(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140172
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20230927BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20230927BHJP
H04L 67/53 20220101ALI20230927BHJP
【FI】
G06F3/12 372
G06F3/12 303
G06F3/12 326
G06F3/12 343
G06F3/12 357
G06F3/12 387
G06Q30/06
H04L67/53
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046072
(22)【出願日】2022-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】松島 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】阿部 良彦
(72)【発明者】
【氏名】酒井 文平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】デジタル素材を、印刷に適した印刷業者へ配信することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】発注者端末からデジタル素材に関する情報を含む発注情報を受信する受信部と、発注情報に基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成する第1生成部と、デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者のうちの特定の印刷業者の管理装置にジョブ情報を配信する配信部と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者端末からデジタル素材に関する情報を含む発注情報を受信する受信部と、
前記発注情報に基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成する第1生成部と、
前記デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者のうちの特定の印刷業者の管理装置に前記ジョブ情報を配信する配信部と、
を有する情報処理システム。
【請求項2】
前記デジタル素材の属性情報に基づいて、前記ジョブ情報による印刷の実行が可能な印刷機を有する印刷業者を判断する判断部を、さらに備え、
前記判断部は、
前記デジタル素材の作成者が、印刷業者の情報を記憶する第1記憶部に記憶された印刷業者であるか否かを判断し、
前記作成者が前記第1記憶部に記憶された印刷業者である場合、該印刷業者を前記ジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者として判断する請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
管理者端末から前記デジタル素材および前記属性情報を登録する登録部を、さらに有する請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記登録部は、前記管理者端末によって指定された印刷業者を、前記デジタル素材の属性情報に含めて、前記デジタル素材および該属性情報を第2記憶部に登録する請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記登録部は、前記管理者端末を利用する作成者に関連付けられた印刷業者の一覧を、該管理者端末に表示させるために該管理者端末へ送信する請求項3または4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記発注情報は、前記デジタル素材に関する情報を有するレイアウト情報を含み
前記デジタル素材に関する情報は、前記デジタル素材を識別する識別情報を含む請求項2~5のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記判断部は、前記レイアウト情報に含まれる前記デジタル素材の前記属性情報において印刷業者が指定されているか否かを判断し、
前記属性情報において印刷業者が指定されている場合、該印刷業者を前記ジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者として判断する請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記判断部は、前記レイアウト情報に含まれる前記デジタル素材の作成者に印刷業者が関連付けられているか否かを判断し、
前記作成者に印刷業者が関連付けられている場合、該印刷業者を前記ジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者として判断する請求項6または7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記判断部は、前記レイアウト情報に含まれる前記デジタル素材の前記属性情報として特色が指定されている場合に、該特色の印刷に対応した印刷機を有する印刷業者を、前記ジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者として判断する請求項6~8のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記レイアウト情報は、バリアブル要素を含み、
前記発注情報は、前記バリアブル要素に情報を埋め込むためのバリアブル情報を含み、
前記判断部は、前記レイアウト情報に前記バリアブル情報の情報を埋め込む処理が可能な印刷機を有する印刷業者を、前記ジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者として判断する請求項6~9のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記受信部により受信された前記発注情報の前記レイアウト情報に基づいて、印刷情報を生成する第2生成部を、さらに有し、
前記第1生成部は、前記印刷情報を含む前記ジョブ情報を生成する請求項6~10のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
デジタル素材を記憶する第2記憶部から、前記レイアウト情報で指定されたデジタル素材を取得する取得部を、さらに有し、
前記第2生成部は、前記レイアウト情報、および前記取得部により取得された前記デジタル素材を用いて、前記印刷情報を生成する請求項11に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記受信部は、バリアブル要素を含む前記レイアウト情報、および該バリアブル要素に情報を埋め込むためのバリアブル情報を含む前記発注情報を受信し、
前記第2生成部は、前記バリアブル情報に規定された情報を、前記レイアウト情報の前記バリアブル要素に埋め込むことによって前記印刷情報を生成する請求項11または12に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記デジタル素材は、イラストまたはテンプレートである請求項1~13のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項15】
発注者端末からデジタル素材に関する情報を含む発注情報を受信する受信部と、
前記発注情報に基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成する第1生成部と、
前記デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者のうちの特定の印刷業者の管理装置に前記ジョブ情報を配信する配信部と、
を備えた情報処理装置。
【請求項16】
発注者端末からデジタル素材に関する情報を含む発注情報を受信する受信ステップと、
前記発注情報に基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成する生成ステップと、
前記デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者のうちの特定の印刷業者の管理装置に前記ジョブ情報を配信する配信ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項17】
コンピュータに、
発注者端末からデジタル素材に関する情報を含む発注情報を受信する受信ステップと、
前記発注情報に基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成する生成ステップと、
前記デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者のうちの特定の印刷業者の管理装置に前記ジョブ情報を配信する配信ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業によるマーケティングは、デジタルマーケティングへと移行し、紙によるマーケティングの需要は減少している。その一方で、電子メールよりもダイレクトメール(DM)の方が開封率およびコンバージョン率が高いことから、DMの活用が見直されている。DMの印刷のためには印刷業者への発注が必要であり、インターネット上で印刷データの作成から印刷および発送の注文までを行うことができる、いわゆる印刷通販のサービスが普及してきている。また、デザインテンプレートおよびイラスト等のデジタル素材を利用して印刷データを作成するシステムも普及している。
【0003】
このような印刷通販のための印刷物の受発注システムとして、業者に対する品質評価に基づいて印刷業者、配送業者およびデザイン業者を選定するシステムが開示されている(例えば特許文献1)。また、印刷業者または配送業者の所在地と能力に基づいて最短で発送できる業者を選定するシステムが開示されている(例えば特許文献2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、デジタル素材を、印刷に適した印刷業者へ配信することができない場合があるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デジタル素材を、印刷に適した印刷業者へ配信することができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、発注者端末からデジタル素材に関する情報を含む発注情報を受信する受信部と、前記発注情報に基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成する第1生成部と、前記デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者のうちの特定の印刷業者の管理装置に前記ジョブ情報を配信する配信部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、デジタル素材を、印刷に適した印刷業者へ配信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る機器システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るクラウドシステム等のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る印刷機のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る機器システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る機器システムで用いられるデータモデルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、業者登録画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る機器システムのデジタル素材登録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】
図8は、デジタル素材登録画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、テンプレート選択画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、イラストデータ選択画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る機器システムの全体的な処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図15】
図15は、ジョブの印刷準備と印刷を矢印線で示す図である。
【
図16】
図16は、実施形態に係るクラウドシステムのジョブ実行判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、空き時間の開始時刻における機器状態の予測を説明する図である。
【
図18】
図18は、実施形態に係るクラウドシステムにおける機器状態の予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、準備時間および実行時間の予測動作を説明する図である。
【
図20】
図20は、機械学習に使用されるニューラルネットワークの一例を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係るクラウドシステムの機能ブロックの構成の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0010】
(機器システムの概略構成)
図1は、実施形態に係る機器システムの概略構成を示す図である。
図1を参照しながら、機器システム100の概略構成について説明する。
【0011】
図1に示す機器システム100は、発注者からデジタル素材を使用したジョブや印刷データの印刷を受注して、当該印刷に適した印刷業者を選択して、当該印刷業者において印刷を実行させて印刷物を生産し、発注者に印刷物を提供するためのシステムである。機器システム100は、
図1に示すように、クラウドシステム50と、発注者端末40と、1以上の印刷業者10の管理サーバ11(管理装置)、管理者端末12および印刷機30と、を含む。また、クラウドシステム50、発注者端末40、ならびに、印刷業者10の管理サーバ11、管理者端末12および印刷機30は、ネットワークNを介して互いにデータ通信が可能となっている。
【0012】
ネットワークNは、本実施形態ではクラウドシステム50が利用される関係で、インターネットを含むネットワークである。また、印刷業者10内では、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等が使用されている。なお、ネットワークNは、VPN(Virtual Private Network)が使用されるものとしてもよい。
【0013】
印刷業者10は、印刷工場、印刷所、または所定の建屋等の印刷用の設備を有し、設備を用いて印刷物を印刷する業者を意味する。各印刷業者10のシステムは、管理サーバ11と、管理者端末12と、印刷機30と、を有する。管理サーバ11および印刷機30は、印刷業者10のシステム内のネットワークを介して、互いにデータ通信が可能となっているものとすればよい。印刷物は、紙等の記録媒体上に、画像形成装置等の印刷装置を用いて印刷データを画像形成することで印刷したものである。印刷物は例えば、ダイレクトメール、広告、チラシ、冊子、ポスター、販促物、カタログ、パンフレット、伝票、請求書等、発注者であるブランドオーナー等が事業や販売促進等に用いる商用の印刷物であるが、発注者が使用する文書等でもよい。
【0014】
管理サーバ11は、クラウドシステム50からジョブ情報が配信されると、印刷機30に対してジョブの実行を指示するPC(Personal Computer)またはワークステーション、印刷サーバ装置等の情報処理装置である。
【0015】
また、上述のジョブとは、印刷処理の単位をいう。例えば、ある文書のある枚数を印刷することである。本実施形態では、印刷機30が印刷することがジョブの実行であるが、ジョブの実行が具体的にどのような処理かは印刷機30の種類によって異なる。また、ジョブの実行により得られる出力としては、さらに単に結果を表示する、結果をクラウドに記憶する、メールを送信する、またはユーザ等へ通知する等を行ってもよい。また、ジョブ情報は、ジョブに関する情報である。例えば、ジョブ情報は、発注情報を受けて、印刷する印刷業者などの属性情報(書誌的情報)や印刷対象を特定し、印刷業者へ新たなジョブとして通知する情報である。なおジョブ情報では属性情報のみ含まれ、印刷対象(印刷データ)は後で作成される場合もある。なお、本実施形態では、ジョブとジョブ情報とを厳密に区別しないものとする。ジョブのスケジュール情報は、ある印刷機30においてジョブが実行される予定の開始時刻および終了時刻を示す情報である。また、印刷データ(印刷情報)は、画像形成装置を用いて記録媒体に印刷を行うために用いるデータであり、例えばレイアウトデータがデジタル素材(画像ファイル)を含んで印刷用のデータとして生成された状態等を言う。
