(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023140921
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】蓄電装置、電力供給システム、蓄電方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20230928BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230928BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H02J7/35 B
H02J1/00 304E
H02J7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022046995
(22)【出願日】2022-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】堀部 史郎
(72)【発明者】
【氏名】蔀 貴行
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165CA04
5G165CA05
5G165DA01
5G165DA02
5G165EA01
5G165GA09
5G165JA04
5G165NA02
5G503AA06
5G503BA02
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA11
5G503FA06
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】直流変換部を介さずに直流バスに接続する蓄電池と直流変換部を介して直流バスに接続する蓄電池を混在させて使用すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る蓄電装置は、直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、少なくとも前記第2蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替える切替部と、前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する制御部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、
前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、
少なくとも前記第2蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替える切替部と、
前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する制御部と、を有する、蓄電装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2蓄電池が充電する場合には、前記直流変換部における前記直流バス側の電圧を前記バス電圧に合わせるとともに、前記直流変換部における前記第2蓄電池側の電圧を前記第2蓄電池よりも高くする、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2蓄電池が放電する場合には、前記直流変換部における前記直流バス側の電圧を前記バス電圧に合わせるとともに、前記直流変換部における前記第2蓄電池側の電圧を前記第2蓄電池よりも低くする、請求項1または請求項2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記第2蓄電池の電気容量は、前記第1蓄電池の電気容量よりも大きい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
前記第1蓄電池は、内燃機関および電動機により駆動される移動体に搭載され、該電動機に電力を供給可能であり、
前記第2蓄電池は、電動機により駆動される移動体に搭載され、該電動機に電力を供給可能であり、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項6】
並列接続された複数の前記第1蓄電池を有し、
前記制御部は、複数の前記第1蓄電池それぞれの接続および解列を制御する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項7】
並列接続された複数の前記第2蓄電池を有し、
前記制御部は、複数の前記第2蓄電池それぞれの接続および解列を制御する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2蓄電池が放電している期間に前記第2蓄電池の故障が発生した場合には、前記第2蓄電池を前記直流バスに対して非接続にし、所定条件下において、前記第1蓄電池に放電させる、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項9】
前記切替部は、前記第1蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続をさらに切り替え、
前記制御部は、前記バス電圧に基づいて、前記切替部による前記第1蓄電池の接続または非接続の切替をさらに制御する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項10】
前記第1蓄電池は、それぞれが蓄電池の最小単位である電池セルを複数含む複数のセルモジュールの接続方法および接続個数の少なくとも一方が、一次用途で使用される前記第1蓄電池における前記セルモジュールの接続方法および接続個数に対して変更されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の蓄電装置。
【請求項11】
少なくとも1つの直流バスを介して負荷に直流電力を供給する電力供給システムであって、
直流電力発生源と、
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の蓄電装置と、を有する電力供給システム。
【請求項12】
直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、
前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、を有する蓄電装置による蓄電方法であって、前記蓄電装置が、
切替部により、少なくとも前記第1蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替え、
制御部により、前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する、蓄電方法。
【請求項13】
直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、
