(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139854
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】ガス溶解水製造装置及び電子部品製造システム
(51)【国際特許分類】
B01F 23/23 20220101AFI20230927BHJP
B01F 35/71 20220101ALI20230927BHJP
B01F 35/221 20220101ALI20230927BHJP
C02F 1/68 20230101ALI20230927BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20230927BHJP
B01F 25/451 20220101ALI20230927BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230927BHJP
B08B 3/08 20060101ALI20230927BHJP
B01F 101/58 20220101ALN20230927BHJP
【FI】
B01F23/23
B01F35/71
B01F35/221
C02F1/68 510A
C02F1/68 520C
C02F1/68 530A
C02F1/68 540Z
C02F1/68 520B
B01F21/00
B01F25/451
H01L21/304 648K
B08B3/08 Z
B01F101:58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045595
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健
【テーマコード(参考)】
3B201
4G035
4G037
5F157
【Fターム(参考)】
3B201AA02
3B201AA03
3B201BB93
3B201BB99
4G035AA01
4G035AB28
4G035AC26
4G035AE01
4G035AE13
4G035AE17
4G037AA01
4G037AA18
4G037EA01
5F157AA46
5F157AA73
5F157AA74
5F157CF42
5F157DA31
(57)【要約】
【課題】ガス溶解装置へのガス供給量を安定化させることができるガス溶解水製造装置と、このガス溶解水製造装置を備えた電子部品製造システムを提供する。
【解決手段】ガス溶解装置と、該ガス溶解装置にガスを供給するための主ライン1及びサブライン3,4とを有するガス溶解水製造装置。該サブライン3,4は、該主ライン1の途中から分岐し、この分岐部分よりもガス溶解装置側で合流するように設けられている。サブライン3,4に、マスフローコントローラ5,6が設けられている。主ライン1にはガスが常時流れる。主ライン1のガス流量は、全体流量の80~90%である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス溶解装置と、該ガス溶解装置にガスを供給するための主ライン及びサブラインとを有するガス溶解水製造装置であって、
該サブラインは、該主ラインの途中から分岐し、この分岐部分よりもガス溶解装置側で合流するように設けられており、
該サブラインに、ガス流量調節手段が設けられているガス溶解水製造装置。
【請求項2】
前記主ラインは、常時ガスを流すように構成されている請求項1のガス溶解水製造装置。
【請求項3】
前記サブラインは複数ライン設けられている請求項1のガス溶解水製造装置。
【請求項4】
前記ガス溶解装置に供給されるガス流量の80~90%が前記主ラインに流れるように構成されている請求項1~3のいずれかのガス溶解水製造装置。
【請求項5】
前記ガス流量調節手段はマスフローコントローラである請求項1~4のいずれかのガス溶解水製造装置。
【請求項6】
前記主ラインのうち、前記サブラインの分岐部分と合流部分との間に流量計が設けられている請求項1~5のいずれかのガス溶解水製造装置。
【請求項7】
前記ガス溶解装置は、ガス溶解膜モジュールである請求項1~6のいずれかのガス溶解水製造装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかのガス溶解水製造装置と、該ガス溶解水製造装置からガス溶解水が供給される電子部品洗浄装置とを有する電子部品製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス溶解水製造装置に係り、特にガス溶解装置へのガスの供給量を制御する機構を備えたガス溶解水製造装置に関する。また、本発明は、このガス溶解水製造装置を備えた電子部品製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板、フォトマスク用石英基板などの電子材料の表面から、微粒子、有機物、金属などを除去するために、特定のガスを超純水に溶解し、必要に応じて微量の薬品を添加して調製した機能性洗浄水が高濃度薬液に代わって使用されるようになってきている。機能性洗浄水に用いられる特定のガスとしては、水素ガス、酸素ガス、オゾンガス、希ガス、炭酸ガスなどがある。
【0003】
ガスを超純水に溶解させる溶解装置としては、ガス溶解膜ユニットが広く用いられている(特許文献1,2)。このガス溶解膜ユニットに供給するガスの供給量を制御するために、ガス流量を精密かつ俊敏に制御することができるマスフローコントローラ(MFC)が広く用いられている(特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-219995号公報
【特許文献2】特開2014-93357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子部品洗浄装置へは規定濃度のガス溶解水を安定して送水する必要がある。マスフローコントローラの故障があってもガス溶解膜ユニットへガスを安定して送気するために、ガス供給ラインにマスフローコントローラを並列に設け、一方のマスフローコントローラが故障したときに他方のマスフローコントローラでガス供給を継続できるように構成することがある。しかし、一方のマスフローコントローラが故障した場合には、他方のマスフローコントローラの設定流量を増大させる設定変更を行うまでは、ガス溶解膜ユニットへはガスが規定流量よりも少ない量しか供給されない。
