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特開2023-140548画像形成装置、画像形成装置の搬送制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140548
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の搬送制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
B41J2/01 203
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046439
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】堀江 泰介
(72)【発明者】
【氏名】寺井 純一
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 健
(72)【発明者】
【氏名】秋山 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】北村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大志
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 憲史
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EA08
2C056EB13
2C056EB37
(57)【要約】
【課題】装置での加減速に伴う記録媒体の損失を低減する。
【解決手段】画像形成装置は、連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体に対向して配置され、記録媒体の搬送に合わせて記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、搬送手段における記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段と、を備え、搬送制御手段は、記録媒体を第一の方向に搬送開始する前の、記録媒体を第一の方向とは逆側に搬送する所定量が確定した後、記録媒体を第一の方向とは逆側に所定量を搬送させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に対向して配置され、前記記録媒体の搬送に合わせて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記搬送手段における前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段と、
を備え、
前記搬送制御手段は、前記記録媒体を第一の方向に搬送開始する前の、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に搬送する所定量が確定した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に前記所定量を搬送させる
画像形成装置。
【請求項2】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に対向して配置され、前記記録媒体の搬送に合わせて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記搬送手段における前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段と、
を備え、
前記搬送制御手段は、前記記録媒体への画像形成が終了し前記記録媒体を第一の方向に搬送するのを停止した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に所定量を搬送させる
画像形成装置。
【請求項3】
前記所定量は、画像形成のために前記記録媒体を前記第一の方向に搬送開始してから画像形成を開始するまでの間に搬送する量と、画像形成終了後に前記記録媒体の搬送を停止するまでの間に搬送する量の、いずれか大きい方の搬送量または両方を加算した搬送量に対して、同等か小さく設定される
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記画像形成手段によって画像が形成された前記記録媒体に画像を定着させる定着手段をさらに備え、
前記所定量は、前記記録媒体に形成された画像が前記定着手段まで到達しないように設定される
請求項1から3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置は、前記画像形成手段から前記第一の方向で先の位置に前記記録媒体を滞留させる記録媒体滞留部をさらに備える
請求項1から4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送制御手段は、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に前記所定量を搬送するときに、搬送速度を前記第一の方向に搬送するときよりも早く設定する
請求項1から5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成手段は、記録液圧力室内の記録液を吐出させて画像を形成するインクジェット方式により、前記記録媒体に画像を形成する
