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特開2023-140700情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140700
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/10 20130101AFI20230928BHJP
【FI】
G06F21/10 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046674
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】窪田 健
(57)【要約】
【課題】複数の外部記録媒体が同時に接続されなくても外部記録媒体間のデータの移動を可能とすること。
【解決手段】記憶部を内蔵し、外部記録媒体と接続する接続部を有する情報処理装置は、前記接続部に接続された第1の記録媒体に記録されているデータと前記データに関するライセンス情報とを前記記憶部に記録する第1の移動制御部と、前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化する第1の無効化部と、前記第1の記録媒体が前記接続部から抜き取られた後に前記接続部に接続された第2の記録媒体に、前記記憶部に記録された前記データ及び前記ライセンス情報を記録する第2の移動制御部と、前記記憶部に記録された前記ライセンス情報を無効化する第2の無効化部と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部を内蔵し、外部記録媒体と接続する接続部を有する情報処理装置であって、
前記接続部に接続された第1の記録媒体に記録されているデータと前記データに関するライセンス情報とを前記記憶部に記録する第1の移動制御部と、
前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化する第1の無効化部と、
前記第1の記録媒体が前記接続部から抜き取られた後に前記接続部に接続された第2の記録媒体に、前記記憶部に記録された前記データ及び前記ライセンス情報を記録する第2の移動制御部と、
前記記憶部に記録された前記ライセンス情報を無効化する第2の無効化部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1の無効化部が前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化した後に、前記第1の記録媒体の切断要求と前記第2の記録媒体の接続要求とを示す情報を出力する出力部、
を有することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の無効化部が前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化した後に、ユーザによる所定の入力に応じて前記第1の記録媒体について前記ライセンス情報を有効化し、前記記憶部に記録されている前記ライセンス情報を無効化する取消部、
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の無効化部は、第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化した後に、前記第1の記録媒体への書き込みを不可能とする、
ことを特徴とする請求項1乃至3いずれか一項記載の情報処理装置。
【請求項5】
記憶部を内蔵し、外部記録媒体と接続する接続部を有する情報処理装置が、
前記接続部に接続された第1の記録媒体に記録されているデータと前記データに関するライセンス情報とを前記記憶部に記録する第1の移動制御手順と、
前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化する第1の無効化手順と、
前記第1の記録媒体が前記接続部から抜き取られた後に前記接続部に接続された第2の記録媒体に、前記記憶部に記録された前記データ及び前記ライセンス情報を記録する第2の移動制御手順と、
前記記憶部に記録された前記ライセンス情報を無効化する第2の無効化手順と、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
記憶部を内蔵し、外部記録媒体と接続する接続部を有する情報処理装置に、
前記接続部に接続された第1の記録媒体に記録されているデータと前記データに関するライセンス情報とを前記記憶部に記録する第1の移動制御手順と、
前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化する第1の無効化手順と、
前記第1の記録媒体が前記接続部から抜き取られた後に前記接続部に接続された第2の記録媒体に、前記記憶部に記録された前記データ及び前記ライセンス情報を記録する第2の移動制御手順と、
前記記憶部に記録された前記ライセンス情報を無効化する第2の無効化手順と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置をはじめとする各種の情報処理装置では、アプリケーションの実行が可能とされている。