【0006】
マスフローコントローラを迂回するように手動バルブを有したバイパスラインを設けることも考えられる。しかし、この場合も、マスフローコントローラが故障した場合には、手動バルブを開とするまではガス溶解膜ユニットへのガス供給量は少ないままとなる。
【0007】
本発明は、ガス溶解装置へのガス供給量を安定化させることができるガス溶解水製造装置と、このガス溶解水製造装置を備えた電子部品製造システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は次の通りである。
【0009】
[1] ガス溶解装置と、該ガス溶解装置にガスを供給するための主ライン及びサブラインとを有するガス溶解水製造装置であって、
該サブラインは、該主ラインの途中から分岐し、この分岐部分よりもガス溶解装置側で合流するように設けられており、
該サブラインに、ガス流量調節手段が設けられているガス溶解水製造装置。
【0010】
[2] 前記主ラインは、常時ガスを流すように構成されている[1]のガス溶解水製造装置。
【0011】
[3] 前記サブラインは複数ライン設けられている[1]のガス溶解水製造装置。
【0012】
[4] 前記ガス溶解装置に供給されるガス流量の80~90%が前記主ラインに流れるように構成されている[1]~[3]のいずれかのガス溶解水製造装置。
【0013】
[5] 前記ガス流量調節手段はマスフローコントローラである[1]~[4]のいずれかのガス溶解水製造装置。
【0014】
[6] 前記主ラインのうち、前記サブラインの分岐部分と合流部分との間に流量計が設けられている[1]~[5]のいずれかのガス溶解水製造装置。
【0015】
[7] 前記ガス溶解装置は、ガス溶解膜モジュールである[1]~[6]のいずれかのガス溶解水製造装置。
【0016】
[8] [1]~[7]のいずれかのガス溶解水製造装置と、該ガス溶解水製造装置からガス溶解水が供給される電子部品洗浄装置とを有する電子部品製造システム。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガス溶解水製造装置によると、サブラインの流量調節手段に故障が生じても、主ラインを介してガス溶解装置にガスが供給される。ガス溶解装置でのガス必要量の大部分(例えば80~90%)が主ラインを流れるように主ラインの管径、長さ等を設定しておくことにより、サブラインの流量調節手段に故障が生じても、主ラインを経由してほぼ十分量なガスを供給することができるので、ガス溶解装置で製造されるガス溶解水中のガス濃度の顕著な低下が防止される。
【0018】
サブラインを複数並列に設けておくことにより、一部のサブラインの流量調節手段に故障が生じても、主ラインと残りのサブラインを経由してガス溶解装置にほぼ十分量のガスを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施の形態に係るガス溶解水製造装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0021】
図1は本発明のガス溶解水製造装置の一例を示すものであり、炭酸ガス等のガスがガス供給ラインを介してガス溶解膜モジュール10に供給され、超純水にガスが溶解してガス溶解水が製造される。
【0022】
ガス供給ラインとして、主ライン1とサブライン3,4とが設けられている。主ライン1の途中に流量計2が設けられている。サブライン3,4は、流量計2よりも上流側の主ライン上流部1aと、流量計2よりも下流側の主ライン下流部1bとを結ぶように、主ライン上流部1aから分岐し、主ライン下流部1bに合流している。
【0023】
サブライン3,4にそれぞれ流量調節手段(流量制御弁)としてマスフローコントローラ5,6が設けられている。
【0024】
ガス溶解膜モジュール10は、ガス溶解膜11によって隔てられた気相室12と液相室13とを有している。ガス供給ラインからのガスが気相室12に導入される。超純水は、配管14を介して液相室13に導入され、ガス溶解水が配管15に流出する。
【0025】
流量計2の検出流量は制御器7に流入され、マスフローコントローラ5,6は制御器7からの制御信号によって制御される。
【0026】
この実施の形態では、ガス溶解膜モジュール10のガス必要量の大部分(好ましくはガス溶解膜モジュール10で使用されるガス量の80~90%)を主ライン1経由でガス溶解膜モジュール10に供給する。そして、残部の10~20%がサブライン3,4経由で供給されるように、マスフローコントローラ5,6を制御する。ガスはマスフローコントローラ5,6に均等に流れてもよく、一方が他方よりも多くなるように流れてもよい。マスフローコントローラ3,4の一方にのみガスが流れ、該一方に故障が生じた場合に他方にガスを流すようにしてもよい。マスフローコントローラ3,4は、それぞれガス溶解膜モジュール10のガス必要量の少なくとも20%を通過させることができる容量を有する。
【0027】
この実施の形態によると、マスフローコントローラ3,4の一方に故障が生じても、ガス溶解膜モジュール10へは必要ガス量のガスを供給することができる。また、仮にマスフローコントローラ3,4の双方に故障が生じたとしても少なくとも必要量の80~90%のガスをガス溶解膜モジュール10に供給することができる。従って、マスフローコントローラ3,4の双方に故障が生じたときでもガス溶解水中のガス濃度の顕著な低下を防止することができる。
【0028】
なお、本発明において、ガスとしては炭酸ガス、水素ガス、酸素ガス、オゾンガス、希ガス等のいずれでもよい。製造されたガス溶解水は、電子部品製造システムの電子部品洗浄装置に供給するのに好適であるが、その他のプロセスに供給することもできる。
【符号の説明】
【0029】
1 主ライン
2 流量計
2,4 サブライン
5,6 マスフローコントローラ
7 制御器
10 ガス溶解膜モジュール
11 ガス溶解膜