請求項1から6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に対向して配置される画像形成手段と、を備え、
前記記録媒体の搬送に合わせて前記画像形成手段により前記記録媒体に画像を形成する画像形成装置における、前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御方法であって、
前記記録媒体を第一の方向に搬送開始する前の、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に搬送する所定量が確定した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に前記所定量を搬送する
画像形成装置の搬送制御方法。
【請求項9】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に対向して配置される画像形成手段と、を備え、
前記記録媒体の搬送に合わせて前記画像形成手段により前記記録媒体に画像を形成する画像形成装置における、前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御方法であって、
前記記録媒体への画像形成が終了し前記記録媒体を第一の方向に搬送するのを停止した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に所定量を搬送する
画像形成装置の搬送制御方法。
【請求項10】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に対向して配置され、前記記録媒体の搬送に合わせて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置おけるプロセッサを、前記搬送手段における前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段として機能させるためのプログラムであって、
前記搬送制御手段は、前記記録媒体を第一の方向に搬送開始する前の、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に搬送する所定量が確定した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に前記所定量を搬送させる
プログラム。
【請求項11】
連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体に対向して配置され、前記記録媒体の搬送に合わせて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備える画像形成装置おけるプロセッサを、前記搬送手段における前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段として機能させるためのプログラムであって、
前記搬送制御手段は、前記記録媒体への画像形成が終了し前記記録媒体を第一の方向に搬送するのを停止した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に所定量を搬送させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成装置の搬送制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印字ノズルを印刷幅全域に配置したラインヘッドを有し、連続した用紙の搬送速度に同期してインク滴吐出を行うことで、用紙上にカラー画像を形成するライン走査型インクジェット記録装置が知られている。
【0003】
ライン走査型インクジェット記録装置は、画質の安定が見込まれるように、通常は用紙が定速に加速した後、或いは減速を開始する前の、安定した定速で用紙搬送が行われている状態で印刷を行う。しかし、連続した用紙に印刷する場合、加速中或いは減速中に記録ヘッドを通過する記録媒体は印刷されずに損紙となってしまう。
【0004】
特許文献1には、加減速により発生する損紙を低減する目的で、加減速中に印字を行う技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、加減速中に印字を行うと搬送速度と吐出タイミングを正確に合わせることが難しく、またインクジェット記録ヘッドの周波数特性に関わらずに吐出させるため、インクの吐出滴速度や吐出滴サイズが変化し、さらにはサテライトの発生が増大するおそれもある。サテライトとは、主たるインク滴に付随して発生する、不要な微小インク滴のことである。これにより、加速中あるいは減速中の印刷物は結果的に有効な印刷物として扱えず結果的に損紙となってしまうため、装置の加減速に伴う損紙を低減するという問題は解消できていない。
【0006】