【0016】
管理者端末12は、クラウドシステム50に対して、印刷業者等が、所望するデジタル素材を登録する(登録を要求する)ための情報処理装置である。ここで、デジタル素材とは、印刷データに含めるためのテンプレートおよびイラストデータ等の素材データをいうものとする。デジタル素材は例えば発注の事前に登録されている画像ファイルである。このように、印刷業者によって登録されたデジタル素材については、当該デジタル素材を含む印刷データの印刷に関してノウハウを有しているのは当該印刷業者であるため、当該印刷業者に印刷させることが好適である。本実施形態では、クラウドシステム50によって、印刷データに含まれるデジタル素材の属性(例えば当該デジタル素材の登録者である印刷業者等)に基づいて、当該印刷データのジョブ情報を配信する印刷業者を選択する動作について詳細に説明する。なお、管理者端末12によりデジタル素材を登録する者は、印刷業者に限定されるものではなく、当該デジタル素材のデザイナ等であってもよい。この場合には、管理者端末12は、印刷業者10で保有されていることに限定されない。なお、様々な利用者(印刷業者、デザイナ、他)が持つ管理者端末12から登録済みの業者としてログインすることでデジタル素材の登録が可能になる。管理者端末12はWebブラウザやアプリケーションを備え、クラウドシステム50にネットワークを介してアクセスすることで各画面を表示する。
【0017】
印刷機30は、プロダクション向けプリンタ、カラーインクジェットプリンタ、またはカラー/モノクロMFP(Multifunction Peripheral)等の画像形成装置である。印刷機30の印刷方式は、電子写真方式、インクジェット方式、凸版印刷、凹版印刷、平板印刷、孔版印刷等であり、これらの方式に限られず、印刷できる方式であればよい。また、印刷機30は、印刷した記録媒体に対して、紙折り、中綴じ製本、くるみ製本、パンチ等の後加工(後処理)を行うためのフィニッシャ(後処理装置)が接続されていてもよい。また、印刷機30は、スキャナ機能、ファックス機能、またはコピー機能等を有していてよい。
【0018】
なお、印刷機30が商用印刷機器である場合、DFE(Digital Front End)により制御される。このため、印刷機30とは独立な装置がDFEを有する場合があってもよい。本実施形態では、DFEによる制御機能が印刷機30に備えられているものとして説明する。
【0019】
発注者端末40は、印刷を要求する発注者の操作に従って、印刷を発注するための発注データ(発注情報の一例)をクラウドシステム50へ送信するための情報処理装置である。発注者は、印刷物等の生産物を印刷業者等の生産者に発注する者である。発注者は、例えば商品ブランドを持つブランドオーナー等の企業や、個人(非企業体)でもよい。発注者端末40は、クラウドシステム50からデジタル素材の提供を受けて、印刷データを生成するためのレイアウトを編集することが可能である。このとき編集されるレイアウトデータ(レイアウト情報)は、複数のデジタル素材から指定したデジタル素材を配置、および、編集した編集データであり印刷データの元になるデータである。また、レイアウトデータに対して、さらに宛名データ等のバリアブルデータ(バリアブル情報)からデータを埋め込むタグ(バリアブル要素)を埋め込むことも可能である。そして、発注者端末40は、上述のレイアウトデータ、バリアブルデータ、および発注内容を発注データとして、クラウドシステム50へ送信することにより発注処理を行う。なお、レイアウトデータは、クラウドシステム50から提供を受けたデジタル素材を指定することで、デジタル素材を示す情報を埋め込んだ状態のデータとしてもよく、デジタル素材そのものを含んだ状態のデータであってもよい。デジタル素材に関する情報は、指定・選択・配置・編集されたデジタル素材を示す情報であり、デジタル素材を識別するデジタル素材識別情報や、デジタル素材を示すアイコンのデータ、デジタル素材を配置したレイアウトにおける座標等の位置情報などを含む。デジタル素材に関する情報は、レイアウトデータに含められ、あるいは関連付けて、発注データに含まれてクラウドシステム50へ送信される。発注者端末40はWebブラウザやアプリケーションを備え、クラウドシステム50にネットワークを介してアクセスすることで各画面を表示する。
【0020】
クラウドシステム50は、外部の発注者端末40から印刷の発注データを受信すると、各印刷業者10の印刷機30のスケジュール情報から空き時間を検出し、受け付けたジョブの準備時間と実行時間を算出して、空き時間内に受け付けたジョブを実行できるかどうかを判断し、当該ジョブについて実行可能な印刷業者10を決定して配信する、1以上の情報処理装置を有する情報処理システムである。すなわち、クラウドシステム50は、外部の発注者端末40の利用者に対して印刷サービスを提供する。ここで、クラウドとは、クラウドコンピューティングの略称であり、特定のハードウェア資源が意識されずにネットワーク上のリソースが利用される利用形態をいう。クラウドという用語はオンプレミス(ユーザが管理する設備内)という用語と対比して使用されるが、クラウドシステム50は、社内LANの外側にあっても内側にあってもよい。クラウドシステム50が有する1つ以上の情報処理装置は、サーバとして、クライアントからの要求に対して各種情報および処理結果を提供する機能を果たす。
【0021】
また、クラウドシステム50は、判断に際して、空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測し、予測した印刷機30の状態と、受け付けたジョブ情報に基づいて設定される印刷機30の状態とに基づいて準備時間を予測する。
【0022】
クラウドシステム50は、
図1に示すように、注文管理サービス51と、顧客管理サービス52と、機器管理サービス53と、業者管理サービス54と、ジョブ管理サービス55と、デジタル素材管理サービス56と、課金管理サービス57と、を有する。各サービスは、クラウドシステム50が提供する機能である。この他、利用者の認証とログインやロール、アクセス権を管理する認証サービス、企業として利用する場合の企業情報であるテナント管理サービス等の基盤サービスを有してもよい。クラウドシステム50では、各サービスにそれぞれ対応するサーバが存在してもよく、1つ以上のサーバが各サービスを実現するものとしてもよい。各サービスにそれぞれ対応するアプリケーションがサーバで動作しており、アプリケーション同士は通信できるようになっている。各アプリケーションは、例えばWeb API(Application Programming Interface)を介して通信する。Web APIには厳格な定義はないが、HTTP(HyperText Transfer Protocol)等のプロトコルを用いてネットワーク越しに呼び出すアプリケーション間またはシステム間のインターフェースである。
【0023】
注文管理サービス51は、外部の発注者端末40から印刷の発注データを受信して、当該発注データで指定されるデジタル素材をデジタル素材管理サービス56から取得して印刷データを生成し、ジョブ管理サービス55に対して、当該印刷データの印刷を行うためのジョブ情報の登録要求を行う。なお、印刷データの生成は、注文管理サービス51で行われることに限定されるものではなく、印刷業者10の管理サーバ11または印刷機30によって生成されるものとしてもよい。また、発注者端末40から受信された発注データ自体にデジタル素材が予め含まれているものとしてもよい。
【0024】
顧客管理サービス52は、発注者端末40を使用する利用者等のクラウドシステム50を利用する顧客の情報を管理する。
【0025】
機器管理サービス53は、機器情報を各印刷機30から受信して、機器情報をジョブ管理サービス55に提供する。
【0026】
業者管理サービス54は、各印刷業者10の情報を管理する。
【0027】
ジョブ管理サービス55は、注文管理サービス51からジョブ情報を取得して一元管理し、機器管理サービス53が管理する機器情報を参照し、かつ当該ジョブ情報に対応する印刷データのデジタル素材に基づいて、当該ジョブ情報の印刷に適切な印刷業者10に配信する。
【0028】
デジタル素材管理サービス56は、管理者端末12から登録要求をされた各種のデジタル素材を登録して管理するサービスである。また、デジタル素材管理サービス56は、印刷データの生成のために注文管理サービス51からの要求に応じて、指定されたデジタル素材を提供する。
【0029】
課金管理サービス57は、ジョブ情報が印刷業者10に配信された場合、ジョブ情報に対応する発注者端末40の利用者(顧客)からの出金情報と、ジョブ情報の配信を受けた印刷業者10への入金情報とを登録し、課金処理を行う。
【0030】
以上のような機器システム100のシステムにおける概略の動作は以下のようになる。まず、印刷機30は、定期的にまたはシステム変更があったときに、機器情報(構成、設定、機器状態、ジョブ状態等)を機器管理サービス53に通知する。機器管理サービス53は、登録されている印刷機30の最新の機器情報を保持する。
【0031】
所定の画像ファイル等の印刷出力を所望する利用者の発注者端末40は、発注データを注文管理サービス51へ送信する。注文管理サービス51は、受信した発注データから印刷データを生成する。この際、注文管理サービス51は、発注データで指定されているデジタル素材を、デジタル素材管理サービス56から取得し、当該デジタル素材およびバリアブルデータ等を用いて印刷データを生成する。そして、注文管理サービス51は、ジョブ管理サービス55に対して、当該印刷データの印刷を行うためのジョブ情報の登録要求を行う。ジョブ管理サービス55は、受信したジョブ情報を登録する。
【0032】
ジョブ管理サービス55は、登録してある印刷業者10の保有する印刷機30の状態(上述の機器情報が示す状態)、および、受付済みのジョブ一覧を保持しているため、登録した新たなジョブに対して、希望納期までに実行可能な印刷業者10を検索することができる。ジョブ管理サービス55は、ジョブの実行に適した印刷業者10の印刷機30を選択し、その印刷機30を保有する印刷業者10に対して、ジョブ情報を配信する。具体的には、ジョブ管理サービス55は、ジョブ情報の印刷データに含まれるデジタル素材の属性(例えば当該デジタル素材の登録者である印刷業者等)に基づいて、印刷業差を選択する。そして、印刷業者10の印刷機30は、ジョブを実行する。
【0033】
課金管理サービス57は、印刷業者10の印刷機30から通知されるジョブの実行完了通知に基づいて、発注者端末40の利用者(顧客)の口座から出金し、ジョブを実行した印刷業者10および印刷データのデジタル素材の登録者の口座へ入金する。
【0034】
以上のような構成によって、ジョブの実行に適した印刷機30で印刷を行うことにより、印刷機30の稼働率を上げることができ、かつ、機会損失を防ぐとともに機器システム100を利用する印刷業者10間で収益を分配することができる。
【0035】
(クラウドシステム、管理サーバ、管理者端末および発注者端末のハードウェア構成)
図2は、実施形態に係るクラウドシステム等のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2を参照しながら、クラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40のハードウェア構成について説明する。ここでは、クラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40をそれぞれ構成する情報処理装置のハードウェア構成として説明する。なお、管理サーバ11と管理者端末12はそれぞれ別の情報処理装置で構成してもよいし、1つの情報処理装置(PC)にサーバ機能を持つソフトウェア(管理サーバ11用ソフト)とWebブラウザやアプリケーション(管理者端末12用ソフト)等の複数のソフトウェアをインストールすることで構成して実現してもよい。
【0036】
図2に示すように、情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)801と、ROM(Read Only Memory)802と、RAM(Random Access Memory)803と、HD(Hard Disk)804、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ805と、ディスプレイ806と、外部機器接続I/F808と、ネットワークI/F809と、キーボード811と、ポインティングデバイス812と、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ814と、メディアI/F816と、を備えている。これらの各装置は、データ通信が可能となるようにアドレスバスおよびデータバス等のバスライン810で接続されている。
【0037】
CPU801は、情報処理装置全体の動作を制御する演算装置である。ROM802は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU801の駆動に用いられるプログラムを記憶する不揮発性記憶装置である。RAM803は、CPU801のワークエリアとして使用される揮発性記憶装置である。
【0038】
HD804は、プログラム等の各種データを記憶する不揮発性の補助記憶装置である。HDDコントローラ805は、CPU801の制御に従って、HD804に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御するコントローラである。なお、HD804およびHDDコントローラ805は、SSD(Solid State Drive)であってもよい。
【0039】
ディスプレイ806は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字または画像等の各種情報を表示する表示装置である。外部機器接続I/F808は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリまたはプリンタ等が挙げられる。ネットワークI/F809は、ネットワークNを介してデータ通信をするためのインターフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、およびTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)等に準拠した通信が可能なインターフェースである。
【0040】
キーボード811は、文字、数値、各種指示等の入力のための複数のキーを備えた入力装置である。ポインティングデバイス812は、各種指示の選択、実行、処理対象の選択、カーソルの移動等を行うマウス等の入力装置である。
【0041】
DVD-RWドライブ814は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-R(Digital Versatile Disk Recordable)またはDVD-RW等のDVD513に対する各種データの読み出しまたは書き込みを制御する装置である。メディアI/F816は、フラッシュメモリ等のメディア815に対するデータの読み出しまたは書き込み(記憶)を制御するインターフェースである。
【0042】
なお、クラウドシステム50の場合、仮想マシンにより実現されることが多い。仮想マシンとは、ホストOS(Operating System)上で別のOSを動作させた場合の情報処理装置をいう。
【0043】
また、
図2に示したクラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40を構成する情報処理装置のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図2に示した構成要素をすべて含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。また、クラウドシステム50、管理サーバ11、管理者端末12および発注者端末40を構成する情報処理装置が、同一のハードウェア構成を有する必要もないのは言うまでもない。
【0044】
(印刷機のハードウェア構成)
図3は、実施形態に係る印刷機のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3を参照しながら、印刷機30のハードウェア構成について説明する。
【0045】
図3に示すように、印刷機30は、コントローラ910と、近距離通信回路920と、エンジン制御部930と、操作パネル940と、ネットワークI/F950と、を備えている。
【0046】
コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901と、MEM-P(システムメモリ)902と、NB(ノースブリッジ)903と、SB(サウスブリッジ)904と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906と、MEM-C(ローカルメモリ)907と、HDDコントローラ908と、HD909と、を有する。このうち、NB903とASIC906とは、AGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続されている。