【0003】
多くのアプリケーションは、情報処理装置が内蔵する補助記憶装置に予めインストールされることで起動可能となるが、SDカード等の外部記録媒体が情報処理装置に接続されている場合に限って当該外部記録媒体から起動可能なアプリケーションも有る(特許文献1)。
【0004】
このような外部記録媒体がアプリケーションごとにリリースされた場合、複数の外部記録媒体が情報処理装置に接続されなければ、ユーザは複数のアプリケーションを同時に(並列的に)利用することができない。外部記録媒体の接続用のスロット数は有限であるため、このような状況はユーザにとって不便である。そこで、複数の外部記録媒体に分散している複数のアプリケーションを一つの外部記録媒体にまとめて格納する技術が考案されている。特許文献1には、一方の外部記録媒体から他方の外部記録媒体へアプリケーション及びそのライセンス情報を移動する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術は、移動元の外部記録媒体と移動先の外部記録媒体との双方が同時に情報処理装置に接続される必要が有る。したがって、外部記録媒体の接続口が一つである情報処理装置や、他の用途に使用中であるため当該接続口の余裕が一つである情報処理装置に対して当該技術を適用するのは困難である。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、複数の外部記録媒体が同時に接続されなくても外部記録媒体間のデータの移動を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、記憶部を内蔵し、外部記録媒体と接続する接続部を有する情報処理装置は、前記接続部に接続された第1の記録媒体に記録されているデータと前記データに関するライセンス情報とを前記記憶部に記録する第1の移動制御部と、前記第1の記録媒体に記録されている前記ライセンス情報を無効化する第1の無効化部と、前記第1の記録媒体が前記接続部から抜き取られた後に前記接続部に接続された第2の記録媒体に、前記記憶部に記録された前記データ及び前記ライセンス情報を記録する第2の移動制御部と、前記記憶部に記録された前記ライセンス情報を無効化する第2の無効化部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
複数の外部記録媒体が同時に接続されなくても外部記録媒体間のデータの移動を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態における画像形成装置10の機能構成例を示す図である。
図3】移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図5】画像形成装置10の内部から移動先SDカードへのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図6】画像形成装置10の内部から移動先SDカードへのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
図7】移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータ移動の取り消し処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図8】移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータ移動の取り消し処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置10のハードウェア構成例を示す図である。図1において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを内蔵する。
【0011】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びeMMC115等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記憶される。eMMC115は、本実施の形態において、SDカード80間のデータ移行に用いられる記憶部の一例である。
【0012】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェア(画像読取手段)である。プリンタ13は、印刷データを印刷用紙に印刷するためのハードウェア(印刷手段)である。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うためのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段等を備えたハードウェアである。液晶パネルは、タッチパネル機能を有していてもよい。この場合、当該液晶パネルは、入力手段の機能をも兼ねる。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80の接続口である。