(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141507
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】研磨方法および研磨装置
(51)【国際特許分類】
B24B 21/00 20060101AFI20230928BHJP
B24B 7/04 20060101ALI20230928BHJP
B24B 9/00 20060101ALI20230928BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B24B21/00 A
B24B7/04 Z
B24B9/00 601G
H01L21/304 622Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022047860
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】洪 國維
(72)【発明者】
【氏名】山本 暁
【テーマコード(参考)】
3C043
3C049
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA13
3C043CC05
3C043CC11
3C043EE04
3C049AA05
3C049AA12
3C049AA13
3C049AA14
3C049AA16
3C049BA02
3C049BA04
3C049BB02
3C049BC02
3C049CB02
3C049CB03
3C158AA05
3C158AA12
3C158AA13
3C158AA14
3C158AA16
3C158BA02
3C158BA04
3C158BB02
3C158BC02
3C158CB02
3C158CB03
3C158DA17
5F057AA12
5F057BA15
5F057BA21
5F057CA21
5F057DA06
5F057FA02
5F057GA03
(57)【要約】
【課題】基板の周縁部を複数の研磨ヘッドを用いて研磨することにより、全体の研磨処理時間を短縮しつつ、基板の反りを抑制することができる研磨方法を提供する。
【解決手段】研磨方法は、基板保持部5により基板Wを保持し、基板Wを回転させ、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wの周縁部に押し付けた状態で、第1研磨ヘッド10Aを第1の方向D1に移動または傾動させて基板Wの周縁部の第1研磨領域を研磨しながら、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wの周縁部に押し付けた状態で、第2研磨ヘッド10Bを第2の方向D2に移動または傾動させて基板Wの周縁部の第2研磨領域を研磨することを含み、第1の方向D1と第2の方向D2とは、反対の方向である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の周縁部の研磨方法であって、
基板保持部により前記基板を保持し、前記基板を回転させ、
第1研磨ヘッドで第1研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第1研磨ヘッドを第1の方向に移動または傾動させて前記周縁部の第1研磨領域を研磨しながら、第2研磨ヘッドで第2研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第2研磨ヘッドを第2の方向に移動または傾動させて前記周縁部の第2研磨領域を研磨することを含み、
前記第1の方向と前記第2の方向とは、反対の方向である、研磨方法。
【請求項2】
前記第1研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちのいずれか一方であり、
前記第2研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちの他方であり、
前記第1の方向は、前記基板の半径方向において、前記基板の中心に近づく方向および前記基板の中心から離れる方向のうちのいずれか一方であり、
前記第2の方向は、前記基板の半径方向において、前記基板の中心に近づく方向および前記基板の中心から離れる方向のうちの他方である、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項3】
前記第1研磨ヘッドの移動速度と前記第2研磨ヘッドの移動速度は等しい、請求項2に記載の研磨方法。
【請求項4】
前記第1研磨領域および前記第2研磨領域は、前記周縁部のベベル部であり、
前記第1の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちのいずれか一方であり、
前記第2の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちの他方である、請求項1に記載の研磨方法。
【請求項5】
前記第1研磨ヘッドの傾動速度と前記第2研磨ヘッドの傾動速度は等しい、請求項4に記載の研磨方法。
【請求項6】
前記第1研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線と、前記第2研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線とがなす角度は、0度から90度の範囲内にある、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項7】
前記第1研磨領域を研磨するときに、前記第1研磨ヘッドを前記第1の方向に移動または傾動させた後に、前記第1研磨ヘッドを前記第2の方向にさらに移動または傾動させて前記第1研磨領域を少なくとも1回往復研磨し、
前記第2研磨領域を研磨するときに、前記第2研磨ヘッドを前記第2の方向に移動または傾動させた後に、前記第2研磨ヘッドを前記第1の方向にさらに移動または傾動させて前記第2研磨領域を少なくとも1回往復研磨する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の研磨方法。
【請求項8】
基板の周縁部の研磨装置であって、
前記基板を保持し、前記基板を所定の回転軸心を中心に回転させる基板保持部と、
第1研磨テープを前記周縁部に押し付ける第1研磨ヘッドと、
第2研磨テープを前記周縁部に押し付ける第2研磨ヘッドと、
前記第1研磨ヘッドを移動または傾動させる第1研磨ヘッド可動機構と、
前記第2研磨ヘッドを移動または傾動させる第2研磨ヘッド可動機構と、
前記研磨装置の動作を制御する動作制御部を備え、
前記動作制御部は、前記第1研磨ヘッドで前記第1研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第1研磨ヘッド可動機構により前記第1研磨ヘッドを第1の方向に移動または傾動させて、前記周縁部の第1研磨領域を研磨しながら、前記第2研磨ヘッドで前記第2研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第2研磨ヘッド可動機構により前記第2研磨ヘッドを第2の方向に移動または傾動させて、前記周縁部の第2研磨領域を研磨するように構成されており、
前記第1の方向と前記第2の方向とは、反対の方向である、研磨装置。
【請求項9】
前記第1研磨ヘッド可動機構は、前記第1研磨ヘッドを並進移動させる第1研磨ヘッド並進移動機構であり、
前記第2研磨ヘッド可動機構は、前記第2研磨ヘッドを並進移動させる第2研磨ヘッド並進移動機構であり、
前記第1研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちのいずれか一方であり、
前記第2研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちの他方であり、
前記第1の方向は、前記所定の回転軸心に近づく方向および前記所定の回転軸心から離れる方向のうちのいずれか一方であり、
前記第2の方向は、前記所定の回転軸心に近づく方向および前記所定の回転軸心から離れる方向のうちの他方である、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記第1研磨ヘッドの移動速度と前記第2研磨ヘッドの移動速度は等しい、請求項9に記載の研磨装置。
【請求項11】
前記第1研磨ヘッド可動機構は、前記第1研磨ヘッドを傾動させる第1研磨ヘッド傾動機構であり、
前記第2研磨ヘッド可動機構は、前記第2研磨ヘッドを傾動させる第2研磨ヘッド傾動機構であり、
前記第1研磨領域および前記第2研磨領域は、前記周縁部のベベル部であり、
前記第1の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちのいずれか一方であり、
前記第2の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちの他方である、請求項8に記載の研磨装置。
【請求項12】
前記第1研磨ヘッドの傾動速度と前記第2研磨ヘッドの傾動速度は等しい、請求項11に記載の研磨装置。
【請求項13】
前記第1研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線と、前記第2研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線とがなす角度は、0度から90度の範囲内にある、請求項8乃至12のいずれか一項に記載の研磨装置。
【請求項14】
前記動作制御部は、前記第1研磨ヘッド可動機構に指令を発して前記第1研磨ヘッドを前記第1の方向に移動または傾動させた後に、前記第1研磨ヘッドを前記第2の方向にさらに移動または傾動させて、前記第1研磨領域を少なくとも1回往復研磨するとともに、前記第2研磨ヘッド可動機構に指令を発して前記第2研磨ヘッドを前記第2の方向に移動または傾動させた後に、前記第2研磨ヘッドを前記第1の方向にさらに移動または傾動させて、前記第2研磨領域を少なくとも1回往復研磨するように構成されている、請求項8乃至13のいずれか一項に記載の研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハなどの基板の周縁部を研磨する研磨方法および研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造における歩留まり向上の観点から、基板の表面状態の管理が近年注目されている。半導体デバイスの製造工程では、種々の材料がシリコンウェーハ上に成膜される。このため、基板の周縁部には不要な膜や表面荒れが形成される。近年では、基板の周縁部のみをアームで保持して基板を搬送する方法が一般的になってきている。このような背景のもとでは、周縁部に残存した不要な膜が種々の工程を経ていく間に剥離して基板に形成されたデバイスに付着し、歩留まりを低下させてしまう。そこで、基板の周縁部に形成された不要な膜を除去するために、研磨装置を用いて基板の周縁部の研磨が行われている。
【0003】
このような研磨装置として、研磨テープを用いて基板の周縁部を研磨する装置が知られている。研磨テープを所定の方向に送りながら、研磨ヘッドで研磨テープを回転する基板の周縁部に押し付けることにより、基板の周縁部が研磨される。従来の研磨装置としては、単一の研磨ヘッドを備えたものや、特許文献1に示すように、全体の研磨処理時間を短縮するために、複数の研磨ヘッドを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図24は、2つの研磨ヘッド110A,110Bで基板Wの周縁部を研磨している様子を示す図である。研磨ヘッド110Aで研磨テープ102Aを基板Wの周縁部に押し付けると同時に、研磨ヘッド110Bで研磨テープ102Bを基板Wの周縁部に押し付けることにより、基板Wの周縁部が研磨される。2つの研磨ヘッドで基板Wを研磨すると、1つの研磨ヘッドのみで基板Wを研磨するよりも全体の研磨処理時間が短縮される。
【0006】
しかしながら、
図24に示すように、2つの研磨ヘッド110A,110Bによる押付力Fが基板Wの周縁部に付与されると、1つの研磨ヘッドで研磨する場合と比較して基板Wの周縁部に過大な負荷がかかることとなり、基板Wが反ってしまうことがある。このような基板Wの変形に起因して、研磨ヘッド110A,110Bによる押付力が基板Wの周縁部に均一に付与されず、結果として基板Wの周縁部を均一に研磨することができない。
【0007】
そこで、本発明は、基板の周縁部を複数の研磨ヘッドを用いて研磨することにより、全体の研磨処理時間を短縮しつつ、基板の反りを抑制することができる研磨方法および研磨装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、基板の周縁部の研磨方法であって、基板保持部により前記基板を保持し、前記基板を回転させ、第1研磨ヘッドで第1研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第1研磨ヘッドを第1の方向に移動または傾動させて前記周縁部の第1研磨領域を研磨しながら、第2研磨ヘッドで第2研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第2研磨ヘッドを第2の方向に移動または傾動させて前記周縁部の第2研磨領域を研磨することを含み、前記第1の方向と前記第2の方向とは、反対の方向である、研磨方法が提供される。
一態様では、前記第1研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちのいずれか一方であり、前記第2研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちの他方であり、前記第1の方向は、前記基板の半径方向において、前記基板の中心に近づく方向および前記基板の中心から離れる方向のうちのいずれか一方であり、前記第2の方向は、前記基板の半径方向において、前記基板の中心に近づく方向および前記基板の中心から離れる方向のうちの他方である。
【0009】
一態様では、前記第1研磨ヘッドの移動速度と前記第2研磨ヘッドの移動速度は等しい。