また、特許文献2には、表面処理の効果を適切にする目的で、用紙に対する表面処理後、且つ、画像形成前に用紙バッファ部を持つ技術が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献2に開示の技術では、画像形成後にバッファを持たないことで、装置の加減速に伴う損紙を低減するという問題は解消できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、装置での加減速に伴う記録媒体の損失を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、画像形成装置は、連続した記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体に対向して配置され、前記記録媒体の搬送に合わせて前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記搬送手段における前記記録媒体の搬送を制御する搬送制御手段と、を備え、前記搬送制御手段は、前記記録媒体を第一の方向に搬送開始する前の、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に搬送する所定量が確定した後、前記記録媒体を前記第一の方向とは逆側に前記所定量を搬送させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、装置での加減速に伴う記録媒体の損失を低減するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置における制御手段の概略構成を示す図である。
図3図3は、画像形成装置における第1の搬送制御の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、画像形成装置における第2の搬送制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、実施形態の画像形成装置100を詳細に説明する。
【0013】
図1は、実施形態に係る画像形成装置100の全体構成を示す図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、印字ノズルを印刷幅全域に配置したラインヘッドを有し、例えばロール紙である連続した記録媒体1の搬送速度に同期してインク滴吐出を行うことで、連続した記録媒体1上にカラー画像を形成する、オンデマンド方式におけるライン走査型インクジェット記録装置である。
【0014】
画像形成装置100は、記録媒体供給部2と、記録媒体回収部13と、記録媒体滞留部15と、インクジェット記録装置14とを備える。インクジェット記録装置14は、記録媒体供給部2と記録媒体滞留部15との間に配置される。記録媒体供給部2から高速で繰り出された連続した記録媒体1は、インクジェット記録装置14で所望のカラー画像が形成され、記録媒体滞留部15を経由して、記録媒体回収部13で巻き取り回収される。
【0015】
インクジェット記録装置14は、連続した記録媒体1を搬送する搬送手段として、規制ガイド3、インフィード部4、ダンサローラ5、EPC(Edge Position Control)6、蛇行量検出器7、アウトフィード部11およびプラー12等を含む。
【0016】
規制ガイド3は、記録媒体供給部2から供給された記録媒体1の幅方向の位置決めを行う。インフィード部4は、従動ローラと駆動ローラで構成される。ダンサローラ5は、記録媒体1の張力に対応して上下して位置信号を出力する。EPC6は、記録媒体1の蛇行を制御する。蛇行量検出器7は、蛇行量のフィードバックに使用される。アウトフィード部11は、記録媒体1を設定された速度で搬送するために一定速度で回転する従動ローラと駆動ローラからなる。プラー12は、記録媒体1を装置外に排紙する駆動ローラと従動ローラからなる。このような搬送手段は、ダンサローラ5の位置検出を行い、インフィード部4の回転を制御して搬送中の記録媒体1の張力を一定に保つ張力制御型の搬送装置である。
【0017】
また、インクジェット記録装置14は、連続した記録媒体1を挟んで対向して配置される画像形成手段を備える。インクジェット記録装置14は、画像形成手段として、記録手段8、および、記録手段8と対向するように設けられたプラテン9を含む。記録手段8は、印字ノズルを印刷幅全域に配置したライン状の記録ヘッドを有し、カラー印刷はクロ、シアン、マゼンダ、イエローの各記録ヘッドにより行われ、各記録ヘッドのノズル面はプラテン9上に所定の隙間を保って支持されている。このような画像形成手段は、記録液圧力室内の記録液を吐出させて画像を形成するインクジェット方式により、記録媒体1にカラー画像を形成する。さらに、このような画像形成手段は、記録手段8が記録媒体搬送速度に同期してインク滴吐出を行うことで、記録媒体1上にカラー画像を形成する。
【0018】
また、インクジェット記録装置14は、定着手段10を備える。定着手段10は、記録手段8により印刷されたインクが他の部分へ付着することを防止するためにインクの定着を行う。実施形態において、定着手段10は、非接触の定着装置を用いているが、接触式の定着装置であってもよい。また、画像形成装置100は、画像形成手段および定着手段10から、印刷時の搬送方向である第一の方向の先の位置に、記録媒体1を滞留させる記録媒体滞留部15が設けられる。
【0019】
図2は、実施形態に係る画像形成装置100における制御手段の概略構成を示す図である。
【0020】
画像形成装置100は、図1に示した記録媒体供給部2、記録媒体回収部13、記録媒体滞留部15および画像形成装置100を制御する制御手段をさらに備える。制御手段は、例えば、図1のインクジェット記録装置14に内蔵される。これに限らず、制御手段は、他の装置に設けられてもよい。
【0021】
制御手段は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有し、CPUが、ROMに予め記憶されたプログラムに従い、RAMをワークメモリとして動作する。なお、制御手段は、一部がCPU以外の専用の回路または装置のハードウェアにより実現されてもよい。
【0022】
画像形成装置100は、制御手段として、例えば、全体制御部101、ジョブ管理部110、画像形成制御部111、前処理制御部114、ロール紙駆動部115、撓み検出部116、タイマカウンタ117、および、操作部118を含む。
