(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023142001
(43)【公開日】2023-10-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230928BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022048637
(22)【出願日】2022-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】小林 有一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 重典
(72)【発明者】
【氏名】三宅 康也
(72)【発明者】
【氏名】小越 将行
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】圃場における植物状態の差異を踏まえて作業スケジュールを生成し、各作業日における作業負担を平準化すること。
【解決手段】圃場の作業区画に含まれる一以上の作業領域ごとに、除草ロボットに搭載されたカメラによって撮影された画像を、前記除草ロボットの作業時間と合わせて取得する情報取得部と、前記画像に基づいて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定し、判定された前記一以上の作業領域ごとの雑草量を集約することによって前記作業区画ごとの雑草量を判定する雑草量判定部と、過去の前記作業時間および前記雑草量を含む作業履歴に基づいて、前記作業区画ごとに、除草作業の負荷の高さを示す指標値である除草作業強度の将来値を予測する除草作業強度予測部と、前記除草作業強度に基づいて、前記圃場における前記除草ロボットによる除草作業を計画する除草作業計画部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作業区画に含まれる一以上の作業領域ごとに、除草ロボットに搭載されたカメラによって撮影された画像を、前記除草ロボットの作業時間と合わせて取得する情報取得部と、
前記画像に基づいて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定し、判定された前記一以上の作業領域ごとの雑草量を集約することによって前記作業区画ごとの雑草量を判定する雑草量判定部と、
過去の前記作業時間および前記雑草量を含む作業履歴に基づいて、前記作業区画ごとに、除草作業の負荷の高さを示す指標値である除草作業強度の将来値を予測する除草作業強度予測部と、
前記除草作業強度に基づいて、前記圃場における前記除草ロボットによる除草作業を計画する除草作業計画部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記除草作業計画部は、複数の前記作業区画を、単位時間内で前記除草作業を実行可能な単位領域である一以上のパケットに集約し、集約された前記一以上のパケットを、事前に設定された適期作業日に前記除草作業を実行するように配置することによって、前記除草作業を計画する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記除草作業強度の将来値は、前記雑草量の将来値を含み、
前記除草作業計画部は、前記雑草量の将来値が大きい作業区画を、より早期に前記除草作業が実行されるパケットに集約する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報取得部は、ユーザによる外部情報の入力を更に受け付け、
前記外部情報は、前記適期作業日における人員に関する情報と、前記適期作業日における天候に関する情報とのうちの少なくとも一つを含み、
前記除草作業計画部は、受け付けられた前記外部情報にさらに基づいて、前記一以上のパケットを配置する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報取得部は、ユーザによる設定情報の入力を更に受け付け、
前記設定情報は、前記パケットの前記単位時間と、前記除草ロボットの電池容量とのうちの少なくとも一つを含み、
前記除草作業計画部は、受け付けられた前記設定情報にさらに基づいて、前記一以上のパケットのサイズを決定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記雑草量判定部は、画像が入力されると、前記画像における雑草量の多さを示す離散値を出力するように学習された学習済みモデルを用いて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定する、
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
圃場の作業区画に含まれる一以上の作業領域ごとに、除草ロボットに搭載されたカメラによって撮影された画像を、前記除草ロボットの作業時間と合わせて取得し、
