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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023141818
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】ペット用おむつ
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20230928BHJP
【FI】
A01K23/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048332
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100211052
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小井戸 祐実
(72)【発明者】
【氏名】小松原 大介
(57)【要約】
【課題】おむつの内部又は外部のどちらに排便させるかを選択可能であることを使用者に認識させやすくする。
【解決手段】
一態様では、折り畳まれた状態で包装体に収容されるペット用おむつが提供される。このペット用おむつは、ペットの腹側から背側を繋ぐ長手方向、及び、長手方向に垂直な幅方向を有し、表面シートと、裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収性コアとを含む本体部を備える。本体部には、ペットの尻尾を挿通可能な第1開口部を形成する第1切込部と、第1開口部の面積よりも大きな面積を有し、ペットの大便を通過可能な第2開口部を形成する第2切込部とが形成され、第1切込部及び第2切込部の少なくとも一部は、折り畳まれた本体部の外面に配置されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り畳まれた状態で包装体に収容されるペット用おむつであって、
ペットの腹側から背側を繋ぐ長手方向、及び、前記長手方向に垂直な幅方向を有し、表面シートと、裏面シートと、前記表面シートと前記裏面シートとの間に配置された吸収性コアとを含む本体部を備え、
前記本体部には、前記ペットの尻尾を挿通可能な第1開口部を形成する第1切込部と、前記第1開口部の面積よりも大きな面積を有し、前記ペットの大便を通過可能な第2開口部を形成する第2切込部とが形成され、
前記第1切込部及び前記第2切込部の少なくとも一部は、折り畳まれた前記本体部の外面に配置されている、ペット用おむつ。
【請求項2】
前記ペット用おむつは、前記長手方向に三つ折り又は四つ折りの状態で折り畳まれており、
前記第1切込部及び前記第2切込部の全体が、折り畳まれた前記本体部の外面に配置されている、請求項1に記載のペット用おむつ。
【請求項3】
前記本体部は、前記第1切込部と前記第2切込部との間に配置された非切込部を含み、
前記第2切込部は、前記非切込部が破断されて前記第1切込部及び前記第2切込部が接続されたときに、前記第1開口部を内包する前記第2開口部を前記第1切込部と共に形成する、請求項1又は2に記載のペット用おむつ。
【請求項4】
前記第1切込部は、前記吸収性コアよりも前記本体部の前記背側に形成され、
前記第2切込部は、前記第1切込部よりも前記本体部の前記背側に形成されている、請求項3に記載のペット用おむつ。
【請求項5】
前記第1切込部は、前記表面シート及び裏面シートの一部であるフラップ状の舌片を形成し、前記舌片を前記背側に引っ張ったときに非切込部が破断されて前記第1切込部及び前記第2切込部が接続されるように構成された、請求項4に記載のペット用おむつ。
【請求項6】
前記第1切込部は、前記腹側に凸のU字状のスリットを含み、
前記第2切込部は、前記非切込部を介して前記U字状のスリットの一対の端部に隣接する一対のスリットを含む、請求項5に記載のペット用おむつ。
【請求項7】
前記一対のスリットは、前記背側に向かうにつれて互いに離れるように直線状に延びている、請求項6に記載のペット用おむつ。
【請求項8】
前記第1切込部は、前記第1開口部の端縁の全周に亘って延在する環状のスリットを含む、請求項4に記載のペット用おむつ。
【請求項9】
前記第1切込部は、前記吸収性コアよりも前記本体部の前記背側に形成され、
前記第2切込部は、前記長手方向において前記第1切込部と前記吸収性コアとの間に形成されている、請求項3に記載のペット用おむつ。
【請求項10】
前記第1切込部は、前記表面シート及び裏面シートの一部であるフラップ状の舌片を形成し、前記舌片を前記腹側に引っ張ったときに前記非切込部が破断されて前記第1切込部及び前記第2切込部が接続されるように構成された、請求項9に記載のペット用おむつ。
【請求項11】
前記第1切込部は、前記背側に凸のU字状のスリットを含み、
前記第2切込部は、前記非切込部を介して前記U字状のスリットの一対の端部に隣接する一対のスリットを含む、請求項10に記載のペット用おむつ。
【請求項12】
前記一対のスリットは、前記腹側に向かうにつれて互いに離れるように直線状に延びている、請求項11に記載のペット用おむつ。
【請求項13】
前記第1切込部は、前記第1開口部の端縁の全周に亘って延在する環状のスリットを含む、請求項9に記載のペット用おむつ。
【請求項14】
前記幅方向において前記本体部の外側に延出する一対のファスニングタブと、
前記一対のファスニングタブより前記本体部の前記背側に配置され、前記一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、
を更に備え、
前記第2開口部の前記背側の端縁は、前記長手方向における前記本体部の中心線と前記ターゲット部の前記腹側の端縁との中間線よりも前記腹側に配置されている、請求項1~13の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項15】
前記第2開口部の面積は、前記第1開口部の面積の2倍以上である、請求項1~14の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項16】
前記第2開口部の前記長手方向の最大長は、前記第1開口部の前記長手方向の最大長の2倍以上である、請求項1~15の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項17】
