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特開2023-139967情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139967
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/65 20180101AFI20230927BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
G06F8/65
G06F3/12 303
G06F3/12 329
G06F3/12 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045779
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大島 雄三
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB06
5B376AB21
5B376CA05
5B376CA16
5B376CA19
5B376CA37
5B376CA41
5B376CA76
5B376GA01
(57)【要約】
【課題】プログラムの更新による不具合の拡散を抑制しつつ早期に多数の機器にプログラムの更新を実行させること。
【解決手段】それぞれがプログラムの更新の要否を確認するための問い合わせを第1の間隔ごとに繰り返す複数の機器と、前記機器にネットワークを介して接続される情報処理装置とを含む情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記プログラムを更新済みの前記機器の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる変更部を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれがプログラムの更新の要否を確認するための問い合わせを第1の間隔ごとに繰り返す複数の機器と、前記機器にネットワークを介して接続される情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記プログラムを更新済みの前記機器の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる変更部、
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記変更部は、前記経過時間が前記第2の閾値以上である場合に、前記更新済みの前記機器における不具合の発生状況に基づいて、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる、
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、
前記プログラムに関する過去の不具合の発生状況に基づいて前記第1の閾値及び前記第2の閾値を決定する決定部、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理システム。
【請求項4】
それぞれがプログラムの更新の要否を確認するための問い合わせを第1の間隔ごとに繰り返す複数の機器にネットワークを介して接続される情報処理装置であって、
前記プログラムを更新済みの前記機器の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる変更部、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
それぞれがプログラムの更新の要否を確認するための問い合わせを第1の間隔ごとに繰り返す複数の機器にネットワークを介して接続される情報処理装置が、
前記プログラムを更新済みの前記機器の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる変更手順、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
それぞれがプログラムの更新の要否を確認するための問い合わせを第1の間隔ごとに繰り返す複数の機器にネットワークを介して接続される情報処理装置に、
前記プログラムを更新済みの前記機器の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる変更手順、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の機器のプログラム(ファームウェア等)の更新を効率的に行う方法として、各機器がネットワークを介して接続するサーバから更新用のプログラムを自動的に取得して更新処理を実行する方法が有る。
【0003】
特許文献1には、サーバに画像形成装置ごとの更新時期情報を持たせ、それに従って各画像形成装置が更新を開始する構成が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更新プログラムにバグ等の不具合が混入している場合、当該更新プログラムが同時期に多数の機器に適用されてしまうと、市場において当該不具合が拡散してしまう。
【0005】