前記画像に基づいて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定し、判定された前記一以上の作業領域ごとの雑草量を集約することによって前記作業区画ごとの雑草量を判定し、
過去の前記作業時間および前記雑草量を含む作業履歴に基づいて、前記作業区画ごとに、除草作業の負荷の高さを示す指標値である除草作業強度の将来値を予測し、
前記除草作業強度に基づいて、前記圃場における前記除草ロボットによる除草作業を計画する、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
圃場の作業区画に含まれる一以上の作業領域ごとに、除草ロボットに搭載されたカメラによって撮影された画像を、前記除草ロボットの作業時間と合わせて取得させ、
前記画像に基づいて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定させ、判定された前記一以上の作業領域ごとの雑草量を集約することによって前記作業区画ごとの雑草量を判定させ、
過去の前記作業時間および前記雑草量を含む作業履歴に基づいて、前記作業区画ごとに、除草作業の負荷の高さを示す指標値である除草作業強度の将来値を予測させ、
前記除草作業強度に基づいて、前記圃場における前記除草ロボットによる除草作業を計画させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場において自律走行式の除草ロボットが実行する除草作業をスケジューリングする技術が知られている。例えば、特許文献1には、圃場における作業領域の日照条件を解析し、当該作業領域に含まれるサブエリアごとに作業スケジュールを生成する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、芝刈り機に搭載されたカメラによって撮影された画像に基づいて、作業領域ごとの日照量や日照時間を決定し、作業スケジュールの生成に活用するものである。しかしながら、従来技術では、圃場における植物状態の差異を踏まえて作業スケジュールを生成することができず、各作業日における作業負担を平準化することが困難である場合があった。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、圃場における植物状態の差異を踏まえて作業スケジュールを生成し、各作業日における作業負担を平準化することができる、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様である情報処理装置は、圃場の作業区画に含まれる一以上の作業領域ごとに、除草ロボットに搭載されたカメラによって撮影された画像を、前記除草ロボットの作業時間と合わせて取得する情報取得部と、前記画像に基づいて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定し、判定された前記一以上の作業領域ごとの雑草量を集約することによって前記作業区画ごとの雑草量を判定する雑草量判定部と、過去の前記作業時間および前記雑草量を含む作業履歴に基づいて、前記作業区画ごとに、除草作業の負荷の高さを示す指標値である除草作業強度の将来値を予測する除草作業強度予測部と、前記除草作業強度に基づいて、前記圃場における前記除草ロボットによる除草作業を計画する除草作業計画部と、を備えるものである。
【0007】
前記除草作業計画部は、複数の前記作業区画を、単位時間内で前記除草作業を実行可能な単位領域である一以上のパケットに集約し、集約された前記一以上のパケットを、事前に設定された適期作業日に前記除草作業を実行するように配置することによって、前記除草作業を計画してもよい。
【0008】
前記除草作業強度の将来値は、前記雑草量の将来値を含み、前記除草作業計画部は、前記雑草量の将来値が大きい作業区画を、より早期に前記除草作業が実行されるパケットに集約してもよい。
【0009】
前記情報取得部は、ユーザによる外部情報の入力を更に受け付け、前記外部情報は、前記適期作業日における人員に関する情報と、前記適期作業日における天候に関する情報とのうちの少なくとも一つを含み、前記除草作業計画部は、受け付けられた前記設定情報に基づいて、前記一以上のパケットを配置してもよい。
【0010】
前記情報取得部は、ユーザによる設定情報の入力を更に受け付け、前記設定情報は、前記パケットの前記単位時間と、前記除草ロボットの電池容量とのうちの少なくとも一つを含み、前記除草作業計画部は、受け付けられた前記設定情報に基づいて、前記一以上のパケットのサイズを決定してもよい。
【0011】
前記雑草量判定部は、画像が入力されると、前記画像における雑草量の多さを示す離散値を出力するように学習された学習済みモデルを用いて、前記一以上の作業領域ごとの雑草量を判定してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圃場における植物状態の差異を踏まえて作業スケジュールを生成し、各作業日における作業負担を平準化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】情報処理装置100の使用環境および構成の一例を示す図である。
【
