(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140339
(43)【公開日】2023-10-04
(54)【発明の名称】継手部品、継手部品と可撓電線管との接続構造、管継手部材と可撓電線管との接続構造、継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造、配管システム、継手部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 21/00 20060101AFI20230927BHJP
F16L 47/06 20060101ALI20230927BHJP
F16L 13/10 20060101ALI20230927BHJP
H02G 3/06 20060101ALI20230927BHJP
【FI】
F16L21/00 C
F16L47/06
F16L13/10
H02G3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045049
(22)【出願日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2022045697
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 恵人
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕志
(72)【発明者】
【氏名】白山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】國本 俊平
(72)【発明者】
【氏名】森 大志郎
【テーマコード(参考)】
3H013
3H019
【Fターム(参考)】
3H013DA04
3H013DA06
3H019JA02
(57)【要約】
【課題】 部品点数が少なく簡易な構造で、可撓電線管を簡単に塩ビ電線管に切り替えることができ、また結果として塩ビ電線管から鋼管等の切り替えも簡単に行うことができる継手部品等を提供する。
【解決手段】 継手部品1には、一方の端部から他方の端部に向けて、直管状接続部5、斜面部7、拡径部9が順に形成される。直管状接続部5の端部側は塩ビ電線管との接続のため雄継手構造として使用される。斜面部7は、直管状接続部5から拡径部9に移行する部位に形成され、拡径部9は、斜面部7に隣接して配置される。直管状接続部5から拡径部9に至る円筒状部材の外形は、2段の異なる外径に形成された円筒状断面を有する。また、継手部品1の代わりに、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12を直接または接続部材10を介して接着することで、一体に筒状の継手部材として使用することも可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型継手構造部を有する硬質樹脂材料製の筒状部からなる継手部品であって、
前記継手部品には、一方の端部から他方の端部に向けて、電線又はケーブルを挿通するための外形が略円筒状の直管状接続部と、前記直管状接続部から拡径部に移行する斜面部と、及び前記斜面部に隣接して前記直管状接続部より管内径が拡径した外形が略円筒状の前記拡径部とが、順に形成され、
前記直管状接続部から前記拡径部に至る外形が、2段の異なる外径の円筒形状を有し、
前記斜面部は、前記直管状接続部から管内径及び管外径が前記拡径部に向かって管軸方向に徐々に拡径する斜面構造を有し、
前記拡径部の断面円筒形状の空間の内面に前記雌型継手構造部が形成され、
前記雌型継手構造部には、雄型継手構造部を係止するための係止部材を収納固定する第1の収納空間と、雄型継手構造部に固定された止水部材が収納される第2の収納空間が切削または樹脂シートの貼り付けによりそれぞれ形成され、
前記第1の収納空間と前記第2の収納空間は、管内方に突出する仕切り部により所定幅の溝状の2つの収納空間に区画され、
前記第1の収納空間と、前記仕切り部と、前記第2の収納空間が、前記継手部品の内方から前記他方の端部の開口部に向かって順に形成され、
前記直管状接続部の少なくとも一部が直管状の差し込み継手構造であり、
前記一方の端部に形成された差し込み継手構造と前記他方の端部に形成された前記雌型継手構造部が前記斜面部を介して一体に筒状の連続体として形成されていていることを特徴とする継手部品。
【請求項2】
前記直管状接続部を有する部材と、前記雌型継手構造部を有する部材が、直接または接続部材を介して接着されることで、一体に筒状の継手部品として形成されていることを特徴とする請求項1記載の継手部品。
【請求項3】
前記拡径部の開口部側には、前記拡径部よりさらに拡開する第2の拡径部が形成され、前記第2の拡径部の外周面は、円筒形の筒状部が外方に向かって所定角度でなだらかに拡開する円筒形状に形成され、前記第2の拡径部の内周面は、前記第2の拡径部の外周面と略平行に所定角度でなだらかに拡開する形状に形成されるか、あるいは拡開せずに前記拡径部の内周面が前記第2の拡径部の内周面までそのまま延長されるかのいずれかであり、前記拡径部と前記第2の拡径部の境界に対応する位置の内周面に前記仕切り部が形成され、前記第2の拡径部の内周面に前記第2の収納空間が形成されることを特徴とする請求項1記載の継手部品。
【請求項4】
前記仕切り部に対する前記第1の収納空間及び前記第2の収納空間を形成する溝の深さは、2mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の継手部品。
【請求項5】
前記硬質樹脂材料は、硬質塩化ビニル、ABS樹脂、PC樹脂、又はガラス繊維強化熱可塑性樹脂の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の継手部品。
【請求項6】
前記直管状接続部の端部側の少なくとも一部が、直管状の雄継手構造であることを特徴とする請求項1に記載の継手部品。
【請求項7】
前記直管状接続部の端部側の少なくとも一部が所定長さ拡径されることで、雌継手構造を有することを特徴とする請求項1に記載の継手部品。
【請求項8】
前記雌継手構造に、これに挿入して嵌合可能な塩ビ電線管または可撓電線管の山部と前記直管状接続部の拡径部とを接着剤で接着することで、塩ビ電線管または可撓電線管の山部の外表面と前記直管状接続部の拡径部の内面とを接着する固定することが可能であることを特徴とする請求項7に記載の継手部品。
【請求項9】
前記直管状接続部の拡径部の外周部の先端部に溝部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の継手部品。
【請求項10】
独立波形状の可撓電線管の先端近傍の谷部にパッキンを装着して、断面L字状型の水平部分の先端に突起を有するCリングを、前記独立波形状の可撓電線管の谷部と、さらに前記継手部品の先端部近傍に形成された前記溝部とに固定することで、前記独立波形状の可撓電線管を前記継手部品に固定することが可能であることを特徴とする請求項9に記載の継手部品。
【請求項11】
前記継手部品の可撓電線管と接続するための前記雌型継手構造部の先端の開口部の端面と、前記直管状接続部の先端の開口部の端面の少なくとも一方の端面の外周面または内周面の少なくともいずれか、あるいは外周面と内周面の両者が、面取り加工されていることを特徴とする請求項1に記載の継手部品。
【請求項12】
前記直管状接続部に、挿入時の目印となる標線が記載されていることを特徴とする請求項1に記載の継手部品。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の継手部品を用いた、継手部品と可撓電線管との接続構造であって、
前記継手部品の他方に形成された前記雌型継手構造部に嵌合される雄型継手構造部は、前記雄型継手構造部の先端から順に係止部材配置部と止水部材配置部が形成されたものであり、
前記係止部材配置部に係止部材としてのリング部材が配置され、前記係止部材配置部よりも開口部側の前記止水部材配置部には止水部材としてゴムパッキンが配置され、
前記リング部材は、リング部としてのリング本体と爪部から構成され、前記リング本体の形状が円周方向の先端が開口した略C字状または環状であり、
前記爪部は、前記リング本体から管軸方向に平行なスライドガイド機能を有する第1の爪部と、前記爪部の先端に向かって外方に拡開する係止爪機能を有する第2の爪部の2種類の爪部からなり、前記第1の爪部と前記第2の爪部の先端が開口部側に向って円周方向に交互に配置されているもので、
前記リング部材の前記爪部は、少なくとも前記爪部の先端が管軸方向の奥側に向って斜め外方に拡開する係止爪を有するものであり、
前記雄型継手構造部を有する可撓電線管が前記継手部品の前記雌型継手構造部に挿入され、前記可撓電線管と前記継手部品が接続される際には、前記継手部品の前記第1の収納空間に前記リング部材の係止爪が収納され、
前記第2の収納空間の断面略円筒状の面に、前記ゴムパッキンが当接収納されることで止水することが可能であり、
前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であるか、またはらせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管のいずれかであることを特徴とする継手部品と可撓電線管との接続構造。
【請求項14】
前記雄型継手構造部の前記リング部材の前記爪部は、前記リング本体から管軸方向に平行なスライドガイド機能を有する第1の爪部と、前記爪部の先端に向かって外方に拡開する係止爪機能を有する第2の爪部の2種類の爪部からなり、前記第1の爪部と前記第2の爪部の先端が開口部側に向って円周方向に交互に配置されているものであることを特徴とする請求項13に記載の継手部品と可撓電線管との接続構造。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の継手部品を用いた、継手部品と可撓電線管との接続構造であって、
前記継手部品の雌型継手構造部の前記第1の収納空間に、係止部材としてリング部と前記リング部から延出する爪部から形成されるリング部材の前記リング部が取り付けられ、
前記リング部は円周方向の先端が開口した略C字状また環状の前記リング部材であり、
前記リング部材の係止爪は、前記リング部から前記爪部の先端に向かって前記継手部品の管軸方向の奥側に対して斜め内方に縮径するように突出して配置され、前記雄型継手構造部を有する可撓電線管が前記継手部品の前記雌型継手構造部に挿入され、前記可撓電線管と前記継手部品が接続される際には、前記第1の収納空間に、前記リング部材の前記リング部が前記第1の収納空間の円周面に接触するように、弾性接触または接着により固定されたものであり、前記第2の収納空間にゴムパッキンを収納固定することが可能であり、
前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成されている角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であるか、またはらせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管のいずれかであることを特徴とする継手部品と可撓電線管との接続構造。
【請求項16】
前記接続構造は、前記略C字状または環状のリング部材の代わりに、前記リング部材を円周方向に所定長さに切断した複数の短尺の円弧状の前記リング部材の分割体を、円周方向に所定間隔をあけて、所定個数、円周面に貼り付けたものであることを特徴とする請求項15に記載の継手部品と可撓電線管との接続構造。
【請求項17】
前記雌型継手構造部を形成する拡径部の内周面に切削により、前記第1の収納空間と前記第2の収納空間を形成せずに、前記拡径部の内周面の前記第1の収納空間に対応する位置に、係止部材として係止爪がリング部から爪部の先端に向って管軸方向の奥側に対して斜め前方に向って縮径するように延設する略C字状また環状のリング部材あるいはリング部材の分割体を直接貼り付けることで、前記雄型継手構造部が前記雌型継手構造部と接続される際には、前記拡径部の内面に直接貼り付けた前記係止爪が前記雄型継手構造部の係止爪係止部に固定されることで前記雄型継手構造部を係止し、
さらに前記係止爪係止部の後方に形成された止水部材配置部に配置されたゴムパッキンが前記雌型継手構造部の内面の前記第2の収納空間に対応する前記拡径部の端部側の内面、または第2の拡径部の内面に当接するように配置されることを特徴とする請求項15に記載の継手部品と可撓電線管との接続構造。
【請求項18】
管継手部材の一方に形成された雄継手構造部を有し、
前記管継手部材の他方には、切欠き部を有する筒状部が形成され、前記切欠き部の底部には固定孔が設けられ、
前記筒状部に、小径部を切断部として切断された可撓電線管本体を大径部、小径部、大径部の順に配置することで、大径部に挟まれた断面円形の小径部が切欠き部に位置するように配置され、
内周が略半円形のΠ型固定部材で、前記小径部を囲うように被冠して、前記管継手部材の前記固定孔に前記Π型固定部材の両足部を挿通嵌合させることで前記Π型固定部材の係合部が継手本体の切欠き部に形成された係合段部に係合され、その結果前記Π型固定部材を前記管継手部材の前記係合段部に固定することが可能な構造を有し、
前記Π型固定部材の両側部を前記管継手部材の切断部固定部の底部の前記固定孔に挿通固定し、可撓電線管の小径部固定部を固定することで、前記管継手部材と可撓電線管とが接続されることを特徴とする管継手部材と可撓電線管との接続構造。
【請求項19】
請求項18記載の管継手部材の一方に形成された雄型継手構造部は、可撓電線管の雄型継手構造部と同一構造を有するものであり、前記管継手部材の一方の側に形成された前記雄継手構造部を、前記継手部品の雌型継手構造部に挿入することで、前記継手部品と可撓電線管の切断部が接続された前記管継手部材の雄型継手構造部とを接続して、前記継手部品と管継手部材と可撓電線管とが接続されることを特徴とする継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造。
【請求項20】
前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であることを特徴とする請求項19に記載の継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造。
【請求項21】
少なくとも請求項20に記載の継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造を用いた可撓電線管として角形電線管または二重壁可撓電線管あるいは両者の配管を用いたことを特徴とする配管システム。
【請求項22】
請求項1から請求項11のいずれかに記載の継手部品の製造方法であって、