一態様では、前記第1研磨領域および前記第2研磨領域は、前記周縁部のベベル部であり、前記第1の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちのいずれか一方であり、前記第2の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちの他方である。
一態様では、前記第1研磨ヘッドの傾動速度と前記第2研磨ヘッドの傾動速度は等しい。
【0010】
一態様では、前記第1研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線と、前記第2研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線とがなす角度は、0度から90度の範囲内にある。
一態様では、前記第1研磨領域を研磨するときに、前記第1研磨ヘッドを前記第1の方向に移動または傾動させた後に、前記第1研磨ヘッドを前記第2の方向にさらに移動または傾動させて前記第1研磨領域を少なくとも1回往復研磨し、前記第2研磨領域を研磨するときに、前記第2研磨ヘッドを前記第2の方向に移動または傾動させた後に、前記第2研磨ヘッドを前記第1の方向にさらに移動または傾動させて前記第2研磨領域を少なくとも1回往復研磨する。
【0011】
一態様では、基板の周縁部の研磨装置であって、前記基板を保持し、前記基板を所定の回転軸心を中心に回転させる基板保持部と、第1研磨テープを前記周縁部に押し付ける第1研磨ヘッドと、第2研磨テープを前記周縁部に押し付ける第2研磨ヘッドと、前記第1研磨ヘッドを移動または傾動させる第1研磨ヘッド可動機構と、前記第2研磨ヘッドを移動または傾動させる第2研磨ヘッド可動機構と、前記研磨装置の動作を制御する動作制御部を備え、前記動作制御部は、前記第1研磨ヘッドで前記第1研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第1研磨ヘッド可動機構により前記第1研磨ヘッドを第1の方向に移動または傾動させて、前記周縁部の第1研磨領域を研磨しながら、前記第2研磨ヘッドで前記第2研磨テープを前記周縁部に押し付けた状態で、前記第2研磨ヘッド可動機構により前記第2研磨ヘッドを第2の方向に移動または傾動させて、前記周縁部の第2研磨領域を研磨するように構成されており、前記第1の方向と前記第2の方向とは、反対の方向である、研磨装置が提供される。
【0012】
一態様では、前記第1研磨ヘッド可動機構は、前記第1研磨ヘッドを並進移動させる第1研磨ヘッド並進移動機構であり、前記第2研磨ヘッド可動機構は、前記第2研磨ヘッドを並進移動させる第2研磨ヘッド並進移動機構であり、前記第1研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちのいずれか一方であり、前記第2研磨領域は、前記周縁部のトップエッジ部およびボトムエッジ部のうちの他方であり、前記第1の方向は、前記所定の回転軸心に近づく方向および前記所定の回転軸心から離れる方向のうちのいずれか一方であり、前記第2の方向は、前記所定の回転軸心に近づく方向および前記所定の回転軸心から離れる方向のうちの他方である。
【0013】
一態様では、前記第1研磨ヘッドの移動速度と前記第2研磨ヘッドの移動速度は等しい。
一態様では、前記第1研磨ヘッド可動機構は、前記第1研磨ヘッドを傾動させる第1研磨ヘッド傾動機構であり、前記第2研磨ヘッド可動機構は、前記第2研磨ヘッドを傾動させる第2研磨ヘッド傾動機構であり、前記第1研磨領域および前記第2研磨領域は、前記周縁部のベベル部であり、前記第1の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちのいずれか一方であり、前記第2の方向は、前記ベベル部の上側から下側に向かう方向および前記ベベル部の下側から上側に向かう方向のうちの他方である。
一態様では、前記第1研磨ヘッドの傾動速度と前記第2研磨ヘッドの傾動速度は等しい。
【0014】
一態様では、前記第1研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線と、前記第2研磨ヘッドと前記基板の中心とを結ぶ線とがなす角度は、0度から90度の範囲内にある。
一態様では、前記動作制御部は、前記第1研磨ヘッド可動機構に指令を発して前記第1研磨ヘッドを前記第1の方向に移動または傾動させた後に、前記第1研磨ヘッドを前記第2の方向にさらに移動または傾動させて、前記第1研磨領域を少なくとも1回往復研磨するとともに、前記第2研磨ヘッド可動機構に指令を発して前記第2研磨ヘッドを前記第2の方向に移動または傾動させた後に、前記第2研磨ヘッドを前記第1の方向にさらに移動または傾動させて、前記第2研磨領域を少なくとも1回往復研磨するように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、第1研磨ヘッドを第1の方向に移動または傾動させて基板の周縁部の第1研磨領域を研磨しながら、第2研磨ヘッドを第1の方向とは反対の第2の方向に移動または傾動させて基板の周縁部の第2研磨領域を研磨することにより、全体の研磨処理時間を短縮しつつ、基板の反りを抑制することができる。
さらに、本発明によれば、第1研磨ヘッドと第2研磨ヘッドとは、反対の方向である第1の方向および第2の方向に移動しながら基板を研磨するため、第1研磨ヘッドと第2研磨ヘッドを基板のトップエッジ部側とボトムエッジ部側の両側から押し付けて移動させる際に、基板が第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドとともに移動して、基板保持部に対して位置ずれするのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)および
図1(b)は、基板の周縁部を示す拡大断面図である。
【
図3】
図2の矢印Aで示す方向から見た側面図である。
【
図4】
図2の矢印Bで示す方向から見た側面図である。
【
図5】第1研磨ヘッドにより基板のベベル部を研磨している様子を示す図である。
【
図6】
図6(a)は、第1研磨ヘッドの研磨動作の一実施形態を示す図であり、
図6(b)は、第2研磨ヘッドの研磨動作の一実施形態を示す図である。
【
図7】
図7(a)および
図7(b)は、第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態を示す図である。
【
図8】
図8(a)および
図8(b)は、第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態を示す図である。
【
図9】
図9(a)および
図9(b)は、第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態を示す図である。
【
図10】
図10(a)は、基板のベベル部を研磨するときの第1研磨ヘッドの研磨動作の一実施形態を示す図であり、
図10(b)は、基板のベベル部を研磨するときの第2研磨ヘッドの研磨動作の一実施形態を示す図である。
【
図11】
図11(a)および
図11(b)は、他の実施形態に係る第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドの研磨動作を説明する図である。
【
図12】
図12(a)および
図12(b)は、他の実施形態に係る第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドの研磨動作を説明する図である。
【
図13】
図13(a)および
図13(b)は、他の実施形態に係る第1研磨ヘッドおよび第2研磨ヘッドの研磨動作を説明する図である。
【
図14】研磨装置の他の実施形態を示す平面図である。
【
図15】
図15(a)乃至
図15(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の一実施形態を示す図である。
【
図16】
図16(a)乃至
図16(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。
【
図17】
図17(a)乃至
図17(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。
【
図18】
図18(a)乃至
図18(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。
【
図19】
図19(a)乃至
図19(d)は、基板のベベル部を研磨するときの第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の一実施形態を示す図である。
【
図20】
図20(a)乃至
図20(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。
【
図21】
図21(a)乃至
図21(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。
【
図22】
図22(a)乃至
図22(d)は、第1研磨ヘッド~第4研磨ヘッドの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。
【
図23】
図23(a)および
図23(b)は、4つの研磨ヘッドで基板の周縁部を研磨するさらに他の実施形態を説明するための図である。
【
図24】2つの研磨ヘッドで基板の周縁部を研磨している様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1(a)および
図1(b)は、基板Wの周縁部を示す拡大断面図である。より詳しくは、
図1(a)はいわゆるストレート型の基板の断面図であり、
図1(b)はいわゆるラウンド型の基板の断面図である。ベベル部Bは、面取りされた形状または丸みを帯びた形状を有している。
【0018】
図1(a)の基板Wにおいて、ベベル部Bは、上側傾斜面(上側ベベル部)B1、下側傾斜面(下側ベベル部)B2、および側部(アペックス)B3から構成される基板Wの最外周面である。
図1(b)の基板Wにおいては、ベベル部Bは、基板Wの最外周面を構成する、湾曲した断面を有する部分である。トップエッジ部E1は、ベベル部Bの半径方向内側に位置する環状の平坦部である。ボトムエッジ部E2は、トップエッジ部E1とは反対側に位置し、ベベル部Bの半径方向内側に位置する環状の平坦部である。トップエッジ部E1は、デバイスが形成された領域を含むこともある。本明細書において、基板Wの周縁部は、トップエッジ部E1、ベベル部B、およびボトムエッジ部E2のうちのいずれかを含む領域のことを示す。
【0019】
図2は、研磨装置の一実施形態を示す平面図である。
図3は、
図2の矢印Aで示す方向から見た側面図である。
図4は、
図2の矢印Bで示す方向から見た側面図である。研磨装置は、半導体ウェーハなどの基板Wの周縁部を研磨するための装置である。研磨装置は、基板保持部5、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第1研磨テープ供給機構20A、第2研磨テープ供給機構20B、下側供給ノズル31、および上側供給ノズル32を備えている。
【0020】
基板保持部5は、基板Wを真空吸着により保持する保持ステージ7と、保持ステージ7の中央部に連結されたシャフト8と、保持ステージ7を回転させ、かつ上下動させる保持ステージ駆動機構9を備えている。保持ステージ駆動機構9は、保持ステージ7を、所定の回転軸心Crを中心に回転させ、所定の回転軸心Crに沿って上下方向に移動可能に構成されている。基板Wの中心O1を通る軸心と所定の回転軸心Crは、実質的に一致している。
【0021】
第1研磨ヘッド10Aは、基板Wの周縁部に第1研磨テープ2Aを押し付けて、基板Wの周縁部を研磨するように構成されている。第2研磨ヘッド10Bは、基板Wの周縁部に第2研磨テープ2Bを押し付けて、基板Wの周縁部を研磨するように構成されている。第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bは、基本的に同じ構成を有しているため、以下、第1研磨ヘッド10Aについて説明する。
【0022】
第1研磨ヘッド10Aは、第1研磨テープ2Aの研磨面を基板Wの周縁部に対して押し付ける押圧部材12と、押圧部材12を基板Wの周縁部に向かって移動させるエアシリンダ(駆動機構)15を備えている。エアシリンダ15へ供給する空気圧を制御することによって、第1研磨テープ2Aの基板Wに対する押圧力が調整される。押圧部材12は、第1研磨テープ2Aの裏面側(砥粒を有する研磨面の裏側)に配置されている。押圧部材12がエアシリンダ15によって基板Wに向かって移動されると、押圧部材12は、第1研磨テープ2Aをその裏側から基板Wの周縁部に対して押し付ける。これにより、第1研磨ヘッド10Aは、基板Wの周縁部を研磨する。
【0023】
図2に示すように、第1研磨ヘッド10Aと基板Wの中心O1とを結ぶ線L1と、第2研磨ヘッド10Bと基板Wの中心O1とを結ぶ線L2とがなす角度α1は、0度から90度の範囲内にある。角度α1は、180度よりも小さい角度であればよく、例えば、130度、50度、あるいは0度(すなわち、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bが上下で重なる位置)であってもよい。
【0024】
第1研磨テープ供給機構20Aは、第1研磨テープ2Aを第1研磨ヘッド10Aに供給し、かつ第1研磨ヘッド10Aから回収するように構成されている。第2研磨テープ供給機構20Bは、第2研磨テープ2Bを第2研磨ヘッド10Bに供給し、かつ第2研磨ヘッド10Bから回収するように構成されている。第1研磨テープ供給機構20Aおよび第2研磨テープ供給機構20Bは、基本的に同じ構成を有しているため、以下、第1研磨テープ供給機構20Aについて説明する。
【0025】
第1研磨テープ供給機構20Aは、テープ巻き出しリール21、テープ巻き取りリール22、および複数のガイドローラー24,25,26,27を備えている。テープ巻き出しリール21、テープ巻き取りリール22および複数のガイドローラー24,25,26,27は、リールベース28に固定されている。第1研磨テープ2Aは、第1研磨テープ2Aの研磨面が基板Wの周縁部を向くように第1研磨ヘッド10Aに供給される。第1研磨テープ2Aの進行方向は、ガイドローラー24,25,26,27によってガイドされる。