前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、を有する蓄電装置に実行させるプログラムであって、
切替部により、少なくとも前記第1蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替え、
制御部により、前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する、
処理を前記蓄電装置に実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置、電力供給システム、蓄電方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電池特性が異なる複数の蓄電池を有し、該複数の蓄電池の充放電を行う蓄電装置が知られている。電池特性が異なる蓄電池には、例えば、内燃機関と電動機とをハイブリッド自動車に搭載されるものや、電動機を有する電気自動車に搭載されるもの等が挙げられる。自動車等の電動化が進む昨今、様々な電池特性を有する多数の蓄電池が自動車への電力供給等の一次用途で使用され、使用後に廃棄されることが予測されている。
【0003】
上記の蓄電装置として、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに、電池特性が異なる複数の蓄電池の全てが直流バスに接続し、複数の蓄電池のうちの所定の蓄電池への充電、あるいは該所定の蓄電池による負荷への放電、を制御する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電装置には、直流変換部を介さずに直流バスに接続する蓄電池と直流変換部を介して直流バスに接続する蓄電池を混在させて使用することが求められている。
【0005】
本発明は、直流変換部を介さずに直流バスに接続する蓄電池と直流変換部を介して直流バスに接続する蓄電池を混在させて使用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る蓄電装置は、直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、少なくとも前記第2蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替える切替部と、前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、直流変換部を介さずに直流バスに接続する蓄電池と直流変換部を介して直流バスに接続する蓄電池を混在させて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る電力供給システムの構成を例示するブロック図である。
【
図2】第1実施形態に係る蓄電装置の構成を例示するブロック図である。
【
図3】
図2の蓄電装置のコントローラのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図2の蓄電装置のコントローラの機能構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図2の蓄電装置のコントローラによる充電時の処理例を示すフロー図である。
【
図6】
図2の蓄電装置のコントローラによる放電時の処理例を示すフロー図である。
【
図7】
図2の蓄電装置の充電時における動作例を説明する図である。
【
図8】
図2の蓄電装置の放電時における動作例を説明する図である。
【
図9】第2実施形態に係る蓄電装置の構成を例示するブロック図である。
【
図10】
図9の蓄電装置のコントローラの機能構成例を示すブロック図である。
【
図11】
図9の蓄電装置のコントローラによる放電時の処理例のフロー図である。
【
図12】
図9の蓄電装置の放電時における動作例を説明する図である。
【
図13】第3実施形態に係る蓄電装置の構成を例示するブロック図である。
【
図14】第4実施形態に係る第1蓄電池の構成例を示す図であり、
図14(a)はセルモジュール接続を変更前の図、
図14(a)はセルモジュール接続を変更後の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0010】
以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための蓄電装置を例示するものであって、本発明を以下に示す実施形態に限定するものではない。以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。
【0011】
以下、蓄電装置を有する電力供給システムを一例として実施形態を説明する。
【0012】
[実施形態]
<電力供給システム200の構成例>
図1は、実施形態に係る電力供給システム200の構成を例示するブロック図である。電力供給システム200は、蓄電装置100と、直流電力発生源201と、第1直流変換器202と、を有する。
【0013】
電力供給システム200は、直流バス300を介して負荷400に直流電力を供給するものである。
図1に示すように、電力供給システム200は、直流電力発生源201から発せられ、第1直流変換器202によりDC(Direct Current)/DC(Direct Current)変換された直流電力、並びに蓄電装置100から放電された直流電力を、直流バス300を介して負荷400に供給する。なお、本実施形態では、直流バス300が1つである構成を例示するが、直流バス300は2つ以上であってもよい。
【0014】
直流電力発生源201は、変動する直流電力を発生する電力機器であり、例えば、光起電力効果を利用して光エネルギーを電気エネルギーである電力に変換して出力する太陽電池等である。負荷400は、供給される直流電力により駆動される直流負荷機器であり、例えば、データセンターに設置されたサーバやネットワーク機器等である。
【0015】
電力供給システム200は、直流電力発生源201から発せられた直流電力を供給して負荷400を駆動させる。このため、例えば電力発生源から発せられた交流電力を直流電力に変換して負荷400を駆動させる場合と比較して、電力供給システム200は、交流電力から直流電力への変換損失が生じない点において優れている。
【0016】
ここで、直流電力発生源201から負荷400に供給される直流電力は変動するため、負荷400が必要とする直流電力に対して直流電力発生源201からの供給電力に余剰および不足が生じる場合がある。蓄電装置100は、供給電力に余剰が生じた場合には、自身が有する蓄電池に余剰電力を充電し、供給電力に不足が生じた場合には、自身が有する蓄電池から直流電力を放電して負荷400に供給する。これにより蓄電装置100は、直流電力発生源201からの供給電力と、負荷400が必要とする直流電力と、の間の差を低減させる機能を有する。以下、蓄電装置100について詳細に説明する。
【0017】
[第1実施形態]
<蓄電装置100の構成例>
図2は、第1実施形態に係る蓄電装置100の構成を例示するブロック図である。蓄電装置100は、インターフェース101と、電圧検出回路102と、第2直流変換器103と、コントローラ104と、蓄電量検出回路105と、第1蓄電池106と、第2蓄電池107と、を有する。
