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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140848
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】折り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/20 20060101AFI20230928BHJP
   B65H 33/06 20060101ALI20230928BHJP
   B65H 43/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65H45/20
B65H33/06
B65H43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046889
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】久保 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 明仁
(72)【発明者】
【氏名】藤田 剛行
【テーマコード(参考)】
3F048
3F108
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048AC02
3F048BA05
3F048BB03
3F048BB05
3F048CA02
3F048CC03
3F048DB07
3F048DB11
3F048EA15
3F108AA01
3F108AB04
3F108AC01
3F108BA04
3F108BA09
3F108BB02
3F108BB12
3F108BB15
3F108BB23
3F108CB45
3F108CB48
3F108CD05
3F108EA02
3F108EA09
3F108EA11
(57)【要約】
【課題】折り束の高さが許容の上限を超えてしまうことを未然に防ぎ、排出口や折りローラ対などにて紙詰まりを発生させることなく排紙させ、ユーザが紙詰まり除去作業をしなくて済むようにすることができる折り装置を提供する。
【解決手段】折り装置は、記録媒体の全長および折り幅にもとづき、一定の折り幅で折り処理を続けていくと折り束が排出口または折りローラ対を通過できる所定高さを超えると判断された場合、所定の枚数以降の折り動作から、指定された長さの折り幅と、指定された長さよりも短い折り幅を交互に形成することで、折り位置をずらして折り束から後続の記録媒体を脱出させ、スプレッド状の折り束を形成していく。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を複数回折る折りローラ対と、
前記折りローラ対に前記記録媒体を搬送させる搬送ローラ対と、
前記折りローラ対によって前記記録媒体を折り曲げる方向を切り替え、かつ前記記録媒体を折り込ませる誘導部と、
前記折りローラ対によって折り処理を複数回施した折り束を排出する排出口と、
折り幅を計測できる検知部と、
を有する折り装置において、
前記記録媒体の全長および折り幅にもとづき、一定の折り幅で折り処理を続けていくと前記折り束が前記排出口または前記折りローラ対を通過できる所定高さを超えると判断された場合、所定の枚数以降の折り動作から、指定された長さの折り幅と、指定された長さよりも短い折り幅を交互に形成することで、折り位置をずらして前記折り束から後続の前記記録媒体を脱出させ、スプレッド状の前記折り束を形成していく、ことを特徴とする折り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の折り装置において、
残り枚数の値を任意の値に設定可能であることを特徴とする折り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の折り装置において、
前記残り枚数をXとし、
前記折り束が前記排出口または前記折りローラ対を通過できる高さの場合の最大折り枚数をYとし、
第1ずれ量を(前記指定された折り幅)/(X/2+1)とし、
第2ずれ量を(前記指定された折り幅)/(Y/2+1)とし、
