転軸に対して点対称形状であって容器及び第1回転羽根の間に配置される第2回転羽根とを備え、第1回転羽根は、回転軸の回転方向前方側より回転方向後方側が前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に近づくように傾斜する内壁面側の面であって回転軸を回転させたとき材料を内壁面に向けて押し出す押出面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を回転させることにより前記容器内に投入される材料を混合する容器回転式混合機であって、
前記容器に取り付けられるチョッパーを備え、
前記チョッパーは、
前記容器内に配置され、前記容器に取り付けられる回転軸と、
前記容器の外部に配置され、前記回転軸を回転駆動するモーターと、
前記回転軸に固定され、前記回転軸を中心とする点対称形状であって、前記回転軸の半径方向に延びる線分に対して前記回転軸の回転方向側と異なる反対方向側に位置する第1回転羽根と、
前記回転軸に固定され、前記回転軸に対して点対称形状であって、前記容器及び前記第1回転羽根の間に配置される第2回転羽根と、を備え、
前記第1回転羽根は、前記回転軸の回転方向前方側より回転方向後方側が前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に近づくように傾斜する前記内壁面側の面であって前記回転軸を回転させたとき前記材料を前記内壁面に向けて押し出す押出面を有する、ことを特徴とした容器回転式混合機。
【請求項2】
前記第1回転羽根は、前記回転軸の半径方向に延びる線分に対して前記第1回転羽根の先端部から前記回転軸の回転方向側と異なる反対方向側に向けて角度を有する前記回転軸の回転方向前方側の縁部であって、前記回転軸を回転させたとき前記材料を前記回転軸に向かう方向に巻き込む巻込部を有する請求項1記載の容器回転式混合機。
【請求項3】
前記第1回転羽根は、前記第1回転羽根の先端部に、前記回転軸の回転方向に向けて露出する面であって前記回転軸を回転させたとき前記材料を打撃する打撃面を有する請求項1または請求項2記載の容器回転式混合機。
【請求項4】
前記第1回転羽根は、前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に向けて凹む湾曲形状を有する請求項1~請求項3の何れか一項に記載の容器回転式混合機。
【請求項5】
前記第2回転羽根は、前記回転軸を回転させたとき前記材料を前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に向けて押し出す面を有さない請求項1~請求項4の何れか一項に記載の容器回転式混合機。
【請求項6】
前記回転軸は、前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に対して直交する方向に沿う方向に伸びる請求項1~請求項5の何れか一項に記載の容器回転式混合機。
【請求項7】
前記容器は、独立して運搬可能である請求項1~請求項6の何れか一項に記載の容器回転式混合機。
【請求項8】
前記容器は、前記材料を投入する投入口及び前記投入口を閉じる蓋を有し、
前記チョッパーは、前記蓋に取り付けられる請求項1~請求項7の何れか一項に記載の容器回転式混合機。
【請求項9】
容器を回転させることにより前記容器に投入される材料を混合する請求項1~請求項8の何れか一項に記載の容器回転式混合機を用いた混合方法であって、
前記材料を前記容器に投入する投入工程と、
前記容器を回転することにより前記材料を混合する第1混合工程と、
前記回転軸を回転させることにより前記第1回転羽根の前記押出面に当たる前記材料を前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に向けて押し出し、且つ前記第1回転羽根及び前記第2回転羽根に当たる前記材料を粉砕及び混合する第2混合工程と、
を含む混合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を回転させることにより容器内に投入される材料を混合する容器回転式混合機及び該容器回転式混合機を用いた混合方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器に取り付けられ容器内に挿入される撹拌羽根を回転させることにより、容器内に投入した複数種類の粉粒体等を撹拌混合する混合機について特許文献1等に記載されている。
【0003】