硬質塩化ビニル押出管を素管とし、素管を所定温度で加熱して熱成形によって前記直管状接続部を素管径のままとして、該当箇所を局部的に160℃から200℃の範囲に加熱して加熱部を、金型を用いて前記斜面部及び前記拡径部を拡径後、前記拡径部の内面に切削加工により、断面円筒形の前記仕切り部を挟んだ所定位置に前記第1の収納空間と前記第2の収納空間を形成することで、可撓電線管と接続するための前記雌型継手構造部を形成することを特徴とする継手部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可撓電線管を容易に接続することが可能な継手部品、継手部品と可撓電線管との接続構造、管継手部材と可撓電線管との接続構造、継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造、及び継手部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、電線共同溝においてケーブルを埋設する際、ケーブル保護の観点から、電線管が使用され、電線管としては塩ビ電線管が使用されてきた。しかし近年、電線管として角形可撓電線管の使用が推進されている。角形可撓電線管は、管同士を直接段積み可能なため、敷設時にコンパクトに整列させることが可能で、掘削量を減らし、工事時間短縮と工事費用削減が期待できる。また塩ビ電線管に比べ軽量で運搬し易く、可撓性を有することから曲がり管が不要で、管路材費を抑えることができる。
【0003】
このため、従来、塩ビ電線管専用壁面部材が取り付けられたハンドホール等との接続や、屋外立上げ部での鋼管への切り替え、分岐部での自在割管への接続、住宅内の電力分岐マスとの接続など、これまで使用されてきた塩ビ電線管を、可撓電線管に置き代えて、塩ビ電線管の場合と同様に実施できることが必要となる。
【0004】
このような可撓電線管を塩ビ電線管に切り替える方法として、例えば特許文献1には、エポキシパテとテープを併用し、弾性体の継手本体の一方に可撓管を螺合して挿入し、他方の端部に直管を挿入する一体成形された異種間継手が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、半割り継手の一方の側で可撓電線管を挟み込み、他方の側で直管を挟み込み、半割り継手がボルト締めされることで可撓電線管と直管とを接続固定する継手構造が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、可撓電線管と異種管をワンタッチで接続する継手構造が提案されている。この継手構造は、弾力性を有する筒状パッキンや管外周に固定することが可能なリテーナと連結部材などからなるものである。
【0007】
【特許文献1】特開平08-021574号公報
【特許文献2】特開平06-288495号公報
【特許文献3】特開平07-233889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、エポキシパテの練り合わせやテープ巻きに時間がかかり、また接続後もエポキシパテが固まるまで埋戻すことができないという問題がある。また、弾性体の継手本体の一方に可撓管を挿入し、他方に直管をそれぞれの挿入し、その後バンドで締め付けている。この方法は、バンドの締め付けに手間がかかり、また締め付けの程度が管理できないため、締め付け不足による管の抜けや漏水、過剰な締め付けによる弾性体の破損が懸念される。また鋼管への切り替え等を行う場合、可撓電線管を一度塩ビ電線管に切り替えた後、塩ビ電線管の部品を使用してさらに切り替えを行う必要があり、使用する部品点数が多くなる。また、波付け管を継手にワンタッチ嵌合することができない。
【0009】
また、特許文献2の方法は、ボルトの締め付けに手間がかかり、また締め付けの程度が管理できないため、締め付け不足による管の抜けや漏水、過剰な締め付けによるボルトや継手本体の破損が懸念される。また鋼管への切り替え等を行う場合、可撓電線管を一度塩ビ電線管に切り替えた後、塩ビ電線管の部品を使用してさらに切り替えを行う必要があり、使用する部品が多くなる。また、この構造の継手は、少なくとも可撓電線管をワンタッチで挿入して接続することができない。
【0010】
また、特許文献3の継手を用いた接続構造は、部品の点数が多く構造が複雑なため、組立に手間がかかり、コストも高くなる。また鋼管への切り替え等を行う場合、可撓電線管を一度塩ビ電線管に切り替えた後、塩ビ電線管の部品を使用してさらに切り替えを行う必要があり、使用する部品が多くなる。
【0011】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、部品点数が少なく簡易な構造で、可撓電線管を簡単に塩ビ電線管に切り替えることができ、また結果として塩ビ電線管から鋼管等の切り替えも簡単に行うことができる継手部品、継手部品と可撓電線管との接続構造、管継手部材と可撓電線管との接続構造、継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造、継手部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達するために第1の発明は、雌型継手構造部を有する硬質樹脂材料製の筒状部からなる継手部品であって、前記継手部品には、一方の端部から他方の端部に向けて、電線又はケーブルを挿通するための外形が略円筒状の直管状接続部と、前記直管状接続部から拡径部に移行する斜面部と、及び前記斜面部に隣接して前記直管状接続部より管内径が拡径した外形が略円筒状の前記拡径部とが、順に形成され、前記直管状接続部から前記拡径部に至る外形が、2段の異なる外径の円筒形状を有し、前記斜面部は、前記直管状接続部から管内径及び管外径が前記拡径部に向かって管軸方向に徐々に拡径する斜面構造を有し、前記拡径部の断面円筒形状の空間の内面に前記雌型継手構造部が形成され、前記雌型継手構造部には、雄型継手構造部を係止するための係止部材を収納固定する第1の収納空間と、雄型継手構造部に固定された止水部材が収納される第2の収納空間が切削または樹脂シートの貼り付けによりそれぞれ形成され、前記第1の収納空間と前記第2の収納空間は、管内方に突出する仕切り部により所定幅の溝状の2つの収納空間に区画され、前記第1の収納空間と、前記仕切り部と、前記第2の収納空間が、前記継手部品の内方から前記他方の端部の開口部に向かって順に形成され、前記直管状接続部の少なくとも一部が直管状の差し込み継手構造であり、前記一方の端部に形成された差し込み継手構造と前記他方の端部に形成された前記雌型継手構造部が前記斜面部を介して一体に筒状の連続体として形成されていることを特徴とする継手部品である。
【0013】
前記直管状接続部を有する部材と、前記雌型継手構造部を有する部材が、直接または接続部材を介して接着されることで、一体に筒状の継手部品として形成されていてもよい。
【0014】
前記拡径部の開口部側には、前記拡径部よりさらに拡開する第2の拡径部が形成され、前記第2の拡径部の外周面は、円筒形の筒状部が外方に向かって所定角度でなだらかに拡開する円筒形状に形成され、前記第2の拡径部の内周面は、前記第2の拡径部の外周面と略平行に所定角度でなだらかに拡開する形状に形成されるか、あるいは拡開せずに前記拡径部の内周面が前記第2の拡径部の内周面までそのまま延長されるかのいずれかであり、前記拡径部と前記第2の拡径部の境界に対応する位置の内周面に前記仕切り部が形成され、前記第2の拡径部の内周面に前記第2の収納空間が形成されてもよい。
【0015】
前記仕切り部に対する前記第1の収納空間及び前記第2の収納空間を形成する溝の深さは、2mm以上5mm以下であることが望ましい。
【0016】
前記硬質樹脂材料は、硬質塩化ビニル、ABS樹脂、PC樹脂、又はガラス繊維強化熱可塑性樹脂の少なくともいずれかであることが望ましい。
【0017】
前記直管状接続部の端部側の少なくとも一部が、直管状の雄継手構造であってもよい。
【0018】
前記直管状接続部の端部側の少なくとも一部が所定長さ拡径されることで、雌継手構造を有してもよい。
【0019】
前記雌継手構造に、これに挿入して嵌合可能な塩ビ電線管または可撓電線管の山部と前記直管状接続部の拡径部とを接着剤で接着することで、塩ビ電線管または可撓電線管の山部の外表面と前記直管状接続部の拡径部の内面とを接着する固定することが可能であってもよい。
【0020】
前記直管状接続部の拡径部の外周部の先端部に溝部が形成されていても良い。
【0021】
独立波形状の可撓電線管の先端近傍の谷部にパッキンを装着して、断面L字状型の水平部分の先端に突起を有するCリングを、前記独立波形状の可撓電線管の谷部と、さらに前記継手部品の先端部近傍に形成された前記溝部とに固定することで、前記独立波形状の可撓電線管を前記継手部品に固定することが可能であってもよい。
【0022】
前記直管状接続部を有する部材と雌型継手構造部を有する部材を別々に成型、加工し、その後にそれぞれの部材を相互に接続して、両者の接続界面を接着剤やエポキシパテで貼り合わせることで、一体に筒状の継手部品としてもよい。
【0023】
前記直管状接続部を有する部材と雌型継手構造部を有する部材を別々で成型、加工し、その後にそれぞれの部材を、接続部材を介して両者を接続して、それぞれの部材と接続部材の両者の接触界面を接着剤やエポキシパテで貼り合わせることで、一体に筒状の継手部品としてもよい。
【0024】
前記継手部品の可撓電線管と接続するための前記雌型継手構造部の先端の開口部の端面と、前記直管状接続部の先端の開口部の端面の少なくとも一方の端面の外周面または内周面の少なくともいずれか、あるいは外周面と内周面の両者が、面取り加工されていてもよい。
【0025】
前記直管状接続部に、挿入時の目印となる標線が記載されていてもよい。
【0026】
第1の発明によれば、継手部を有する可撓電線管に塩ビ電線管加工品製の継手部品をワンタッチで接続することにより、可撓電線管の末端を塩ビ電線管に変換することできる。
【0027】
さらに、可撓電線管の切断部に別の継手部品を接続し、そこに塩ビ電線管加工品製などの硬質樹脂製の継手部品をワンタッチで接続することにより、可撓電線管の末端を塩ビ電線管に変換することができる。この際、可撓電線管から塩ビ電線管への接続は、塩ビ電線管雄継手構造、塩ビ電線管雌継手構造のどちらにもできる。これにより、可撓電線管を簡単に塩ビ電線管に切り替えることができる。
【0028】
また継手部品の塩ビ電線管を接続する端部は、塩ビ電線管の場合と同等に扱えるため、従来の塩ビ電線管を接続することができる部位に直接接続可能である。このため、塩ビ電線管用部品を使用することで、鋼管等への切り替えも可能となる。
【0029】
また、継手部品は、簡易な構造で、ワンタッチ接続が可能であり、省スペースで、継手部品と可撓電線管を接続するための別の変換部材や継手部材を必要としない。
【0030】
また、第2の収納空間の内面が、端部側に行くにつれて徐々に拡開する断面円錐台形が形成されれば、ゴムパッキンの径方向の先端部が断面円錐台形の内面に当接するため、止水機能が安定して維持される。また、第2の収納空間の内面が外方に向かって拡開する断面円錐台形状であると、雄型継手構造部を継手部品に挿入しやすい。また、第2の収納空間の外周も内周部と略平行な拡開する断面円錐台形状とした場合でも、第2の拡径部として、第2の収納空間の外周部の肉厚を所定厚さ維持できるため、第2の収納空間の部分の部材強度を維持できる。
【0031】
なお、第2の拡径部の外周の拡径角度は、管軸方向に対して10°以下であることが望ましい。ここで、第2の拡径部の内周面は、外周面と内周面が平行に拡開してもよいし、外周面より小さい角度で拡開しても良いし、内周面は拡開せずに平行に形成しても良い。また、第2の拡径部の内周面を、外周面より小さい角度で拡開させるか、内周面は拡開させずに平行に形成するには、内周面を切削により仕上げる必要がある。
【0032】
また、継手部品を、例えば、硬質塩ビ、ABS樹脂、PET樹脂、PC樹脂、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂などの硬質樹脂材料で形成し、仕切り部に対して円筒状の溝を切削または樹脂シートの貼り付けにより加工するため、円筒状空間内に2mm以上5mm以下で精度よく製造することができる。このため、継手部品を小型化することができる。
【0033】
また、継手部品の他方の端部を直管状接続部とすることで、塩ビ電線管と接続するための、雄継手とすることが可能になる。
【0034】
また、継手部品の他方の端部側の少なくとも一部を所定長さ拡径して、雌継手構造を設けることで、塩ビ電線管と接続するための雌継手とすることが可能になる。
【0035】
また、塩ビ電線管または可撓電線管の山部と直管状接続部の拡径部とを接着剤で接着することで、塩ビ電線管または可撓電線管と直管状接続部を確実に固定することができる。
【0036】
また、断面L字状型の水平部分の先端に突起を有するCリングを用い、独立波形状の可撓電線管の谷部と、継手部品の先端部近傍に形成された溝部とを係止するように配置することで、独立波形状の可撓電線管と継手部品とを固定することができる。
【0037】
また、継手部品の雌型継手構造部の先端の開口部の端面の外周面に面取り加工を行うことで、破損防止につながり、内周面に面取り加工を行うことで、可撓電線管を接続する際に挿入し易くなる。また、直管状接続部の先端の開口部の端面の外周面に面取り加工を行うことで、直管状接続部の拡径部を雄型接続部とした際に、塩ビ電線管に挿入する時に挿入しやすくなり、内周面に面取り加工を行うことで、通線時にケーブル表面に傷が付くのを抑制することができる。
【0038】
また、直管状接続部に、挿入時の目印となる標線を記載することで、直管状接続部の挿入長さを容易に把握することができる。
【0039】
第2の発明は、第1の発明に係る継手部品を用いた、継手部品と可撓電線管との接続構造であって、前記継手部品の他方に形成された前記雌型継手構造部に嵌合される雄型継手構造部は、前記雄型継手構造部の先端から順に係止部材配置部と止水部材配置部が形成されたものであり、前記係止部材配置部に係止部材としてリング部材が配置され、前記係止部材配置部よりも開口部側の前記止水部材配置部には止水部材としてゴムパッキンが配置され、前記リング部材は、リング部としてのリング本体と爪部から構成され、前記リング本体の形状が円周方向の先端が開口した略C字状または環状であり、前記リング部材の前記爪部は、少なくとも前記爪部の先端が管軸方向の奥側に向って斜め外方に拡開する係止爪を有するものであり、前記雄型継手構造部を有する可撓電線管が前記継手部品の前記雌型嵌合構造部に挿入され、前記可撓電線管と前記継手部品が接続される際には、前記継手部品の前記第1の収納空間に前記リング部材の係止爪が収納され、前記第2の収納空間の断面略円筒状の面に、前記ゴムパッキンが当接収納されることで止水することが可能である継手部品と可撓電線管との接続構造である。
【0040】
