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  • 特開-ワイヤハーネス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139571
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20230927BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20230927BHJP
   H02G 15/04 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H01B7/00 301
H02G15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045155
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】畑山 真吾
【テーマコード(参考)】
5G309
5G357
5G375
【Fターム(参考)】
5G309AA09
5G357DB03
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD10
5G357DG05
5G375BA08
5G375BB44
(57)【要約】
【課題】ケーブルを被覆するチューブの位置がずれることを抑制できるワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネスは、複数のケーブルと、前記複数のケーブルを一括して被覆する外部シースと、を備える。ワイヤハーネスは、前記複数のケーブルが前記外部シースにより被覆されていない非被覆部を備える。前記複数のケーブルは、前記非被覆部においてチューブで被覆された第1ケーブルと、外周側に内部シースを備え、前記非被覆部において前記チューブで被覆されない第2ケーブルとにより構成される。ワイヤハーネスは、前記外部シースの外周面、前記チューブの外周面、及び前記第2ケーブルの外周面にわたって貼り付けられた粘着テープを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルと、
前記複数のケーブルを一括して被覆する外部シースと、
を備えるワイヤハーネスであって、
前記複数のケーブルが前記外部シースにより被覆されていない非被覆部を備え、
前記複数のケーブルは、前記非被覆部においてチューブで被覆された第1ケーブルと、外周側に内部シースを備え、前記非被覆部において前記チューブで被覆されない第2ケーブルとにより構成され、
前記外部シースの外周面、前記チューブの外周面、及び前記第2ケーブルの外周面にわたって貼り付けられた粘着テープを備える、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤハーネスであって、
2本以上の前記チューブを備え、
前記粘着テープは、2本以上の前記チューブの外周面にわたって貼り付けられた、
ワイヤハーネス。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のワイヤハーネスであって、
前記粘着テープは、前記チューブ又は前記第2ケーブルである構成単位を3本束ねており、
3本の前記構成単位は、前記チューブ及び前記第2ケーブルを含み、
前記ワイヤハーネスの軸方向から見たとき、3本の前記構成単位は、3角形の頂点に配置されている、
ワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にワイヤハーネスが開示されている。ワイヤハーネスは、複数のケーブルと、外部シースとを備える。外部シースは、複数のケーブルを一括して被覆している。ただし、ワイヤハーネスの端部では、複数のケーブルは外部シースにより被覆されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-181391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤハーネスの端部において、ケーブルを保護するために、ケーブルをチューブで被覆することが考えられる。ケーブルをチューブで被覆した後、チューブの位置がずれるおそれがある。チューブの位置がずれると、ケーブルが露出してしまう。本開示の1つの局面では、ケーブルを被覆するチューブの位置がずれることを抑制できるワイヤハーネスを提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面は、複数のケーブルと、前記複数のケーブルを一括して被覆する外部シースと、を備えるワイヤハーネスである。ワイヤハーネスは、前記複数のケーブルが前記外部シースにより被覆されていない非被覆部を備える。前記複数のケーブルは、前記非被覆部においてチューブで被覆された第1ケーブルと、外周側に内部シースを備え、前記非被覆部において前記チューブで被覆されない第2ケーブルとにより構成される。ワイヤハーネスは、前記外部シースの外周面、前記チューブの外周面、及び前記第2ケーブルの外周面にわたって貼り付けられた粘着テープを備える。
【0006】
本開示の1つの局面であるワイヤハーネスは、粘着テープを備えることにより、チューブの位置がずれることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ワイヤハーネスの構成を表す平面図である。
図2図1におけるII-II断面を表す断面図である。
図3図1に示すIII方向から見た態様を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
1.ワイヤハーネス1の構成
