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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023139999
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】出荷計画策定システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20120101AFI20230927BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045828
(22)【出願日】2022-03-22
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文生
(72)【発明者】
【氏名】菅原 幸治
(72)【発明者】
【氏名】岡田 邦彦
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】作物の出荷計画を自動で策定することが可能な出荷計画策定システムを提供すること。
【解決手段】出荷計画策定システム1は、圃場に作付けされた作物の作付日以降の圃場の気象情報(日射量や気温)から作物の生育量を予測する生育予測モデル14を用いて予測された作物の日々の生育量を取得する生育予測装置3と、生育量が出荷規格を満たす日(球重Weが出荷規格の最小値Wmin以上となる日)を収穫可能日(出荷日)として提示する出荷計画策定装置2と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に作付けされた作物の作付日以降の前記圃場の気象情報から前記作物の生育量を予測する予測モデルを用いて予測された前記作物の日々の生育量を取得する生育量取得部と、
前記生育量が出荷規格を満たす日を出荷日として提示する提示部と、
を備える出荷計画策定システム。
【請求項2】
前記提示部は、前記出荷日が複数存在する場合に、複数の出荷日を含む期間を出荷期間として提示することを特徴とする請求項1に記載の出荷計画策定システム。
【請求項3】
前記出荷期間は、前記生育量が、前記出荷規格の下限値と上限値との間に含まれる期間である請求項2に記載の出荷計画策定システム。
【請求項4】
圃場に作付けされた作物の複数の出荷日ごとの出荷計画量を取得する出荷計画量取得部と、
前記作物の作付日以降の前記圃場の気象情報から前記作物の生育量を予測する予測モデルを用いて予測された前記作物の日々の生育量を取得する生育量取得部と、
取得した前記生育量に基づいて、複数の前記出荷日ごとの前記作物の予測収穫量を算出する予測収穫量算出部と、
複数の前記出荷日のうちの第1の出荷日における前記予測収穫量が前記出荷計画量を超えた場合に、前記予測収穫量のうちで前記出荷計画量を超えた部分を収穫する収穫日として、複数の前記出荷日のうちで前記第1の出荷日とは異なる第2の出荷日を提示する提示部と、
を備える出荷計画策定システム。
【請求項5】
前記作物の出荷規格を取得する出荷規格取得部と、
前記作物が前記圃場に作付けされた状態で前記作物が前記出荷規格を満たす収穫可能期間を特定する収穫可能期間特定部と、を更に備え、
前記提示部が、前記収穫可能期間内のいずれかの日を前記収穫日として提示することを特徴とする請求項4に記載の出荷計画策定システム。
【請求項6】
前記提示部は、前記予測収穫量が前記出荷計画量未満の場合に警告を発することを特徴とする請求項4又は5に記載の出荷計画策定システム。
【請求項7】
前記予測収穫量算出部は、複数の前記圃場ごとの前記予測収穫量を算出し、
前記提示部は、前記第1の出荷日における複数の前記圃場を合わせた前記予測収穫量が前記出荷計画量を超えた場合に、複数の前記圃場のいずれかの前記収穫日として前記第2の出荷日を提示することを特徴とする請求項4~6のいずれか一項に記載の出荷計画策定システム。
【請求項8】
前記提示部は、前記第1の出荷日における複数の前記圃場ごとの前記予測収穫量を提示することを特徴とする請求項7に記載の出荷計画策定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出荷計画策定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
露地野菜等の作物の生産に際しては、複数の圃場ごとに時期をずらしながら作物を作付けすることにより、収穫期における毎日の収穫量が出荷先との間で定めた出荷契約量となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/164097号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、作物の生育量は気象条件に左右されるため実際の収穫量は日々変動し、収穫量が出荷契約量を下回ったり、あるいは収穫量が増大し過ぎて余剰が生じた入り、人手不足で収穫ができなかったりする場合がある。これを防ぐためには、日々の収穫量を事前に予測し、いつどれだけ出荷するのかを定めた出荷計画を出荷先と共有して適宜需給調整を行うことが望まれる。しかし、日々変動する気象条件を勘案して、このような出荷計画を策定するのは熟練者といえども極めて難しい作業である。
【0005】
本発明は、作物の出荷計画を自動で策定することが可能な出荷計画策定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の出荷計画策定システムは、圃場に作付けされた作物の作付日以降の前記圃場の気象情報から前記作物の生育量を予測する予測モデルを用いて予測された前記作物の日々の生育量を取得する生育量取得部と、前記生育量が出荷規格を満たす日を出荷日として提示する提示部と、を備えるシステムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の出荷計画策定システムは、作物の出荷計画を自動で策定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係る出荷計画策定システムのシステム構成図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る出荷計画策定装置の機能構成図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る生育予測装置の機能構成図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る生育予測装置が実行する生育予測方法のフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る生育量の予測処理の模式図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る出荷計画策定システムの動作を示すシーケンス図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る生育量テーブルの模式図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る出荷計画策定装置のハードウェア構成図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る出荷計画策定システムの動作を示すシーケンス図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る生育量テーブルの模式図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る提示部の提示例の模式図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る出荷計画策定システムの動作を示すシーケンス図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る出荷計画策定装置の提示部が図12のステップS148において実行する処理を示すフローチャートである。