【0026】
テープ巻き出しリール21およびテープ巻き取りリール22には図示しないテンションモータがそれぞれ連結されている。テープ巻き出しリール21およびテープ巻き取りリール22は、テンションモータを介してリールベース28に固定されている。それぞれのテンションモータは、テープ巻き出しリール21およびテープ巻き取りリール22に所定のトルクを与え、第1研磨テープ2Aに所定のテンションをかけることができるように構成されている。
【0027】
下側供給ノズル31は、基板Wの下面に液体を供給するように構成されている。上側供給ノズル32は、基板Wの上面に液体を供給するように構成されている。基板Wに供給される液体の一例として、純水が挙げられる。基板Wの研磨中、下側供給ノズル31から基板Wの下面に液体が供給され、上側供給ノズル32から基板Wの上面に液体が供給される。
【0028】
研磨装置は、第1研磨ヘッド可動機構としての第1研磨ヘッド並進移動機構40Aおよび第2研磨ヘッド可動機構としての第2研磨ヘッド並進移動機構40Bをさらに備えている。第1研磨ヘッド並進移動機構40Aは、第1研磨ヘッド10Aを基板Wの半径方向に沿って並進移動させるように構成されている。第2研磨ヘッド並進移動機構40Bは、第2研磨ヘッド10Bを基板Wの半径方向に沿って並進移動させるように構成されている。第1研磨ヘッド並進移動機構40Aおよび第2研磨ヘッド並進移動機構40Bは、基本的に同じ構成を有しているため、以下、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aについて説明する。
【0029】
第1研磨ヘッド並進移動機構40Aは、連結部材43、ガイドレール44、連結シャフト46、およびエアシリンダ(駆動機構)47を備えている。第1研磨ヘッド並進移動機構40Aは、可動プレート41を介して第1研磨ヘッド10Aおよび第1研磨テープ供給機構20Aに連結されている。より具体的には、第1研磨ヘッド10Aに連結された研磨ヘッド支持部材18および第1研磨テープ供給機構20Aのリールベース28は、可動プレート41の上面に連結されており、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aは、可動プレート41の下面に連結されている。第1研磨ヘッド10Aおよび第1研磨テープ供給機構20Aの全体は可動プレート41と一体に移動可能である。
【0030】
ガイドレール44は、保持ステージ7上の所定の回転軸心Cr(すなわち、基板Wの中心O1)と第1研磨ヘッド10Aとを結ぶ線と同じ方向に延びており、ベースプレート48に固定されている。エアシリンダ47は、連結部材43および連結シャフト46を介して可動プレート41に連結されており、ベースプレート48に固定されている。第1研磨ヘッド並進移動機構40Aは、エアシリンダ47を駆動させてガイドレール44に沿って可動プレート41を所定の移動速度で移動させることにより、第1研磨ヘッド10Aおよび第1研磨テープ供給機構20Aを基板Wの所定の回転軸心Cr(すなわち、基板Wの中心O1)に近づく方向および所定の回転軸心Cr(すなわち、基板Wの中心O1)から離れる方向に所定の移動速度で移動させることができる。
【0031】
なお、第1研磨ヘッド10Aを基板Wの所定の回転軸心Cr(すなわち、基板Wの中心O1)に近づく方向および所定の回転軸心Cr(すなわち、基板Wの中心O1)から離れる方向に移動させることができるのであれば、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aの具体的構成は本実施形態に限られない。
【0032】
研磨装置は、第1研磨ヘッド可動機構としての第1研磨ヘッド傾動機構50Aおよび第2研磨ヘッド可動機構としての第2研磨ヘッド傾動機構50Bをさらに備えている。第1研磨ヘッド傾動機構50Aは第1研磨ヘッド10Aに連結されており、第2研磨ヘッド傾動機構50Bは第2研磨ヘッド10Bに連結されている。第1研磨ヘッド傾動機構50Aは、第1研磨ヘッド10Aを保持ステージ7の基板保持面に対して傾動させるように構成されている。第2研磨ヘッド傾動機構50Bは、第2研磨ヘッド10Bを保持ステージ7の基板保持面に対して傾動させるように構成されている。第1研磨ヘッド傾動機構50Aおよび第2研磨ヘッド傾動機構50Bは、基本的に同じ構成を有しているため、以下、第1研磨ヘッド傾動機構50Aについて説明する。
【0033】
第1研磨ヘッド傾動機構50Aは、第1研磨ヘッド10Aに連結されたクランクアーム52と、クランクアーム52を回転させるアーム回転装置53を備えている。クランクアーム52の一端は、保持ステージ7の基板保持面と実質的に同じ高さに位置しており、アーム回転装置53に連結されている。クランクアーム52の他端は第1研磨ヘッド10Aに連結されている。アーム回転装置53は、研磨ヘッド支持部材18の内部に配置されており、クランクアーム52は、研磨ヘッド支持部材18を貫通して延びている。
【0034】
第1研磨ヘッド傾動機構50Aは、アーム回転装置53がクランクアーム52を回転させると、第1研磨ヘッド10Aの全体を保持ステージ7の基板保持面上の基板Wに対して所定の傾動速度で傾動させることができる。さらに、第1研磨ヘッド傾動機構50Aは、第1研磨ヘッド10Aを所定の傾斜角度に維持することができるように構成されている。なお、第1研磨ヘッド10Aを保持ステージ7の基板保持面および基板Wに対して傾動させることができるのであれば、第1研磨ヘッド傾動機構50Aの具体的構成は本実施形態に限られない。
【0035】
図3に示す第1研磨ヘッド10Aは、第1研磨ヘッド傾動機構50Aにより基板Wのトップエッジ部E1(
図1(a)および
図1(b)参照)を研磨することができるように傾けられた状態である。
図4に示す第2研磨ヘッド10Bは、第2研磨ヘッド傾動機構50Bにより基板Wのボトムエッジ部E2(
図1(a)および
図1(b)参照)を研磨することができるように傾けられた状態である。
【0036】
図5は、第1研磨ヘッド10Aにより基板Wのベベル部B(
図1(a)および
図1(b)参照)を研磨している様子を示す図である。第1研磨ヘッド傾動機構50Aは、第1研磨ヘッド10Aの傾斜角度を連続的に変化させて、基板Wのベベル部Bを研磨することができる。このように、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bは、第1研磨ヘッド傾動機構50Aおよび第2研磨ヘッド傾動機構50Bによって傾動されることにより、基板Wの周縁部であるトップエッジ部E1、ボトムエッジ部E2、およびベベル部Bを研磨することができる。
【0037】
本実施形態の研磨装置は、第1研磨ヘッド可動機構として、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aおよび第1研磨ヘッド傾動機構50Aを備えており、第2研磨ヘッド可動機構として、第2研磨ヘッド並進移動機構40Bおよび第2研磨ヘッド傾動機構50Bを備えているが、一実施形態では、研磨装置は、第1研磨ヘッド可動機構として第1研磨ヘッド並進移動機構40Aのみを備え、第2研磨ヘッド可動機構として第2研磨ヘッド並進移動機構40Bのみを備えており、基板Wの周縁部のうちトップエッジ部E1またはボトムエッジ部B2のみを研磨するように構成されてもよい。
【0038】
研磨装置は、研磨装置の動作を制御する動作制御部80をさらに備えている。基板保持部5、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第1研磨テープ供給機構20A、第2研磨テープ供給機構20B、下側供給ノズル31、上側供給ノズル32、第1研磨ヘッド並進移動機構40A、第2研磨ヘッド並進移動機構40B、第1研磨ヘッド傾動機構50A、および第2研磨ヘッド傾動機構50Bは、動作制御部80に電気的に接続されている。基板保持部5、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第1研磨テープ供給機構20A、第2研磨テープ供給機構20B、下側供給ノズル31、上側供給ノズル32、第1研磨ヘッド並進移動機構40A、第2研磨ヘッド並進移動機構40B、第1研磨ヘッド傾動機構50A、および第2研磨ヘッド傾動機構50Bの動作は、動作制御部80によって制御される。
【0039】
動作制御部80は、少なくとも1台のコンピュータを備えている。動作制御部80は、プログラムが格納された記憶装置80aと、プログラムに従って演算を実行する演算装置80bを備えている。記憶装置80aは、演算装置80bがアクセス可能な主記憶装置(例えばランダムアクセスメモリ)と、プログラムを格納する補助記憶装置(例えば、ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ)を備えている。演算装置80bは、記憶装置80aに格納されているプログラムに含まれている命令に従って演算を行うCPU(中央処理装置)またはGPU(グラフィックプロセッシングモジュール)などを含む。ただし、動作制御部80の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0040】
本実施形態の研磨装置は、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bを同時に駆動させて、基板Wの周縁部を同時に研磨する。基板Wの周縁部の研磨は、次のように行われる。基板Wが研磨装置に搬送されると、動作制御部80は、基板保持部5の保持ステージ駆動機構9に指令を発して、保持ステージ7を上昇させる。基板Wは、保持ステージ7の基板保持面に載置され、真空吸着により保持される。動作制御部80は、基板保持部5の保持ステージ駆動機構9に指令を発して、基板Wを研磨位置まで下降させて、保持ステージ7および基板Wを回転させる。さらに、動作制御部80は、下側供給ノズル31および上側供給ノズル32に指令を発して、下側供給ノズル31および上側供給ノズル32から液体を供給する。
【0041】
次に、動作制御部80は、第1研磨テープ供給機構20Aに指令を発して、第1研磨ヘッド10Aに第1研磨テープ2Aの供給を開始し、第2研磨テープ供給機構20Bに指令を発して、第2研磨ヘッド10Bに第2研磨テープ2Bの供給を開始する。その後、動作制御部80は、第1研磨ヘッド10Aのエアシリンダ15に指令を発して、第1研磨ヘッド10Aの押圧部材12で第1研磨テープ2Aを基板Wの周縁部に押し付けるとともに、第2研磨ヘッド10Bのエアシリンダ15に指令を発して、第2研磨ヘッド10Bの押圧部材12で第2研磨テープ2Bを基板Wの周縁部に押し付ける。
【0042】
基板Wのトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2を研磨する場合、動作制御部80は、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aに指令を発して、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wのトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2のうちのいずれか一方に押し付けた状態で、第1研磨ヘッド10Aを移動させながら、第2研磨ヘッド並進移動機構40Bに指令を発して、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wのトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2のうちの他方に押し付けた状態で、第2研磨ヘッド10Bを移動させる。
【0043】
基板Wのベベル部Bを研磨する場合、動作制御部80は、第1研磨ヘッド傾動機構50Aに指令を発して、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wのベベル部Bに押し付けた状態で、第1研磨ヘッド10Aを傾動させながら、第2研磨ヘッド傾動機構50Bに指令を発して、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wのベベル部Bに押し付けた状態で、第2研磨ヘッド10Bを傾動させる。
【0044】
動作制御部80は、所定の研磨レシピに従って基板Wの周縁部が研磨された後、研磨装置に指令を発して基板Wの研磨を終了させる。具体的には、動作制御部80は、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aと第2研磨ヘッド並進移動機構40B、または第1研磨ヘッド傾動機構50Aと第2研磨ヘッド傾動機構50Bの動作を停止させ、第1研磨ヘッド10Aのエアシリンダ15および第2研磨ヘッド10Bのエアシリンダ15の駆動を停止させて、第1研磨ヘッド10Aの押圧部材12および第2研磨ヘッド10Bの押圧部材12を基板Wから離間させる。その後、動作制御部80は、基板保持部5、第1研磨テープ供給機構20A、第2研磨テープ供給機構20B、下側供給ノズル31、および上側供給ノズル32の動作を停止させて、基板Wの研磨を終了させる。
【0045】
図6(a)は、第1研磨ヘッド10Aの研磨動作の一実施形態を示す図であり、
図6(b)は、第2研磨ヘッド10Bの研磨動作の一実施形態を示す図である。本実施形態の研磨装置は、第1研磨ヘッド10Aで基板Wのトップエッジ部E1を研磨しながら、第2研磨ヘッド10Bで基板Wのボトムエッジ部E2を研磨する。
図6(a)および
図6(b)は、基板Wのトップエッジ部E1と第1研磨テープ2A、ボトムエッジ部E2と第2研磨テープ2Bとの接触部の拡大模式図である。
【0046】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域は、基板Wのトップエッジ部E1内の第1研磨点P1と第2研磨点P2との間の領域である。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域は、基板Wのボトムエッジ部E2内の第3研磨点P3と第4研磨点P4との間の領域である。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。
【0047】