【0018】
インターフェース101は、第2蓄電池107の直流バス300への接続または非接続を切り替える切替部の一例である。本実施形態では、インターフェース101は、スイッチ11をオンにすることにより、第2蓄電池107を直流バス300に接続し、スイッチ11をオフにすることにより第2蓄電池107を直流バス300に対して非接続にする。但し、インターフェース101は、スイッチ11に代えてリレー等により切替を行ってもよい。
【0019】
電圧検出回路102は、直流バス300におけるバス電圧Eを検出する電気回路である。電圧検出回路102は、バス電圧Eの検出結果をコントローラ104に出力する。
【0020】
第2直流変換器103は、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部の一例である。第2直流変換器103は、第2蓄電池107とインターフェース101との間に設けられている。第2直流変換器103は、スイッチ11がオンである状態において、第2蓄電池107が充電する際には、直流バス300側の直流電圧を第2蓄電池107側の直流電圧にDC/DC変換する。一方、第2蓄電池107が放電する際には、第2直流変換器103は、第2蓄電池107側の直流電圧を直流バス300側の直流電圧にDC/DC変換する。
【0021】
コントローラ104は、蓄電装置100の動作を制御する制御装置である。コントローラ104は、インターフェース101、電圧検出回路102、第2直流変換器103および蓄電量検出回路105それぞれに対し、有線または無線により通信可能に接続している。本実施形態におけるコントローラ104は、直流バス300におけるバス電圧Eに基づいて、インターフェース101による切替と、第2直流変換器103による変換と、を制御する制御部の一例である。
【0022】
蓄電量検出回路105と、第2蓄電池107が蓄電する電力量である蓄電量を検出し、該蓄電量に対応する情報をコントローラ104に出力する電気回路である。
【0023】
第1蓄電池106および第2蓄電池107は、相互に電池特性が異なる蓄電池である。第1蓄電池106および第2蓄電池107には、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池等の各種二次電池や、キャパシタ、コンデンサ等を使用できる。
【0024】
第1蓄電池106は、HEV63a、63b、・・・、63nを有する。HEV63a、63b、・・・、63nは、並列接続された複数の第1蓄電池の一例であり、相互に同じ電池特性を有する。このHEVの個数に特段の制限はない。
【0025】
第1蓄電池106は、HEV63aがインターフェース101に対し、抵抗61aを介して接続する経路と、抵抗61aを介さずに接続する経路と、を有する。また第1蓄電池106は、HEV63bがインターフェース101に対し、抵抗61bを介して接続する経路と、抵抗61bを介さずに接続する経路と、を有する。さらに第1蓄電池106は、HEV63nがインターフェース101に対し、抵抗61nを介して接続する経路と、抵抗61nを介さずに接続する経路と、を有する。
【0026】
抵抗61a、61b、・・・、61nは、HEV63a、HEV63b、・・・、HEV63nそれぞれによる電力供給時の突入電流を抑制する。一対のスイッチであるスイッチペア62a、62b、・・・、62nは、対をなすHEV63a、63b、・・・、63nそれぞれの接続と解列とを切り替えることができる。
【0027】
第2蓄電池107は、EV73a、73b、・・・、73nを有する。EV73a、73b、・・・、73nは、並列接続された複数の第2蓄電池の一例であり、相互に同じ電池特性を有する。このEVの個数には特段の制限はない。
【0028】
第2蓄電池107は、EV73aがインターフェース101に対し、抵抗71aを介して接続する経路と、抵抗71aを介さずに接続する経路と、を有する。また第2蓄電池107は、EV73bがインターフェース101に対し、抵抗71bを介して接続する経路と、抵抗71bを介さずに接続する経路と、を有する。さらに第2蓄電池107は、EV73nがインターフェース101に対し、抵抗71nを介して接続する経路と、抵抗71nを介さずに接続する経路と、を有する。
【0029】
抵抗71a、71b、・・・、71nは、EV73a、EV73b、・・・、EV73nそれぞれによる電力供給時の突入電流を抑制する。スイッチペア72a、72b、・・・、72nは、対をなすEV73a、73b、・・・、73nそれぞれの接続と解列とを切り替えることができる。
【0030】
本実施形態では、第1蓄電池106は、直流変換部を介さずに直流バス300に接続する。第2蓄電池107は、第1蓄電池106に並列接続可能であり、第2直流変換器103を介して直流バス300に接続可能である。より詳しくは、第2蓄電池107は、スイッチ11がオンの場合に、第1蓄電池106に並列接続するとともに、第2直流変換器103を介して直流バス300に接続する。
【0031】
第1蓄電池106の電圧は、負荷400の電圧と略等しい。直流電力発生源201からの供給電力に余剰が生じた場合には、第1蓄電池106に電流が流れ、第1蓄電池106の電圧が上がり、バス電圧Eが上がる。一方、直流電力発生源201からの供給電力に不足が生じた場合には、第1蓄電池106から電流が流れ、第1蓄電池106の電圧が下がる。第1蓄電池106による充電および放電(充放電という)は、コントローラ104による制御なしに行われる。
【0032】
第1蓄電池106は、第2直流変換器103等の直流変換部を介さずに直流バス300に接続しているため、直流バス300からの直流電力の充電、および直流バス300への直流電力の放電を高効率に行える。一方で、第1蓄電池106の電圧は、直流バス300のバス電圧Eによって決定されるため、第1蓄電池106の電気容量を最大限に使用できない場合がある。従って、第1蓄電池106には、電気容量が小さくても充放電を頻繁に行う用途に適した電池特性を有する蓄電池を用いることが好ましい。
【0033】
第2蓄電池107は、第2直流変換器103を介して直流バス300に接続可能であるため、第2直流変換器103を介さない場合と比較して充放電の効率が低くなる。一方で、第2蓄電池107の電圧は、第2直流変換器103により制御できるため、第2蓄電池107の電気容量を最大限に使用できる。従って、第2蓄電池107には、大きい電気容量を用いた充放電に適した電池特性を有する蓄電池を用いることが好ましい。
【0034】
以上のことから、第2蓄電池107の電気容量は、第1蓄電池106の電気容量よりも大きいことが好ましい。
【0035】
第1蓄電池106の代表的な一例は、内燃機関および電動機により駆動される移動体としてのハイブリッド自動車に搭載され、該電動機に電力を供給可能な蓄電池である。第2蓄電池107の代表的な一例は、電動機により駆動される移動体としての電気自動車に搭載され、該電動機に電力を供給可能な蓄電池である。
【0036】
