(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140705
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20230928BHJP
G06T 7/62 20170101ALI20230928BHJP
【FI】
G01B11/02 H
G06T7/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046679
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 将史
【テーマコード(参考)】
2F065
5L096
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065AA22
2F065AA23
2F065DD06
2F065FF04
2F065JJ02
2F065JJ25
2F065MM11
2F065MM21
2F065QQ13
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ31
2F065QQ38
2F065SS06
2F065SS13
5L096CA16
5L096DA02
5L096DA04
5L096FA14
5L096FA64
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】測定対象物の寸法の測定結果と設計データとを組み合わせて出力することで、作業者の作業の効率化を図ることが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、キャリッジが走査することによって物品の画像を読み取る読取手段と、物品の図面及び設計寸法を少なくとも含む設計情報の第1画像を記憶する記憶手段と、物品を読み取った第2画像を取得する画像取得手段と、第2画像に基づいて、物品の寸法を測定する測定手段と、測定された寸法が表示される結果表示領域を、第1画像に重畳させた第3画像を生成する合成画像生成手段と、第3画像を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリッジが走査することによって物品の画像を読み取る読取手段と、
前記物品の図面及び設計寸法を少なくとも含む設計情報の第1画像を記憶する記憶手段と、
前記物品を読み取った第2画像を取得する画像取得手段と、
前記第2画像に基づいて、前記物品の寸法を測定する測定手段と、
測定された寸法が表示される結果表示領域を、前記第1画像に重畳させた第3画像を生成する合成画像生成手段と、
前記第3画像を出力する出力手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記合成画像生成手段は、
前記第1画像から、前記設計情報を認識する認識手段と、
前記第1画像のうち、いずれの情報も表示されない余白領域を検知する検知手段と、
検知された前記余白領域において、前記結果表示領域を重畳させる位置を決定する表示位置決定手段と、
前記測定された寸法を表示する第2フォーマットを、前記設計寸法を表示する第1フォーマットに追従させるフォーマット決定手段
を備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記合成画像生成手段は、前記設計寸法と、前記測定寸法との寸法差を計算する演算手段と、
をさらに備え、
前記フォーマット決定手段は、前記寸法差が、所定の閾値より大きい場合には、前記測定寸法を所定の第3フォーマットで表示する
請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記合成画像生成手段は、所定の記憶装置に記憶された、複数の前記第1画像から、前記第2画像に対応する前記第1画像を特定する特定手段、
をさらに備える、
請求項1~3のいずれか一つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記合成画像生成手段は、
前記設計寸法が表示される設計寸法表示領域を、前記第2画像に重畳させた第4画像を生成し、
前記出力手段は、
前記第4画像を出力する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物を撮像し、撮像された画像データに基づいて測定対象物の所定部分の寸法を計測する画像計測装置が広く用いられている。
【0003】
このような画像計測装置において測定対象物の所定部分の寸法を測定する際には、作業者が、画像データに対して測定対象箇所や測定種別をそれぞれ指定する必要があった。そのため例えば、測定したい箇所が多数存在する場合、作業者は、多数の箇所をそれぞれ測定対象箇所として指定し、さらには測定対象箇所ごとに測定種別を指定しなければならず、作業が極めて煩雑になる。
【0004】