画像形成装置10では、ROM113に記憶されたプログラムだけでなく、外部記録媒体の一例であるSDカード80に記憶されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。なお、他の記録媒体(例えば、CD-ROM又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等)によってSDカード80が代替されてもよい。すなわち、SDカード80の位置付けに相当する外部記録媒体の種類は、所定のものに限定されない。この場合、SDカードスロット17は、外部記録媒体の種類に応じたハードウェアによって代替されればよい。本実施の形態において、画像形成装置10が有するSDカードスロット17は一つであるとする。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置10の機能構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、操作制御部121、移動制御部122、ライセンス管理部123及び外部デバイス認識部124を有する。これら各部は、画像形成装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU111に実行させる処理により実現される。
【0014】
操作制御部121は、画像形成装置10の操作者からの入力を受け付けたり、操作者に通知する情報を操作パネル15に表示したりする。操作制御部121は、操作者からの入力に応じた指示を移動制御部122へ通知する。操作者とは、或るSDカード(以下、「移動元SDカード」という。)に記録されているアプリケーションを他のアプリケーションが記録されている別のSDカード(以下、「移動先SDカード」という)へ移動させるために画像形成装置10を操作する者をいう。本実施の形態において、アプリケーションは、アプリケーションの実行に関連するデータ群(以下、「アプリデータ」という。)と、当該アプリケーションに関するライセンス情報とを含む。したがって、アプリケーションの移動とは、アプリデータ及びライセンス情報の移動をいう。移動元SDカードから移動先SDカードへアプリケーションを移動することで、複数のアプリケーションを移動先SDカードにまとめることができる。なお、本実施の形態では、アプリケーションの販売元において予めライセンス付与処理がされたSDカードのみがアプリケーションの起動用に用いることが出来る。すなわち、そのようなSDカードが画像形成装置10に接続されている状態でのみ、当該SDカードに記録されているアプリケーションを画像形成装置10において起動することができる。当該アプリケーションの起動時において、画像形成装置10が、ライセンス処理されているSDカードであるか否かを検証し、ライセンス処理されていなければ、アプリケーションの起動を拒否するからである。したがって、移動先SDカードも、移動対象とは別のアプリケーションの購入時に配布されたSDカードである必要が有る。
【0015】
移動制御部122は、移動元SDカードから移動先SDカードへのアプリケーションの移動に関する処理を制御する。移動制御部122は、まず、画像形成装置10に移動元SDカードが接続されている状態(SDカードスロット17に移動元SDカードが挿入されている状態)において、移動元SDカードに記録されているアプリデータ及びライセンス情報を、画像形成装置10の内部の記憶部(本実施の形態では、eMMC115)へ移動するための処理を制御する。次に、移動制御部122は、画像形成装置10に移動先SDカードが接続されている状態(SDカードスロット17に移動先SDカードが挿入されている状態)において、eMMC115に記録されているアプリデータ及びライセンス情報を移動先SDカードへ移動するための処理を制御する。すなわち、移動制御部122は、eMMC115を移動対象のアプリケーションの一時的な退避場所とすることで、一つのSDカードスロット17を利用して移動元SDカードから移動先SDカードへのアプリケーションの移動を実現する。
【0016】
ライセンス管理部123は、移動制御部122からの要求に応じ、移動元SDカードからeMMC115へのライセンス情報の移動や、eMMC115から移動先SDカードへのライセンス情報の移動等を行う。
【0017】
外部デバイス認識部124は、SDカードが画像形成装置10に接続(SDカードスロット17に挿入)されたことを検知し、SDカードの挿入状況を移動制御部122に通知する。外部デバイス認識部124は、また、SDカードの破損を検知し、その旨を移動制御部122に通知する。
【0018】
以下、画像形成装置10が実行する処理手順について説明する。図3は、移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。また、図4は、移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図3及び図4は、同じ処理手順を異なる表現で示す図である。両図において同一又は対応するステップには同一ステップ番号が付されている。
【0019】