図14図14(a)~図14(e)は、図13の処理を説明するための図である。
図15図15は、第4の実施形態に係る出荷計画策定装置の機能構成図である。
図16図16は、第4の実施形態に係る生育量テーブルの模式図である。
図17図17は、第4の実施形態に係る収穫可能期間テーブルの模式図である。
図18図18は、第4の実施形態に係る提示部の提示例の模式図である。
図19図19は、第4の実施形態に係る提示部が実行する出荷計画策定方法を示すフローチャートである。
図20図20は、本実施形態に係る日数差情報の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1の実施形態》
図1は、本第1の実施形態に係る出荷計画策定システムのシステム構成図である。
【0010】
第1の実施形態に係る出荷計画策定システム1は、圃場に作付けされた作物の出荷計画を策定するシステムであって、出荷計画策定装置2、生育予測装置3、利用者端末4、気象データ提供装置5を備える。これらの各装置は、インターネット等のネットワーク6を介して相互に接続される。
【0011】
出荷計画策定装置2は、作物の出荷計画を策定するための物理サーバや仮想サーバ等のコンピュータである。
【0012】
生育予測装置3は、出荷計画策定装置2が出荷計画を策定するのに要する作物の生育量を予測する物理サーバや仮想サーバ等のコンピュータである。一例として、生育予測装置3は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構が管理する生育量を予測するためのコンピュータである。
【0013】
利用者端末4は、生育予測装置3が必要とするパラメータを作業者が入力するためのスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末である。なお、入力作業の効率化のために利用者端末4としてPC(Personal Computer)を用いてもよい。但し、圃場で作業をする場合には携行性を重視してスマートフォンやタブレット端末を利用者端末4として用いるのが好ましい。また、利用者端末4は、出荷計画策定装置2が策定した出荷計画を取得し、それらを利用者に提示する。
【0014】
気象データ提供装置5は、生育予測装置3が作物の生育量を予測するときに必要となる気象データを生育予測装置3に提供するための物理サーバや仮想サーバ等のコンピュータである。一例として、気象データ提供装置5は、アメダスのデータを提供する気象庁が管理するサーバであるが、これに限られない。例えば、作物を作付けする圃場に最も近い位置におけるアメダスの気象データを保管し、これを提供するサーバでもよい。なお、圃場の近くに気象データを取得するための気象観測点を設け、そこで取得された過去の単年度または複数年度の平均値を気象データとして生育予測装置3が取得してもよい。
【0015】
出荷計画を策定する対象となる作物は特に限定されないが、本実施形態では露地野菜の出荷計画を策定する。そのような露地野菜としては、例えば、キャベツ、レタス、ブロッコリー、タマネギ、ネギ、及びハクサイ等がある。これらの露地野菜は、一株から複数の果実を何度かに分けて収穫できるトマト等の施設栽培の作物とは異なり、一株からは一度しか収穫できない。そのため、一株の一果ごとに時期を変えて収穫することで出荷量を微調整できるトマト等の施設栽培の作物とは異なり、露地野菜はより緻密な出荷計画が要求される。以下では、露地野菜としてキャベツを例にして説明する。
【0016】
出荷計画策定システム1について、より具体的に説明する。まず、作業者が、利用者端末4を用いて初期条件を入力する。初期条件とは、少なくとも、作物の種目、作付けする際の作物の葉面積、当該作物を作付けする圃場の位置、作付日、及び要求される当該作物の出荷規格値、例えば等級やサイズ、あるいは重量である。なお、作物の種目は作業者が利用者端末4に直接入力するのではなく、予め登録されている種目リストから選択するようにしても良い。この場合、後述する出荷計画策定装置2の記憶部22に生育予測に必要な情報として記憶されているパラメータテーブル30に登録されている作物の種目をリスト化すればよい。
【0017】
なお、利用者端末4は内部に備えた通信機能によりネットワーク6に接続可能に構成されている。
【0018】
初期条件を入力後、作業者が利用者端末4から出荷計画策定装置2に処理の実行を指示すると、出荷計画策定装置2が初期条件に合致した出荷計画(出荷予定日)の算出を開始する。出荷計画策定装置2による出荷計画の算出が終了すると、その結果が利用者端末4に表示され、出荷計画策定の処理が終了する。
【0019】
(出荷計画策定装置2)
次に、本実施形態に係る出荷計画策定装置2について説明する。図2は、出荷計画策定装置2の機能構成図である。図2に示すように、出荷計画策定装置2は、通信部21、記憶部22、及び制御部23を備える。
【0020】
通信部21は、出荷計画策定装置2をネットワーク6(図1参照)に接続するためのインターフェースである。記憶部22は、後述の生育量テーブル15、パラメータテーブル30を記憶する。
【0021】
一方、制御部23は、出荷計画策定装置2の各部を制御する処理部である。一例として、制御部23は、パラメータ取得部25、条件設定部26、生育量取得部27、判定部28、及び提示部29を備える。
【0022】
このうち、パラメータ取得部25は、出荷計画策定装置2が出荷計画を策定するのに必要な各種のパラメータを利用者端末4から取得する処理部である。各種のパラメータとは利用者端末4に入力された初期条件である。すなわち、作物を作付けする圃場の位置を示す圃場位置情報、作物の種目、作付時の作物の葉面積、作物の出荷計画日、及び出荷規格値がパラメータとなる。出荷規格値は、例えば作付けする作物の種目がキャベツの場合、キャベツの重量すなわち球重で定められるのが一般的であり、球重によりSサイズ、Mサイズ、Lサイズ等に区分される。Lサイズで出荷を予定する場合、Lサイズの出荷規格が球重2000g以上2300g以下であれば、2000gが出荷規格の最小値となり、2300gが出荷規格の最大値となる。なお、「球重」は、生育量の一例であって、キャベツの葉球の新鮮重(g)である。
【0023】
条件設定部26は、生育予測装置3が作物の生育量を算出する日(対象日)を設定する処理部である。
【0024】
生育量取得部27は、生育予測装置3が予測した対象日の生育量を取得する処理部である。
【0025】
判定部28は、生育量取得部27が取得した生育量が判定条件に合致しているか否かの判定を行う処理部である。
【0026】
提示部29は、判定部28が判定条件に合致していると判断した日を出荷予定日として利用者端末4に提示する処理部である。
【0027】
(生育予測装置3)
次に、生育予測装置3について説明する。図3は、生育予測装置3の機能構成図である。図3に示すように、生育予測装置3は、通信部11、記憶部12、及び制御部13を備える。
