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特開2023-14056試験測定装置及び波形データのアニメーション化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014056
(43)【公開日】2023-01-26
(54)【発明の名称】試験測定装置及び波形データのアニメーション化方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 13/20 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
G01R13/20 R
G01R13/20 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113249
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】63/221,711
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/862,293
(32)【優先日】2022-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・イー・パターソン
(57)【要約】
【課題】パラメータを掃引して得られる多数の波形を効率よく評価する。
【解決手段】試験測定装置10は、パラメータを掃引させて得られる波形データを含む波形アレイを受ける。プロセッサ12は、各波形データの波形画像を生成し、ビデオ・フレームにレンダリングしてビデオ・フレームから成る画像アレイを生成する。更に、ビデオ・フレームから一部分を選択して短い動画(ビデオ・シーケンス)を生成し、ディスプレイ16上で再生しても良い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが1つ以上のユーザ入力を提供できるように構成されたユーザ・インタフェースと、
ユーザに結果を表示するディスプレイと、
メモリと、
1つ以上のプロセッサと
を具え、
1つ以上の上記プロセッサが、
1つ以上のパラメータを掃引させて得られる波形データを含む波形アレイを受ける処理と、
上記波形アレイからクロック信号をリカバリする処理と、
上記波形データの夫々に関する波形画像を生成する処理と、
上記波形画像をビデオ・フレームにレンダリングして上記ビデオ・フレームから成る画像アレイを生成する処理と、
上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択してビデオ・シーケンスを生成する処理と、
ディスプレイ上で上記ビデオ・シーケンスを再生する処理と
を1つ以上の上記プロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される試験測定装置。
【請求項2】
1つ以上の上記ユーザ入力は、上記波形画像夫々に含まれるメタデータを特定するユーザ入力を含み、1つ以上の上記プロセッサに上記波形データ夫々の波形画像を生成させるプログラムは、1つ以上の上記プロセッサに上記波形データの上記メタデータを上記波形画像に含ませるようにするプログラムを更に含む請求項1の試験測定装置。
【請求項3】
1つ以上の上記プロセッサにビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択させるプログラムは、1つ以上の上記プロセッサに、1つ以上の上記ユーザ入力によって特定される選択されたパラメータに関連するビデオ・フレームのみを選択させるプログラムを含む請求項1の試験測定装置。
【請求項4】
ユーザによる上記ビデオ・シーケンスの再生の制御を可能にするユーザ・コントローラをユーザ・インタフェース上で提供する処理を1つ以上の上記プロセッサに行わせるようにするプログラムを1つ以上の上記プロセッサが実行するように更に構成される請求項1の試験測定装置。
【請求項5】
波形データをアニメーション化する方法であって、
1つ以上のパラメータを掃引することで生じる波形データを含む波形アレイを受ける処理と、
上記波形データからクロック信号をリカバリする処理と、
上記波形データの夫々から波形画像を生成する処理と、
上記波形画像をビデオ・フレームにレンダリングして上記ビデオ・フレームから成る画像アレイを生成する処理と、
ビデオ・シーケンスとして再生するために上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択する処理と、
ディスプレイ上で上記ビデオ・シーケンスを再生する処理と
を具える波形データのアニメーション化方法。