近年、複数種類の粉粒体等を混合した混合物を製造する製造ラインの各工程間において、配管を用いる代わりに、独立して運搬可能な容器を用いることにより、粉粒体等の材料を容器に収容した状態で移送可能なシステムが存在する。このシステムにおける混合方法の一つとして、コンテナブレンダーを用いて容器自体を回転させることにより、容器に投入される複数種類の材料を混合する方法が知られている。この混合方法では、混合効率を向上させるために、コンテナブレンダーで容器自体を回転させることにより材料をマクロに混合し、且つ容器の投入口を閉じる蓋等に取り付けられたチョッパーで材料のダマ等を粉砕することにより材料をミクロに混合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-199108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のチョッパーは、容器外部に取り付けられるモーター、容器内に挿入される回転軸及び回転軸に固定される複数の回転羽根により構成されており、回転軸及び回転羽根を1000~2000rpmの高速で回転させることにより回転羽根に当たる材料を粉砕し、混合する。しかしながら、回転軸及び回転羽根が高速回転する間、回転羽根周辺が材料で埋もれている場合であっても、回転中の回転羽根と回転羽根との間に形成される空間は空洞となり、材料は回転羽根の先端部に接触するに留まり、効率良く材料を解砕及び混合できていないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、容器内に投入される材料を精度よく混合することができる容器回転式混合機及び該容器回転式混合機を用いた混合方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の容器回転式混合機は、容器を回転させることにより前記容器内に投入される材料を混合する容器回転式混合機であって、前記容器に取り付けられるチョッパーを備え、前記チョッパーは、前記容器内に配置され、前記容器に取り付けられる回転軸と、前記容器の外部に配置され、前記回転軸を回転駆動するモーターと、前記回転軸に固定され、前記回転軸を中心とする点対称形状であって、前記回転軸の半径方向に延びる線分に対して前記回転軸の回転方向側と異なる反対方向側に位置する第1回転羽根と、前記回転軸に固定され、前記回転軸に対して点対称形状であって、前記容器及び前記第1回転羽根の間に配置される第2回転羽根と、を備え、前記第1回転羽根は、前記回転軸の回転方向前方側より回転方向後方側が前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に近づくように傾斜する前記内壁面側の面であって前記回転軸を回転させたとき前記材料を前記内壁面に向けて押し出す押出面を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の容器回転式混合機の前記第1回転羽根は、前記回転軸の半径方向に延びる線分に対して前記第1回転羽根の先端部から前記回転軸の回転方向側と異なる反対方向側に向けて角度を有する前記回転軸の回転方向前方側の縁部であって、前記回転軸を回転させたとき前記材料を前記回転軸に向かう方向に巻き込む巻込部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の容器回転式混合機の前記第1回転羽根は、前記第1回転羽根の先端部に、前記回転軸の回転方向に向けて露出する面であって前記回転軸を回転させたとき前記材料を打撃する打撃面を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の容器回転式混合機の前記第1回転羽根は、前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に向けて凹む湾曲形状を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の容器回転式混合機の前記第2回転羽根は、前記回転軸を回転させたとき前記材料を前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に向けて押し出す面を有さないことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の容器回転式混合機の前記回転軸は、前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に対して直交する方向に沿う方向に伸びることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の容器回転式混合機の前記容器は、独立して運搬可能であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の容器回転式混合機の前記容器は、前記材料を投入する投入口及び前記投入口を閉じる蓋を有し、前記チョッパーは、前記蓋に取り付けられることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の混合方法は、容器を回転させることにより前記容器に投入される材料を混合する本発明の容器回転式混合機を用いた混合方法であって、前記材料を前記容器に投入する投入工程と、前記容器を回転することにより材料を混合する第1混合工程と、前記回転軸を回転させることにより前記第1回転羽根の前記押出面に当たる前記材料を前記容器の回転軸取り付け位置周りの内壁面に向けて押し出し、且つ前記第1回転羽根及び前記第2回転羽根に当たる前記材料を粉砕及び混合する第2混合工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容器内に投入される材料を精度よく混合することができる容器回転式混合機及び該容器回転式混合機を用いた混合方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態に係る容器回転式混合機の構成を示す図である。