【0028】
通信部11は、生育予測装置3をネットワーク6に接続するためのインターフェースである。記憶部12は、作物の生育量を予測するための生育予測モデル14を記憶する。
【0029】
一方、制御部13は、生育予測装置3の各部を制御する処理部である。一例として、制御部13は、取得部16、予測部17、及び通知部18を備える。
【0030】
取得部16は、生育量を予測する際の初期値となる作物の作付日、葉面積(m2/株)、及び栽植密度(株/m2)を取得する。また、取得部16は、生育量に影響を与える作付日以降の日々の気象条件も取得する。そのような気象条件としては、例えば日々の日射量(MJ/m2)や気温(℃)(一日の平均気温)があるが、これに限られない。
【0031】
予測部17は、取得部16が取得した作付時の葉面積及び気象条件に基づいて、作物の作付後の日々の生育量を予測する処理部である。予測に際し、予測部17は、記憶部12に格納されている生育予測モデル14の中から取得部16が取得した作物の種目に対応したアルゴリズムとパラメータとを用いて予測する。
【0032】
通知部18は、予測部17が予測した結果を、ネットワーク6を介して出荷計画策定装置2に通知する。
【0033】
(生育予測装置3の処理)
次に、生育予測装置3が実行する生育予測方法について説明する。図4は、生育予測装置3が実行する生育予測方法のフローチャートである。
【0034】
まず、取得部16が、圃場の位置、作物の種目、作付時の葉面積(m2/株)、作付日等の情報を取得する(ステップS1)。後述するように、これらの情報は、利用者端末4に入力される情報である。なお、取得部16は、栽植密度(株/m2)の情報についても取得する。
【0035】
なお、この例では、圃場内の平均的な作物を複数選び、それらの作物の葉面積を一株当たりの平均値(m2/株)として取得部16が取得する。また、圃場の上空からドローンが撮影した作物の画像を基にして利用者端末4が葉面積(m2/株)を算出するようにしてもよい。更に、作業者が自ら葉面積(m2/株)を計測し、それを利用者端末4が出荷計画策定装置2に通知してもよい。
【0036】
次いで、取得部16が、作付日以降の日数を示すnの値を出荷計画策定装置2から取得する(ステップS2)。nの初期値は1であり、nは、取得のたびに1ずつ大きくなる。
【0037】
次いで、取得部16が、作付日以降の日(n日目)の圃場の気象条件を取得する(ステップS3)。取得部16は、n日目が現時点よりも過去である場合には、過去の気象条件を気象データ提供装置5から取得し、n日目が現時点よりも将来である場合には、将来の気象条件を気象データ提供装置5から取得する。過去の気象条件は、例えば、各圃場の最寄りのアメダスの観測所が観測した気象情報であり、日射量(MJ/m2)と気温(℃)が含まれる。また、将来の気象条件は、気象庁のデータベース等から取得可能な、日射量(MJ/m2)や気温(℃)などの予測値や平年値であるものとする。
【0038】
次いで、予測部17が、生育予測モデル14を用いて、n日目の作物の生育量を予測する予測処理を行う(ステップS4)。その予測処理の詳細については後述する。
【0039】
次いで、通知部18が、予測したn日目の生育量を出荷計画策定装置2に通知する(ステップS5)。
【0040】
次いで、取得部16は、新たなnを取得したか否かを判断する(ステップS6)。この判断が肯定された場合には、ステップS3に戻り、ステップS3以降の処理が繰り返し実行される。一方、ステップS6の判断が否定された場合には、図4の全処理が終了する。
【0041】
なお、図4のステップS3においては、作付日以降の所定日数分の気象条件をまとめて取得してもよい。この場合、ステップS6の判断が肯定された場合に、ステップS3ではなく、ステップS4に戻るようにすればよい。
【0042】
(ステップS4の詳細説明)
図5は、ステップS4の生育量の予測処理の模式図である。図5は、作物の種目としてキャベツが入力された場合を例にした生育量の予測処理の模式図である。予測部17は、種目としてキャベツが選択されたことを受け、記憶部12の生育予測モデル14から、予測に必要なアルゴリズムとパラメータを取得する。キャベツの生育を予測する場合のパラメータとして、生育予測モデル14にはキャベツの場合の日射利用効率(g/MJ)、葉球乾物分配率(%)、外葉乾物率(%)、葉球乾物率(%)、葉面積/新鮮重比(m2/g)等が予め記憶されている。
【0043】
なお、後述するように、日射利用効率、外葉乾物率および葉球乾物率は日平均気温に依存するとして、これらの関係を生育予測モデル14に記憶するようにしても良い。
【0044】
予測部17は、取得したアルゴリズムに従って、ステップS21からステップS28の作業を実行する。ステップS21からステップS28を1回実行することが、1日分の生育予測作業である。予測部17は、出荷計画策定装置2から指定された日に作付けが行われたものとして予測処理を実行する。
【0045】
まず、ステップS21において、作付日の翌日の予測においては入力された作付の際に想定される作物1株当たりの葉面積、作付日の翌日以降であれば、前日の予測値として算出された葉面積と日積算日射量(MJ/m2)に基づいて、日積算受光量(MJ/株)を算出する。例えば、葉面積(m2/株)と日積算日射量(MJ/m2)の積を求めることで日積算受光量(MJ/株)を得る。なお、予測部17は、気象データ提供装置5から日積算日射量を取得してもよいし、記憶部12に予め記憶しておいた日積算日射量を取得してもよい。
【0046】
次に、ステップS22に移り、予測部17が、算出した日積算受光量(MJ/株)から、当日の日乾物生産量(g/株)を算出する。この日乾物生産量の算出において、予測部17は、作物が受光した日射の物理エネルギーあたりの光合成産物の生産量を表す日射利用効率(g/MJ)を用いる。例えば、予測部17は、日積算受光量(MJ/株)と日射利用効率(g/MJ)の積から日乾物生産量(g/株)を得る。なお、日射利用効率(g/MJ)は、日平均気温によって異なる値が与えられてもよい。
【0047】
次いで、ステップS23に移り、予測部17が、前日までの乾物重(g/株)に、ステップS22で算出した日乾物生産量(g/株)を加算(図示せず)することで、当日の株の乾物重(g/株)を算出する。
【0048】
続いて、ステップS24に移り、予測部17が、株の乾物重(g/株)と株の乾物重(g/株)に占める葉球乾物重(g/株)の割合を示す葉球乾物分配率(%)とを用いて、葉球乾物重(g/株)と外葉乾物重(g/株)とを算出する。なお、キャベツは、外葉乾物重(g/株)がある程度増加しないと葉球乾物重(g/株)が増加しない特性がある。すなわち、葉球乾物分配率(%)は外葉乾物重(g/株)に依存し、外葉乾物重(g/株)が所定の重量よりも小さいときは、葉球乾物重(g/株)を求める葉球乾物分配率(%)は「0」としてもよい。
【0049】
次に、ステップS25に移り、予測部17が、ステップS24で算出した外葉乾物重(g/株)と、外葉の新鮮重(g/株)に占める乾物重(g/株)の割合を示す外葉乾物率(%)とに基づいて外葉新鮮重(g/株)を算出する。例えば外葉乾物重(g/株)と外葉の新鮮重(g/株)に占める乾物重(g/株)の割合を示す外葉乾物率(%)の積から外葉新鮮重(g/株)が算出される。なお、外葉乾物率(%)は日平均気温によって異なる値が与えられてもよい。
【0050】