このため、従来技術では、部品の図面などの設計データに対して測定対象箇所や測定種別が自動生成される技術が採用されてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術が採用されたとしても、指定された測定対象箇所の測定結果がそれぞれ出力されるのみであり、作業者は、出力された測定結果と図面での指定箇所とを照合しなければならず、作業の煩雑さは改善されなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測定対象物の寸法の測定結果と設計データとを組み合わせて出力することで、作業者の作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、キャリッジが走査することによって物品の画像を読み取る読取手段と、前記物品の図面及び設計寸法を少なくとも含む設計情報の第1画像を記憶する記憶手段と、前記物品を読み取った第2画像を取得する画像取得手段と、前記第2画像に基づいて、前記物品の寸法を測定する測定手段と、測定された寸法が表示される結果表示領域を、前記第1画像に重畳させた第3画像を生成する合成画像生成手段と、前記第3画像を出力する出力手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、測定対象物の寸法の測定結果と設計データとを組み合わせて出力することで、作業者の作業の効率化を図ることが可能となる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる画像処理装置の一例の外観構成を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態にかかる画像処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態にかかる画像処理装置の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態にかかる設計データの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態にかかる撮像データの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態にかかる撮像データの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態にかかる画像データの位置合わせについて説明する図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態にかかる設計データの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態にかかる余白領域の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態にかかる合成画像の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態にかかる合成画像の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態にかかる画像合成処理が実行される際の作業者と画像処理装置の動作の流れの一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態にかかる生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第2の実施形態にかかる画像合成処理が実行される際の作業者と画像処理装置の動作の流れの一例を示す模式図である。
【
図15】
図15は、第2の実施形態にかかる生成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、第2の実施形態にかかる合成画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下に添付図面を参照して、画像処理装置の実施形態を詳細に説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
まず、
図1を参照して、第1の実施形態にかかる画像処理装置1の構成の一例について説明する。
図1は、第1の実施形態にかかる画像処理装置の一例の外観構成を示す図である。
【0012】
図1に示すように、画像処理装置1は、スキャナユニット10、プリンタユニット20、及びスキャナユニット10の上部にADF(Automatic Document Feeder)30を少なくとも備える。
【0013】
スキャナユニット10は、原稿や物品Mを載置するコンタクトガラス11と、原稿や物品Mをスキャンするキャリッジ12とを備える。
【0014】
例えば、フラットベット方式で読取対象を読み取る場合、作業者は、ADF30を持ち上げてコンタクトガラス11を露出し、コンタクトガラス11上に読取対象(
図1の例では物品M)を載置する。そして作業者は、スキャナユニット10の筐体に設けられている操作パネルを操作して開始ボタンを押下する。すると、キャリッジ12がスキャナユニット10内を走行することによりスキャニングが実行される。
このとき例えば、読取対象が図面や設計寸法等の設計情報を含んだ原稿である場合、作業者は、コンタクトガラス11上に原稿を直接載置し、ADF30を下げて原稿を押さえつけ、開始ボタンを押下する。すると、スキャニングが実行され、当該原稿の画像データが取得される。あるいは例えば、読取対象が厚みのある物品Mである場合、作業者は、コンタクトガラス11上に物品Mを直接載置した後、ADF30を下げずに開始ボタンを押下する。すると、スキャニングが実行され、物品Mの画像データが取得される。
【0015】
プリンタユニット20は、画像形成処理を実行するための構成を備える。具体的には、プリンタユニット20は、スキャナユニット10で取得した画像データに所定の画像処理を行うことにより、記録紙に出力する処理を実行する。
【0016】
ADF30は、トレイにセットした原稿をシートスルー方式で読み取らせるための自動原稿搬送装置である。ADF30を利用して読取対象を読み取る場合、キャリッジ12は、キャリッジホームポジション13に固定され、その状態で読取対象のスキャニングが実行される。