第1蓄電池106および第2蓄電池107は、生産者の手によって製造され、一度も消費者によって利用されていない状態において一次用途として利用されるもの(新品)であってもよいが、二次以降の用途として再利用(リユース)されるものであってもよい。
【0037】
例えば、二次以降の用途に利用される第1蓄電池106には、廃車になったハイブリッド自動車から取り出されて再利用されるものや、廃車になったハイブリッド自動車から取り出されて他の用途で再利用された後に、再々利用されるもの等が含まれる。また、二次以降の用途に利用される第2蓄電池107には、廃車になった電気自動車から取り出されて再利用されるものや、廃車になった電気自動車から取り出されて他の用途で再利用された後に、再々利用されるもの等が含まれる。
【0038】
但し、第1蓄電池106および第2蓄電池107は、一次用途で利用された蓄電池の形態を維持したまま再利用されるものに限定されない。第1蓄電池106および第2蓄電池107は、蓄電池の最小単位であるセルを複数集めて構成される少なくとも1つのモジュールや、複数モジュールで構成される少なくとも1つのパッケージにより構成されたものであってもよい。モジュールまたはパッケージを用いて第1蓄電池106または第2蓄電池107を構成すると、用途に応じて異なる電気容量や充放電電圧等の要求に対して効率的に対応可能になる点において好適である。
【0039】
なお、蓄電装置100は、第1蓄電池106および第2蓄電池107以外の蓄電池をさらに有することもできる。蓄電装置100が有する複数の蓄電池は、一部の蓄電池同士が同じ電池特性を有していてもよく、少なくとも1つの蓄電池の電池特性が他の蓄電池の電池特性と異なっていればよい。また、蓄電装置100が有する複数の蓄電池のうち、少なくとも1つの蓄電池が、直流変換部を介さずに直流バス300に接続可能であればよい。
【0040】
<コントローラ104のハードウェア構成例>
図3は、コントローラ104のハードウェア構成を例示するブロック図である。コントローラ104は、コンピュータによって構築されており、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、HDD/SSD(Hard Disk Drive/Solid State Drive)44と、機器接続I/F(Interface)45と、通信I/F46と、を有する。これらは、システムバスBを介して相互に通信可能に接続している。
【0041】
CPU41は、各種の演算処理を含む制御処理を実行する。ROM42は、IPL(Initial Program Loader)等のCPU41の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM43は、CPU41のワークエリアとして使用される。HDD/SSD44は、プログラム等の各種情報や、電圧検出回路102により検出されたバス電圧Eに対応する情報、蓄電量検出回路105により検出された蓄電量に対応する情報等を記憶する。
【0042】
機器接続I/F45は、コントローラ104を各種の外部機器と接続するためのインターフェースである。ここでの外部機器は、インターフェース101、電圧検出回路102、第2直流変換器103および蓄電量検出回路105等である。
【0043】
通信I/F46は、通信ネットワーク等を介して、外部装置との間で通信するためのインターフェースである。例えば、コントローラ104は、通信I/F46を介してインターネットに接続し、インターネットを介して外部装置との間で通信する。
【0044】
なお、CPU41により実現される機能の少なくとも一部は、電気回路または電子回路により実現されてもよい。
【0045】
<コントローラ104の機能構成例>
図4は、コントローラ104の機能構成を例示するブロック図である。コントローラ104は、入出力部51と、切替制御部52と、電圧制御部53と、接続解列制御部54と、格納部55と、を有する。
【0046】
コントローラ104は、入出力部51の機能を機器接続I/F45、通信I/F46等により実現できる。またコントローラ104は、切替制御部52、電圧制御部53および接続解列制御部54の各機能を、CPU41がROM42等に格納されたプログラムに規定された処理を実行すること等により実現できる。なお、コントローラ104が有する上記機能の一部は、PC(Personal Computer)等の外部装置により実現されてもよいし、コントローラ104と外部装置との分散処理により実現されてもよい。
【0047】
入出力部51は、CPU41からの指令に応じて、コントローラ104と外部機器との間、或いはコントローラ104と外部装置との間等において、データまたは情報の通信を行う。
【0048】
切替制御部52は、直流バス300におけるバス電圧Eに基づいて、インターフェース101による第2蓄電池107の直流バス300への接続または非接続の切替を制御する。
【0049】
電圧制御部53は、直流バス300におけるバス電圧Eに基づいて、第2直流変換器103による変換を制御する。より具体的には、電圧制御部53は、第2蓄電池107が充電する場合には、第2直流変換器103における直流バス300側の電圧をバス電圧Eに合わせるとともに、第2直流変換器103における第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107よりも高くするように制御する。また、電圧制御部53は、第2蓄電池107が放電する場合には、第2直流変換器103における直流バス300側の電圧をバス電圧Eに合わせるとともに、第2直流変換器103における第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107よりも低くするように制御する。
【0050】
接続解列制御部54は、HEV63a、63b、・・・、63nの接続および解列と、EV73a、73b、・・・、73nの接続および解列と、を制御する。蓄電装置100は、接続解列制御部54により第1蓄電池106および第2蓄電池107の電圧や温度を適正化し、蓄電装置100の安全性を担保できる。
【0051】
格納部55は、電圧検出回路102により検出されたバス電圧Eに対応する情報、蓄電量検出回路105により検出された蓄電量に対応する情報等を格納する。格納部55に格納された情報は、第1蓄電池106および第2蓄電池107の電圧や温度の監視用途等に使用される。
【0052】
<コントローラ104による処理例>
(充電時の処理)
図5は、コントローラ104による充電時の処理を例示するフローチャートである。コントローラ104は、直流電力発生源201からの供給電力に余剰が発生し、第1蓄電池106が充電を開始した際に、
図5の処理を開始する。
【0053】
まず、ステップS51において、コントローラ104は、入出力部51を介して電圧検出回路102によるバス電圧Eの検出結果を入力する。
【0054】
続いて、ステップS52において、コントローラ104は、バス電圧Eが予め定められた第1充電閾値以上であるか否かを判定し、第1充電閾値以上ではないと判定した場合には(ステップS52、NO)、ステップS51の処理を再度行う。一方、第1充電閾値以上であると判定した場合には(ステップS52、YES)、コントローラ104は、ステップS53において、切替制御部52により第2蓄電池107を直流バス300に接続させる。