図2】実施の形態に係る中間バルク容器の構成を示す断面図である。
図3】実施の形態に係るチョッパーの構成を示す斜視図である。
図4】実施の形態に係るチョッパーの構成を示す斜視図である。
図5】実施の形態に係るチョッパーの構成を示す正面図である。
図6】実施の形態に係るチョッパーの構成を示す平面図である。
図7】実施の形態に係る中間バルク容器の構成を示す断面図である。
図8】中間バルク容器内の材料の流動方向を説明するための図である。
図9】実施例に係るモーターの電流値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して実施の形態に係る容器回転式混合機について説明する。図1は、この実施の形態に係る容器回転式混合機の構成を示す図である。この実施の形態に係る容器回転式混合機2は、図1に示すように、容器を回転させるためのコンテナブレンダー4、及び貯蔵用容器及び/または移送用容器として機能する中間バルク容器(IBC、以下単に容器という。)6を備えている。容器回転式混合機2は、複数種類の粉粒体等を混合した混合物を製造する製造ラインにおいて、前工程である投入工程において容器6に投入された粉粒体等の材料を混合する混合工程において使用される装置である。容器回転式混合機2は、独立して運搬可能な容器6に投入される材料14(図2参照)を、コンテナブレンダー4で容器6自体を回転させることにより混合する。なお、以下の説明においては、図1に示すXYZ直交座標系を設定し、この直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係等について説明する。X軸は水平方向であって図1の紙面左右方向に、Y軸は水平方向であって図1の紙面に直交する方向に、Z軸は鉛直方向に設定されている。
【0019】
コンテナブレンダー4は、図示しない昇降モーター、図示しない回転モーター及び図示しない制御盤等を収容するボックス8、容器6を固定するためのアセンブリ10、並びにアセンブリ10を回転させるための回転軸12を備えている。コンテナブレンダー4は、前工程である材料投入工程において材料14が投入され収容された容器6が搬送されてくると、容器6をアセンブリ10に固定し、回転軸12を軸としてアセンブリ10を図2に示す矢印R1の向きに回転させることにより容器6自体を回転させ、容器6内に収容されている材料14をマクロに混合する。なお、図1は、アセンブリ10が容器6を固定している状態を示す図である。
【0020】
図2は、容器6の構成を示す断面図である。容器6は、コンテナブレンダー4に取り付け及び取り外し可能な容器である。容器6は、図2に示すように、材料14を収容する容器本体16、材料14を投入するための投入口18、投入口18を閉じるための蓋20、混合された材料14を容器本体16から排出するための排出口22、排出口22に取り付けられるコーンバルブ23、及び蓋20に取り付けられるチョッパー24を備えている。
【0021】
容器本体16は、上部(図2の+Z方向側)が角筒形状、下部(図2の-Z方向側)が中空逆角錐台形状であって、粉粒体等である材料14を収容する。なお、容器本体16の形状は他の形状であってもよい。投入口18は、容器本体16の上部(図2の+Z方向側)に形成される開口部であって、容器6がコンテナブレンダー4に取り付けられる前の材料投入工程において、粒粉体等である材料14を容器本体16内に投入するための開口部である。排出口22は、容器本体16の下部(図2の-Z方向側)に形成される開口部であって、容器6内の材料14が混合された後の材料排出工程において、材料14を容器本体16から排出するための開口部である。コーンバルブ23は、コーン形状のバルブであって、材料14を容器本体16から排出する際、-Z方向から+Z方向に向けて押し上げられる。コーンバルブ23が押し上げられると、コーンバルブ23により閉塞されていた排出口22が開き、容器本体16内の材料14が排出される。
【0022】
図3及び図4は蓋20に取り付けられるチョッパー24の構成を示す斜視図、図5はチョッパー24の構成を示す正面図、並びに図6はチョッパー24の構成を示す平面図である。チョッパー24は、容器6(容器本体16)内に収容された材料14のダマ等を粉砕することにより材料14をミクロに混合するための装置である。チョッパー24は、モーター26(図2及び図7参照、図3図6では図示省略)、回転軸28及び3つの第1回転羽根30a,30b,30c、及び第2回転羽根32を備えている。モーター26は、図2に示すように、容器6外に配置され、回転軸28を図2及び図6に示す矢印R2の向きに回転駆動する。回転軸28は、図2に示すように、容器6内に配置され、容器6(蓋20)に取り付けられる。回転軸28は、容器6の回転軸取り付け位置周りの内壁面33(蓋20の裏面でXY平面に平行な面)に対して直交する方向(Z方向)に沿う方向に伸びている。回転軸28は、モーター26が駆動することにより周速度6.5~32.7m/s(500~2500rpmの回転数)で高速回転する。