【請求項6】
上記波形画像に含めるメタデータを選択するユーザ入力を受ける処理を更に具え、上記波形データ夫々の上記波形画像を生成する処理が、上記波形データに対応する上記メタデータを上記波形画像に含める処理を更に含む請求項5の波形データのアニメーション化方法。
【請求項7】
上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択する処理が、上記画像アレイ内の全てのビデオ・フレームを選択する処理か又はユーザ入力によって特定される特定のパラメータに関連するビデオ・フレームのみを選択する処理を含む請求項5の波形データのアニメーション化方法。
【請求項8】
ユーザによる上記ビデオ・シーケンスの再生の制御を可能にするユーザ・コントローラを有するユーザ・インタフェースを提供する処理を更に具え、上記ユーザ・コントローラは、上記ビデオ・シーケンスを開始する処理、上記ビデオ・シーケンスを停止する処理、上記ビデオ・シーケンス内のループ位置を設定する処理、上記ビデオ・シーケンスを自動的に再生する処理、上記ビデオ・シーケンスを手動操作で再生する処理、の中の1つ以上を上記ユーザが実行可能にする請求項5の波形データのアニメーション化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、試験測定装置に関し、特に、大量の波形データを効率良く評価するための試験測定装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習を使用して分析と予測を行うことには、機械学習システムが予測を絞り込み、それらの予測を素早くユーザに提供できるなど、多くの利点がある。製造過程では、予測は、パラメータの設定に利用されたり、電子部品の大量試験に使用される。機械学習システムのトレーニングは、1つ以上の測定パラメータ又は他の何らかの関連するパラメータを有する何千もの長い記録長の波形を、掃引(次々に変更)させて行っても良い。
【0003】
波形とメタデータに関連する機械学習では、データの表示方法と理解方法について問題が生じる。この問題は、例えば、光送信機のチューニングで発生し、この場合、おそらく5つの調整可能なパラメータを標準的な最適設定範囲にわたって掃引(次々に設定を変化させること)し、各パラメータの設定に関して波形が取り込まれる。各パラメータに5つの設定しかない場合でも、5個のパラメータの夫々を掃引すると、55=3125個の波形が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-308317号公報
【特許文献2】特開2011-174802号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】トランジスタ技術SPECIAL編集部編、「ディジタル・オシロスコープ活用ノート」、「5-2 トリガ回路のしくみ」、第85~87頁、図2(回路ブロック図)、トランジスタ技術SPECIAL for フレッシャーズ No.99、CQ出版株式会社、2007年7月1日発行
【非特許文献2】「任意波形ジェネレータ」の紹介サイト、特に、AWGシリーズを紹介、テクトロニクス、[online]、[2022年7月14日検索]、インターネット<https://jp.tek.com/arbitrary-waveform-generator>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のデータ・セットを分析して、どのパラメータ掃引範囲が製造ラインで有効であるかを判断したり、あるパラメータが別のパラメータにどのように影響するかについて結論を下すのは、非常に厄介で面倒である。もし何千もの波形を全て表示し、パラメータ掃引の相互作用と効果を観察する簡単で迅速な方法があれば、この問題を軽減できるであろう。
【0007】
そこで、本発明の実施形態は、こうした従来の課題を解決しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述のように、機械学習は、多くの場合、回路又はシステムの最適化の問題に利用される。これは、システムから望ましい最適なパフォーマンスを得るために調整する必要があるパラメータ又は変数のセットがある場合に発生する。1つの例は、データ・センターの中継局(Link)で使用される光レシーバ又は光トランシーバである。これは、製造工程において調整する必要があるパラメータが5つ以上存在することがある。通常、これらパラメータは、最適なパルス振幅変調4レベル(PAM4)アイ・ダイアグラム応答を得て、全てのレベルについて最大のアイ開口部となるようにるよう調整される。しかし、調整すべきパラメータが5個あるとして、それぞれ5つの値があり得るとすると、55=3125個の波形が得られることになるので、パラメータの設定の全ての組み合わせを表すためには、3125個の波形を取り込む必要があろう。