【0055】
続いて、ステップS54において、コントローラ104は、電圧制御部53によって、第2直流変換器103の直流バス300側の電圧を、電圧検出回路102により検出されたバス電圧Eに合わせる。
【0056】
続いて、ステップS55において、コントローラ104は、電圧制御部53によって、第2直流変換器103の第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107の電圧よりも高くする。これにより、直流バス300からの電流の流れが第1蓄電池106から第2蓄電池107へ切り替わり、第2蓄電池107への充電が開始される。
【0057】
なお、ステップS53からステップS55の処理は、適宜順番が変更されてもよいし、これらの処理が並行に行われてもよい。
【0058】
続いて、ステップS56において、コントローラ104は、入出力部51を介して蓄電量検出回路105による第2蓄電池107の蓄電量の検出結果を入力する。
【0059】
続いて、ステップS57において、コントローラ104は、第2蓄電池107の蓄電量が予め定められた第2充電閾値以上であるか否かを判定し、第2充電閾値以上ではないと判定した場合には(ステップS57、NO)、ステップS56の処理を再度行う。一方、第2充電閾値以上であると判定した場合には(ステップS57、YES)、コントローラ104は、ステップS58において、直流電力発生源201の動作を制御する制御装置に対して指令を出力し、例えば直流電力発生源201による発電量を抑制させた後、処理を終了する。
【0060】
以上のようにして、コントローラ104は、第1蓄電池106および第2蓄電池107を充電させることができる。
【0061】
(放電時の処理)
図6は、コントローラ104による放電時の処理を例示するフローチャートである。コントローラ104は、直流電力発生源201からの供給電力に不足が発生し、第1蓄電池106が放電を開始した際に、
図6の処理を開始する。
【0062】
まず、ステップS61において、コントローラ104は、入出力部51を介して電圧検出回路102によるバス電圧Eの検出結果を入力する。
【0063】
続いて、ステップS62において、コントローラ104は、バス電圧Eが予め定められた第1放電閾値以下であるか否かを判定し、第1放電閾値以下ではないと判定した場合には(ステップS62、NO)、ステップS61の処理を再度行う。一方、第1放電閾値以下であると判定した場合には(ステップS62、YES)、コントローラ104は、ステップS63において、切替制御部52により第2蓄電池107を直流バス300に接続させる。
【0064】
続いて、ステップS64において、コントローラ104は、電圧制御部53によって、第2直流変換器103の直流バス300側の電圧を、電圧検出回路102により検出されたバス電圧Eに合わせる。
【0065】
続いて、ステップS65において、コントローラ104は、電圧制御部53によって、第2直流変換器103の第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107の電圧よりも低くする。これにより、直流バス300への電流の流れが第1蓄電池106から第2蓄電池107へ切り替わり、第2蓄電池107により放電された電力が直流バス300へ供給開始される。
【0066】
なお、ステップS63からステップS65の処理は、適宜順番が変更されてもよいし、これらの処理が並行に行われてもよい。
【0067】
続いて、ステップS66において、コントローラ104は、入出力部51を介して蓄電量検出回路105による第2蓄電池107の蓄電量の検出結果を入力する。
【0068】
続いて、ステップS67において、コントローラ104は、第2蓄電池107の蓄電量が予め定められた第2充電閾値以下であるか否かを判定し、第2充電閾値以下ではないと判定した場合には(ステップS67、NO)、ステップS66の処理を再度行う。一方、第2充電閾値以下であると判定した場合には(ステップS67、YES)、コントローラ104は、処理を終了する。
【0069】
以上のようにして、コントローラ104は、第1蓄電池106および第2蓄電池107からの放電電力を、直流バス300を介して負荷400に供給できる。
【0070】
<蓄電装置100の動作例>
(充電時の動作)
図7は、蓄電装置100の充電時の動作の一例を説明する図である。
図7は時間tに伴うバス電圧Eの変化を示している。なお、ここでは、負荷400の電圧は200Vである場合を例示する。これらの点は、次述する
図8においても同様とする。
【0071】
まず、期間t11では、第1蓄電池106の充電に伴ってバス電圧Eが上昇する。蓄電装置100は、電圧検出回路102の検出結果に基づいてバス電圧Eを監視しており、バス電圧Eが第1充電閾値以上になってほぼ満充電になった場合に、切替制御部52により第2蓄電池107を直流バス300に接続させる。続いて、蓄電装置100は、電圧制御部53によって、第2直流変換器103の直流バス300側の電圧を、電圧検出回路102により検出されたバス電圧Eに合わせるとともに、第2直流変換器103の第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107の電圧よりも高くする。これにより、直流バス300からの電流の流れが第1蓄電池106から第2蓄電池107へ切り替わり、第2蓄電池107への充電が開始される。なお、第1充電閾値は、例えば190[V]以上200[V]未満の範囲において予め定められている。
【0072】
期間t12では、第2蓄電池107では、充電が進むにつれて電圧が上昇するが、第2蓄電池107は第2直流変換器103を介して充電するため、バス電圧Eは略一定に保たれる。
【0073】
第2蓄電池107の満充電となった後の期間t13では、第1蓄電池106および第2蓄電池107ともこれ以上充電できないため、蓄電装置100は、直流電力発生源201の制御装置に指令を出力し、例えば直流電力発生源201による発電量を抑制させる。
【0074】
(放電時の動作)
図8は、蓄電装置100の放電時の動作の一例を説明する図である。
【0075】
まず、期間t21では、第1蓄電池106の放電に伴ってバス電圧Eが降下する。蓄電装置100は、電圧検出回路102の検出結果からバス電圧Eを監視しており、バス電圧Eが第1放電閾値以下になって蓄電量が低くなった場合に、切替制御部52により第2蓄電池107を直流バス300に接続させる。続いて、蓄電装置100は、電圧制御部53によって、第2直流変換器103の直流バス300側の電圧を、電圧検出回路102により検出されたバス電圧Eに合わせるとともに、第2直流変換器103の第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107の電圧よりも低くする。これにより、直流バス300への電流の流れが第1蓄電池106から第2蓄電池107へ切り替わり、第2蓄電池107により放電された電力が直流バス300へ供給開始される。なお、第1放電閾値は、例えば150[V]より大きく160[V]以下の範囲において予め定められている。