【0023】
第1回転羽根30a~30cは、回転軸28に固定されている。第1回転羽根30aは、図6に示すように、回転軸28を中心とする点対称形状であって、回転軸28の半径方向に延びる線分L、即ち第1回転羽根30aの先端部Tと回転軸28の中心Cとを結ぶ線分Lに対して回転軸28の回転方向R2側と異なる反対方向側に位置する。第1回転羽根30aは、回転軸28(Z軸)に直交する面(XY平面)に対して回転軸28の回転方向R2前方側より回転方向R2後方側が容器6の回転軸取り付け位置周りの内壁面33(この実施の形態では蓋20の裏面、以下、単に内壁面33という。)に近づくように傾斜する内壁面33側の面であって、回転軸28を回転させたとき材料14を内壁面33に向けて押し出す2つの押出面34a及び35aを有している。押出面34a及び35aは第1回転羽根30aの内壁面33側全面であり、押出面34a及び35aの傾斜は第1回転羽根30aの回転軸28側から先端部Tに向けて小さくなる。また、第1回転羽根30aは、図5に示すように、内壁面33に向けて凹み、ねじれている湾曲形状を有している。即ち、押出面34a及び35aのそれぞれは、内壁面33に向けて凹の曲面である。したがって、押出面34a及び35a、特に押出面34a及び35aの回転軸28側から中央部までの面に接触する材料14は、チョッパー24の外側にはじき出されず、内壁面33に向かう。
【0024】
また、第1回転羽根30aは、線分Lに対して第1回転羽根30aの先端部Tから回転軸28の回転方向側と異なる反対方向側に向けて角度θを有する回転軸28の回転方向R2前方側の縁部であって、回転軸28を回転させたとき材料14を回転軸28に向かう方向に巻き込む2つの巻込部36a及び37aを有している。巻込部36a及び37aは、回転軸28の回転方向側と異なる反対方向側に湾曲しており、第1回転羽根30aの回転方向R2前方側全縁部である。したがって、巻込部36a及び37a、特に巻込部36a及び37aの先端部Tから中央部までの回転方向R2前方側縁部に接触する材料14は、チョッパー24の外側にはじき出されず、内壁面33に向かい、且つチョッパー24の内側、即ち回転軸28に向かう。
【0025】
即ち、第1回転羽根30aに接触する材料14は、その重力等の作用に加え、押出面34a及び35a並びに巻込部36a及び37aの作用により、内壁面33に向かい、且つチョッパー24の内側、即ち回転軸28に向かう。
【0026】
また、第1回転羽根30aは、両方の先端部Tに、回転軸28を回転させたとき材料14を打撃する打撃面38a及び39aを有している。打撃面38a及び39aは、回転軸28の回転方向R2に交差する面であって、回転軸28の回転方向R2に向けて露出する面である。打撃面38a及び39aは、材料14に対して垂直により近い面角度で打撃し、打撃面38a及び39aに当たった材料14のダマを効果的に解砕する。
【0027】
なお、第1回転羽根30b及び30cの構成は、第1回転羽根30aの構成と同一である。即ち、第1回転羽根30bは、第1回転羽根30aの押出面34a及び35aと同一の構成である2つの押出面34b及び35b、第1回転羽根30aの巻込部36a及び37aと同一の構成である2つの巻込部36b及び37b、及び第1回転羽根30aの打撃面38a及び39aと同一の構成である2つの打撃面38b及び39bを有している。同様に、第1回転羽根30cは、第1回転羽根30aの押出面34a及び35aと同一の構成である2つの押出面34c及び35c、第1回転羽根30aの巻込部36a及び37aと同一の構成である2つの巻込部36c及び37c、及び第1回転羽根30aの打撃面38a及び39aと同一の構成である2つの打撃面38c及び39cを有している。
【0028】
第2回転羽根32は、回転軸28に固定されている。第2回転羽根32は、回転軸28に対して点対称形状であって、容器6(容器本体16)の回転軸取り付け位置及び第1回転羽根30cの間に配置されている。また、第2回転羽根32は、第1回転羽根30a~30cの押出面34a~34c及び35a~35cに相当する面、即ち回転軸28を回転させたとき材料14を内壁面33に向けて押し出す面を有していない。
【0029】
容器6が図2に示す位置、即ち投入口18が鉛直上方(+Z方向側)及び排出口22が鉛直下方(-Z方向側)に位置しているとき(以下、この位置を正位置という。)、回転軸28と共に回転する第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32が材料14と接触することがなく、材料14は混合されない。しかしながら、容器6がコンテナブレンダー4の回転軸12を軸として回転することにより例えば図7に示す位置、即ち投入口18が鉛直下方(-Z方向側)及び排出口22が鉛直上方(+Z方向側)などに位置し(以下、この位置を反転位置という。)、回転軸28と共に回転する第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32が材料14と接触するとき、材料14は回転する第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32により解砕され、混合される。