本実施形態では、第1研磨領域と第2研磨領域とは、反対側に位置している。すなわち、第1研磨領域の両端である第1研磨点P1、第2研磨点P2と、第2研磨領域の両端である第3研磨点P3、第4研磨点P4とは、反対側に位置している。第1研磨点P1の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離と第4研磨点P4の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離は等しい。第2研磨点P2の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離と第3研磨点P3の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離は等しい。すなわち、第1研磨領域と第2研磨領域の基板Wの半径方向における長さは等しい。
【0048】
図6(a)に示すように、第1研磨ヘッド10Aは、第1研磨テープ2Aを第1研磨点P1に押し付けて第1研磨領域の研磨を開始する。次に、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wに押し付けた状態で、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aにより、第1研磨ヘッド10Aを第2研磨点P2まで第1の方向D1に移動させる。第1の方向D1は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。
【0049】
さらに、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wに押し付けた状態で、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aにより、第1研磨ヘッド10Aを第1研磨点P1まで第2の方向D2に移動させる。第2の方向D2は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。第1の方向D1と第2の方向D2とは反対の方向である。これにより、第1研磨ヘッド10Aは、第1研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第1研磨ヘッド10Aを第1の方向D1に移動させて、
図6(a)に示す研磨動作を繰り返し、第1研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第1研磨ヘッド10Aを第2の方向D2に移動させることなく、第1研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0050】
図6(b)に示すように、第2研磨ヘッド10Bは、第2研磨テープ2Bを第3研磨点P3に押し付けて第2研磨領域の研磨を開始する。次に、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wに押し付けた状態で、第2研磨ヘッド並進移動機構40Bにより、第2研磨ヘッド10Bを第4研磨点P4まで第2の方向D2に移動させる。第2の方向D2は、
図6(a)を参照して説明した第2の方向D2と同じである。
【0051】
さらに、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wに押し付けた状態で、第2研磨ヘッド並進移動機構40Bにより、第2研磨ヘッド10Bを第3研磨点P3まで第1の方向D1に移動させる。第1の方向D1は、
図6(a)を参照して説明した第1の方向D1と同じである。これにより、第2研磨ヘッド10Bは、第2研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第2研磨ヘッド10Bを第2の方向D2に移動させて、
図6(b)に示す研磨動作を繰り返し、第2研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第2研磨ヘッド10Bを第1の方向D1に移動させることなく、第2研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0052】
第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bは、トップエッジ部E1の第1研磨領域とボトムエッジ部E2の第2研磨領域を同時に研磨する。第1研磨ヘッド10Aが第1研磨テープ2Aを第1研磨点P1に押し付けて第1研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第2研磨テープ2Bを第3研磨点P3に押し付けて第2研磨領域の研磨を開始するタイミングは、同時であってもよい。第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの移動速度は等しく、第1研磨ヘッド10Aが第2研磨点P2に到達するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第4研磨点P4に到達するタイミングは、同時であってもよい。さらに、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bが折り返して、第1研磨ヘッド10Aが第1研磨点P1に戻るタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第3研磨点P3に戻るタイミングは、同時であってもよい。さらに、研磨終了時に、第1研磨ヘッド10Aの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第2研磨ヘッド10Bの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングは、同時であってもよい。
【0053】
本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bは、トップエッジ部E1の第1研磨領域とボトムエッジ部E2の第2研磨領域を同時に研磨するため、1つの研磨ヘッドでトップエッジ部E1とボトムエッジ部E2を研磨する場合と比較して、全体の研磨処理時間を短縮することができる。
【0054】
また、第1研磨領域と第2研磨領域とは、反対側に位置しており、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bとは、反対の方向である第1の方向D1および第2の方向D2に移動しながら基板Wを研磨するため、第1研磨ヘッド10Aによる押付力と第2研磨ヘッド10Bによる押付力は、反対方向に付与される。したがって、
図24を参照して説明したように、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bによる押付力が基板Wの周縁部に過大に付与されることがなく、基板Wの反りを抑制することができる。
【0055】
さらに、本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bとは、反対の方向である第1の方向D1および第2の方向D2に移動しながら基板Wを研磨するため、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bを基板Wのトップエッジ部側とボトムエッジ部側の両側から押し付けて移動させる際に、基板Wが第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bとともに移動して、基板保持部5に対して位置ずれするのを防ぐことができる。
【0056】
図7(a)乃至
図9(b)は、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作の他の実施形態を示す図である。特に説明しないこれらの実施形態の構成および動作は、
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0057】
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した実施形態では、第1研磨領域は、基板Wの周縁部のトップエッジ部E1であり、第2研磨領域は、基板Wの周縁部のボトムエッジ部E2であったが、
図7(a)乃至
図9(b)に示すように、第1研磨領域は、トップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2のうちのいずれか一方であり、第2研磨領域は、トップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2のうちの他方であればよい。
【0058】
また、
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した実施形態では、第1の方向D1は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から離れる方向であり、第2の方向D2は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近づく方向であったが、
図7(a)乃至
図9(b)に示すように、第1の方向D1は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近づく方向および基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から離れる方向のうちのいずれか一方であればよく、第2の方向D2は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近づく方向および基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から離れる方向のうちの他方であればよい。
【0059】
図7(a)および
図7(b)に示す実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨される第1研磨領域はトップエッジ部E1であり、第1研磨点P1および第2研磨点P2は、トップエッジ部E1内にある。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第2研磨ヘッド10Bにより研磨される第2研磨領域はボトムエッジ部E2であり、第3研磨点P3および第4研磨点P4は、ボトムエッジ部E2内にある。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第1の方向D1は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。第2の方向D2は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。
【0060】
図8(a)および
図8(b)に示す実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨される第1研磨領域はボトムエッジ部E2であり、第1研磨点P1および第2研磨点P2は、ボトムエッジ部E2内にある。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第2研磨ヘッド10Bにより研磨される第2研磨領域はトップエッジ部E1であり、第3研磨点P3および第4研磨点P4は、トップエッジ部E1内にある。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第1の方向D1は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。第2の方向D2は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。
【0061】
図9(a)および
図9(b)に示す実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨される第1研磨領域はボトムエッジ部E2であり、第1研磨点P1および第2研磨点P2は、ボトムエッジ部E2内にある。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第2研磨ヘッド10Bにより研磨される第2研磨領域はトップエッジ部E1であり、第3研磨点P3および第4研磨点P4は、トップエッジ部E1内にある。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第1の方向D1は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。第2の方向D2は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。
【0062】
次に、基板Wのベベル部Bを研磨するときの第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作について説明する。
図10(a)は、基板Wのベベル部Bを研磨するときの第1研磨ヘッド10Aの研磨動作の一実施形態を示す図であり、
図10(b)は、基板Wのベベル部Bを研磨するときの第2研磨ヘッド10Bの研磨動作の一実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0063】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域は、基板Wのベベル部B内の第1研磨点P1と第2研磨点P2との間の領域である。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりもベベル部Bにおいて上側に位置している。第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域は、基板Wのベベル部B内の第3研磨点P3と第4研磨点P4との間の領域である。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりもベベル部Bにおいて下側に位置している。
【0064】