例えば、読取対象が厚みのない原稿等である場合、作業者は、ADF30の所定位置に原稿を複数枚載置し、開始ボタンを押下する。すると、原稿が搬送されることによりスキャニングが実行され、設計図面の画像データが取得される。
【0017】
本実施形態にかかる画像処理装置1は、コピー機能、及びプリンタ機能の他、スキャニングして得られた2以上の画像データを組み合わせて画像合成処理を行う画像合成機能を少なくとも有する。
図2~
図11を参照して、このような画像合成処理を実現するための画像処理装置1の詳細について説明する。
【0018】
図2は、本実施形態にかかる画像処理装置1のハードウェア構成図である。
【0019】
本実施形態の画像処理装置1は、
図2に示すように、コントローラ110、近距離通信回路120、エンジン制御部130、操作パネル140、ネットワークI/F150を備えている。
これらのうち、コントローラ110は、コンピュータの主要部であるCPU101、システムメモリ(MEM-P)102、ノースブリッジ(NB)103、サウスブリッジ(SB)104、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)106、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)107、HDDコントローラ108、及び、記憶部であるHD109を有し、NB103とASIC106との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス121で接続した構成となっている。
【0020】
これらのうち、CPU101は、画像処理装置1の全体制御を行う制御部である。例えば、CPU101は、後述する画像合成処理に関する制御プログラムを実行することにより、画像処理装置1全体の動作を統括的に制御する。
【0021】
NB103は、CPU101と、MEM-P102、SB104、及びAGPバス121とを接続するためのブリッジであり、MEM-P102に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0022】
MEM-P102は、コントローラ110の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM102a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM102bとからなる。なお、RAM102bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0023】
SB104は、NB103とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。
【0024】
ASIC106は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス121、PCIバス122、HDDコントローラ108及びMEM-C107をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC106は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC106の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C107を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部131及びプリンタ部132との間でPCIバス122を介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。なお、ASIC106には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。
【0025】
MEM-C107は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。
【0026】
HD109は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD109は、CPU101の制御にしたがってHD109に対するデータの読出または書込を制御する。
【0027】
AGPバス121は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P102に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0028】
また、近距離通信回路120には、近距離通信回路120aが備わっている。近距離通信回路120は、NFC、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0029】
さらに、エンジン制御部130は、スキャナ部131及びプリンタ部132によって構成されている。また、操作パネル140は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部140a、並びに、濃度の設定条件などの画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル140bを備えている。コントローラ110は、画像処理装置1全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル140からの入力等を制御する。スキャナ部131またはプリンタ部132には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれている。