図3及び図4の処理手順の開始に先立って、画像形成装置10の操作者は、移動元SDカードをSDカードスロット17へ挿入しておく。なお、操作者は、例えば、画像形成装置10のサービスマンである。
【0020】
ステップS101において、移動制御部122は、移動元SDカードからeMMC115へのデータの移動指示を操作者から受け付けた操作制御部121から当該移動指示を受信する。
【0021】
続いて、移動制御部122は、移動元SDカードが所定の条件を満たすかについて確認を行う(S102)。例えば、移動制御部122は、SDカードスロット17にSDカードが挿入されていること、移動元SDカードにライセンス情報が記録されていること、移動元SDカードに有効な(正しい)アプリデータが記録されていること等の条件が満たされているか否かを確認する。なお、移動制御部122は、SDカードスロット17にSDカードが挿入されているか否かは、外部デバイス認識部124に問い合わせることで確認する。
【0022】
いずれかの条件が満たされていない場合(S103でNo)、操作制御部121は、当該条件が満たされていないことを示すエラー情報を操作パネル15に表示し(S104)、処理を終了する。
【0023】
全ての条件が満たされている場合(S103でYes)、移動制御部122は、SDカードスロット17に挿入されている移動元SDカードに記録されているアプリデータをeMCMC15へコピー(記録)する(S105)。
【0024】
アプリデータのコピーが正常に完了しなかった場合(S106でNo)、操作制御部121は、アプリデータのコピーが正常に完了しなかったことを示すエラー情報を操作パネル15に表示し(S107)、処理を終了する。例えば、eMCMC15の容量が不足している場合やeMCMC15に既にコピー対象のデータと同じファイル名のデータが記録されている場合は、アプリデータのコピーが失敗する。
【0025】
アプリデータのコピーが正常に完了した場合(S106でYes)、画像形成装置10は、移動元SDカードに記録されているライセンス情報をeMMC115へコピー(記録)する(S108)。より詳しくは、移動制御部122は、移動元SDカードからeMMC115へのライセンス情報の移動処理の実行をライセンス管理部123へ要求する(図4のS108-1)。続いて、ライセンス管理部123は、移動元SDカードからライセンス情報を取得する(図4のS108-2、S108-3)。続いて、ライセンス管理部123は、当該ライセンス情報をeMMC115へ記録する(S108-4)。
【0026】
続いて、ライセンス管理部123は、移動元SDカードのライセンスを無効化し、移動元SDカードへの書き込みを不可能とするために移動元SDカードにライトプロテクトをかける(S109)。移動元SDカードのライセンスの無効化は、例えば、移動元SDカードに記録されているライセンス情報を削除することで実行される。また、移動元SDカードにライトプロテクトをかけるのは、移動元SDカードからeMMC115に対してアプリケーションデータ及びライセンス情報がコピーされた後には、別の用途で移動元SDカードの使用を禁止するためである。
【0027】
続いて、操作制御部121は、正常終了を示す情報を操作パネル15に表示する(S110)。当該情報は、例えば、移動元SDカードの切断要求(移動元SDカードをSDカードスロット17から抜くことの要求)と、移動先SDカードの接続要求(移動先SDカードをSDカードスロット17へ挿入することの要求)とを含む。
【0028】
そこで、操作者は、移動元SDカードを画像形成装置10から抜き取り、移動先SDカードを画像形成装置10のSDカードスロット17へ挿入する。この状態で、eMMC115に記録されたデータ(アプリデータ及びライセンス情報)について、移動先SDカードへの移動処理が実行される。
【0029】
図5は、画像形成装置10の内部から移動先SDカードへのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。また、図6は、画像形成装置10の内部から移動先SDカードへのデータの移動処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。図5及び図6は、同じ処理手順を異なる表現で示す図である。両図において同一又は対応するステップには同一ステップ番号が付されている。
【0030】
ステップS201において、移動制御部122は、eMMC115から移動先SDカードへのデータの移動指示を操作者から受け付けた操作制御部121から当該移動指示を受信する。
【0031】
続いて、移動制御部122は、移動先SDカードが所定の条件を満たすかについて確認を行う(S202)。例えば、移動制御部122は、SDカードスロット17にSDカードが挿入されていること、移動先SDカードにライセンス情報が記録されていること、移動先SDカードに有効な(正しい)アプリデータが記録されていること等の条件が満たされているか否かを確認する。ここで、移動先SDカードに記録されていることが確認されるライセンス情報及びアプリデータは、移動対象とは別のライセンス情報及びアプリデータである。本実施の形態では、不特定のSDカードが移動先SDカードとして使用されることを禁止するため、予め有効なアプリケーションが記録されているSDカード(正当な販売ルートで購入されたSDカード)に移動先SDカードが限定される。