ここで、前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であるか、またはらせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管のいずれであっても継手部品との接続が可能である。
【0041】
前記雄型継手構造部の前記リング部材の前記爪部は、リング部としての前記リング本体から管軸方向に平行なスライドガイド機能を有する第1の爪部と、前記爪部の先端に向かって外方に拡開する係止爪機能を有する第2の爪部の2種類の爪部からなり、前記第1の爪部と前記第2の爪部の先端が開口部側に向って円周方向に交互に配置されていてもよい。リング部材の爪部は、第1の爪部と第2の爪部からなる方が望ましいが、リング本体と第2の爪部からなるものであってもよい。
【0042】
雄型継手構造部に配置されるリング部材が前記雌型継手構造部に嵌合されて係止できる構造を有していれば、可撓電線管の本体部の構造に関係なく所定の接続構造を得ることができるため、本体部は、上記のように任意の形状であってもよい。
【0043】
第2の発明によれば、可撓電線管と継手部品とが確実に接続されるとともに、止水性を得ることができる。特に、第1の収納空間には、抜け止め構造として、雄型継手構造部の係止用のリング部材の係止爪が収納され、リング部材を収納する収納空間の寸法精度と剛性が高いことからリング部材が第1の収納空間に安定して支持される。また、この場合に、第1の収納空間に係止爪が収納され、係止爪の先端が、断面円筒形の仕切り部の断面縮小部の側面に当接することで、外部から引き抜き力がかかっても抜けることがない。この際、仕切り部は、切削または樹脂シートの貼り付けのいずれにより形成されてもよい。
【0044】
第2の発明の本体部は、前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成されている角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であるか、またはらせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管のいずれかであってもよい。
【0045】
また、より具体的な継手部品の雌型継手構造部に嵌合される雄型継手構造部が、先端から順に係止部材配置部と止水部材配置部が形成されたものであり、雄型継手構造部の係止部材配置部である第1の収納空間には、係止部材としてリング部材が配置され、リング部材は円周方向の先端が開口した略C字状の部材であり、リング部材の先端に向かって管軸方向の奥側に対して外方に拡開する係止爪を設けることで、雌型継手構造部の仕切り部と容易に係合して接続することができる。この際、管軸方向に平行なスライドガイドとして機能する爪を形成し、円周方向に係止爪と当該スライドガイドとを交互に配置することで、スライドガイドにより雄型継手構造部を雌型継手構造部に安定した状態で挿入することができる。第2の収納空間には、止水部材を収納して配置することが可能である。
【0046】
また、リング部材の周方向の端部に接続部を設けて、接続部同士を接続すれば、リング部材を環状に形成することができる。このようにリング部材を環状に形成することで、リング部材配置部からのリング部材の脱落を抑制するとともに、リング部材を円滑にリング部材配置部上でスライド移動させることができる。なお、ここで、リング部材配置部に配置される環状のリング部材は、C字状のリング部材の両端部に接続部を設けて、接続部を相互に接続することで得ることができる。接続部は、多数の鋸刃状の溝を設けたものを使用してもよい。
【0047】
また、継手部品の雌型継手構造部の第1の収納空間にリング部材を収容し、雄継手構造部の止水部材配置部に取り付けられたリング部材がC字状、環状の場合ともに、リング部材は、リング部材の係止爪を縮径し、縮径した係止爪が拡径することで第1の収納空間に収納され、第1の収納空間の円周面にリング部材の弾性回復力で接触するように、弾性接触させることができる。
【0048】
また、可撓電線管としては、前記可撓電線管の本体部が、らせん状の波形、あるいは独立波構造の波形であってもよく、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成されている角形電線管であってもよい。可撓電線管を角形可撓電線管とすることで、工事時間短縮と工事費用削減が期待できる。さらに、小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であってもよい。このように、いずれの形状の可撓電線管も接続することができる。
【0049】
第3の発明は、第1の発明に係る継手部品を用いた、継手部品と可撓電線管との接続構造であって、前記継手部品の雌型継手構造部の前記第1の収納空間に、係止部材としてリング部と前記リング部から延出する爪部から形成されるリング部材の前記リング部が取り付けられ、前記リング部は円周方向の先端が開口した略C字状また環状の前記リング部材であり、前記リング部材の係止爪は、前記リング部から前記爪部の先端に向かって前記継手部品の管軸方向の奥側に対して斜め内方に縮径するように突出して配置され、前記雄型継手構造部を有する可撓電線管が前記継手部品の前記雌型嵌合構造部に挿入され、前記可撓電線管と前記継手部品が接続される際には、前記第1の収納空間に、前記リング部材の前記リング部が前記第1の収納空間の円周面に接触するように、弾性接触または接着により固定されたものであり、前記第2の収納空間にゴムパッキンを収納固定することが可能であることを特徴とする継手部品と可撓電線管との接続構造である。
【0050】
ここで、前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であるか、またはらせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管のいずれかであっても継手部品と可撓電線管との接続構造を得ることができる。
【0051】
前記接続構造は、前記略C字状または環状のリング部材の代わりに、前記リング部材を円周方向に所定長さに切断した複数の短尺の円弧状の前記リング部材の分割体を、円周方向に所定間隔をあけて、所定個数、円周面に貼り付けたもののいずれかの継手部品と可撓電線管との接続構造であってもよい。
【0052】
前記雌型継手構造部を形成する拡径部の内周面に切削により、前記第1の収納空間と前記第2の収納空間を形成せずに、前記拡径部の内周面の前記第1の収納空間に対応する位置に、係止部材として、係止爪がリング部から爪部の先端に向って管軸方向の奥側に対して斜め前方に向って縮径するように延設する略C字状また環状のリング部材あるいはリング部材の分割体を直接貼り付けることで、前記雄型継手構造部が前記雌型継手構造部と接続される際には、前記拡径部の内面に直接貼り付けた前記係止爪が前記雄型継手構造部の係止爪係止部に固定されることで前記雄型継手構造部を係止し、さらに前記係止爪係止部の後方に形成された前記止水部材配置部に配置されたゴムパッキンが前記雌型継手構造部の内面の前記第2の収納空間に対応する前記拡径部の端部側の内面、または第2の拡径部の内面に当接するように配置されてもよい。
【0053】
第3の発明によれば、雄型継手構造部にリング部材の係止爪を係止する係止爪係止部と、止水部材配置部に配置されたゴムパッキンとを有するため、雌型継手構造部の第1収納空間に、係止部材としてリング部材のリング部が収納されることで前述した発明と同様に、雄型継手構造部を継手部品の雌型構造部に収納して係止することが可能になり、雄型継手構造部と雌型継手構造部とを接続することができる。ここで、略C字状または環状のリング部材は、第1の収納空間の内周の円周面に弾性接触または直接接着されていればよい。この際、第2の収納空間の内面にゴムパッキンが当接するため、止水性を確保することができる。
【0054】
また、第1収納空間を形成しなくても、拡径部の内周面の第1収納空間に対応する位置にリング部材またはリング部材の分割体を直接貼り付けることで、雄型継手構造部を係止することができる。この場合には、リング部材を配置する溝状の収納空間が形成されないため、拡径部の第1の収納空間に対応する位置に略C字状や環状のリング部材を弾性接触させて固定したとすると、リング部材に引き抜き力が働いた場合にリング部材がずれることから、リング部材を分割体と同様に接着により固定することになる。また、同様に溝状の第2収納空間を形成しなくても、第2収納空間に対応する拡径部の端部側の内面、または第2拡径部の内面に当接するようにゴムパッキンを配置することで、止水性を確保することができる。
【0055】
ここで、拡径部の内周面の第1収納空間に対応する位置にリング部材を直接貼り付けることで、雄型継手構造部を係止することができる継手部品は、切削やシート状部材の貼り付けにより収納空間を形成しないこと以外は、第1の収納空間に、リング部とリング部から延出する爪部から形成される継手部材と同様の構成を有するものである。
【0056】
すなわち、本継手部品の本体の形状は、雌型継手構造部を有する硬質樹脂材料製の筒状部からなる継手部品であって、前記継手部品には、一方の端部から他方の端部に向けて、外形が略円筒状の直管状接続部と、前記直管状接続部から拡径部に移行する斜面部と、及び前記斜面部に隣接して前記直管状接続部より管内径が拡径した外形が略円筒状の前記拡径部とが、順に形成され、前記直管状接続部から前記拡径部に至る外形が、2段の異なる外径の円筒形状を有し、前記斜面部は、前記直管状接続部から管内径及び管外径が前記拡径部に向かって管軸方向に徐々に拡径する斜面構造を有し、前記拡径部の断面円筒形状の空間の内面に前記雌型継手構造部が形成されたものである。
【0057】
上記のように、リング部材のリング部または分割体を貼り付けることで、前記拡径部の内周面の前記第1の収納空間に対応する位置に、収納空間を形成せずに直接貼り付けることでも、可撓電線管と継手部品をワンタッチで接続することが可能になる。
【0058】
すなわち、雌型継手構造部の第1の収納空間の円周面あるいは収納空間を形成しない場合には、拡開部の第1の収納空間に対応する位置の内周面にリング部材を円周方向の所定位置で所定長さに切断した複数の短尺の円弧状のリング部材の分割体を、前記分割体の爪部の先端を管軸方向の奥側に向って斜め前方に縮径するように円周方向に所定間隔を開けて、所定個数、円周面に接着剤で貼り付けることで管軸方向の奥側に対して斜め前方に縮径する、一体のリング部材と同様の効果を得ることができる。
【0059】
ここで、接着により、リング部材や分割体を固定する場合には、接着に用いる接着剤は、例えば、ニトリルゴム系、ウレタンゴム系、シアノアクリレート系、反応性アクリル系樹脂を含むアクリル系、塩化ビニル系溶剤型接着剤、エチレン酢酸ビニル系接着剤、エポキシ系接着剤及びその他の接着剤から適宜選定することができる。
【0060】
なお、複数の短尺の円弧状のリング部材の分割体としては、円弧状部と、円弧状部に、円弧状部から爪部の先端に向かって管軸方向の奥側に対して斜め内方に縮径するように延設された爪部を有するものであっても良いし、円弧状部と爪部が一体化されたものであってもよい。円弧状部と爪部が一体化された分割体は、分割体を中心方向に切断した場合の切断面が略三角形状のものであってもよい。延設された爪部を有する分割体は、例えば、金属または樹脂製ものを使用でき、円弧状部と爪部が一体化された分割体はゴム製のものが使用できる。
【0061】
また、この場合でも、可撓電線管としては、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成されている角形電線管であってもよく、小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であってもよい。また。らせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管も用いることができる。このように、いずれの形態の可撓電線管も接続することができる。
【0062】
第4の発明は、管継手部品とは、別の管継手部材を用いる、管継手部材と可撓電線管との接続構造の発明である。この第4の発明は、管継手部材の一方に形成された雄継手構造部を有し、前記管継手部材の他方には、切欠き部を有する筒状部が形成され、前記切欠き部の底部には固定孔が設けられ、前記筒状部に、小径部を切断部として切断された可撓電線管本体を大径部、小径部、大径部の順に配置することで、大径部に挟まれた断面円形の小径部が切欠き部に位置するように配置され、内周が略半円形のΠ型固定部材で、前記小径部を囲うように被冠して、前記管継手部材の前記固定孔に前記Π型固定部材の両足部を挿通嵌合させることで前記Π型固定部材の係合部が継手本体の切欠き部に形成された係合段部に係合され、その結果前記Π型固定部材を前記管継手部材の前記係合段部に固定することが可能な構造を有し、前記Π型固定部材の両側部を前記管継手部材の前記切断部固定部の底部の前記固定孔に挿通固定し、可撓電線管の小径部固定部を固定することで、前記管継手部材と可撓電線管とが接続されることを特徴とする管継手部材と可撓電線管との接続構造である。
【0063】
第4の発明によれば、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成されている角形電線管あるいは同様の構造が形成されている二重壁角形電線管の小径部を管継手部材の小径部に配置することで、大径部と小径部を有する可撓電線管と管継手部材とを確実に接続することができる。
【0064】
第5の発明は、第4の発明に係る管継手部材の一方に形成された雄型継手構造部は、可撓電線管の雄型継手構造部と同一構造を有するものであり、前記管継手部材の一方の側に形成された前記雄継手構造部を、前記継手部品の雌型継手構造部に挿入することで、前記継手部品と可撓電線管の切断部が接続された前記管継手部材の雄型継手構造部とを接続して、前記継手部品と管継手部材と可撓電線管とが接続されることを特徴とする継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造である。
【0065】
前記可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角形電線管であるか、あるいは前記小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管であってもよい。
【0066】
第5の発明によれば、継手部品と管継手部材と可撓電線管とを確実に接続することができる。このように、可撓電線管同士の接続や継手部品と可撓電線管の接続に加えて、管継手部材と可撓電線管、継手部品と管継手部材と可撓電線管などの多様な接続が可能になることで、可撓電線管として角形電線管または二重壁可撓電線管あるいは両者の配管を用いた配管システムの構築などが可能になる。
【0067】
