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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140658
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20230928BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20230928BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20230928BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02M7/06 H
G03G21/00 398
G03G15/00 680
B41J29/00 C
H02M7/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046611
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】三條 真
(72)【発明者】
【氏名】志田 春夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 憲和
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
2H270
5H006
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP04
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061BB02
2C061BB17
2C061BB35
2H171FA05
2H171GA03
2H171MA12
2H171MA17
2H171MA18
2H270LA99
2H270LD02
2H270LD09
2H270MG01
2H270MG02
2H270ZC04
2H270ZC05
5H006CA07
5H006CB01
5H006DB01
5H006DC05
5H006FA01
(57)【要約】
【課題】電解コンデンサの破壊を防止し、かつ電解コンデンサの高さを制限する。
【解決手段】画像形成装置は、商用電源からの供給電流を整流する整流回路と、整流回路からの出力電流を平滑化する平滑回路と、商用電源からの供給電圧が閾値を超える過電圧であるか否かを判定する判定部と、を備える。平滑回路は、2つの電解コンデンサと、判定部の出力に従って、使用する電解コンデンサを切り替えるスイッチである切り替え部と、を有する。判定部は、商用電源からの供給電圧の値である電圧値を検知する電圧検知回路と、電圧検知回路からの電圧値を基に、切り替え部の切り替え制御信号を出力する切り替え用制御回路と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解コンデンサを有するスイッチング電源を搭載した画像形成装置において、
商用電源からの供給電流を整流する整流回路と、
前記整流回路からの出力電流を平滑化する平滑回路と、
前記商用電源からの供給電圧が閾値を超える過電圧であるか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記平滑回路は、
2つの電解コンデンサと、
前記判定部の出力に従って、使用する前記電解コンデンサを切り替えるスイッチである切り替え部と、
を有し、
前記判定部は、
前記商用電源からの供給電圧の値である電圧値を検知する電圧検知回路と、
前記電圧検知回路からの前記電圧値を基に、前記切り替え部の切り替え制御信号を出力する切り替え用制御回路と、
を有する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
2つの前記電解コンデンサは、前記商用電源を満足する第一の定格入力電圧かつ第一の静電容量を持つ第一の電解コンデンサと、前記第一の定格入力電圧より高い第二の定格入力電圧かつ前記第一の静電容量より小さい第二の静電容量を持つ第二の電解コンデンサとである、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
電源が投入されていない時に接続する前記電解コンデンサは、前記第二の電解コンデンサであることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置において、