前記第1開口部の前記幅方向の最大幅は、前記第1開口部の前記長手方向の最大長よりも大きい、請求項1~16の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項18】
前記第2開口部の前記長手方向の最大長は、前記第2開口部の前記幅方向の最大幅よりも大きい、請求項1~17の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項19】
前記長手方向に伸長された状態で前記本体部に固定され、前記長手方向において前記第2開口部を跨ぐように延在する弾性部材を更に備える、請求項1~18の何れか一項に記載のペット用おむつ。
【請求項20】
前記裏面シートの表面には、デザインが付与され、
前記表面シートの表面には、デザインが付与されていない、請求項1~19の何れか一項に記載のペット用おむつ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペット用おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
犬や猫等のペットに装着するペット用おむつが知られている。例えば、下記特許文献1には、第1尻尾穴を形成する第1切り込み部と、第1切り込み部と吸収性コアとの間に配置され、第2尻尾穴を形成する第2切り込み部と、第1切り込み部と第2切り込み部との間で延在する易切開部とを備えるペット用おむつが記載されている。このペット用おむつを雄犬に装着する場合には、第1尻尾穴に尻尾を挿通することで後脚の付け根の前方に吸収性コアが配置されるようにする。一方、このペット用おむつを雌犬に装着する場合には、第2尻尾穴に尻尾を挿通することで後脚の付け根付近に吸収性コアが配置されるようにする。このように、特許文献1に記載のペット用おむつでは、犬の性別に応じて尻尾を通す尻尾穴を選択することにより、吸収性コアが犬の排尿口を覆う位置に配置されるので、尿漏れが低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-205542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ペットの大便(糞)をおむつの内部又は外部のどちらに排出させるべきかは、使用者の好みや状況によって異なる。例えば、ペットが室内にいるときには、部屋が汚れないようにおむつの内部に排便させることが好ましいであろうし、ペットが室外にいるときには、ペットの毛に大便が付着しないようにおむつの外部に排便させることが好ましいであろう。
【0005】
そこで、おむつの内部又は外部のどちらに排便させるかを選択できるように、ペット用おむつに大きさの異なる2種類の開口部を形成することが考えられる。しかしながら、ペット用おむつに2種類の開口部が形成されていたとしても、使用者がこれらの開口部の存在に気が付かなければ、排便先を選択できることを使用者に認識させることはできない。
【0006】
そこで、本開示は、おむつの内部又は外部のどちらに排便させるかを選択可能であることを使用者に認識させやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、折り畳まれた状態で包装体に収容されるペット用おむつが提供される。このペット用おむつは、ペットの腹側から背側を繋ぐ長手方向、及び、長手方向に垂直な幅方向を有し、表面シートと、裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収性コアとを含む本体部を備える。本体部には、ペットの尻尾を挿通可能な第1開口部を形成する第1切込部と、第1開口部の面積よりも大きな面積を有し、ペットの大便を通過可能な第2開口部を形成する第2切込部とが形成され、第1切込部及び第2切込部の少なくとも一部は、折り畳まれた本体部の外面に配置されている。
【0008】
本態様のペット用おむつでは、ペットの尻尾を挿通可能な第1開口部を形成する第1切込部とペットの大便を通過可能な第2開口部を形成する第2切込部との少なくとも一部が、折り畳まれた本体部の外面に配置されている。したがって、このペット用おむつを包装体から取り出したときに、使用者が第1切込部及び第2切込部を視認することが可能である。その結果、おむつの内部又は外部のどちらに排便させるかを選択可能であることを使用者に認識させることができる。
【0009】
一実施形態では、ペット用おむつは、長手方向に三つ折り又は四つ折りの状態で折り畳まれており、第1切込部及び第2切込部の全体が、折り畳まれた本体部の外面に配置されていてもよい。第1切込部及び第2切込部の全体が、折り畳まれた本体部の外面に配置されることにより、排便先を選択可能であることを使用者により認識させやすくすることができる。
【0010】
一実施形態では、本体部は、第1切込部と第2切込部との間に配置された非切込部を含み、第2切込部は、非切込部が破断されて第1切込部及び第2切込部が接続されたときに、第1開口部を内包する第2開口部を第1切込部と共に形成してもよい。この実施形態では、非切込部が破断されたときには、第2開口部が形成され、ペットの大便がおむつの外部に排出される。一方、非切込部が破断されていないときには、第2開口部が形成されないので、おむつの内部にペットの大便が排出される。したがって、おむつの内部又は外部のどちらに排便させるかを選択することができる。
【0011】
一実施形態では、第1切込部は、吸収性コアよりも本体部の背側に形成され、第2切込部は、第1切込部よりも本体部の背側に形成されていてもよい。この実施形態では、非切込部を破断させることにより、本体部に形成された開口部を背側に拡大させることができる。
【0012】
一実施形態では、第1切込部は、表面シート及び裏面シートの一部であるフラップ状の舌片を形成し、舌片を背側に引っ張ったときに非切込部が破断されて第1切込部及び第2切込部が接続されるように構成されていてもよい。この実施形態では、舌片を背側に引っ張ることで容易に第2開口部を形成することができる。また、吸収性コアとは反対方向に舌片を引っ張って第2開口部を形成するので、非切込部を破断させるときに誤って吸収性コアを破くことが防止される。
【0013】
一実施形態では、第1切込部は、腹側に凸のU字状のスリットを含み、第2切込部は、非切込部を介してU字状のスリットの一対の端部に隣接する一対のスリットを含んでもよい。この実施形態では、非切込部を破断させることでU字状のスリットの一対の端部が一対のスリットに接続され、第2開口部が形成される。