【0030】
図8(A)に示すように、押出面、巻込部及び打撃面を有さない従来のチョッパー124の回転羽根により混合される材料はチョッパー124の回転軸を軸として放射状に広がる方向(図8(A)の矢印A1)に流動するのみで、回転羽根間は空洞となり、且つ回転羽根から離れた材料は動きがなく静止する。よって、回転羽根と接触する材料は、回転羽根直近の材料に限定され、精度良く解砕及び混合することが困難であった。これに対し、この実施の形態に係るチョッパー24は、図8(B)に示すように、第1回転羽根30a~30cにより混合される材料14は、チョッパー24の回転軸28を軸として放射状に広がる方向(図8(B)の矢印A2)に加え、押出面34a~34c及び35a~35c並びに巻込部36a~36c及び37a~37cによる作用で回転軸28に向けて流動し、且つ容器6の回転軸取り付け位置周りの内壁面33に向けて流動する。その結果、材料14は、内壁面33方向(+Z方向、図8(B)の矢印A3)へ流動するため、第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32と接触する頻度が従来の回転羽根と比較して増加する。更に、第1回転羽根30a~30cは、打撃面38a~38c及び39a~39cも有しているため、材料14を効果的に打撃し、材料14のダマ等を効果的に粉砕する。
【0031】
なお、矢印A3の方向に流動し第2回転羽根32に到達する材料14は、第2回転羽根32が押出面及び巻込部に相当する面を有さないため、矢印A3の方向に流動することなく、矢印A2の方向に流動する。これにより、材料14は、第2回転羽根32により効率よく粉砕される。また、第2回転羽根32と容器6の回転軸取付位置周りの内壁面33との間に材料14が入り込み、詰まることを防止する。
【0032】
次に、この実施の形態に係る容器回転式混合機2を用いて、容器6を回転させることにより容器6に投入される材料14を混合する混合方法について説明する。
【0033】
まず、混合させたい複数種類の粉粒体である材料14が容器6に投入される。材料14を収容する容器6がコンテナブレンダー4まで搬送され、コンテナブレンダー4のアセンブリ10に固定される。そして、容器回転式混合機2の各部を統括的に制御する図示しない制御部は、コンテナブレンダー4の図示しない回転モーターを駆動させることにより回転軸12を回転させ、回転軸12に取り付けられているアセンブリ10及びアセンブリ10に固定されている容器6を回転させることにより、材料14をマクロに混合する。制御部は、回転軸12を回転させるとともに、モーター26を駆動させることにより回転軸28を回転させ、回転軸28に取り付けられている第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32を回転させる。
【0034】
コンテナブレンダー4の回転軸12が正位置から反転位置まで回転する間、材料14が第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32に接触する量が少しずつ増量する。そして、第1回転羽根30a~30cの押出面34a~34c及び35a~35c並びに巻込部36a~36c及び37a~37cに当たる材料14は、内壁面33に向けて押し出され、且つ回転軸28に向けて巻き込まれる。また、材料14は、第1回転羽根30a~30cの打撃面38a~38c及び39a~39cに当たり打撃される。そして、第1回転羽根30aと30bとの間、第1回転羽根30bと30cとの間にも材料14が押し込まれ且つ巻き込まれ、第2回転羽根32に到達した材料14は、回転する第2回転羽根32のせん断力によりチョッパー24の外側にはじかれる。即ち、第1回転羽根30a~30cの押出面34a~34c及び35a~35c、巻込部36a~36c及び37a~37c、並びに打撃面38a~38c及び39a~39cの作用により材料14が第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32に接触する回数及び量が増大し、材料14は高効率且つ高精度に粉砕されミクロに混合される。
【0035】
粉砕された材料14を収容する容器6は、混合物製造ラインの次工程である材料排出工程を行う排出ステーションに搬送される。
【0036】
この実施の形態に係る容器回転式混合機2及びこれを用いた材料14の混合方法によれば、チョッパー24を備えているため、容器6内に投入される材料14を精度よく且つ効率よく解砕及び混合することができる。
【0037】