【0030】
なお、画像処理装置1は、操作パネル140のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、及びファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0031】
また、ネットワークI/F150は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路120及びネットワークI/F150は、PCIバス122を介して、ASIC106に電気的に接続されている。
【0032】
次に、画像処理装置1の機能的構成について説明する。
図3は、第1の実施形態にかかる画像処理装置1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
以下、
図4~11を参照して、
図3の機能的構成について説明する。
【0033】
画像処理装置1は、
図3に示すように、記憶部109、画像取得部160、測定部170、合成画像生成部180、及び出力部190を備える。
【0034】
記憶部109は、物品Mの図面及び設計寸法を少なくとも含む設計情報の第1画像を記憶する。ここで、本実施形態における第1画像に相当する設計データPIの一例を
図4に示す。具体的には、記憶部109は、物品Mの図面等をスキャニングして得られた画像データを、設計データPIとして記憶する。
図4に示すように、設計データPIには、物品Mの図面、設計寸法及び公差等の情報が少なくとも含まれる。記憶部109は、複数の設計データPIを蓄積してもよい。
【0035】
画像取得部160は、物品Mを読み取った第2画像を取得する。ここで、本実施形態における第2画像に相当する撮像データMIの一例を
図5に示す。具体的には、画像取得部160は、物品Mをスキャニングして得られた画像データを、撮像データMIとして取得する。例えば
図5に示すように、撮像データMIには、測定対象である物品Mの画像等の情報が少なくとも含まれる。
【0036】
測定部170は、撮像データMIに基づいて、物品Mの寸法を測定する。具体的には、測定部170は、画像取得部160において取得された撮像データMIに対して所定の画像処理手法を実行することにより、物品Mの各測定対象箇所の寸法の測定を行う。そして、測定部170は、物品Mの各測定対象箇所と、測定結果とを対応づけて保持する。例えば
図6に示すように、測定部170は、測定結果を表示する結果表示領域SWが表示された画像データを撮像データMIとして保持してもよい。
【0037】
合成画像生成部180は、測定された物品Mの寸法が表示される結果表示領域SWを、設計データPIに重畳させた第3画像を生成する。ここで、本実施形態における第3画像に相当する合成画像SIの一例を
図10に示す。
合成画像生成部180は、以下に説明する各部がそれぞれ機能を発揮することにより、結果表示領域SWを、設計データPIに重畳させた合成画像SIを生成する。
【0038】
図3に戻り説明を続ける。
合成画像生成部180は、特定部181、余白検知部182、重畳領域決定部183、演算部184、及びフォーマット決定部185、認識部186を備える。
【0039】
特定部181は、記憶部109に記憶された設計データPIから、測定対象の物品Mに対応する設計データPIを特定する。即ち、特定部181は、記憶部109に記憶される設計データPIと、画像取得部160において取得された撮像データMIとに基づいて位置合わせの処理を実行することにより、撮像データMIに対応する設計データPI撮像データMIを特定する。
【0040】
ここで
図7を参照して、位置合わせの処理について説明する。
図7は、撮像データMI及び設計データPIの位置合わせの処理について説明する図である。
【0041】
初めに、特定部181は、撮像データMIに含まれる物品Mの画像N、及び設計データPIに含まれる物品Mの図面Zのそれぞれについて特徴量を解析する。その結果、特定部181は、
図7に示すような特徴点SM-1~SM-2、及び特徴点SP-1~SP-2をそれぞれ抽出する。すると特定部181は、対応する特徴点(
図7の例では、特徴点SM-1と特徴点SP-1、特徴点SM-2と特徴点SP-2)についてマッチングを行い、画像Nと図面Zが一致するか否かを判断する。
特定部181は、このような位置合わせの処理の結果、画像Nと図面Zが一致すると判断した場合、当該図面Zを含む設計データPIが、測定対象の物品Mに対応する設計データPIであると特定する。
【0042】
認識部186は、設計データPIに基づいて設計情報を認識する。具体的には、認識部186は、特定部181において特定された設計データPIに対して所定の画像処理手法を実行することにより、設計データPIに含まれる設計情報を認識する。即ち例えば、
図8に示すように、認識部186は、例えばOCRの処理を実行することにより、設計寸法表示領域PW-1に表示された部位Aの設計寸法(基準値)及び公差が18±0.2であること、また、設計寸法表示領域PW-2に表示された部位Bの設計寸法(基準値)及び公差が1±0.2であることを認識する。また、認識部186は、表示された設計寸法等の文字の色、太さ、大きさ等の書式を認識する。
認識部186は、認識した結果を、設計データPIの図面Zの各箇所と対応づけて保持する。
【0043】
演算部184は、物品Mの各測定対象箇所の設計寸法と、測定寸法との寸法差を計算する。具体的には、演算部184は、認識部186において認識した設計情報と、測定部170において測定した物品Mの測定結果とを対応付け、寸法差を計算する。