この際、管継手部材の雄型構造部を、継手部品の雌型構造部に挿入すると、継手部品の第1の収納空間にリング部材が収納され、第2の収納空間にゴムパッキンが収納される。
【0068】
また、上記のように可撓電線管の本体部の形状としては、第4の発明と同様に断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成されている角形電線管や二重壁角形電線管を用いることができる。
【0069】
第6の発明は、第5の発明に係る継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造を用いた可撓電線管として角形電線管または二重壁可撓電線管あるいは両者の配管を用いたことを特徴とする配管システムである。
【0070】
第6の発明によれば、上記のように本発明の継手部品や管継手部材を用いることで多様な接続を行なうことで角型電線管あるいは二重壁角形電線管の配管システムの構築に資することになる。
【0071】
第7の発明は、第1の発明にかかる継手部品の製造方法であって、硬質塩化ビニル押出管を素管とし、素管を所定温度で加熱して熱成形によって前記直管状接続部を素管径のままとして、該当箇所を局部的に160℃から200℃の範囲に加熱して加熱部を、金型を用いて前記斜面部及び前記拡径部を拡径後、前記拡径部の内面に切削加工により、断面円筒形の前記仕切り部を挟んだ所定位置に前記第1の収納空間と前記第2の収納空間を形成することで、可撓電線管と接続するための前記雌型継手構造部を形成することを特徴とする継手部品の製造方法である。
【0072】
第7の発明によれば、精度よく雌型継手構造部を形成することができる。
【発明の効果】
【0073】
本発明によれば、部品点数が少なく簡易な構造で、可撓電線管を簡単に塩ビ電線管に切り替えることができ、また結果として塩ビ電線管から鋼管等の切り替えも簡単に行うことができる継手部品、継手部品と可撓電線管との接続構造、管継手部材と可撓電線管との接続構造、継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造、継手部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】(a)は、継手部品1の断面図、(b)は、(a)のA部拡大図。
【
図2】(a)は、継手部品1aの断面図、(b)は、(a)のC部拡大図、(c)は、第2拡径部の断面形状がくさび型の継手部品1bのC部と同様の部位の拡大図。
【
図3】(a)~(c)は、継手部品1aの製造工程を示す図。
【
図4】(a)は、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12を相互に接続することで、それぞれの部材の接続界面を接着剤にて接続一体化した継手部品1hの断面図、(b)は、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12の別々の部材を、接続部材を介して相互に接続し、それぞれの部材と接続部材との接続界面を接着剤で貼り合わせた継手部品1iの断面図。
【
図6】(a)は、接続構造70bを示す図、(b)は、接続構造70cを示す図。
【
図8】(a)は、Cリング31の正面図、(b)は(a)のF-F線断面図、(c)は接続構造70dを示す図。
【
図9】(a)は可撓電線管50を示す側面図、(b)は、(a)のE-E線断面図。
【
図10】(a)は、雄型継手構造部51を示す断面図、(b)は、他の可撓電線管の雄型継手構造部51を示す断面図。
【
図11】(a)は、リング部材53を示す斜視図、(b)は、リング部材53aを示す斜視図。
【
図12】(a)、(b)は、雄型継手構造部51と雌型継手構造部11とを接続する工程を示す図。
【
図13】(a)は可撓電線管50aを示す側面図、(b)は、可撓電線管50bを示す側面図。
【
図15】(a)、(b)は、管継手部材80と可撓電線管50とを接続する工程を示す図。
【
図17】(a)、(b)は、雄型継手構造部51aと継手部品1cの雌型継手構造部11aとを接続する工程を示す図。
【
図18】(a)、(b)は、雄型継手構造部51aと継手部品1dの雌型継手構造部11bとを接続する工程を示す図。
【
図19】(a)、(b)は、雄型継手構造部51aと継手部品1eの雌型継手構造部11cとを接続する工程を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0075】
(可撓電線管の継手部品の材料・強度、基本構造、加工部寸法及び寸法精度)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1(a)は、継手部品1の管軸方向の断面図、
図1(b)は、
図1(a)のA部拡大図である。継手部品1は、一方の端部に直管状接続部を有し、他方の端部に可撓電線管と接続可能な雌型継手構造部11を有する部材である。すなわち、継手部品1は、可撓電線管継手部品である。
【0076】
《継手部品の材料・強度》
継手部品1は、硬質樹脂材料からなる筒状部材である。硬質樹脂材料としては、例えば、硬質塩化ビニル、ABS樹脂、PET樹脂、PC樹脂、ガラス繊維強化熱可塑性樹脂の少なくともいずれかから選択されるが、特に、硬質塩化ビニルが望ましい。
【0077】
ここで、硬質塩化ビニルの比重は、1.35~1.45と非常に軽い素材であって、取り扱いが容易である。また、硬質塩化ビニルの強さは、軟質のアルミニウムと同程度であり、そのため内外圧・曲げ・衝撃などに対して十分な機械的強度を有する。また、硬質塩化ビニルは、耐薬品性にも優れており、ほとんどの酸・アルカリ・塩類等に浸されることはない。このように、材料としては、硬質塩化ビニルが最適である。
【0078】
なお、硬質塩化ビニルの機械的性質は、引張破断強度が415~527kg/cm2であり、引張降伏強さが415~457kg/cm2であり、引張弾性係数が2.46~4.22GPaである。また、硬質塩化ビニル管の力学的性質は、可塑剤の含有量が少ないので、塩化ビニルホモポリマーの力学的性質(引張弾性率:2.8GPa、引張降伏強さ:55MPa)に近い性質を示す。なお、硬質塩化ビニルの用途として、塩ビ管の他、波板、平板、フィルム・シート、異形押出品、電線、その他がある。
【0079】
継手部品1の材質として、硬質塩化ビニルを用いる場合には、例えば、JISK 6741(2016)に記載のVP管、VU管、HIVP管、JIS C 8430(2019)に記載のVE管、C.C.BOX管路システム研究会規格CCB E001-2(2011)に記載の電線共同溝電力用管路材CCVP、C.C.BOX管路システム研究会規格CCB E003-1(2018)に記載の電線共同溝電力用管路材ECVP、C.C.BOX管路システム研究会規格CCB C001(2011)に記載の電線共同溝一管一条通信用管路材P-V管等、適宜用いれば良い。また、詳細は後述するが、雌型継手構造部11を切削加工で形成する場合は、肉厚の厚いVP管、HIVP管、CCVP、ECVP、P-V管がより好ましい。例えば、JISK6741:2016では、VP管、VU管の強度(引張降伏強度)は、45MPa以上である。また、衝撃用のHIVP管の場合には、引張降伏強度は、40MPa以上と規定されている。
【0080】
このように、継手部品1として硬質樹脂材料を適用することで、後述する継手部品の製造時の加工が容易で、簡単な構造で可撓電線管と継手部品とをワンタッチで接続可能で、塩ビ電線管と可撓電線管との接続構造を得ることができる。このように、強度、耐熱性、コストの観点から、硬質樹脂材料であることが望ましい。
【0081】
《継手部品の基本構造》
継手部品1には、一方の端部から他方の端部に向けて(図中左側から右側に対し)、直管状接続部5、斜面部7、拡径部9が順に形成される。直管状接続部5は、電線又はケーブルを挿通するため外形が略円筒状であり、直管状接続部5の端部側は塩ビ電線管との接続のため雄継手構造として使用される。斜面部7は、直管状接続部5から拡径部9に移行する部位に形成される。拡径部9は、斜面部7に隣接して配置され、直管状接続部5より管内径が拡径した部位である。なお、直管状接続部5、拡径部9は、いずれも外形が略円筒状である。斜面部7は、外形が略円錐形状に拡径する部位である。
【0082】
直管状接続部5から拡径部9に至る円筒状部材の外形は、2段の異なる外径に形成された円筒状断面を有する。また、斜面部7は、直管状接続部5から管内径及び管外径が、拡径部9に向かって管軸方向に徐々に拡径する斜面構造を有する。
【0083】
このように、直管状接続部5と拡径部9とを2段階とすることで、接続した可撓電線管が地震等で接続部内方向に押し込まれる際に、継手部品1にかかる応力を、外形寸法の斜面部7において継手部品1の管軸方向及び管軸方向に垂直な方向に円周面全周に渡って分散させることができる。また、継手部品1を切削加工で製造する場合、肉厚を担保し易い。
【0084】
なお、拡径部9の管外周面には、少なくとも管軸方向に垂直な壁又は鋭角な断面は形成されていない。例えば、継手部品1の外周面が、管軸方向に対して平行な面となだらかな斜面とで構成される。このように、直管状接続部5と拡径部9との2段階とする場合には、斜面部7の管軸方向に対する傾斜角度は、5~45°とすることが望ましい。斜面部7の管軸方向に対する傾斜角度が5°以下だと、2段階とする効果が得づらい。また、斜面部7の管軸方向に対する傾斜角度の内角が45°を超え、さらに外寸が大きくなると、継手部品1が密に配置できなくなる。ここで、斜面部の内角が45°より大きくなると、斜面部による継手部品の加工性と応力分散効果が低下する。傾斜部の内角は、望ましくは30°以下10°以上であることが望ましい。
【0085】
拡径部9の断面円筒形状の空間の内面には、雌型継手構造部11が形成される。雌型継手構造部11は、雄型継手構造部を係止するための係止部材を収納固定する第1収納空間13と、仕切り部15と、雄型継手構造部に固定された止水部材が収納される第2収納空間17とが、継手部品1の内方から他方の端部の開口部に向かって順に形成される。第1収納空間13と第2収納空間17は、管内方に縮径するように突出する仕切り部15で区画された2つの所定幅の断面略円筒形の空間であり、切削または樹脂シートの貼り付けによりそれぞれ形成される。ここで、
図1(a)に示すように、雌型継手構造部の先端の開口部の端面の外周面及び内周面に面取り部の加工が施され、
図1(b)に示すように、直管状接続部の先端の開口部の端面の外周面及び内周面に面取り部の加工が施されていてもよい。すなわち、継手部品の可撓電線管と接続するための雌型継手構造部の先端の開口部の端面と、直管状接続部の先端の開口部の端面の少なくとも一方の端面の、外周面または内周面の少なくともいずれか、あるいは外周面と内周面の両者が面取り加工される。
【0086】
第1収納空間13と第2収納空間17は、管内方に突出する仕切り部15により所定幅の溝状の2つの収納空間に区画される。例えば、第1収納空間13と第2収納空間17は、通常切削により形成されるが、仕切り部15は、第1収納空間13と第2収納空間17に対して突出させて形成するのではなく、収納空間が切削により円筒形状の内面に溝形状より形成されることで、結果的に未切削部または切削量の少ない部分として管内方に突出する仕切り部15が形成されてもよい。この際、溝の側壁がリング部材の係止部になる。ここで、収納空間が樹脂シートの貼り付けにより形成される場合には、円筒形状の拡径部の内周面が拡径された状態で切削されずにそのまま第1の収納空間、第2の収納空間を形成し、円筒形状の拡径部の所定位置の内周面に張り付けられた樹脂シートの表面が収納空間に対して突出して仕切り部を形成することになる。
【0087】
なお、詳細は後述するが、雌型継手構造部11には、可撓電線管の雄型継手構造部が接続される。この場合には、雄型継手構造部の先端が、斜面部7の内壁に当接することで、斜面部7が、雄型継手構造部の抜け止め機能を発揮する。また、第1収納空間13は、雄型継手構造部の係止するための係止部材であるリング部材を収納することが可能である部位であり、第2収納空間17は、雄型継手構造部のパッキンを収納することが可能な部位となる。ここで、第1収納空間13には、雄型継手構造部の構造により異なるが、係止部材の係止爪あるいはリング部のいずれかが収納される。すなわち、雌型継手構造部11には、雄型継手構造部を係止する係止用の係止部材と、雌型継手構造部11と雄型継手構造部を止水するパッキンが、断面略円筒形の空間の内周面の奥側から開口部に向かって相互に所定距離離間して収容可能である。
【0088】
このように、直管状接続部5の少なくとも一部は直管状の差し込み継手構造であり、一方の端部に形成された差し込み継手構造と他方の端部に形成された雌型継手構造部11が斜面部7を介して一体に筒状の連続体として形成されている。すなわち、直管状接続部5の端部側の少なくとも一部が、直管状の雄継手構造である。
【0089】
《継手部品の加工部寸法及び寸法精度》
なお、仕切り部15による縮径部の高さ(
図1(b)のB)は、5mm以下であり、さらに好ましくは4mm以下で、下限値は2mm以上であることが望ましい。ここで、仕切り部との高さの差異を2mm以上に設定するのは、収納空間に収納される係止部材やパッキンなどの収納部品の係止効果を確保するためである。すなわち、第1収納空間13及び第2収納空間17の内径に対して、仕切り部との上下方向の高さの差異を考慮する必要がある。仕切り部15の内径は収納空間の最大内径に対して10mm以下であり、望ましくは8mm以下と小さくすることができるが、8mm以下の内径差であることが望ましい。なお、仕切り部15の高さは2~3mmであることがより望ましい。その結果、仕切り部15と、収納空間の内径差は4~6mmであることが望ましい。ここで、縮径部の高さの下限値を2mmに設定可能であるのは、第1の収納空間や第2の収納空間を形成するための縮径部を切削やシート状部材の貼り付けにより形成することができるため、上記の収納空間の寸法精度が向上するためである。切削やシート状部材貼り付けによる加工の寸法精度は、±0.1mm以下となるが、後述するブロー成型や真空押出成形の場合には、±0.4~0.5mm程度となる。
【0090】
仕切り部15の高さが大きくなると、第1収納空間13や第2収納空間17の肉厚が薄くなり、継手部品1が破損し易くなる。またこの時、継手部品1の外寸も大きくなり、可撓電線管を密に配置するにあたり、不利となる。逆に仕切り部15の高さが小さくなると、可撓電線管を密に配置し易くなるが、一方で第1収納空間13に係止部材の係止爪が掛かりづらくなる。ブロー成型や真空押出成形で成形する場合、継手部品内面の段差は必ず曲率を持つが、本発明では切削加工により第1収納空間13や第2収納空間17と仕切り部15の段差を形成するため、段差が綺麗な矩形となり、係止部材の係止爪が掛かり易くなる。これにより、仕切り部15の高さが2mmと小さくても、係止部材の係止爪が十分に係止される。なお、仕切り部を、シート状部材を貼り付けることで形成する場合でも、仕切り部の望ましい高さは、切削で形成する場合でも同様である。