電源投入時は前記第二の電解コンデンサを用い、前記判定部の前記電圧検知回路が検知した前記電圧値が閾値以下であった場合、使用する前記電解コンデンサを前記第一の電解コンデンサに切り替え、前記画像形成装置の非動作時である待機動作及び前記画像形成装置の動作時であるプリント動作を実行し、前記判定部の電圧検知回路が検知した前記電圧値が閾値以上であった場合、前記第一の電解コンデンサへの切り替えは実施せず、前記待機動作に移行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記待機動作及び前記プリント動作を実行している時に、前記判定部の前記電圧検知回路が検知した前記電圧値が閾値以上であった場合、使用する前記電解コンデンサを前記第二の電解コンデンサに切り替え、前記プリント動作実行中の場合は前記プリント動作を停止し、待機動作に移行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項2または請求項3に記載の画像形成装置において、
前記第二の電解コンデンサを常時接続した状態で、前記判定部の前記電圧検知回路が検知した前記電圧値が閾値以上であった場合、前記第一の電解コンデンサのみを切り離すことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記判定部の前記電圧検知回路により閾値以上の前記電圧値が検知され、前記待機動作に移行した後、前記判定部の前記電圧検知回路の検知電圧が閾値以上であったことをユーザーに通知し、前記プリント動作に移行できないようにすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項5に記載の画像形成装置において、
前記判定部の前記電圧検知回路が検知した前記電圧値が閾値以上であった場合、使用する前記電解コンデンサを前記第二の電解コンデンサに切り替え、前記プリント動作実行中の場合は前記プリント動作を停止し、待機動作に移行する動作は、第一の動作であり、
前記第一の動作後、前記判定部の前記電圧検知回路による電圧検知を再開し、前記電圧検知回路が検知した前記電圧値が閾値以下の場合、使用する電解コンデンサを前記第一の電解コンデンサに切り替え、前記第一の動作を再開することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電解コンデンサを有するスイッチング電源を搭載した画像形成装置(例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置及びこれらの機能を複合させた装置)において、第一と第二の電源部にあるDC/DCコンバータの前段にそれぞれ、第一の電解コンデンサにはフィルムコンデンサもしくはセラミックコンデンサ、第二の電解コンデンサには電解コンデンサを実装して、電解コンデンサの定格入力電圧を大きく超える過電圧が入力されたことをAC電圧検知方式により検知した場合、使用する電解コンデンサを第一の電源部に実装された電解コンデンサに切り替えることで、回路部品の過電圧保護を特徴とする技術が既に知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来技術では、第一と第二の電源部にあるDC/DCコンバータの前段にそれぞれ2つの平滑コンデンサを実装しており、第一の電解コンデンサにはフィルムコンデンサもしくはセラミックコンデンサ、第二の電解コンデンサには電解コンデンサを選択している。第一の電源部を構成する部品は第二の電源部を構成する部品よりも高耐圧の特性を有しており、過電圧検出時には耐圧の低い第二の電源部を切り離すことによって、回路部品の過電圧保護を実現している。
【0004】
しかし、一般的に電子写真プロセスにより画像を形成する画像形成装置(例えば、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置及びこれらの機能を複合させた装置)に対して十分な電力を供給するためには100μF以上の静電容量をもつ平滑コンデンサが必要であり、フィルムコンデンサもしくはセラミックコンデンサの静電容量は大きいものでも数μF程度であるため、従来技術では前記のように画像形成装置に十分な電力を供給することができない。そこで、フィルムコンデンサもしくはセラミックコンデンサの代わりに静電容量の大きい電解コンデンサを実装する必要があるが、静電容量が大きいほど電解コンデンサも大きくなってしまい、特に電解コンデンサの垂直方向のスペースが大きくなってしまうという問題がある。
【0005】