一方で、各機器において、更新プログラムの適用タイミングの間隔が長くなってしまうと、更新プログラムによって解消されるべき不具合等が長期間において解消されない機器が発生しうる。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、プログラムの更新による不具合の拡散を抑制しつつ早期に多数の機器にプログラムの更新を実行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、それぞれがプログラムの更新の要否を確認するための問い合わせを第1の間隔ごとに繰り返す複数の機器と、前記機器にネットワークを介して接続される情報処理装置とを含む情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記プログラムを更新済みの前記機器の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、前記問い合わせの間隔を前記第1の間隔よりも短い第2の間隔に変更させる変更部を有する。
【発明の効果】
【0008】
プログラムの更新による不具合の拡散を抑制しつつ早期に多数の機器にプログラムの更新を実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態におけるファーム更新サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態における情報処理システム1の機能構成例を示す図である。
図5】ファームウェアの更新処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】ファームウェアの更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7】更新間隔の一例を示す図である。
図8】更新間隔の変更処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図9】更新間隔の変更処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図10】画像形成装置10ごとのバージョン情報の一例を示す図である。
図11】変更情報の一例を示す図である。
図12】更新済台数の遷移の一例を示す図である。
図13】変更情報の決定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図14】変更情報の候補の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施の形態では、画像形成装置10がファームウェアの最新バージョンをサーバ側に問い合わせる間隔(以下、「更新間隔」という。)が、最新版のファームウェアに不具合が混入している可能性の高さに応じて動的に変更される。具体的には、画像形成装置10のファームウェアを最新バージョンに更新する際、最新バージョンに不具合が混入している可能性が低いと判断できるまでは更新間隔を相対的に長くすることで、ファームウェア更新の拡散を遅くし、当該可能性が低いと判断できたら更新間隔を短くして当該拡散を速くする。そうすることで、不具合混入の影響を小さくしつつ、多数の画像形成装置10に早期にファームウェアを更新させることができる。
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における情報処理システム1の構成例を示す図である。図1に示される情報処理システム1において、複数の画像形成装置10は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワークを介してファーム更新サーバ20及び機器管理サーバ30に接続する。ファーム更新サーバ20は、LAN又はインターネット等のネットワークを介して機器管理サーバ30に接続する。
【0012】
画像形成装置10は、本実施の形態においてプログラムの更新対象とされる機器である。本実施の形態では、画像形成装置10のファームウェアが更新対象のプログラムであるとする。画像形成装置10は、更新間隔が経過するたびにファーム更新サーバ20へ問い合わせを行うことで、ファームウェアの更新の要否を判定する。
【0013】
ファーム更新サーバ20は、画像形成装置10のファームウェアを管理すると共に、画像形成装置10のファームウェアの更新を制御する1以上のコンピュータである。
【0014】
機器管理サーバ30は、各画像形成装置10に関する情報を管理する1以上のコンピュータである。本実施の形態において、機器管理サーバ30は、各画像形成装置10に適用されている(インストール済みの)ファームウェアのバージョン情報を管理する。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態におけるファーム更新サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。図2のファーム更新サーバ20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200、補助記憶装置202、メモリ装置203、CPU204、及びインタフェース装置205等を有する。
【0016】
