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特開2023-140102拡張ユニット、シート給送装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140102
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】拡張ユニット、シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/04 20060101AFI20230927BHJP
   B65H 3/48 20060101ALI20230927BHJP
   B65H 1/12 20060101ALI20230927BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
B65H1/04 310C
B65H3/48 310Z
B65H1/12 310C
B65H1/26 310S
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022045971
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】児島 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】紺野 和法
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC01
3F343FC17
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343JD28
3F343LA04
3F343LA15
3F343LC02
3F343LC04
3F343LC12
3F343LC14
3F343LC19
3F343MA04
3F343MA09
3F343MA18
3F343MB04
3F343MB09
3F343MC17
3F343MC20
(57)【要約】
【課題】生産性を高めた場合でも、長尺シート給送時の重送を抑制することができる拡張ユニット、シート給送装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】シート積載部に積載されたシート束の先端側にエアを吹き付けてシート束の最上位シートをシート束から分離させて最上位シートを給送する給送装置に取り付けられ積載可能なシート搬送方向長さを拡張する拡張カートリッジたる拡張ユニットは、延長シート積載部材たる延長積載台213を備えている。延長積載台213は、ベース部材213bと、複数の小底板220a~220cが連結された傾斜底板213aとを有しており、シート積載部のシート積載面に対する傾斜角度および傾斜開始位置が変更可能となっている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート積載部に積載されたシート束の先端側にエアを吹き付けて前記シート束の最上位シートを前記シート束から分離させて前記最上位シートを給送する給送装置に取り付けられ、積載可能なシート搬送方向長さを拡張する拡張ユニットにおいて、
前記シート積載部のシート積載面に対する傾斜角度および傾斜開始位置が変更可能な延長シート積載部材を備えることを特徴とする拡張ユニット。
【請求項2】
請求項1の拡張ユニットにおいて、
前記延長シート積載部材は、複数の小底板がシート搬送方向に連結され、前記シート積載面に対して傾斜可能な傾斜底板を有し、
前記傾斜底板の各小底板は、シート載置部と、自身に対してシート搬送上流側に隣接する小底板が、回転自在に連結される被連結部と、シート搬送上流側に隣接する小底板のシート載置面の反対側の面に当接して該隣接する小底板を押し上げる押し上げ部とを有することを特徴とする拡張ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の拡張ユニットにおいて、
前記小底板は、シート搬送方向下流側に隣接する小底板に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする拡張ユニット。
【請求項4】
請求項2または3に記載の拡張ユニットにおいて、
複数の小底板は、同一形状であることを特徴とする拡張ユニット。
【請求項5】
請求項2乃至4いずれか一項に記載の拡張ユニットにおいて、
前記押し上げ部は、前記小底板の本体よりも摺動性の高い部材で構成されていることを特徴とする拡張ユニット。
【請求項6】
請求項2乃至5いずれか一項に記載の拡張ユニットにおいて、
前記傾斜底板を押し上げる押し上げ部材を有し、前記押し上げ部材による前記傾斜底板の押し上げ量が調整可能な押し上げ機構と、前記押し上げ機構を前記シート搬送方向に移動させる移動機構とを備え、前記傾斜角度および前記傾斜開始位置を調整する調整機構を有することを特徴とする拡張ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の拡張ユニットにおいて、
前記押し上げ部材は、回転軸に取り付けられており、前記回転軸の回転により前記押し上げ量の調整がなされることを特徴とする拡張ユニット。
【請求項8】
請求項6または7に記載の拡張ユニットにおいて、
前記延長シート積載部材を覆い、開閉可能な開閉カバーと、
前記開閉カバーの開閉を検知する開閉検知手段とを備え、
前記調整機構は、前記開閉検知手段が、前記開閉カバーの開を検知したときは、前記傾斜底板の傾斜を解除し、前記開閉検知手段が、前記開閉カバーの閉を検知したときは、前記傾斜底板を設定した傾斜開始位置から設定した傾斜角度に傾斜させることを特徴とする拡張ユニット。
【請求項9】
シート束を積載するシート積載部と、前記シート束の最上位シートを搬送する搬送手段と、前記シート束にエアを吹き付けるエア吹付手段とを備えるシート給送装置において、
請求項1乃至8いずれか以降に記載の拡張ユニットを備えることを特徴とするシート給送装置。
【請求項10】