【0047】
CPU901は、印刷機30の全体制御を行う演算装置である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットと、を有する。
【0048】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムおよびデータの格納用メモリであるROM902aと、プログラムおよびデータの展開、ならびにメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bと、を含む。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0049】
SB904は、NB903と、PCIデバイスおよび周辺デバイス等と、を接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDDコントローラ908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。ASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、ならびに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットを含む。なお、ASIC906には、USBインターフェース、またはIEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されるようにしてもよい。
【0050】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、およびフォームの蓄積を行うためのストレージである。HDDコントローラ908は、CPU901の制御に従って、HD909に対するデータの読み出しまたは書き込みを制御するコントローラである。なお、HDDコントローラ908およびHD909は、SSDであってもよい。
【0051】
AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインターフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0052】
近距離通信回路920は、NFC(Near Field Communication)またはBluetooth(登録商標)等の通信回路である。近距離通信回路920は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。近距離通信回路920には、無線通信用のアンテナ920aが接続されている。
【0053】
エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932を含む。スキャナ部931およびプリンタ部932は、誤差拡散またはガンマ変換等の画像処理機能を含む。
【0054】
操作パネル940は、現在の設定値または選択画面等を表示させ、ユーザからの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940aと、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなるハードキー940bと、を備えている。
【0055】
なお、印刷機30は、操作パネル940のアプリケーションの切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファックス機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファックス機能の選択時にはファックスモードとなる。
【0056】
ネットワークI/F950は、ネットワークNを介してデータ通信をするためのインターフェースであり、例えば、イーサネット、およびTCP/IP等に準拠した通信が可能なインターフェースである。ネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0057】
なお、
図3に示した印刷機30を構成する情報処理装置のハードウェア構成は一例を示すものであり、
図3に示した構成要素をすべて含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。
【0058】
(機器システムの機能ブロックの構成および動作)
図4は、実施形態に係る機器システムの機能ブロックの構成の一例を示す図である。
図4を参照しながら、機器システム100の機能ブロックの構成および動作について説明する。
【0059】
<管理サーバ>
印刷業者10の管理サーバ11は、
図4に示すように、通信部111と、登録確認部112と、ジョブ実行指示部113と、ジョブ情報記憶部119と、を有する。
【0060】
通信部111は、ジョブ管理サービス55と各種の情報を送受信する機能部である。通信部111は、ジョブ管理サービス55により配信されたジョブ情報を受信する。通信部111は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0061】
登録確認部112は、通信部111により受信されたジョブ情報を登録するか否かを確認する機能部である。例えば、登録確認部112は、通信部111によりジョブ情報が受信された場合、管理サーバ11(あるいは管理サーバ11に接続する管理者端末12等の端末装置)のディスプレイ806に表示された、Webブラウザやアプリケーションに、登録の許否の選択を促す画面を表示させる。印刷業者は、ジョブ管理サービス55によりジョブ情報の実行先として選択されたものの、印刷機30の何らかの不具合等により当該ジョブ情報について印刷出力が不能である場合には、キーボード811またはポインティングデバイス812による操作入力によって、当該ジョブ情報の受け付けを拒否する。この場合、登録確認部112は、ジョブ情報の許否通知を、ジョブ管理サービス55へ送信する。一方、印刷業者は、印刷機30により印刷出力が可能である場合には、キーボード811またはポインティングデバイス812による操作入力によって、当該ジョブ情報の受け付けを許可する。この場合、登録確認部112は、当該ジョブ情報をジョブ情報記憶部119に登録する。
【0062】
ジョブ実行指示部113は、登録確認部112によりジョブ情報記憶部119に登録されたジョブ情報について、当該ジョブ情報に含まれるスケジュール情報に従って、印刷機30に当該ジョブ情報の実行を指示する機能部である。
【0063】
ジョブ情報記憶部119は、通信部111により受信されたジョブ情報を記憶する機能部である。ジョブ情報記憶部119は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0064】
上述の登録確認部112およびジョブ実行指示部113は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0065】
なお、
図4に示す管理サーバ11の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す管理サーバ11で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す管理サーバ11で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0066】
<印刷機>
印刷業者10の印刷機30は、
図4に示すように、通信部301と、機器情報送信部302と、ジョブ実行部303と、を有する。
【0067】
通信部301は、機器管理サービス53との間で、各種の情報を送受信する機能部である。通信部301は、例えば、機器情報送信部302の制御に応じて、機器情報を機器管理サービス53へ送信する。通信部301は、例えば、
図3に示すネットワークI/F950、およびCPU901によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0068】
機器情報送信部302は、印刷機30に関する機器情報を、通信部301を介して機器管理サービス53へ送信する機能部である。機器情報は、例えば、印刷機30の印刷速度等の構成、用紙種別・サイズ等の設定、稼働中または故障中等の印刷機30の状態、および、どのくらいのジョブが投入されているのかというスケジュール情報等を含む。機器情報の内容については、後述のクラウドシステム50において説明する。
【0069】
ジョブ実行部303は、管理サーバ11のジョブ実行指示部113からのジョブ情報の実行指示に応じて、当該ジョブ情報を実行する機能部である。具体的には、ジョブ実行部303は、プリンタ部932に対して、ジョブ情報に含まれる印刷データを用紙等の記録媒体に印刷出力させる。
【0070】
上述の機器情報送信部302およびジョブ実行部303は、例えば、
図3に示すCPU901によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0071】
なお、
図4に示す印刷機30の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す印刷機30で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す印刷機30で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0072】
<管理者端末>
管理者端末12は、
図4に示すように、通信部121と、デジタル素材登録要求部122と、表示制御部123と、入力部124と、を有する。
【0073】
通信部121は、クラウドシステム50のデジタル素材管理サービス56との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部121は、登録を所望されるデジタル素材および当該デジタル素材の属性情報を、デジタル素材管理サービス56へ送信する。ここで、属性情報とは、デジタル素材の属性を示す情報であり、詳細については後述する。なお、属性情報には、デジタル素材に対して直接指定した属性情報に加えて、デジタル素材の作成者や登録者の情報(例えば管理者端末12の利用者である印刷業者等の情報)や、デジタル素材の作成者や登録者が指定した印刷業者等の情報も含まれる通信部121は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0074】
デジタル素材登録要求部122は、管理者端末12で設定されたデジタル素材、および入力部124に対する操作入力された属性情報を、デジタル素材管理サービス56に対して登録を要求する機能部である。
【0075】
表示制御部123は、管理者端末12のディスプレイ806の表示動作を制御する機能部である。例えば、表示制御部123は、デジタル素材を設定し、属性情報を入力するための後述するデジタル素材登録画面、および印刷業者の業者情報を登録するための後述する業者登録画面等を、ディスプレイ806に表示させる。表示制御部123は、例えば管理者端末12にインストールされたWebブラウザやアプリケーションで実現され、管理者端末12からクラウドシステム50にアクセスすることでクラウドシステム50から上記画面等の画面情報を取得して表示する。
【0076】
入力部124は、印刷業者等の操作入力を受け付ける機能部である。入力部124は、
図2に示すキーボード811およびポインティングデバイス812によって実現される。
【0077】
上述のデジタル素材登録要求部122および表示制御部123は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0078】
なお、
図4に示す管理者端末12の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す管理者端末12で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す管理者端末12で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0079】
<発注者端末>
発注者端末40は、
図4に示すように、通信部401と、デジタル素材取得部402と、発注送信部403と、表示制御部404と、入力部405と、を有する。
【0080】
通信部401は、クラウドシステム50の注文管理サービス51およびデジタル素材管理サービス56との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部401は、発注者端末40で編集された発注データを、注文管理サービス51へ送信する。また、通信部401は、発注者端末40で印刷データのレイアウトを編集する際に用いるデジタル素材を、デジタル素材管理サービス56から受信する。通信部401は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0081】
デジタル素材取得部402は、印刷データのレイアウトを編集するために用いるデジタル素材を、デジタル素材管理サービス56から通信部401を介して取得する機能部である。
【0082】
発注送信部403は、発注者端末40で編集されたデジタル素材、およびバリアブルデータからデータを埋め込むためのバリアブル要素を含むレイアウトデータ、および当該バリアブルデータを発注データとして、通信部401を介して注文管理サービス51へ送信することによって発注処理を行う機能部である。
【0083】
表示制御部404は、発注者端末40のディスプレイ806の表示動作を制御する機能部である。例えば、表示制御部404は、後述するように、印刷データのレイアウトを変種するためのデジタル素材登録画面、ならびにデジタル素材を選択するためのテンプレート選択画面およびイラストデータ選択画面等をディスプレイ806に表示させる。表示制御部404は、例えば発注者端末40にインストールされたWebブラウザやアプリケーションで実現され、発注者端末40からクラウドシステム50にアクセスすることでクラウドシステム50から上記画面等の画面情報を取得して表示する。
【0084】
入力部405は、発注者の操作入力を受け付ける機能部である。入力部405は、
図2に示すキーボード811およびポインティングデバイス812によって実現される。
【0085】
上述のデジタル素材取得部402、発注送信部403および表示制御部404は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0086】
なお、
図4に示す発注者端末40の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す発注者端末40で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す発注者端末40で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0087】
<注文管理サービス>
クラウドシステム50の注文管理サービス51は、
図4に示すように、通信部511(受信部の一例としての通信部511)と、デジタル素材取得部512(取得部の一例としてのデジタル素材取得部512)と、印刷データ生成部513(第2生成部の一例としての印刷データ生成部513)と、ジョブ登録要求部514(第1生成部の一例としてのジョブ登録要求部514)と、を有する。
【0088】
通信部511は、発注者端末40との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部511は、発注者端末40から発注データを受信する(受け付ける)。通信部511は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0089】
デジタル素材取得部512は、通信部511により受信された発注データで指定されるデジタル素材を、デジタル素材管理サービス56から通信部511を介して取得する機能部である。
【0090】
印刷データ生成部513は、通信部511により受信された発注データ、およびデジタル素材取得部512により取得されたデジタル素材から印刷データを生成する機能部である。具体的には、印刷データ生成部513は、発注データで指定されたデジタル素材としてのテンプレートに、デジタル素材としてのイメージデータを配置し、さらに、当該発注データに含まれるバリアブルデータをバリアブル要素に埋め込んで印刷データを生成する。印刷データは、例えば、PDF(Portable Document Format)またはJDF(Job Definition Format)等のデータである。なお、上述のように、印刷データ生成部513による発注データに基づく印刷データの生成は、例えば管理サーバ11または印刷機30で行われるものとしてもよい。この場合、管理サーバ11または印刷機30は、第2生成部に相当する。また、デジタル素材を配置したデータの生成まで印刷データ生成部513で行い、バリアブル要素に対するバリアブルデータの埋め込み処理については印刷機30で行うものとしてもよい。
【0091】
ジョブ登録要求部514は、ジョブ管理サービス55に対して、印刷データ生成部513により生成された印刷データを含む、印刷を実行するためのジョブ情報を生成し、当該ジョブ情報の登録要求を行う機能部である。
【0092】