【0044】
余白検知部182は、設計データPIのうち、いずれの情報も表示されない余白領域を検知する。ここで本実施形態における、余白領域に相当する余白領域BPの一例を
図9に示す。
図9に示すように、余白検知部182は、特定部181において特定された設計データPIに対して所定の画像処理手法を実行し、いずれの情報も表示されない余白領域BP-1~BP-3(以下、「余白領域BP」と称する場合がある)を抽出する。
【0045】
重畳領域決定部183は、余白領域BPにおいて、測定結果を表示する結果表示領域SWを重畳させる位置を決定する。即ち、重畳領域決定部183は、
図9の設計情報PIにおける余白領域BP-1~BP-3の中で、測定部170において測定した物品Mの測定結果を表示させる位置を決定する。
具体的には例えば
図10に示すように、重畳領域決定部183は、部位Aの測定結果を表示する結果表示領域SW-1(以下、「結果表示領域SW」と称する場合がある)を、余白検知部182において抽出した余白領域BP-1の一部に重畳することを決定する。
また例えば、重畳領域決定部183は、部位Bの測定結果を表示する結果表示領域SW-2を、余白検知部182において抽出した余白領域BP-2の一部に重畳することを決定する。
【0046】
フォーマット決定部185は、測定寸法を表示する第2フォーマットを、設計寸法を表示する第1フォーマットに追従させる。ここで本実施形態において、フォーマットとは、寸法を表示する文字の色、太さ、大きさ等の書体を少なくとも含む書式をいう。即ち、測定寸法を表示する第2フォーマットとは、測定結果を表示する書式をいい、設計寸法を表示する第1フォーマットとは、設計寸法を表示する書式をいう。
具体的には例えば
図10に示すように、フォーマット決定部185は、結果表示領域SW-1~SW-2に表示される測定結果の書式を、認識部186において認識した書式(
図10の例では、設計寸法表示領域PW-1~PW-2に表示される設計寸法及び公差の書体)と一致させるように制御する。
【0047】
また、フォーマット決定部185は、演算部184において算出した結果に基づいて、設計寸法と、測定寸法との寸法差が、所定の閾値より大きい場合には、測定寸法を、設計情報が示すフォーマットとは異なる第3フォーマットで表示するように制御する。具体的には、フォーマット決定部185は、設計寸法と、測定寸法との寸法差が、上記閾値としての公差より大きい場合には、結果表示領域SW-1に表示される測定寸法を、設計寸法表示領域PW-1に表示される設計情報とは異なる書式で表示するよう制御する。例えば
図11の例では、部位Aに対応する設計寸法表示領域PW-1に表示される設計寸法及び公差が18±0.2であるのに対し、結果表示領域SW-1に表示される測定結果が18.5である。即ち、設計寸法と、測定寸法との寸法差が公差である0.2より大きいため、フォーマット決定部185は、結果表示領域SW-1に表示される測定結果を、太字かつ大きいフォントで表示するように制御する。
【0048】
以上、合成画像生成部180に備わる各部の機能について説明した。このように、合成画像生成部180の各部がそれぞれ機能を発揮することにより、結果表示領域SWが設計データPIに重畳された合成画像SIが生成されるようになる。
【0049】
出力部190は、第3画像としての合成画像SIを出力する。即ち、出力部190は、合成画像生成部180において生成された合成画像SIを操作パネル140等へ出力する制御を実行する。
【0050】
次に、このような画像合成処理を実行する際の作業の流れについて説明する。
図12は、第1の実施形態にかかる画像合成処理が実行される際の作業者Wと画像処理装置1の動作の流れを示す模式図である。
【0051】
作業者Wは、画像処理装置1のコンタクトガラス11の上に、物品Mの設計情報を載置する(ステップS111)。具体的には例えば、作業者Wは、物品Mの設計情報が固着された図面などの媒体をコンタクトガラス11の上に載置する。作業者Wは、画像処理装置1の操作パネル140を操作して、スキャン開始を指示する(ステップS112)。
【0052】
画像処理装置1は、スキャンを開始する(ステップS113)。具体的には、画像処理装置1のキャリッジ12が走行することにより設計情報のスキャンが開始される。
【0053】
画像処理装置1は、スキャンで読み取られた設計データPIを記憶部109に記憶する(ステップS114)。具体的には、記憶部109は、物品Mの設計情報がスキャニングされた結果得られる設計データPIを記憶する。
【0054】
作業者Wは、画像処理装置1のコンタクトガラス11の上から媒体を除去し、代わりに測定対象の物品Mをコンタクトガラス11の上に載置する(ステップS115)。
【0055】
作業者Wは、操作パネル140を操作して、物品Mの測定部位を指定する(ステップS116)。そして、作業者Wは、操作パネル140を操作して物品Mの寸法の測定開始を指示する(ステップS117)。
【0056】
画像処理装置1は、物品Mのスキャンを開始する(ステップS118)。即ち、画像処理装置1の画像取得部160は、物品Mがスキャニングされた結果得られた撮像データMIを取得する。
【0057】
画像処理装置1は、物品Mの寸法を測定する(ステップS119)。即ち、画像処理装置1の測定部170は、画像取得部160において取得した撮像データMIに対して所定の画像処理手法を実行することにより、物品Mの測定対象箇所の寸法の測定を行う。測定部170は、各測定対象箇所と、測定結果とを対応づけて保持する。
【0058】