シートに画像を形成する画像形成手段と、画像形成手段へ向けてシートを給送する給送手段とを備えた画像形成装置において、前記給送手段として、請求項9に記載のシート給送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、拡張ユニット、シート給送装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シート積載部に積載されたシート束の先端側にエアを吹き付けてシート束の最上位シートをシート束から分離させて該最上位シートを給送する給送装置に取り付けられ、積載可能なシート搬送方向長さを拡張する拡張ユニットが知られている。
【0003】
特許文献1には、上記拡張ユニットが取り付けられ、長尺シートがセットされたときエア吹き付け時間を長くする給送装置が記載されている。エア吹き付け時間(吹き付け開始から最上位シート給送までの時間)を長くすることで、最上位シートと2番目のシートとの間に流す分離エアを多くすることができる。これにより、最上位シートの後端まで分離エアにより2番目のシートから分離させることができ、長尺シート給送時の重送や不送りを抑制することができる旨が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、生産性を高めた給送装置において、長尺シート給送時に重送が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、シート積載部に積載されたシート束の先端側にエアを吹き付けて前記シート束の最上位シートを前記シート束から分離させて前記最上位シートを給送する給送装置に取り付けられ、積載可能なシート搬送方向長さを拡張する拡張ユニットにおいて、前記シート積載部のシート積載面に対する傾斜角度および傾斜開始位置が変更可能な延長シート積載部材を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、生産性を高めた場合でも、長尺シート給送時の重送を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係る給送装置を備えた画像形成装の概略構成図。
図2】同給送装置の概略説明図。
図3】同給送装置の一つの収容トレイについて概略構成を示す斜視図。
図4】(a)は、拡張カートリッジを取り付けていない給紙装置を示す斜視図であり、(b)は、拡張カートリッジを取り付けた給紙装置を示す斜視図。
図5】(a)は、給紙トレイと、拡張カートリッジとを示す斜視図であり、(b)は、拡張カートリッジの開閉カバーを開いた状態を示す図。
図6】延長積載台の取り付けについて説明する図。
図7】従来の拡張カートリッジを取り付けた際の長尺シートの給送について説明する図。
図8】延長積載台をシート積載台のシート積載面に対して傾斜させた際の長尺シートの給送について説明する図。
図9】本実施形態の拡張カートリッジの延長積載台の概略構成図。
図10】小底板を示す図。
図11】傾斜底板の概略拡大図。
図12】延長積載台の傾斜開始位置および傾斜角度を調整する調整機構の概略構成図。
図13】調整機構による傾斜開始位置の調整について説明する図。
図14】押し上げ機構の一例を示す概略構成図。
図15】押し上げ機構による傾斜角度の調整について説明する図。
図16】押し上げ部材を回転軸に取り付けた押し上げ機構による傾斜角度の調整について説明する図。
図17】傾斜開始位置、傾斜角度の調整制御の制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用した給送装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る給送装置を備えた画像形成装置1の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、シートに画像を形成する画像形成手段としての画像形成装置本体100と、画像形成装置本体100にシートを給送する給送装置200とを備えている。給送装置200は、画像形成装置本体100の側面に設けられている。
【0009】
画像形成装置本体100の記録方式は特段の制限はなく、電子写真式やインクジェット式など任意の方式を採用し得る。画像形成装置本体100の図1において右側の側面には、給送装置200からのシート搬入部が設けられている。このシート搬入部には、シートを受け入れる開口と、シートを搬送する搬送手段が設けられている。
【0010】
図2は、給送装置200の概略説明図である。
図2に示すように、給送装置200は、上下2段の収容トレイ10を備える。各収容トレイ10は、シート束Pを積載するシート載置部としてのシート積載台11を備えている。各収容トレイ10は、例えば最大2500枚程度のシートを収納可能となっている。
【0011】
シートとしては、紙、コート紙、ラベル紙、OHPシート、フィルム、プリプレグ等を含む。プリプレグは、主に積層板や多層プリント配線板の材料として使用される。例えば、ガラスクロス、紙、不織布、アラミドクロス等の長尺基材にエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を主材とする樹脂ワニスを連続的に含浸し、加熱乾燥してから切断することで、シート材に加工したものである。
【0012】
各収容トレイ10の上方には、収容トレイ10に積載されたシートを分離・給送する給送ユニット20がそれぞれ配置されている。この給送ユニット20は、搬送手段である吸着ベルト21及び吸引装置23を備えている。
【0013】
下側の収容トレイ10に積載されたシートは、下搬送路82を通って、出口ローラ対80によって、画像形成装置本体100へ搬送される。上側の収容トレイ10に積載されたシートは、上搬送路81を通って、出口ローラ対80によって、画像形成装置本体100へ搬送される。
【0014】
図3は、給送装置200の一つの収容トレイ10について概略構成を示す斜視図である。わかりやすいように、給送ユニット20について、本来の配置箇所から、図中矢印A方向にずらして表している。給送手段たる給送ユニット20の吸着ベルト21は、2本の張架ローラ22a,22bにより張架されている。吸着ベルト21には表面側から裏面側まで貫通する吸引孔が周方向の全域に設けられている。吸着ベルト21の内部には、吸引装置23が設けられている。
【0015】