【0009】
現在、ユーザがこの多数の波形を見て、パラメータ掃引の夫々の効果を簡単に評価できるツールは存在しない。「掃引処理(sweeping)」及び「パラメータ掃引(swept parameter)」という用語は、特定のパラメータを次々に変化させることを意味する。このとき、パラメータ・セット内の他のパラメータは定数値に維持しても良い。
【0010】
本願の実施形態を、本願出願人は、パラメータ掃引型オシロスコープ(Swept Parameter Oscilloscope:SPO)と呼んでおり、インタラクティブに波形データに基づくアニメーションを制御するようなツールを提供する。これによると、ユーザは、複数のフレームからなるアニメーションを作成でき、このとき、1つのパラメータのみが掃引(次々に変更)され、他のパラメータは一定に維持されても良い。また、本願の実施形態は、調整するパラメータを掃引させた全ての設定における全ての波形を含むアニメーションを構築する処理を含む。現在のオシロスコープ技術では、こうしたタイプのユーザとのインタラクティブな操作をサポート及び表示できない。
【0011】
なお、上述の説明では、こうした装置をオシロスコープと呼んでいるが、本願の実施形態は、波形データを処理でき、結果として生じる「動画」又はビデオ・シーケンスをディスプレイ上で再生できるという特徴があれば、任意の形式の試験測定装置であっても良いことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、パラメータ掃引型試験測定装置のブロック図を示す。
図2図2は、波形データのビデオ・ストリームを提供する方法のフローチャートを示す。
図3図3は、1つのパラメータを掃引したときに、ビデオ・ストリームのために利用できるアイ・ダイアグラムのビデオ・フレームの例を示す。
図4図4は、メタデータを用いたテンソル画像に関するビデオ・フレームの一例を示す。
図5図5は、アニメーションを初期設定するためのユーザ・インタフェースの一実施形態を示す。
図6図6は、アニメーション表示を制御するためのユーザ・インタフェースの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、この機能を有する試験測定装置の一実施形態のブロック図を示す。上述のパラメータ掃引型オシロスコープ(SPO)のような試験測定装置10は、1つ以上のプロセッサ12と、ユーザが試験測定装置10に入力を提供できるユーザ・インタフェース20と、ユーザが選択を行い、波形のビデオ・シーケンス又は「動画」を再生できるメニューを表示できるディスプレイ16を有する。メモリ14は、プロセッサ12に以下で説明する方法を実行させる実行可能プログラム(コード)を記憶する。メモリ14は、ポート18を介して被試験デバイス(DUT)などから波形データ(単に「波形」とも呼ぶ)を直接取り込む場合、試験測定装置10のアクイジション・メモリを含むいくつかのメモリを備えることができ(非特許文献1参照)、波形アレイ(waveform array)22、メタデータ・アレイ(metadata array)24、画像アレイ(image array)及び試験測定装置10によって生成された動画/ビデオ・シーケンスを記憶することもできる(「アレイ(array)」:系列、配列、整然と並ぶ大量のもの)。ポート18により、試験測定装置は、被試験デバイス(DUT)に接続して、DUTから波形アレイとメタデータ・アレイを直接取り込んでも良い。
【0014】
また、試験測定装置は、波形アレイ及びメタデータ・アレイを、任意のメモリ記憶領域から、メモリ14から、又は、外部メモリ若しくは外部装置から受信しても良いことに留意されたい。更に、波形アレイとメタデータ・アレイは、波形生成装置(非特許文献2参照)又は波形生成アプリケーション(ソフトウェア)を用いて、波形データのシミュレーションによって生成されても良い。
【0015】
図2は、パラメータ掃引型試験測定装置を動作させる実施形態のフローチャートを示す。本願で説明する様々な態様及びプロセスは、1つ以上のプロセッサがプログラムを実行して、1つ以上のプロセッサにタスクを実行させることで行われても良い。ステップ30では、試験測定装置は、上述のいずれかの方法で波形アレイを受ける。ステップ32では、試験測定装置は、メタデータ・アレイを受ける。本願の説明では、波形とその波形に対応するメタデータが、それぞれのアレイ内に同じインデックスを持つため、2つのデータ本体をアレイと呼ぶ。メタデータ・アレイには、各波形に関連付けられた掃引されるパラメータの値が含まれる。また、メタデータ・アレイは、温度や湿度、タイム・スタンプなどの他のデータを含むこともできる。ユーザは、波形画像に(もしある場合には)どのようなメタデータを含めるべきかに関する入力を提供できる。波形画像の生成では、その波形のメタデータを波形画像に含める。