ファーム更新サーバ20での処理を実現するプログラムは、CD-ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0017】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従ってファーム更新サーバ20に係る機能を実行する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0018】
図3は、本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。図3において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0019】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。NVRAM115には、各種の設定情報等が記憶される。
【0020】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記憶されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、SDカード80に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD-ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。
【0021】
図4は、本発明の実施の形態における情報処理システム1の機能構成例を示す図である。図4において、機器管理サーバ30は、機器管理部31を有する。機器管理部31は、機器管理サーバ30にインストールされた1以上のプログラムが、機器管理サーバ30のCPUに実行させる処理により実現される。機器管理サーバ30は、また、機器情報記憶部32を利用する。機器情報記憶部32は、例えば、機器管理サーバ30の補助記憶装置、又は機器管理サーバ30にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0022】
機器情報記憶部32には、各画像形成装置10の機器情報が記憶されている。本実施の形態において、機器情報は、画像形成装置10に適用済み(インストール済み)のファームウェアのバージョン情報を含む。また、機器情報は、画像形成装置10において発生した不具合の履歴を示す情報を含んでもよい。
【0023】
機器管理部31は、画像形成装置10から通知される情報に応じ、当該画像形成装置10に関する機器情報を更新したり、機器情報記憶部32に記憶されている情報をファーム更新サーバ20へ提供したりする。
【0024】
画像形成装置10は、更新間隔受信部121、最新ファーム情報取得部122及び更新制御部123を有する。これら各部は、画像形成装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU111に実行させる処理により実現される。画像形成装置10は、また、更新間隔記憶部124を利用する。更新間隔記憶部124は、例えば、HDD114等を用いて実現可能である。
【0025】
更新間隔受信部121は、ファーム更新サーバ20から更新間隔を受信し、受信した更新間隔を更新間隔記憶部124に記録する。上記したように、更新間隔とは、ファームウェアの更新の要否を確認するために繰り返し行われる問い合わせ(以下、「更新照会」という。)の時間間隔をいう。
【0026】
最新ファーム情報取得部122は、更新間隔記憶部124に記録された更新間隔ごとに最新のファームウェアのバージョン情報(以下、「最新ファーム情報」という。)を繰り返し問い合わせる。本実施の形態では、最新ファーム情報の問い合わせが、更新照会の一例である。
【0027】
更新制御部123は、最新ファーム情報に係る最新のファームウェアが画像形成装置10にインストールされていない場合に、ファームウェアの更新(インストール)を制御する。
【0028】
ファーム更新サーバ20は、更新間隔変更部21、ファーム管理部22及び変更情報決定部23を有する。これら各部は、ファーム更新サーバ20にインストールされた1以上のプログラムが、CPU104に実行させる処理により実現される。ファーム更新サーバ20は、また、ファーム記憶部24及び変更情報記憶部25を利用する。これら各記憶部は、例えば、補助記憶装置102、又はファーム更新サーバ20にネットワークを介して接続可能な記憶装置等を用いて実現可能である。
【0029】
更新間隔変更部21は、更新間隔を各画像形成装置10へ送信することで、各画像形成装置10に当該更新間隔での更新照会を実行させる。更新間隔変更部21は、また、ファームウェアの更新状況(更新の進捗状況)が、変更情報記憶部25に記憶されている条件(以下、「変更条件」という。)を満たす場合、更新間隔を変更(短縮化)し、変更後の更新間隔を各画像形成装置10へ送信する。
【0030】
ファーム管理部22は、ファーム記憶部24に記憶されている情報やファームウェア等を各画像形成装置10へ送信する。
【0031】
変更情報決定部23は、例えば、新たなファームウェアのリリース時に、過去のバージョンにおける不具合の発生状況に基づいて変更条件と当該変更条件が満たされた場合の更新間隔とを含む情報(以下、「変更情報」という。)を決定し、当該変更情報を変更情報記憶部25に記録する。
【0032】