【0091】
ここで、特に収納空間の溝深さである縮径部の高さの下限値を2mmとすることを可能にした理由は、継手部品の本体を形成する樹脂に硬質塩化ビニル、ABS樹脂、PC樹脂、又はガラス繊維強化熱可塑性樹脂の少なくともいずれかの高剛性の硬質樹脂材料を使用することにより、寸法精度の高い加工を行うことが可能となると同時に、成形後に成形品が他部材から応力を受けた場合に変形しないことにより高い寸法精度を維持できることで達成されるものであり、ポリエチレンやEVA等の軟質樹脂を使用した場合には、本発明のような効果を得ることはできない。
【0092】
(直管状接続を雄型嵌合部として接続する第2の拡径部を有する継手部品の構造)
図2には、継手部品1aが第2の拡径部を有する場合について示す。また、拡径部9の先端に、さらに拡開する第2の拡径部を形成してもよい。
図2(a)は、継手部品1aの断面図、
図2(b)は、
図2(a)のC部拡大図である。継手部品1aは、継手部品1と略同様の構成であるが、拡径部9の開口部側に、拡径部9よりもさらに拡径する第2拡径部9aが形成される点で異なる。
【0093】
前述した継手部品1は、第2収納空間17が、略円筒状の断面に形成されるが、継手部品1aでは、拡径部の開口部側に第2拡径部9aが形成されるが、第2拡径部9aの外周面は、円筒形の筒状部が外方に向かって所定角度θでなだらかに拡開する円筒形状の断面に形成される。すなわち、
図2(b)に示す継手部品1aでは、拡径部の外周に加えて第2収納空間17を形成する内周面も外周面に略平行に先端に向かって円筒形断面が外方に向かって所定角度θでなだらかに拡開する円筒状の断面に形成される。なお、拡径部9と第2拡径部9aの境界に対応する位置の内周面に仕切り部15が形成され、第2拡径部9aの内周面に第2収納空間17が形成される。
【0094】
また、
図2(c)は、継手部品1bのC部と同様の部位の部分拡大図を示す。継手部品1bの全体の構造を示す断面部は、
図2(c)に示す部位を除き
図2(a)と同様の構造であるため記載を省く。
図2(c)に示すように、継手部品1bの第2拡径部9bの外周は、継手部品1aと同様に円筒形の筒状部が外方に向かって所定角度θでなだらかに拡開する円筒形状の断面に形成されるが、継手部品1bの第2拡径部の内周部が拡径部と略平行または拡径部の内周部の延長線上に拡径部の内径と同一内径に形成され、第2の拡径部の外周が所定角度で拡開することで、第2拡径部9bが断面くさび型に形成される。すなわち、第2拡径部9bの内周面は、拡開せずに拡径部9の内周面が第2拡径部9bの内周面までそのまま延長される。ここで、
図2(a)には、雌型継手構造部の先端の開口部の端面の外周面及び内周面に面取り部の加工が施され,
図2(b)、
図2(c)に示すように、直管状接続部の先端の開口部の端面の外周面及び内周面に面取り部の加工が施されていてもよい。
【0095】
このように、継手部品1aは、第2拡径部9aを有するため、第2収納空間17の内面は、断面円錐台形となる。また、第2収納空間17の外周も内周部と略平行な拡開する断面円錐台形状である。継手部品1bは、断面くさび型の第2拡径部9bを有するため、第2収納空間17の内面は、断面円筒形になる。このようにすることで、継手部品1bでは、第2収納空間17の外周部の肉厚を維持して、第2収納空間17の部分の部材強度を維持できるとともに、継手部品の端部の肉厚を厚くできるため、継手部品1bの部材強度を向上させることができる。
【0096】
なお、この場合でも、仕切り部15による縮径部の高さ(
図2(b)のD:段差)は、5mm以下であり、さらには4mm以下であることが望ましい。この場合には、第1収納空間13の内径と、第2収納空間17の最も小さな内径部(すなわち仕切り部15に近接する部位)の内径よりも、仕切り部15の内径が10mm以下、さらに8mm以下とすることができる。ここで、縮径部の高さ(仕切り部15に対する第1収納空間13及び第2収納空間17を形成する溝の深さ)は、2mm以上5mm以下とすることができるが、2mm以上であれば特に問題はない。
【0097】
また、管軸方向に対する第2拡径部9aの拡径角度(
図2(b)の角度θであって、管軸方向に対する拡径斜面角度)は、1°以上10°以下であることが望ましい。第2拡径部9aの拡径角度は、1°未満では効果が不十分であり、10°を超えると、外寸が大きくなり、可撓電線管50を接続した継手部品1が密に配置できなくなる。
【0098】
なお、前述したように、第2拡径部9aの外周面は円筒形の筒状部が外方に向かって所定角度でなだらかに拡径するが、内周面は、外周面と略平行になだらかに拡径させても良いし、あるいは第2拡径部9aの外周面は、同一直径の略円筒状に形成されてもよい。また、第2拡径部9aの内周が、第2拡径部9aの外周と略平行に先端に向かってなだらかに所定角度で拡開するか、拡径部9の内周と同様な大きさに形成されるかのいずれかであってもよい。すなわち、第2拡径部9aの内周面は、仕切り部15を挟んで、拡径部9側の内周面と同一の直径円筒状に形成することも可能である。
【0099】
このように、第2拡径部9aを形成することで、第2拡径部9aの内周面側は、
図1の内周面と同様の構造を有し、外周面側は円錐状に1°から10°以内の所定の角度で拡径する形状とすることもできる。このような構造とすることで、継手部品1を収納する収納空間を確保しやすくなり、省スペースでの工事が可能になる。この際、第2拡径部9a内周面の加工はなだらかに拡開された管の内周面を仕切り部から継手部品の第2拡径部側の端部に向かって略直角三角形状に切削することにより行われる。
【0100】
(可撓電線管の継手部品の製造方法)
次に、可撓電線管の継手部品の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、継手部品1aについて説明するが、継手部品1も継手部品1bも同様である。
図3は、継手部品1aの製造工程を示す図である。
【0101】
まず、
図3(a)に示すように、硬質塩化ビニル等の硬質樹脂材料からなる押出管を所定の長さに切断し、素管19を形成する。次に、
図3(b)に示すように、素管19を、所定温度で加熱して熱成形によって、直管状接続部を素管径のままとして、局部的に160℃から200℃の範囲に加熱して、斜面部7及び拡径部9(第2拡径部9a)を拡径して成形する。拡径部9の拡径は、素管19を局所的に加熱し、素管19内に金型を挿入し、加熱部を金型を用いて拡径することで行うことができる。
【0102】
その後、
図3(c)に示すように、拡径部9の内面に切削加工により、断面円筒形の仕切り部15を挟んだ所定位置に第1収納空間13と第2収納空間17とを形成する。すなわち、外周面が2段の異なる外形に形成された円筒状部材の拡径部9の円筒状の内面に形成される雌型継手構造部11の、円筒状の内壁に形成される第1収納空間13及び第2収納空間17は、それぞれの凹部が切削により形成されたものであり、仕切り部15は、未切削部を縮径部として形成したものである。このように、切削加工によって、可撓電線管と接続するための雌型継手構造部11が形成される。なお、ここで、第1の収納空間及び第2の収納空間は、拡径部の内面を切削する代わりに樹脂シートの貼り付けによって仕切り部を凸部として形成することによっても、樹脂シートが貼り付けられていない部分を収納空間として形成することができるが通常は切削により形成することが望ましい。
【0103】
このように、雌型継手構造部11は、断面略円筒形の空間の所定位置に切削加工によって形成される断面略円筒状の溝と、切削加工が行なわれていない仕切り部15とが形成されることで、当該溝が、断面略円筒形の空間を仕切り部15により、第1収納空間13と第2収納空間17に区分される。
【0104】
ここで、継手部品1aの両端面を切削してもよい。このようにすることで、継手部品1aの可撓電線管と接続するための雌型継手構造部11の先端の開口部の端面と、直管状接続部5の先端の開口部の端面に、それぞれ、平坦面が形成される。なお、継手部品1aの可撓電線管と接続するための雌型継手構造部11の先端の開口部の端面と、直管状接続部5の先端の開口部の端面は、両端面が平坦面状に形成されていることが望ましいが、両端面の少なくとも一方の少なくとも一部が平面状に形成されていれば、両面が平坦面でなくてもよい。両端面を平坦面とすることで、継手部品1が他の部品に固定し易くなる。また端面を切削することで、全長を精度良く作り込むことが可能となる。
【0105】
以上により、継手部品1aを製造することができる。この際、硬質樹脂材料を素材とし、切削加工によって円筒状の部材の側面を形成する筒状部の内周面に第1収納空間13と第2収納空間17とを形成することから、仕切り部15の高さの加工精度が高く、その結果、高さが低い収納空間を高精度良く得ることができる。継手部品を射出成形やブロー成形等により成形する場合などのように、継手部品の外周に、管軸方向に垂直な方向に突出した突部や窪み部を有しないこれまでにない構造の雌型継手構造を有する継手部品を得ることができる。このため、可撓電線管と接続するための雌型継手構造部11の寸法精度と耐荷重性が優れる。このように、寸法精度と耐荷重性が優れる継手部品1の小型化により密接配置が可能な雌型継手構造部11を有する可撓電線管用の継手部品を形成することができる。
【0106】
なお、まず、拡径部9を熱成形で形成し、内面を切削加工して雌型継手構造部11を形成してもよい。また、さらに、拡径部9の拡径を二段階で行ってもよい。雌型継手構造部11を切削加工で担保する場合は、肉厚の確保のため、拡径部9の拡径を二段階とすることが好ましい。なお、雌型継手構造部11は、切削加工の他、接着等による貼り付けでも行うことができるが、接着面の強度低下や加工の手間を考慮すると、切削加工が望ましい。
【0107】
また、本発明の継手部品は、拡径部9と、必要に応じて第2拡径部9aが設けられるが、拡径部9または拡径部9と第2拡径部9aに雌継手構造を設け、これにより可撓電線管との接続を可能にするものである。このため、直管状接続部5は、拡径部9側から挿通される可撓電線管を保持する役割と、直管状接続部5において、塩ビ電線管とを接続する役割を果たしている。このため、塩ビ電線管との接続を考慮すると、
図1、
図2などに示すように直管状接続部5には所定長さが必要になる。
【0108】
(継手部品における面取り加工、標線の効果)
ここで、
図3(c)に示す直管状接続部5は、塩ビ管や可撓電線管と接続するための管継手の雌型接続部と接続される雄継手構造として使用される。雌型接続部は、直管状接続部が直接挿入可能な内径を有する直管状部を有する継手である。このような雌型接続部に直管状接続部を挿入することで接続される。なお、雌型接続部に直管状接続部を挿入した状態で両者が接着できるように、直管状接続部に所定長さだけ接着剤を塗付するなどして接着により両者を固定してもよい。
【0109】
ここで、可撓電線管と接続するための雌型継手構造部の先端の開口部の端面と、直管状接続部5の先端の開口端の端面の少なくとも一方の端面の外周面または内周面は、面取り加工されていてもよい。
図3では、内周面の面取り部の加工は省略して、外周面の面取り部の加工を行なった場合の図面であるが、
図1、
図2などの場合と同様に外周面の面取り部の加工に変えて内周面の面取り部の加工を行うこともできる。直管状接続部5の先端部の外周面を面取り加工して面取り部6を形成することで、直管状接続部5を雄型接続部として、塩ビ電線管に挿入する時に挿入しやすくなり、内周面を面取り加工することで、通線時にケーブル表面に傷が付くのを抑制することができる。また、可撓電線管と接続するための雌型継手構造部の先端の開口部の端面の外周面を面取り加工することで破損防止につながり、内周面に面取り加工を行うことで、可撓電線管を接続する際に挿入し易くなり、直管状接続部の内周面に面取り加工を行うことで、通線時にケーブル表面に傷が付くのを抑制することができる。以上のように雌型継手構造部の先端の開口部の端面と、直管状接続部の先端の開口部の端面の少なくとも一方の端面の外周面または内周面の少なくともいずれか、あるいは外周面と内周面の両者が、面取り加工を行なうことで、接続時の作業性向上、接続する部材の損傷防止、通線時のケーブル表面の損傷防止などに有効である。
【0110】
また、
図3(c)に示すように、直管状接続部5に、雌型継手構造部への挿入時の目印となる標線22が記載されていてもよい。継手部品1の塩ビ電線管と接続するための標線22は、直管状接続部5の所定位置に描画される。このように標線22を描画することで、継手部品1とこれを挿入する電線管との接続部の長さを十分確保することができる。なお、刻印による印字、凹凸が有ると継手部品の外周を傷つけることになるため好ましくなく、インク等で押印する等、凹凸が生じない方法が望ましい。
【0111】
(直管状接続部を有する部材と雌型継手構造部を有する部材との分割体の接続構造による継手部品)
雌型継手構造部に接続される可撓電線管と直管状接続部に接続される電線管の呼び径の差が大きい場合、斜面部を長くとることで、呼び径の差に対応することができる。ただし管継手の拡径部が熱拡径で形成される場合、呼び径の差が大きくなると、熱拡径で素管が引き延ばされる量が多くなり、加工中に素管が裂け、加工できなくなる。このような場合は、直管状接続部を有する部分と雌型継手構造部を有する部分を別々で成型、加工し、その後にお互いを接着剤やエポキシパテで貼り合わせることで、一体に筒状の連続体としても良い。
【0112】
図4(a)は、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12を別々で成型、加工し、その後に両者を相互に接続することで、両者の接続界面を接着剤にて貼り合わせて一体化した継手部品1hの断面図である。
【0113】
図4(b)は、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12を別々に成型、加工し、その後にそれぞれの部材を、接続部材を介して相互に接続し、それぞれの部材と接続部材との接続界面を接着剤で貼り合わせた継手部品1iの断面図である。接続部材としては、例えばJIS K 6743(2016)に記載の径違いソケット等を用いればよい。
【0114】
上記のように、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12とを別部材の分割体にすることで、一体成形が困難な場合にも対応しやすいし、直管状接続部の寸法が多様な場合にも対応しやすい。また、直管状接続部を有する部材8と雌型継手構造部を有する部材12に加えて、さらに接続部材10を介して継手部品と可撓電線管を接続する場合にも、同様の効果が得られる。このように直管状接続部を有する部材8と、雌型継手構造部を有する部材12が、直接または接続部材10を介して接着され、一体に筒状の継手部品として形成されることで、現場の状況に合わせた電線管や可撓電線管の寸法選択がしやすくなる。