特許文献1には、画像形成装置の回路部品の過電圧保護を目的として、画像形成装置の第一と第二の電源部にあるDC/DCコンバータの前段にそれぞれ2つの平滑コンデンサを実装しており、第一の電源部のコンデンサには、第二の電源部に実装される電解コンデンサよりも高耐圧の特性を有するフィルムコンデンサもしくはセラミックコンデンサを選択することで、電圧検出時に耐圧の低い第二の電源部を切り離し、回路部品の過電圧保護を実行する構成が開示されている。しかしながら、この従来技術では電源回路自体を切り替える構成になっており、コンデンサの選択は電源回路の構成に依存してしまうため、電解コンデンサの垂直方向のスペースが大きくなってしまうという問題は解消できていない。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電解コンデンサの破壊を防止し、かつ電解コンデンサの高さを制限することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電解コンデンサを有するスイッチング電源を搭載した画像形成装置において、商用電源からの供給電流を整流する整流回路と、前記整流回路からの出力電流を平滑化する平滑回路と、前記商用電源からの供給電圧が閾値を超える過電圧であるか否かを判定する判定部と、を備え、前記平滑回路は、2つの電解コンデンサと、前記判定部の出力に従って、使用する前記電解コンデンサを切り替えるスイッチである切り替え部と、を有し、前記判定部は、前記商用電源からの供給電圧の値である電圧値を検知する電圧検知回路と、前記電圧検知回路からの前記電圧値を基に、前記切り替え部の切り替え制御信号を出力する切り替え用制御回路と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電解コンデンサの破壊を防止し、かつ電解コンデンサの高さを制限することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態の画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、実施の形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態の画像形成装置の回路図である。
図4図4は、実施の形態の画像形成装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態の画像形成装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、画像形成装置100の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
図1は、実施の形態の画像形成装置100の構成を示す図である。画像形成装置100は給紙部103、画像形成装置100本体104、スキャナ(画像読取装置)101及び自動原稿搬送装置(ADF)102から基本的に構成されている。
【0012】
画像形成装置100本体104内には、タンデム方式の作像部105と、この作像部105に給紙部103から搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108と、光書き込み装置109と、定着、搬送部110と、両面トレイ111とを備えている。
【0013】
作像部105には、YMCK4色に対応して4本の感光体ドラムが並設され、各感光体ドラム112の回りは帯電器、現像器106、転写器、クリーナ、及び除電器を含む作像要素が配置されている。
【0014】
また、転写器と感光体ドラム112との間には両者のニップに挟持された状態で駆動ローラと従動ローラとの間に張架された中間転写ベルト113が配置されている。
【0015】
このように構成されたタンデム方式の画像形成装置100では、YMCKの色毎に各色に対応する感光体ドラム112に光書き込みを行い、現像器106で各色のトナー毎に現像し、中間転写ベルト113上に例えばY、M、C、Kの順で1次転写する。そして、1次転写により4色重畳されたフルカラーの画像を記録紙に2次転写した後、定着して排紙することによりフルカラーの画像を記録紙上に形成する。
【0016】
上記の画像形成装置100の動作状態には、待機動作状態とプリント動作状態の2種類がある。プリント動作状態は、上記画像形成装置100において、給紙部103、スキャナ(画像読取装置)101及び自動原稿搬送装置102、タンデム方式の作像部105、搬送路107を介して記録紙を供給するレジストローラ108、光書き込み装置109、定着、搬送部110、両面トレイ111が動作している状態で、待機動作状態は、上記画像形成装置100内の動作が停止している状態のことである。
【0017】
図2は、実施の形態の画像形成装置100の構成を示すブロック図である。画像形成装置100の電源部(スイッチング電源)の電源回路は、整流回路201と、平滑回路202と、判定部203と、切り替え部204とを有する。切り替え部204は、平滑回路202に含まれる。
【0018】