なお、上述の実施の形態においては、容器6が材料14を投入する投入口18及び投入口18を閉じる蓋20を有し、チョッパー24が蓋20に取り付けられる場合を例に挙げて説明したが、チョッパー24は蓋20以外の容器6(容器本体16)の何れかに取り付けられてもよい。
【0038】
また、上述の実施の形態においては、3つの第1回転羽根30a~30cを備えているが、1,2または4つ以上の第1回転羽根を備えてもよい。また、上述の実施の形態においては、1つの第2回転羽根32を備えているが、2つ以上の第2回転羽根を備えてもよい。第1回転羽根の数は、モーターの負荷や回転軸の長さ等で決定される。また、上述の実施の形態においては、第1回転羽根30a~30cの形状と異なる形状を有する第2回転羽根32を備えているが、第1回転羽根の形状と同一の形状を有する第2回転羽根を備えてもよい。
【0039】
また、上述の実施の形態においては、容器6を回転させる前に複数種類の粉粒体である材料14を容器6に投入し混合しているが、容器6を回転中に混合させたい粉粒体を投入してもよい。また、上述の実施の形態においては、複数種類の粉粒体を混合しているが、粉粒体及び液体を混合してもよい。この場合においても、容器6を回転前または回転中に混合させたい液体を投入してよい。
【実施例0040】
上述の実施の形態に係る容器回転式混合機2を用いて材料14を混合した。(1)上述の実施の形態に係るチョッパー24に代えて従来のチョッパー124を蓋20に取り付けて材料14を混合した場合(比較例)、(2)上述の実施の形態に係るチョッパー24を蓋20に取り付けて材料14を混合した場合(実施例)において、コンテナブレンダー4の回転軸12を回転することにより容器6を回転しつつ、チョッパーの回転軸を回転することにより回転羽根を周速度26.1m/s(回転数2000rpm)で回転させた。
【0041】
なお、従来のチョッパー124の回転軸には、第1回転羽根30a~30cに代えて、第2回転羽根32と同様の構成である回転羽根が取り付けられている。即ち、4つの第2回転羽根32がチョッパー124の回転軸に取り付けられている。また、容器6の位置が正位置であるとき回転軸12の回転角度を0度(360度)、容器6の位置が反転位置であるとき回転軸12の回転角度を180度と定義する。
【0042】
図9は、容器6の回転開始から41.2秒後から56.4秒後までの間(容器6が4回転する間)におけるモーター26の電流値を示すグラフである。図9の破線グラフは比較例に係るモーター26の電流値、図9の実線グラフは実施例に係るモーター26の電流値、及び一点鎖線グラフは容器6の回転角度を示している。なお、横軸は時間、縦軸は電流値または回転角度とする。図9の破線グラフ(比較例)によると、容器6の回転角度が約180度~240度において、モーター26の電流値がピークとなり、従来のチョッパー124が多くの負荷を受けていることがわかる。即ち、容器6の回転角度が約180度~240度において、チョッパー124は多くの仕事をしており、ひいては最も多くの材料14と接触していることがわかる。同様に、図9の実線グラフ(実施例)によると、容器6の回転角度が約180度~240度において、モーター26の電流値がピークとなり、実施例の電流値のピークは比較例の電流値のピークより大きく、第1回転羽根30a~30c及び第2回転羽根32がより多くの負荷を受けていることがわかる。即ち、容器6の回転角度が約180度~240度において、チョッパー24がより多くの仕事をしており、ひいては最も多くの材料14と接触していることがわかる。
【0043】
41.2秒後から56.4秒後までの間(容器6が4回転する間)におけるモーター26の積算電流を求めた。なお、積算電流は、無負荷電流値を差し引いた値から求めた。無負荷電流値はグラフより最小値の6.3Aとした。比較例における積算電流は75.3As、1回転平均の積算電流は18.8As/rであるのに対し、実施例における積算電流は85.5As、1回転平均の積算電流は21.4As/rであった。即ち、実施例に係る積算電流値は、比較例に係る積算電流値の1.14倍であり、実施例に係るチョッパー24は比較例に係るチョッパー124より多くの仕事をしていることが確認できた。即ち、実施例に係るチョッパー24は、比較例に係るチョッパー124より多くの材料14と接触し、より多くの材料14を粉砕し混合できることが確認できた。
【符号の説明】
【0044】
2…容器回転式混合機、4…コンテナブレンダー、6…中間バルク容器、8…ボックス、10…アセンブリ、12…回転軸、14…材料、16…容器本体、18…投入口、20…蓋、22…排出口、23…コーンバルブ、24…チョッパー、26…モーター、28…回転軸、30a~30c…第1回転羽根、32…第2回転羽根、33…内壁面、34a~34c,35a~35c…押付面、36a~36c,37a~37c…巻込部、38a~38c,39a~39c…打撃面。
図1
図2
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図5
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図7
図8
図9