【0023】
全体制御部101は、画像形成装置100の全体の動作を制御する。ジョブ管理部110は、例えばコンピュータ装置といった外部の機器から出力された印刷ジョブデータを受信し、受信した印刷ジョブデータを記憶する。記憶された印刷ジョブデータは、全体制御部101により読み出される。画像形成制御部111は、作像制御部112と、搬送制御部113とを有する。作像制御部112は、全体制御部101の命令に従い、記録媒体1に対して印刷ジョブデータに従った画像形成を制御する。搬送制御部113は、全体制御部101の命令に従い記録媒体1の搬送を制御する。
【0024】
前処理制御部114は、全体制御部101の命令に従い、記録媒体供給部2の動作を制御する。ロール紙駆動部115は、全体制御部101の命令に従いモータ130の動作を制御し、記録媒体1であるロール紙を指定された駆動方向に駆動する。撓み検出部116は、ロール紙である記録媒体1の撓み量を判定し、判定結果を全体制御部101に供給する。タイマカウンタ117は、全体制御部101の命令に従い、指定されたタイミングからの時間を計測する。操作部118は、オペレータによる操作を受け付け、受け付けた操作に応じた制御信号を全体制御部101に対して出力する。
【0025】
このような構成において、ジョブ管理部110は、外部のコンピュータ装置などで作成された印刷ジョブデータを受信し、記憶する。操作部118に対して印字開始の操作がなされると、全体制御部101は、ジョブ管理部110からジョブデータを読み出す。また、全体制御部101は、ロール紙駆動部115に対して、第一の方向に記録媒体1を送り出すようにロール紙駆動部115に命令する。さらに、全体制御部101は、前処理制御部114に記録媒体1に対する表面処理を実行するように命令する。さらにまた、全体制御部101は、搬送制御部113に対して記録媒体1を搬送するように命令を出す。
【0026】
全体制御部101は、搬送制御部113の制御により、記録媒体1の前処理装置30での表面処理が終了した画像形成領域が所定の位置まで搬送されると、作像制御部112に対して、ジョブ管理部110から読み出した印刷ジョブデータに従い画像を形成するように命令する。この命令に従い、作像制御部112の制御により記録媒体1に画像が形成され、印刷がなされる。
【0027】
図3は、画像形成装置100における第1の搬送制御の流れを示すフローチャートである。画像形成装置100は、搬送制御手段である搬送制御部113が、記録媒体1の搬送制御を、図3に示す流れで制御する。
【0028】
まず、搬送制御部113は、印刷条件が設定され、印刷時の搬送方向である第一の搬送方向とは逆側に引き戻す所定量が確定すると、印刷時の搬送方向である第一の方向とは逆側に搬送を開始する(S001)。例えば、搬送制御部113は、この所定量を予め設定する。搬送制御部113は、この所定量を、例えば画像形成のために記録媒体1を第一の方向に搬送開始してから画像形成を開始するまでの間に搬送する量と、画像形成終了後に記録媒体1の搬送を停止するまでの間に搬送する量の、いずれか大きい方の搬送量または両方を加算した搬送量に対して、同等か小さく設定する。
【0029】
これにより、画像形成装置100は、加減速時に搬送される記録媒体1を可能な限り装置側に戻して、損紙、すなわち、記録媒体1の損失を低減させることができる。
【0030】
また、搬送制御部113は、この所定量を、例えば記録媒体1に形成された画像が定着手段10まで到達しないように設定してもよい。これにより、画像形成装置100は、定着手段10による画像や記録媒体1へ収縮などの影響を最小限に抑えて画質を安定させながら損紙を低減させることができる。
【0031】
続いて、画像形成装置100は、所定量の搬送をしたところで第一の方向とは逆側への搬送を終了する(S002)。
【0032】
続いて、画像形成装置100は、第一の方向と逆側への搬送が停止したのち、全ユニットの印刷への準備ができ次第、第一の方向への搬送を開始する(S003)。そして、画像形成装置100は、定常速度に達したところで印刷を開始(S004)し、印刷が終了(S005)したら第一の方向への搬送を修了する(S006)。なお、画像形成装置100は、第一の方向とは逆方向に搬送する際、搬送速度を印刷時よりも早く設定すれば搬送にかかる時間を短縮可能である。
【0033】
図4は、画像形成装置100における第2の搬送制御の流れを示すフローチャートである。画像形成装置100の搬送制御部113は、図4に示す流れで、搬送制御を実行してもよい。なお、図4のフローチャートは、図3のフローチャート同様の処理を実行するステップにおいて同一のステップ番号を付ける。
【0034】
まず、搬送制御部113は、印刷条件が設定されたら、全ユニットの印刷への準備ができ次第、第一の方向への搬送を開始する(S003)。そして、搬送制御部113は、定常速度に達したところで印刷を開始(S004)し、印刷が終了(S005)したら第一の方向への搬送を修了する(S006)。
【0035】
続いて、搬送制御部113は、第一の方向とは逆側に搬送を開始(S001)し、所定量の搬送をしたところで第一の方向とは逆側への搬送を終了する(S002)。搬送制御部113は、この所定量を、例えば画像形成のために記録媒体1を第一の方向に搬送開始してから画像形成を開始するまでの間に搬送する量と、画像形成終了後に記録媒体1の搬送を停止するまでの間に搬送する量の、いずれか大きい方の搬送量または両方を加算した搬送量に対して、同等か小さく設定する。
【0036】