【0014】
一実施形態では、一対のスリットは、背側に向かうにつれて互いに離れるように直線状に延びていてもよい。この実施形態では、舌片を背側に引っ張って非切込部を破断させるときに、ペット用おむつの幅方向に力が分散されるので、第2開口部を形成するときに誤って本体部が背側に引き裂かれにくくなる。
【0015】
一実施形態では、第1切込部は、第1開口部の端縁の全周に亘って延在する環状のスリットを含んでいてもよい。環状のスリットを有することにより、表面シート及び裏面シートの一部が切り抜かれることになるので、第1開口部の存在を使用者に容易に認識させることができる。
【0016】
一実施形態では、第1切込部は、吸収性コアよりも本体部の背側に形成され、第2切込部は、長手方向において第1切込部と吸収性コアとの間に形成されていてもよい。この実施形態では、非切込部を破断させて第2開口部を形成した場合に開口部が腹側に広がるので、開口部の背側の端縁の位置が変化しない。すなわち、ペットの尻尾とペット用おむつとの位置関係に変化がないので、ペット用おむつにずれが生じにくくなる。その結果、尿漏れを抑制することができる。
【0017】
一実施形態では、第1切込部は、表面シート及び裏面シートの一部であるフラップ状の舌片を形成し、舌片を腹側に引っ張ったときに非切込部が破断されて第1切込部及び第2切込部が接続されるように構成されていてもよい。この実施形態では、舌片を腹側に引っ張ることで簡単に非切込部を切断して第2開口部を形成することができる。
【0018】
一実施形態では、第1切込部は、背側に凸のU字状のスリットを含み、第2切込部は、非切込部を介してU字状のスリットの一対の端部に隣接する一対のスリットを含んでいてもよい。この実施形態では、非切込部を切断することでU字状のスリットの一対の端部が一対のスリットに接続され、第2開口部が形成される。
【0019】
一実施形態では、一対のスリットは、腹側に向かうにつれて互いに離れるように直線状に延びていてもよい。この実施形態では、舌片を腹側に引っ張って非切込部を破断させるときに、ペット用おむつの幅方向に力が分散されるので、第2開口部を形成するときに誤って吸収性コアを破くことを防止することができる。
【0020】
一実施形態では、第1切込部は、第1開口部の端縁の全周に亘って延在する環状のスリットを含んでいてもよい。環状のスリットを有することにより、表面シート及び裏面シートの一部が切り抜かれることになるので、第1開口部の存在を使用者に容易に認識させることができる。
【0021】
一実施形態のペット用おむつは、幅方向において本体部の外側に延出する一対のファスニングタブと、一対のファスニングタブより本体部の背側に配置され、一対のファスニングタブに係合するターゲット部と、を更に備え、第2開口部の背側の端縁は、長手方向における本体部の中心線とターゲット部の腹側の端縁との中間線よりも腹側に配置されていてもよい。このような位置に第2開口部の背側の端縁を配置することによって、ペット用おむつを装着したときに、第2開口部の背側の端縁をペットの尻尾の背部に確実に当接させることができる。これにより、ペット用おむつのずれが抑制される。その結果、尿漏れを防止しつつ大便をペット用おむつの外部に排出させることができる。
【0022】
一実施形態では、第2開口部の面積は、第1開口部の面積の2倍以上であってもよい。第2開口部の面積を第1開口部の面積の2倍以上とすることにより、ペットの大便をペット用おむつの外部に確実に排出させることができる。
【0023】
一実施形態では、第2開口部の長手方向の最大長は、第1開口部の長手方向の最大長の2倍以上であってもよい。第2開口部の長手方向の長さを第1開口部の長手方向の長さの2倍以上にすることにより、ペットの大便をペット用おむつの外部に確実に排出させることができる。
【0024】
一実施形態では、第1開口部の幅方向の最大幅は、第1開口部の長手方向の最大長よりも大きくてもよい。第1開口部を横長形状にすることにより、ペットの尻尾を第1開口部に容易に通すことができる。
【0025】
一実施形態では、第2開口部の長手方向の最大長は、第2開口部の幅方向の最大幅よりも大きくてもよい。第2開口部を長手方向に長い縦長形状にすることにより、ペットの大便を通過させやすくなる。
【0026】
一実施形態のペット用おむつは、長手方向に伸長された状態で本体部に固定され、長手方向において第2開口部を跨ぐように延在する弾性部材を更に備えてもよい。弾性部材が長手方向に収縮することによって本体部の第2開口部と吸収性コアとの間の領域が引っ張られ、ペットの臀部に押し当てられる。これにより、ペット用おむつのフィット性が向上し、第2開口部の端縁とペットの臀部との間に隙間が生じにくくなる。したがって、ペットの大便をペット用おむつの外部に確実に排出させることができる。
【0027】
一実施形態では、裏面シートの表面には、デザインが付与され、表面シートの表面には、デザインが付与されていなくてもよい。この実施形態では、第1開口部を通してデザインが付与されていない表面シートが視認可能となるので、コントラストの違いから第1開口部の存在を使用者に認識させやすくなる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の種々の態様及び実施形態によれば、おむつの内部又は外部のどちらに排便させるかを選択可能であることを使用者に認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態に係るペット用おむつを示す平面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3】第1切込部及び第2切込部の周辺を拡大して示す図である。
図4】第1開口部に尻尾を通してペット用おむつを装着した状態を示す図である。
図5】第1切込部及び第2切込部の周辺を拡大して示す図である。
図6】第2開口部に尻尾を通してペット用おむつを装着した状態を示す図である。
図7】折り畳まれた状態で包装体内に収容されたペット用おむつを示す図である。
図8】折り畳まれたペット用おむつの一例を示す平面図である。
図9】ペット用おむつの変形例を示す平面図である。
図10】ペット用おむつの変形例を示す平面図である。
図11】ペット用おむつの別の変形例を示す平面図である。
図12】ペット用おむつの別の変形例を示す平面図である。