ワイヤハーネス1の構成を、図1図3に基づき説明する。図2に示すように、ワイヤハーネス1は、1本のABS(Antilock brake system)ケーブル3と、2本のEPB(Electric parking brake)ケーブル5と、2本のADS(Active damper suspension)ケーブル7とを備える。
【0009】
ABSケーブル3、EPBケーブル5、及びADSケーブル7は複数のケーブルに対応する。以下では、1本のABSケーブル3と、2本のEPBケーブル5と、2本のADSケーブル7とをまとめて、複数のケーブルと呼ぶことがある。
【0010】
図2に示すように、ABSケーブル3は、対撚りされた2本の導体11を備える。それぞれの導体11は、絶縁体13により被覆されている。導体11は、例えば、スズ銅合金線である。絶縁体13は、例えば、架橋ポリエチレンから成る。導体11及び絶縁体13は、内部シース15により被覆されている。内部シース15は、例えば、ウレタンから成る。すなわち、ABSケーブル3は、その外周側に内部シース15を備える。
【0011】
2本のEPBケーブル5は、それぞれ、導体21と、絶縁体23とを備える。導体21は、絶縁体23により被覆されている。導体21は、例えば、軟銅線である。絶縁体23は、例えば、架橋ポリエチレンから成る。
【0012】
2本のADSケーブル7は対撚りされている。2本のADSケーブル7は、それぞれ、導体31と、絶縁体33とを備える。導体31は、絶縁体33により被覆されている。導体31は、例えば、スズ銅合金線である。絶縁体33は、例えば、架橋ポリエチレンから成る。
【0013】
複数のケーブルは、撚り合わせられ、図2に示す配置となっている。ワイヤハーネス1は不織布テープ40を備える。不織布テープ40は、複数のケーブルの外周に巻かれている。不織布テープ40は、ワイヤハーネス1の軸方向から見たときの複数のケーブルの形状を円形に保つ機能を有する。
【0014】
ワイヤハーネス1は、外部シース41を備える。外部シース41は、不織布テープ40及び複数のケーブルを一括して被覆する。ただし、不織布テープ40及び外部シース41は、図1に示す非被覆部51では、複数のケーブルを被覆しない。非被覆部51は、ワイヤハーネス1における一方の端末である。
【0015】
外部シース41は、例えば、熱可塑性ポリウレタンから成る。外部シース41の外周面には、1本の白線43が形成されている。白線43は、ワイヤハーネス1の軸方向に沿って延びている。白線43は、ワイヤハーネス1がねじれているか否かを判断するために用いられる。
【0016】
図1図3に示すように、非被覆部51において、EPBケーブル5は、チューブ61と、蛇腹プロテクタ63とにより被覆されている。チューブ61と、蛇腹プロテクタ63とは、EPBケーブル5の軸方向に沿って並んでいる。チューブ61は、蛇腹プロテクタ63よりも、外部シース41の側にある。
【0017】
1本のチューブ61は、2本のEPBケーブル5を一括して被覆している。チューブ61の形状は円筒形状である。EPBケーブル5は、チューブ61に対し、チューブ61の軸方向に沿って相対的に移動することができる。チューブ61の端末と、外部シース41の端末とは密着していることが好ましい。チューブ61の端末と、外部シース41の端末との間に、チューブ61の作用効果を妨げない範囲で、隙間が存在してもよい。
【0018】
また、1本の蛇腹プロテクタ63は、2本のEPBケーブル5を一括して被覆している。チューブ61及び蛇腹プロテクタ63は、EPBケーブル5が露出することを抑制する。
【0019】
チューブ61は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエン)ゴムから成る。蛇腹プロテクタ63は、可撓性において優れる。
チューブ61と蛇腹プロテクタ63との接触部には、粘着テープ64が巻かれている。粘着テープ64は、例えば、ビニールテープである。粘着テープ64は、チューブ61と蛇腹プロテクタ63との両方に跨って貼られている。粘着テープ64は、例えば、3~5周巻かれている。粘着テープ64は、チューブ61と蛇腹プロテクタ63とを固定する。
【0020】
EPBケーブル5の端末にはコネクタ65が接続されている。コネクタ65は、相手部品と接続する部品である。相手部品は、例えば、電線に圧着された端子と、その端子を覆うハウジングとから構成される。蛇腹プロテクタ63は、例えば、コネクタ65との密着性が良い形状を有する。蛇腹プロテクタ63は、例えば、コネクタ65と嵌合できる形状を有する。
【0021】
図1図3に示すように、非被覆部51において、ADSケーブル7は、チューブ71と、カプラー用プロテクタ73とにより被覆されている。チューブ71と、カプラー用プロテクタ73とは、ADSケーブル7の軸方向に沿って並んでいる。チューブ71は、ADSケーブル7よりも、外部シース41の側にある。1本のチューブ71は、2本のADSケーブル7を一括して被覆している。チューブ71の形状は円筒形状である。ADSケーブル7は、チューブ71に対し、チューブ71の軸方向に沿って相対的に移動することができる。チューブ71の端末と、外部シース41の端末とは密着していることが好ましい。チューブ71の端末と、外部シース41の端末との間に、チューブ71の作用効果を妨げない範囲で、隙間が存在してもよい。
【0022】
また、1本のカプラー用プロテクタ73は、2本のADSケーブル7を一括して被覆している。チューブ71及びカプラー用プロテクタ73は、ADSケーブル7が露出することを抑制する。チューブ71は、例えば、EPDMゴムから成る。
【0023】
チューブ71とカプラー用プロテクタ73との接触部には、粘着テープ74が巻かれている。粘着テープ74は、例えば、ビニールテープである。粘着テープ74は、チューブ71とカプラー用プロテクタ73との両方に跨って貼られている。粘着テープ74は、例えば、3~5周巻かれている。粘着テープ74は、チューブ71とカプラー用プロテクタ73とを固定する。ADSケーブル7の端末にはコネクタ75が接続されている。