吸引装置23は、空気の流路であるエアダクト通じて空気を吸引する吸引ファンに接続されており、吸引装置23により下方に負圧を発生させることで、吸着ベルト21の下面にシートを吸着させるように作用する。この吸引装置23に吸引される空気を吸引エアと呼ぶ。
【0016】
また、収容トレイ10は、シート束Pの上部のシートに対してエアを吹き付けるエア吹き付け手段である送風装置17を備える。この送風装置17は、フロント送風装置12とサイド送風装置14とを有している。
【0017】
フロント送風装置12は、シート束Pの上部の先端(給送方向下流側端部)に対して空気を送風するものである。このフロント送風装置12には、シート束Pを浮上させる方向にエアを案内する浮上ノズルと最上位の浮上シートと2番目の浮上シートとの間にエアを案内し分離する分離ノズルとが配置されている。また、フロント送風装置12には、浮上ノズルに空気を送り込む浮上ブロワ15と、分離ノズルに空気を送り込む分離ブロワ16とが配置されている。
【0018】
各ノズルのうち、浮上ノズルから送風される空気を浮上エア、分離ノズルから送風される空気を分離エアと呼ぶ。浮上エアは、シート束Pの上部の先端(給送方向下流側端部)と対向する箇所から図4の矢印a1方向に吹き出し、シート束Pの上部の先端(給送方向下流側端部)に吹き付けられる。分離エアは、シート束Pの上部の先端(給送方向下流側端部)と対向する箇所から図3の矢印a2方向に吹き出し、吸着ベルト21に吸着した最上位シートと浮上した2番目のシートとの間に吹き付けられる。
【0019】
サイド送風装置14は、シート束の幅方向の位置を規制する一対のサイドフェンス13に設けられ、シート束Pの上部の側面に対して図中矢印bで示す向きに空気を送風する。このサイド送風装置14には、シート束Pを捌き、浮上させる方向に空気を案内するサイド浮上ノズルが配置され、このノズルに空気を送り込むサイドブロワ14aを有している。このサイド浮上ノズルから図中矢印bで示す向きに送風される空気をサイドエアと呼ぶ。
【0020】
サイドエアは、各サイドフェンス13のシート束Pの上部と対向する箇所に設けられたサイドエア吹き出し口13aから吹き出され、シート束P上部の側面に吹き付けられる。フロント送風装置12と、一対のサイドフェンス13のサイドエア吹き出し口13aとから吹き付けられたエアにより、シート束の上部のシートが浮上する。
【0021】
また、収容トレイ10には、シート積載部たるシート積載台11に積載されたシート束Pの後端を揃えるエンドフェンス25を設けている。シート積載台11は、載置部移動手段たる昇降装置19により図中矢印B方向に昇降可能に構成されている。
【0022】
次に、給送動作について説明する。
画像形成装置100本体の上位コントローラからの給送開始の命令が来ると、昇降装置19を駆動して、シート積載台11を上昇させる。そして、シート検知センサがシート束の上面を検知したら、昇降装置19の駆動を停止する。次に、吸着ベルト21を停止した状態で送風装置17の送風を開始し、吹き付け制御を開始する。また、吸引装置23の吸引を開始し、吸引制御を開始する。送風装置17の送風を開始することで、浮上吹き出し口、分離吹き出し口およびサイドエア吹き出し口13aからシート束上部の前端部に浮上エア、分離エア、サイドエアが吹き付けられる。
【0023】
浮上エアおよびサイドエアの吹き付けにより、シート束上部の複数枚のシートの先端部が浮上し、吸引装置23の吸引により吸着ベルト21の下方に負圧が発生し、浮上した最上位シートが吸着ベルト21に吸着する。最上位シートが吸着ベルト21に吸着すると、最上位シートと、2番目のシートとの間に、分離エアが吹き付けられ、吸着した最上位シートと、2番目以降のシートとが分離される。
【0024】
次に、吸着ベルト21を回転させて最上位シートを給送する。このとき、2番目以降のシートが過剰に浮上したり挙動を乱したりして最上位シートに接触すると、最上位シートとともに搬送されるおそれがある。そこで、本給送装置200は、最上位シートの給送を開始するとき(吸着ベルト21を回転させるとき)は、フロント浮上エアと分離エアの吹き付けを停止する。一方、サイドエアについては、最上位シートを給送中も吹き付けを続けて、次に給送する2番目のシートを浮上させている。
【0025】
給送開始から所定時間が経過したら(最上位シートの先端が、吸着ベルト下流の所定の次工程(例えば、搬送ローラ対)へ給送されたら)、吸引装置23による吸引を停止し、吸着ベルト21に吸着している一枚目シート離す。また、給送モータの駆動を止めて吸着ベルト21の回転を停止する。
【0026】
次に給送するシートがあるときは、フロント浮上エアのおよび分離エアの吹き付けを再開する。次に、吸引装置23による吸着ベルト21へのシート吸着を再開する。以降は、上述と同様の給送処理を行なう。
【0027】
また、本実施形態の給送装置200は、拡張ユニットたる拡張カートリッジを取り付けることで、収容トレイ10のシート搬送方向長さを拡張して、A3縦(487mm)よりもシート長が長い長尺シートを搭載可能としている。
【0028】
図4(a)は、拡張カートリッジ210を取り付けていない給送装置200を示す斜視図であり、図4(b)は、拡張カートリッジ210を取り付けた給送装置200を示す斜視図である。
図4(a)に示すように、給送装置200の筐体200aは、フレームと、このフレームに取り付けられる複数のパネル201、202などから構成され、箱型形状となっている。収容トレイ10は、筐体200aに対して図中手前側に引き出し可能に構成されており、取っ手部10aをユーザーが握って図中の手前側に引っ張ることで、収容トレイ10を筐体200aから引き出すことができる。収容トレイ10を引き出すことで、シート束Pの積載や取り出しが可能となる。
【0029】
筐体200aの搬送方向上流側端部には上下にパネル201、202が取り付けられている。このうち上側のパネル201は、ネジによって筐体200aに着脱自在に取り付けられる。このパネル201を取り外して、図4(b)に示すように、拡張カートリッジ210が取り付けられる。
【0030】
図5(a)は、収容トレイ10と、拡張カートリッジ210とを示す斜視図であり、図5(b)は、拡張カートリッジ210の開閉カバー212を開いた状態を示す図である。