整流回路201は、商用電源からの供給電流を整流する。平滑回路202は、整流回路201からの出力電流を平滑化する。判定部203は、商用電源からの供給電圧が閾値を超える過電圧であるか否かを判定する。切り替え部204は、判定部203により過電圧と判定された場合、使用する電解コンデンサC(図3)を切り替える。
【0019】
図3は、実施の形態の画像形成装置100の回路図である。整流回路201は、ダイオードブリッジにより構成される。
【0020】
平滑回路202は、整流回路201からの出力電流を平滑化するための静電容量及び定格入力電圧が異なる2つの電解コンデンサCを有する。二つの電解コンデンサCは、第一の電解コンデンサC1と第二の電解コンデンサC2とである。
【0021】
ダイオードブリッジにより整流した電圧は、後述の判定部203からの制御信号に応じて切り替えられたいずれかの電解コンデンサCを用いて平滑化し、交流電圧から直流電圧を生成する。生成された直流電圧はDC/DCコンバータ205及びスイッチにより変圧され、駆動負荷(駆動系負荷)206及び制御負荷(制御系負荷)207に出力される。
【0022】
2つの電解コンデンサCは、第一の電解コンデンサC1は待機動作及びプリント時、第二の電解コンデンサC2は過電圧時の待機動作にそれぞれ用いられる。一般的に定格入力電圧及び静電容量に比例して電解コンデンサCの大きさが大きくなってしまうことを考慮し、第一の電解コンデンサC1には過電圧には耐えられないが商用電源電圧を満足する定格入力電圧かつ大きい静電容量を持つものを選択し、第二の電解コンデンサC2には過電圧に耐えうる高い定格入力電圧かつ第一の電解コンデンサC1より低い静電容量を持つもの選択する。すなわち、第一の電解コンデンサC1は、商用電源を満足する第一の定格入力電圧かつ第一の静電容量を持ち、第二の電解コンデンサC2は、第一の定格入力電圧より高い第二の定格入力電圧かつ第一の静電容量より小さい第二の静電容量を持つ。
【0023】
判定部203は、AC電圧検知回路(電圧検知回路)208と、AC経路切り替え用制御回路(切り替え用制御回路)209から構成される。AC電圧検知回路208は、トランス、ダイオードブリッジ、ローパスフィルタ、ボルテージフォロワ回路から構成される。まず交流電圧をトランスで下げた後にダイオードブリッジにより整流する。整流された直流電圧をローパスフィルタ及びボルテージフォロワ回路によって安定化した後、入力電圧に応じた電圧を出力する。
【0024】
商用電源交流電源から電圧が印加されたとき、AC電圧検知回路208によって印加された電圧値を検知し、商用電源の電圧値に応じた電圧をマイコン等を有するAC経路切り替え用制御回路209に対して出力して過電圧の判定を実行する。AC経路切り替え用制御回路209に入力された電圧値が過電圧閾値を超えていた場合、商用交流電源の過電圧を検知し、後述の切り替え部204のスイッチSWを切り替える信号を出力する。
【0025】
切り替え部204は、判定部203の出力に従って、使用する電解コンデンサCを切り替える二つのスイッチSWを有する。二つのスイッチSWは、第一のスイッチSW1と第二のスイッチSW2とである。第一のスイッチSW1と第二のスイッチSW2は判定部203からの信号によって、オープンかクローズかを切り替えることが可能なスイッチング素子である。第一のスイッチSW1は第一の電解コンデンサC1の前に実装され、第二のスイッチSW2は第二の電解コンデンサC2の前に実装される。
【0026】
画像形成装置100に電源を投入したときに過電圧が入力される場合を考慮して、電源が投入されていない時における切り替え部204の第一のスイッチSW1と第二のスイッチSW2の状態は、第一のスイッチSW1をOFF、第二のスイッチSW2をONとすることで、電源投入時の電解コンデンサCの過電圧保護を行う。
【0027】
また、画像形成装置100は、各部を制御する制御部300(図3)を有する。制御部300は、CPU300aを有する。
【0028】
本実施の形態では、下記の処理(方法)を行うことにより、画像形成装置100の電源部に実装された電解コンデンサCを過電圧から保護する。
【0029】
図4は、実施の形態の画像形成装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、画像形成装置100は、S1~S17を実行する。すなわち、画像形成装置100は、以下の処理を実行する。
【0030】
<電源コードを画像形成装置100に挿入時>
100V系の画像形成装置100に対して、200V系の電源を接続してしまうなど、誤差しによる過電圧を想定して、電源コードが画像形成装置100に挿入された状態では、過電圧保護のために第二の電解コンデンサC2を接続しておく。
【0031】
<電源ボタンを押し、画像形成装置100への電源供給開始時>