図13】ペット用おむつの別の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0031】
図1は、一実施形態に係るペット用おむつを肌面側Z1から見た平面図である。図2は、図1に示すII-II線に沿ったペット用おむつを模式的に示す断面図である。図1では、皺が形成されない状態までペット用おむつ1を伸長させた伸長状態のペット用おむつ1を示している。以下の説明では、特段の説明がない限り伸長状態における位置関係について説明する。また、図2に示す断面図では、説明の便宜上、各部材を厚み方向Zにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚み方向Zに接している。
【0032】
ペット用おむつ1は、ペットに使用されるおむつである。本明細書において、「ペット」は、脊椎動物や無脊椎動物を広く包含し、典型的には、犬、猫、ウサギ、ハムスターなどの愛玩動物を含む。一実施形態のペット用おむつ1は、子犬、小型犬、猫といった小型動物用のおむつとして特に好適に使用される。図1に示すように、ペット用おむつ1は、ペットの胴回り方向に沿って配置される幅方向X、及び、ペットの腹側から背側を繋ぐ長手方向Yに延在している。幅方向Xと長手方向Yは互いに垂直な方向である。厚み方向Zは、幅方向X及び長手方向Yに垂直な方向であり、着用状態のときにペットの肌面に向けられる肌面側Z1、及び、着用状態のときにペットの肌面とは反対側に向けられる非肌面側Z2とを含む。図4に示すように、ペット用おむつ1は、ペットの腹側から股下を通って背側まで覆うように装着される。
【0033】
ペット用おむつ1は、本体部2を有している。本体部2は、幅方向X及び長手方向Yに延在する。なお、以下の説明では、本体部2の長手方向Yの一端側を腹側といい、長手方向Yの他端側を背側ということがある。図1及び図2に示すように、本体部2は、表面シート10、裏面シート20及び吸収性コア30を含んでいる。表面シート10は、本体部2においてペットに当てられる面を構成し、肌面側Z1に配置されている。表面シート10は、ペットの尿を吸収性コア30側に透過させる液透過性を有する。表面シート10は、幅方向Xの中央に位置し、吸収性コア30を覆うセンターシート11と、センターシート11の幅方向Xの両側部を覆う一対のサイドシート12とを含んでいる。例えば、センターシート11及び一対のサイドシートは、デザインが付与されていない無地の不織布によって構成されている。
【0034】
図2に示すように、幅方向Xにおける一対のサイドシート12の内側部分は非肌面側Z2に折り返されている。折り返された一対のサイドシート12の間には、長手方向Yに伸長された状態の一対の弾性部材13が配置されている。一対のサイドシート12及び一対の弾性部材13は、防漏ギャザー80を構成する。防漏ギャザー80は、起立性の防漏用ギャザーであり、吸収性コア30よりも肌面側Z1に配置されている。
【0035】
防漏ギャザー80は、吸収性コア30の幅方向Xの外側に配置され、吸収性コア30に排泄された尿が幅方向Xに漏れることを抑制する。一実施形態では、防漏ギャザー80は、長手方向Yに延在する一対の弾性部材13と、一対の弾性部材13の収縮によって起立する起立部81と、幅方向Xにおける起立部81の起立支点となる横固定部82と、長手方向Yにおける起立部81の起立支点となる縦固定部83とを含んでいる。
【0036】
一対の弾性部材13は、幅方向Xにおけるサイドシート12の内側部分に設けられ、長手方向Yに延在している。一対の弾性部材13は、例えば長さ方向に収縮可能なゴム又はスパンデックス等の伸縮性材料によって構成されている。一対の弾性部材13は、本体部2の幅方向Xの中心線CWを隔てて互いに離間して配置されており、長手方向Yに伸長した状態でサイドシート12に固定されている。一対の弾性部材13の腹側の端部は後述する腹側域51に配置され、一対の弾性部材13の背側の端部は後述する臀部域53Rに配置されている。
【0037】
横固定部82は、サイドシート12のうち起立部81の幅方向Xの外側の位置において本体部2の長手方向Yの略全域に形成されている。すなわち、横固定部82は、幅方向Xにおける吸収性コア30の外側に配置されている。横固定部82は、サイドシート12の一部であり、センターシート11に固定されている。横固定部82は、幅方向Xにおける起立部81の起立支点となる。
【0038】
縦固定部83は、横固定部82に対して幅方向Xの内側の位置において本体部2の腹側及び背側にそれぞれ形成されている。縦固定部83は、サイドシート12の一部であり、センターシート11に固定されている。縦固定部83は、長手方向Yにおける起立部81の起立支点となる。
【0039】
起立部81は、本体部2の腹側及び背側にそれぞれ形成された縦固定部83の間に形成されている。すなわち、起立部81は、横固定部82よりも幅方向Xの内側の位置であって、縦固定部83よりも長手方向Yの内側の位置に配置されている。起立部81は、センターシート11に対して固定されていないサイドシート12の一部分である。起立部81には長手方向Yに伸長された弾性部材13が接続されている。弾性部材13が長手方向Yに収縮することによって本体部2が閉じる方向に変形し、起立部81が横固定部82を起点として立ち上がる。このように起立部81が、吸収性コア30を幅方向Xから挟み込む位置において起立することで尿漏れが防止される。
【0040】
裏面シート20は、本体部2において着用時に外側に位置する面を構成し、非肌面側Z2に配置されている。裏面シート20は、液不透過性の裏面フィルム21と、裏面フィルム21よりも非肌面側Z2に位置する裏面不織布22とを含んでいる。裏面フィルム21の幅方向Xの長さは、裏面不織布22の幅方向Xの長さよりも短く形成され、裏面不織布22が裏面フィルム21よりも幅方向Xの両側に延出していてもよい。裏面不織布22は、ペット用おむつ1の最外層を構成する。裏面不織布22の非肌面側Z2の表面には、デザインが付与されていてもよい。
【0041】
吸収性コア30は、表面シート10と裏面シート20の間に配置されている。吸収性コア30は、例えば吸水性を有する植物由来のパルプ繊維及び高分子吸収剤(SAP)を含み、ペットの尿を吸収する。図2に示すように、吸収性コア30の上面及び下面は、コアラップ38によって覆われていてもよい。吸収性コア30は、本体部2の幅方向Xの略中央に配置されている。
【0042】