上述のデジタル素材取得部512、印刷データ生成部513およびジョブ登録要求部514は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0093】
なお、
図4に示す注文管理サービス51の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す注文管理サービス51で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す注文管理サービス51で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0094】
<顧客管理サービス>
クラウドシステム50の顧客管理サービス52は、
図4に示すように、顧客情報記憶部529を有する。
【0095】
顧客情報記憶部529は、クラウドシステム50を利用する顧客(例えば発注者端末40を使用する発注者等)の情報を顧客情報として記憶する記憶部である。顧客情報記憶部529は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0096】
<機器管理サービス>
クラウドシステム50の機器管理サービス53は、
図4に示すように、通信部531と、機器情報登録部532と、機器情報提供部533と、機器情報記憶部539と、を有する。
【0097】
通信部531は、印刷業者10の印刷機30との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部531は、印刷機30から機器情報を受信する。また、通信部531は、通信を開始する場合には、双方向の通信の仕組み(例えばWebSocketまたはMQTT(Message Queuing Telemetry Transport)等)を利用する。通信部531は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0098】
機器情報登録部532は、通信部531を介して受信した機器情報を機器情報記憶部539に登録する機能部である。
【0099】
機器情報提供部533は、機器情報記憶部539に登録された機器情報をジョブ管理サービス55に提供する機能部である。なお、機器情報提供部533は、新しい機器情報が登録されたときに、遅延なく機器情報を提供することが望ましい。または、機器情報提供部533は、ジョブ管理サービス55の機器情報取得部552からの要求に応じて提供したり、定期的に、または負荷が小さいタイミングで提供するものとしてもよい。
【0100】
機器情報記憶部539は、機器情報を記憶する機能部である。機器情報記憶部539は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。機器情報は、例えば、機器ID、構成、設定、機器状態、用紙残量、インク、インク残量、およびジョブ状態を含む情報である。機器IDは、印刷機30を一意に識別する識別情報である。構成は、印刷機30が有する機能に関する情報であり、例えばカラー印刷および白黒印刷の可否、可能な場合の印刷速度、および印刷データに対するバリアブルデータの埋め込み処理の可否等が含まれる。設定は、印刷機30に設定されている用紙のサイズ、種類、グレード等である。機器状態は、稼働中、停止中、故障中等の印刷機30の現在の状態を表す。用紙残量は、用紙の残量である。インクは、プロセスカラーインク、および特色のインク(例えば透明インク、蛍光インク、メタリックインク、混色インク等)の搭載されているインクの種類である。ここで、特色とは、CMYKのいわゆるプロセスカラー以外の色であって、当該色の専用の色材(インクまたはトナー等)によって印字が可能な色をいうものとする。専用の色材は、例えば、メタリック色材(ゴールドトナー・シルバートナー・インク)や、透明色材(クリアトナー・インク)、蛍光色材(蛍光色トナー・インク)、箔(金箔・銀箔)、IRトナー(赤外線照射で発行するインビジブルレッドトナー・インク)等である。インク残量は、インクの残量である。ジョブ状態は、印刷機30に投入されているジョブに関する情報であり、例えば、スケジュール情報が含まれる。
【0101】
上述の機器情報登録部532および機器情報提供部533は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0102】
なお、
図4に示す機器管理サービス53の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す機器管理サービス53で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す機器管理サービス53で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0103】
<業者管理サービス>
クラウドシステム50の業者管理サービス54は、
図4に示すように、業者情報記憶部549(第1記憶部の一例としての業者情報記憶部549)を有する。
【0104】
業者情報記憶部549は、クラウドシステム50を利用する印刷業者10の情報を業者情報として記憶する記憶部である。業者情報記憶部549は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0105】
<ジョブ管理サービス>
クラウドシステム50のジョブ管理サービス55は、
図4に示すように、通信部551と、機器情報取得部552と、ジョブ情報登録部553と、ジョブ実行判断部554(判断部の一例としてのジョブ実行判断部554)と、スケジュール生成部555と、ジョブ情報配信部556(配信部の一例としてのジョブ情報配信部556)と、課金情報通知部557と、ジョブ情報記憶部559と、を有する。
【0106】
通信部551は、印刷業者10の管理サーバ11との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部551は、管理サーバ11へジョブ情報を送信(配信)する。また、通信部551は、管理サーバ11からジョブの実行完了通知を受信する。通信部551は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0107】
機器情報取得部552は、機器管理サービス53から機器情報を受け取る機能部である。機器管理サービス53は、新しい機器情報を受信するたびにジョブ管理サービス55に当該機器情報を送信してもよいし、定期的に、または負荷の少ない状態の場合に送信してもよい。または、機器情報取得部552は、機器管理サービス53に機器情報を要求し、要求の結果として機器情報を受け取ってもよい。この場合も、機器情報取得部552は、定期的に、または負荷の少ない状態の場合に要求してもよい。
【0108】
ジョブ情報登録部553は、注文管理サービス51からジョブ情報の登録を受け付ける機能部である。具体的には、ジョブ情報登録部553は、注文管理サービス51のジョブ登録要求部514により送信されたジョブ情報を、通信部551を介して受信し、ジョブ情報記憶部559に登録する。ジョブ情報の内容については、後述する。
【0109】
ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報登録部553によりジョブ情報記憶部559に登録されたジョブ情報を、どの印刷業者10で実行させるか(どの印刷業者10のどの印刷機30で印刷処理させるか)を判断する機能部である。例えば、ジョブ実行判断部554は、現在の各印刷業者10の印刷機30の状態、およびジョブ実行が予定されているスケジュール情報から、空き時間の開始時における印刷機30の状態を予測し、空き時間終了時までに新たに受け付けたジョブを完了できるかを判断する。
【0110】
そして、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、ジョブ情報の印刷データに含まれるデジタル素材の属性に基づいて、当該ジョブ情報の印刷に適切な印刷業者10を判断する。例えば、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、当該デジタル素材の作成者が印刷業者10として業者管理サービス54の業者情報記憶部549に登録されている場合に当該印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断する。なお、印刷データ異なる印刷業者10がそれぞれ作成したデジタル素材が含まれる場合、ジョブ実行判断部554は、各デジタル素材に最も多く関連付けられた印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、当該デジタル素材に印刷業者10が指定されている場合(当該デジタル素材に印刷業者10が関連付けられている場合)に当該印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、当該デジタル素材の作成者に印刷業者10が指定されている場合(当該デジタル素材の作成者に印刷業者10が関連付けられている場合)に当該印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、当該デジタル素材に特色が指定されている場合において当該特色の印刷が対応可能な印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報からジョブの実行が可能な印刷業者10のうち、当該デジタル素材の属性情報に含まれる印刷条件を満たす印刷が可能な印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。
【0111】
さらに、ジョブ実行判断部554は、印刷データにバリアブルデータを埋め込む処理が必要な場合、当該処理が対応可能な印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報に含まれる印刷条件を満たす印刷が可能な印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報に含まれ顧客情報が示す住所(納品先)に最も近い住所の印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。なお、ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報に納期優先または価格優先が設定されている場合には、納期が最短または価格が最安の印刷業者10のうち上記の条件を満たす印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。
【0112】
なお、ジョブ実行判断部554によりジョブを実行させる印刷業者10は複数であってもよい。
【0113】
スケジュール生成部555は、ジョブ実行判断部554によりジョブ情報を実行させる印刷業者10が判断された場合、スケジュール情報を生成する機能部である。この場合、スケジュール生成部555は、当該ジョブ情報に、生成したスケジュール情報を含めてジョブ情報記憶部559に記憶させる。スケジュール情報とは、いつからいつまでにジョブを実行するかという予定を表す情報である。
【0114】
ジョブ情報配信部556は、ジョブ実行判断部554により判断されたジョブ情報を実行させる印刷業者10の管理サーバ11へ、スケジュール生成部555により生成されたスケジュール情報を含む当該ジョブ情報を、通信部551を介して送信(配信)する機能部である。
【0115】
課金情報通知部557は、印刷業者10の印刷機30においてジョブ情報が実行された場合、当該ジョブ情報の印刷データを発注した発注者端末40の発注者(顧客)からの出金情報、およびジョブ情報の配信を受けた印刷業者10への入金情報を、課金管理サービス57へ通知する機能部である。
【0116】
ジョブ情報記憶部559は、ジョブ情報を記憶する機能部である。ジョブ情報記憶部559は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。ジョブ情報は、例えば、ジョブID、用紙、枚数、画質要求、希望納期、印刷データ、顧客情報、スケジュール情報、ログ、およびステータスを含む情報である。ジョブIDは、ジョブ情報を識別する識別情報である。用紙は、このジョブで要求される用紙のグレードや種類である。枚数は、ジョブで印刷する部数である。画質要求は、印刷物に要求される画質(例えば解像度等)である。希望納期は、顧客が希望する印刷物の納期である。印刷データは、印刷される対象のデータである。顧客情報は、このジョブを依頼した顧客を特定する情報である。スケジュール情報は、このジョブを割り当てられた印刷機30がいつからいつまでにジョブを実行するかの情報である。ログは、実際にジョブが実行された開始時刻および終了時刻であり、ジョブの実行完了通知にも含まれている。ステータスは、現在のジョブの進捗状態を示す情報である。なお、ジョブ情報は、上述の情報以外の情報を含んでいてもよい。
【0117】
上述の機器情報取得部552、ジョブ情報登録部553、ジョブ実行判断部554、スケジュール生成部555、ジョブ情報配信部556および課金情報通知部557は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0118】
なお、
図4に示すジョブ管理サービス55の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示すジョブ管理サービス55で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示すジョブ管理サービス55で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0119】
<デジタル素材管理サービス>
クラウドシステム50のデジタル素材管理サービス56は、通信部561と、第1デジタル素材提供部562と、第2デジタル素材提供部563と、デジタル素材登録部564(登録部の一例としてのデジタル素材登録部564)と、デジタル素材記憶部569(第2記憶部の一例としてのデジタル素材記憶部569)と、を有する。
【0120】
通信部561は、管理者端末12および発注者端末40との間で、各種の情報を送受信する機能部である。例えば、通信部561は、管理者端末12からデジタル素材の登録要求を受信し、発注者端末40へデジタル素材を送信する。通信部561は、例えば、
図2に示すネットワークI/F809、およびCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。
【0121】
第1デジタル素材提供部562は、発注者端末40の要求に応じて、印刷データのレイアウトを編集する際に用いるデジタル素材をデジタル素材記憶部569から読み出し、通信部561を介して発注者端末40へ提供する機能部である。
【0122】
第2デジタル素材提供部563は、注文管理サービス51の要求に応じて、印刷データを生成するために必要なデジタル素材および属性情報をデジタル素材記憶部569から読み出し、通信部561を介して注文管理サービス51へ提供する機能部である。
【0123】
デジタル素材登録部564は、管理者端末12で設定されたデジタル素材および属性情報を、通信部561を介して受信し、デジタル素材記憶部569に登録する機能部である。
【0124】
デジタル素材記憶部569は、デジタル素材および当該デジタル素材の属性情報を記憶する機能部である。デジタル素材記憶部569は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0125】
上述の第1デジタル素材提供部562、第2デジタル素材提供部563およびデジタル素材登録部564は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、これらの機能部のうちの一部または全部は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0126】
なお、
図4に示すデジタル素材管理サービス56の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示すデジタル素材管理サービス56で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示すデジタル素材管理サービス56で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0127】
<課金管理サービス>
クラウドシステム50の課金管理サービス57は、課金処理部571と、課金情報記憶部579と、を有する。
【0128】
課金処理部571は、発注者(顧客)からの出金情報、および各印刷業者10への入金情報を課金情報記憶部579に登録し、これらの情報に基づいて発注者(顧客)および各印刷業者10の銀行口座に対応する銀行システムに振込処理の依頼をする機能部である。銀行システムは、決算期日に銀行口座間で振込処理を実行する。
【0129】
課金情報記憶部579は、出金情報および入金情報を記憶する機能部である。課金情報記憶部579は、
図2に示すRAM803またはHD804のうち少なくともいずれかによって実現される。
【0130】
上述の課金処理部571は、例えば、
図2に示すCPU801によりプログラムが実行されることによって実現される。なお、課金処理部571は、ソフトウェアであるプログラムではなく、FPGAまたはASIC等の集積回路によって実現されてもよい。