【0016】
ビデオ・フレームにレンダリングする波形画像を作成するには、試験測定装置にクロック信号が必要である。このプロセスは、ステップ34において、波形データからクロック信号をリカバリする。クロックにより、試験測定装置は、アイ・ダイアグラム、又は、周期的ループ、波形ユニットインターバル(UI)シーケンス画像テンソルなどを構築できる。試験測定装置は、所望の画像形式を指定するために、ユーザ・インタフェース上で選択肢をユーザに提供しても良いし、又は、決まった画像形式を持っていても良い。
【0017】
試験測定装置は、ステップ36において、波形画像を生成する前に波形データに様々な信号処理技術を適用しても良い。これら信号処理としては、判定帰還型イコライザ(DFE)などの等化処理、高速フーリエ変換(FFT)、ベッセル・トムソン(Bessel Thomsom:BT)フィルタなどのフィルタ、などが有っても良い。次いで、試験測定装置は、ステップ38において、選択された形式又は所定の形式の波形の夫々について、任意のメタデータを含めて波形画像を生成する。
【0018】
次に、ステップ40において、各波形画像を1つのビデオ・フレームへとレンダリングし、この場合、各波形が、動画又はビデオ・シーケンスの1フレームという形になる。この試験測定装置は、ステップ42において、動画のビデオ・フレームを画像アレイとして記憶する。これにより、試験測定装置は、異なるビデオ・フレームを異なるビデオ・シーケンスに集めて、動画として再生することができる。ステップ44では、ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択する。以下の実施形態において、この選択では、全てのビデオ・フレーム、即ち、全ての波形を選択し、「完全版の長い(full-length)」動画又はビデオ・シーケンスをユーザが視聴することもあろう。しかし、ユーザが、複数のメタデータ・パラメータの中から1つを選択し、システムが、そのメタデータ・パラメータを掃引したときの全てのフレームを収集して、もっと短いビデオ・シーケンスとしても良い。結果として得られるビデオ・シーケンスは、完全版の長い動画であっても、短い動画であっても、ステップ46において保存される。ステップ48において、試験測定装置は、動画を再生する。
【0019】
この実施形態では、試験測定装置は、ビデオ・フレームに基づいてビデオ・シーケンスに含まれるデータの選択を行うことに留意されたい。他の実施形態では、選択処理は、波形画像の生成時に行われても良く、レンダリングされる波形画像の少なくとも一部を選択する。これは、かなり効率が悪いようにみえるが、シーケンスが選択されるたびに波形画像をビデオ・フレームにレンダリングする必要があるため、可能なオプションであり、特許請求の範囲に含まれると考える。なお、図2のフローチャートにおける関連処理の順序は、一例に過ぎず、これに限定することを意図するものではない。
【0020】
図3は、波形画像のビデオ・シーケンスの中の6フレームを示している。この例は、PAM4シグナリングのレベル3パラメータを掃引し、他のパラメータ(レベル1、レベル2、レベル4、プレシュート、ポストシュート)を一定にしたときのアイ・ダイアグラムを示している。各フレームの上にあるメタデータ表示でわかるように、ビデオ・フレーム・シーケンスは左から右、上から下に移動する。ビデオ・シーケンスは、レベル3が、1.71から1.82、1.97、2.18、2.45、2.5へと掃引される様子をアニメーションにしたもので、ユーザは、この掃引処理に基づく信号の変化を視覚化して見ることができる。
【0021】
図4は、ユーザ・インタフェースに表示される再生ウィンドウに表示された、ビデオ・シーケンスの第1フレームであるショート・パターン波形画像のビデオ・フレームを示す。表示される画像は、波形に特定の変換を適用して画像を生成した結果である。図3は、アイ・ダイアグラムを作成する変換の結果を示し、図4は、ショート・パターン波形画像を生成する変換の結果を示す。どちらの画像にもメタデータが含まれている。
【0022】