前記排出口に向かう第1方向に前記記録媒体を移動させて前記記録媒体を折る動作を、第1方向折り動作とし、
前記第1方向とは逆の第2方向に前記記録媒体を移動させて前記記録媒体を折る動作を、第2方向折り動作とした場合に、
前記残り枚数が前記最大折り枚数から現在の折り枚数を減算した値未満のときには、第1動作を行い、前記残り枚数が前記最大折り枚数から現在の折り枚数を減算した値以上のときには、第2動作を行い、現在の折り枚数が前記最大折り枚数以上の場合には、第3動作を行い、
前記第1動作は、前記第1方向折り動作および前記第2方向折り動作のいずれにおいても前記指定された折り幅の折り動作を行い、
前記第2動作は、前記第1方向折り動作においては、前記折り幅を、指定された折り幅から前記第1ずれ量を減算した値とし、前記第2方向折り動作においては、前記折り幅を、前記指定された折り幅とし、
前記第3動作は、前記第1方向折り動作においては、前記折り幅を、指定された折り幅から前記第2ずれ量を減算した値とし、前記第2方向折り動作においては、前記折り幅を、前記指定された折り幅とする、ことを特徴とする折り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙を蛇腹状に折ることを目的で、折り位置をきれいに揃えたり、所定のサイズに折り束を収めたりする構成の折り装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の折り装置では、折り位置をずらさず正確に揃えることが一般的な目標となっている。このため、折り位置の周辺は紙の膨らみなどで厚みが多くなり、それが縦に揃っているとなると折り処理を終えた折り束の側面が高くなりやすくなる。そうなると、折り装置内での排紙時にその折り束の側面が排出口に引っかかったり、折り束の厚みがロール間の通過可能限界幅を超えて通れなくなり、紙詰まりになってしまう。または引っかからないようにするために折り回数にある程度の上限を設けざるを得なくなり、折り処理の最中に折り回数の限界を検知した時点で折り動作を中止させて手動で用紙を切ったりなどして排紙せざるを得なくなる。このように、従来の折り装置では、ユーザ側に余計な作業を増やしてしまうという問題があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、折り束の高さが許容の上限を超えてしまうことを未然に防ぎ、排出口や折りローラ対などにて紙詰まりを発生させることなく排紙させ、ユーザが紙詰まり除去作業をしなくて済むようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記録媒体を複数回折る折りローラ対と、前記折りローラ対に前記記録媒体を搬送させる搬送ローラ対と、前記折りローラ対によって前記記録媒体を折り曲げる方向を切り替え、かつ前記記録媒体を折り込ませる誘導部と、前記折りローラ対によって折り処理を複数回施した折り束を排出する排出口と、折り幅を計測できる検知部と、を有する折り装置において、前記記録媒体の全長および折り幅にもとづき、一定の折り幅で折り処理を続けていくと前記折り束が前記排出口または前記折りローラ対を通過できる所定高さを超えると判断された場合、所定の枚数以降の折り動作から、指定された長さの折り幅と、指定された長さよりも短い折り幅を交互に形成することで、折り位置をずらして前記折り束から後続の前記記録媒体を脱出させ、スプレッド状の前記折り束を形成していく、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、折り束の高さが許容の上限を超えてしまうことを未然に防ぎ、排出口や折りローラ対などにて紙詰まりを発生させることなく排紙させ、ユーザが紙詰まり除去作業をしなくて済むようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施の形態の折り装置を示す図であって、図示しない画像形成装置などから、搬送ローラ対の下方向搬送回転によって折り装置内に搬送されてきた記録媒体が、折りナイフの誘導によって折りローラ対に進入した時点を示す図である。
図2図2は、実施の形態の折り装置を示す図であって、折り束が排出口や折りローラ対と折りローラ対を通過できる上限に近づき、折り位置をずらそうとしている時点を示した図である。