【0032】
いずれかの条件が満たされていない場合(S203でNo)、操作制御部121は、当該条件が満たされていないことを示すエラー情報を操作パネル15に表示し(S204)、処理を終了する。
【0033】
全ての条件が満たされている場合(S203でYes)、画像形成装置10は、eMMC115に記録されているライセンス情報を移動先SDカードへコピー(記録)する(S205)。より詳しくは、移動制御部122は、eMMC115から移動先SDカードへのライセンス情報の移動処理の実行をライセンス管理部123へ要求する(図6のS205-1)。続いて、ライセンス管理部123は、eMMC115に記録されているアプリデータ及びライセンス情報のファイル名の一覧を取得する(図6のS205-2、S205-3)。続いて、ライセンス管理部123は、移動先SDカードに記録されているアプリデータ及びライセンス情報のファイル名の一覧を取得する(図6のS205-4、S205-5)。
【0034】
続いて、ライセンス管理部123は、eMMC115から取得されたファイル名の一覧と移動先SDカードから取得されたファイル名の一覧との間の重複の有無を確認することで、eMMC115に記録されているデータが移動先SDカードに既に記録されているか否かを判定する。eMMC115から取得されたファイル名の一覧と移動先SDカードから取得されたファイル名の一覧との間に重複が有る場合(すなわち、eMMC115に記録されているデータが移動先SDカードに既に記録されている場合)、ライセンス管理部123は、以降の処理を実行せずに、ライセンス情報の移動処理の失敗を移動制御部122へ通知する。
【0035】
eMMC115から取得されたファイル名の一覧と移動先SDカードから取得されたファイル名の一覧との間に重複が無い場合、ライセンス管理部123は、eMMC115からライセンス情報を取得する(図4のS205-6、S205-7)。続いて、ライセンス管理部123は、当該ライセンス情報を移動先SDカードへ記録する(S205-8)。続いて、ライセンス管理部123は、eMMC115からライセンス情報を削除することで、eMMC115のライセンスを無効化する(S205-9)。eMMC115のライセンスの無効化に成功すると、ライセンス管理部123は、ライセンス情報の移動処理の成功を移動制御部122へ通知する。
【0036】
ライセンス情報の移動処理の失敗がライセンス管理部123から移動制御部122へ通知された場合(S206でNo)、操作制御部121は、ライセンス情報の移動の失敗を示すエラー情報を操作パネル15に表示し(S207)、処理を終了する。
【0037】
ライセンス情報の移動処理の成功がライセンス管理部123から移動制御部122へ通知された場合(S206でYes)、移動制御部122は、eMCMC15に記録されているアプリデータを移動先SDカードへコピー(記録)する(S208)。
【0038】
アプリデータのコピーが正常に完了しなかった場合(S209でNo)、操作制御部121は、アプリデータのコピーが正常に完了しなかったことを示すエラー情報を、操作パネル15に表示し(S210)、処理を終了する。例えば、移動先SDカードの容量が不足している場合はアプリデータのコピーが失敗する。アプリデータのコピーが正常に完了した場合(S209でYes)、操作制御部121は、正常終了を示す情報を操作パネル15に表示し(S211)、処理を終了する。
【0039】
次に、データ移動(移動元SDカードからeMMC115への移動)の取り消し処理について説明する。図3のステップS105においてアプリデータのコピーに失敗し、ステップS107のエラー情報が表示された場合、操作者は、移動元SDカードからeMMC115へのデータ移動の取り消しを指示する必要が有る。また、図3の処理手順が終了した後(ステップS110において正常終了を示す情報が表示された後)であって、図5の処理手順が実行される前(eMMC115から移動先SDカードへの移動が実行される前)であれば、操作者は、移動元SDカードからeMMC115へのデータ移動の取り消しを指示することができる。
【0040】
図7は、移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータ移動の取り消し処理の処理手順の一例を説明するためのフローチャートである。また、図8は、移動元SDカードから画像形成装置10の内部へのデータ移動の取り消し処理の処理手順の一例を説明するためのシーケンス図である。
【0041】
ステップS301において、移動制御部122は、移動元SDカードからeMMC115へのデータ移動の取り消し指示を操作者から受け付けた操作制御部121から当該取り消し指示を受信する。なお、当該取り消し指示の入力時には、移動元SDカードがSDカードスロット17に挿入されている必要が有る。
【0042】