【0115】
(直管状接続部の一部を拡径し雌型接続部とした継手部品の構造)
次に、直管状接続部を雌型接続部とした継手部品について説明する。
図5は、継手部品1fを示す図である。継手部品1fの一方に形成される可撓電線管と接続するための斜面部7及び拡径部9は、継手部品1と同様であるが、直管状接続部の形態が異なる。継手部品1fは、直管状接続部の端部側の少なくとも一部が所定長さ拡径されることで、直管状接続部の拡径部23が形成される。直管状接続部の拡径部23は、雌型接続部として使用することが可能である。
【0116】
ここで、直管状接続部の拡径部23の拡径の方法としては、継手部品1の拡径部9の拡径方法と同様に、直管状接続部の一部を、所定長さ拡径用金型を使用して熱成形にて拡径することができる。このように拡径することで、所定長さの直管状接続部の拡径部23と、直管状接続部の未拡径部27と、これら両者を繋ぐ、斜面部7とは逆方向を向いた第2の斜面部25が形成される。
【0117】
このような構造とすることで、継手部品1fは、一方に直管状接続部の拡径部23を雌継手構造として使用し、他方に可撓電線管の雄継手構造と接続可能な雌継手構造を有する。ここで、一方の雌継手構造として使用される直管状接続部の拡径部23は、内周面も直管状であるため、塩ビ電線管や可撓電線管を直管状接続部の拡径部23に挿入することで、継手部品1fとこれらの電線管とを接続可能である。
【0118】
なお、ここで、直管状接続部の拡径部23に塩ビ電線管や可撓電線管を挿入すると、第2の斜面部25が、挿入された電線管のストッパーとして作用する。このため、直管状接続部を雄継手として使用する継手部品1の場合と異なり、標線などを描画する必要がない。
【0119】
ここで、塩ビ電線管や可撓電線管と、本実施形態の継手部品1fとの接続の際には、継手部品1fに挿入した塩ビ電線管や可撓電線管は、継手部品1fの直管状接続部の拡径部23に位置する。これらの電線管の外表面に接着剤を塗付しておけば、継手部品1fと塩ビ電線管や可撓電線管との接続構造を得ることができる。
【0120】
(直管状接続部の一部を拡径し雌型接続部と塩ビ電線管を接続した継手部品)
図6(a)は、継手部品1fと塩ビ電線管27aとの接続構造70bを示す断面図である。継手部品1fの直管状接続部の拡径部23に、直管状の塩ビ電線管27aが挿入される。継手部品1fの直管状接続部の拡径部23の内周面と、挿入された塩ビ電線管27aの外周面は、接着剤29で接着固定される。このため、継手部品1fと塩ビ電線管27aとの安定した接続構造70bを得ることができる。ここで、接着剤29を塗付するのは、これらの電線管の外表面が好ましいが、これらの電線管の挿入部の外表面でなく、直管状接続部の拡径部23の内面に接着剤29を塗布してもよい。
【0121】
(直管状接続部の一部を拡径し雌型接続部と可撓電線管を接続した継手部品)
図6(b)は、継手部品1fと可撓電線管50bとの接続構造70cを示す断面図である。継手部品1fの直管状接続部の拡径部23に、可撓電線管50bが挿入される。可撓電線管50bの外周面には独立波形状の有し、管軸方向に山部と谷部とが交互に形成される。継手部品1fの直管状接続部の拡径部23の内周面と、挿入された可撓電線管50bの外周面の山部は、接着剤29で接着固定される。このため、継手部品1fと可撓電線管50bとの安定した接続構造70cを得ることができる。
【0122】
このように、継手部品1fは、直管状接続部の拡径部23に形成された雌継手構造に、これに挿入して嵌合可能な塩ビ電線管27aまたは可撓電線管50bの山部を接着剤29で接着することで、塩ビ電線管27aまたは可撓電線管50bの山部の外表面と、直管状接続部の拡径部23の内面とが接着して固定された接続構造70b、70cを得ることが可能である。
【0123】
ここで、継手部品1fの直管状接続部の拡径部23に挿入して接続される電線管として、独立波形状の可撓電線管50bの例を示したが、使用する可撓電線管は、波付け電線管であれば、独立波形状の電線管に限らず、らせん波形状の可撓電線管であってもよい。また、電線管の波形状は、矩形波に限らず、曲線状の凸部を有する波形状が形成された可撓電線管でもよい。
【0124】
(直管状接続部の先端部近傍に溝部が形成された継手部品)
図7は、継手部品1fに対して、直管状接続部の拡径部23の外周部の先端部近傍に、溝部28が形成された継手部品1gを示す図である。継手部品1gは、接着剤を使用せずに可撓電線管50bを接続固定することができる。
【0125】
(直管状接続部の先端部近傍に溝部が形成された継手部品に可撓電線管が接続された構造)
図8(a)は、継手部品1gと可撓電線管50bと接続する際に使用されるCリング31を示す図であり、
図8(b)は、
図8(a)のF-F線断面図である。Cリング31の全体形状は円周の一部が途切れたC字型であり、その断面形状は、断面略L字状型の水平部分の先端に突起部33が形成される。
【0126】
図8(c)は、継手部品1gと可撓電線管50bとの接続構造70dを示す図である。前述したように、可撓電線管50bの外面には、山部と谷部とが交互に形成される。独立波形状の可撓電線管50bの先端近傍の谷部にはゴムパッキン37が装着される。直管状接続部の拡径部23に、先端近傍の谷部にゴムパッキン37が装着された可撓電線管50bが挿入される。また、可撓電線管50bの谷部には、Cリング31が固定される。
【0127】
また、直管状接続部の拡径部23に可撓電線管50bを挿入した状態で、直管状接続部の拡径部23の端部近傍の外周部に形成された溝部28には、Cリング31の突起部33が嵌合する。すなわち、Cリング31が、独立波形状の可撓電線管50bの谷部と、継手部品1gの先端部近傍に形成された溝部28とに固定されることで、Cリング31を介して独立波形状の可撓電線管50bを継手部品1gに係止して固定することが可能である。
【0128】
この時、ゴムパッキン37が、直管状接続部の拡径部23の内周面に当接することで、止水性も確保される。このように、接続構造70dを得るには、継手部品1gと独立波形状の可撓電線管50bの他に、ゴムパッキン37とCリング31が必要になる。この接続構造70dの場合には、止水性はゴムパッキン37により確保され、さらに、可撓電線管50bの抜け止めは、略L字状断面を有するCリング31の突起部33と継手部品1gの溝部28の嵌合により確保される。このため、継手部品1gの直管状接続部の拡径部23の内周面と、これに挿入される可撓電線管50bの外周部の直径(山部の直径)とは、クリアランスがタイトでなくてもよい。
【0129】
このように、接続構造70dでは、可撓電線管50bを継手部品1gに固定することができる。この際、継手部品1gとの接続に使用される可撓電線管50bとしては、ゴムパッキン37を可撓電線管50bの谷部に取り付けて固定し、止水するため、独立波形状の可撓電線管であることが望ましい。
【0130】
(継手部品に接続する可撓電線管の雄型継手構造と本体部の構造)
次に、継手部品1aに接続する可撓電線管の構造について説明する。
図9(a)は、接続される可撓電線管50を示す側面図であり、
図9(b)は、
図9(a)のE-E線断面図である。また、
図10(a)は、可撓電線管50の端部近傍の軸方向断面図である。なお、継手部品1、1bの場合も、継手部品1aと同様の構造で、可撓電線管と接続することができる。
【0131】
可撓電線管50は、少なくとも管体の一方の端部に雄型継手構造部51が設けられる。雄型継手構造部51は、継手部品1aの雌型継手構造部11と接続可能である。すなわち、継手部品1aの雌型継手構造部11は、可撓電線管50との接続部となる。
【0132】
可撓電線管50の管体(本体部)は、可撓性を有する樹脂管である。可撓電線管50の外周面には、管軸方向に複数の大径部59と小径部61が交互に形成される。
図9(b)に示すように、大径部59は、断面形状が略正方形状であり、小径部61は、断面形状が円形状に形成される。すなわち、可撓電線管50は、本体部が、断面略矩形状の大径部59と断面円形の小径部61が交互に形成された角形電線管である。
【0133】
なお、大径部59の径(正方形の一辺の長さ)は、小径部61における外径よりも大きい。このように、略正方形状の大径部59を設けることで、可撓電線管50を積み上げた際に、可撓電線管50を安定して配列することができる。なお、雄型継手構造部51の最大外径は大径部59の径(一辺の長さ)よりも小さい。したがって、雄型継手構造部51側の端部から見た際に、雄型継手構造部51は、大径部59の外周にはみ出すことがない。したがって、大径部59同士を接触させて可撓電線管50を積み上げた際に、雄型継手構造部51が、隣り合う可撓電線管50と干渉することがない。
【0134】
なお、可撓電線管50としては、
図10(b)に示すように、外管67の小径部61の内側に、直管状の内管69が融着されて一体化した二重壁角形電線管を用いてもよい。この場合には、可撓電線管50は、本体部が、断面略矩形状の大径部59と断面円形の小径部61が交互に形成された外管67と、外管67の小径部61の内側に融着される内管69とからなる。この際、内管69は、
図10(b)に示すように開口部の端面と同一平面を形成する位置と面一になるように先端部分が延出しても良いし、開口部近傍の融着部の先端で切断されていてもよい。
【0135】
次に、可撓電線管50の雄型継手構造部51について詳細に説明する。なお、以下の説明は、内管を有しない
図10(a)の雄型継手構造部51を用いて説明するが、雄型継手構造部51の構造及び機能は、可撓電線管50が、単管からなる角形電線管であっても、外管67の内部に内管69が融着した二重壁角形電線管であっても同様である。
【0136】
継手部品1aの他方に形成された雌型継手構造部11に嵌合される雄型継手構造部51は、雄型継手構造部51の先端から順に係止部材配置部63と止水部材配置部65が形成されたものである。より詳細には、雄型継手構造部51には、係止部材配置部63と、係止部材配置部63よりも開口部と反対側の奥側に止水部材配置部65とが形成される。係止部材配置部63には、リング部材53が配置される。また、係止部材配置部63よりも開口部側の止水部材配置部65には、ゴムパッキン57が配置される。
【0137】
(略C字状のリング部材の構造)
図11(a)は、リング部材53を示す斜視図である。リング部材53は、円周方向の先端に開口部71を有する略C字状の部材である。すなわち、リング部材53は、リング部としてのリング本体と爪部から構成され、リング本体の形状が円周方向の先端が開口した略C字状である。リング部材53の管軸方向の一方の端部側は、外径が他の部位よりも小さい縮径部73となる。リング部材53の他方の端部側に向けて、爪部が形成される。雄型継手構造部51のリング部材53の爪部は、複数の係止爪75と複数のスライドガイド77とからなる。すなわち、爪部は、リング本体から管軸方向に平行なスライドガイド機能を有するスライドガイド77(第1の爪部)と、爪部の先端に向かって外方に拡開する係止爪機能を有する係止爪75(第2の爪部)の2種類の爪部からなる。以下本発明においては、リング部とリング本体は同義である。
【0138】
係止爪75は、縮径部73から先端に行くにつれて、徐々に外径が大きくなるように拡径される。このように、リング部材53には、先端に向かって外方に拡開する複数の係止爪75が設けられ、
図10(a)に示すように、係止爪75は、管軸方向の奥側(開口部とは反対側)に向かって拡開するように、係止部材配置部63に配置される。
【0139】
また、スライドガイド77は、管軸方向に平行に形成される。スライドガイド77は、管軸方向に平行なスライドガイド機能を有する爪である。スライドガイド77によって、雌型継手構造部11との接合時に、リング部材53が斜めに傾く倒れ込みを抑制し、リング部材のスライドを補助することができる。
【0140】
このように、リング部材53は、リング部材53の先端に向かって管軸方向の奥側に対して外方に拡開する係止爪75と、管軸方向に平行なスライドガイド機能を有する係止爪とは別の爪を有し、複数の係止爪75とスライドガイド77は、縮径部73に対して、円周方向にスリットを介して互いに離間して併設される。すなわち、リング部材53の爪部は、少なくとも爪部の先端が管軸方向の奥側に向って斜め外方に拡開する係止爪75を有するものであり、係止爪75とスライドガイド77の先端は、開口部側に向って円周方向に交互に配置される。
【0141】
(環状のリング部材の構造)
なお、
図11(b)に示すようなリング部材53aを用いてもよい。リング部材53aはリング部材53と略同様の構成であるが、開口部71側の端部に接続部79が形成される点で異なる。すなわち、リング部材53aは、円周方向の先端に接続部79を有する。接続部79は、相互に噛み合って接続することができる。すなわち、接続部79を接続しない状態では、リング部材53aは、リング部材53と同様に略C字状の部材である。一方、接続部79同士を接続することで、リング部材53aは、環状に形成可能である。
【0142】
このように、接続部79を有するリング部材53aを用いれば、接続部79同士を接続しない状態でリング部材53aを係止部材配置部63に配置することができる。また、リング部材53aを係止部材配置部63に配置した後、接続部79を接続することで、リング部材53aが係止部材配置部63から外れてしまうことを抑制することができる。リング部材53aは、使用時の安定性を考慮すると、接続部79を接続して使用することが望ましい。
【0143】
(継手部品の雌型継手構造部の第1の収納空間に雄型継手構造部のリング部材が係止される接続構造)
次に、継手部品1aと可撓電線管(雄型継手構造部51)との接続方法について説明する。なお、以下の説明では、リング部材53を用いた雄型継手構造部51について説明するが、リング部材53aを用いた場合も同様である。
【0144】
図12(a)は、継手部品1aの雌型継手構造部11側の端部に、可撓電線管50の雄型継手構造部51を挿入する前の状態を示す図である。
【0145】
この状態から、
図12(b)に示すように、雄型継手構造部51を有する可撓電線管50の雄型継手構造部51を継手部品1aの雌型継手構造部11に挿入する。このように、雄型継手構造部51を有する可撓電線管50が継手部品1aの雌型継手構造部11に挿入され接続される際には、継手部品1aの第1収納空間13にリング部材53の係止爪が収納される。また、第2収納空間17の断面略円筒状の面に、ゴムパッキン57が当接収納されることで止水することが可能である。このように、継手部品1aの接続部(雌型継手構造部11)に、可撓電線管50の雄型継手構造部51を挿入することで、可撓電線管50と継手部品1aを接続することができる。
【0146】