吸収性コア30は、腹側の端縁30F及び背側の端縁30Rを有している。幅方向Xにおける腹側の端縁30F及び背側の端縁30Rの幅は、幅方向Xにおける一対の弾性部材13間の距離よりも大きい。腹側の端縁30Fと背側の端縁30Rとの間には、吸収性コア30の幅が狭められた括れ部43が形成されている。幅方向Xにおける括れ部43の幅は、幅方向Xにおける一対の弾性部材13間の距離よりも小さい。
【0043】
括れ部43は、本体部2の長手方向Yの中心線CL1よりも腹側の位置であって、吸収性コア30の長手方向Yの中心線30Cよりも背側の位置に配置されている。なお、中心線CL1は、後述する本体部2の背側端縁2R及び腹側端縁2Fから等しい距離に位置し、幅方向Xに沿って延在する仮想線である。すなわち、中心線CL1は、ペット用おむつ1を長手方向Yに二つ折りしたときに折り目が形成される部分である。
【0044】
吸収性コア30の背側の端縁30Rは、本体部2の長手方向Yの中心線CL1よりも背側に配置されている。吸収性コア30の腹側の端縁30Fは、中心線CL1よりも腹側に配置されている。ペット用おむつ1をペットに装着したときに、ペットの排尿口は、本体部2の中心線CL1付近の領域に当てられる。
【0045】
本体部2は、長手方向Yの腹側に位置する腹側端縁2Fと、長手方向Yの背側に位置する背側端縁2Rとを有している。腹側端縁2Fは着用時に腹側においてペットの胴回り方向に配置され、背側端縁2Rは着用時に背側においてペットの胴回り方向に配置される。腹側端縁2Fと背側端縁2Rとの間の長手方向Yの距離は、本体部2の全長(最大長)L1となる。幅方向Xにおける本体部2の最大幅W1は、長手方向における本体部2の全長L1の半分よりも大きくてもよい。
【0046】
また、本体部2は、腹側端縁2F側に位置する腹側域51と、背側端縁2R側に位置する背側域52と、長手方向Yにおいて腹側域51と背側域52との間に位置する中間域53とを有している。中間域53の幅方向Xの幅は、長手方向Yにおいて略一定である。腹側域51及び背側域52の幅方向Xの幅は、中間域53の幅方向Xの幅よりも大きくてもよい。
【0047】
中間域53は、本体部2の中心線CL1と腹側域51との間に位置する股下域53Fと、本体部2の中心線CL1と背側域52との間に位置する臀部域53Rとを含んでいる。股下域53Fは、ペット用おむつ1をペットに装着したときに、ペットの股下を覆う領域である。臀部域53Rは、ペット用おむつ1をペットに装着したときに、ペットの臀部に当接する領域である。
【0048】
本体部2の背側域52には、本体部2から幅方向Xの外側に張り出す一対のフラップ部15が形成されている。一対のフラップ部15は、ペットの後脚を通すための一対の脚回り開口部15sを画成する。幅方向Xにおける一対のフラップ部15の側端縁間の幅は、本体部2の最大幅W1に相当する。
【0049】
一対のフラップ部15には、一対のファスニングタブ90がそれぞれ設けられている。一対のファスニングタブ90は、肌面側Z1から見て幅方向Xに長い長方形状を有し、本体部2の長手方向Yの腹側端縁2Fに近接して配置されている。一対のファスニングタブ90は、本体部2の側端縁2Sから幅方向Xの外側に延出している。一対のファスニングタブ90の各々は、フラップ部15に接合された基材シート91と、基材シート91上に設けられた接合部92とを有している。接合部92は、ファスニングタブ90の肌面側Z1の面に配置されている。接合部92は、例えばメカニカルファスナであり、本体部2の非肌面側Z2に形成されたターゲット部45に接合可能に構成されている。
【0050】
ターゲット部45は、本体部2の背側域52の非肌面側Z2に設けられている。図1に示すように、ターゲット部45は、幅方向Xに延在する帯状の形状を有している。ターゲット部45は、一対のファスニングタブ90よりも背側端縁2R側に配置され、一対のファスニングタブ90に係合する。なお、本体部2はターゲット部45を備えず、一対のファスニングタブ90の接合部92が裏面シート20の裏面不織布22に直接接合するように構成されてよい。
【0051】
本体部2には、第1切込部61及び第2切込部71が形成されている。第1切込部61は、ペットの尻尾を挿通する第1開口部60を形成する。第2切込部71は、ペットの大便を通過させる第2開口部70を形成する。図1に示すように、第1切込部61及び第2切込部71は、長手方向Yにおける本体部2の中心線CL1とターゲット部45の腹側の端縁45Fとの中間線CL2よりも腹側に配置されている。すなわち、第1切込部61及び第2切込部71は、本体部2の臀部域53Rに形成されている。
【0052】
図3は、第1切込部61及び第2切込部71の周辺を拡大して示す図である。図3に示すように、第1切込部61は、吸収性コア30よりも本体部2の背側に形成されている。第2切込部71は、第1切込部61よりも本体部2の背側に形成されている。すなわち、第1切込部61は、長手方向Yにおいて吸収性コア30と第2切込部71との間に形成されている。第1切込部61と第2切込部71との間には、スリットが形成されていない非切込部65が設けられている。すなわち、第1切込部61及び第2切込部71は、非切込部65を介して離間している。
【0053】
図3に示すように、第1切込部61は、肌面側Z1から見て、吸収性コア30側に凸の略U字状を有するスリット62を含む。スリット62は、幅方向Xの中心線CW上に配置され、本体部2の表面シート10及び裏面シート20を厚さ方向に貫通している。なお、中心線CWは、幅方向Xにおける本体部2の一対の側端縁2Sから等しい距離に位置し、長手方向Yに沿って延在する仮想線である。
【0054】
本体部2は、フラップ状の舌片63を有する。舌片63は、スリット62によって本体部2に略U字状の切れ目を入れることで形成された部分であり、表面シート10及び裏面シート20の一部によって構成される。舌片63は、本体部2の臀部域53Rに接続された基端部63Rと、基端部63Rの反対側に配置され、臀部域53Rに対して切り離された先端部63Fとを有している。先端部63Fは、舌片63が折り返されていない状態で腹側に向けられている。
【0055】
舌片63は、基端部63Rを起点として非肌面側Z2へ折り返されることで第1開口部60を開口する。第1開口部60は、半円形状又は舌形状を有する開口であり、ペットの尻尾を挿通する尻尾穴として機能する。第1開口部60は、吸収性コア30の背側の端縁30Rよりも背側に位置するので、幅方向Xにおける第1開口部60の外側及び背側には、吸収性コア30が配置されない領域が形成される。