続いて、ステップS26に移り、予測部17が、ステップS24で算出した葉球乾物重(g/株)と葉球の新鮮重(g/株)に占める乾物重(g/株)の割合を示す葉球乾物率(%)とに基づいて葉球新鮮重(g/株)を算出する。例えば、予測部17は、葉球乾物重(g/株)と葉球の新鮮重(g/株)に占める乾物重(g/株)の割合を示す葉球乾物率(%)の積から葉球新鮮重(g/株)を得る。なお、葉球乾物率(%)は日平均気温によって異なる値が与えられてもよい。この葉球新鮮重(g/株)が、生育量テーブル15における「球重」となる。
【0051】
次いで、ステップS28に移り、予測部17が、外葉の新鮮重(g/株)に対する葉面積と新鮮重の割合を示す葉面積/新鮮重比(m2/g)と外葉新鮮重(g/株)の積を取ることで葉面積(m2/株)を算出する。これで1日分の予測が終了する。生育予測装置3は、出荷計画策定装置2からnの値が入力されるたびに、作付日からn日目の生育量を予測するために、上記処理を実行する。
【0052】
(出荷計画策定システム1の動作)
図6は、第1の実施形態に係る出荷計画策定システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0053】
まず、出荷計画策定システム1の処理が開始されると、利用者端末4が圃場の位置情報(L)、作付作物の種目(F)、作付時の葉面積(S)、作付日(D)、及び出荷規格あるいは出荷規格値としての球重の最小値(Wmin)の入力を受け付け、各パラメータL、F、S、D、Wminにこれらの各値を入力する(ステップS31~S35)。なお、利用者端末4で出荷規格が指定された場合は、出荷計画策定装置2のパラメータテーブル30を参照し入力された出荷規格の球重の最小値を利用者端末4が取得するようにすればよい。
【0054】
次いで、利用者端末4が、これらのパラメータL、F、S、D、Wminを出荷計画策定装置2に通知し(ステップS36)、出荷計画策定装置2のパラメータ取得部25がこれらのパラメータを取得する。
【0055】
次に、出荷計画策定装置2の条件設定部26が、生育量を予測する対象日を特定するパラメータnに1を代入する(ステップS37)。n=1の場合、対象日は、作付日の1日後(栽培日数=1日)を意味する。
【0056】
続いて、出荷計画策定装置2が、各パラメータL、F、S、D、nを生育予測装置3に通知する(ステップS38)。
【0057】
次に、生育予測装置3の取得部16が、パラメータLが示す圃場の位置情報に基づいて、気象データ提供装置5であるアメダスから、圃場に最も近い場所の対象日(n日目)の気象データを取得する(ステップS39)。
【0058】
続いて、生育予測装置3が、各パラメータF、S、D、nに基づいて、Dに作付けした場合のD+nにおける球重Weを算出する(ステップS40)。球重Weの算出に当たっては、既述したステップS21からステップS28の1日分が用いられる。
【0059】
次に、生育予測装置3が出荷計画策定装置2に算出された球重Weを通知し(ステップS41)、出荷計画策定装置2の生育量取得部27が球重Weを取得する。生育量取得部27は、図7に示すような生育量テーブル15に、球重Weの情報を格納する。ここで、生育量テーブル15は、図7に示すように、作付日から数えた「栽培日数」(n)に対応付けて、「日付」と、当該日付における生育量を意味する「球重」と、を時系列順に並べたテーブルである。図7の場合、生育量テーブル15には、例えば、栽培日数67日目の10月21日に、球重が1880gになると予測されたことが記録されている。
【0060】
次いで、出荷計画策定装置2の判定部28が、球重Weが出荷規格の最小値Wmin以上かを判定する(ステップS42)。
【0061】
この判定が否定された場合には条件設定部26がnを1だけインクリメントし(ステップS43)、その後ステップS38からやり直す。
【0062】
一方、ステップS42の判定が肯定された場合にはステップS44に移る。図7の例において、例えば、出荷規格の最小値Wminが2000gであった場合には、n=69の10月23日のときにステップS42の判定が肯定される。
【0063】
ステップS44では、出荷計画策定装置2の判定部28が、作付日Dを起算点にしたn日目が収穫可能日であるとして利用者端末4に提示する。そして、利用者端末4は利用者にその収穫可能日を出荷予定日として提示する(ステップS45)。以上により処理を終える。
【0064】
(ハードウェア構成)
次に、本第1の実施形態に係る出荷計画策定装置2のハードウェア構成について説明する。
【0065】
図8は、出荷計画策定装置2のハードウェア構成図である。図8に示すように、出荷計画策定装置2は、記憶装置2a、メモリ2b、プロセッサ2c、通信インターフェース2d、及び媒体読取装置2gを有する。これらの各部は、バス2hにより相互に接続される。
【0066】
このうち、記憶装置2aは、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の不揮発性のストレージであって、本実施形態に係る出荷計画策定プログラム100を記憶する。
【0067】
なお、出荷計画策定プログラム100をコンピュータが読み取り可能な記録媒体2kに記録し、媒体読取装置2gを介してプロセッサ2cにその出荷計画策定プログラム100を読み取らせるようにしてもよい。
【0068】
そのような記録媒体2kとしては、例えばCD-ROM(Compact Disc Read only memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の物理的な可搬型記録媒体がある。また、フラッシュメモリ等の半導体メモリやハードディスクドライブを記録媒体2kとして使用してもよい。これらの記録媒体2kは、物理的な形態を持たない搬送波のような一時的な媒体ではない。
【0069】
更に、公衆回線、インターネット、及びLAN等に接続された装置に出荷計画策定プログラム100を記憶させてもよい。その場合は、プロセッサ2cがその出荷計画策定プログラム100を読み出して実行すればよい。
【0070】
一方、メモリ2bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等のようにデータを一時的に記憶するハードウェアであって、その上に出荷計画策定プログラム100が展開される。
【0071】
プロセッサ2cは、出荷計画策定装置2の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphical Processing Unit)等のハードウェアである。また、プロセッサ2cは、メモリ2bと協働して出荷計画策定プログラム100を実行する。
【0072】
このようにメモリ2bとプロセッサ2cとが協働して出荷計画策定プログラム100を実行することにより、図2の制御部23の機能が実現される。
【0073】
更に、通信インターフェース2dは、出荷計画策定装置2をネットワーク6(図1参照)に接続するためのNIC(Network Interface Card)等のハードウェアである。その通信インターフェースにより通信部21(図2参照)が実現される。
【0074】
媒体読取装置2gは、記録媒体2kを読み取るためのCDドライブ、DVDドライブ、及びUSBインターフェース等のハードウェアである。
【0075】