上述のように、試験測定装置は、ユーザ・インタフェース上で、ユーザにメニューを提供する。図5及び図6は、これらのメニューの実施形態の例を示す。この例では、被試験信号として、PAM4を想定している。図5は、アニメーション初期設定メニューを示す。メニューの左側部分50では、メタデータ・アレイ・ファイル、波形アレイ・ファイル及びテキスト・ファイルを入力できる。このテキスト・ファイルは、メタデータのラベルと利用可能な値を提供するものである。次に、ユーザは、掃引するパラメータとその掃引範囲とをリスト52において設定する。メニューの中央部分54では、どのような種類の波形画像を生成するか、つまり、波形画像を生成するために波形データに適用する変換の種類を設定できる。ユーザは、メニューの右側部分56において、出力する動画ファイルの名前を指定することもできる。ユーザが「全てレンダリング」ボタンをクリックすると、システムが動画を作成する。以下の実施形態では、選択処理が、アニメーション表示メニューで行われるが、初期設定メニューに移動して、種々の選択を行うこともできる。
【0023】
図6は、ユーザ・インタフェース上のアニメーション表示設定メニューの実施形態を示し、これにより、ユーザは、動画の再生及び視聴を制御できる。このメニューには、サブ・メニュー600があっても良く、これにより、ユーザは、短い動画(ショート・ムービー)を作成できる。この場合、ユーザは、例えば、値を掃引するパラメータを1つ選択し、他のパラメータについては、掃引中に固定する定数値を入力する。図6では、掃引するパラメータとしてレベル1を選択した例が示され、このために、レベル1については、定数値を入力できないようになっている。これにより、レベル1を掃引した場合のビデオ・フレームのみが選択され、短い動画(ビデオ・シーケンス)が生成される。その他のオプションとしては、動画の再生コントロール機能があっても良く、これには、以下のような種々のコントローラが含まれる。例えば、再生速度の変更、開始、停止及び一時停止機能などが含まれても良い。再生コントロール機能の設定をリセットする機能があっても良い。これら機能は、図6の例では、夫々の機能に対応するボタンを表示する形で実現されている。また、ユーザがメニューから決定した始点と終点の間で動画を連続的にループ再生するループ・ポイントを設定することもできる。更に、手動再生モードがあっても良く、この場合、ユーザは、手動再生ノブ602を手動操作で回し、手動再生ノブ602によって定まる位置まで動画をスクロールできる。
【0024】
ユーザ・インタフェースには、再生速度を制御するための速度制御ノブ604があっても良い。また、速度制御ノブ604で定まる再生速度で自動で再生を行えるようにするスイッチ606があっても良い。スイッチ606を切り替えると手動モードに変わり、ユーザが手動再生ノブ602を手動操作で回すのに応じて動画が再生される。これにより、ユーザは、動画を任意のフレーム番号に合わせ、設定したままにして、そのフレームを観察できる。
【0025】
ループ・スイッチをマーク・モードにすると、ユーザは、手動再生ノブ602を回して動画の特定の位置に合わせ、始点ボタンを押することで、ループ再生の始点をマークできる。次いで、別の位置に合わせ、終点ボタンを押してループ再生の終点をマークできる。こうして、ループ再生する始点と終点を設定できる。あるいは、ループ・スイッチがスライダを備え、ユーザが、スライダ・バー・ツール610を使用して、スライダ612の始点と終点をドラッグ操作などで調整することによって、ループ再生する位置及び長さを調整しても良い。これらマークとスライダのモード切替は、マーク・スライダ切替スイッチ608で行うことができる。ユーザは、図示するように、メニュー内の小さなフレーム614で波形を表示(サムネイル表示)することもできるし、動画ウィンドウ表示ボタン616を押すことで、波形を表示する別のウィンドウを開くこともできる。
【0026】
本願発明の実施形態は、パラメータ掃引型オシロスコープ(SPO)又は試験測定装置の新規な概念を説明している。これにより、ユーザは、パラメータを掃引して得られた何千もの波形データを効率的かつ便利に表示できる。これにより、ユーザは、掃引させたパラメータ値と、その結果として得られた波形への影響と簡単に相関させることができる。
【0027】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0028】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数の非一時的なコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0029】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0030】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
【0031】