【0056】
図4は、第1開口部60に尻尾を通してペット用おむつを装着した状態を示している。舌片63の先端部63Fは腹側に向けられているので、図4に示すように、第1開口部60に尻尾を通して、舌片63が基端部63Rを起点として非肌面側Z2に折り返されると、舌片63は尻尾の背面側に当接する。このとき、第1開口部60の背側の端縁60Rがペットの尻尾に当接することで、ペット用おむつ1が位置決めされる。
【0057】
一実施形態では、図3に示すように、第1開口部60の幅方向Xの最大幅W2は、第1開口部60の長手方向Yの最大長L2よりも大きい。すなわち、第1開口部60は、幅方向Xに長い横長形状を有する。したがって、図4に示すように、第1開口部60に尻尾を通したときに、第1開口部60からペットの肛門が露出しない。したがって、ペットがペット用おむつ1を着用した状態で排便をしたときに、大便は第1開口部60を通過せず、ペット用おむつ1の内部に排泄される。
【0058】
第2切込部71は、一対のスリット72を含んでいる。図3に示す実施形態では、一対のスリット72は、互いに離間しており、中心線CWに対して傾斜して延びている。より具体的には、一対のスリット72は、吸収性コア30から離れるにつれて互いに離れるように直線状に延びている。一対のスリット72の腹側の端部は、略U字状のスリット62の一対の端部に隣接して配置されている。一対のスリット72の腹側の端部とスリット62の一対の端部との間には、非切込部65が形成されている。一対のスリット72の長さは、一対の非切込部65の長さよりも長くてもよい。
【0059】
非切込部65が破断されると、図5に示すように、第1切込部61のスリット62と第2切込部71の一対のスリット72が接続され、スリット62よりも長い略U字状のスリットが形成される。非切込部65は、ペット用おむつ1の非肌面側Z2から舌片63を指でつまんで背側に引っ張ることにより、容易に破断される。これに伴って、舌片63は、本体部2の一対のスリット72の間の部分と連結される。第1切込部61及び第2切込部71が接続された状態で、舌片63が非肌面側Z2へ折り返されることで第2開口部70が開口される。すなわち、第2開口部70は、非切込部65が破断されたときに、第1切込部61と共に第2開口部70を形成する。
【0060】
図5に示すように、第2開口部70は、第1開口部60を内包する開口である。すなわち、非切込部65が切断されて第1切込部61と第2切込部71とが接続されると、第1開口部60が背側に拡大して第2開口部70が形成される。第2開口部70は、半円形状又は舌形状を有する開口であり、拡大された尻尾穴として機能する。第2開口部70の面積は、第1開口部60の面積よりも大きく、ペットの大便を通過可能である。一実施形態では、第2開口部70の面積は、第1開口部60の面積の2倍以上であってもよい。図5に示す実施形態では、幅方向Xにおける第2開口部70の開口幅は、背側に向かうにつれて大きくなっている。
【0061】
ペットの大便を確実に通過させるために、第2開口部70は、長手方向Yに長い縦長形状を有していてもよい。例えば、第2開口部70の長手方向Yの最大長L3は、第2開口部70の幅方向Xの最大幅W3よりも大きい。第2開口部70の最大長L3は、第1開口部60の長手方向Yの最大長L2の2倍以上の長さであってもよい。
【0062】
図6は、第2開口部70に尻尾を通してペット用おむつ1をペットに装着した状態を示す図である。図6に示すように、第2開口部70は、縦長形状を有しているので、第2開口部70に尻尾を通して舌片63が非肌面側Z2に折り返されると、ペットの肛門98が第2開口部70から露出する。したがって、ペットがペット用おむつ1を着用した状態で大便をしたときに、大便は第2開口部70を通過してペット用おむつ1の外部に排出される。第2開口部70に尻尾を通してペット用おむつ1をペットに装着した場合には、第2開口部70の背側の端縁70Rがペットの尻尾に当接する。したがって、ペットの尻尾とペット用おむつ1とが当接する位置は、第1開口部60に尻尾を通してペット用おむつ1をペットに装着した場合よりも背側に移動する。
【0063】
上記のように、ペット用おむつ1の使用者は、ペット用おむつ1の内部又は外部のどちらに排便させるかを選択することができる。すなわち、ペット用おむつ1の内部に排便させたい場合には、非切込部65を切断させずに第1開口部60にペットの尻尾を挿通する。第1開口部60は大便を通過しない大きさを有しているので、この場合には、ペットの大便はペット用おむつ1の内部に排泄される。一方、ペットの大便をペット用おむつ1の外部に排出させたい場合には、非切込部65を切断し、第2開口部70にペットの尻尾を挿通する。第2開口部70は大便を通過可能な大きさを有しているので、この場合には、ペットの大便はペット用おむつ1の外部に排泄される。
【0064】
図1に示すように、ペット用おむつ1は、長さ方向に伸縮可能な一対の弾性部材40を更に備えていてもよい。一対の弾性部材40は、弾性部材13よりも幅方向Xの外側に配置されている。図1に示す実施形態では、一対の弾性部材40の腹側の端部は腹側域51に配置され、一対の弾性部材40の背側の端部は背側域52に配置されている。一対の弾性部材40は、例えば長さ方向に収縮可能なゴム又はスパンデックス等の伸縮性材料によって構成されており、本体部2の表面シート10と裏面シート20との間で本体部2の側端縁2Sに沿って配置されている。なお、一対の弾性部材40は、本体部2の表面シート10及び裏面シート20に縫い合わされた状態で長手方向Yに延在していてもよい。ペット用おむつ1が着用されたときに、一対の弾性部材40が長手方向Yに収縮することにより、本体部2の側端縁2Sが着用者の脚周りにフィットする。
【0065】
図4又は図6を参照して、ペット用おむつ1の着用方法について説明する。ペット用おむつ1をペットに装着する前に、まずペット用おむつ1の内部又は外部のどちらに排便させるかに応じて第1開口部60又は第2開口部70が形成される。そして、ペットの尻尾を第1開口部60又は第2開口部70に通してペット用おむつ1の非肌面側Z2に出す。このとき、舌片63が非肌面側Z2に折り返されて舌片63が尻尾の背面側に配置される。次いで、本体部2の腹側端縁2Fをペットの腹に当てる。そして、本体部2の長手方向Yの中心線CL1付近をペットの排尿口に当てつつ、本体部2の背側端縁2Rをペットの背部に当てる。次いで、一対のファスニングタブ90を胴回り方向にペットの背中側に引っ張り、本体部2のターゲット部45の外面に一対のファスニングタブ90を止着する。これにより、図4又は図6に示すように、ペットの腹、背中、及び股下を覆うようにペット用おむつ1が装着される。