【0131】
なお、
図4に示す課金管理サービス57の各機能部は、機能を概念的に示したものであって、このような構成に限定されるものではない。例えば、
図4に示す課金管理サービス57で独立した機能部として図示した複数の機能部を、1つの機能部として構成してもよい。一方、
図4に示す課金管理サービス57で1つの機能部が有する機能を複数に分割し、複数の機能部として構成するものとしてもよい。
【0132】
(データモデル)
図5は、実施形態に係る機器システムで用いられるデータモデルの一例を示す図である。
図5を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100で用いるデータモデルについて説明する。
【0133】
<課金管理サービス>
課金管理サービス57は、以下の入出金情報(課金情報記憶部579が記憶する出金情報および入金情報)を有する。
【0134】
・登録日
・入出金区分
・金額
【0135】
入出金情報は、例えば、発注者端末40から送信された発注データに対応するジョブ情報がいずれかの印刷業者10へ配信されて実行された場合に発生する。提供元の入出金区分は出金、提供先の入出金区分は入金となる。
【0136】
<業者管理サービス>
業者管理サービス54は、以下の印刷業者10に関する業者情報(業者情報記憶部549が記憶する情報)を有する。
【0137】
・名称
・住所
・メールアドレス
・口座番号(銀行口座)
・ロール
【0138】
このうち、ロールは、例えば印刷処理が可能な印刷業者か、印刷処理が不能なデザイナか等の区別を示す情報である。
【0139】
<機器管理サービス>
上述のように、印刷機30は、定期的に、または機器情報が変わったタイミングで機器情報を機器管理サービス53へ送信する。機器管理サービス53は、以下の機種に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0140】
・用紙
・画質
・速度
【0141】
また、機器管理サービス53は、以下の印刷機30に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0142】
・機番
【0143】
また、機器管理サービス53は、以下の構成に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0144】
・ハードウェア構成
・ソフトウェア構成
・設定
・更新日時
【0145】
また、機器管理サービス53は、以下の印刷機30状態に関する情報(機器情報記憶部539が記憶する情報)を有する。
【0146】
・状態(待機中、準備中、印刷中、停止中、エラー等)
・用紙(用紙種別、残量等)
・インク(インク種別、残量等)
・調整状態(位置合わせ、色調等)
・更新日時
【0147】
<ジョブ管理サービス>
ジョブ管理サービス55は、以下のジョブに関する情報(ジョブ情報記憶部559が記憶する情報)を有する。
【0148】
・用紙
・枚数(部数)
・画質要求
・印刷データ
・希望納期
【0149】
また、ジョブ管理サービス55は、以下のスケジュールに関する情報(ジョブ情報記憶部559が記憶する情報)を有する。
【0150】
・準備開始予定日時
・準備終了予定日時
・印刷開始予定日時
・印刷終了予定日時
【0151】
また、ジョブ管理サービス55は、以下の実行結果に関する情報(ジョブの実行完了通知で送信される情報)を有する。
【0152】
・実行状態
・準備開始日時
・準備終了日時
・印刷開始日時
・印刷終了日時
・用紙
・枚数
・確定金額
【0153】
なお、ジョブの実行完了通知は、ジョブの実行完了時に生成される。
【0154】
<顧客管理サービス>
顧客管理サービス52は、以下の顧客情報(顧客情報記憶部529が記憶する情報)を有する。
【0155】
・名称
・住所
・メールアドレス
・口座番号(銀行口座)
【0156】
<注文管理サービス>
注文管理サービス51は、以下の注文に関する情報(発注内容)を管理する。
【0157】
・サイズ
・用紙
・画質要求(カラー)
・加工
・枚数(部数)
・希望納期
・効果測定
・印刷データのロケーション
・レイアウトデータ、編集データ(デジタル素材に関する情報含む)
【0158】
このうち、印刷データのロケーションは、注文管理サービス51によって生成されたい印刷データの保存先を示す情報である。
【0159】
また、注文管理サービス51は、生成した印刷データを有する。また、注文管理サービス51は、生成した印刷データに使用される、または既にデータとして埋め込まれたバリアブルデータとしての以下の内容の情報を含む宛名データを管理する。
【0160】
・会社名/部署名
・担当者名
・担当肩書
・郵便番号
・住所
・電話番号
・メールアドレス
・テキスト
・画像
【0161】
<デジタル素材管理サービス>
デジタル素材管理サービス56は、以下のデジタル素材(イラストデータ、テンプレート)に関する属性情報(デジタル素材記憶部569が記憶する情報)を有する。
【0162】
・タイトル
・カテゴリ
・価格
・カラー
・検索用タグ
・印刷条件
【0163】
また、デジタル素材に関する属性情報として、当該デジタル素材の作成者(登録者)、および当該作成者(登録者)により指定された印刷業者、例えば事前の業者登録時に指定しておいた印刷業者等が含まれる。また、デジタル素材は、テンプレートやイラストデータ等の、画像ファイル等で構成される。なお、テンプレートには、他のテンプレートを含むこともできる。テンプレートは印刷物に用いる雛形のデータである。例えばダイレクトメールの場合は、宛名を書くための宛名面(表面)、伝える内容を書くための文面(裏面)の雛形として、デザインや枠(氏名や住所、メッセージを書く領域)を持つデータである。またイラストデータは、テンプレートと組み合わせて、または単体でレイアウトに用いるデータである。
【0164】
(業者登録処理)
図6は、業者登録画面の一例を示す図である。
図6を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100の業者登録処理について説明する。
【0165】
業者登録画面1500は、業者(印刷業者、デザイナ等)を登録するための画面である。業者登録画面1500は、例えば、管理者端末12の表示制御部123によってディスプレイ806に表示される。業者登録画面1500は、
図6に示すように、業者種別選択領域1501と、企業名入力領域1502と、住所入力領域1503と、代表者入力領域1504と、登録ボタン1505と、を含む。
【0166】
業者種別選択領域1501は、管理者端末12の利用者の業者種別を選択するための領域である。例えば、利用者が、印刷処理が可能である場合には「印刷業者」を選択し、印刷処理が不能でデジタル素材の作成のみを行うデザイナの場合には「デザイナ」を選択する。業者種別選択領域1501で「印刷業者」が選択された場合、印刷業者である利用者が所有する機器(印刷機30)を業者登録画面1500で1以上登録・指定できるようにしてもよい。また、業者種別選択領域1501で「デザイナ」が選択された場合、デザイナである利用者が、印刷を所望する印刷会社または機器(印刷機30)を業者登録画面1500で1以上登録・指定することができるものとしてもよい。この場合、業者登録画面1500により業者管理サービス54の業者情報記憶部549に登録される業者情報には、指定された印刷業者または機器が含まれる、あるいは紐づくものとすればよい。これによりデジタル素材の作成者が、登録済の業者である場合に、デジタル素材の作成者(登録済の業者)と事前に登録時に指定しておいた印刷業者とを紐づけることができる。
【0167】
企業名入力領域1502は、利用者が属する業者の企業名を入力するための入力領域である。住所入力領域1503は、利用者が属する業者の住所を入力するための入力領域である。代表者入力領域1504は、利用者が属する業者の代表者を入力するための入力領域である。
【0168】
登録ボタン1505は、業者登録画面1500で入力された内容を業者情報として、業者管理サービス54に登録するためのボタンである。登録ボタン1505が押下されると、管理者端末12は、当該業者情報を業者管理サービス54に送信し、当該業者情報は、業者情報記憶部549に登録される。
【0169】
(デジタル素材登録処理)
図7は、実施形態に係る機器システムのデジタル素材登録処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図8は、デジタル素材登録画面の一例を示す図である。
図7および
図8を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100のデジタル素材登録処理の流れについて説明する。
【0170】
<ステップS51>
管理者端末12の利用者は、入力部124を介して、
図8に示すデジタル素材登録画面1000の表示操作を行う。すると、表示制御部123は、ディスプレイ806にデジタル素材登録画面1000を表示させる。この場合、表示制御部123は、デジタル素材管理サービス56からデジタル素材登録画面1000の画面情報を受信して表示させる。
【0171】
図8に示すデジタル素材登録画面1000は、管理者端末12の利用者(印刷業者またはデザイナ等)(以下、作成者と称する場合がある)によって作成されたデジタル素材(イラストデータ、テンプレート)を業者管理サービス54に登録するための画面である。デジタル素材登録画面1000は、
図8に示すように、画像ファイル入力領域1001と、タイトル入力領域1002と、カテゴリ入力領域1003と、価格入力領域1004と、カラー入力領域1005と、検索用タグ入力領域1006と、用紙サイズ入力領域1007と、用紙種別入力領域1008と、後加工入力領域1009と、印刷業者指定領域1010と、登録ボタン1011と、を含む。
【0172】
画像ファイル入力領域1001は、作成者によって作成されたイラストデータまたはテンプレートであるデジタル素材のファイルを入力するための入力領域である。具体的には、作成者は、入力部124に対する操作によって、当該ファイルを画像ファイル入力領域1001にドラッグアンドドロップすることによって、画像ファイル入力領域1001に入力設定できる。
【0173】
タイトル入力領域1002は、登録するデジタル素材の名称を入力する入力領域である。カテゴリ入力領域1003は、登録するデジタル素材のカテゴリを入力する入力領域である。価格入力領域1004は、登録するデジタル素材の利用料として設定する価格を入力する入力領域である。カラー入力領域1005は、登録するデジタル素材で使用されるカラー属性を入力する入力領域である。例えば、デジタル素材がプロセスカラーのみで構成される場合は「プロセスカラー」を選択入力し、デジタル素材に特色が含まれる場合は「特色」を選択入力する。検索用タグ入力領域1006は、登録するデジタル素材を検索するために用いる検索用タグを入力する入力領域である。
【0174】
用紙サイズ入力領域1007は、登録するデジタル素材に関連付ける印刷条件としての用紙サイズを選択入力する入力領域である。用紙種別入力領域1008は、登録するデジタル素材に関連付ける印刷条件としての用紙種別を選択入力する入力領域である。後加工入力領域1009は、登録するデジタル素材に関連付ける印刷条件としての後加工処理を選択入力する入力領域である。
【0175】
印刷業者指定領域1010は、登録するデジタル素材について印刷処理を行う印刷業者または機器(印刷機30)を指定するための指定領域である。
【0176】
登録ボタン1011は、画像ファイル入力領域1001で入力されたイラストデータまたはテンプレートであるデジタル素材と、上記で入力・指定された、当該デジタル素材についての属性情報とを関連付けてデジタル素材管理サービス56に登録するためのボタンである。ここで、属性情報とは、上記の1002~1010に入力・指定された情報、および当該デジタル素材の作成者を含む情報である。
【0177】
<ステップS52>
デジタル素材管理サービス56のデジタル素材登録部564は、業者管理サービス54に対して、管理者端末12にログインした作成者が、業者情報記憶部549に登録済みの印刷業者であるか否かの確認要求を、業者管理サービス54へ送る。
【0178】
<ステップS53>
業者管理サービス54は、当該確認要求を受け取ると、当該作成者が業者情報記憶部549に登録済みの印刷業者またはデザイナであるかの確認結果を、応答としてデジタル素材管理サービス56へ送る。
【0179】
<ステップS54>
デジタル素材登録部564は、業者管理サービス54から受け取った確認結果が、登録された印刷業者であることを示す場合、当該印刷業者に関連付けられた機器(印刷機30)の情報を業者管理サービス54に要求する。また、デジタル素材登録部564は、業者管理サービス54から受け取った確認結果が、登録されたデザイナであることを示す場合、当該デザイナに関連付けられた印刷業者の情報を業者管理サービス54に要求する。なお、関連付けられた機器・印刷業者とは、デジタル素材作成者(デジタル素材登録者)が登録済み業者である場合に、業者登録時に指定しておいた機器や印刷業者のことを指す。
【0180】
<ステップS55>
業者管理サービス54は、デジタル素材登録部564からの要求に応じて、作成者(印刷業者またはデザイナ)に関連付けられた機器・印刷業者の一覧を、応答としてデジタル素材管理サービス56へ送る。
【0181】
<ステップS56>
デジタル素材登録部564は、業者管理サービス54から送られた機器・印刷業者の一覧を保存する。
【0182】
<ステップS57、S58>
ここで、デジタル素材登録部564は、管理者端末12に対して当該一覧を候補として送信するものとしてもよい。管理者端末12の表示制御部123は、デジタル素材登録画面1000の印刷業者指定領域1010に当該一覧をプルダウン表示可能とし、作成者は、プルダウン表示された機器・印刷業者から選択することが可能である。なお、例えば特色やデジタル素材の印刷に適した機種や、適した機種を持つ印刷業者の一覧を表示する等、関連付けられた機器・印刷業者以外の機器や印刷業者を表示してもよい。
【0183】
<ステップS59>
作成者は、入力部124に対する操作により、デジタル素材登録画面1000において各種属性情報を入力する。表示制御部123は、入力された属性情報を、通信部121を介してデジタル素材管理サービス56へ送信する。
【0184】
<ステップS60>
デジタル素材登録部564は、作成者に関連付けられた機器・印刷業者のうち、管理者端末12から受信された属性情報に対応する機器・印刷業者の情報を業者管理サービス54に要求する。
【0185】
<ステップS61>
業者管理サービス54は、デジタル素材登録部564からの要求に応じて、作成者(印刷業者またはデザイナ)に関連付けられた機器・印刷業者のうち、属性情報に対応する機器・印刷業者の一覧を、応答としてデジタル素材管理サービス56へ送る。
【0186】
<ステップS62>
デジタル素材登録部564は、業者管理サービス54から送られた機器・印刷業者の一覧を保存する。
【0187】
<ステップS63>
デジタル素材登録部564は、管理者端末12に対して当該一覧を候補として送信する。管理者端末12の表示制御部123は、デジタル素材登録画面1000の印刷業者指定領域1010に当該一覧をプルダウン表示可能とさせる。
【0188】
<ステップS64>
作成者は、入力部124に対する操作により、デジタル素材登録画面1000における属性情報を入力して、登録ボタン1011を押下する。すると、デジタル素材登録要求部122は、画像ファイル入力領域1001で入力されたデジタル素材、および入力された属性情報(作成者を含む)を、デジタル素材管理サービス56に対して登録を要求する。デジタル素材登録部564は、管理者端末12から登録を要求されたデジタル素材および属性情報を、通信部561を介して受信し、デジタル素材記憶部569に登録する。
【0189】
(編集画面による編集動作)
図9は、編集画面の一例を示す図である。
図10は、テンプレート選択画面の一例を示す図である。
図11は、イラストデータ選択画面の一例を示す図である。
図12は、宛名データの一例を示す図である。
図9~
図12を参照しながら、編集画面等により印刷のレイアウトを編集する動作について説明する。
【0190】
図9に示す編集画面1100は、印刷のレイアウトを編集するためのレイアウト画面であり、発注者端末40の表示制御部404により、ディスプレイ806に表示される画面である。印刷のレイアウトを編集する前段階として、発注者端末40の発注者は、レイアウトのモチーフとなるテンプレートを、
図10に示すテンプレート選択画面1200で選択する。
【0191】
図10に示すテンプレート選択画面1200は、印刷のレイアウトのために用いるテンプレートを選択するための画面である。テンプレート選択画面1200は、
図10に示すように、テンプレートアップロードボタン1201と、検索入力領域1202と、カテゴリ選択領域1203と、テンプレート表示領域1204と、確定ボタン1205と、を含む。
【0192】
テンプレートアップロードボタン1201は、デジタル素材管理サービス56の第1デジタル素材提供部562から提供されるテンプレートではなく、発注者によって用意した独自のテンプレートをアップロードするためのボタンである。例えば、テンプレートアップロードボタン1201の押下によって選択した独自のテンプレートがテンプレート表示領域1204に追加されるものとしてもよい。