これにより、画像形成装置100は、加減速時に搬送される記録媒体1を可能な限り装置側に戻して損紙を低減させることができる。
【0037】
また、搬送制御部113は、この所定量を、例えば記録媒体1に形成された画像が定着手段10まで到達しないように設定してもよい。画像形成装置100は、定着手段10による画像や記録媒体1へ収縮などの影響を最小限に抑えて画質を安定させながら損紙を低減させることができる。
【0038】
この図4に示す搬送制御のフローは、印刷条件によらず所定量が決まる場合に、第一の方向とは逆側への搬送を次の印刷を開始する前に実施できるため、装置の稼働時間を高めるために有効である。
【0039】
以上のような本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体1を第一の方向に搬送開始する前の、記録媒体1を第一の方向とは逆側に搬送する所定量が確定した後、記録媒体1を第一の方向とは逆側に所定量を搬送する。これにより、画像形成装置100は、加減速に使用する搬送領域を装置側に引き戻して、記録媒体1の損失を低減することができる。
【0040】
また、画像形成装置100は、記録媒体1への画像形成が終了し記録媒体1を第一の方向に搬送するのを停止した後、記録媒体1を第一の方向とは逆側に所定量を搬送してもよい。これにより、画像形成装置100は、印刷条件によらず所定量が決まる場合に、第一の方向とは逆側への搬送を次の印刷を開始する前に実施でき、この結果、装置の稼働時間を高めることができる。
【0041】
また、画像形成装置100は、所定量を、画像形成のために記録媒体1を第一の方向に搬送開始してから画像形成を開始するまでの間に搬送する量と、画像形成終了後に記録媒体1の搬送を停止するまでの間に搬送する量の、いずれか大きい方の搬送量または両方を加算した搬送量に対して、同等か小さく設定する。これにより、画像形成装置100は、加減速時に搬送される記録媒体1を可能な限り装置側に戻して、記録媒体1の損失を低減させることができる。
【0042】
また、画像形成装置100は、所定量を、記録媒体1に形成された画像が定着手段10まで到達しないように設定してもよい。これにより、画像形成装置100は、定着手段10による画像や記録媒体1へ収縮などの影響を最小限に抑えて画質を安定させながら記録媒体1の損失を低減させることができる。
【0043】
また、画像形成装置100は、定着手段10から第一の方向で先の位置に、記録媒体滞留部15を備える。これにより、画像形成装置100は、引き戻す搬送量を記録媒体滞留部15に確保して、後処理機で処理する前の記録媒体1を引き戻すことができる。
【0044】
また、画像形成装置100は、記録媒体1を第一の方向とは逆側に所定量を搬送するときに、搬送速度を第一の方向に搬送するときよりも早く設定してもよい。これにより、画像形成装置100は、搬送にかかる時間を短縮できる。
【0045】
なお、以上の実施形態において、画像形成装置100は、インクジェット記録装置14によるインクジェット方式で記録媒体1に画像形成する例を示した。しかし、画像形成装置100は、インクジェット記録装置14に代えて、電子写真方式の記録装置を備えてもよく、この場合も記録媒体1の搬送制御の方法は原理的には同様に実施可能である。
【0046】
また、画像形成装置100は、画像形成手段がインクジェット方式である場合、周波数によって吐出特性が変動することによる加減速印字の画像影響が大きいので、記録媒体1の損失低減の効果が高い。
【0047】
また、本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0048】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置100、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0049】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0050】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0051】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0052】
なお、本実施の形態の画像形成装置100の制御手段は、CPU等のプロセッサが、ROM等に予め記憶されたプログラムに従い動作することにより実現される。本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0053】
また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0054】
さらに、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0055】
本実施の形態の画像形成装置100で実行されるプログラムは、上述した搬送制御部113を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから~プログラムを読み出して実行することにより搬送制御部113が主記憶装置上にロードされ、図3または図4に示すフローを実行するようになっている。
【符号の説明】
【0056】
2 記録媒体供給部
13 記録媒体回収部
15 記録媒体滞留部
14 インクジェット記録装置
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特許第3635765号公報
【特許文献2】特許第6375868号公報
図1
図2
図3
図4