本実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨が開始される第1研磨領域の両端のうちの一端である第1研磨点P1と、第2研磨ヘッド10Bにより研磨が開始される第2研磨領域の両端のうちの一端である第3研磨点P3とは、ベベル部Bにおいて反対側に位置している。また、第1研磨領域の両端のうちの他端である第2研磨点P2と、第2研磨領域の両端のうちの他端である第4研磨点P4とは、ベベル部Bにおいて反対側に位置している。第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域は、実質的に一致している。すなわち、第1研磨点P1と第4研磨点P4は実質的に一致しており、第2研磨点P2と第3研磨点P3は実質的に一致している。
【0065】
図10(a)に示すように、第1研磨ヘッド10Aは、第1研磨テープ2Aを第1研磨点P1に押し付けて第1研磨領域の研磨を開始する。次に、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wに押し付けた状態で、第1研磨ヘッド傾動機構50Aにより、第1研磨ヘッド10Aを第2研磨点P2まで第1の方向D1に傾動させる。第1の方向D1は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。
【0066】
さらに、第1研磨ヘッド10Aで第1研磨テープ2Aを基板Wに押し付けた状態で、第1研磨ヘッド傾動機構50Aにより、第1研磨ヘッド10Aを第1研磨点P1まで第2の方向D2に傾動させる。第2の方向D2は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。第1の方向D1と第2の方向D2とは、反対の方向である。これにより、第1研磨ヘッド10Aは、第1研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第1研磨ヘッド10Aを第1の方向D1に傾動させて、
図10(a)に示す研磨動作を繰り返し、第1研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第1研磨ヘッド10Aを第2の方向D2に傾動させることなく、第1研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0067】
図10(b)に示すように、第2研磨ヘッド10Bは、第2研磨テープ2Bを第3研磨点P3に押し付けて第2研磨領域の研磨を開始する。次に、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wに押し付けた状態で、第2研磨ヘッド傾動機構50Bにより、第2研磨ヘッド10Bを第4研磨点P4まで第2の方向D2に傾動させる。第2の方向D2は、
図10(a)を参照して説明した第2の方向D2と同じである。
【0068】
さらに、第2研磨ヘッド10Bで第2研磨テープ2Bを基板Wに押し付けた状態で、第2研磨ヘッド傾動機構50Bにより、第2研磨ヘッド10Bを第3研磨点P3まで第1の方向D1に傾動させる。第1の方向D1は、
図10(a)を参照して説明した第1の方向D1と同じである。これにより、第2研磨ヘッド10Bは、第2研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第2研磨ヘッド10Bを第2の方向D2に傾動させて、
図10(b)に示す研磨動作を繰り返し、第2研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第2研磨ヘッド10Bを第1の方向D1に傾動させることなく、第2研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0069】
第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bは、ベベル部Bの第1研磨領域と第2研磨領域を同時に研磨する。第1研磨ヘッド10Aが第1研磨テープ2Aを第1研磨点P1に押し付けて第1研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第2研磨テープ2Bを第3研磨点P3に押し付けて第2研磨領域の研磨を開始するタイミングは、同時であってもよい。第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの傾動速度は等しく、第1研磨ヘッド10Aが第2研磨点P2に到達するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第4研磨点P4に到達するタイミングは、同時であってもよい。さらに、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bが折り返して、第1研磨ヘッド10Aが第1研磨点P1に戻るタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第3研磨点P3に戻るタイミングは、同時であってもよい。さらに、研磨終了時に、第1研磨ヘッド10Aの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第2研磨ヘッド10Bの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングは、同時であってもよい。
【0070】
本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bで同時にベベル部Bを研磨するため、1つの研磨ヘッドでベベル部Bを研磨する場合と比較して、全体の研磨処理時間を短縮することができる。
【0071】
また、第1研磨ヘッド10Aにより研磨が開始される第1研磨点P1と第2研磨ヘッド10Bにより研磨が開始される第3研磨点P3とは、ベベル部Bにおいて反対側に位置しており、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bとは、反対の方向である第1の方向D1および第2の方向D2に傾動しながら基板Wを研磨するため、第1研磨ヘッド10Aによる押付力と第2研磨ヘッド10Bによる押付力は、ベベル部Bに対して反対方向に付与される。したがって、
図24を参照して説明したように、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bによる押付力が基板Wの周縁部に過大に付与されることがなく、基板Wの反りを抑制することができる。
【0072】
図11(a)乃至
図13(b)は、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作の他の実施形態を示す図である。特に説明しないこれらの実施形態の構成および動作は、
図10(a)および
図10(b)を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0073】
図10(a)および
図10(b)を参照して説明した実施形態では、第1の方向D1は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向であり、第2の方向D2は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向であったが、
図11(a)乃至
図13(b)に示すように、第1の方向D1は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向およびベベル部Bの下側から上側に向かう方向のうちのいずれか一方であればよく、第2の方向D2は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向およびベベル部Bの下側から上側に向かう方向のうちの他方であればよい。
【0074】
図11(a)および
図11(b)に示す実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨される第1研磨領域はベベル部Bであり、第1研磨点P1および第2研磨点P2は、ベベル部B内にある。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりもベベル部Bにおいて下側に位置している。第2研磨ヘッド10Bにより研磨される第2研磨領域はベベル部Bであり、第3研磨点P3および第4研磨点P4は、ベベル部B内にある。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりもベベル部Bにおいて上側に位置している。第1の方向D1は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。第2の方向D2は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。
【0075】
図12(a)および
図12(b)に示す実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨される第1研磨領域はベベル部Bのうち上側の領域であり、第1研磨点P1および第2研磨点P2は、ベベル部B内にある。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりもベベル部Bにおいて上側に位置しており、第2研磨点P2は、ベベル部Bの中央に位置している。第2研磨ヘッド10Bにより研磨される第2研磨領域はベベル部Bのうち下側の領域であり、第3研磨点P3および第4研磨点P4は、ベベル部B内にある。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりもベベル部Bにおいて下側に位置しており、第4研磨点P4は、ベベル部Bの中央に位置している。第1の方向D1は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。第2の方向D2は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。このように、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bは、ベベル部B内の異なる領域を研磨してもよい。
【0076】
図13(a)および
図13(b)に示す実施形態では、第1研磨ヘッド10Aにより研磨される第1研磨領域はベベル部Bのうち下側の領域であり、第1研磨点P1および第2研磨点P2は、ベベル部B内にある。第1研磨点P1は、第2研磨点P2よりもベベル部Bにおいて下側に位置しており、第2研磨点P2は、ベベル部Bの中央に位置している。第2研磨ヘッド10Bにより研磨される第2研磨領域はベベル部Bのうち上側の領域であり、第3研磨点P3および第4研磨点P4は、ベベル部B内にある。第3研磨点P3は、第4研磨点P4よりもベベル部Bにおいて上側に位置しており、第4研磨点P4は、ベベル部Bの中央に位置している。第1の方向D1は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。第2の方向D2は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。このように、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bは、ベベル部B内の異なる領域を研磨してもよい。
【0077】
図14は、研磨装置の他の実施形態を示す平面図である。本実施形態の研磨装置は、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10Bに加えて、第3研磨ヘッド10C、および第4研磨ヘッド10Dを備えている。特に説明しない本実施形態の研磨装置の構成は、
図2乃至
図5を参照して説明した研磨装置の構成と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0078】
本実施形態の研磨装置は、第3研磨テープ2Cを第3研磨ヘッド10Cに供給し、かつ第3研磨ヘッド10Cから回収する第3研磨テープ供給機構(図示せず)、第4研磨テープ2Dを第4研磨ヘッド10Dに供給し、かつ第4研磨ヘッド10Dから回収する第4研磨テープ供給機構(図示せず)、第3研磨ヘッド可動機構としての第3研磨ヘッド並進移動機構(図示せず)と第3研磨ヘッド傾動機構(図示せず)、および第4研磨ヘッド可動機構としての第4研磨ヘッド並進移動機構(図示せず)と第4研磨ヘッド傾動機構(図示せず)をさらに備えている。
【0079】
第3研磨ヘッド並進移動機構は、第3研磨ヘッド10Cを基板Wの半径方向に沿って並進移動させるように構成されている。第4研磨ヘッド並進移動機構は、第4研磨ヘッド10Dを基板Wの半径方向に沿って並進移動させるように構成されている。第3研磨ヘッド傾動機構は、第3研磨ヘッド10Cを保持ステージ7の基板保持面に対して傾動させるように構成されている。第4研磨ヘッド傾動機構は、第4研磨ヘッド10Dを保持ステージ7の基板保持面に対して傾動させるように構成されている。
【0080】
第3研磨ヘッド10Cおよび第4研磨ヘッド10Dは、第1研磨ヘッド10Aと基本的に同じ構成を有している。第3研磨テープ供給機構および第4研磨テープ供給機構は、第1研磨テープ供給機構20Aと基本的に同じ構成を有している。第3研磨ヘッド並進移動機構および第4研磨ヘッド並進移動機構は、第1研磨ヘッド並進移動機構40Aと基本的に同じ構成を有している。第3研磨ヘッド傾動機構および第4研磨ヘッド傾動機構は、第1研磨ヘッド傾動機構50Aと基本的に同じ構成を有している。したがって、これらの重複する説明を省略する。
【0081】
図14に示すように、第1研磨ヘッド10Aと基板Wの中心O1とを結ぶ線L1と、第2研磨ヘッド10Bと基板Wの中心O1とを結ぶ線L2とがなす角度α1は、0度から90度の範囲内にある。第3研磨ヘッド10Cと基板Wの中心O1とを結ぶ線L3と、第4研磨ヘッド10Dと基板Wの中心O1とを結ぶ線L4とがなす角度α2は、0度から90度の範囲内にある。
【0082】