【0193】
検索入力領域1202は、検索用のタグを入力するための入力領域である。検索入力領域1202に検索用のタグを入力することによって、表示制御部404は、当該タグと関連付けられたテンプレートのみをテンプレート表示領域1204に表示させる。
【0194】
カテゴリ選択領域1203は、検索用のカテゴリを選択するための領域である。カテゴリ選択領域1203においてカテゴリを選択することによって、表示制御部404は、選択されたカテゴリに関連付けられたテンプレートのみをテンプレート表示領域1204に表示させる。
【0195】
テンプレート表示領域1204は、テンプレートの一覧を表示するための領域である。テンプレート表示領域1204は、上述のように、検索入力領域1202に入力された検索用のタグ、およびカテゴリ選択領域1203で選択されたカテゴリに関連付けられたテンプレートを表示する。なお、テンプレート表示領域1204は、デジタル素材取得部402によりデジタル素材管理サービス56の第1デジタル素材提供部562から提供されたテンプレート自体を表示するものとしてもよく、当該テンプレートのサムネイルを表示するものとしてもよい。
【0196】
確定ボタン1205は、テンプレート表示領域1204に表示されたテンプレートのうち発注者により選択状態にされたテンプレートを選択確定するためのボタンである。確定ボタン1205が押下されると、表示制御部404は、編集画面1100に選択確定されたテンプレートを表示する。
【0197】
また、
図9に示す編集画面1100には、テンプレート選択画面1200で選択されたテンプレートをベースとして、各種のデジタル素材であるイラストデータを配置することができる。なお、テンプレートをベースに、他のテンプレートを配置することも可能としてもよい。発注者端末40の発注者は、編集画面1100に配置するイラストデータを、
図11に示すイラストデータ選択画面1300で選択することができる。
【0198】
図11に示すイラストデータ選択画面1300は、印刷のレイアウトのために用いるイラストデータを選択するための画面である。イラストデータ選択画面1300は、
図11に示すように、イラストデータアップロードボタン1301と、検索入力領域1302と、カテゴリ選択領域1303と、イラストデータ表示領域1304と、確定ボタン1305と、を含む。
【0199】
イラストデータアップロードボタン1301は、デジタル素材管理サービス56の第1デジタル素材提供部562から提供されるイラストデータではなく、発注者によって用意した独自のイラストデータをアップロードするためのボタンである。例えば、イラストデータアップロードボタン1301の押下によって選択した独自のイラストデータがイラストデータ表示領域1304に追加されるものとしてもよい。
【0200】
検索入力領域1302は、検索用のタグを入力するための入力領域である。検索入力領域1302に検索用のタグを入力することによって、表示制御部404は、当該タグと関連付けられたイラストデータのみをイラストデータ表示領域1304に表示させる。
【0201】
カテゴリ選択領域1303は、検索用のカテゴリを選択するための領域である。カテゴリ選択領域1303においてカテゴリを選択することによって、表示制御部404は、選択されたカテゴリに関連付けられたイラストデータのみをイラストデータ表示領域1304に表示させる。
【0202】
イラストデータ表示領域1304は、イラストデータの一覧を表示するための領域である。イラストデータ表示領域1304は、上述のように、検索入力領域1302に入力された検索用のタグ、およびカテゴリ選択領域1303で選択されたカテゴリに関連付けられたイラストデータを表示する。なお、イラストデータ表示領域1304は、デジタル素材取得部402によりデジタル素材管理サービス56の第1デジタル素材提供部562から提供されたイラストデータ自体を表示するものとしてもよく、当該イラストデータのサムネイルを表示するものとしてもよい。
【0203】
確定ボタン1305は、イラストデータ表示領域1304に表示されたテンプレートのうち発注者により選択状態にされたテンプレートを選択確定するためのボタンである。確定ボタン1305が押下されると、表示制御部404は、編集画面1100に選択確定されたイラストデータを配置する。
【0204】
次に、
図9に戻って編集画面1100の説明を続ける。
図9に示す編集画面1100は、所定のテンプレートに、バリアブル要素1101~1107と、デジタル素材1108とが配置されたレイアウトを例に示している。
【0205】
バリアブル要素1101~1107は、所定のバリアブルデータから、対応するデータを埋め込むための部分である。例えば、
図12にバリアブルデータの一例としての宛名データを示す。編集画面1100で編集されたレイアウトデータ(編集データ)から印刷データが生成される際に、このバリアブル要素1101~1107に、宛名データの対応するデータが順次埋め込まれる。また、バリアブル要素1101~1107は、
図10に示すテンプレート選択画面1200で選択されたテンプレートに予め設定されているものとしてもよく、編集画面1100においてテンプレートに新たに配置可能としてもよい。
【0206】
デジタル素材1108は、
図11に示すイラストデータ選択画面1300から選択され配置されたイラストデータである。
【0207】
なお、編集画面1100で配置された各種バリアブル要素およびデジタル素材(イラストデータ、他のテンプレート)は、発注者の操作に応じて、任意に追加、削除および配置変更が可能であってもよい。
【0208】
発注者は、編集画面1100でのレイアウトの設定を終了すると、入力部405に対する操作により保存操作を行う。すると、表示制御部404は、編集画面1100で設定されたレイアウトをレイアウトデータ(編集データ)として、注文管理サービス51に対して保存要求を行い、注文管理サービス51においてレイアウトデータが保存される。なお、レイアウトデータの保存先は、注文管理サービス51に限定されず、デジタル素材管理サービス56または発注者端末40であってもよい。
【0209】
(機器システムの全体的な処理の流れ)
図13は、実施形態に係る機器システムの全体的な処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図14は、注文画面の一例を示す図である。
図13および
図14を参照しながら、本実施形態に係る機器システム100の全体的な処理の流れについて説明する。
【0210】
<ステップS11>
各印刷業者10の印刷機30の機器情報送信部302は、印刷機30に関する機器情報を、通信部301を介して機器管理サービス53へ送信する。
【0211】
<ステップS12>
機器管理サービス53の機器情報登録部532は、通信部531を介して受信した機器情報を機器情報記憶部539に登録する。これによって、機器情報記憶部539に記憶されている機器情報が最新のものに更新される。
【0212】
<ステップS13>
次に、機器管理サービス53の機器情報提供部533は、機器情報記憶部539に登録された機器情報をジョブ管理サービス55に提供する。そして、ジョブ管理サービス55の機器情報取得部552は、機器管理サービス53から機器情報を受け取る。
【0213】
<ステップS14、S15>
発注者端末40の発注者は、入力部405を介して、
図14に示す注文画面1400の表示操作を行う。すると、表示制御部404は、ディスプレイ806に注文画面1400を表示させる。この場合、表示制御部404は、注文管理サービス51から注文画面1400の画面情報を受信して表示させる。
【0214】
図14に示す注文画面1400は、クラウドシステム50に対して印刷の発注を行うための画面である。注文画面1400は、
図14に示すように、用紙サイズ入力領域1401と、使用データ入力領域1402と、用紙種別入力領域1403と、カラー入力領域1404と、加工入力領域1405と、部数入力領域1406と、納期・価格優先入力領域1407と、効果測定入力領域1408と、合計金額表示領域1409と、見積もり発行ボタン1410と、宛名アップロードボタン1411と、発注ボタン1412と、到着予定日表示領域1413と、を含む。
【0215】
用紙サイズ入力領域1401は、印刷物の用紙サイズを選択入力する入力領域である。使用データ入力領域1402は、上述の
図9に示した編集画面1100で保存したレイアウトデータを選択入力する入力領域である。用紙種別入力領域1403は、印刷物の用紙種別を選択入力する入力領域である。カラー入力領域1404は、印刷物のカラーを選択入力する入力領域である。
【0216】
加工入力領域1405は、印刷物の後加工(後処理)を選択入力する入力領域である。部数入力領域1406は、印刷物の部数(枚数)を選択入力する入力領域である。納期・価格優先入力領域1407は、納期優先、価格優先または優先なしを選択入力する入力領域である。効果測定入力領域1408は、効果測定の要否を選択入力する入力領域である。効果測定とは、印刷物を受け取った者(ブランドオーナーの顧客等)のその印刷物の内容に対する関心度や行動を記録することである。効果測定入力領域1408で要を選択した場合は、記録した情報を発注者等に提供する。例えば印刷物であるダイレクトメール等にダイレクトメールの送付先毎に異なるQRコード(登録商標)をバリアブルデータの1つとして印刷しておき、顧客等がそのQRコード(登録商標)に含むURLのリンク先のWebサイトに端末からアクセスして閲覧した場合には、印刷物(ダイレクトメールの内容の広告等)に関心があった、すなわち印刷物の効果があったとして、クラウドシステム50に記録するとともに、印刷物の発注者(ブランドオーナー)や印刷業者に効果情報を提供する。これにより印刷物やデジタル素材ごとに効果の有無が記録され、次の印刷内容と印刷物の送付先顧客を変化させることができる。
【0217】
合計金額表示領域1409は、入力された発注内容に基づいて算出された合計金額を表示する表示領域である。到着予定日表示領域1413は、入力された発注内容に基づいて導出された印刷物の到着予定日を表示する表示領域である。
【0218】
見積もり発行ボタン1410は、合計金額および到着予定日についての見積もりを実行するためのボタンである。宛名アップロードボタン1411は、バリアブルデータの一例である宛名データを、注文管理サービス51へアップロードするためのボタンである。発注ボタン1412は、入力された注文内容で発注を行うためのボタンである。なお、
図14の各条件(1401~1408、1413等発注の条件)を変更した際にも、
図13のステップS20、S21と同様に、印刷業者・機器の検索を行って、選定結果に変更があった場合は表示に反映する。
【0219】
<ステップS16~S18>
表示制御部404は、通信部401を介して、注文管理サービス51に対して、選択可能なレイアウトデータ、すなわち発注者が予め編集画面1100で編集・保存したレイアウトデータの要求を行う。注文管理サービス51は、当該要求を受信すると、当該発注者によって保存されたレイアウトデータのリストを、発注者端末40へ送信する。表示制御部404は、注文画面1400の使用データ入力領域1402のドロップダウンリストで表示可能となるように、当該リストを反映する。
【0220】
<ステップS19~S21>
発注者は、入力部405に対する操作により、使用データ入力領域1402に対して、印刷の発注対象となるレイアウトデータを選択入力する。すると、表示制御部404は、選択されたレイアウトデータについて印刷可能な印刷業者および機器(印刷機30)の検索要求を、通信部401を介して機器管理サービス53へ送信する。機器管理サービス53は、当該検索要求に対応するレイアウトデータについて印刷可能な印刷業者および機器(印刷機30)を判断し、当該印刷業者および機器による印刷で発生する料金の合計金額を算出し、および印刷物の到着予定日を導出する。そして、機器管理サービス53は、合計金額および到着予定日を発注者端末40へ送信する。なお、選択されたレイアウトデータについて印刷可能は印刷業者および機器(印刷機30)の判断処理は、例えば、後述する
図16に示すジョブ実行判断処理のうちステップS311~S320と同様の処理を実行するものとすればよい。
【0221】
<ステップS22>
表示制御部404は、機器管理サービス53から受信した合計金額を合計金額表示領域1409に表示させ、受信した到着予定日を到着予定日表示領域1413に表示させる。なお、到着予定日として、複数の印刷機30の空き時間が存在する場合は、
図14に示すように各空き時間から選択可能であるものとしてもよい。
【0222】
<ステップS23、S24>
さらに、発注者は、入力部405を介して、注文画面1400の宛名アップロードボタン1411を操作することによって、選択されたレイアウトデータでデータの埋め込みに使用するバリアブルデータの一例としての宛名データを選択する。これによって、発注者端末40の発注送信部403は、選択された宛名データを、通信部401を介して注文管理サービス51へアップロードする。
【0223】
<ステップS25>
発注者は、入力部405に対する操作により、注文画面1400のその他の注文内容を入力し、発注ボタン1412を押下する。なお、注文画面1400における用紙サイズ入力領域1401、用紙種別入力領域1403、カラー入力領域1404および加工入力領域1405には、使用データ入力領域1402で選択されたレイアウトデータに含まれるデジタル素材に属性情報として関連付けられた用紙サイズ、用紙種別、カラーおよび後加工が自動入力されるものとしてもよい。また、自動入力された後に、改めて別の選択項目を入力することができるものとしてもよい。
【0224】
すると、発注送信部403は、選択されたレイアウトデータ、および入力された発注内容を発注データとして、通信部401を介して注文管理サービス51へ送信することによって発注処理を行う。そして、注文管理サービス51の通信部511は、発注データを受信する。なお、ステップS24でアップロードされた宛名データは、発注ボタン1412の押下のタイミングで、発注送信部403により発注データに含めて送信されるものとしてもよい。いずれにしても、当該宛名データについても発注データの一部として取り扱う。
【0225】
<ステップS26、S27>
注文管理サービス51のデジタル素材取得部512は、通信部511により発注データが受信されると、発注データに含まれるレイアウトデータで指定されたデジタル素材(イラストデータ、テンプレート)を、デジタル素材管理サービス56に対して通信部511を介して要求する。デジタル素材管理サービス56の第2デジタル素材提供部563は、注文管理サービス51からの当該要求に応じて、当該デジタル素材および属性情報をデジタル素材記憶部569から読み出し、通信部561を介して注文管理サービス51へ提供する。なお、レイアウトデータにデジタル素材がそのまま含まれている場合には、属性情報のみの提供を受ければよい。
【0226】
<ステップS28>
注文管理サービス51の印刷データ生成部513は、通信部511により受信された発注データ、およびデジタル素材取得部512により取得されたデジタル素材から印刷データを生成する。具体的には、印刷データ生成部513は、発注データのレイアウトデータで指定されたデジタル素材としてのテンプレートに、デジタル素材としてのイメージデータを配置し、さらに、当該発注データに含まれるバリアブルデータをバリアブル要素に埋め込んで印刷データを生成する。
【0227】
<ステップS29>
そして、注文管理サービス51のジョブ登録要求部514は、ジョブ管理サービス55に対して、印刷データ生成部513により生成された印刷データを含むジョブ情報を生成し、当該ジョブ情報の登録要求を行う。
【0228】
<ステップS30>
ジョブ管理サービス55のジョブ情報登録部553は、注文管理サービス51からジョブ情報の登録を受け付ける。具体的には、ジョブ情報登録部553は、注文管理サービス51のジョブ登録要求部514により送信されたジョブ情報を、通信部551を介して受信し、ジョブ情報記憶部559に登録する。
【0229】
<ステップS31>
そして、ジョブ管理サービス55のジョブ実行判断部554は、ジョブ情報登録部553によりジョブ情報記憶部559に登録されたジョブ情報を、どの印刷業者10で実行させるか(どの印刷業者10のどの印刷機30で印刷処理させるか)を判断するジョブ実行判断処理を行う。このジョブ実行判断処理の詳細は、後述する。
【0230】
<ステップS32>
ジョブ管理サービス55のスケジュール生成部555は、ジョブ実行判断部554によりジョブ情報を実行する印刷業者10または印刷機30が判断されると、スケジュール情報を生成する。そして、スケジュール生成部555は、当該ジョブ情報に、生成したスケジュール情報を含めて、ジョブ情報記憶部559に記憶させる。
【0231】
<ステップS33>
ジョブ管理サービス55のジョブ情報配信部556は、ジョブ実行判断部554により判断されたジョブ情報を実行させる印刷業者10の管理サーバ11へ、スケジュール生成部555により生成されたスケジュール情報を含む当該ジョブ情報を、通信部551を介して送信(配信)する。そして、印刷業者10の管理サーバ11の通信部111は、スケジュール情報を含むジョブ情報を受信する。
【0232】