以下、情報処理システム1において実行される処理手順について説明する。図5は、ファームウェアの更新処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。また、図6は、ファームウェアの更新処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図5及び図6は、同じ処理手順を異なる形式で表現した図である。両図において、同一ステップ又は相互に対応するステップには同一ステップ番号が付されている。
【0033】
或る画像形成装置10(以下、「対象画像形成装置10」という。)の最新ファーム情報取得部122は、前回のステップS102の実行時点から更新間隔の経過を待機する(S101)。なお、更新間隔の値は、更新間隔記憶部124に記憶されている。
【0034】
当該更新間隔が経過して更新照会のタイミング(以下、「更新タイミング」という。)が到来すると(S101でYes)、最新ファーム情報取得部122は、最新ファーム情報をファーム更新サーバ20から取得する(S102)。具体的には、最新ファーム情報取得部122は、最新ファーム情報の取得要求をファーム更新サーバ20へ送信する(図6のS102-1)。ファーム更新サーバ20のファーム管理部22は、ファーム記憶部24に記憶されている最新ファーム情報を、当該取得要求の送信元の対象画像形成装置10へ送信する。
【0035】
続いて、対象画像形成装置10の更新制御部123は、最新ファーム情報取得部122が取得した最新ファーム情報と、対象画像形成装置10にインストール済みのファームウェアのバージョン情報とを比較して、最新バージョンが対象画像形成装置10にインストール済みであるか否かを判定する(S103)。最新バージョンをインストール済みである場合(S103でYes)、ステップS101へ戻る。この場合、最新ファーム情報取得部122は、現時点から更新間隔の経過を待機する。
【0036】
最新バージョンをインストール済みでない場合(S103でNo)、更新制御部123は、最新バージョンのファームウェアをダウンロード済みであるか否かを判定する(S104)。例えば、最後にダウンロードしたファームウェアがHDD114に記憶さていれるのであれば、更新制御部123は、当該ファームウェアが最新バージョンであるか否かを判定する。
【0037】
最新バージョンのファームウェアをダウンロード済みの場合(S104でYes)、ステップS106へ進む。最新バージョンのファームウェアをダウンロード済みでない場合(S104でNo)、更新制御部123は、当該ファームウェアをファーム更新サーバ20からダウンロードして(S105)、ステップS106へ進む。具体的には、更新制御部123は、最新バージョンのファームウェアのダウンロード要求をファーム更新サーバ20へ送信する(図6のS105-1)。ファーム更新サーバ20のファーム管理部22は、ファーム記憶部24に記憶されている当該ファームウェアを当該ダウンロード要求の送信元の対象画像形成装置10へ送信する(図6のS105-2)。
【0038】
ステップS106において、更新制御部123は、対象画像形成装置10が使用中(稼働中)であるか否かを判定する。使用中である場合(S106でYes)、ステップS101へ戻ってファームウェアの更新をスキップ(回避)する。この場合、最新ファーム情報取得部122は、現時点から更新間隔の経過を待機する。対象画像形成装置10の使用中にファームウェアの更新が回避されるのは、対象画像形成装置10に処理を実行させている最中のプログラムと、ファームウェアの更新で展開されるプログラムとがメモリ上でバッティング(干渉)するためである。
【0039】
対象画像形成装置10が使用中でない場合(S106でNo)、更新制御部123は、最新バージョンのファームウェアを対象画像形成装置10にインストールすることで、対象画像形成装置10のファームウェアを更新する(S107)。
【0040】
なお、更新制御部123は、インストールに成功した場合、インストールされたファームウェアのバージョン情報を機器管理サーバ30へ送信する。機器管理サーバ30の機器管理部31は、当該バージョン情報を受信すると、当該バージョン情報の送信元の画像形成装置10に関して機器情報記憶部32に記憶されているファームウェアのバージョン情報を、受信したバージョン情報に更新する。
【0041】
なお、ステップS107の実行後は、ステップS101へ戻る。したがって、ファームウェアの更新時点から更新間隔が経過するたびにステップS102以降が繰り返し実行されるが、ステップS103の判定によってファームウェアの更新がスキップされる。但し、新たなバージョンがリリースされた場合には、当該スキップが解除されてステップS105以降が実行される。
【0042】
また、ステップS106において対象画像形成装置10が使用中であるとしてファームウェアの更新がスキップされた場合は、更新間隔ごとにステップS102以降が繰り返し実行される。その結果、対象画像形成装置10の使用が解除されると、ファームウェアが更新される。この繰り返し中に、更新対象とされているバージョン(以下、「バージョンN」という。)の次のバージョン(以下、「バージョンN+1」という。)がリリースされた場合は、バージョンN+1がダウンロードされて、対象画像形成装置10の使用が解除された後に、バージョンN+1がインストールされる。したがって、この場合、バージョンNのインストールはスキップされることになる。