【0076】
期間t22では、放電が進むにつれて第2蓄電池107の電圧が下降するが、第2蓄電池107は第2直流変換器103を介して放電するため、バス電圧Eは略一定に保たれる。第2蓄電池107の蓄電量が第2放電閾値以下になった場合に、蓄電装置100は電力供給を終了する。
【0077】
<蓄電装置100の作用効果>
次に、蓄電装置100の作用効果について説明する。
【0078】
直流電力を供給する環境において蓄電池を利用する蓄電装置では、バス電圧を所定範囲に維持するために、直流変換部を介して直流バスに蓄電池を接続し、蓄電池の充電電圧および放電電圧をバス電圧に合わせるものや、バス電圧に合致する電圧の蓄電池を、直流変換部を介さずに直流バスに接続するものが知られている。
【0079】
自動車等の移動体の電動化が進む中、今後、ハイブリッド自動車、電気自動車等に搭載される様々な電池特性を有する蓄電池が多数使用され、使用後に廃棄されることが予測される。このため、電池特性が異なる複数の蓄電装置を併用可能な蓄電装置が求められている。
【0080】
従来、直流変換部を介して直流バスに蓄電池を接続する蓄電装置では、電池特性の異なる電池ごとに直流変換部を設けると、直流変換部の数が増えることにより蓄電装置のコストが増大したり、充放電時の電力損失が増大したり、蓄電装置の故障リスクが増大したりする場合があった。
【0081】
また、電池特性が異なる複数の蓄電池の全てが直流変換部を介さずに直流バスに接続し、複数の蓄電池のうちの所定の蓄電池への充電、あるいは該所定の蓄電池による負荷への放電を制御する構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この構成では、複数の蓄電池それぞれの電圧が異なるため、同時に使えるのは同じ電池特性を有する蓄電池のみになる。これにより、複数の蓄電池のうち直流バスに接続する蓄電池が切り替わる際に、電力の瞬断が生じるため、この瞬断を防ぐために制御が複雑になる場合があった。
【0082】
一方、直流変換部を介さずに直流バスに蓄電池を接続する蓄電装置では、電池特性が異なる蓄電池のどれを優先して使うかを制御できないため、充放電の効率や電池寿命等を適正化できない場合があった。また、例えばリチウムイオン電池では、3.0[V]から4.2[V]まで程度に変動する等、蓄電池は充放電により電圧が変動する。このため、バス電圧の許容範囲が蓄電池電圧の変動範囲よりも狭いと、蓄電池の電気容量のうちの一部しか活用できない場合があった。
【0083】
さらに、リユースされる蓄電池では、蓄電池の電圧にバス電圧を合わせるため、蓄電池から供給される電力の損失が増大する場合があった。例えば、バス電圧は350[V]から400[V]まで程度で実証実験が行われている事例が多いが、蓄電池の電圧は、該バス電圧よりも低いため、蓄電池の電圧に合わせてバス電圧を下げると、これに反比例して電流が増え、供給電力の損失が増大する場合があった。
【0084】
以上のことから、電池特性が異なる複数の蓄電池を有する蓄電装置には、直流変換部を介さずに直流バスに接続する蓄電池と直流変換部を介して直流バスに接続する蓄電池を混在させて使用することが求められている。
【0085】
本実施形態では、蓄電装置100は、直流電力発生源201から負荷400に直流電力が供給される直流バス300に、直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池106と、第1蓄電池106とは異なる電池特性を有し、第1蓄電池106に並列接続可能であり、直流バス300に第2直流変換器103(直流変換部)を介して接続可能な第2蓄電池107と、を有する。また蓄電装置100は、第2蓄電池107の直流バス300への接続または非接続を切り替えるインターフェース101(切替部)と、直流バス300におけるバス電圧Eに基づいて、インターフェース101による切替と、第2直流変換器103による変換と、を制御するコントローラ104(制御部)と、を有する。
【0086】
蓄電装置100は、上記構成により、バス電圧Eの短時間における変動に対しては第1蓄電池106により充電または放電を行うことにより高効率な充放電を優先的に行うことができる。また、蓄電装置100は、太陽電池からの供給電力が夜間に途絶えた場合等の、バス電圧Eの長時間における変動に対しては、第1蓄電池106により充放電を行うことができる。また、蓄電装置100は、第1蓄電池106および第2蓄電池107を含む全ての蓄電池ごとに直流変換部を設けないため、その構成を簡素化できる。また、蓄電装置100では、直流変換部を介さずに直流バス300に接続する第1蓄電池106は、直流バス300に常時接続しているため、複雑な制御を行うことなく、複数の蓄電池のうち直流バスに接続する蓄電池が切り替わる際における電力の瞬断を防止できる。このように、本実施形態では、直流変換部を介さずに直流バスに接続する蓄電池と直流変換部を介して直流バスに接続する蓄電池を混在させて使用することができる。また、構成の簡素化により、蓄電装置100のコスト増大、充放電時の電力損失、蓄電装置100の故障リスク等を低減できる。
【0087】
また、本実施形態では、コントローラ104は、第2蓄電池107が充電する場合には、第2直流変換器103における直流バス300側の電圧をバス電圧Eに合わせるとともに、第2直流変換器103における第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107よりも高くする。これにより、直流バス300から第2蓄電池107へ電流が流れるため、第2蓄電池107の充電が可能になる。
【0088】
また、本実施形態では、コントローラ104は、第2蓄電池107が放電する場合には、第2直流変換器103における直流バス300側の電圧をバス電圧Eに合わせるとともに、第2直流変換器103における第2蓄電池107側の電圧を第2蓄電池107よりも低くする。これにより、第2蓄電池107から直流バス300へ電流が流れるため、第2蓄電池107による放電が可能になる。
【0089】
また、本実施形態では、第2蓄電池107の電気容量は、第1蓄電池106の電気容量よりも大きい。これにより、バス電圧Eが長時間において変動する場合に、第2蓄電池107を用いて高効率に充放電を行うことができる。
【0090】
また、本実施形態では、第1蓄電池106は、内燃機関および電動機により駆動されるハイブリッド自動車(移動体)に搭載され、該電動機に電力を供給可能であり、第2蓄電池107は、電動機により駆動される電気自動車に搭載され、該電動機に電力を供給可能である。ハイブリッド自動車に搭載可能な第1蓄電池106は、充放電可能な直流電力の電圧は大きく、電気自動車に搭載可能な第2蓄電池107は、電気容量が大きいため、バス電圧Eの短時間変動および長時間変動のいずれにおいても高効率に充放電が可能になる。ハイブリッド自動車に搭載可能なものを第1蓄電池106に用いると、バス電圧Eとの関係により電池容量の一部しか活用できず、蓄電装置100全体の電気容量を効率的に使用できない場合がある。このため、蓄電装置100全体の電気容量を効率よく利用する観点では、第2蓄電池107全体の電気容量を第1蓄電池106全体の電気容量よりも大きくすることが好ましい。