拡張カートリッジ210は、筐体200aに固定される長尺台211、シート積載台11に固定される延長シート積載部材たる延長積載台213、延長エンドフェンス214、開閉カバー212などを備えている。長尺台211は、筐体200aにネジなどにより着脱自在に固定され、延長積載台213の下面に配置される。延長エンドフェンス214は、長尺台211に磁力により取り付けられている。具体的には、延長エンドフェンス214は、長尺台211上に搭載される基部にマグネットが設けられており、長尺台211には、このマグネットが吸着される金属板やマグネットなどが設けられている。これにより、延長エンドフェンス214を長尺シートの長さに応じた位置に着脱自在に固定できる。この拡張カートリッジ210を取り付けるときに、収容トレイ10に設けられたエンドフェンス25は、取り外される。開閉カバー212は、長尺台211の奥側に設けたヒンジにより開閉自在に取り付けられている。拡張カートリッジ210を取り付けたときはこの開閉カバー212を開いて収容トレイ10に長尺シートをセットする。
【0031】
図6は、延長積載台213の取り付けについて説明する図である。
図6(a)に示すように、シート積載台11のシート搬送方向上流側端部には、延長積載台213を取り付けるための複数のネジ穴11aが設けられている。延長積載台213は、このネジ穴11aにネジをネジ込むことで、シート積載台11に締結される。これによりシート積載台が延長され、長尺シートを積載することができる。
【0032】
図7は、従来の拡張カートリッジ210を取り付けた際の長尺シートの給送について説明する図である。
給送動作が開始されると、図7(a)に示すように吸着ベルト21を停止した状態で送風装置17の送風を開始し、浮上エア、分離エア、サイドエアをシートに吹き付ける。シート束の上部の先端側に浮上エアとサイドエアが吹き付けられることで、シート束の上部の複数枚のシートが浮上し、浮上したシートのうち少なくとも最上位シートを、吸引装置23の吸引力が作用する高さまで浮上させる。
【0033】
浮上したシートのうち少なくとも最上位シートを、吸引装置23の吸引力が作用する高さまで浮上するタイミングで、図7(b)に示すように吸引装置23の吸引を開始し、吸着ベルト21のベルト吸着面21aの下方に負圧を発生させる。すると、浮上したシートが上記負圧により吸着ベルト21側へ移動して、最上位シートP1が吸着ベルト21のベルト吸着面21aに吸着する。
【0034】
なお、図7の説明では、最上位シートを、吸引装置23の吸引力が作用する高さまで浮上するタイミングで吸引装置23の吸引を開始しているが、送風装置17の送風を開始するタイミングで吸引装置23の吸引を開始してもよい。
【0035】
最上位シートが吸着ベルト21に吸着すると、ベルト吸着面21aの下方の負圧が解消され、吸着ベルト21に吸着した最上位シートP1と2番目のシートとの間に分離エアが流れ、最上位シートP1と2番目のシートとの分離がなされる。給送開始時は、図7(d)に示すように、浮上エア、分離エアの吹き付けを停止する。
【0036】
図7(c)に示すように、最上位シートP1が吸着ベルト21に吸着してから最上位シートP1が給送されるまでの間は、そのままエアを吹き続けることで、次に給送される2番目のシートP2が捌かれ浮上する。また、給送時もサイドエアは、吹き付け続けるため、最上位シート給送時も図7(d)に示すように、2番目のシートP2は浮上している。
【0037】
長尺シートは、シート搬送方向に長いため、2番目のシートの後端までエアがたどり付けず、徐々に失速し、延長積載台213のシート搬送下流側付近でエアが停止してしまう。その結果、長尺シートの場合、最上位シートP1の給送時に、2番目のシートP2は、図7(d)の破線Cの浮上の終点位置で急激に下降するような状態となる。
【0038】
また、長尺シートの場合、給送時、最上位シートP1の後端側は垂れ下がってシート束に接触しながら搬送される。その結果、図7(d)に示すように、最上位シートP1の後端側が、2番目のシートP2浮上の終点位置で引っ掛かってしまい、2番目のシートP2が最上位シートともに搬送される所謂重送が発生するおそれがある。
【0039】
このような重送を抑制するために、最上位シートP1が吸着ベルト21に吸着後、すべてのエアの吹き出しを停止し、2番目のシートと3番目のシートとの間のエアが抜け、2番目のシートの浮上が収まってから、最上位シートの給送を開始することが考えられる。しかしながら、この場合は、給送開始が遅くなってしまい、ファーストプリンタタイムが遅くなってしまう。また、最上位シート給送後、再度、2番目のシートを浮上させる必要があり、2番目のシートの吸着ベルト21への吸着が遅くなり、紙間が広がる。その結果、生産性が低下してしまう。
【0040】
そこで、本実施形態では、拡張カートリッジ210の延長積載台213をシート積載台11のシート積載面に対して傾斜可能な構成した。
図8は、延長積載台213をシート積載台11のシート積載面に対して傾斜させた際の長尺シートの給送について説明する図である。図8に示す例では、シート積載台11の傾斜開始位置が、2番目のシートP2浮上の終点位置付近に設けられている。
延長積載台213を傾斜させることで長尺シートの後端側が上方に位置する。これにより、図8(b)に示すように、最上位シートP1が吸着ベルト21に吸着したとき、図7に示す場合に比べて、シートの後端側を上方に位置させることができる。
【0041】
また、後端側が延長積載台213により持ち上げられる形となるため、長尺シートの後端側が、浮上しやすくなる。その結果、図8(c)に示すように、2番目のシートの浮上の終点付近が徐々に下がるような緩やかな傾斜となる。
【0042】
これにより、図8(d)に示すように、最上位シートP1の給送時に最上位シートP1の後端側が2番目のシートの浮上の終点箇所に引っ掛かり難くなり、2番目のシートP2が、最上位シートP1とともに搬送されるのを抑制でき、重送の発生を抑制できる。
【0043】