<ステップS34、S35>
管理サーバ11の登録確認部112は、通信部111により受信されたジョブ情報を登録するか否かを確認する。例えば、登録確認部112は、通信部111によりジョブ情報が受信された場合、管理サーバ11のディスプレイ806に登録の許否の選択を促す画面を表示させる。印刷業者は、ジョブ管理サービス55によりジョブ情報の実行先として選択されたものの、印刷機30の何らかの不具合等により当該ジョブ情報について印刷出力が不能である場合には、キーボード811またはポインティングデバイス812による操作入力によって、当該ジョブ情報の受け付けを拒否する。この場合、登録確認部112は、ジョブ情報の許否通知を、ジョブ管理サービス55へ送信する。一方、印刷業者は、印刷機30により印刷出力が可能である場合には、キーボード811またはポインティングデバイス812による操作入力によって、当該ジョブ情報の受け付けを許可する。この場合、登録確認部112は、当該ジョブ情報をジョブ情報記憶部119に登録する。以下、ジョブ情報がジョブ情報記憶部119に登録されたものとして説明する。
【0233】
<ステップS36>
管理サーバ11のジョブ実行指示部113は、登録確認部112によりジョブ情報記憶部119に登録されたジョブ情報について、当該ジョブ情報に含まれるスケジュール情報に従って、印刷機30に当該ジョブ情報の実行を指示する。
【0234】
<ステップS37>
印刷業者10の印刷機30のジョブ実行部303は、管理サーバ11のジョブ実行指示部113からのジョブ情報の実行指示に応じて、当該ジョブ情報を実行する。具体的には、ジョブ実行部303は、プリンタ部932に対して、ジョブ情報に含まれる印刷データを用紙等の記録媒体に印刷出力させる。
【0235】
<ステップS38、S39>
ジョブ実行部303は、ジョブの実行が完了すると、ジョブの実行完了通知を、管理サーバ11へ送信する。そして、管理サーバ11の通信部111は、印刷機30から受信したジョブの実行完了通知を、ジョブ管理サービス55へ送信する。そして、ジョブ管理サービス55の通信部551は、ジョブの実行完了通知を受信する。
【0236】
<ステップS40、S41>
ジョブ管理サービス55の課金情報通知部557は、当該ジョブ情報の印刷データを発注した発注者端末40の発注者(顧客)からの出金情報、およびジョブ情報の配信を受けた印刷業者10への入金情報を、課金管理サービス57へ通知する。課金管理サービス57の課金処理部571は、発注者(顧客)からの出金情報、および各印刷業者10への入金情報を課金情報記憶部579に登録し、これらの情報に基づいて発注者(顧客)および各印刷業者10の銀行口座に対応する銀行システムに振込処理の依頼をする。
【0237】
(ジョブ実行判断処理)
図15は、ジョブの印刷準備と印刷を矢印線で示す図である。
図16は、実施形態に係るクラウドシステムのジョブ実行判断処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図15および
図16を参照しながら、上述の
図13のステップS31におけるジョブ実行判断処理の詳細について説明する。
【0238】
図15では、2台の印刷機30(印刷機A、B)についての印刷準備および印刷のスケジュール情報が示されている。点線が印刷準備を示し、実線が印刷を示す。点線も実線もない部分は空き時間である。矢印の長さは時間を表す。
【0239】
次に、
図16を参照しながら、上述の
図13のステップS31におけるジョブ実行判断処理の具体的な流れについて説明する。
【0240】
<ステップS311>
ジョブ実行判断部554は、実行の可否の判断対象とする印刷業者10が有する印刷機30(複数ある場合はすべて)について、希望納期前までのスケジュール情報の空き時間を検索する。そして、ステップS312へ移行する。
【0241】
<ステップS312>
ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報に含まれる発注内容に納期優先または価格優先の選択が含まれているか否かを確認する。発注内容に納期優先または価格優先が含まれている場合(ステップS312:Yes)、ステップS320へ移行し、含まれていない場合(ステップS312:No)、ステップS313へ移行する。
【0242】
<ステップS313>
そして、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報の空き時間を検索された印刷業者10のうち、ジョブ情報の印刷データに含まれるデジタル素材の作成者が印刷業者10として業者管理サービス54の業者情報記憶部549に登録されているか否かを判断する。作成者が印刷業者10として業者情報記憶部549に登録されている場合(ステップS313:Yes)、ステップS314へ移行し、登録されていない場合(ステップS313:No)、ステップS315へ移行する。
【0243】
<ステップS314>
ジョブ実行判断部554は、当該デジタル素材の作成者が印刷業者10として業者管理サービス54の業者情報記憶部549に登録されている場合に当該印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断する。
【0244】
<ステップS315>
また、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報の空き時間を検索された印刷業者10のうち、ジョブ情報の印刷データに含まれるデジタル素材に印刷業者10が指定されているか(当該デジタル素材に印刷業者10が関連付けられているか)否かを判断する。当該デジタル素材に印刷業者10が指定されている場合(ステップS315:Yes)、ステップS316へ移行し、指定されていない場合(ステップS315:No)、ステップS317へ移行する。
【0245】
<ステップS316>
ジョブ実行判断部554は、当該デジタル素材に印刷業者10が指定されている場合(当該デジタル素材に印刷業者10が関連付けられている場合)に当該印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断する。
【0246】
<ステップS317>
また、ジョブ実行判断部554は、スケジュール情報の空き時間を検索された印刷業者10のうち、ジョブ情報の印刷データに含まれるデジタル素材の作成者に印刷業者10が指定されているか(当該デジタル素材の作成者に印刷業者10が関連付けられているか)否かを判断する。作成者に印刷業者10が指定されている場合(ステップS317:Yes)、ステップS318へ移行し、指定されていない場合(ステップS317:No)、ステップS320へ移行する。デジタル素材の作成者に印刷業者10が関連付けられている、とは、例えば業者登録時に業者登録画面で、登録者である業者が印刷を希望する印刷業者を指定しておくことで、デジタル素材の登録時にデジタル素材作成者にすでに関連づいている印刷業者10が指定される場合である。例えば、業者登録時にデザイナが馴染みの印刷業者を事前登録したり、印刷業者が別の印刷業者を指定したりできてもよい。
【0247】
<ステップS318>
ジョブ実行判断部554は、当該デジタル素材の作成者に印刷業者10が指定されている場合(当該デジタル素材の作成者に印刷業者10が関連付けられている場合)に当該印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断する。
【0248】
なお、ステップS313、S315およびS317の判断処理の順番は、
図16で示されている順番に限定されるものではなく、判断処理の優先順位に応じて順番を変更してもよい。
【0249】
<ステップS319>
さらに、ジョブ実行判断部554は、ステップS314、S316またはS318で判断された印刷業者10の印刷機30について、印刷データに含まれるデジタル素材の属性情報として特色が指定されている場合に特色の印刷に対応した印刷機30であるか否か、および、当該デジタル素材の属性情報に含まれる印刷条件を満たす印刷機30であるか否かを判断する。これらの条件を満たす場合(ステップS319:Yes)、ステップS321へ移行し、満たさない場合(ステップS319:No)、ステップS320へ移行する。
【0250】
<ステップS320>
さらに、ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報についてその他の条件を満たす印刷業者10を判断する。例えば、ジョブ実行判断部554は、レイアウトデータにバリアブルデータのデータを埋め込む処理が必要な場合、当該処理が対応可能な印刷機30を有する印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報に含まれる印刷条件を満たす印刷が可能な印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ情報に含まれ顧客情報が示す住所(納品先)に最も近い住所の印刷業者10を、適切な印刷業者10として判断してもよい。
【0251】
<ステップS321>
次に、ジョブ実行判断部554は、印刷可能として判断した印刷業者10の印刷機30について、現在の機器状態、および着目している空き時間までのスケジュール情報から、空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測する。印刷機30の状態は、例えば、設定されている用紙種別、用紙残量、インク、インク残量、または調整状態であるが、予測方法は後述する。このように空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測するのは、印刷開始前に必要な作業として、用紙のセット、ロール紙交換、インク補充、ヘッドクリーニング、調整(位置合わせ、色調等)、およびテスト印刷等が必要であり、商用印刷では、準備に要する時間が長いためである。そして、ステップS322へ移行する。
【0252】
<ステップS322>
ジョブ実行判断部554は、予測した印刷機30の状態と新たなジョブ情報とから、ジョブ実行の準備として、用紙交換、インク補充、または調整の必要性を判断する。新たなジョブ情報により、設定されるべき用紙種別、必要な用紙枚数、インク(の種別)、インク量等も決まる。ジョブ実行判断部554は、予測したこれら状態が新たなジョブ情報の実行のために設定される印刷機30の状態と異なっている場合、交換、調整または補充が必要と判断する。なお、ヘッドクリーニングの必要性も判断するのが望ましい。また、ジョブ実行判断部554は、印刷機30の状態の予測およびヘッドクリーニングの必要性を、過去の履歴も参照して判断する。用紙交換、インク補充または調整が必要な場合(ステップS322:Yes)、ステップS323へ移行し、不要な場合(ステップS322:No)、ステップS324へ移行する。
【0253】
<ステップS323>
用紙交換、インク補充または調整が必要な場合、ジョブ実行判断部554は、用紙交換、インク補充または調整を考慮して、ジョブの準備時間および実行時間を予測する。用紙交換、インク補充または調整に要する時間は、用紙の種別および調整の内容ごとに予め見積もられている。そして、ステップS325へ移行する。
【0254】
<ステップS324>
用紙交換、インク補充または調整が不要な場合、ジョブ実行判断部554は、用紙交換、インク補充または調整を考慮しないで、ジョブの準備時間を予測する。この場合、ジョブ実行判断部554は、例えば、ある決まった時間(印刷機30の運転開始に必要な最小限の時間)をジョブの準備時間とする。そして、ステップS325へ移行する。
【0255】
<ステップS325>
次に、ジョブ実行判断部554は、空き時間にジョブの実行が可能か否かを判断する。すなわち、ジョブ実行判断部554は、「空き時間>準備時間+実行時間」の場合、空き時間にジョブの実行が可能であると判断する。ただし、ジョブ実行判断部554は、実行終了予測時刻が希望納期を超えている場合は、この空き時間では実行不可と判断する。また、ジョブ実行判断部554は、実行終了予測時刻が希望納期を超えていないが、空き時間の後に次のスケジュール情報が登録されている場合は、新たなジョブの終了後に設定されているジョブ情報の準備時間の予測を修正する。予測方法はステップS321と同様である。また、ジョブ実行判断部554は、準備時間が変わり、希望納期に間に合わせるため、次のジョブ情報の準備開始時刻を前倒したが、新たなジョブの実行終了予測時刻が、次のジョブ情報の前倒しした準備開始時刻を越えている場合は、この空き時間では実行不可と判断する。空き時間にジョブの実行が不可である場合(ステップS325:No)、ステップS326へ移行し、実行が可能である場合(ステップS325:Yes)、ステップS327へ移行する。
【0256】
<ステップS326>
空き時間にジョブの実行が不可である場合、ジョブ実行判断部554は、この空き時間ではジョブを実行できないと判断する。
【0257】
<ステップS327>
空き時間にジョブの実行が可能である場合、ジョブ実行判断部554は、空き時間にスケジュール情報を設定する。
【0258】
以上のように、ジョブ実行判断部554によって、空き時間ごとにジョブの実行可否が判断される。実行可能な空き時間が複数あった場合、ジョブ実行判断部554は、例えば以下のようにジョブを実行する空き時間を選択する。
【0259】
・次のスケジュール情報の準備時間が短くなる空き時間を選ぶ。
・次のスケジュール情報との間の隙間時間が、閾値以下の場合は、隙間時間が短い方を選
ぶ。
・次のスケジュール情報との間の隙間時間が、閾値以上の場合は、隙間時間が長い方を選
ぶ。
【0260】
これらの選択方法によって、用紙交換等の準備時間を減らすことにより全体としての生産性が向上し、ジョブを割り当てられない遊休時間を減らすことにより全体としての生産性が向上し、空き時間に他のジョブを割り当てられるようにすることにより全体としての生産性が向上する。
【0261】
(機器状態の予測処理)
図17は、空き時間の開始時刻における機器状態の予測を説明する図である。
図18は、実施形態に係るクラウドシステムにおける機器状態の予測処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図17および
図18を参照しながら、上述の
図16のステップS321における機器状態の予測処理の詳細について説明する。
【0262】
図17では、印刷機Aには、ジョブ(1)~(3)が設定されており、印刷機Bには、ジョブ(1)および(2)が設定されている例を示している。ジョブとジョブの間の太い両矢印601は、印刷機Aにおける空き時間に追加されるジョブ情報である。両矢印602は、印刷機Bにおける空き時間に追加されるジョブ情報である。空き時間にジョブの実行が可能であると判断されると新たなジョブが空き時間に設定される。以下では、
図18を参照しながら、印刷機Aが実行する予定のジョブ(2)とジョブ(3)との間の空き時間に新たなジョブを設定できるかどうかの判断の手順を説明する。
図16のステップS321で上述したように、ジョブ実行判断部554は、空き時間の直前のジョブ(2)が終了する空き時間の開始時刻tにおける印刷機30の状態を予測する必要がある。
【0263】
<ステップS3211>
まず、ジョブ実行判断部554は、新たなジョブの用紙種別がジョブ(2)と同じか否かを判断する。異なる場合(ステップS3211:No)、ステップS3212へ移行し、同じである場合(ステップS3211:Yes)、ステップS3213へ移行する。
【0264】
<ステップS3212>
新たなジョブの用紙種別がジョブ(2)と異なる場合、ジョブ実行判断部554は、用紙の交換が必要であると判断する。そして、ステップS3213へ移行する。
【0265】
<ステップS3213>
次に、ジョブ実行判断部554は、ジョブを実行するだけの用紙残量があるか否かを判断する。ジョブ実行判断部554は、ジョブ(1)、ジョブ(2)および新たなジョブが同じ用紙種別の場合、機器情報における現在の用紙残量から、ジョブ(1)およびジョブ(2)の使用量を引く。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ(1)とジョブ(2)とが異なる用紙種別で、新たなジョブがジョブ2(と)同じ用紙種別の場合、ジョブ(2)が使用する用紙種別の残量(新品とは限らない)からジョブ(2)の使用量を引く。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ(1)およびジョブ(2)、または、ジョブ(2)の実行中に用紙がなくなって交換することが予測される場合は、交換後の用紙の量から、それ以降の使用量を引く。また、ジョブ実行判断部554は、ジョブ2と新たなジョブとで用紙が異なる場合は、用紙交換が必要になるので、新たなジョブで使用する用紙種別の残量(新品とは限らない)を取得する。
【0266】
なお、同じ用紙の在庫が複数ある場合は、新たなジョブ実行中の用紙交換が少なくなるように、新たなジョブより残量の多いロールを選択するようにすればよい。また、用紙の廃棄が発生しないように、新たなジョブより残量の少ないロールを選択して、用紙を使い切るようにしてもよい。また、交換のポリシーは管理者画設定で変更できるようにしてもよい。
【0267】
ジョブ(2)の実行完了時の用紙残量、または、交換した用紙種別の用紙残量と、新たなジョブで必要な枚数とを比較した結果、ジョブの実行中に用紙がなくなって交換することが予測される場合(ステップS3213:No)、ステップS3214へ移行し、そうでない場合(ステップS3213:Yes)、ステップS3215へ移行する。