続いて、画像形成装置10は、eMMC115に記録されているライセンス情報を移動元SDカードへ移動する(S302)。より詳しくは、移動制御部122は、eMMC115から移動元SDカードへのライセンス情報の移動処理の実行をライセンス管理部123へ要求する(図8のS302-1)。続いて、ライセンス管理部123は、eMMC115に記録されているライセンス情報をeMMC115へコピー(記録)することで、移動元SDカードのライセンス情報を有効化する(S302-2)。なお、ライセンス管理部123は、移動元SDカードがライトプロテクトされている場合には、ライトプロテクトを解除した上でステップS302-2以降を実行する。続いて、ライセンス管理部123は、eMMC115からライセンス情報を削除することで、当該ライセンス情報を無効化する(S302-3)。
【0043】
なお、図3のステップS105においてアプリデータのコピーに失敗した場合に、データ移動の取り消し処理が実行される場合には、移動元SDカードからeMMC115へのライセンス情報の移動は実行されていないため、ステップS302-1及びS302-2は実行されなくてよい。
【0044】
続いて、移動制御部122は、eMMC115に記録されているアプリデータを削除する(S303)。なお、図3のステップS105においてアプリデータのコピーに失敗した場合であっても、途中までコピーされたデータが有れば、当該データが削除される。
【0045】
続いて、操作制御部121は、正常終了を示す情報を操作パネル15に表示する(S304)。操作者は、当該情報を参照することで、移動元SDカード及びeMMC115が、図3の処理手順の実行前の状態に戻ったことを知ることができる。
【0046】
なお、移動制御部122は、ステップS301の後に、SDカードスロット17に挿入されているSDカードが、正当な移動元SDカードであるか否かを確認した上で、ステップS302以降を実行してもよい。正当な移動元SDカードとは、eMMC115へ一時的に記録されているライセンス情報及びアプリデータの真の移動元のSDカードをいう。正当な移動元SDカードであるか否かの判定は、例えば、SDカードスロット17に記録されているアプリデータと、eMMC115に記録されているアプリデータとが一致するか否かに基づいて行われてもよい。すなわち、2つのアプリデータが一致すれば、SDカードスロット17に挿入されているSDカードは、真の移動元SDカードということになる。
【0047】
上述したように、本実施の形態によれば、SDカード間で直接的にデータをコピーするのではなく、移動元SDカードのデータを画像形成装置10内部の記憶部に一時的に移動した後に、当該記憶部から移動先SDカードにデータの移動が行われる。したがって、複数の外部記録媒体が同時に接続されなくても外部記録媒体間のデータの移動を可能とすることができる。その結果、画像形成装置10のSDカードスロット17を一つにすることができ、その製造コストを低減することができる。また、SDカードスロット17が減ることで画像形成装置10の小型化を実現することも出来る。
【0048】
なお、本実施の形態では、アプリデータが移動対象のデータである例について説明したが、音声データや画像データ等、他のデータであってライセンス情報が付随している場合に利用可能となるデータについて本実施の形態が適用されてもよい。
【0049】
また、移動対象のデータが記録される外部記録媒体はSDカード以外の記録媒体であってもよい。
【0050】
また、画像形成装置10が内蔵する記憶部であれば、eMMC115以外の記憶部がデータの一時退避場所に用いられてもよい。例えば、HDD114が当該退避場所として用いられてもよい。
【0051】
また、本実施の形態は、記憶部を内蔵しており、外部記録媒体を接続する接続部を有する情報処理装置であれば、画像形成装置以外の情報処理装置に適用されてもよい。例えば、PJ(Projector:プロジェクタ)、IWB(Interactive White Board:相互通信が可能な電子式の黒板機能を有する白板)、デジタルサイネージ等の出力装置、HUD(Head Up Display)装置、産業機械、撮像装置、集音装置、医療機器、ネットワーク家電、ノートPC(Personal Computer)、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルカメラ、ウェアラブルPCまたはデスクトップPC等に本実施の形態が適用されてもよい。
【0052】
なお、本実施の形態において、画像形成装置10は、情報処理装置の一例である。eMMC115は、記憶部の一例である。移動元SDカードは、第1の記録媒体の一例である。移動先SDカードは、第2の記録媒体の一例である。移動制御部122は、第1の移動制御部及び第2の移動制御部の一例である。ライセンス管理部123は、第1の無効化部、第2の無効化部及び取消部を含む。操作制御部121は、出力部の一例である。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
115 eMMC
121 操作制御部
122 移動制御部
123 ライセンス管理部
124 外部デバイス認識部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特開2005-174200号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8