加えて、本願の説明は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例に関連して開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例との関連においても利用できる。
【0032】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は操作を有する方法に言及される場合、文脈がそれらの可能性を除外しない限り、定義されたステップ又は操作は、任意の順序で又は同時に行うことができる。
【0033】
明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される全ての機能、並びに開示される任意の方法又はプロセスにおける全てのステップは、そのような機能やステップの少なくとも一部が相互に排他的な組み合わせである場合を除いて、任意の組み合わせで組み合わせることができる。明細書、要約書、特許請求の範囲及び図面に開示される機能の夫々は、特に明記されない限り、同じ、等価、又は類似の目的を果たす代替の機能によって置き換えることができる。

実施例
【0034】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0035】
実施例1は、試験測定装置であって、ユーザが1つ以上のユーザ入力を提供できるように構成されたユーザ・インタフェースと、ユーザに結果を表示するディスプレイと、メモリと、1つ以上のプロセッサとを具え、1つ以上の上記プロセッサが、1つ以上のパラメータを掃引させて得られる波形データを含む波形アレイを受ける処理と、上記波形アレイからクロック信号をリカバリする処理と、上記波形データの夫々に関する波形画像を生成する処理と、上記波形画像をビデオ・フレームにレンダリングして上記ビデオ・フレームの画像アレイを生成する処理と、上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択してビデオ・シーケンスを生成する処理と、ディスプレイ上で上記ビデオ・シーケンスを再生する処理とを1つ以上の上記プロセッサに行わせるプログラムを実行するよう構成される。
【0036】
実施例2は、実施例1の試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサは、上記波形の夫々に対応するメタデータをメタデータ・アレイの形式で受けるプログラムを実行するように更に構成されている。
【0037】
実施例3は、実施例1又は2の試験測定装置であって、1つ以上の上記ユーザ入力は、上記波形画像夫々に含まれるメタデータを特定するユーザ入力を含み、1つ以上の上記プロセッサに上記波形データ夫々の波形画像を生成させるプログラムは、1つ以上の上記プロセッサに上記波形データの上記メタデータを上記波形画像に含ませるようにするプログラムを更に含む。
【0038】
実施例4は、実施例1から3のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサは、上記波形画像を生成する前に上記波形データに信号処理を適用するプログラムを実行するように更に構成されている。
【0039】
実施例5は、実施例1から4のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサは、上記画像アレイ及び上記ビデオ・シーケンスの少なくとも一方を記憶するプログラムを実行するように更に構成されている。
【0040】
実施例6は、実施例1から5のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサに上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択させるプログラムは、1つ以上の上記プロセッサに全ての上記ビデオ・フレームを選択させるプログラムを含む。
【0041】
実施例7は、実施例1から6のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサにビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択させるプログラムは、1つ以上の上記プロセッサに、1つ以上のユーザ入力によって特定される選択されたパラメータに関連するビデオ・フレームのみを選択させるプログラムを含む。
【0042】
実施例8は、実施例1から7のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサに上記波形データ夫々の上記波形画像を生成させるプログラムは、1つ以上の上記プロセッサに、ユーザ入力から特定される画像形式で上記波形画像の夫々を生成させるプログラムを含む。