以上詳細に説明したように、本第1の実施形態によると、出荷計画策定システム1は、圃場に作付けされた作物の作付日以降の圃場の気象情報(日射量や気温)から作物の生育量を予測する生育予測モデル14を用いて予測された作物の日々の生育量を取得する生育予測装置3と、生育量が出荷規格を満たす日(球重Weが出荷規格の最小値Wmin以上となる日)を収穫可能日(出荷予定日)として提示する出荷計画策定装置2と、を備える。これにより、本第1の実施形態では、出荷規格を満たす球重Weの作物を収穫できると予測される日を作業者に提供することができる。
【0076】
なお、上記第1の実施形態では、図6のステップS35において、作業者が作付日を入力し、ステップS34において、作業者が作付日の葉面積を入力する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、作業者は、作付日に代えて、葉面積を調査した調査日を入力してもよい。また、作業者は、作付時の葉面積に代えて、調査日の葉面積を入力してもよい。この場合、生育予測装置3においては、調査日の葉面積を初期値として、調査日からn日目の生育量を予測することができる。したがって、作業者は、新たに葉面積を調査した場合に、その調査日と葉面積を入力することで、より精度よく将来の生育量を予測することができる。また、調査日までは過去の気象情報を用い、調査日以降は平年値や予測値を用いることができるため、全ての気象情報として平年値や予測値を用いる場合に比べ、精度よく生育量を予想することができる。
【0077】
《第2の実施形態》
図9は、第2の実施形態に係る出荷計画策定システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0078】
なお、上記第1の実施形態では、球重が出荷規格値の最小値(最低重量)に達すると予測される日を収穫可能日として提示する場合について説明したが、本第2の実施形態では、球重が出荷規格の最小値(最低重量)と最大値(最大重量)との間にある期間を収穫可能期間として提示するものとする。
【0079】
図9に示すように、本第2の実施形態では、まず、利用者端末4が、圃場の位置情報(L)、作付けした作物の種目(F)、作付時の葉面積(S)、作付日(D)、出荷規格値としての球重の最小値(Wmin)及び最大値(Wmax)の入力を受け付け、L、F、S、D、Wmin、Wmaxの各パラメータに入力する(ステップS131~S136)。なお、出荷規格値に代えて出荷規格の入力を受けるようにしてもよいのは第1の実施形態と同様である。
【0080】
次いで、利用者端末4が、これらのパラメータL、F、S、D、Wmin、Wmaxを出荷計画策定装置2に通知し(ステップS137)、出荷計画策定装置2のパラメータ取得部25がこれらのパラメータを取得する。
【0081】
次に、出荷計画策定装置2の条件設定部26が、生育量を予測する対象日を特定するパラメータnに1を代入する(ステップS138)。
【0082】
続いて、出荷計画策定装置2が、各パラメータL、F、S、D、nを生育予測装置3に通知する(ステップS139)。
【0083】
次に、生育予測装置3の取得部16が、パラメータLが示す圃場の位置情報に基づいて、気象データ提供装置5であるアメダスから、圃場に最も近い場所の対象日(n日目)の気象データを取得する(ステップS140)。
【0084】
続いて、生育予測装置3が、各パラメータF、S、D、nに基づいて、Dに作付けした場合のD+nにおける球重Weを算出する(ステップS141)。球重Weの算出に当たっては、既述したステップS21からステップS28の1日分が用いられる。
【0085】
次に、生育予測装置3が出荷計画策定装置2に算出された球重Weを通知し(ステップS142)、出荷計画策定装置2の生育量取得部27が球重Weを取得する。生育量取得部27は、図10に示すような生育量テーブル15に、球重Weの情報を格納する。
【0086】
次いで、出荷計画策定装置2の判定部28が、球重Weが出荷規格の最大値Wminよりも大きいかを判定する(ステップS143)。この判定が否定された場合にはステップS144に移り、条件設定部26がnを1だけインクリメントし、その後ステップS139からやり直す。
【0087】
一方、ステップS143の判定が肯定された場合にはステップS145に移る。図10の例において、例えば、出荷規格の最大値Wmaxが2300gであった場合には、n=73の10月27日のときにステップS143の判定が肯定される。
【0088】
ステップS145では、出荷計画策定装置2の提示部29が、Wmin≦We≦Wmaxとなる期間を収穫可能期間として抽出する。図10の例において、Wmin=2000g、Wmax=2300gであった場合には、10月23日から10月26日が収穫可能期間として抽出される。そして、提示部29は、利用者端末4に収穫可能期間を出荷予定期間として提示する(ステップS146)。そして、利用者端末4は利用者にその出荷予定期間を提示する(ステップS147)。例えば、利用者端末4においては、図11に示すような出荷予定期間を示す表を作業者に提示することができる。以上により処理を終える。
【0089】
以上説明したように、本第2の実施形態によると、出荷計画策定システム1は、圃場に作付けされた作物の作付日以降の圃場の気象情報(日射量や気温)から作物の生育量を予測する生育予測モデル14を用いて予測された作物の日々の生育量を取得する生育予測装置3と、生育量が出荷規格を満たす日(球重Weが出荷規格の最小値Wmin以上で、最大値Wmax以下となる期間)を収穫可能期間として提示する出荷計画策定装置2と、を備える。これにより、本第2の実施形態では、出荷規格を満たす球重Weの作物を収穫できると予測される期間を作業者に提供することができる。
【0090】
なお、上記第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様、作業者は、ステップS135において調査日を入力し、ステップS134において調査日の葉面積を入力してもよい。作業者が新たに葉面積を調査した場合に、その調査日と葉面積を入力することで、より精度よく将来の生育量を予測することができる。
【0091】
《第3の実施形態》
次に、本第3の実施形態に係る出荷計画策定システム1について詳細に説明する。上記第2の実施形態では、収穫可能期間をそのまま出荷予定期間として作業者に提示する場合について説明した。しかしながら、収穫量は作付時の作付量で定まるが、契約した出荷量に上限があるほか、収穫作業や調整、箱詰作業の人員、作業機械の能力の都合で1日に出荷できる量に限界がある場合もある。このような場合、収穫・出荷作業を分散し、数日にわたって収穫や出荷を行う必要がある。本第3の実施形態では、1日当たりに収穫・出荷できる作物の量を考慮して、各収穫可能日においてどの程度の量を出荷できるかを作業者に提示する。
【0092】
本第3の実施形態では、1つの作付日に作付けした作物を、いつ、どれくらいの量だけ収穫・出荷するのかを提示する例について説明する。図12は、本第3の実施形態に係る出荷計画策定システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0093】
本第3の実施形態においては、ステップS131~S145は、上記第2の実施形態と同様となっている。ステップS145では、図14(a)に示すような収穫可能期間が抽出されているものとする。
【0094】
ステップS145の後は、ステップS148に移行する。ステップS148では、提示部29が、収穫可能期間に基づいて出荷計画を策定する処理を実行する。具体的には、提示部29は、ステップS148において、図13のフローチャートに沿った処理を実行する。以下、図13の処理について詳細に説明する。