次に、画像処理装置1は、記憶された設計データPIと、物品Mの測定結果とを組み合わせて出力するための処理を開始する(ステップS120)。このようなステップS120の処理を特に「画像生成処理」と呼ぶ。
次に、
図13を参照して、画像生成処理の詳細を説明する。
図13は、第1の実施形態にかかる画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0059】
特定部181は、ステップS114において記憶された設計データPIを読み込む(ステップS201)。
【0060】
特定部181は、位置合わせの処理を実行する(ステップS202)。これにより、測定対象の物品Mに対応する設計データPIの特定がなされると共に、設計データPIのうち、結果表示領域SWを重畳するための余白領域BPの検知が可能になる。
【0061】
余白検知部182は、抽出された設計データPIに基づいて、余白領域BPを検知する。具体的には、余白検知部182は、設計データPIのうち、いずれの情報も表示されない余白領域BPを抽出する(ステップS203)。
【0062】
演算部184は、物品Mの各測定対象箇所の設計寸法と、測定寸法との寸法差や、算出した寸法差に基づく測定結果の判定等の演算を実行する(ステップS204)。これにより、設計寸法と測定寸法との差が自動演算されるため、容易に結果を認識できるようになる。
【0063】
フォーマット決定部185は、結果表示領域SWに表示する測定結果のフォーマットを決定する(ステップS205)。即ち、フォーマット決定部185は、結果表示領域SWに表示される測定結果のフォーマットを、設計寸法を示すフォーマットに追従させたり、任意のフォーマットに決定する。
【0064】
重畳領域決定部183は、抽出された余白領域BPにおいて、結果表示領域SWを重畳させる位置を決定する(ステップS206)。
【0065】
以上のようにして、ステップS120の画像生成処理が終了する。このように、合成画像生成部180の各部が機能を発揮することにより、測定された物品Mの寸法が表示される結果表示領域SWが、設計データPIに重畳された合成画像SIが生成される。
図12に戻り、処理は、
図12のステップS120からステップS121に進む。
【0066】
出力部190は、合成画像SIを出力する制御を実行する。具体的には、出力部190は、物品Mの寸法の測定結果が、設計データPIに重畳された合成画像SIを、操作パネル140、紙媒体、または電子データとして出力する制御を実行する(ステップS121)。
【0067】
このようにして、作業者Wは、合成画像SIを出力結果として入手し、作業を終了する(ステップS122)。
以上、第1の実施形態にかかる画像合成処理が実行される際の作業者Wと画像処理装置1の動作の流れについて説明した。
【0068】
このように、第1の実施形態にかかる画像処理装置1は、物品Mの設計情報が読み込まれた設計データPIと、物品Mを読み取った撮像データMIとを組み合わせることにより、物品Mの寸法の測定結果が設計データPIに重畳された新たな合成画像SIを出力することができる。これにより、測定結果と設計情報とを並べて表示して出力することができるため、結果が見やすくなり、設計情報に対する測定結果の合否を一目で把握することができるようになる。従って、本実施形態によれば、作業者による作業の効率化を図ることができる。
【0069】
また、第1の実施形態にかかる画像処理装置1は、設計データPIのうちいずれの情報も表示されない余白領域BPに物品Mの寸法の測定結果を表示する結果表示領域SWを重畳させることができる。これにより、設計寸法表示領域Pと結果表示領域SWとが重なりあうことを回避することができる。また、作業者が手動で調整しなくても自動で結果表示領域SWの重畳場所が決定されるため、作業の効率が改善されると共に、例えば、設計寸法表示領域PWに対する結果表示領域SWの位置関係を一定に保つことができる。
【0070】
また、第1の実施形態にかかる画像処理装置1は、測定結果を表示するフォーマットを、設計情報のフォーマットに一致させることができる。そのため、作業者が手動で設定しなくても、測定結果と設計情報とを同一の書式で並べて表示して出力することができるため、測定結果を容易に確認することができるようになる。
【0071】
さらに、第1の実施形態にかかる画像処理装置1は、設計寸法と、測定結果との寸法差や、設計公差に対する測定結果の判定を演算し、例えば、寸法差が所定の閾値より大きい等の場合には、測定結果を所定のフォーマットで表示する。これにより、測定結果が閾値を逸脱した結果のみを強調して表示する等が可能になるため、一目で容易に結果の合否を認識できるようになる。
【0072】
(第1の実施形態の変形例)
上述の実施形態においては、記憶部109は、画像処理装置1に配置されているものとして説明したが、これに限定されない。例えば、記憶部109は、USBメモリ等の所定の記憶媒体や、外部のサーバであってもよい。画像処理装置1は、このような記憶媒体やサーバに記憶された設計データPIに基づいて合成画像SIを生成してもよい。
【0073】
上述の実施形態においては、記憶部109は、物品Mの設計図面等をスキャニングして得られた画像データを、設計データPIとして記憶すると説明したが、これに限定されない。例えば、記憶部109は、別途用意された画像データを設計データPIとして記憶してもよい。
【0074】
上述の実施形態においては、物品Mの設計寸法、及び公差等の設計情報は、認識部186によって自動認識されるものとして説明したが、認識方法はこの方法に限定されず、任意でよい。例えば、操作パネル140を介し、作業者が手動で設計情報を入力してもよい。