【0043】
実施例9は、実施例1から8のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサは、1つ以上の上記プロセッサに、上記画像アレイ、上記ビデオ・シーケンス及び上記波形画像の中の1つ以上を記憶させるプログラムを実行するように更に構成されている。
【0044】
実施例10は、実施例1から9のいずれかの試験測定装置であって、1つ以上の上記プロセッサが、ユーザが上記ビデオ・シーケンスの再生の制御を可能にするユーザ・コントローラをユーザ・インタフェース上で提供する処理を1つ以上の上記プロセッサに行わせるようにするプログラムを実行するように更に構成される。
【0045】
実施例11は、波形データをアニメーション化する方法であって、1つ以上のパラメータを掃引することで生じる波形データを含む波形アレイを受ける処理と、上記波形データからクロック信号をリカバリする処理と、上記波形データの夫々から波形画像を生成する処理と、上記波形画像をビデオ・フレームにレンダリングして上記ビデオ・フレームの画像アレイを生成する処理と、ビデオ・シーケンスとして再生するために上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択する処理と、ディスプレイ上で上記ビデオ・シーケンスを再生する処理とを具えている。
【0046】
実施例12は、実施例11の方法であって、上記波形アレイ中の上記波形データ夫々に関するメタデータをメタデータ・アレイとして受ける処理を更に具えている。
【0047】
実施例13は、実施例11及び12のいずれかの方法であって、上記波形画像に含めるメタデータを選択するユーザ入力を受ける処理を更に具え、上記波形データ夫々の上記波形画像を生成する処理が、上記波形データに対応する上記メタデータを上記波形画像に含める処理を更に含む。
【0048】
実施例14は、実施例11から13のいずれかの方法であって、波形画像の形式を選択するユーザ入力を受ける処理を更に具え、上記波形データを上記ビデオ・フレームにレンダリングする処理が、上記波形データの夫々を上記形式の波形画像としてレンダリングする処理を含む。
【0049】
実施例15は、実施例11から14のいずれかの方法であって、上記波形画像を生成する前に、上記波形アレイ内の上記波形データに信号処理を適用する処理を更に含む。
【0050】
実施例16は、実施例11から15のいずれかの方法であって、上記画像アレイ及び上記ビデオ・シーケンスの少なくとも一方を記憶する処理を更に具えている。
【0051】
実施例17は、実施例11から16のいずれかの方法であって、上記ビデオ・フレームの少なくとも一部分を選択する処理が、上記画像アレイ内の全てのビデオ・フレームを選択する処理か又はユーザ入力によって特定される特定のパラメータに関連するビデオ・フレームのみを選択する処理を含む。
【0052】
実施例18は、実施例11から17のいずれかの方法であって、ユーザが上記ビデオ・シーケンスの再生の制御を可能にするユーザ・コントローラを有するユーザ・インタフェースを提供する処理を更に具え、上記ユーザ・コントローラは、上記ビデオ・シーケンスを開始する処理、上記ビデオ・シーケンスを停止する処理、上記ビデオ・シーケンス内のループ位置を設定する処理、上記ビデオ・シーケンスを自動的に再生する処理、上記ビデオ・シーケンスを手動操作で再生する処理、の中の1つ以上を上記ユーザが実行可能にする。
【0053】
実施例19は、実施例11から18のいずれかの方法であって、上記ビデオ・シーケンスを再生する処理が、上記ユーザ・コントローラを有する上記ユーザ・インタフェース上で上記ビデオ・シーケンスを再生する処理又は上記ビデオ・シーケンスを別のウィンドウで再生する処理を含む。
【0054】
実施例20は、実施例11から18のいずれかの方法であって、上記波形アレイを受ける処理が、1つ以上の被試験デバイス又はメモリから上記波形アレイを受ける処理を含む。
【0055】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0056】
10 試験測定装置
12 プロセッサ
14 メモリ
16 ディスプレイ
18 ポート
20 ユーザ・インタフェース
22 波形アレイ
24 メタデータ・アレイ
602 手動再生ノブ
604 再生速度制御ノブ
606 自動手動切替スイッチ
608 マーク・スライダ切替スイッチ
610 スライダ・バー・ツール
612 スライダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6