【0091】
また、本実施形態では、蓄電装置100は、並列接続されたHEV63a、63b、・・・、63n(複数の第1蓄電池)を有し、コントローラ104は、HEV63a、63b、・・・、63nそれぞれの接続および解列を制御する。この構成により、第1蓄電池106の電圧や温度に応じて、HEV63a、63b、・・・、63nそれぞれを接続または解列できるため、蓄電装置100の安全性を担保できる。
【0092】
また、本実施形態では、蓄電装置100は、並列接続されたEV73a、73b、・・・、73n(複数の第2蓄電池)を有し、コントローラ104は、EV73a、73b、・・・、73nそれぞれの接続および解列を制御する。この構成により、第2蓄電池107の電圧や温度に応じて、EV73a、73b、・・・、73nそれぞれを接続または解列できるため、蓄電装置100の安全性を担保できる。
【0093】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る蓄電装置について説明する。なお、第1実施形態と同じ構成部には同じ符号を付し、重複する説明を適宜省略する。この点は、以降に示す他の実施形態においても同様である。
【0094】
<蓄電装置100の構成例>
図9は、第2実施形態に係る蓄電装置100aの構成を例示するブロック図である。蓄電装置100aは、故障検出回路108と、コントローラ104aと、を有する。
【0095】
故障検出回路108は、第2蓄電池107の故障を検出し、検出結果をコントローラ104aに出力する電気回路である。第2蓄電池107の故障は、第2蓄電池107が放電できない状態であることを意味する。
【0096】
コントローラ104aは、第2蓄電池107が放電している期間に第2蓄電池107の故障が発生した場合には、第2蓄電池107を直流バス300に対して非接続にし、所定期間、第1蓄電池106に放電させる。あるいは、コントローラ104aは、第1蓄電池106に第2放電閾値を設定してその電圧になるまで供給を継続してもよい。
【0097】
図10は、コントローラ104aの機能構成を例示するブロック図である。コントローラ104aは、切替制御部52aと、時間判定部56と、を有する。
【0098】
切替制御部52aは、故障検出回路108により第2蓄電池107の故障が検出された場合に、インターフェース101による切替を制御することによって、第2蓄電池107を直流バス300に対して非接続にする。これにより、蓄電装置100aは、第1蓄電池106に放電させることができる。
【0099】
時間判定部56は、故障検出回路108により第2蓄電池107の故障が検出された後、第1蓄電池106が放電を開始した時間からの経過時間を計測し、経過時間が予め定められた時間閾値以上であるか否かを判定する。
【0100】
<コントローラ104aによる処理例>
図11は、コントローラ104aによる放電時の処理を例示するフローチャートである。
図11のステップS111からステップS115までの処理は、
図6におけるステップS61からステップS65までの処理と同じであるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0101】
ステップS116において、コントローラ104aは、入出力部51を介して故障検出回路108による故障検出結果を入力し、故障が検出された場合には(ステップS116、TES)、ステップS117に処理を移行する。
【0102】
ステップS117において、コントローラ104aは、切替制御部52aによってインターフェース101による切替を制御することにより、第2蓄電池107を直流バス300に対して非接続にする。
【0103】
続いて、ステップS118において、コントローラ104aは、故障検出回路108により第2蓄電池107の故障が検出された後、第1蓄電池106が放電を開始した時間からの経過時間を時間判定部56によって計測し、経過時間が予め定められた時間閾値以上であるか否かを判定する。
【0104】
ステップS118において、時間閾値以上ではないと判定された場合には(ステップS118、NO)、コントローラ104aはステップS118の処理を再度行う。時間閾値以上であると判定された場合には(ステップS118、YES)、コントローラ104aは処理を終了する。
【0105】
一方、ステップS116において、故障が検出されなかった場合には(ステップS116、NO)、コントローラ104aは、ステップS119において、入出力部51を介して蓄電量検出回路105による第2蓄電池107の蓄電量の検出結果を入力する。
【0106】
続いて、ステップS120において、コントローラ104aは、第2蓄電池107の蓄電量が予め定められた第2充電閾値以下であるか否かを判定し、第2充電閾値以下ではないと判定した場合には(ステップS120、NO)、ステップS119の処理を再度行う。一方、第2充電閾値以下であると判定した場合には(ステップS120、YES)、コントローラ104aは、処理を終了する。
【0107】
以上のようにして、コントローラ104aは、第1蓄電池106および第2蓄電池107からの放電電力を、直流バス300を介して負荷400に供給できる。また、コントローラ104aは、第2蓄電池107による放電中に第2蓄電池107が故障した場合には、所定時間、第2蓄電池107からの放電電力を負荷400に供給することができる。
【0108】
(蓄電装置100aの動作例)
図12は、蓄電装置100aの放電時の動作の一例を説明する図である。期間t31における動作は、
図8における期間t21における動作と同様であるため、ここでは重複する説明を省略する。
【0109】
期間t32において、第2蓄電池107は放電を行っており、期間t32の終了時に第2蓄電池107に故障が発生したとする。第2蓄電池107は、放電を停止した後、直流バス300に対して非接続にされ、第1蓄電池106は放電を開始する。なお、第1蓄電池106は、第2蓄電池107に故障が生じた場合に第2蓄電池107に代わって所定期間、電力供給できるように、蓄電量を残しているものとする。
【0110】
期間t33において、第1蓄電池106は放電を行い、この放電に伴ってバス電圧Eが下降する。この期間t33に、負荷400側において、バックアップ電源等への接続切替や、負荷400の停止処理等が実行可能となる。第1蓄電池106の蓄電量がなくなるか、或いは所定期間が経過した後に、蓄電装置100aは動作を停止する。
【0111】
<蓄電装置100aの作用効果>
以上説明したように、本実施形態では、コントローラ104aは、第2蓄電池107が放電している期間に第2蓄電池107の故障が発生した場合には、第2蓄電池107を直流バス300に対して非接続にし、所定条件下において、第1蓄電池106に放電させる。これにより、蓄電装置100aは、第2蓄電池107が故障した場合にも、第1蓄電池106の放電によって所定期間、電力供給を継続できるため、負荷400側での対策や第2蓄電池107の故障に対する対策を行うための時間を確保できる。蓄電装置100aは、例えば無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply;UPS)の機能を有することができる。