【0268】
<ステップS3214>
ジョブ(2)の実行完了時の用紙残量、または、交換した用紙種別の用紙残量と、新たなジョブで必要な枚数とを比較した結果、ジョブの実行中に用紙がなくなって交換することが予測される場合、ジョブ実行判断部554は、新品の用紙への交換が必要であると判断する。そして、ステップS3215へ移行する。
【0269】
<ステップS3215>
次に、ジョブ実行判断部554は、インク種別が同じか否か、および、ジョブを実行するだけのインク残量があるか否かを判断する。考え方は用紙種別、用紙残量と同じであるが、インクの交換、補充に要する時間は用紙より短い。インク種別が異なるか、またはインク種別が同じでジョブを実行するだけのインク残量がない場合(ステップS3215:No)、ステップS3216へ移行し、インク種別が同じでジョブを実行するだけのインク残量がある場合(ステップS3215:Yes)、ステップS3217へ移行する。
【0270】
<ステップS3216>
インク種別が異なるか、またはインク種別が同じでジョブを実行するだけのインク座量がない場合、ジョブ実行判断部554は、ジョブ実行中に補充が発生しないようにインクの補充が必要であると判断する。そして、ステップS3217へ移行する。
【0271】
<ステップS3217>
次に、ジョブ実行判断部554は、ジョブ(2)の調整状態と同じか否かを判断する。調整状態とは、用紙に対する画像の形成位置および発色の状態をいう。ジョブ(2)の終了時は、ジョブ(2)の用紙および画質要求に従った調整状態になっている。したがって、新たなジョブと同じ調整状態か否かは、新たなジョブの用紙および画質要求によって決まるので、ジョブ実行判断部554は、両者が同じか否かを判断する。両者が同じでない場合(ステップS3217:No)、ステップS3218へ移行し、両者が同じである場合(ステップS3217:Yes)、機器状態の予測処理を終了する。
【0272】
<ステップS3218>
両者同じでない場合、ジョブ実行判断部554は、位置および色の調整が必要と判断する。そして、機器状態の予測処理を終了する。
【0273】
以上のように、空き時間の開始時刻における印刷機30の状態を予測し、予測した印刷機30の状態と、受け付けたジョブ情報に基づいて設定される印刷機30の状態とに基づいて準備時間を算出できる。
【0274】
(準備時間および実行時間)
図19は、準備時間および実行時間の予測動作を説明する図である。
図19を参照しながら、準備時間および実行時間について説明する。
【0275】
準備時間は準備に要する時間であり、実行時間はジョブの実行に要する時間である。
図19に示すように、準備時間は、「T
PC+T
if+T
hc+T
ac+T
tp」で表すことができる。すなわち、用紙交換に要する時間と、インク補充に要する時間と、ヘッドクリーニングに要する時間と、調整に要する時間と、テスト印刷に要する時間との合計である。このように、ジョブ情報登録部553により登録されたジョブ情報に基づく印刷機30の状態を得るために必要な用紙交換、インク補充、または、調整に要する時間等の合計を準備時間となる。
【0276】
ここで、TPCは、用紙交換に要する時間であり、前のジョブと新たなジョブとで用紙種別が同じで、かつ十分な残量が残っていれば、交換不要で0である。Tifは、インク補充に要する時間であり、インク種別が新たなジョブと同じで、かつ十分な残量が残っていれば、補充不要で0である。Thcは、ヘッドクリーニングに要する時間であり、過去の実行履歴から、ヘッドクリーニングが不要と判断できる場合は0である。Tacは、調整(位置合わせ、色調等)に要する時間であり、前のジョブと実行したいジョブで用紙、画質要求が同じで、かつ過去の実行履歴から、調整が不要と判断できる場合は0である。Ttpは、テスト印刷に要する時間である。
【0277】
実行時間も、同様に「TPC+Tif+Thc+Tac+Tpp」で表すことができる。すなわち、ジョブを実行中の用紙交換に要する時間と、インク補充に要する時間と、ヘッドクリーニングに要する時間と、調整に要する時間と、印刷時間との合計である。ただし、TPC、Tif、ThcおよびTacは、ジョブの実行中に交換が発生する場合の時間である。また、実行時間では、テスト印刷時間Ttpではなく、印刷時間Tppを予測する。印刷時間Tppは、「1部当たりのページ数×ジョブ情報の枚数/印刷速度」で算出される。
【0278】
(ジョブの実行完了通知)
管理サーバ11は、印刷機30でのジョブの実行完了時に、ジョブの実行完了通知をジョブ管理サービス55へ送信する。ジョブの実行完了通知は、実行されたジョブのログ(準備時間および実行時間)、金額、および、ジョブ実行前後の印刷機30の状態等を含む。
【0279】
ジョブ実行前後の印刷機30の状態は、1つ前のジョブの用紙種別、新たなジョブの用紙種別、1つ前のジョブの用紙残量、新たなジョブで消費する用紙枚数、1つ前のジョブのインク種別、新たなジョブのインク種別、1つ前のジョブのインク残量、新たなジョブのインク残量、1つ前のジョブの調整状態、および新たなジョブの調整状態等を含む。
【0280】
ジョブ管理サービス55は、ジョブ実行前後の印刷機30の状態を、ジョブの実行完了通知と関連付けて蓄積し、統計処理または機械学習を行うことにより、準備時間および実行時間の予測精度を向上させることができる。
【0281】
機械学習とは、コンピュータに人のような学習能力を獲得させるための技術であり、コンピュータが、データ識別等の判断に必要なアルゴリズムを、事前に取り込まれる学習データから自律的に生成し、新たなデータについてこれを適用して予測を行う技術のことをいう。機械学習のための学習方法は、教師あり学習、教師なし学習、半教師学習、強化学習、深層学習のいずれかの方法でもよく、さらに、これらの学習方法を組み合わせた学習方法でもよく、機械学習のための学習方法は問わない。
【0282】
図20は、機械学習に使用されるニューラルネットワークの一例を示す図である。階層が深いニューラルネットワークをDNN(ディープニューラルネットワーク)という。入力層701と出力層703との間の層を中間層702という。
図20の階層数およびノード705の数等は、一例である。
【0283】
入力層701には、例えば、ジョブ実行前後の印刷機30の状態、およびジョブ情報が入力される。ジョブの用紙種別およびインク種別のように数値でない情報は、ジョブの用紙種別およびインク種別に対応させた数値を用意してその数値を入力する。または、用紙種別およびインク種別をワンホットベクトルで表してもよい。出力層703のノード数は、準備時間および実行時間に対応する2つである。
【0284】
入力層701に入力された入力データは、ノード705を順伝播して出力層703まで伝達される。ノード間は重み(パラメータ)で結合されており、各ノード705には活性化関数が設定されている。本実施形態では、出力層703のノードの出力を実際の準備時間および実行時間に近づけるので、定量データを予測する回帰問題となる。したがって、出力層703のノードの活性化関数は、何も変換しない恒等写像でよい。出力層703の各ノードの出力と教師データ(準備時間および実行時間)の差異を評価する損失関数が知られており、回帰モデルの場合の損失関数は二乗誤差が使用される場合が多い。損失関数で評価された損失がニューラルネットワーク700を出力層703から入力層701まで逆方向に伝播してニューラルネットワーク700のパラメータ(ノードとノードとを結合する重み)が更新される。このような学習方法を誤差逆伝播法という。
【0285】
図20では、準備時間および実行時間が予想されているが、出力層703の教師データを印刷機30の状態変化とすれば、印刷機30の状態変化を予測することもできる。この場合、出力層703に印刷機30の状態に対応した数のノードを用意し、各ノードに印刷機30の状態を対応させる。この場合の印刷機30の状態は、例えば用紙種別、インク、または調整状態であり、状態変化があった場合を「1」、ない場合を「0」としてニューラルネットワーク700がパラメータを学習する。
【0286】
なお、
図20では、ニューラルネットワーク700について説明したが、機械学習の手法には、パーセプトロン、ディープラーニング、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、決定木、ランダムフォレスト等があり、本実施形態で説明する手法には限られない。
【0287】
なお、クラウドシステム50は、
図21に示すような機能ブロックの構成のように捉えることができる。
図21に示すように、注文管理サービス51に相当する注文管理サービスは、ジョブ登録要求部514に相当する第1生成部と、印刷データ生成部513に相当する第2生成部と、デジタル素材取得部512に相当する取得部と、通信部511に相当する受信部と、を有する。また、
図21に示すように、デジタル素材管理サービス56および業者管理サービス54に相当するデジタル素材・業者管理サービスは、業者情報記憶部549に相当する第1記憶部と、デジタル素材記憶部569に相当する第2記憶部と、デジタル素材登録部564に相当する登録部と、を有する。また、
図21に示すように、ジョブ管理サービス55に相当するジョブ管理サービスは、ジョブ実行判断部554に相当する判断部と、ジョブ情報配信部556に相当する配信部と、を有する。
【0288】
以上のように、本実施形態に係る機器システム100では、注文管理サービス51の通信部511は、発注者端末40からデジタル素材に関する情報を含む発注データを受信し、注文管理サービス51のジョブ登録要求部514は、発注データに基づいて印刷を実行するためのジョブ情報を生成し、ジョブ管理サービス55のジョブ情報配信部556は、デジタル素材の属性情報に基づいて、複数の印刷業者10のうちの特定の印刷業者10の管理サーバ11にジョブ情報を配信するものとしている。これによって、デジタル素材を、印刷に適した印刷業者へ配信することができる。
【0289】
また、ジョブ実行判断部554は、デジタル素材の属性情報に基づいて、ジョブ情報による印刷の実行が可能な印刷機を有する印刷業者30を判断し、デジタル素材の作成者が、印刷業者10の情報を記憶する業者管理サービス54の業者情報記憶部549に記憶された印刷業者であるか否かを判断し、作成者が業者情報記憶部549に記憶された印刷業者10である場合、当該印刷業者10をジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者10として判断するものとしている。これによって、デジタル素材の作成者としての印刷業者10は、当該デジタル素材の印刷に関するノウハウを活用して、当該デジタル素材を含む印刷データの印刷を行うことができ、印刷品質を向上させることができる。
【0290】
また、ジョブ実行判断部554は、レイアウトデータに含まれるデジタル素材の属性情報において印刷業者10が指定されているか否かを判断し、属性情報において印刷業者10が指定されている場合、該印刷業者10をジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者10として判断するものとしている。これによって、デジタル素材の作成者が印刷業者10ではないデザイナ等である場合であっても、当該デザイナ等が所望する印刷業者10をデジタル素材に関連付けておくことによって、当該印刷業者10に印刷を実行させることができ、デザイナ等が意図する品質を確保することができる。
【0291】
また、ジョブ実行判断部554は、レイアウトデータに含まれるデジタル素材の作成者に印刷業者10が関連付けられているか否かを判断し、作成者に印刷業者10が関連付けられている場合、当該印刷業者10をジョブ情報による印刷を実行させる印刷業者10として判断するものとしている。これによって、デジタル素材の作成者が印刷業者10ではないデザイナ等である場合であっても、業者情報において当該デザイナ等自体に、当該デザイナが所望する印刷業者10が関連付けられることによって、当該印刷業者10に印刷を実行させることができ、デザイナ等が意図する品質を確保することができる。
【0292】
なお、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12の各機能部の少なくともいずれかがプログラムの実行によって実現される場合、そのプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク(FD)、CD-R(Compact Disk-Recordable)、またはDVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。また、上述の実施形態において、発注者端末40、クラウドシステム50、管理サーバ11および管理者端末12で実行されるプログラムは、上述した各機能部のうち少なくともいずれかを含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU801が上述の記憶装置(例えば、ROM802またはHD804等)からプログラムを読み出して実行することにより、上述の各機能部が主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0293】
10 印刷業者
11 管理サーバ
12 管理者端末
30 印刷機
40 発注者端末
50 クラウドシステム
51 注文管理サービス
52 顧客管理サービス
53 機器管理サービス
54 業者管理サービス
55 ジョブ管理サービス
56 デジタル素材管理サービス
57 課金管理サービス
100 機器システム
111 通信部
112 登録確認部
113 ジョブ実行指示部
119 ジョブ情報記憶部
121 通信部
122 デジタル素材登録要求部
123 表示制御部
124 入力部
301 通信部
302 機器情報送信部
303 ジョブ実行部
401 通信部
402 デジタル素材取得部
403 発注送信部
404 表示制御部
405 入力部
511 通信部
512 デジタル素材取得部
513 印刷データ生成部
514 ジョブ登録要求部
529 顧客情報記憶部
531 通信部
532 機器情報登録部
533 機器情報提供部
539 機器情報登録部
549 業者情報記憶部
551 通信部
552 機器情報取得部
553 ジョブ情報登録部
554 ジョブ実行判断部
555 スケジュール生成部
556 ジョブ情報配信部
557 課金情報通知部
559 ジョブ情報記憶部
561 通信部
562 第1デジタル素材提供部
563 第2デジタル素材提供部
564 デジタル素材登録部
569 デジタル素材記憶部
571 課金処理部
579 課金情報記憶部
601、602 両矢印
700 ニューラルネットワーク
701 入力層
702 中間層
703 出力層
705 ノード
801 CPU
802 ROM
803 RAM
804 HD
805 HDDコントローラ
806 ディスプレイ
808 外部機器接続I/F
809 ネットワークI/F
810 バスライン
811 キーボード
812 ポインティングデバイス
813 DVD
814 DVD-RWドライブ
815 メディア
816 メディアI/F
901 CPU
902 MEM-P
902a ROM
902b RAM
903 NB
904 SB
906 ASIC
907 MEM-C
908 HDDコントローラ
909 HD
910 コントローラ
920 近距離通信回路
920a アンテナ
921 AGPバス
922 PCIバス
930 エンジン制御部
931 スキャナ部
932 プリンタ部
940 操作パネル
940a パネル表示部
940b ハードキー
950 ネットワークI/F
1000 デジタル素材登録画面
1001 画像ファイル入力領域
1002 タイトル入力領域
1003 カテゴリ入力領域
1004 価格入力領域
1005 カラー入力領域
1006 検索用タグ入力領域
1007 用紙サイズ入力領域
1008 用紙種別入力領域
1009 後加工入力領域
1010 印刷業者指定領域
1011 登録ボタン
1100 編集画面
1101~1107 バリアブル要素
1108 デジタル素材
1200 テンプレート選択画面
1201 テンプレートアップロードボタン
1202 検索入力領域
1203 カテゴリ選択領域
1204 テンプレート表示領域
1205 確定ボタン
1300 イラストデータ選択画面
1301 イラストデータアップロードボタン
1302 検索入力領域
1303 カテゴリ選択領域
1304 イラストデータ表示領域
1305 確定ボタン
1400 注文画面
1401 用紙サイズ入力領域
1402 使用データ入力領域
1403 用紙種別入力領域
1404 カラー入力領域
1405 加工入力領域
1406 部数入力領域
1407 納期・価格優先入力領域
1408 効果測定入力領域
1409 合計金額表示領域
1410 見積もり発行ボタン
1411 宛名アップロードボタン
1412 発注ボタン
1413 到着予定日表示領域
1500 業者登録画面
1501 業者種別選択領域
1502 企業名入力領域
1503 住所入力領域
1504 代表者入力領域
1505 登録ボタン
N ネットワーク
【先行技術文献】
【特許文献】
【0294】
【特許文献1】特開2013-016158号公報
【特許文献2】特開2013-016159号公報