図3図3は、実施の形態の折り装置を示す図であって、搬送ローラ対の下方向搬送回転と、折りローラ対の右方向搬送回転と、折りナイフの誘導によって、記録媒体の次の折り位置が折りローラ対にニップされた時点を示した図である。
図4図4は、実施の形態の折り束の断面図であって、排出口を通過できる高さに近づいた時点から、折り動作を開始してスプレッド状の折り束を形成し始めた際の折り束の断面図である。
図5図5は、実施の形態の脱出のための折り位置のずらしにおいて、図4とは別の折り方の一例を示した図である。
図6図6は、実施の形態の脱出後のスプレッド状になった部分の長さを抑制する折り方を示した図である。
図7図7は、実施の形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、実施の形態の折り装置の説明をする。
【0009】
実施の形態の折り装置は、本来一定の折り幅で折っていく折り処理において、記録媒体の厚さや種類、残りの折り回数や残りの長さなどを鑑み、このまま一定の折り幅で折り処理を続けていくと折り束が排出口や折りローラ対などを通過できる高さを超えてしまって紙詰まりになると判断された場合、その時点から、例えば偶数回目の折り幅をやや短く、あるいはやや長くすることであえて折り位置をずらしていき、折り束の側面に傾斜を生ませて折り位置の厚みを分散させ(その形状が、横一列に並べ広げたトランプに似ていることから、以降便宜的に「スプレッド状」と称することとする)、最終的な折り束の高さを抑制するというものである。これによって、折り束の高さが許容の上限を超えてしまうことを未然に防ぎ、排出口や折りローラ対などにて紙詰まりを発生させることなく排紙することができるため、ユーザが紙詰まり除去作業をしなくて済むようになる。折り装置は、蛇腹折り装置とも称され、排出口は、排紙口とも称される。
【0010】
以降、これらのことを図を用いて説明していく。
【0011】
図1は、実施の形態の折り装置11を示す図であって、折り装置11において、図示しない画像形成装置などから、搬送ローラ対10の下方向搬送回転によって折り装置11内に搬送されてきた記録媒体7が、折りナイフ8の誘導によって折りローラ対1に進入した時点を示す図である。記録媒体7は、用紙である。
【0012】
折りローラ対1は右方向搬送回転している。この時、搬送ガイド板3上に設けられた折り幅検知センサ6と折り幅検知センサ5のうちの後者のセンサの計測により、記録媒体7の一回目の折り幅7aが確保される。その後、搬送ローラ対10の上方向搬送回転と、折りローラ対1の左方向搬送回転によって記録媒体7が一旦引き戻される。続いて折りナイフ8が退避し、搬送ローラ対10の下方向搬送回転と、折りローラ対1および折りローラ対2の左方向搬送回転によって記録媒体7が折りローラ対2の方へ搬送され、今度は折りナイフ9のガイドによって記録媒体7が折り幅7aの位置で折りローラ対2にニップされ、折り位置が形成される。以降、この動作を繰り返し、折り幅7aを蛇腹状に堆積していく。なお、排出口4だが、折り処理を終えて排紙されようとする折り束がここの高さをよりも高くなってしまい、紙詰まりになるというのが本実施の形態で解決したい課題である。
【0013】
図2は、実施の形態の折り装置11を示す図であって、折り束が排出口4や折りローラ対1と折りローラ対2を通過できる上限に近づき、折り位置をずらそうとしている時点を示した図である。
【0014】
記録媒体7の全長および折り幅7aにもとづき、一定の折り幅で折り処理を続けていくと折り束が排出口4または折りローラ対2を通過できる所定高さを超えると判断する。具体的に、記録媒体7をある幅で折り重ねていくときの、1枚当たりの折束積層方向の高さをh1とし、ユーザから入力された折り処理のジョブで形成する折り枚数をMとしたときh1×Mの値が所定高さ7´を超えるかどうかを判断する。所定高さ7´は、折り束が折り装置11内の折りローラ対1,2によって搬送可能な高さの上限および排出口4を通過できる上限の高さのうち低いほうである。所定高さ7´を超えると判断された場合、所定の枚数以降の折り動作から、折り幅検知センサ6の計測によって本来の折り幅7aよりも短い折り幅7b(太線)を形成する。この長さの差がスプレッド状を形成するための折り位置のずれ量となる。今回の例では10mm短くすると仮定するが、記録媒体7の種類や厚さ、折り回数などを鑑みて適切に折り幅7bの長さ(=どのくらい折り位置をずらすか)を自動または手動で設定することが可能である。