【0112】
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態に係る蓄電装置100bの構成を例示するブロック図である。蓄電装置100bは、インターフェース101bと、コントローラ104bと、を有する。
【0113】
インターフェース101bは、第1蓄電池106の直流バス300への接続または非接続を切り替える機能を、インターフェース101の機能に加えてさらに有する。コントローラ104bは、バス電圧Eに基づいて、インターフェース101bによる第1蓄電池106の直流バス300への接続または非接続の切替をさらに制御する。
【0114】
第1蓄電池106が直流バス300と常時接続していると、蓄電装置のメンテナンス作業に手間がかかる場合がある。第1蓄電池106と直流バス300との接続または非接続を切替可能にすることにより、蓄電装置100bのメンテナンス作業を容易にすることができる。
【0115】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態に係る第1蓄電池106cの構成を例示する図である。
図14(a)は、セルモジュール64の接続方法および接続個数を変更する前の第1蓄電池106'を示す図、
図14(a)は、セルモジュール64の接続方法および接続個数を変更した後の第1蓄電池106cを示す図である。
【0116】
第1蓄電池106'は、例えば一次用途において使用される第1蓄電池である。第1蓄電池106cは、第1蓄電池106'に対し、セルモジュール64の接続方法および接続個数が変更されたものである。ここで、セルモジュール64は、蓄電池の最小単位である電池セル640を複数含む蓄電モジュールを意味する。
図14に示す例では、セルモジュール64は、縦方向に並んだ6個の電池セル640を含んでいる。
【0117】
図14(a)に示すように、第1蓄電池106' では、並列接続されたセルモジュール64が横方向に16個並んでいる。一方、
図14(b)に示すように、第1蓄電池106cでは、直列接続されたセルモジュール64が縦方向に3個並び、並列接続されたセルモジュール64が横方向に4個並んでいる。第1蓄電池106cでは、第1蓄電池106'における16個に対し、セルモジュール64の個数が12個に減少している。
【0118】
直流電力の供給システムでは、バス電圧の標準化の確立に向けた取り組みが行われているが、バス電圧に接続する蓄電池と、バス電圧と、の間で電圧が揃うとは限らない。例えば蓄電池の電圧がバス電圧よりも低い場合に蓄電池の電圧にバス電圧を揃えると、電流が増大するとともに、配線抵抗による消費電力が増大する場合がある。また新品の蓄電池を用いると、コストの点、並びに蓄電池製造時に二酸化炭素(CO2)が排出される点等において好ましくない。
【0119】
本実施形態では、複数のセルモジュール64の接続方法および接続個数が、一次用途で使用される第1蓄電池106'におけるセルモジュール64の接続方法および接続個数に対して変更されている。これにより、新品の蓄電池を製造することなく、第1蓄電池106cと、バス電圧Eと、の間で電圧を揃えることができる。この結果、消費電力を抑えつつ、蓄電装置を低コスト化し、かつ二酸化炭素の排出量を削減できる。
【0120】
なお、本実施形態では、セルモジュール64の接続方法および接続個数の両方が変更された例を示したが、セルモジュール64の接続方法および接続個数の少なくとも一方が変更されれば上記の効果を得ることができる。
【0121】
以上、本発明の実施形態の例について記述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0122】
また、上述した実施形態の説明で用いた序数、数量等の数字は、全て本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本発明の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本発明の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【0123】
また、実施形態は、蓄電方法を含む。例えば、蓄電方法は、直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、を有する蓄電装置による蓄電方法であって、前記蓄電装置が、切替部により、少なくとも前記第1蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替え、制御部により、前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する。このような蓄電方法により、上述した蓄電装置と同様の効果を得ることができる。
【0124】
また、実施形態は、プログラムを含む。例えば、プログラムは、直流電力発生源から負荷に直流電力が供給される少なくとも1つの直流バスに、直流電圧を該直流電圧とは異なる直流電圧に変換する直流変換部を介さずに接続可能な第1蓄電池と、前記第1蓄電池とは異なる電池特性を有し、前記第1蓄電池に並列接続可能であり、前記直流バスに前記直流変換部を介して接続可能な第2蓄電池と、を有する蓄電装置に実行させるプログラムであって、切替部により、少なくとも前記第1蓄電池の前記直流バスへの接続または非接続を切り替え、制御部により、前記直流バスにおけるバス電圧に基づいて、前記切替部による切替と、前記直流変換部による変換と、を制御する、処理を前記蓄電装置に実行させる。このようなプログラムにより、上述した蓄電装置と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0125】
11、12 スイッチ
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 HDD/SSD
45 機器接続I/F
46 通信I/F
51 入出力部
52、52a 切替制御部
53 電圧制御部
54 接続解列制御部
55 格納部
56 時間判定部
61a、61b、・・・、61n 抵抗
62a、62b、・・・、62n スイッチペア
63a、63b、・・・、63n HEV
64 セルモジュール
640 電池セル
71a、71b、・・・、71n 抵抗
72a、72b、・・・、72n スイッチペア
73a、73b、・・・、73n EV
100、100a、100b 蓄電装置
101、101b インターフェース(切替部)
102 電圧検出回路
103 第2直流変換器(直流変換部)
104、104a、104b コントローラ(制御部)
105 蓄電量検出回路
106 第1蓄電池
107 第2蓄電池
108 故障検出回路
200 電力供給システム
201 直流電力発生源
202 第1直流変換器
300 直流バス
400 負荷
B システムバス
E バス電圧
t11、t12、t13、t21、t22、t31、t32、t33 期間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0126】