しかしながら、2番目のシートの浮上の終点位置は、紙厚、シートの幅などによって異なる。また、薄紙などのシートのコシの弱いシートは、傾斜角度を大きくしないと、2番目のシートの浮上の終点付近が、緩やかな傾斜とならないおそれや、撓みが大きいため、最上位シートの搬送時に2番目のシートの浮上の終点箇所に引っ掛かるおそれがある。一方、厚紙については、傾斜角度が大きいと、シート束が、延長積載台213とシート積載台11で形成されるシート載置面に倣わず、先端側が傾斜した形でセットされるおそれがあり、吸着ベルト21への吸着不良などが発生するおそれがある。そのため、厚紙の場合は、傾斜角度を小さくする必要がある。
【0044】
このように、延長積載台213の最適な傾斜開始位置や、最適な傾斜角度は、紙種により異なる。そこで、本実施形態の拡張カートリッジ210は、延長積載台213の傾斜開始位置および傾斜角度を変更可能に構成している。以下、本実施形態の特徴部について、図面を用いて説明する。
【0045】
図9は、本実施形態の拡張カートリッジ210の延長積載台213の概略構成図である。
図9に示すように、延長積載台213は、傾斜底板213aと、傾斜底板213aを支持するベース部材213bとを有している。
ベース部材213bは、幅方向中央に延長エンドフェンス214(図5(b)参照)を逃がす切り欠き状の逃げ部252を有しており、傾斜底板213aは、逃げ部252を挟んで、幅方向一端側と他端側とに設けられている。また、ベース部材213bの傾斜底板213aに対向する箇所には、後述する調整機構230の押し上げ部材232a(図12参照)が貫通するシート搬送方向に長い長穴251が設けられている。この長穴251は、長尺台211に設けられた押し上げ部材232aが貫通する長穴に重なるように形成されている。
【0046】
傾斜底板213aは、3つの小底板220a~220cがシート搬送方向に数珠繋ぎに連結されており、シート搬送方向最下流の第一小底板220a以外は、シート搬送方向下流に隣接する小底板に回転自在に取り付けられている。以下の説明では、シート搬送方向最下流の小底板を第一小底板220a、中央の小底板を第二小底板220b、シート搬送方向最上流の小底板を第三小底板220cとして説明する。第一小底板220aは、ベース部材213bの小底板取り付け部254に回転自在に取り付けられている。
なお、本実施形態では、傾斜底板213aは、3つの小底板220により構成されているが、連結する小底板の数は、装置の構成により適宜決めればよい。3つの小底板220a,220b,220cは、同一形状である。このように、傾斜底板213aを構成する複数の小底板を同一形状とすることで、部品コストの低減を図ることができる。
【0047】
図10は、小底板220を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、側面図、(c)は、斜視図である。
小底板220は、板金からなり、シートが載置されるシート載置部221と、シート載置部221に対して一段低く、この小底板220に連結される小底板220の回動を許容する回動許容部222とを有している。この回動許容部222のシート搬送方向上流側端部には、この小底板220の回動時に、この小底板220に連結される小底板220を押し上げる押し上げ部223を有している。押し上げ部223は、金属の小底板220本体よりも摺動性の高い部材で構成され、回動許容部222のシート搬送方向上流側端部の幅方向中央部に取り付けられている。
【0048】
シート載置部221の幅方向両端のシート搬送方向下流側端部には、シート搬送方向下流側の小底板220に回動自在に連結する連結部224が設けられている。回動許容部222の幅方向両端には、シート搬送方向上流側の小底板220が回動自在に連結される被連結部225が設けられている。連結部224と被連結部225の略中央には、軸226が貫通する貫通孔224a、225aが形成されている。
【0049】
図11は、傾斜底板213aの概略拡大図である。
図11に示すように、第二小底板220bの連結部224の貫通孔224aと第一小底板220aの被連結部225の貫通孔225aとに軸226が貫通することで、第二小底板220bが、第一小底板220aに連結される。なお、第三小底板220cの連結部224の貫通孔と第二小底板220bの被連結部225の貫通孔225aとに軸226が貫通することで、第三小底板220cが、第二小底板220bに連結される。
【0050】
第一小底板220aの回動許容部222が、第二小底板220bのシート載置部221に下側から隙間d1を有して対向している。また、第一小底板220aのシート載置部221と、第二小底板220bのシート載置部221との間に、隙間d2が形成されている。これにより、第二小底板220bが、第一小底板220aに対して軸226支点にして所定の範囲内で図中反時計回りに回動可能に連結される。第三小底板220cについても、第二小底板220bに対して上述した隙間d1、d2を有することで、第二小底板220bに対して回動可能に連結される。
【0051】
また、図11に示すように、第二小底板220bのシート載置部221が、第一小底板220aの押し上げ部223に当接している。これにより、第二小底板220bのシート載置面を、第一小底板220aのシート載置面と同一平面内に位置させることができる。また、第一小底板220aが、後述する調整機構により押し上げられて図中反時計回りに回動したとき、この押し上げ部223が、第二小底板220bを押し上げる。同様にして、第二小底板220bの押し上げ部223が、第三小底板220cを押し上げる。これにより、第二小底板220bと第三小底板220cが、第一小底板220aと一体的に図中反時計回りに回動する。第二小底板220bが調整機構により押し上げられたときは、第三小底板220cが、第二小底板220bと一体的に図中反時計回りに回動する。
【0052】
第二小底板220bが軸226を支点にして容易に回動可能なように、連結部224の貫通孔224aは、軸226に対して所定のガタを有している。そのため、第二小底板220bは、第一小底板220aに対してシート搬送方向に所定のガタがあり、第一小底板220aの押し上げ部223が、第二小底板220bのシート載置部221に対して所定の範囲で摺動する。同様に、第三小底板220cは、第二小底板220bに対してシート搬送方向に所定のガタがあり、第二小底板220bの押し上げ部223が、第三小底板220cのシート載置部221に対して所定の範囲で摺動する。
【0053】