【0095】
図13の処理においては、まず、ステップS202において、提示部29は、各収穫可能日の優先順位kの入力を受け付ける。作業者は、利用者端末4から、例えば、図14(b)に示すような優先順位を入力する。なお、優先順位kは、値が小さいほど優先度が高いことを意味する。なお、提示部29は、予め定められた方法(例えば、日付が早いほど優先順位を高く設定するなどの方法)で優先順位を自動的に設定してもよい。
【0096】
次いで、ステップS204では、提示部29は、1日当たりの出荷計画量の入力を受け付ける。作業者は、利用者端末4から、例えば、図14(c)において太線枠で示す領域Hのような出荷計画量を入力する。なお、出荷計画量は、キャベツの球数を意味する。
【0097】
次いで、ステップS206では、提示部29は、作付日の作付量の入力を受け付ける。作業者は、利用者端末4から、例えば、図14(c)において太線枠で示す領域Iに示すような作付日の作付量を入力する。なお、作付量は、キャベツの苗の数である。また、作付量は、栽培中に病虫害等で減少することがあるので、減少量を調査して作付量から差し引いた値を入力してもよい。
【0098】
次いで、ステップS208では、提示部29は、優先順位を示すパラメータkに1を代入する。
【0099】
次いで、ステップS210では、提示部29は、優先順位kの収穫可能日に作付量に基づく出荷量を代入する。例えば、図14(d)において太線枠で示す領域Jのように、10月23日に作付日に作付けした全てを出荷するとして、全作付量を10月23日の出荷量とする。なお、ここでは、作付けした苗の全てから1つずつキャベツの球を出荷できると仮定している。
【0100】
次いで、ステップS212では、提示部29は、k番目の収穫可能日の出荷量が出荷計画量以下かを判定する。なお、このステップS212の判定が肯定される場合には、それ以上処理を行う必要が無いため、図13の処理は終了する。一方、図14(d)のように出荷量(3000)よりも出荷計画量(2000)の方が少ない場合、ステップS212の判定は否定される。
【0101】
ステップS212の判定が否定され、ステップS214に移行すると、提示部29は、k+1番目の収穫可能日があるか判定する。この判定が肯定された場合には、ステップS216に移行し、提示部29は、k番目の収穫可能日の超過量をk+1番目の収穫可能日の出荷量に代入する。図14(e)の場合、10月23日の余剰分(1000)を次の優先順位の日(10月24日)の出荷量に代入する(太線枠の領域L参照)。その後は、提示部29は、ステップS220において、kを1インクリメント(k←k+1)し、ステップS212に戻る。例えば、図14(e)の場合、10月24日の出荷量が出荷計画量以下であるので、ステップS212の判定が肯定される。その結果、図13の全処理が終了する。
【0102】
一方、ステップS214の判定が否定された場合、すなわち、余剰分があるにもかかわらず、次の優先順位の収穫可能日がない場合には、提示部29は、ステップS218に移行する。ステップS218に移行すると、提示部29は、余剰量が発生すると判定する。その後は、図13の全処理が終了する。
【0103】
図12に戻り、出荷計画策定装置2において、ステップS148が行われた後は、策定した出荷計画(例えば図14(e))や、余剰発生の有無を利用者端末4に提示する(ステップS149)。そして、利用者端末4は利用者にその出荷計画や余剰発生の有無を提示する(ステップS150)。以上により処理を終える。本第3の実施形態では、図14(e)に示すような情報が利用者端末4に表示されるので、利用者は、各日にどの程度の量を収穫し、出荷すればよいかを確認することができる。
【0104】
以上説明したように、本第3の実施形態によると、提示部29が、ある圃場において「出荷量」のうちで「出荷計画量」を超えた部分を収穫する日を、第1の出荷日とは異なる第2の出荷日に自動的にずらす。そのため、熟練者でも難しい作物の出荷計画を簡単に策定することができる。
【0105】
しかも、第1の出荷日の出荷量が出荷計画量よりも多くなる事態を避けることができるため、作物を多量に収穫するための人員を確保する必要がなく、更に契約先と契約した出荷計画量を日々出荷することができる。
【0106】
《第4の実施形態》
次に、第4の実施形態に係る出荷計画策定システム1について詳細に説明する。上記第3の実施形態では、1つの作付日に作付けした作物を、いつ、どれくらいの量だけ収穫・出荷するのかを提示する例について説明したが、一般的には、出荷は一定期間継続して行われるものであり、それを可能にするために作付日も複数日ある。本第4の実施形態では、複数の作付日がある場合に、一定期間にわたり出荷計画に沿って作物を出荷するために、複数の作付日に作付けした作物をどのように収穫・出荷すればよいかを示す出荷計画を策定するものである。
【0107】
図15は、本第4の実施形態に係る出荷計画策定装置2の機能構成図である。図15に示すように、本第4の実施形態に係る出荷計画策定装置2は、記憶部22において、生育量テーブル15と、収穫可能期間テーブル24と、パラメータテーブル30を記憶している。パラメータテーブル30については、上記第1の実施形態と同様である。
【0108】
(生育量テーブル15)
【0109】
図16は、生育量テーブル15の模式図である。図16に示すように、生育量テーブル15は、作付日から数えた「栽培日数」と「球重」を対応付けてこれらを圃場ごとに時系列順に並べたテーブルである。
【0110】
本実施形態では、出荷計画策定システム1が、圃場ごとに、図9のステップS131~S145の処理を実行することで、図16の生育量テーブル15が得られる。
【0111】
(収穫可能期間テーブル24)
図17は、収穫可能期間テーブル24の模式図である。収穫可能期間テーブル24は、作物が栽培時において出荷規格を満たす期間を示す情報であり、提示部29が、第2の実施形態と同様の収穫可能期間を生育量テーブル15に基づいて圃場ごとに作成する。
【0112】
例えば、前述のようにキャベツの出荷規格(Lサイズ)が葉球重で2000g以上2300kg以下の場合を考える。この場合、提示部29は、生育量テーブル15において葉球重が2000g以上2300kg以下となる期間を特定する。そして、提示部29は、特定した期間内の日付と、当該日付における葉球重とを対応付けて収穫可能期間テーブル24に格納する。図17の例では、「圃場1」において11月22日~11月26日の期間が収穫可能期間となる。
【0113】
(提示部29)
提示部29は、図16の生育量テーブル15から作成される収穫可能期間テーブル24(図17)を用いて、図18に示すような圃場と出荷日とを対応付けた出荷予定テーブル32を作成し、利用者端末4に提示する。なお、収穫可能期間テーブル24に格納されている圃場ごとの日付は、上記第2実施形態で説明した収穫可能期間に相当する。
【0114】
なお、提示部29は、出荷予定テーブル32を作成するにあたり、作物の複数の出荷日ごとの出荷計画量を取得する。例えば、作物がキャベツの場合は、出荷日に出荷する予定のキャベツの球の個数が出荷計画量となる。一例として、11月27日は1000球、11月26日は2000球、…等のように出荷日と球数とを対応付けた情報を提示部29は取得する。
【0115】