【0015】
図3は、実施の形態の折り装置11を示す図であって、図1と同じように、搬送ローラ対10の下方向搬送回転と、折りローラ対1の右方向搬送回転と、折りナイフ8の誘導によって、記録媒体7の次の折り位置が折りローラ対1にニップされた時点を示す図である。
【0016】
今回の例だと折り幅7bが折り幅7aより10mm短くなるので、図の通り折り位置がずれ、スプレッド状になる。この時、折り幅検知センサ5が次の折り幅7cを計測することになるのだが、その長さは本来の長さ通りとなる(=折り幅7aと同じ長さ)。その際、折り幅7aの端部にて検知が開始されるが、そこから折り幅7bとの長さの差分(の累計)、つまり今回の例だと10mmを差し引けば、折り幅7bの端部からの計測としてみなすことができる。以降、最後まで折り幅7c(=折り幅7a)と折り幅7bを交互に形成していく。つまり長い折り幅、短い折り幅、長い折り幅、・・・と繰り返すこととなり、折り位置がずれて(今回の例だと左方向にずれていく)折り束の側面がスプレッド状になっていく。スプレッド状になれば折り束の高さを抑制することができ、排出口4や折りローラ対1と折りローラ対2を通過する際に折り束が引っかかって紙詰まりになることがなくなる。
【0017】
図4は、実施の形態の折り束の断面図であって、排出口4を通過できる高さに近づいた時点から、折り動作を開始してスプレッド状の折り束を形成し始めた際の折り束の断面図である。
【0018】
記録媒体7が本来の折り幅7aで従来の蛇腹折りを実施している最中に、このままだと折り束が折り装置11内を搬送できる上限の高さ7´に到達することが判断された場合、その時点から本来の折り幅7aよりも短い折り幅7b(太線)を一回置きに挟むことで折り位置を左方向へずらしていって脱出させ、スプレッド状の折り束を形成していく。ここで、本実施の形態では、折り位置のずらしによって、折り束の最上部から後続の記録媒体7分を横に着地させることを、脱出と呼ぶ。
【0019】
こうすることで図のように折り束の高さが高さ7´以上になることを回避でき、紙詰まりを起こすことなく折り束を排出口4から排紙することができるため、ユーザによる紙詰まり除去作業を省くことができる。
【0020】
このとき、折り装置11内を搬送できる上限の高さ7´に対して、残り枚数の何枚から脱出のための折り位置ずらしを行わせるかを設定することができる。ここで、上記の「枚数」は、蛇腹折りされた折り束において、折り重なっている記録媒体7の枚数のことを指す。例えば左右一回ずつ折られた蛇腹折り(側面から見ると「Z」字)の折り束の枚数は、3枚となる。
【0021】
搬送可能な上限の高さ7´に相当する最大折り枚数に対し、残り枚数Xで折り束から脱出させようと設定された場合、
ずれ量A=本来の折り幅7a/(X/2+1)
となる。
【0022】
往路方向12への折り幅を、本来の折り幅7aよりも短い折り幅7bとし、復路方向13への折り幅は、本来の折り幅7aを維持し、そうすることでずれ量Aを形成していく。
【0023】
図5は、実施の形態の脱出のための折り位置のずらしにおいて、図4とは別の折り方の一例を示した図である。
【0024】
図4とは違い、往路方向12への折り幅を、本来の折り幅7aよりも短い折り幅7dとし、復路方向13への折り幅も、本来の折り幅7aよりも短い折り幅7dとし、さらにその折り幅を段々と短くしていくことで、脱出させてもいい。
【0025】
ところで、これまでの実施の形態を用いた場合、脱出後のスプレッド状になった部分が横にどんどん伸びていくことになるため、折り装置11内を搬送するにあたって今度は記録媒体7の横の長さにおいて不都合が生じる可能性が出てくる。このため、本実施の形態を最良に利用するには、スプレッド状の部分の長さもいかに抑制するかが重要になってくる。その解決方法に関して図6にて説明する。
【0026】
図6は、実施の形態の脱出後のスプレッド状になった部分の長さを抑制する折り方を示した図である。
【0027】
搬送可能な上限の高さ7´に相当する最大折り枚数をYとすると、
ずれ量B=本来の折り幅7a/(Y/2+1)
となる。
【0028】