【0043】
例えば、バージョンNが2.86であり、その一つ前がバージョン2.85であり、バージョンN+1がバージョン2.87である場合、画像形成装置10のファームウェアのバージョンの遷移は、バージョン2.86はスキップされて、
2.85→2.87
となる。
【0044】
なお、更新間隔は、例えば、24h×n+αhである(hは1時間、nは任意の整数、α>1.0)。24時間(1日)の倍数にα時間が加算されるのは、例えば、ユーザが毎日同じ時間帯に画像形成装置10を稼働させる場合、1度使用中で更新がスキップされると、それ以降の更新タイミングでも画像形成装置10が使用中である可能性が高くなってしまうからである。すなわち、α時間が加算されることで、それ以降の更新タイミングの時間帯をずらすことができる。
【0045】
図7は、更新間隔の一例を示す図である。図7では、更新間隔が24h×3+4h=76hである場合の更新タイミングが示されている。
【0046】
毎日13:00~15:00に稼働している画像形成装置10に対して更新が実行されるタイミングが示されている。例えば、1/6 14:00が1回目の更新タイミングであったとする。毎日13:00~15:00に稼働している画像形成装置10については、1回目の更新タイミングでは使用中であるため、更新はスキップされる。次の更新タイミングは、1/9 18:00である。18:00は、稼働時間帯から外れているため、更新が実行される可能性が高い。仮に、更新間隔が24hの倍数であった場合、2回目以降の更新タイミングも14:00になってしまい、更新が実行されるまでに長期化する可能性が高くなる。
【0047】
次に、更新間隔の変更処理について説明する。ステップS101において待機期間となる更新間隔は、以下に説明する処理手順によって動的に変更される。
【0048】
図8は、更新間隔の変更処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。また、図9は、更新間隔の変更処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図8及び図9は、同じ処理手順を異なる形式で表現した図である。両図において、同一ステップ又は相互に対応するステップには同一ステップ番号が付されている。図8及び図9の処理手順は、新バージョンのファームウェアがリリースされる度に開始される。したがって、当該処理手順は、図5及び図6の処理手順と並行して実行される。
【0049】
新たなファームウェアがリリースされると、ファーム更新サーバ20の更新間隔変更部21は、更新間隔をリセットする(S201)。更新間隔のリセットとは、更新間隔を既定値(初期値)に設定することをいう。例えば、128hが既定値であってもよい。
【0050】
続いて、更新間隔変更部21は、更新間隔のリセットの通知を各画像形成装置10へ送信する(S202-1)。各画像形成装置10の更新間隔受信部121は、当該通知に応じ、更新間隔記憶部124に記憶されている更新間隔を既定値に更新する(図9のS202-2)。なお、ステップS202-1では、リセット後の更新間隔が各画像形成装置10へ送信されてもよいし、更新間隔がリセットされることの通知のみが各画像形成装置10へ送信されてもよい。前者の場合、各画像形成装置10の更新間隔受信部121は、受信した更新間隔を更新間隔記憶部124に記録すればよい。後者の場合、各画像形成装置10の更新間隔受信部121にとって更新間隔の既定値は既知であり、更新間隔受信部121がその更新間隔を更新間隔記憶部124に記録してもよいし、更新間隔記憶部124に既定値が退避されており、更新間隔受信部121が退避されている既定値を有効化してもよい。
【0051】
更新間隔記憶部124に既定値が記録されると、各画像形成装置10は、ステップS101において既定値分の時間の経過を待機することになる。
【0052】
なお、新バージョンのリリースごとに更新間隔がリセットされるのは、後述される処理によって、前バージョンのリリース後に更新間隔が変更されている可能性が有るからである。
【0053】
続いて、更新間隔変更部21は、各画像形成装置10に適用されているファームウェアのバージョン情報を機器管理サーバ30の機器管理部31から取得する(S202)。具体的には、更新間隔変更部21は、画像形成装置10ごとのバージョン情報の取得要求を機器管理部31へ送信する(図9のS202-1)。機器管理部31は、画像形成装置10ごとのバージョン情報を機器情報記憶部32から取得し、取得した情報を更新間隔変更部21へ送信する(図9のS202-2)。
【0054】
図10は、画像形成装置10ごとのバージョン情報の一例を示す図である。図10には、画像形成装置10の機番ごとに、インストール済みファームバージョンが示されている。機番とは、画像形成装置10の機体(個体)の識別情報である。インストール済みファームバージョンとは、機体番号に係る画像形成装置10においてインストール済みのファームウェアのバージョン情報である。なお、図10では、最新バージョンが2.87である例が示されている。更新間隔変更部21は、画像形成装置10ごとのバージョン情報を参照することで、最新バージョンに更新済みの画像形成装置10の台数をカウントすることができる。
【0055】