なお、出荷計画量の取得先は特に限定されず、例えば作業者が利用者端末4に出荷日ごとの出荷計画量を入力し、これらの情報を利用者端末4が出荷計画策定装置2に通知することにより、提示部29が出荷計画量を取得する。なお、出荷計画量は、作物の生産者と当該作物を購入する購買者との間の契約で決まる量であり、原則的には契約を締結した時点で固定される。但し、購買者が販売した作物の売れ行きが好調だったり逆に不調だったりした場合には、途中で出荷計画量が変更される場合もある。その場合には、提示部29は、変更後の出荷計画量を改めて取得する。
【0116】
また、提示部29は、出荷予定テーブル32を作成するにあたり、利用者端末4から圃場ごとの作物の作付量を取得する。作物がキャベツの場合、提示部29は、圃場ごとの株数(球数)を利用者端末4から作付量として取得する。なお、作付量は、栽培中に病虫害等で減少することがあるので、減少量を調査して作付量から差し引いた値を取得してもよい。
【0117】
(出荷予定テーブル32)
図18は、提示部29が利用者端末4に提示する出荷予定テーブル32の模式図である。
【0118】
出荷予定テーブル32は、作物の出荷計画を示すテーブルである。その出荷予定テーブル32においては、項目32aに示すように、「圃場名」、「面積(a)」、及び「株数」が対応付けられる。このうち、「面積(a)」は各圃場の面積である。
【0119】
一方、「株数」は、「作付」、「収穫」、及び「余剰」を相互に対応付けてなる。「作付」は、対応する圃場に作付けられている作物の株数を示す。また、「収穫」は、その圃場から最終的に収穫される全ての株数の総数を示す。そして、「余剰」は、その圃場で収穫されず余剰となる株数を示す。
【0120】
なお、「作付」、「圃場名」、「面積(a)」は、パラメータ取得部25が、利用者端末4から取得する。
【0121】
また、出荷予定テーブル32の項目32bは、「計画(球)」、「予測(球)」、及び「不足(球)」を対応付けてなる。なお、キャベツでは一つの株から一つの球を収穫するので、株と球の数は同じとなる。
【0122】
このうち、「計画(球)」は、出荷計画で定められた出荷日ごとの球数であり、提示部29が取得した出荷計画量である。「予測(球)」は、対応する出荷日において全ての圃場から収穫される予定の球数を示す。「不足(球)」は、「計画(球)」と「予測(球)」との差であり、対応する出荷日において不足すると見込まれる球数を示す。
【0123】
そして、出荷予定テーブル32においてハッチングが掛けられた領域32cは、各々の圃場における収穫可能期間に相当する。当該収穫可能期間は、提示部29が、収穫可能期間テーブル24から特定する。
【0124】
また、領域32cにおける各セルの数値は、提示部29が提示した圃場、出荷日ごとの予測収穫量を示す。
【0125】
例えば「圃場1」について考える。11月22日~11月26日が「圃場1」の収穫可能期間であるとする。「圃場1」の作付けは「8000」であるから、日々の予測収穫量を調節しない場合には、11月22日には8000球を収穫できる。しかし、これでは11月22日の「計画(球)」である「2600」を超えてしまう。
【0126】
そこで、提示部29は、「2600」を超えた部分の予測収穫量を収穫する日を、11月22日とは異なる収穫可能期間内のいずれかの日にずらす。「圃場1」の収穫可能期間が11月22日~11月26日であるので、提示部29は、「圃場1」の収穫可能期間内にある11月22日、11月23日、11月24日、11月25日、11月26日の予測収穫量をそれぞれ「2600」、「2600」、「2000」、「800」、「0」とする。これにより、「圃場1」の「作付」である「8000」のうち11月22日の「計画(球)」である「2600」を超えた部分が、11月22日よりも後の日の「圃場1」の予測収穫量となる。
【0127】
このように、提示部29は、領域32cにおいて「0」以外の値が入った出荷日を、出荷計画量を超えた部分を収穫する収穫日として提示する。
【0128】
また、提示部29は、収穫可能期間にない日には予測収穫量を格納しないことにより、収穫可能期間にない日を収穫日として提示しない。これにより、提示部29は、作物が出荷規格を満たしている状態にある日を収穫日として提示することができ、取引先との契約で定められた出荷規格を満たす作物を収穫できるようになる。
【0129】
更に、提示部29は、「圃場2」についても同様の措置を行うことにより、「圃場1」のみの収穫量では「計画(球)」に満たない11月25日において、全ての圃場を合わせた予測収穫量が「計画(球)」の「1500」に等しくなるようにする。これにより、11月25日における全ての圃場を合わせた予測収穫量を「計画(球)」に等しくすることができ、取引先との契約を履行することができる。
【0130】
なお、図18は、提示部29が全ての出荷日における全ての圃場の予測収穫量を調整し終えた状態を示している。調整前においては、領域32cにおける各圃場の収穫可能期間の初日のセルに提示部29が算出した予測収穫量が格納され、それ以外のセルには「0」が格納される。
【0131】
更に、提示部29は、「予測(球)」<「計画(球)」となる出荷日がある場合、当該出荷日における「不足(球)」に記号「▲」と不足分の数量とを表示することで警告を表示する。また、提示部29は、「収穫」>「作付」となる圃場がある場合、当該圃場における「余剰」に株数を表示することで、その発生を提示する。
【0132】
これにより、作業者が、その出荷日において「計画(球)」よりも「予測(球)」が下回ってしまうことや収穫が余剰となることを事前に把握することができる。
【0133】
領域32cにおける各セルの予測収穫量の算出方法は特に限定されない。本実施形態では、提示部29は、以下の手順に従って予測収穫量を提示する。
【0134】
まず、以下のように各パラメータを設定する。
【0135】
・Sij…i番目の圃場のj日目の出荷日における予測収穫量
・Pj…j日目の出荷日における「計画(球)」
・Qi…i番目の圃場の「作付」
・Lj…j日目の出荷日の「不足(球)」
・Ri…i番目の圃場の「余剰」
なお、予測収穫量Sijの初期値は、前述のように提示部29が算出した予測収穫量である。また、計画(球)Pj及び作付Qiは、提示部29が取得した出荷計画量及び圃場ごとの作付量である。
【0136】
次に、提示部29は、式(1)の不等式が成立するかを判定する。
【数1】
式(1)のNは圃場の総数である。式(1)の左辺はj日目の出荷日におけるi番目の圃場を除いた他の全ての圃場で収穫可能な予測収穫量である。
【0137】
式(1)の不等式が成立する場合、j日目の出荷日における出荷計画量はi番目の圃場を除いた他の全ての圃場の予測収穫量で満たされているので、提示部29は、i番目の圃場のj日目の出荷日における予測収穫量Sijに0を入力する(Sij←0)。
【0138】
一方、式(1)の不等式が成立しない場合、提示部29は、次の式(2)の不等式が成立するかを判定する。
【0139】
【数2】
式(2)の左辺第1項-左辺第2項は、j日目の出荷日に収穫可能なi番目の圃場での予測収穫量である。また、左辺第3項は、j日目の出荷日に、i番の圃場を除いた他の全ての圃場で収穫可能な予測収穫量である。よって、式(2)の左辺全体は、j日目の出荷日に収穫可能な予測収穫量を示し、式(2)は当該予測収穫量がj日目の出荷日における「計画(球)」を超えていることを示す。
【0140】
式(2)の不等式が成立する場合、提示部29は、i番目の圃場のj日目の出荷日における予測収穫量Sijを次の式(3)のように更新する。
【0141】
【数3】
【0142】
一方、式(1)の不等式が成立しない場合、提示部29は、i番目の圃場のj番目の出荷日における予測収穫量Sijを次の式(4)のように更新する。