電源ボタンを押し、画像形成装置100への電源供給を開始したとき、判定部203のAC電圧検知回路208によって検出した電圧が過電圧閾値以下であった場合、第一の電解コンデンサC1を接続し、待機及びプリント動作を実行する。判定部203のAC電圧検知回路208によって検出した電圧が過電圧閾値以上であった場合、過電圧保護のために第二の電解コンデンサC2を接続し、待機動作に移行したあと、操作部210にエラーを表示し、ユーザー及びサービスマンに過電圧異常を通知する。待機動作移行後は、プリント動作の実行はできないようにする。待機動作移行後もAC電圧検知回路208による電圧検知は続行し、検知した電圧が過電圧閾値以下に下がった場合、使用するコンデンサを前記第一の電解コンデンサに切り替え、プリント動作を復帰させる。
【0032】
<待機動作及びプリント動作中に過電圧入力時>
第一の電解コンデンサC1を接続している状態で、待機及びプリント動作を実行中に過電圧が入力された場合、プリント動作を停止し、過電圧保護のために第二の電解コンデンサC2を接続し、待機動作に移行したあと、操作部210にエラーを表示し、ユーザー及びサービスマンに過電圧異常を通知する。待機動作移行後は、プリント動作の実行はできないようにする。待機動作移行後もAC電圧検知回路208による電圧検知は続行し、検知した電圧が過電圧閾値以下に下がった場合、使用するコンデンサを前記第一の電解コンデンサに切り替え、プリント動作を復帰させる。
【0033】
上記処理では、過電圧時に通常動作用の電解コンデンサCを切り離し、過電圧保護用の電解コンデンサCをつないで回路部品の過電圧保護を実現している。他に、過電圧保護用の電解コンデンサCは常時接続したままで、過電圧時には通常動作用の電解コンデンサCのみを切り離す方法も考えられる。この方法の処理が図5に示されている。図5は、実施の形態の画像形成装置100が実行する処理の一例を示すフローチャートである。すなわち、図5は、過電圧保護用の電解コンデンサCを常時接続した場合のフローチャートを示す。画像形成装置100は、S21~S38を実行する。
【0034】
この場合、通常動作時には通常動作用の電解コンデンサCと過電圧保護用の電解コンデンサCの2つを用いて、後段の負荷に電力を供給することになるため、一般的な画像形成装置で使用される電解コンデンサよりも静電容量が小さい電解コンデンサCを選択することができる。
【0035】
実施の形態の第一の電解コンデンサC1及び第二の電解コンデンサC2と比較例のコンデンサの仕様を表1に示す。比較例は、電解コンデンサを一つ搭載した画像形成装置である。表1中の備考Aは、「定格入力電圧は規格値より、電源定格×2×√2(日本国内だと約283V)を満たすものを選択」である。
【表1】
【0036】
ここで、画像形成装置100の動作状態には、印刷動作を実行するために駆動系の負荷も動作させているプリント動作状態と、印刷動作待ちの待機状態がある。待機動作状態では、プリント動作状態と違い、負荷に供給する電力は小さくなる。
【0037】
比較例の画像形成装置でプリント動作を実行する場合、それぞれの負荷に対して十分な電力を供給するためには、電源部には大容量の電解コンデンサ(表1では例として560μFと記載している)が必要となる。これに対して、本実施の形態では、突発的に起こるような過電圧時(商用電源の誤挿し、雷サージ等)に待機動作状態に移行するため、過電圧時に使用する電解コンデンサCには高定格入力電圧かつ小容量(表1では例として315V、120μFと記載している)のものを選択することが可能となる。
【0038】
表1より、過電圧に耐えうるかつ待機及びプリント動作が可能な電解コンデンサを1個実装するのと比較して、待機及びプリント動作用の電解コンデンサCと過電圧保護用の電解コンデンサCの2つを実装した場合は、電解コンデンサCの垂直方向の長さを20mm程度短くできる。
【0039】
このように、本実施の形態では、電源部に実装した静電容量と定格入力電圧の異なる平滑用の電解コンデンサCを2個搭載する。そして、電解コンデンサCの定格入力電圧を大きく超える過電圧が入力されたことをAC電圧検知方式により検知した場合、使用する電解コンデンサCを定格入力電圧の大きいものに切り替えることで過電圧保護を行い、電解コンデンサCの破壊を防止し、かつ電解コンデンサCのサイズを小さくすることができ、垂直方向のスペースを削減することができる。
【0040】
以上のように、本実施の形態では、画像形成装置100は、商用電源からの供給電流を整流する整流回路201と、整流回路201からの出力電流を平滑化する平滑回路202と、商用電源からの供給電圧が閾値を超える過電圧であるか否かを判定する判定部203と、を備える。平滑回路202は、2つの電解コンデンサCと、判定部203の出力に従って、使用する電解コンデンサCを切り替えるスイッチである切り替え部204と、を有する。判定部203は、商用電源からの供給電圧の値である電圧値を検知するAC電圧検知回路208(電圧検知回路)と、AC電圧検知回路208からの電圧値を基に、切り替え部204の切り替え制御信号を出力するAC経路切り替え用制御回路209(切り替え用制御回路)と、を有する。