本実施形態では、上述したように、押し上げ部223を摺動性の高い部材で構成している。これにより、押し上げ部223のシート載置部221との摺動による摩耗が抑制される。よって、経時にわたり、延長積載台213の傾斜面を直線状に維持することができる。
【0054】
傾斜底板213aを、このような複数の小底板220がシート搬送方向に数珠繋ぎに連結する構成とすることで、押し上げる小底板220を変更することで、傾斜開始位置を変更することができる。また、小底板220の押し上げ量を調整することで、傾斜底板213aの傾斜角度を変更することができる。
【0055】
また、連結部224の貫通孔224a(図10参照)と小底板の被連結部225の貫通孔225a(図10参照)とを貫通する軸226(図11参照)を抜き挿しすることで、小底板を搬送方向下流側に隣接する小底板に対して着脱することができる。これにより、連結する小底板220の数を容易に変更することができ、延長積載台213(傾斜底板213a)のシート搬送方向の長さを容易に調整することができる。
【0056】
また、上述では、連結部224と被連結部225の貫通孔に軸226を貫通させることで、小底板を連結させているが、これに限られない。例えば、被連結部225にネジ穴を設け、連結部224の貫通孔に段付きネジを貫通させ、被連結部225のネジ穴に段付きネジを締結することで、小底板を連結させてもよい。
【0057】
図12は、延長積載台213の傾斜開始位置および傾斜角度を調整する調整機構230の概略構成図である。
図12に示すようの調整機構230は、小底板220を押し上げる押し上げ機構232と、押し上げ機構232をシート搬送方向に移動させる移動機構231とを有している。押し上げ機構232と、移動機構231は、長尺台211の内部に設けられており、押し上げ機構232の押し上げ部材232aが、長尺台211およびベース部材213bの長穴を貫通している。
【0058】
移動機構231は、駆動プーリ231aと従動プーリ231bと、これらプーリに張架された無端状のタイミングベルト231cとが、長尺台211の幅方向両側に設けられている。これらタイミングベルト231cに押し上げ機構232が固定されている。幅方向の一端側の駆動プーリと幅方向他端側の駆動プーリは駆動軸に取り付けられており、幅方向の一端側の従動プーリと幅方向他端側の従動プーリは従動軸に取り付けられている。駆動軸の一端には、駆動モータのモータギヤに噛み合う駆動ギヤが取り付けられている。
駆動モータにより駆動プーリが回転駆動することで、タイミングベルト231cが無端移動し押し上げ機構232がシート搬送方向に移動する。
なお、上述した移動機構は、一例であり、上述した構成に限られるものではない。
【0059】
図13は、調整機構230による傾斜開始位置の調整について説明する図である。
図13(a)は、傾斜底板213aの第三小底板220cを押し上げ部材232aにより押し上げた場合を示している。また、図13(b)は、第二小底板220bを押し上げ部材232aにより押し上げた場合を示している。図13(c)は、第一小底板220aを押し上げ部材232aにより押し上げた場合を示している。
【0060】
図13(a)に示すように、第三小底板220cを押し上げ部材232aにより押し上げた場合は、第三小底板220cのみが傾斜する。そのため、傾斜開始位置が、第三小底板220cのシート載置部のシート搬送方向下流側端部のAの位置となる。
【0061】
図13(b)に示すように、第二小底板220bを押し上げ部材232aにより押し上げた場合は、第三小底板220cが、第二小底板220bの押し上げ部223により押し上げられる。その結果、第二小底板220bと第三小底板220cとが一体となって押し上げられ、傾斜開始位置が、第二小底板220bのシート載置部221のシート搬送方向下流側端部のBの位置となる。
【0062】
図13(c)に示すように、第一小底板220aを押し上げ部材232aにより押し上げた場合は、すべての小底板が一体となって押し上げられる。このときは、傾斜開始位置が、第一小底板220aのシート載置部221のシート搬送方向下流側端部のCの位置となる。
このように、本実施形態では、押し上げ部材232aにより押し上げる小底板を変更することで、傾斜開始位置を変更することができる。
【0063】
以下、調整機構230による傾斜開始位置の具体的な調整動作について説明する。まず、押し上げ部材232aの先端が小底板よりも下方に位置するように、押し上げ部材232aを下降させる。次に、移動機構231の駆動モータを駆動し、タイミングベルト231cを無端移動させて、押し上げ機構232をシート搬送方向にスライドさせる。押し上げ機構232の押し上げ部材232aが、押し上げを行う小底板の位置に到達したら、移動機構231の駆動モータを停止する。そして、押し上げ機構を駆動して、押し上げ部材232aを上昇させ、小底板のシート搬送方向上流側端部を押し上げる。
【0064】
図14は、押し上げ機構232の一例を示す概略構成図であり、図15は、押し上げ機構232による傾斜角度の調整について、説明する図である。
図14に示すように、押し上げ機構232の筐体内には、一対の傾斜台232bを保持し幅方向に移動可能なラック部材232cが設けられている。このラック部材232cの下面に設けられたラックギヤには、押し上げモータ232dのモータ軸に取り付けられたピニオンギヤ232eが噛み合っている。押し上げ機構232の筐体の幅方向両端には、タイミングベルト231cに固定される固定部232fを有している。
【0065】
押し上げモータ232dを駆動させて、ラック部材232cを図14(b)の矢印方向にスライドさせると、各押し上げ部材232aが、傾斜台232bの斜面を登っていく。これにより、押し上げ部材232aが上昇し、傾斜底板213aの複数の小底板のいずれかを押し上げ、傾斜底板213aを所定の位置から傾斜させることができる。
【0066】
また、図14(b)に示す状態から押し上げモータ232dを逆回転させることで、ラック部材232cが図中右方向へ移動し、各押し上げ部材232aが、傾斜台232bの斜面を下る。これにより、図15に示すように、傾斜底板213aが、図中破線の状態から図15の時計回りに回動し、傾斜角度が小さくなる。このように、ラック部材232cの停止位置を制御することで、各押し上げ部材232aの小底板の押し上げ量を調整することができ、傾斜角度の調整を行うことができる。