第1研磨ヘッド10Aと第4研磨ヘッド10Dは、基板Wの中心O1を通り、かつ所定の回転軸心Crに直交する線Lcに関して対称に配置されている。第2研磨ヘッド10Bと第3研磨ヘッド10Cは、基板Wの中心O1を通り、かつ所定の回転軸心Crに直交する線Lcに関して対称に配置されている。ただし、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第3研磨ヘッド10C、および第4研磨ヘッド10Dの位置関係は、角度α1および角度α2が0度から90度の範囲内にある限り、本実施形態に限られない。
【0083】
図15(a)乃至
図15(d)は、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの研磨動作の一実施形態を示す図である。本実施形態では、第1研磨ヘッド10Aおよび第4研磨ヘッド10Dで基板Wのトップエッジ部E1を研磨しながら、第2研磨ヘッド10Bおよび第3研磨ヘッド10Cで基板Wのボトムエッジ部E2を研磨する。
【0084】
図15(a)および
図15(b)に示す第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0085】
第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、基板Wのボトムエッジ部E2内の第5研磨点P5と第6研磨点P6との間の領域である。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、基板Wのトップエッジ部E1内の第7研磨点P7と第8研磨点P8との間の領域である。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。
【0086】
本実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域とは、反対側に位置している。すなわち、第3研磨領域の両端である第5研磨点P5、第6研磨点P6と、第4研磨領域の両端である第7研磨点P7、第8研磨点P8とは、反対側に位置している。第5研磨点P5の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離と第8研磨点P8の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離は等しい。第6研磨点P6の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離と第7研磨点P7の基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)からの距離は等しい。すなわち、第3研磨領域と第4研磨領域の基板Wの半径方向における長さは等しい。
【0087】
図15(c)に示すように、第3研磨ヘッド10Cは、第3研磨テープ2Cを第5研磨点P5に押し付けて第3研磨領域の研磨を開始する。次に、第3研磨ヘッド10Cで第3研磨テープ2Cを基板Wに押し付けた状態で、第3研磨ヘッド並進移動機構により、第3研磨ヘッド10Cを第6研磨点P6まで第3の方向D3に移動させる。第3の方向D3は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。
【0088】
さらに、第3研磨ヘッド10Cで第3研磨テープ2Cを基板Wに押し付けた状態で、第3研磨ヘッド並進移動機構により、第3研磨ヘッド10Cを第5研磨点P5まで第4の方向D4に移動させる。第4の方向D4は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。第3の方向D3と第4の方向D4とは、反対の方向である。これにより、第3研磨ヘッド10Cは、第3研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第3研磨ヘッド10Cを第3の方向D3に移動させて、
図15(c)に示す研磨動作を繰り返し、第3研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第3研磨ヘッド10Cを第4の方向D4に移動させることなく、第3研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0089】
図15(d)に示すように、第4研磨ヘッド10Dは、第4研磨テープ2Dを第7研磨点P7に押し付けて第4研磨領域の研磨を開始する。次に、第4研磨ヘッド10Dで第4研磨テープ2Dを基板Wに押し付けた状態で、第4研磨ヘッド並進移動機構により、第4研磨ヘッド10Dを第8研磨点P8まで第4の方向D4に移動させる。第4の方向D4は、
図15(c)を参照して説明した第4の方向D4と同じである。
【0090】
さらに、第4研磨ヘッド10Dで第4研磨テープ2Dを基板Wに押し付けた状態で、第4研磨ヘッド並進移動機構により、第4研磨ヘッド10Dを第7研磨点P7まで第3の方向D3に移動させる。第3の方向D3は、
図15(c)を参照して説明した第3の方向D3と同じである。これにより、第4研磨ヘッド10Dは、第4研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第4研磨ヘッド10Dを第4の方向D4に移動させて、
図15(d)に示す研磨動作を繰り返し、第4研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第4研磨ヘッド10Dを第3の方向D3に移動させることなく、第4研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0091】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致しており、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第4の方向D4は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第3の方向D3は、実質的に一致している。
【0092】
第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dは、トップエッジ部E1の第1研磨領域、第4研磨領域と、ボトムエッジ部E2の第2研磨領域、第3研磨領域を同時に研磨する。第1研磨ヘッド10Aが第1研磨テープ2Aを第1研磨点P1に押し付けて第1研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第2研磨テープ2Bを第3研磨点P3に押し付けて第2研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第3研磨ヘッド10Cが第3研磨テープ2Cを第5研磨点P5に押し付けて第3研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第4研磨ヘッド10Dが第4研磨テープ2Dを第7研磨点P7に押し付けて第4研磨領域の研磨を開始するタイミングは、同時であってもよい。
【0093】
第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第3研磨ヘッド10C、および第4研磨ヘッド10Dの移動速度は等しく、第1研磨ヘッド10Aが第2研磨点P2に到達するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第4研磨点P4に到達するタイミングと、第3研磨ヘッド10Cが第6研磨点P6に到達するタイミングと、第4研磨ヘッド10Dが第8研磨点P8に到達するタイミングは、同時であってもよい。さらに、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第3研磨ヘッド10C、および第4研磨ヘッド10Dが折り返して、第1研磨ヘッド10Aが第1研磨点P1に戻るタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第3研磨点P3に戻るタイミングと、第3研磨ヘッド10Cが第5研磨点P5に戻るタイミングと、第4研磨ヘッド10Dが第7研磨点P7に戻るタイミングは、同時であってもよい。さらに、研磨終了時に、第1研磨ヘッド10Aの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第2研磨ヘッド10Bの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第3研磨ヘッド10Cの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第4研磨ヘッド10Dの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングは、同時であってもよい。
【0094】
本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第4研磨ヘッド10Dで同時にトップエッジ部E1を研磨し、第2研磨ヘッド10Bと第3研磨ヘッド10Cで同時にボトムエッジ部E2を研磨するため、
図6(a)乃至
図9(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの2つの研磨ヘッドでトップエッジ部E1とボトムエッジ部E2を研磨する場合と比較して、全体の研磨処理時間をさらに短縮することができる。
【0095】
また、第3研磨領域と第4研磨領域とは、反対側に位置しており、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dとは、反対の方向である第3の方向D3および第4の方向D4に移動しながら基板Wを研磨するため、第3研磨ヘッド10Cによる押付力と第4研磨ヘッド10Dによる押付力は、反対方向に付与される。したがって、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bによる押付力と同様に、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dによる押付力が基板Wの周縁部に過大に付与されることがなく、基板Wの反りを抑制することができる。
【0096】
さらに、本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bと同様に、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dとは、反対の方向である第3の方向D3および第4の方向D4に移動しながら基板Wを研磨するため、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dを基板Wのトップエッジ部側とボトムエッジ部側の両側から押し付けて移動させる際に、基板Wが第3研磨ヘッド10Cおよび第4研磨ヘッド10Dとともに移動して、基板保持部5に対して位置ずれするのを防ぐことができる。
【0097】
第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの4つの研磨ヘッドで基板Wのトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2を同時に研磨する場合、隣接する第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図6(a)乃至
図9(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの4パターンの研磨動作を適用することができる。また、隣接する第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は、
図6(a)乃至
図9(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの4パターンの研磨動作を適用することができる。
【0098】
図16(a)乃至
図18(d)は、このような第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。特に説明しないこれらの実施形態の構成および動作は、
図15(a)乃至
図15(d)を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図16(a)、
図17(a)、および
図18(a)に示す第1研磨ヘッド10Aの研磨動作は、
図6(a)に示す第1研磨ヘッド10Aの研磨動作と同じであり、
図16(b)、
図17(b)、および
図18(b)に示す第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図6(b)に示す第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0099】
図16(a)乃至
図16(d)に示す実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域はボトムエッジ部E2であり、第5研磨点P5および第6研磨点P6は、ボトムエッジ部E2内にある。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域はトップエッジ部E1であり、第7研磨点P7および第8研磨点P8は、トップエッジ部E1内にある。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第3の方向D3は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。第4の方向D4は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。
【0100】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致しており、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第3の方向D3は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第4の方向D4は、実質的に一致している。
【0101】
図17(a)乃至