続いて、更新間隔変更部21は、最新バージョンの更新状況が、変更情報記憶部25に記憶されている変更情報が含む変更条件を満たすか否かを判定する(S204)。
【0056】
図11は、変更情報の一例を示す図である。図11において、変更情報は、台数、日数及び変更値等のパラメータ(項目)を含む。このうち、台数及び日数が変更条件である。
【0057】
台数は、最新バージョンに更新済みの画像形成装置10の台数に対する閾値である。日数は、台数が満たされた状況において、不具合が発生していない日数に対する閾値である。なお、本実施の形態では、日単位によって経過時間に関する閾値が定められる例を説明するが、週単位、月単位、年単位等、他の単位によって経過時間に関する閾値が設定されてもよい。変更値は、台数及び日数によって規定される変更条件が満たされた場合の更新間隔の変更後の値である。すなわち、図11では、「最新ファームウェアが2万台以上に適用された状態が2日以上経過しても不具合が発生していない」ことが変更条件とされている。なお、変更値は、更新間隔の既定値(初期値)よりも短い値が設定される。変更値も上記の24h×n+αを満たす値であってもよい。但し、変更値のnは、既定値のnより小さい。
【0058】
更新間隔変更部21は、図10に例示した画像形成装置10ごとのバージョン情報を参照して、最新バージョン情報に対応する画像形成装置10の数をカウントすることで台数の条件の充足の有無を判定する。台数の条件が満たされた場合、更新間隔変更部21は、台数の条件が満たされた時点を記録しておき、その時点からの経過時間を計算する。更新間隔変更部21は、当該経過時間が日数の条件を満たしていれば、最新ファームウェアのリリース時点から現時点までにおいて、最新ファームウェアの適用済みの画像形成装置10において不具合が発生しているか否かを判定する。不具合の発生の有無は、機器管理サーバ30へ問い合わせることで確認されてもよい。この場合、機器管理サーバ30は、各画像形成装置10において発生した不具合(異常)を示す情報(以下、「不具合情報」という。)の履歴を各画像形成装置10からの通知に基づいて記録しておけばよい。
【0059】
なお、日数の条件は、「当該日数が経過しても不具合が発生していない」ことを示す条件であるが、この「不具合が発生していない」状況は、必ずしも1つも不具合が発生していない(不具合が発生している画像形成装置10が1台も無い)状況でなくてもよい。1台~数台の画像形成装置10において不具合が発生している状況は、ファームウェアの更新が不具合の原因である確度が高いとはいえない。したがって、ファームウェアの更新が不具合の原因である可能性を考慮して、「不具合が発生していない」状況が定義されてもよい。例えば、最新ファームウェアを適用済みの画像形成装置10における不具合の数が、最新ファームウェアを未適用の画像形成装置10における不具合の数よりも明らかに(例えば、統計的に)少ないといえる状況が、「不具合が発生していない」状況として定義されてもよい。又は、最新ファームウェアを適用済みの画像形成装置10における不具合の発生状況が、最新ファームウェアを適用前に比べて明らかに(例えば、統計的に)減少傾向に有る状況が、「不具合が発生していない」状況として定義されてもよい。
【0060】
変更条件が満たされていない場合(S204でNo)、更新間隔変更部21は、ステップS203以降を繰り返す。この際、一定時間の待機の後で、ステップS203以降が繰り返されてもよい。ステップS203以降が繰り返される期間において変更条件が満たされる可能性が有る。
【0061】
変更条件が満たされた場合(S204でYes)、更新間隔変更部21は、当該変更条件を含む変更情報における変更値へ更新間隔を変更する(S205)。図11の例によれば、更新間隔が28hへ短縮される。
【0062】
続いて、更新間隔変更部21は、変更後の更新間隔を含む更新間隔変更通知を各画像形成装置10へ送信する(S206-1)。ここで、更新間隔変更通知の送信先は、最新バージョンが未適用である画像形成装置10に限定されてもよい。各画像形成装置10の更新間隔受信部121は、更新間隔変更通知を受信すると、更新間隔変更通知が含む更新間隔によって、更新間隔記憶部124に記憶されている更新間隔を更新する(図9のS206-2)。
【0063】
なお、変更条件が満たされないまま、次のバージョンがリリースされた場合には、実行中の処理手順は破棄されて、ステップS201以降が再実行される。
【0064】
図8の処理手順によって更新間隔が変更されることで、最新のファームウェアへ更新される画像形成装置10の台数(以下、「更新済台数」という。)は、例えば、図12に示されるように遷移する。図12において、横軸は時間を示し、縦軸は更新済台数を示す。なお、図12では、更新間隔の既定値は148hである。
【0065】
時刻t1は、最新ファームウェアが2万台以上に適用された状態が2日以上経過したという変更条件が満たされたタイミングである。最新ファームウェアのリリース開始時から時刻t1までは、緩やかに更新済台数が増加する。したがって、時刻t1までの間に不具合が波発生したとしても、当該不具合について大規模な拡散を抑制することができる。
【0066】
時刻t1において、更新間隔が148hから28へ変更されると、更新済台数の増加速度は大きくなる。その結果、最新ファームウェアのリリース開始時から概ね7日程度が経過した時刻t2において、95%の画像形成装置10を更新済みとすることができる。