【0066】
非切込部65を破断させずに第1開口部60にペットの尻尾を挿通した場合には、図4に示すように、ペットの肛門がペット用おむつ1から露出せず、ペットの大便がペット用おむつ1の内部に排泄される。一方、非切込部65を破断して第2開口部70にペットの尻尾を挿通した場合には、図6に示すように、ペットの肛門98がペット用おむつ1から露出して、ペットの大便がペット用おむつ1の外部に排泄される。
【0067】
上述したペット用おむつ1は、図7に示すように、折り畳まれた状態で包装体100内に収容される。例えば、ペット用おむつ1は、サイドシート12が幅方向Xの内側に折り返されてから、長手方向Yに三つ折り又は四つ折りにされて包装体100内に収容される。図7に示す実施形態では、複数の折り畳まれたペット用おむつ1が、包装体100の幅方向及び上下方向に積み重ねられた状態で包装体100に収納されている。
【0068】
ペット用おむつ1の折り畳み方の一例について説明する。ペット用おむつ1を包装体100に収容するときには、まずサイドシート12が幅方向Xの内側に折り込まれる。次に、本体部2の腹側域51が股下域53Fに重なるように肌面側Z1に折り込まれ、その後に股下域53Fが臀部域53Rに重なるように肌面側Z1に折り込まれる。さらに、臀部域53Rが背側域52に重なるように肌面側Z1に折り込まれる。このようにペット用おむつ1を四つ折りにすることにより、腹側域51及び股下域53Fが内側に配置され、本体部2の背側域52及び臀部域53Rが外側に配置されるようにペット用おむつ1が折り畳まれる。
【0069】
図8は、上述した手順で折り畳まれたペット用おむつ1の一例を示す平面図である。第1切込部61及び第2切込部71は臀部域53Rに形成されているので、図8に示すように、本体部2の臀部域53Rが外側に配置されるようにペット用おむつ1を折り畳むことにより、第1切込部61及び第2切込部71は、折り畳まれたペット用おむつ1の外面に配置される。なお、図8に示す実施形態では、第1切込部61及び第2切込部71の全体がペット用おむつ1の外面に配置されていているが、第1切込部61及び第2切込部71の一部のみが折り畳まれたペット用おむつ1の外面に配置されていてもよい。
【0070】
このように、第1切込部61及び第2切込部71の少なくとも一部が、折り畳まれたペット用おむつ1の外面に配置されていることにより、包装体100から折り畳まれたペット用おむつ1を取り出したときに、使用者が第1切込部61及び第2切込部71を視認することができる。したがって、ペット用おむつ1の内部又は外部のどちらに排便させるかを選択可能であることを使用者に認識させることができる。なお、第1切込部61及び第2切込部71の少なくとも一部が折り畳まれたペット用おむつ1の外面に配置されていれば、折り畳み方は上述した例に限定されるものではない。
【0071】
なお、上述した実施形態では、第2切込部71が第1切込部61よりも本体部2の背側に形成されているが、第2切込部71は、第1切込部61よりも腹側に形成されていてもよい。以下、図9及び図10を参照して、ペット用おむつ1の変形例について説明する。
【0072】
図9に示すように、変形例に係るペット用おむつでは、第1切込部61は、吸収性コア30よりも本体部2の背側に形成され、第2切込部71は、長手方向Yにおいて第1切込部61と吸収性コア30との間に形成されている。第1切込部61と第2切込部71との間には、スリットが形成されていない非切込部65が設けられており、第1切込部61及び第2切込部71は、非切込部65を介して離間している。
【0073】
図9に示すように、第1切込部61は、肌面側Z1から見て、背側に凸の略U字状を有するスリット162を含む。本体部2は、スリット162によって本体部2に略U字状の切れ目を入れることで形成された舌片163を有する。舌片163は、本体部2の臀部域53Rに接続された基端部163Fと、基端部163Fの反対側に配置され、臀部域53Rに対して切り離された先端部163Rとを有している。先端部163Rは、舌片163が折り返されていない状態で背側に向けられている。
【0074】
舌片163は、基端部163Fを起点として非肌面側Z2へ折り返されることで第1開口部60を開口する。舌片163の先端部163Rは背側に向けられているので、第1開口部60に尻尾を通して、舌片163が基端部163Fを起点として非肌面側Z2に折り返されたときに、舌片63は尻尾の腹面側に当接する。このとき、第1開口部60の背側の端縁60Rがペットの尻尾に当接することで、ペット用おむつ1が位置決めされる。
【0075】
一実施形態では、図9に示すように、第1開口部60の幅方向Xの最大幅W4は、第1開口部60の長手方向Yの最大長L4よりも大きい。すなわち、第1開口部60は、幅方向Xに長い横長形状を有する。したがって第1開口部60に尻尾を通したときに、第1開口部60からペットの肛門が露出しない。その結果、ペットが変形例に係るペット用おむつ1を着用した状態で大便をしたときに、その大便は第1開口部60を通過せず、ペット用おむつ1の内部に排泄される。
【0076】
第2切込部71は、一対のスリット172を含んでいる。一対のスリット172は、一対のスリット172は、互いに離間しており、吸収性コア30に近づくにつれて互いに離れるように直線状に延びている。一対のスリット172の背側の端部は、略U字状のスリット62の一対の端部に隣接して配置されている。一対のスリット172の背側の端部とスリット162の一対の端部との間には、非切込部65が形成されている。
【0077】
非切込部65が破断されると、図10に示すように、第1切込部61のスリット162と第2切込部71の一対のスリット172が接続される。非切込部65は、ペット用おむつ1の非肌面側Z2から舌片163を指でつまんで腹側に引っ張ることにより、容易に破断される。これに伴って、舌片163は、本体部2の一対のスリット172の間の部分と連結される。第1切込部61及び第2切込部71が連結された状態で、舌片163が非肌面側Z2へ折り返されることで第2開口部70が開口される。
【0078】