図17(d)に示す実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域はトップエッジ部E1であり、第5研磨点P5および第6研磨点P6は、トップエッジ部E1内にある。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域はボトムエッジ部E2であり、第7研磨点P7および第8研磨点P8は、ボトムエッジ部E2内にある。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第3の方向D3は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。第4の方向D4は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。
【0102】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、実質的に一致しており、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第3の方向D3は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第4の方向D4は、実質的に一致している。
【0103】
図18(a)乃至
図18(d)に示す実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域はトップエッジ部E1であり、第5研磨点P5および第6研磨点P6は、トップエッジ部E1内にある。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)から遠い位置にある。第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域はボトムエッジ部E2であり、第7研磨点P7および第8研磨点P8は、ボトムエッジ部E2内にある。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりも基板Wの中心O1(すなわち、所定の回転軸心Cr)に近い位置にある。第3の方向D3は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1に近づく方向、すなわち、所定の回転軸心Crに近づく方向である。第4の方向D4は、基板Wの半径方向において、基板Wの中心O1から離れる方向、すなわち、所定の回転軸心Crから離れる方向である。
【0104】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、実質的に一致しており、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第4の方向D4は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第3の方向D3は、実質的に一致している。
【0105】
次に、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの4つの研磨ヘッドを用いて、基板Wのベベル部Bを同時に研磨するときの第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの研磨動作について説明する。
図19(a)乃至
図19(d)は、基板Wのベベル部Bを研磨するときの第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの研磨動作の一実施形態を示す図である。本実施形態では、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dで基板Wのベベル部Bを同時に研磨する。
図19(a)および
図19(b)に示す第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図10(a)および
図10(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0106】
第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、基板Wのベベル部B内の第5研磨点P5と第6研磨点P6との間の領域である。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりもベベル部Bにおいて下側に位置している。第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、基板Wのベベル部B内の第7研磨点P7と第8研磨点P8との間の領域である。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりもベベル部Bにおいて上側に位置している。
【0107】
本実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域は、実質的に一致している。すなわち、第5研磨点P5と第8研磨点P8は実質的に一致しており、第6研磨点P6と第7研磨点P7は実質的に一致している。第3研磨ヘッド10Cにより研磨が開始される第3研磨領域の両端のうちの一端である第5研磨点P5と、第4研磨ヘッド10Dにより研磨が開始される第4研磨領域の両端のうちの一端である第7研磨点P7とは、ベベル部Bにおいて反対側に位置している。また、第3研磨領域の両端のうちの他端である第6研磨点P6と、第4研磨領域の両端のうちの他端である第8研磨点P8とは、ベベル部Bにおいて反対側に位置している。
【0108】
図19(c)に示すように、第3研磨ヘッド10Cは、第3研磨テープ2Cを第5研磨点P5に押し付けて第3研磨領域の研磨を開始する。次に、第3研磨ヘッド10Cで第3研磨テープ2Cを基板Wに押し付けた状態で、第3研磨ヘッド傾動機構により、第3研磨ヘッド10Cを第6研磨点P6まで第3の方向D3に傾動させる。第3の方向D3は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。
【0109】
さらに、第3研磨ヘッド10Cで第3研磨テープ2Cを基板Wに押し付けた状態で、第3研磨ヘッド傾動機構により、第3研磨ヘッド10Cを第5研磨点P5まで第4の方向D4に傾動させる。第4の方向D4は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。第3の方向D3と第4の方向D4とは、反対の方向である。これにより、第3研磨ヘッド10Cは、第3研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第3研磨ヘッド10Cを第3の方向D3に傾動させて、
図19(c)に示す研磨動作を繰り返し、第3研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第3研磨ヘッド10Cを第4の方向D4に傾動させることなく、第3研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0110】
図19(d)に示すように、第4研磨ヘッド10Dは、第4研磨テープ2Dを第7研磨点P7に押し付けて第4研磨領域の研磨を開始する。次に、第4研磨ヘッド10Dで第4研磨テープ2Dを基板Wに押し付けた状態で、第4研磨ヘッド傾動機構により、第4研磨ヘッド10Dを第8研磨点P8まで第4の方向D4に傾動させる。第4の方向D4は、
図19(c)を参照して説明した第4の方向D4と同じである。
【0111】
さらに、第4研磨ヘッド10Dで第4研磨テープ2Dを基板Wに押し付けた状態で、第4研磨ヘッド傾動機構により、第4研磨ヘッド10Dを第7研磨点P7まで第3の方向D3に傾動させる。第3の方向D3は、
図19(c)を参照して説明した第3の方向D3と同じである。これにより、第4研磨ヘッド10Dは、第4研磨領域を1回往復研磨する。一実施形態では、さらに第4研磨ヘッド10Dを第4の方向D4に傾動させて、
図19(d)に示す研磨動作を繰り返し、第4研磨領域を複数回往復研磨してもよい。あるいは、第4研磨ヘッド10Dを第3の方向D3に傾動させることなく、第4研磨領域を片道分研磨してもよい。
【0112】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第4の方向D4は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第3の方向D3は、実質的に一致している。
【0113】
第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dは、ベベル部Bの第1研磨領域~第4研磨領域を同時に研磨する。第1研磨ヘッド10Aが第1研磨テープ2Aを第1研磨点P1に押し付けて第1研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第2研磨テープ2Bを第3研磨点P3に押し付けて第2研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第3研磨ヘッド10Cが第3研磨テープ2Cを第5研磨点P5に押し付けて第3研磨領域の研磨を開始するタイミングと、第4研磨ヘッド10Dが第4研磨テープ2Dを第7研磨点P7に押し付けて第4研磨領域の研磨を開始するタイミングは、同時であってもよい。
【0114】
第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第3研磨ヘッド10C、および第4研磨ヘッド10Dの傾動速度は等しく、第1研磨ヘッド10Aが第2研磨点P2に到達するタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第4研磨点P4に到達するタイミングと、第3研磨ヘッド10Cが第6研磨点P6に到達するタイミングと、第4研磨ヘッド10Dが第8研磨点P8に到達するタイミングは、同時であってもよい。さらに、第1研磨ヘッド10A、第2研磨ヘッド10B、第3研磨ヘッド10C、および第4研磨ヘッド10Dが折り返して、第1研磨ヘッド10Aが第1研磨点P1に戻るタイミングと、第2研磨ヘッド10Bが第3研磨点P3に戻るタイミングと、第3研磨ヘッド10Cが第5研磨点P5に戻るタイミングと、第4研磨ヘッド10Dが第7研磨点P7に戻るタイミングは、同時であってもよい。さらに、研磨終了時に、第1研磨ヘッド10Aの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第2研磨ヘッド10Bの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第3研磨ヘッド10Cの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングと、第4研磨ヘッド10Dの押圧部材12を基板Wから離間させるタイミングは、同時であってもよい。
【0115】
本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dで同時にベベル部Bを研磨するため、
図10(a)乃至
図11(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの2つの研磨ヘッドでベベル部Bを研磨する場合と比較して、全体の研磨処理時間をさらに短縮することができる。
【0116】
また、第3研磨ヘッド10Cにより研磨が開始される第5研磨点P5と第4研磨ヘッド10Dにより研磨が開始される第7研磨点P7とは、ベベル部Bにおいて反対側に位置しており、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Cとは、反対の方向である第3の方向D3および第4の方向D4に傾動しながら基板Wを研磨するため、第3研磨ヘッド10Cによる押付力と第4研磨ヘッド10Dによる押付力は、ベベル部Bに対して反対方向に付与される。したがって、したがって、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bによる押付力と同様に、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dによる押付力が基板Wの周縁部に過大に付与されることがなく、基板Wの反りを抑制することができる。
【0117】
第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの4つの研磨ヘッドで基板Wのベベル部Bを同時に研磨する場合、隣接する第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図10(a)乃至
図13(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの4パターンの研磨動作を適用することができる。また、隣接する第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は、
図10(a)乃至
図13(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの4パターンの研磨動作を適用することができる。
【0118】
図20(a)乃至
図22(d)は、このような第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの研磨動作の他の実施形態の一例を示す図である。特に説明しないこれらの実施形態の構成および動作は、
図19(a)乃至
図19(d)を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0119】
図20(a)および
図20(b)に示す第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図10(a)および
図10(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図20(a)乃至