往路方向12への折り幅を、本来の折り幅7aよりも短い折り幅7eとし、復路方向13への折り幅は、本来の折り幅7aを維持し、そうすることでずれ量Bを形成していく。このずれ量Bが、スプレッド状の部分の長さを抑制するための最適なずれ量である。
【0029】
図7は、実施の形態のフローチャートである。詳細には、図7は、図6の折り方法を基づいたフローチャートである。下記処理は制御装置が実行する。制御装置は、例えば、コンピュータである。ここで、ジャバラ用紙の排出口4を右側とした場合、往路方向12の折りを往路、復路方向13の折りを復路とする。
【0030】
S1において、残り枚数Xおよび折り幅7aを折り装置11のオペレーションパネルや折り装置11に接続されたPC等によるユーザにの入力により制御装置が設定する。残り枚数Xは、図5図6において、本来の折り幅7aで所定枚数折った後、折り幅7a内に含まれる紙幅を徐々に小さくしながら折り幅7aの上に折り重ねる枚数である。図6では折り幅7aの上の領域に、3×A幅で2枚、2×A幅で2枚、A幅で2枚が重ねられるため、その合計である6枚がXの値である。折り幅7aは、等幅とも称される。
【0031】
S2において、記録媒体7の先端を、折り幅7aで重ねる紙束の先端にくるように用紙を搬送する。この時点で現在の枚数mである「1」をカウンタにセットする。
【0032】
S3、S4において、折り動作を折り幅7aで繰り返していく。
【0033】
S5において、折り動作は、最大折り枚数-現在の折り枚数mが、S1で設定した残り枚数(図6の例では6)以下になるかどうか判断する。「Yes」の場合、S6へすすむ。最大折り枚数は、搬送可能な上限の高さ7´に相当する最大折り枚数Yである。Yの値は、折りを施す記録媒体7の紙厚や種類毎に予め装置内のメモリに記憶されている。
【0034】
S6、S7において、排出口4へ向かう方向なら折り幅を(折り幅7a-ずれ量A)、排出口4と逆方向なら折り幅を折り幅7aで折り動作をおこなう。図6では折り幅7aの上の領域に、3×A幅で2枚、2×A幅で2枚、A幅で2枚が重ねられる。この6枚をかさねるとき、図6で左側に7幅の紙束から徐々にはみ出す量を増やしていくように用紙が折られる。
【0035】
S8において、現在の折り枚数mが最大折り枚数Yになったら、S9のフローに進む。最大折り枚数Yは、図6の例では13である。
【0036】
S9において、図6で折り幅7aの紙束よりも左側の領域にずれ量Bでずらしながら折りを施している。
【0037】
S10において、センサ21で記録媒体7の後端を検知したらS11にすすむ。ここで、センサ21は、図6に示すように、記録媒体7が折られていく領域の所定距離左側(記録媒体7の搬送方向上流側)に設置されている。
【0038】
S11において、折り動作を終了し、折られた記録媒体7全体を排出口4(図2)から排出する。なお、ずれ量Bでずらしながら折られる記録媒体7の全長(図6で左右方向の全体の長さ)が長い場合、S9の折り動作をおこないながら既に折られた部分の記録媒体7を排出口4から部分的に排出し、S11で記録媒体7の後端を含む全体を排出する構成としてもよい。
【0039】
図5の折り形態の場合は、指定の折り幅-ずれ量Aの場合、復路の折り返し位置は同じとし、指定の折り幅-ずれ量Bの場合、折り幅を変更するのは往路のみとする。図6の折り形態の場合は、指定の折り幅-ずれ量Aの場合も指定の折り幅-ずれ量Bの場合も、折り幅を変更するのは往路のみとする。残りX枚で最大ロール幅枚数を脱出すると、
ずれ量A=本来の折り幅7a/(X/2+1)
である。また、最大折り枚数をYとすると、
ずれ量B=本来の折り幅7a/(Y/2+1)
である。
【0040】
以上のように、本実施の形態では、折り装置11は、折りローラ対1と、搬送ローラ対10と、折りナイフ8,9(誘導部)と、排出口4と、幅検知センサ5,6(検知部)と、を有する。折りローラ対1は、記録媒体7を複数回折る。搬送ローラ対10は、折りローラ対1に記録媒体7を搬送させる。折りナイフ8,9は、折りローラ対1によって記録媒体7を折り曲げる方向を切り替え、かつ記録媒体7を折り込ませる。排出口4は、折りローラ対1によって折り処理を複数回施した折り束を排出する。幅検知センサ5,6は、折り幅を計測できる。折り装置11は、記録媒体7の全長および折り幅にもとづき、一定の折り幅で折り処理を続けていくと折り束が排出口4または折りローラ対1を通過できる所定高さを超えると判断された場合、所定の枚数以降の折り動作から、指定された長さの折り幅と、指定された長さよりも短い折り幅を交互に形成することで、折り位置をずらして折り束から後続の記録媒体を脱出させ、スプレッド状の折り束を形成していく。所定の枚数以降の折り動作は、例えば、図7のS5でYesとなった枚数以降、S6およびS9のように折り動作をする動作である。