【0075】
また、上述の実施形態においては、結果表示領域SWを重畳する位置は、重畳領域決定部183によって自動で決定されるものとして説明したが、重畳位置の決定方法はこれに限定されず、任意でよい。例えば、操作パネル140を介し、作業者が手動で結果表示領域SWを重畳させる位置を指定してもよい。
【0076】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、物品Mの寸法の測定結果を、設計データPIに重畳した合成画像SIを生成する手法について説明したが、第2の実施形態では、物品の設計情報を、撮像データMIに重畳した新たな合成画像SIを出力している。
第2の実施形態では、このような合成画像SIの生成処理について説明する。
なお、上述の第1の実施形態と共通する部分については説明を適宜に省略する。第2の実施形態にかかる画像形成装置の外観構成、ハードウェア構成、および機能的構成については第1の実施形態と同様である。
【0077】
図14は、第2の実施形態にかかる画像合成処理が実行される際の作業者Wと画像処理装置1の動作の流れを示す模式図である。
【0078】
なお、
図14のステップ131~139については、第1の実施形態における
図12で説明したステップ111~119と同様であるため、まず
図15に進み、ステップS140の画像合成処理について主に説明する。
【0079】
図15において、
図14のステップS140の画像生成処理について説明する。
図15は、第2の実施形態にかかる画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【0080】
特定部181は、ステップS114において記憶された設計データPIを読み込む(ステップS401)。
【0081】
特定部181は、位置合わせの処理を実行する(ステップS402)。
【0082】
認識部186は、設計データPIに含まれる設計寸法、及び公差等の設計情報を認識する。(ステップS403)。
【0083】
演算部184は、物品Mの各測定対象箇所の設計寸法と、測定寸法との寸法差や、算出した寸法差に基づく結果の判定等の演算を実行する。そして、フォーマット決定部185は、このような演算結果に基づいて、設計寸法表示領域PWに表示する設計寸法のフォーマットを決定する(ステップS404)。
【0084】
重畳領域決定部183は、撮像データMIのうち、設計寸法表示領域PWを重畳させる位置を決定する(ステップS405)。即ち、重畳領域決定部183は、設計寸法表示領域PWを、撮像データMIの任意の位置に重畳させることができる。
【0085】
以上のようにして、ステップS140の画像生成処理が終了する。このように合成画像生成部180の各部が機能を発揮することにより、設計寸法が表示される設計寸法表示領域PWを、撮像データMIに重畳させた第4画像を生成する。ここで、本実施形態における第4画像に相当する合成画像SIの一例を
図16に示す。
図16に示すように、合成画像生成部180は、撮像データMIにおいて、例えば部位Aの測定結果を表示する結果表示領域SW-1の近傍に設計寸法表示領域PW-1を、また部位Cの測定結果を表示する結果表示領域SW-2の近傍に設計寸法表示領域PW-2を重畳した合成画像SIを生成する。
図14に戻り、処理は、
図14のステップS140からステップS141に進む。
【0086】
出力部190は、第4画像としての合成画像SIを出力する制御を実行する。具体的には、出力部190は、物品Mの設計情報が、撮像データMIに重畳された合成画像SIを、操作パネル140、紙媒体、または電子データとして出力する制御を実行する(ステップS141)。
【0087】
このようにして、作業者Wは、合成画像SIを出力結果として入手し、作業を終了する(ステップS142)。
【0088】
このように、第2の実施形態にかかる画像処理装置1によれば、物品Mの設計情報が読み込まれた設計データPIと、物品Mを読み取った撮像データMIとを組み合わせることにより、物品Mの設計寸法、及び公差等の設計情報が、撮像データMIに重畳された新たな合成画像SIを出力することができる。
そのため、例えば、測定結果と測定結果に対応する公差を並べて表示することができるので、物品Mの測定結果と、結果の合否を一目で容易に把握することができるようになる。従って、本実施形態によれば、作業者による作業の効率化を図ることができる。
【0089】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0090】
また、
図3に示す機能ブロックは、例示に過ぎず特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が演算装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは、特に
図3の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図3に限定されず、任意でよい。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 画像処理装置
10 スキャナユニット
11 コンタクトガラス
12 キャリッジ
13 キャリッジホームポジション
20 プリンタユニット
30 ADF
180 合成画像生成部
181 特定部
182 余白検知部
183 重畳領域決定部
184 演算部
185 フォーマット決定部
186 認識部
190 出力部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】