この際、第2収納空間17においてゴムパッキン57の径方向の先端部が断面円錐台形の内面に当接するため、止水機能が安定して維持される。以上により、雌型継手構造部11と可撓電線管50とを接続することができる。すなわち、継手部品を用いた、継手部品1aと可撓電線管50との接続構造70を得ることができる。
【0147】
ここで、
図12(a)、
図12(b)で、継手部品1aに代えて、一体の継手部品でなく分割体の接続構造とした継手部品1h、1i(
図4(a)、
図4(b))を用いることも可能である。いずれの場合も同様の効果を得ることができる。したがって、継手部品として、一体の継手部品1aを使用するか、分割体の接着構造の継手部品1h、1iを使用するかは、それぞれの状況に応じて選択すればよい。
【0148】
(継手部品との接続構造に使用される可撓電線管の構造)
また、上述した例では、可撓電線管50が角形電線管(又は二重壁角形電線管)である場合を示すが、可撓電線管の形態は特に限定されない。例えば、
図13(a)に示す可撓電線管50aのように、本体部の外周部に螺旋状の凸部が形成されてもよい。また、
図13(b)に示す可撓電線管50bのように、本体部の外周部に、軸方向に垂直な方向の凸部が形成されてもよい。すなわち、可撓電線管の本体部は、らせん状の波形、あるいは独立波形状の波形のいずれの形状の可撓電線管であってもよい。このように、前記継手部品と可撓電線管の接続構造に用いる本体部の構造は特に制約はなく任意の構造であってもよい。
【0149】
(可撓電線管の継手部品と管継手部材を用いた可撓電線管との接続構造)
次に、可撓電線管の継手部品と他の管継手部材を用いた、可撓電線管との接続構造について説明する。
図14は、管継手部材80を示す斜視図である。なお、斜視図においては、リング部材及びゴムパッキン等の図示を省略する。管継手部材80は、主に、継手本体82とΠ型固定部材81からなる。
【0150】
Π型固定部材81は、天面部85と、一対の両足部83からなる。両足部83は、天面部85の両端部近傍に、天面部85に対して略直交するように接続され、下方に向けて突出する。Π型固定部材81の両足部には、段部87が設けられる。段部87は、上方が両側方向に張り出すように下方に向けて形成される。すなわち、天面部85の下面(下方)には、それぞれの両足部83と天面部85の接続部から、外方に向けて突出する段部87がそれぞれ形成される。
【0151】
Π型固定部材81の段部87より下方の所定位置に、両足部83の外側に向けて係合部89が形成される。係合部89は、下方が両側方向に張り出すように形成される。なお、係合部89と段部87は、相互に対向するように互いに略平行に形成される。
【0152】
Π型固定部材81の天面部85の内周面は、略半円形の円弧形状またはアーチ形状である。天面部85の内周面の形状は、前述した可撓電線管50の小径部61の外形に対応した形状である。
【0153】
継手本体82の一方の側には雄型継手構造部51が形成される。継手本体82(管継手部材80)の他方の側には、切欠き部を有する筒状部91が形成される。筒状部91は、後述する可撓電線管50を固定する部位であり、大径部に挟まれた断面円形の小径部が形成され、切欠き部底部には固定孔が設けられる。雄型継手構造部51は、
図10(a)に示したものと同様の構造である。すなわち、管継手部材80の一方には雄型継手構造部51が形成され、雄型継手構造部51は、前述した継手部品1aの雌型継手構造部11と接続可能である。
【0154】
(Π型固定部材を用いた管継手部材と可撓電線管の切断部との接続構造)
次に、切断された可撓電線管50と管継手部材80の接続構造について説明する。
図15(a)は、所定の長さに可撓電線管50が切断され、切断部97を管継手部材80の筒状部91に対向させて配置した状態を示す図である。可撓電線管50は、小径部61の略中央で切断される。
【0155】
前述したように、筒状部91は、切断された可撓電線管50が挿入される部位である。筒状部91の一部には、略矩形状部の側面の上方及び天面93が開口する切欠き部95が形成される。また、筒状部91の略矩形状の底部の両側には、切断部を固定する固定孔96が設けられる。固定孔96は、継手本体82の管軸方向に対して、切欠き部95に対応する位置に形成される。
【0156】
また、切欠き部95に対応する位置の筒状部91の側面の内側には、係合段部98が形成される。係合段部98は、継手本体82の管軸方向に略平行に、内側に向かって突出する突部によって形成される。また、切欠き部95より奥側(雄型継手構造部51側)には、筒状部91の内周面全周を取り囲むように止水部材99が配置される。
【0157】
次に、
図15(b)に示すように、可撓電線管50を、管継手部材80の筒状部91へ挿入すると、筒状部91に、小径部61を切断部として切断された可撓電線管本体を大径部59、小径部61、大径部59の順に配置することで、大径部59に挟まれた断面円形の小径部61が切欠き部に位置するように配置される。さらに、筒状部91の上方から、切欠き部95へΠ型固定部材81を挿入する。この際、筒状部91の開口径は、可撓電線管50の大径部59が収納可能な大きさに形成される。さらに、筒状部91の長さは、可撓電線管50の小径部61を挟んだ一対の大径部59が挿入可能な長さとする。
【0158】
上方から切欠き部95へΠ型固定部材81が挿入されると、筒状部91の側面上部に、Π型固定部材81の段部87が載置される。また、Π型固定部材81の両足部83の先端が、筒状部91の底部の両側に設けられた固定孔96に挿入される。また、Π型固定部材81を、段部87が切欠き部95の縁部と接触するまで押し込むと、Π型固定部材81の係合部89が係合段部98と係合する。このため、Π型固定部材81が筒状部91へ固定されて、Π型固定部材81が筒状部91から抜け落ちることがない。
【0159】
また、切欠き部95の側面の上部にΠ型固定部材81を載置したときに、Π型固定部材81の天面部85の内周面が、内部の可撓電線管50の大径部59より小さく、可撓電線管50の小径部61と等しいかわずかに大きい。このため、Π型固定部材81は、可撓電線管50の小径部61に干渉しない。すなわち、内周が略半円形のΠ型固定部材81で小径部を囲うように被冠して、管継手部材80の固定孔96にΠ型固定部材81の両足部83を挿通嵌合させることで、Π型固定部材81の係合部が継手本体の切欠き部95に形成された係合段部98に係合される。その結果、Π型固定部材81を管継手部材の係合段部98に固定することが可能な構造を有する。このため、Π型固定部材81の両側部を管継手部材80の切断部固定部の底部の固定孔96に挿通固定し、可撓電線管50を小径部固定部に固定することで、管継手部材80と可撓電線管50とが接続される。
【0160】
このようにΠ型固定部材81が筒状部91に固定された状態で、可撓電線管50を管継手部材80から引き抜こうとすると、Π型固定部材81の天面部85の内面の上部の一部および両足部83が、可撓電線管50の略正方形状の大径部59の側面に当接して係合する。このように、可撓電線管50と管継手部材80とが管軸方向に係合されるため、可撓電線管50が管継手部材80から抜けることがない。
【0161】
また、前述したように、切欠き部95より奥側の筒状部91の内面には、筒状部91の内周面全周を取り囲むように止水部材99が配置される。したがって、筒状部91の内面と可撓電線管50の大径部59の外面が止水部材99を介して密着して、止水性が確保される。
【0162】
(継手部品と管継手部材との接続による継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造)
図16は、継手部品1aと可撓電線管50との管継手部材80を用いた接続構造70aを示す図である。接続構造70aは、継手部品1aと、管継手部材80と、可撓電線管50とが接続されたものである。ここで、管継手部材80と、可撓電線管50とは、Π型固定部材81を用いて接続される。このように、管継手部材80は、一方の端部に、可撓電線管50の雄型継手構造部51と同様の構造を有し、他方の端部に、Π型固定部材81を用いて可撓電線管50の切断部と接続される構造を有する。このため、継手部品1aの雌型継手構造部11と、管継手部材80の雄型継手構造部51とを相互に接続することができ、管継手部材80の他方の端部の筒状部91(可撓電線管50の切断部97と接続される構造)に、可撓電線管50の切断部97を接続することができる。すなわち、管継手部材80の一方の側に形成された雄型継手構造部51を、継手部品1aの雌型継手構造部11に挿入することで、継手部品1aと可撓電線管の切断部が接続された管継手部材80の雄型継手構造部51とを接続して、継手部品1aと管継手部材80と可撓電線管とが接続された継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造を得ることができる。
【0163】
ここで、
図16で、継手部品1aに代えて、一体の継手部品でなく分割体の接続構造とした継手部品1h、1i(
図4(a)、
図4(b))を用いることも可能である。いずれの場合も同様の効果を得ることができる。したがって、継手部品として、一体の継手部品1aを使用するか、分割体の接着構造の継手部品1h、1iを使用するかは、それぞれの状況に応じて選択すればよい。
【0164】
なお、切断された可撓電線管と管継手部材の接続方法及び継手部品と管継手部材と可撓電線管の接続構造には、断面矩形状の大径部59と断面が円形の小径部61が交互に形成されている角形電線管や角形電線管の小径部61の内面に内管69が融着された2重壁角形電線管を用いることができる。また、継手部品と管継手部材と可撓電線管との接続構造を用いた可撓電線管として、角形電線管または二重壁可撓電線管あるいは両者の配管を用いた配管システムを得ることができる。
【0165】
(本発明の継手部品の特徴)
ここで、通常、硬質塩化ビニル等の硬質樹脂は成形性が悪いため、ブロー成形や射出成形が困難である。このため、複雑な三次元形状に成形することが困難なため、押出管が使用されることが多い。
【0166】
このように、硬質塩化ビニル等の硬質押出管の使用を前提とした場合には、射出成形やブロー成形が困難なため、継手部品の管軸方向に垂直な壁の成形ができず、係止リングなどの抜け止め構造を内包する雄型継手構造部と嵌合可能な雌型継手構造部を実現することができない。すなわち、係止爪をロックして固定するような係止構造を有する部材は、管軸方向に垂直な縦壁を成形により形成できない硬質樹脂で形成することは困難と考えられていた。このため、このような継手部品としては、成形が容易であるポリエチレン等が採用されてきた。
【0167】
これに対し、本実施形態では、従来の管路材に使用されるポリエチレン製の継手部品と異なり、継手部品1aとして、耐荷重性の観点から硬質塩化ビニルなどの硬質樹脂材料を使用したものである。また、硬質塩化ビニル等の硬質樹脂を用いて、切削加工によって雌型継手構造部11を形成することで、直線挿入型のワンタッチ接続が可能な雌型継手構造部11を有する硬質樹脂材料製の筒状部からなる継手部品1aを得ることができる。
【0168】
また、継手部品1aが硬質樹脂材料製のため、切削加工によって精度よく加工を行うことができる。このため、雌型継手構造部11の寸法精度が良好であり、雄型継手構造部51の挿入性が良好である。また、直管状接続部5によって、塩ビ電線管との接続を容易に行うことができる。
【0169】
また、継手部品1aは、全体として、斜面部7を挟んで、2段の円筒形断面を形成することにより、雄型継手構造部51が直管状接続部5側への抜けることを防止することができるとともに雄型継手構造部51の係止部材と嵌合させる場合の位置合わせは容易になる。また、例えば、地震発生時に雄型継手構造部51に係る荷重を円周面状に均等に分散させることができる。なお、斜面部7の構造は、管軸方向に対して所定の傾きを有した斜面状に形成されていれば、略直線状、凸形状の曲線状、凹形状の曲線状いずれでもよく、雄型継手構造部51の先端が斜面部7の内面に当接した場合に、斜面部7が応力を均等に分散する効果を有する。
【0170】
また、継手部品1aの端面を切削加工によって平坦面とすることができるため、継手部品1aを塩ビ電線管と接続しやすくすることができる。さらに、切削加工により、全長を精度良く作り込むことができる。さらに、平坦面に面取り加工などを施すことで、より確実に塩ビ電線管との接続をし易くすることができる。
【0171】
また、第1収納空間13には、抜け止め構造として、雄型継手構造部51に配置されたリング部材53の係止爪75が収容されるため、リング部材53の係止爪75を安定して支持することができる。また、第2収納空間17においてゴムパッキン57の径方向の先端部が接触することで、止水機能が安定して維持することができる。
【0172】
このように、雄型継手構造部51のリング部材53の先端が、断面円筒形の仕切り部15の内側面に当接することで、仕切り部15が、雄型継手構造部51の抜け止め機能を発揮し、外部から引き抜き力がかかっても雄型継手構造部51が抜けることがない。なお、雄型継手構造部51を雌型継手構造部11に挿入する際、雄型継手構造部51の先端を、斜面部7の内壁に当接させることで、斜面部7が、雄型継手構造部51の軸方向への位置決め機能を発揮する。
【0173】
なお、リング部材53を雄型継手構造部51に配置し、雌型継手構造部11の第1収納空間13に、雄型継手構造部51のリング部材53の係止爪75が収容される例について説明したが、これには限定されない。
図17(a)、
図17(b)は、雌型継手構造部11aを有する継手部品1cと雄型継手構造部51aとの接続工程を示す図である。
【0174】
(継手部品の雌型継手構造部の第1の収納空間にリング部材のリング部が配置される接続構造)
雌型継手構造部11aは、雌型継手構造部11と略同様の構造であるが、雌型継手構造部11aの第1収納空間13の円周面には、リング部材53bのリング部(リング本体)が配置される。リング部材53bは、円周方向の先端が開口した略C字状の部材であり、リング部材53bの係止爪75aは、リング部から爪部が先端に向かって管軸方向の奥側に対して斜め内方に縮径するように突出して配置される。すなわち、リング部材53bは、リング部とリング部から延出する爪部から形成され、継手部品1cの雌型継手構造部11aの第1収納空間13に、リング部材53bのリング部が取り付けられる。
【0175】
なお、リング部材53bのリング部は、第1収納空間13の円周面に接触するように、例えば、弾性接触または接着等によって第1収納空間13に固定される。また、特に図示しないが、リング部材は略C字状に限らずに、環状のリング部材であっても良い。リング部材に環状のリング部材を使用する場合には、リング部の形状は一定になるため、接着により固定する。ここで、リング部材53bの場合には、リング部材53aの場合と異なりスライドガイドが形成されない。
【0176】