【0041】
このような構成によれば、折り束の高さが排出口4を通過できる限界の高さに達したと判断された場合、緊急的に上記処理を実施することで紙詰まりを回避することができる。ユーザの意図とは違う折り束が排出されることになるかもしれないが、折り装置11内で紙詰まりを発生させることなく折り束を排出しきることができるため、ユーザによる紙詰まり除去作業を省くことができる。また、折り束の高さが許容の上限を超えてしまう前に折り束の高さを分散させ、排出口4や折りローラ対1などにて紙詰まりを発生させることなく排紙させることができる。
【0042】
ここで、折り装置11内の搬送路の高さに対しての紙詰まりを回避するために上記処理を適用しても、今度は搬送路の横の長さに対しての紙詰まりの可能性も出てくるかもしれない。そこで、本実施の形態の折り装置11は、残り枚数Xの値を任意の値に設定可能である。これにより、脱出後のスプレッド状の折り束の長さも極力短くなるようにすることで、横の長さに対する紙詰まりも回避する。
【0043】
このような構成によれば、残り枚数Xの値を任意に設定することで、ユーザの意図にあわせて(Xを小さくすることで)等幅で重ねて折る枚数を増やす、もしくは(Xを大きくすることで)記録媒体7全体のうちの大部分をスプレッド状で出力する等を任意に選択することができる。
【0044】
また、折り装置11において、残り枚数をXとし、折り束が排出口4または折りローラ対1を通過できる高さの場合の最大折り枚数をYとする。また、第1ずれ量を(指定された折り幅)/(X/2+1)とし、第2ずれ量を(指定された折り幅)/(Y/2+1)とする。また、排出口4に向かう往路方向12(第1方向)に記録媒体7を移動させて記録媒体を折る動作を、第1方向折り動作とし、往路方向12とは逆の復路方向13(第2方向)に記録媒体7を移動させて記録媒体を折る動作を、第2方向折り動作とする。上記の場合に、折り装置11は、残り枚数が最大折り枚数から現在の折り枚数を減算した値未満のときには、第1動作を行い、残り枚数が最大折り枚数から現在の折り枚数を減算した値以上のときには、第2動作を行い、現在の折り枚数が前記最大折り枚数以上の場合には、第3動作を行う。第1動作は、第1方向折り動作および第2方向折り動作のいずれにおいても指定された折り幅の折り動作を行う。第2動作は、第1方向折り動作においては、折り幅を、指定された折り幅から第1ずれ量を減算した値とし、第2方向折り動作においては、折り幅を、指定された折り幅とする。第3動作は、第1方向折り動作においては、折り幅を、指定された折り幅から第2ずれ量を減算した値とし、第2方向折り動作においては、折り幅を、指定された折り幅とする。なお、上記最大折り枚数は、最大折り回数であってもよい。
【0045】
このような構成によれば、スプレッド形状をふくむ記録媒体7全体の横幅(図6で左右方向)をコンパクトにしつつ記録媒体7を折り処理できる。
【0046】
最後に、上述の実施の形態は、一例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことも可能である。また、実施の形態及び実施の形態の変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0047】
1 折りローラ対
4 排出口
5,6 幅検知センサ(検知部)
7 記録媒体
8,9 折りナイフ(誘導部)
10 搬送ローラ対
11 折り装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特公平07-039312号公報
【特許文献2】特表2002-519216号公報
【特許文献3】特開平08-151168号公報
【特許文献4】特開平05-238635号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7