【0024】
ABSケーブル3は内部シース15を備えるので、ABSケーブル3はチューブで被覆されない。ABSケーブル3の端末にはセンサーヘッド77が成形されている。センサーヘッド77は、センサ本体の周囲を樹脂モールドで埋めた形態を有する。
【0025】
なお、EPBケーブル5及びADSケーブル7は第1ケーブルに対応する。ABSケーブル3は第2ケーブルに対応する。
図1図3に示すように、ワイヤハーネス1は、粘着テープ81を備える。粘着テープ81は、外部シース41の外周面、チューブ61の外周面、チューブ71の外周面、及びABSケーブル3の外周面にわたって貼り付けられている。
【0026】
粘着テープ81は、外部シース41の外周面上にある位置P1から、ハーフラップの形式で巻き始め、位置P2で巻き終えている。外部シース41と非被覆部51との境界を位置P0とする。位置P1は、例えば、位置P0よりも10mm以上、図1における方向Xに進んだ位置である。方向Xは、外部シース41の軸方向に沿って、非被覆部51から遠ざかる方向である。位置P2は、例えば、位置P0から、10mm以上、方向Yに進んだ位置である。方向Yは方向Xの反対方向である。粘着テープ81は、チューブ61、チューブ71、及びABSケーブル3を束ねている。粘着テープ81は、例えば、ビニールテープである。粘着テープ81で束ねられた部分において、チューブ61とチューブ71とが密着していてもよいし、それらの間に隙間が存在してもよい。粘着テープ81で束ねられた部分において、チューブ61又はチューブ71と、ABSケーブル3とが密着していてもよいし、それらの間に隙間が存在してもよい。
【0027】
図3に示すように、ワイヤハーネス1の軸方向から見たとき、ABSケーブル3、チューブ61、及びチューブ71は、3角形の頂点に配置されている。なお、ABSケーブル3、チューブ61、及びチューブ71は、3本の構成単位に対応する。3本の構成単位は、チューブに対応するチューブ61及びチューブ71、並びに、第2ケーブルに対応するABSケーブル3を含む。
【0028】
2.ワイヤハーネス1が奏する効果
(2-1)ワイヤハーネス1は、粘着テープ81を備える。粘着テープ81は、外部シース41の外周面、チューブ61の外周面、チューブ71の外周面、及びABSケーブル3の外周面にわたって貼り付けられている。そのため、ワイヤハーネス1は、チューブ61及びチューブ71の位置がずれることを抑制できる。その結果、ワイヤハーネス1は、EPBケーブル5及びADSケーブル7が露出すること抑制できる。
【0029】
(2-2)ワイヤハーネス1は、チューブ61及びチューブ71を備える。すなわち、ワイヤハーネス1は、2本のチューブを備える。粘着テープ81は、チューブ61の外周面、及びチューブ71の外周面にわたって貼り付けられている。そのため、粘着テープ81は、チューブ61及びチューブ71の両方の位置がずれることを抑制できる。
【0030】
(2-3)ワイヤハーネス1の軸方向から見たとき、ABSケーブル3、チューブ61、及びチューブ71は、3角形の頂点に配置されている。そのため、ワイヤハーネス1の幅を小さくすることができる。また、ABSケーブル3、チューブ61、及びチューブ71の相対的な位置を一層安定させることができる。
【0031】
3.他の実施形態
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0032】
(3-1)ワイヤハーネス1が備えるケーブルの本数は特に限定されない。また、ワイヤハーネス1が備えるチューブの本数は特に限定されない。また、1本のチューブに被覆されるケーブルの本数は2本以外であってもよく、例えば、1本、3本、4本・・・としてもよい。
【0033】
(3-2)ワイヤハーネス1が備えるABSケーブル3、EPBケーブル5、及びADSケーブル7の一部又は全部を他の用途のケーブルに置換してもよい。また、ワイヤハーネス1が備えるABSケーブル3、EPBケーブル5、及びADSケーブル7の一部を除いてもよい。また、ワイヤハーネス1に、他の用途のケーブルをさらに追加してもよい。
【0034】
(3-3)粘着テープ81により束ねられる第2ケーブルの数は2本以上であってもよく、例えば、2、3、4、5、6・・・本とすることができる。粘着テープ81により束ねられるチューブの数は2本以外であってもよく、例えば、1、3、4、5、6・・・本とすることができる。
(3-4)チューブ61、71の材質は、EPDMゴム以外のゴムであってもよい。また、チューブ61、71の材質は、ゴム以外の材質であってもよい。
(3-5)粘着テープ81の巻き方は、上述した巻き方以外のものであってもよい。例えば、後から巻かれる粘着テープ81の全ては、先に巻かれた粘着テープ81と重なってもよい。
【0035】
(3-6)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0036】
(3-7)上述したワイヤハーネス1の他、当該ワイヤハーネス1を構成要素とするシステム、ワイヤハーネス1の製造方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1…ワイヤハーネス、3…ABSケーブル、5…EPBケーブル、7…ADSケーブル、11…導体、13…絶縁体、15…内部シース、21…導体、23…絶縁体、31…導体、33…絶縁体、40…不織布テープ、41…外部シース、43…白線、51…非被覆部、61…チューブ、63…蛇腹プロテクタ、64…粘着テープ、65…コネクタ、71…チューブ、73…カプラー用プロテクタ、74…粘着テープ、75…コネクタ、77…センサーヘッド、81…粘着テープ
図1
図2
図3