また、雄型継手構造部51aは、雄型継手構造部51と略同様であるが、リング部材及び係止部材配置部が形成されない。雄型継手構造部51aの端部には、係止爪係止部58が形成される。係止爪係止部58の管軸方向の奥側は、係止爪係止部58よりも縮径された段差形状となる。また、係止爪係止部58から先端に行くにつれて外径が徐々に小さくなるテーパ形状となる。ゴムパッキン57は、係止爪係止部58よりも管軸方向の奥側(開口端とは反対側)に配置される。すなわち、雄型継手構造部51aは、先端から順に、リング部材の係止爪を係止する係止爪係止部58と、雄型継手構造部51aの後方に形成された止水部材配置部に配置されたゴムパッキン57を有するものである。
【0177】
図17(b)に示すように、雄型継手構造部51aが雌型継手構造部11aと接続される際には、雌型継手構造部11aに配置されたリング部材53bの係止爪75aが、雄型継手構造部51aの係止爪係止部58に固定される。この際、雄型継手構造部51aの後方に形成された止水部材配置部65に配置されたゴムパッキン57が雌型継手構造部11aの第2収納空間17に収納固定される。ここで、第2収納空間17は、拡径部9に形成されたものでも、図示のように第2拡径部9aに形成されたものでもよい。以上のように、リング部材53bを雌型継手構造部11aに配置してもよい。
【0178】
ここで、
図17(a)、
図17(b)で、一体の継手部品である継手部品1cに代えて、図示は書略するが直管状接続部を有する部材8と、雌型継手構造部を有する部材12が、直接または接続部材を介して接着されることで、それぞれの部材を分割体として相互に接続し、接続界面を接着した筒状の連続体を用いることも可能である。したがって、継手部品として、一体の継手部品1cを使用するか、分割体の接着構造の継手部品1h、1iを使用するかは、それぞれの状況に応じて選択すればよい。
【0179】
(雌型継手構造部の第1の収納空間にリング部材の分割体が配置される接続構造)
図18(a)、
図18(b)は、雌型継手構造部11bを有する継手部品1dと雄型継手構造部51aとの接続工程を示す図である。図示したように、本接続構造は、雌型継手構造部に形成された第1収納空間13にC型や環状のリング部材53bを配置するのに代えて、リング部材53bの分割体54が配置されても良い。分割体54は、周方向に相互に所定距離離間させて第1収納空間13の内周面に略等間隔で配置することが望ましい。すなわち、雌型継手構造部11bの第1収納空間13の円周面に、リング部材53bを円周方向の所定位置で所定長さに切断した複数の短尺の円弧状のリング部材の分割体54が、円周方向に所定間隔をあけて、所定個数、円周面に貼り付けられる。
【0180】
なお、分割体54の形状は、外周側は、第1収納空間13の円筒状の溝の円筒状部と略同様な形状を有していて、第1収納空間13に収納可能な形状に形成されていればよい。分割体54の係止爪75aは、拡径部(係止爪75aと逆側端部)から係止爪75aの先端に向かって斜め内方に縮径するように管軸方向の奥方に向かって延設されるように形成されていることが望ましく、分割体54の拡径部と係止爪75aが一体に形成されたものでも良い。分割体54は別の表現をすれば、環状のリング部材53bを円周方向の所定長さに切断した形状を有している。
【0181】
このように、リング部材53bに変えてリング部材の分割体54を用い、第1収納空間13に分割体54が接着固定された雌型継手構造部11bに対しても、雄型継手構造部5aを有する可撓電線管を継手部品1dに挿入して、継手部品1dと可撓電線管とを接続することができる。
【0182】
この際、
図18(b)に示すように、雄型継手構造部51aが雌型継手構造部11bと接続される際には、雌型継手構造部11bの第1収納空間13に収納されたリング部材の複数の分割体54の係止爪75aが、雄型継手構造部51aの係止爪係止部58に固定されることで雄型継手構造部5aを係止することができる。また、雄型継手構造部51aの後方に形成された止水部材配置部65に配置されたゴムパッキン57が雌型継手構造部11bの内面の第2収納空間17の断面略円筒状の内面に当接するように配置されることで止水することができる。ここで、第2収納空間17は、拡径部9に形成されたものでも、図示のように第2拡径部9aに形成されたものでもよい。以上のように、本実施形態でも、前述したC型や環状のリング部材53bを配置した雌型継手構造部11aと同様に、継手部品1dを用いた可撓電線管と継手部品との接続構造を得ることができる。
【0183】
ここで、
図18(a)、
図18(b)で、継手部品1dに代えて、一体の継手部品でなく分割体の接続構造とした継手部品1h、1i(
図4(a)、
図4(b))を用いることも可能であり、いずれの場合も同様の効果を得ることができる。したがって、継手部品として、一体の継手部品1dを使用するか、分割体の接着構造の継手部品1h、1iを使用するかは、それぞれの状況に応じて選択すればよい。
【0184】
(切削により雌型継手構造部の収納空間が形成されずに拡径部に直接リング部材が配置される接続構造)
図19(a)、
図19(b)は、雌型継手構造部11cを有する継手部品1eと雄型継手構造部51aとの接続工程を示す図である。雌型継手構造部11cは、
図3(c)に対して、切削により第1及び第2の収納空間が作成されない点が異なる。例えば、
図3(b)に示すように、素管19を所定温度で加熱して、熱成形によって直管状接続部5、斜面部7及び拡径部9(第2拡径部9a)を拡径して成形して、継手部品の素管を成形し、素管の拡径部の内周面を切削せずに、雌型継手構造部11cが作成される。
【0185】
このようにして成形した雌型継手構造部11cの拡径部9の内周面に、所定位置に直接前述したリング部材53bと同様のC型または環状のリング部材を接着する。すなわち、雌型継手構造部11cを形成する拡径部9の内周面に切削により、第1収納空間13と第2収納空間17を形成するのではなく、拡径部9の内周面の第1収納空間13に対応する位置に、係止爪75aがリング部から爪部の先端に向って管軸方向の奥側に対して斜め前方に向って縮径するように延設する略C字状また環状のリング部材53bが直接貼り付けられる。このように、第1収納空間13(溝)を設けずに、リング部材53bを拡径部9の内面に直接接着固定された雌型継手構造部11cに対しても、雄型継手構造部51aを接続することができる。
【0186】
雄型継手構造部51aが雌型継手構造部11cと接続される際には、雌型継手構造部11cの拡径部9の内面に直接張り付けられたリング部材53bの係止爪75aが、雄型継手構造部51aの係止爪係止部58に固定されることで雄型継手構造部51aを係止することができる。また、係止爪係止部58の後方に形成された止水部材配置部65に配置されたゴムパッキン57が雌型継手構造部11cの内面の第2収納空間17に対応する拡径部9の端部側の内面、または第2拡径部9aの内面と当接するように配置される。以上のように、本実施形態でも、前述したC型や環状のリング部材53bを配置した雌型継手構造部11aと同様の効果を得ることができる。
【0187】
このように、雌型継手構造部11cの2段の円筒形断面を有する筒状部材の拡径部9の断面略円筒形の空間の内周面の内方の所定位置に、雄型継手構造部51aを係止する係止爪を有する係止部材(リング部材53b)が直接接着固定されることで、雌型継手構造部11cの内部に雄型継手構造部51aを係止することができる。さらに係止部材を接着固定した位置から開口部に向かって所定距離離間した雄型継手構造部51aの所定位置に止水部材が配置され、雌型継手構造部11cと雄型継手構造部51aを止水することができる。
【0188】
また、この場合には、雌型継手構造部11cの内面に切削加工によって断面略円筒状の溝を形成してもよい。この場合、係止部材のリング部が雌型継手構造部11cの円筒面に固定される。係止部材の係止爪はリング部から爪部の先端に向かって管軸方向の奥側に対して斜め内方に縮径するように延設される。雄型継手構造部51aが雌型継手構造部11cと接続される際には、係止爪が雄型継手構造部51aの係止爪係止部58に固定される。また、雄型継手構造部51aの後方に形成された止水部材配置部65に配置されたゴムパッキン57が雌型継手構造部11bの断面略円筒状の溝に収納される。
【0189】
このように、拡径部9と第2拡径部9aの内面は連続して形成されていてもよく、仕切り部15により仕切られていて、仕切り部15を挟んで第1収納空間13と第2収納空間17が形成されていてもよい。
【0190】
2段の円筒形の継手部品の雌型継手構造の内面にリング部材を貼り付ける構造の継手部品においては、この継手部品と接続する継手構造に用いる可撓電線管は、その本体部の形状に関係なく、使用することができる、したがって、可撓電線管の本体部が、断面略矩形状の大径部と断面円形の小径部が交互に形成された角形電線管、又は、角形電線管の小径部の内側に内管が融着されている二重壁角形電線管、あるいは可撓電線管の本体部が、らせん状の波形、独立波形状の波形の可撓電線管など種々の可撓電線管を使用することができる。
【0191】
ここで、
図19(a)、
図19(b)で、継手部品1eに代えて、一体の継手部品でなく分割体の接続構造とした継手部品1h、1i(
図4(a)、
図4(b))を用いることも可能である。いずれの場合も同様の効果を得ることができる。したがって、継手部品として、一体の継手部品1eを使用するか、分割体の接着構造の継手部品1h、1iを使用するかは、それぞれの状況に応じて選択すればよい。
【0192】
(2段の円筒状断面を有する筒状部材を用いた雌継手構造を発明の構造の特徴と効果)
以上のように、本実施形態において説明した継手部品に硬質樹脂材料製の直管状接続部、斜面部、拡径部を有する2段の円筒状断面を有する筒状部材を用いた雌継手構造を発明の構造の特徴と効果について整理すると、以下の通りである。
(1)継手部品は、外観が直径の異なる円断面で形成された2段の円筒形の筒状部材であり、一方の端部に雄型継手構造部と接続可能な雌型継手構造部を有し、雄型継手構造部に対する直線挿入型ワンタッチ接続継手であり、他方の端部に雄継手構造としての直管状接続部あるいは雌継手構造としての直管状接続部を拡径した直管状接続部の拡径部を有する。
(2)継手部品は硬質塩化ビニルなどの硬質樹脂材料製のため、継手部品の変形を防止し、雌型継手構造部の寸法精度の維持できることから、雄型継手構造部を挿入する場合の挿入性及び継手強度を確保できる。
(3)斜面部が雄型継手構造部の直管状接続部への抜け止め効果と係止部材の位置決め効果の両方の効果を有し、継手部品の拡径部の外周に、管軸方向に垂直な方向の突部や窪み部などを形成しないでも、これにより安定した接続構造を得ることが可能になる。
(4)継手部品の外形寸法は、最大でも、接続対象の可撓電線管の大径部を超えないか、略同一に設定され、さらに、継手部品の拡径部の外周に、管軸方向に垂直な方向の突部や窪み部などを形成しないでも、可撓電線管を接続できるため、可撓電線管をコンパクトに整列させて配置させることができる。
【0193】
さらに、拡径部に切削により溝加工を行なうことにより、切削を行なわない空間である仕切り部で区画された所定の空間に、抜け止め用の係止部材や止水用パッキンを収納することが可能な継手部品を得ることができ、より詳細には、下記の効果を有する。
(5)この継手部品の雌型継手構造部には、抜け止め部品を収納する第1収納空間と止水用パッキンを収納する第2収納空間とこれを区画する仕切り部を有する。そのため、従来の継手部品が有するような両空間を仕切るための継手部品の軸方向に垂直な縦壁を必要としない。
(6)第1収納空間に収納される係止部材としては、雌型継手構造部に内装されてもよい。この場合、係止部材である弾性リングを縮径して第1収納空間に収納して、係止部材あるリング部材を弾性接触させるか接着するなどして第1収納空間に固定してもよい。または、雄型継手構造部に被冠される部品として、弾性リングを拡径して第1収納空間に収納して係止部材の係止爪を収納してもよい。
(7)仕切り部の突出量は、2-3mmであればよく、抜け止め部品の係止機能の他、内周方向へのリブ効果で管の剛性を高める効果の両者がある。
(8)切削により、第1の収納空間と第2の収納空間を切削により形成する代わりに、拡径部の内周面の所定位置にシート状部材を貼り付けて仕切り部を形成することで、切削により収納空間を形成するのと同様の効果を有する継手部品と可撓電線管の接続構造を得ることができる。
(9)本発明の継手部品は、拡径部に第1の収納空間や第2の収納空間を形成するか、これらの空間を形成しない場合にもこれらの空間に対応する位置に、係止部材と止水部材としてのゴムパッキンを配置することにより、継手部品の雌型継手構造部を、一方の端部に形成された電線管本体を直接挿入する直管状接続部より、短く形成することが可能になる。
(10)一体の継手部品の代わりに直管状接続部を有する部材と雌型継手構造部を有する部材とを別部材の分割体の接着構造にするか、接続部材を介した接着構造とすることで、一体成形が困難な場合や、直管状接続部の寸法が多様な場合にも対応しやすく、現場の状況に合わせた継手部品と接続する電線管や可撓電線管の寸法選択がしやすくなる。
(11)以上により、継手部品の小型化、施工時間の短縮、継手部品を接続する可撓電線管との接続構造の小型化、現場の状況に合わせた電線管や可撓電線管の寸法選択が可能である。
【0194】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0195】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h、1i………継手部品
5………直管状接続部
5a………雄型継手構造部
6………面取り部
7………斜面部
8………直管状接続部を有する部材
9………拡径部
9a、9b………第2拡径部
10………接続部材
11、11a、11b、11c………雌型継手構造部
12………雌型継手構造部を有する部材
13………第1収納空間
15………仕切り部
17………第2収納空間
19………素管
22………標線
23………直管状接続部の拡径部
25………第2の斜面部
27………直管状接続部の未拡径部
27a………塩ビ電線管
28………溝部
29………接着剤
31………Cリング
33………突起部
37………ゴムパッキン
50、50a、50b………可撓電線管
51、51a………雄型継手構造部
53、53a、53b………リング部材
54………分割体
57………ゴムパッキン
58………係止爪係止部
59………大径部
61………小径部
63………係止部材配置部
65………止水部材配置部
67………外管
69………内管
70、70a、70b、70c、70d………接続構造
71………開口部
73………縮径部
75、75a………係止爪
77………スライドガイド
79………接続部
80………管継手部材
81………Π型固定部材
82………継手本体
83………両足部
85………天面部
87………段部
89………係合部
91………筒状部
93………天面
95………切欠き部
96………固定孔
97………切断部
98………係合段部
99………止水部材