図10に示すように、第2開口部70は、第1開口部60を内包する開口である。すなわち、非切込部65が切断されて第1切込部61と第2切込部71とが接続されると、第1開口部60が腹側に拡大して第2開口部70が形成される。第2開口部70は、半円形状又は舌形状を有する開口であり、拡大された尻尾穴として機能する。第2開口部70は、ペットの大便を通過可能な大きさを有する。一実施形態では、第2開口部70の面積は、第1開口部60の面積の2倍以上であってもよい。図10に示す実施形態では、幅方向Xにおける第2開口部70の開口幅は、腹側に向かうにつれて大きくなっている。
【0079】
ペットの大便を通過させるために、第2開口部70は、長手方向Yに長い縦長形状を有していてもよい。例えば、第2開口部70の長手方向Yの最大長L5は、第2開口部70の幅方向Xの最大幅W5よりも大きくてもよい。特に、第2開口部70の最大長L5は、第1開口部60の長手方向Yの最大長L4の2倍以上の長さであってもよい。
【0080】
図10に示すように、第2開口部70は、縦長形状を有しているので、第2開口部70に尻尾を通して舌片163が非肌面側Z2に折り返されると、ペットの肛門は第2開口部70から露出する。したがって、ペットがペット用おむつ1を着用した状態で大便をしたときに、大便は第2開口部70を通過してペット用おむつ1の外部に排泄される。第2開口部70に尻尾を通してペット用おむつ1をペットに装着した場合には、第2開口部70の背側の端縁70Rがペットの尻尾に当接する。
【0081】
上記のように、ペット用おむつ1の使用者は、ペット用おむつ1の内部又は外部のどちらに排便させるかを選択することができる。また、図10に示す実施形態では、第2開口部70を形成したときにペット用おむつ1の尻尾穴が腹側に広がるので、
第2開口部70の背側の端縁70Rと、第1開口部60の背側の端縁60Rとが同じ位置に配置される。したがって、第1開口部60に尻尾を通したときと、第2開口部70に尻尾を通したときとで、ペットの尻尾とペット用おむつ1とが当接する位置が変化しない。したがって、ペット用おむつ1をペットに確実にフィットさせることができ、ペット用おむつ1にずれが生じにくくなる。したがって、尿漏れを防止することができる。
【0082】
以上、種々の実施形態に係るペット用おむつについて説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形態様を構成可能である。すなわち、上述した実施形態は例示説明を目的とするものであり、本発明の範囲を制限するものではないことに留意すべきである。
【0083】
例えば、第1開口部60の形状は、半円形状又は舌形状に限定されない。例えば、図11(a)及び図11(b)に示すように、第1開口部60は、台形状を有していてもよい。図11(a)に示すペット用おむつでは、台形状の第1開口部60を形成する第1切込部61が、第2切込部71よりも腹側に配置されている。当該第2切込部71の一対のスリット72は、吸収性コア30から離れるにつれて互いに近づくように直線状に延在している。図11(b)に示すペット用おむつでは、台形状の第1開口部60を形成する第1切込部61が、第2切込部71よりも背側に配置されている。当該第2切込部71の一対のスリット72は、吸収性コア30に近づくにつれて互いに近づくように直線状に延在している。なお、第1開口部60の形状は、半円形状、矩形状、多角形状又は楕円形状であってもよい。
【0084】
また、図12(a)及び図12(b)に示すように、第1切込部61は、第1開口部60の端縁の全周に亘って延在する環状のスリット262を含んでいてもよい。環状のスリット262が形成されることにより、本体部2の一部が切り抜かれ、舌片を有しない第1開口部60が形成される。なお、環状のスリット262とは、本体部2の一部を一周に亘って切り抜くような切れ目を意味し、その平面形状は円環状に限定されず、矩形環状、多角環状等の環形状を含む。図12(a)に示すペット用おむつでは、環状のスリット262を含む第1切込部61が、第2切込部71よりも腹側に配置されている。図12(b)に示すペット用おむつでは、環状のスリット262を含む第1切込部61が、第2切込部71よりも背側に配置されている。図12(a)及び図12(b)に示す実施形態では、舌片を有しない第1開口部60が形成される。これにより、使用者に第1開口部60の存在を容易に認識させることができる。
【0085】
図3に示す実施形態では、第2切込部71が一対の直線状のスリット72を含んでいるが、第2切込部71のスリットの形状は直線状に限定されない。例えば、第2切込部71は、略V字状のスリット172を含んでいてもよい。図13(a)に示すペット用おむつでは、環状のスリット262を含む第1切込部61と、第1切込部61よりも背側に配置され、背側に凸の略V字状のスリット172を含む第2切込部71とが本体部2に形成されている。図13(b)に示すペット用おむつ1では、環状のスリット262を含む第1切込部61と、第1切込部61よりも腹側に配置され、腹側に凸の略V字状のスリット172を含む第2切込部71とが本体部2に形成されている。なお、第2切込部71のスリットの形状は、略U字状又は環状であってもよい。
【0086】
図1に示す実施形態と同様に、図11図13に示すペット用おむつでは、非切込部65を破断させずに第1開口部60にペットの尻尾を挿通した場合には、ペットの大便がペット用おむつ1の内部に排泄され、非切込部65を破断して第2開口部70にペットの尻尾を挿通した場合には、ペットの大便がペット用おむつ1の外部に排泄される。したがって、ペット用おむつ1の使用者は、ペットの大便をペット用おむつ1の内部又は外部のどちらに排出するかを選択することができる。
【0087】
上述した種々の実施形態は、矛盾のない範囲で組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0088】
1…ペット用おむつ、2…本体部、10…表面シート、20…裏面シート、30…吸収性コア、40…弾性部材、45…ターゲット部、60…第1開口部、61…第1切込部、62,72,162,172,262…スリット、63,163…舌片、65…非切込部、70…第2開口部、71…第2切込部、90…ファスニングタブ、100…包装体、CL1…中心線、X…幅方向、Y…長手方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13