図20(d)に示す実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域はベベル部Bであり、第5研磨点P5および第6研磨点P6は、ベベル部B内にある。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりもベベル部Bにおいて上側に位置している。第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域はベベル部Bであり、第7研磨点P7および第8研磨点P8は、ベベル部B内にある。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりもベベル部Bにおいて下側に位置している。第3の方向D3は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。第4の方向D4は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。
【0120】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第3の方向D3は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第4の方向D4は、実質的に一致している。
【0121】
図21(a)および
図22(a)に示す第1研磨ヘッド10Aの研磨動作、および
図21(b)および
図22(b)に示す第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図12(a)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aの研磨動作、および
図12(b)を参照して説明した第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0122】
図21(a)乃至
図21(d)に示す実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域はベベル部Bのうち下側の領域であり、第5研磨点P5および第6研磨点P6は、ベベル部B内にある。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりもベベル部Bにおいて下側に位置しており、第6研磨点P6は、ベベル部Bの中央に位置している。第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域はベベル部Bのうち上側の領域であり、第7研磨点P7および第8研磨点P8は、ベベル部B内にある。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりもベベル部Bにおいて上側に位置しており、第8研磨点P8は、ベベル部Bの中央に位置している。第3の方向D3は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。第4の方向D4は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。
【0123】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致しており、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第4の方向D4は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第3の方向D3は、実質的に一致している。
【0124】
図22(a)乃至
図22(d)に示す実施形態では、第3研磨ヘッド10Cにより研磨される第3研磨領域はベベル部Bのうち上側の領域であり、第5研磨点P5および第6研磨点P6は、ベベル部B内にある。第5研磨点P5は、第6研磨点P6よりもベベル部Bにおいて上側に位置しており、第6研磨点P6は、ベベル部Bの中央に位置している。第4研磨ヘッド10Dにより研磨される第4研磨領域はベベル部Bのうち下側の領域であり、第7研磨点P7および第8研磨点P8は、ベベル部B内にある。第7研磨点P7は、第8研磨点P8よりもベベル部Bにおいて下側に位置しており、第8研磨点P8は、ベベル部Bの中央に位置している。第3の方向D3は、ベベル部Bの上側から下側に向かう方向である。第4の方向D4は、ベベル部Bの下側から上側に向かう方向である。
【0125】
第1研磨ヘッド10Aによって研磨される第1研磨領域と、第3研磨ヘッド10Cによって研磨される第3研磨領域は、実質的に一致しており、第2研磨ヘッド10Bによって研磨される第2研磨領域と、第4研磨ヘッド10Dによって研磨される第4研磨領域は、実質的に一致している。また、第1の方向D1と第3の方向D3は、実質的に一致しており、第2の方向D2と第4の方向D4は、実質的に一致している。
【0126】
図15(a)乃至
図22(d)を参照して説明した第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は一例であり、一実施形態では、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bは、
図6(a)乃至
図9(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作を適用して、基板Wのトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2を同時に研磨しながら、第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dは、
図10(a)乃至
図13(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作を適用して、基板Wのベベル部Bを同時に研磨してもよい。このように、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dは、
図6(a)乃至
図13(b)に示す研磨動作を組み合わせて実施することができる。
【0127】
図23(a)および
図23(b)は、4つの研磨ヘッドで基板Wの周縁部を研磨するさらに他の実施形態を説明するための図である。特に説明しない本実施形態の研磨装置の構成は、
図14を参照して説明した研磨装置の構成と同じであるので、その重複する説明を省略する。本実施形態では、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dのうち、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bで同時に基板Wの周縁部を研磨した後、他の第3研磨ヘッド10Cおよび第4研磨ヘッド10Dで同時に基板Wの周縁部を研磨する。
【0128】
図23(a)は、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bにより基板Wの周縁部を研磨している様子を示している。第1研磨ヘッド10Aは、基板Wのトップエッジ部E1を研磨することができる位置に配置されており、第2研磨ヘッド10Bは基板Wのボトムエッジ部E2を研磨することができる位置に配置されている。第3研磨ヘッド10Cおよび第4研磨ヘッド10Dは、基板Wの半径方向外側の非研磨位置に配置されている。
【0129】
第1研磨ヘッド10Aに供給される第1研磨テープ2A、および第2研磨ヘッド10Bに供給される第2研磨テープ2Bは、研磨面に粗い砥粒を有している。第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bは、それぞれ基板Wのトップエッジ部E1内の第1研磨領域および基板Wのボトムエッジ部E2内の第2研磨領域を同時に粗研磨する。第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作は、
図6(a)および
図6(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0130】
その後、
図23(b)に示すように、第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bは、基板Wの半径方向外側の非研磨位置に配置される。第3研磨ヘッド10Cは、基板Wのボトムエッジ部E2を研磨することができる位置に配置され、第4研磨ヘッド10Dは、基板Wのトップエッジ部E1を研磨することができる位置に配置される。第3研磨ヘッド10Cに供給される第3研磨テープ2C、および第4研磨ヘッド10Dに供給される第4研磨テープ2Dは、研磨面に細かい砥粒を有している。
【0131】
第3研磨ヘッド10Cおよび第4研磨ヘッド10Dは、それぞれ基板Wのボトムエッジ部E2内の第3研磨領域および基板Wのトップエッジ部E1内の第4研磨領域を同時に仕上げ研磨する。第3研磨ヘッド10Cおよび第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は、
図8(a)および
図8(b)を参照して説明した第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bの研磨動作と同じであるので、その重複する説明を省略する。第3研磨ヘッド10Cは、第2研磨ヘッド10Bですでに研磨された第2研磨領域を研磨する。すなわち、第3研磨領域と第2研磨領域は同じ領域である。第4研磨ヘッド10Dは、第1研磨ヘッド10Aですでに研磨された第1研磨領域を研磨する。すなわち、第4研磨領域と第1研磨領域は同じ領域である。
【0132】
本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの2つの研磨ヘッドにより、トップエッジ部E1の第1研磨領域とボトムエッジ部E2の第2研磨領域を粗研磨した後、すぐに第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dの2つの研磨ヘッドにより、トップエッジ部E1の第1研磨領域(第4研磨領域)とボトムエッジ部E2の第2研磨領域(第3研磨領域)を仕上げ研磨する。したがって、1つの研磨ヘッドでトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2を研磨する場合と比較して、全体の研磨処理時間を短縮することができる。さらに、粗研磨用の粗い砥粒を有する研磨テープから、仕上げ研磨用の細かい砥粒を有する研磨テープに交換する必要がないため、全体の研磨処理時間を短縮することができる。
【0133】
また、第1研磨領域と第2研磨領域とは、反対側に位置しており、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bとは、反対の方向である第1の方向D1および第2の方向D2に移動しながら基板Wを研磨するため、第1研磨ヘッド10Aによる押付力と第2研磨ヘッド10Bによる押付力は、反対方向に付与される。したがって、
図24を参照して説明したように、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bによる押付力が基板Wの周縁部に過大に付与されることがなく、基板Wの反りを抑制することができる。第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dによる第3研磨領域と第4研磨領域の研磨についても、同様の効果が得られる。
【0134】
さらに、本実施形態によれば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bとは、反対の方向である第1の方向D1および第2の方向D2に移動しながら基板Wを研磨するため、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bを基板Wのトップエッジ部側とボトムエッジ部側の両側から押し付けて移動させる際に、基板Wが第1研磨ヘッド10Aおよび第2研磨ヘッド10Bとともに移動して、基板保持部5に対して位置ずれするのを防ぐことができる。第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dによる第3研磨領域と第4研磨領域の研磨についても、同様の効果が得られる。
【0135】
第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作、および第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は、本実施形態に限られず、
図6(a)乃至
図9(b)を参照して説明したトップエッジ部E1およびボトムエッジ部E2の研磨動作のいずれのパターンであってもよい。他の実施形態では、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作、および第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は、基板Wのベベル部Bを研磨する場合にも適用することができる。例えば、第1研磨ヘッド10Aと第2研磨ヘッド10Bの研磨動作、および第3研磨ヘッド10Cと第4研磨ヘッド10Dの研磨動作は、
図10(a)および
図10(b)を参照して説明したベベル部Bの研磨動作であってもよい。
【0136】
上述した実施形態に係る研磨装置は、第1研磨ヘッド10A~第4研磨ヘッド10Dに加えて、さらに2つ以上の研磨ヘッドを備えた6つ以上の研磨ヘッドを備えてもよい。
【0137】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0138】
2A 第1研磨テープ
2B 第2研磨テープ
2C 第3研磨テープ
2D 第4研磨テープ
5 基板保持部
7 保持ステージ
8 シャフト
9 保持ステージ駆動機構
10A 第1研磨ヘッド
10B 第2研磨ヘッド
10C 第3研磨ヘッド
10D 第4研磨ヘッド
12 押圧部材
15 エアシリンダ(駆動機構)
18 研磨ヘッド支持部材
20A 第1研磨テープ供給機構
20B 第1研磨テープ供給機構
21 テープ巻き出しリール
22 テープ巻き取りリール
24,25,26,27 ガイドローラー
28 リールベース
31 下側供給ノズル
32 上側供給ノズル
40A 第1研磨ヘッド並進移動機構
40B 第2研磨ヘッド並進移動機構
41 可動プレート
43 連結部材
44 ガイドレール
46 連結シャフト
47 エアシリンダ(駆動機構)
48 ベースプレート
50A 第1研磨ヘッド傾動機構
50B 第2研磨ヘッド傾動機構
52 クランクアーム
53 アーム回転装置
80 動作制御部
80a 記憶装置
80b 演算装置