【0067】
なお、変更条件及び変更値が異なる複数の変更情報が設定されてもよい。この場合、3段階以上の段階で更新間隔を変更することができる。
【0068】
次に、変更情報の決定について説明する。図13は、変更情報の決定処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。図13の処理手順は、図8と同様に、新バージョンのファームウェアがリリースされる度に実行される。例えば、図8において、ステップS203より前に図13の処理手順が挿入されてもよい。
【0069】
ステップS301において、変更情報決定部23は、画像形成装置10に関する不具合情報の履歴を取得する。不具合情報の履歴は、例えば、機器管理サーバ30から取得されてもよい。
【0070】
続いて、変更情報決定部23は、不具合情報の履歴を参照して、所定条件が満たされるか否か判定する(S302)。所定条件とは、例えば、前バージョンに更新済みの画像形成装置10の中で、機種が相互に同じである複数の画像形成装置10に不具合が発生していること(以下、当該条件を「条件1」という。)である。又は、所定条件は、過去の或るバージョンにおいて、過去の同じバージョン(前バージョンに限らない)が適用されている画像形成装置10の中で、機種が相互に類似する複数の画像形成装置10に不具合が発生していること(以下、当該条件を「条件2」という。)であってもよい。なお、ここでの「不具合が発生していること」は、上記した「不具合が発生していない」状況とどうように、1つの不具合が発生していることに限られなくてよい。
【0071】
所定条件が満たされない場合(S302でNo)、変更情報決定部23は、既定の変更情報を変更情報記憶部25に設定(保存)する(S303)。
【0072】
一方、所定条件が満たされる場合(S302でYes)、変更情報決定部23は、既定の変更情報に比べて、更新間隔の変更までの更新速度が緩やかになるような変更情報を変更情報記憶部25に設定(保存)する(S304)。すなわち、過去に不具合が発生している場合には、最新バージョンでも不具合が発生する可能性が高いとして、更新速度がより緩やかにされる。
【0073】
図14は、変更情報の候補の一例を示す図である。図14において、(1)は、既定の変更情報の一例であり、その内容は、図11と同じである。(2)は、条件1が満たされる場合に採用される変更情報の一例である。(2)は、(1)に対して日数が大きいため、更新速度が緩やかにすることができる。(3)は、条件2が満たされる場合に採用される変更情報の一例である。(3)は、(1)に対して台数が大きいため、更新速度が緩やかにすることができる。
【0074】
上述したように、本実施の形態によれば、ファームウェアを更新済みの画像形成装置10の台数が第1の閾値以上になってからの経過時間が第2の閾値以上である場合に、更新間隔が既定値よりも短い間隔に変更される。したがって、新バージョンのリリースの当初は更新速度を緩やかにすることができ、その後に更新速度を上げることができる。その結果、ファームウェアの更新による不具合の拡散を抑制しつつ早期に多数の画像形成装置10にファームウェアの更新を実行させることができる。
【0075】
なお、本実施の形態は、例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等の画像形成装置10以外の機器に適用されてもよい。
【0076】
また、本実施の形態は、ファームウェア以外のプログラムの更新に適用されてもよい。
【0077】
なお、本実施の形態において、ファーム更新サーバ20は、情報処理装置の一例である。更新間隔変更部21は、変更部の一例である。変更情報決定部23は、決定部の一例である。
【0078】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 情報処理システム
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
20 ファーム更新サーバ
21 更新間隔変更部
22 ファーム管理部
23 変更情報決定部
24 ファーム記憶部
25 変更情報記憶部
30 機器管理サーバ
31 機器管理部
32 機器情報記憶部
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
115 NVRAM
121 更新間隔受信部
122 最新ファーム情報取得部
123 更新制御部
124 更新間隔記憶部
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0080】
【特許文献1】特開2019‐125141号公報
図1
図2
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図4
図5
図6
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図8
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図10
図11
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図13
図14