【0041】
このような構成によれば、容易な構成で、電解コンデンサCの切り替えが可能である。
【0042】
また、2つの電解コンデンサCは、第一の電解コンデンサC1と第二の電解コンデンサC2とである。第一の電解コンデンサC1は、商用電源を満足する第一の定格入力電圧かつ第一の静電容量を持つ。第二の電解コンデンサC2は、第一の定格入力電圧より高い第二の定格入力電圧かつ第一の静電容量より小さい第二の静電容量を持つ。
【0043】
このような構成によれば、電解コンデンサCの高さを制限できる、かつ、電解コンデンサCの破壊防止を実現することができる。
【0044】
また、電源が投入されていない時に接続する電解コンデンサCは、第二の電解コンデンサC2である。すなわち、電源が投入されていない時には、第二の電解コンデンサC2が選択されて接続される。
【0045】
このような構成によれば、電解コンデンサCの破壊防止を実現することができる。
【0046】
また、画像形成装置100は、電源投入時は第二の電解コンデンサC2を用いる。画像形成装置100は、判定部203のAC電圧検知回路208が検知した電圧値が閾値以下であった場合、使用する電解コンデンサCを第一の電解コンデンサC1に切り替え、画像形成装置100の非動作時である待機動作及び画像形成装置100の動作時であるプリント動作を実行する。画像形成装置100は、判定部203のAC電圧検知回路208が検知した電圧値が閾値以上であった場合、第一の電解コンデンサC1への切り替えは実施せず、待機動作に移行する。以上の動作を第一の例の動作とも称する。
【0047】
このような構成によれば、画像形成装置100の動作状態によらず、電解コンデンサCの破壊防止が可能である。
【0048】
また、画像形成装置100は、待機動作及びプリント動作を実行している時に、判定部203のAC電圧検知回路208が検知した電圧値が閾値以上であった場合、使用する電解コンデンサCを第二の電解コンデンサC2に切り替え、プリント動作実行中の場合はプリント動作を停止し、待機動作に移行する。
【0049】
このような構成によれば、画像形成装置100の動作状態によらず、電解コンデンサCの破壊防止が可能である。
【0050】
また、画像形成装置100は、第二の電解コンデンサC2を常時接続した状態で、判定部203のAC電圧検知回路208が検知した電圧値が閾値以上であった場合、第一の電解コンデンサC1のみを切り離す。
【0051】
このような構成によれば、第一の例よりも静電容量の小さい電解コンデンサCを選択することができ、更に電解コンデンサCの高さを制限でき、かつ安価な構成を実現できる。
【0052】
また、画像形成装置100は、判定部203のAC電圧検知回路208により閾値以上の電圧値が検知され、待機動作に移行した後、判定部203のAC電圧検知回路208の検知電圧が閾値以上であったことをユーザーに通知し、プリント動作に移行できないようにする。
【0053】
このような構成によれば、待機動作移行後の電解コンデンサCの破壊防止、及びユーザーへの通知を行うことができる。
【0054】
また、判定部203のAC電圧検知回路208が検知した電圧値が閾値以上であった場合、使用する電解コンデンサCを第二の電解コンデンサC2に切り替え、プリント動作実行中の場合はプリント動作を停止し、待機動作に移行する動作は、第一の動作である。第一の動作後、判定部203のAC電圧検知回路208による電圧検知を再開し、AC電圧検知回路208が検知した電圧値が閾値以下の場合、使用する電解コンデンサCを第一の電解コンデンサC1に切り替え、第一の動作を再開する。
【0055】
このような構成によれば、画像形成装置100の動作状態によらず、電解コンデンサCの破壊防止が可能である。
【0056】
なお、上記実施の形態では、本発明の画像処理装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
100 画像形成装置
201 整流回路
202 平滑回路
203 判定部
204 切り替え部
208 AC電圧検知回路(電圧検知回路)
209 AC経路切り替え用制御回路(切り替え用制御回路)
C 電解コンデンサ
C1 第一の電解コンデンサ
C2 第二の電解コンデンサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2018-57104号公報
図1
図2
図3
図4
図5