【0067】
なお、押し上げ機構232の構成は、上述した構成に限られるものではない。例えば、押し上げ部材232aを回転軸に取り付け、回転軸を回転させることで、小底板の押し上げ量を調整して、傾斜角度を調整するようにしてもよい。
【0068】
図16は、押し上げ部材232aを回転軸232gに取り付けた押し上げ機構232による傾斜角度の調整について説明する図である。
図16(a)に示すようの押し上げ部材232aが、鉛直方向に平行な状態から、回転軸232gを図中反時計回りに回動していくと、押し上げ部材232aの先端の高さが低くなっていく。これにより、図16(b)に示すように、傾斜底板213aの傾斜角度が図16(a)に示す状態に比べて小さくなる。図16(b)に示す状態からさらに回転軸232gを図中反時計回りに回動させると、押し上げ部材232aが小底板から離間し、図16(c)に示すように、傾斜角度を0°にすることができる。よって、図16(a)~図16(c)の間で回転軸を回転させることで、押し上げ部材232aの小底板の押し上げ量を調整することができ、傾斜角度の調整を行うことができる。
【0069】
図17は、傾斜開始位置、傾斜角度の調整制御の制御フロー図である。
図17に示すように、まず、制御部は、拡張カートリッジ210の開閉カバー212(図5参照)が開かれたら(S1のYes)、傾斜解除動作を実行する(S2)。具体的には、拡張カートリッジ210は、開閉カバー212の開閉を検知する開閉検知手段としての開閉センサを有している。この開閉センサが開閉カバー212が開らかれたことを検知したら、傾斜解除動作を実行する。開閉センサとしては、光学式、スイッチ式等、公知の開閉センサを用いることができる。
【0070】
制御部は、傾斜解除動作を実行すると、押し上げ機構232の押し上げモータ232dを駆動して、押し上げ部材232aを下降させ、押し上げ部材232aを小底板から離間させる。これにより、傾斜底板213aの傾斜が解除される。そして、移動機構231の駆動モータを駆動し、押し上げ機構232を図12に示すホームポジションへ移動させる。
【0071】
上述したように、拡張カートリッジ210が取り付けられているときは、開閉カバー212を開けて、シート搬送方向上流側から長尺シートのシート束を給送装置に挿入してセットすることになる。このとき、傾斜底板213aが傾斜していると、傾斜底板213aが、長尺シートのシート束の給送装置への挿入の邪魔となり、長尺シートのシート束がセットし難くなる。
一方、本実施形態では、開閉カバー212を開いたときは、傾斜底板213aの傾斜が解除され、傾斜底板213aが水平となっているので、長尺シートのシート束をセットする際に傾斜底板213aが邪魔になるのを防止できる。
【0072】
そして、長尺シートのシート束がセットされて、開閉センサが、開閉カバー212が閉じられたことを検知したら(S3のYES)、セットされた長尺シートの種類に基づいて、傾斜角度および傾斜開始位置の設定を行う(S4)。
【0073】
具体的には、セットした長尺シートの種類について、ユーザーに画像形成装置の操作部等を用いて入力させる。制御部が備える不揮発性メモリには、例えば、紙種と傾斜角度と傾斜開始位置とが関連づけられたデータテーブルを備えており、ユーザーが入力したシートの種類情報と、データテーブルとに基づいて、設定する傾斜角度および傾斜開始位置を特定する。
【0074】
このように、ユーザーが入力したシートの種類情報に基づいて、傾斜角度および傾斜開始位置を設定したら、押し上げ動作を実行する(S5)。具体的には、設定された傾斜開始位置情報に基づいて、移動機構231を制御して、押し上げ機構232を押し上げる小底板の位置まで移動させる。次に、設定した傾斜角度情報に基づいて、押し上げ機構232を制御して、小底板を押し上げる。これにより、設定された傾斜開始位置から傾斜底板213aを設定した傾斜角度で傾斜させることができる。これにより、重送の発生を抑制して、良好にシートの給送を行うことができる。
【0075】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
シート積載台11などのシート積載部に積載されたシート束の先端側にエアを吹き付けてシート束の最上位シートをシート束から分離させて最上位シートを給送する給送装置に取り付けられ、積載可能なシート搬送方向長さを拡張する拡張カートリッジ210などの拡張ユニットにおいて、シート積載部のシート積載面に対する傾斜角度および傾斜開始位置が変更可能な延長積載台213などの延長シート積載部材を備える。
本実施形態では、上述したように、生産性を高めるために、最上位シートの給送時もサイドエアについては吹き付けを継続させ、2番目のシートを浮上させた状態で、最上位シートの給送を行っている。長尺シートの場合は、サイドエアがシートの後端まで届かず、図7(d)に示したように、2番目のシートの浮上が延長積載台213などの延長シート積載部材のシート搬送方向下流側付近で終わってしまう。また、長尺シートの場合は、給送中の最上位シートの後端側の全面がシート束の上面に接触しながら移動するような形となる。その結果、この給送中の最上位シートの後端側が、2番目のシートの浮上の終点箇所に引っ掛かり、2番目のシートが最上位シートとともに給送され重送が発生するおそれがある。
これに対し、態様1では、長尺シートの後端側が積載される拡張ユニットの延長シート積載部材が傾斜するように構成されている。傾斜することで、図8(d)に示すように、給送中の最上位シートの後端側が、図7(d)に示す場合に比べて、上側を移動する。また、延長シート積載部材が傾斜することで、2番目のシートの後端側が浮上しやすくなり、2番目のシートの浮上終了付近の傾斜が、図7(d)に示す場合に比べて緩やかになる。これにより、最上位シートの後端側が2番目のシートの浮上の終点箇所に引っ掛かるのを抑制でき、重送の発生を抑制できる。
また、2番目のシートの浮上の終点箇所や、最適な傾斜角度などは、紙厚などセットされる長尺シートの種類によって異なる。態様1では、セットされる長尺シートの種類に応じて、傾斜角度や傾斜開始位置を変更することが可能である。これにより、セットされる長尺シートの種類によらず、給送中の最上位シートの後端側が2番目のシートの浮上の終点箇所に引っ掛かるのを抑制でき、重送の発生を抑制することができる。