【0143】
【数4】
提示部29は、式(1)~(4)に従って全てのiとjについて予測収穫量Sijを更新する。
【0144】
そして、更新が終了した後に、提示部29は、全ての出荷日jについて不足(球)Ljを以下の式(5)に従って算出する。
【0145】
【数5】
更に、提示部29は、次の式(6)に従って全ての圃場iについて余剰Riを算出する。
【0146】
【数6】
なお、Mは、出荷計画における最も遅い出荷日である。
【0147】
(出荷計画策定方法について)
次に、本第4の実施形態に係る出荷計画策定方法について説明する。図19は、本第4の実施形態に係る出荷計画策定方法のフローチャートである。
【0148】
なお、図19のフローチャートが開始される前提として、出荷計画策定装置2内において、生育量テーブル15は作成済みであり、生育量テーブル15に基づいて、収穫可能期間テーブル24も作成済みであるものとする。
【0149】
図19の処理が開始されると、提示部29が、利用者端末4から複数の出荷日ごとの出荷計画量を取得する(ステップS330)。
【0150】
続いて、提示部29が、作物の圃場ごとの作付量を利用者端末4から取得する(ステップS332)。
【0151】
次に、提示部29が、収穫可能期間テーブル24に基づいて、出荷予定テーブル32を作成・更新する(ステップS334)。このとき、提示部29は、作付当初の収穫計画日と、現在の収穫予測日との日数差を示す日数差情報を利用者端末4に提示する。
【0152】
図20は、利用者端末4に提示された日数差情報40の模式図である。図20に示すように、日数差情報40は、作付当初の収穫計画日40aと現在の収穫予測日40bとの日数差40cを圃場ごとに示す情報である。
【0153】
収穫計画日40aは、作付日において、生育予測装置3が収穫可能期間に達すると判断した日である。一方、収穫予測日40bは、生育予測装置3が最新の気象情報を用いて生育量を予測し、当該予測結果に基づいて、生育予測装置3が収穫可能期間に達すると判断した日である。
【0154】
このような日数差情報40を作業者に提示することにより、作業者は、平年と比べて収穫日がどの程度ずれているのかを把握することができる。
【0155】
ステップS334を初めて行ったときは、出荷予定テーブル32の領域32cにおける各圃場の収穫可能期間の初日のセルに提示部29が取得した予測収穫量が格納され、それ以外のセルには「0」が格納される。
【0156】
次いで、提示部29が、出荷予定テーブル32における複数の出荷日のうちで、「予測(球)」>「計画(球)」となる出荷日があるかを判定する(ステップS336)。
【0157】
ここで、「予測(球)」>「計画(球)」となる出荷日がある(YES)と判定された場合にはステップS338に移る。
【0158】
ステップS338では、提示部29が、「予測(球)」>「計画(球)」となる出荷日(第1の出荷日)に対応したある圃場において、「予測(球)」のうちで「計画(球)」を超えた部分の収穫量の全て、或いは、一部を収穫可能期間内の第1の出荷日とは異なる第2の出荷日にずらす。ずらす方向は第1の出荷日の前でも後でもよいが、本実施形態では第1の出荷日よりも後にずらす。これにより、作物に圃場が存在している期間が長くなるため、第1の出荷日よりも前にずらす場合と比較して作物を成熟させることができる。
【0159】
一例として、提示部29は、前述の式(1)~(6)に従って予測収穫量Sijを更新することにより、上記のように「予測(球)」のうちで「計画(球)」を超えた部分を収穫する日を後日にずらす。その後、再びステップS334に戻る。
【0160】
一方、ステップS336において「予測(球)」>「計画(球)」となる出荷日がない(NO)と判定された場合にはステップS340に移る。
【0161】
ステップS340においては、出荷予定テーブル32の出荷日のうちで、「予測(球)」<「計画(球)」となる出荷日があるかを判定する。
【0162】
「予測(球)」<「計画(球)」となる出荷日がある場合(YES)は、当該出荷日において「予測(球)」が「計画(球)」よりも不足してしまう。よって、この場合にはステップS342に移り、提示部29が利用者端末4に警告を提示して、処理を終える。一例として、提示部29は、図18に示したように、記号「▲」と不足分の数量とを表示することで警告を表示する。
【0163】
一方、ステップS336とステップS340のそれぞれの判定が否定された場合には、全ての出荷日において「予測(球)」=「計画(球)」となる。この場合は、「予測(球)」が「計画(球)」に対して不足がないため収穫日をずらす必要がない。よって、この場合にはステップS336で作成・更新した出荷予定テーブル32を利用者端末4に提示し(ステップS344)、処理を終える。
【0164】
なお、処理の結果、図18の出荷予定テーブル32の項目32aに示すように、収穫株数に「余剰」が発生することがある。この場合、作付けした株が出荷されずに無駄になるので、出荷計画量を増やして、再度ステップS330からの処理を開始してもよい。
【0165】
以上により、本第4の実施形態に係る出荷計画策定方法の基本的な処理を終える。
【0166】
以上説明した本第4の実施形態によれば、ステップS338において、提示部29が、ある圃場において「予測(球)」のうちで「計画(球)」を超えた部分を収穫する日を、第1の出荷日とは異なる第2の出荷日に自動的にずらす。そのため、熟練者でも難しい作物の出荷計画を簡単に策定することができる。
【0167】
更に、ステップS336の判定で使用する出荷予定テーブル32は、ステップS334において、取得した収穫可能期間テーブル24に基づいて提示部29が作成する。収穫可能期間テーブル24は、作付日以降の気象情報から作成されるため、出荷予定テーブル32に当該気象情報を反映させることができ、出荷予定テーブル32の予想収穫日を高精度で予測できる。
【0168】
しかも、「予測(球)」<「計画(球)」となる出荷日がある場合には、提示部29がステップS340で警告を提示する(S342)。そのため、該当の出荷日における出荷量が契約で定めた「計画(球)」を下回ることを作業者が契約先に事前に伝えることができる。
【0169】
また、第1の出荷日の予測収穫量が「計画(球)」よりも多くなる事態を予め察知することができるため、作物を多量に収穫するための人員や新たな販売先を確保することで、作付けした作物を無駄なく出荷することができる。
【0170】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0171】
例えば、上述の実施形態では図1のように出荷計画策定装置2と生育予測装置3とをそれぞれ別々のハードウェアとしたが、生育予測装置3の機能を出荷計画策定装置2に持たせることで、生育予測装置3を不要としてもよい。
【符号の説明】
【0172】
1…出荷計画策定システム、2…出荷計画策定装置、3…生育予測装置、4…利用者端末、5…気象データ提供装置、6…ネットワーク、11…通信部、12…記憶部、13…制御部、14…生育予測モデル、15…生育量テーブル、16…取得部、17…予測部、18…通知部、21…通信部、22…記憶部、23…制御部、24…収穫可能期間テーブル、25…パラメータ取得部、26…条件設定部、27…生育量取得部、28…判定部、29…提示部、32…出荷予定テーブル、40…日数差情報。
図1
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