【0076】
(態様2)
態様1において、延長積載台213などの延長シート載置部材は、複数の小底板220a~220cがシート搬送方向に連結され、シート積載面に対して傾斜可能な傾斜底板213aを有し、傾斜底板213aの各小底板は、シート載置部221と、自身に対してシート搬送上流側に隣接する小底板が、回転自在に連結される被連結部225と、シート搬送上流側に隣接する小底板のシート積載面の反対側の面に当接して該隣接する小底板を押し上げる押し上げ部223とを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、押し上げる傾斜底板213aの小底板を変更することで、傾斜開始位置を変更することができる。また、小底板の押し上げ量を変更することで、傾斜角度を変更することができる。また、傾斜底板213aの複数の小底板のいずれかを押し上げると、この押し上げられた小底板の被連結部に連結された小底板が押し上げ部により押し上げられ、被連結部に連結された小底板を一体的に押し上げることができる。
【0077】
(態様3)
態様2において、小底板は、シート搬送方向下流側に隣接する小底板に対して着脱可能に構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、傾斜底板213aのシート搬送方向の長さを調整することができる。
【0078】
(態様4)
態様2または3において、複数の小底板は、同一形状である。
これによれば、実施形態で説明したように、各小底板の形状が互いに異なる場合に比べて、部品コストの低減を図ることができる。
【0079】
(態様5)
態様2乃至4いずれかにおいて、押し上げ部223は、小底板の本体よりも摺動性の高い部材で構成されている。
これによれば、実施形態で説明したように、押し上げ部により押し上げれる小底板と押し上げ部との摺動による押し上げ部の摩耗を抑制することができる。
【0080】
(態様6)
態様2乃至5いずれかにおいて、傾斜底板213aを押し上げる押し上げ部材232aを有し、押し上げ部材232aによる傾斜底板213aの押し上げ量が調整可能な押し上げ機構232と、押し上げ機構232をシート搬送方向に移動させる移動機構231とを備え、傾斜角度および傾斜開始位置を調整する調整機構230を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、移動機構231により押し上げ機構232をシート搬送方向に移動させることで、押し上げ機構232により押し上げられる傾斜底板の小底板が変更され、傾斜開始位置の変更を行うことができる。また、押し上げ機構により押し上げ部材232aによる傾斜底板213aの押し上げ量を調整することで、傾斜角度の調整を行うことができる。
【0081】
(態様7)
態様6において、押し上げ部材232aは、回転軸232gに取り付けられており、回転軸232gの回転により押上げ量の調整がなされる。
これによれば、図16を用いて説明したように、回転軸232gを回転させることで、押し上げ部材232aが鉛直方向に対する傾斜が変化し、傾斜底板213aの押し上げ量を調整することができる。
【0082】
(態様8)
態様6または7において、延長積載台213などの延長シート載置部材を覆い、開閉可能な開閉カバー212と、開閉カバーの開閉を検知する開閉センサなどのる開閉検知手段とを備え、調整機構230は、開閉検知手段が、開閉カバー212の開を検知したときは、傾斜底板213aの傾斜を解除し、開閉検知手段が、開閉カバー212の閉を検知したときは、傾斜底板213aを設定した傾斜開始位置から設定した傾斜角度に傾斜させる。
これによれば、実施形態で説明したように、開閉カバー212が開かれているときは、傾斜底板213aの傾斜が解除されているので、長尺シートのシート束を良好に給送装置にセットすることができる。また、開閉カバー212が閉じられると、傾斜底板213aが、設定した傾斜開始位置から設定した傾斜角度に自動的に傾斜するため、傾斜忘れが発生せず、良好にシートの重送発生を抑制することができる。
【0083】
(態様9)
シート束を積載するシート積載台11などのシート積載部と、シート束の最上位シートを搬送する吸着ベルト21などの搬送手段と、シート束にエアを吹き付ける送風装置17などのエア吹付手段とを備えるシート給送装置において、態様1乃至8いずれかの拡張カートリッジ210などの拡張ユニットを備える。
これによれば、長尺シート給送時の重送の発生を抑制することができる。
【0084】
(態様10)
シートに画像を形成する画像形成装置本体100などの画像形成手段と、画像形成手段へ向けてシートを給送する給送装置200などの給送手段とを備えた画像形成装置において、給紙手段として、態様1乃至9いずれかに記載の給紙装置を用いた。
これによれば、尺シート給送時の重送の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 :画像形成装置
10 :収容トレイ
11 :シート積載台
17 :送風装置
21 :吸着ベルト
100 :画像形成装置本体
200 :給送装置
210 :拡張カートリッジ
211 :長尺台
212 :開閉カバー
213 :延長積載台
213a :傾斜底板
213b :ベース部材
214 :延長エンドフェンス
220a :第一小底板
220b :第二小底板
220c :第三小底板
221 :シート載置部
222 :回動許容部
223 :押し上げ部
224 :連結部
224a :貫通孔
225 :被連結部
225a :貫通孔
226 :軸
230 :調整機構
231 :移動機構
231a :駆動プーリ
231b :従動プーリ
231c :タイミングベルト
232 :押し上げ機構
232a :押し上げ部材
P :シート束
P1 :最上位シート
P2 :2番目のシート
【先行技術文献】
【特許文献】
【0086】
【特許文献1】特許第6774644号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17