図2】情報取得部110によって取得される画像情報と、位置情報と、作業時間との組み合わせの一例を示す図である。
【
図3】雑草量判定部120による雑草量の判定方法の一例を示す図である。
【
図4】雑草量判定部120によって算出される作業区画ごとの雑草量を示す図である。
【
図5】除草作業計画部140が作業区画をパケットに集約する方法を説明するための図である。
【
図6】除草作業計画部140がパケットを適期作業日に配置する一例を示す図である。
【
図7】除草作業計画部140がパケットを適期作業日に配置する別の例を示す図である。
【
図8】端末装置30のユーザにパケットを設定させるための画面の一例を示す図である。
【
図9】情報処理装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係る情報処理装置100について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置100の使用環境および構成の一例を示す図である。情報処理装置100は、例えば、カメラ10を搭載する除草ロボット20と、端末装置30と、協働して動作する。
【0015】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮影素子を利用し、かつGPS(Global Positioning System)機能を有するデジタルカメラである。すなわち、カメラ10は、画像を撮影する際、GPS機能を用いて、画像を撮影した位置の位置情報(経度・緯度情報)を合わせて取得する。カメラ10は、除草ロボット20が走行する圃場の平面を垂直方向に撮影可能な位置に設置される。
図1は、一例として、除草ロボット20に支持棒が設置され、カメラ10が当該支持棒に支持されることによって、圃場の平面を垂直方向に撮影可能とする構成を表している。
【0016】
除草ロボット20は、後述する除草作業計画に従って、圃場を自律走行し、除草作業を行うロボットである。除草ロボット20は、例えば、車体の下部に設置された刃を回転させて圃場表面の土をかきとることによって除草作業を行う。除草作業を行うための機構については、従来の草刈機の機構を適用しても良い。除草ロボット20は、さらに、カメラ10によって撮影された画像を無線で情報処理装置100に送信する無線通信機(不図示)をさらに備える。以下の説明において、一例として、除草ロボット20はホウレンソウなど播種方式の有機野菜を栽培する圃場を走行する場合を前提として説明する。播種方式の有機野菜を栽培する場合、圃場の除草可能期間は、播種後2~4週頃に限定されるため、効果的な除草作業計画を生成する必要性がより高まる。
【0017】
端末装置30は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末などのコンピュータ装置である。端末装置30は、情報処理装置100とネットワークNWを介して通信し、後述する除草作業計画を生成するための外部情報や設定情報を入力する。
【0018】
情報処理装置100は、ウェブサーバなどのサーバ装置である。情報処理装置100は、例えば、情報取得部110と、雑草量判定部120と、除草作業強度予測部130と、除草作業計画部140と、記憶部150とを備える。情報取得部110と、雑草量判定部120と、除草作業強度予測部130と、除草作業計画部140のそれぞれは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。記憶部150は、HDDやフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの記憶装置により実現される。記憶部150は、例えば、学習済みモデル152と、除草作業履歴154と、除草作業計画156と、を格納する。
【0019】
情報取得部110は、除草ロボット20に搭載されたカメラ10によって撮影された画像を、当該画像の位置情報と、当該画像に写された作業領域の除草にかかった作業時間と合わせて取得する。
図2は、情報取得部110によって取得される画像情報と、位置情報と、作業時間との組み合わせの一例を示す図である。
図2に示す通り、情報取得部110は、除草ロボット20が圃場を走行して除草作業を行っている間、除草ロボット20から、カメラ10によって撮影された作業領域の画像と、当該作業領域の経度・緯度情報と、当該作業領域の除草にかかった作業時間とを時系列に取得する。作業時間を計測するためには、例えば、除草ロボット20に搭載されたCPUが、各画像が撮影された時点間の期間を算出し、算出された期間を作業時間と見なしてもよい。
【0020】
雑草量判定部120は、情報取得部110によって取得された画像に基づいて、作業領域ごとの雑草量を判定する。より具体的には、雑草量判定部120は、画像が入力されると、当該画像における雑草量の多さを示す離散値を出力するように学習された学習済みモデル152を用いて、作業領域ごとの雑草量を判定する。代替的に、雑草量判定部120は、画像を、雑草色の画素(例えば、RGB値により範囲指定)を抽出するフィルタに入力し、画像全体に占める雑草色の画素の割合を算出することによって、雑草量を判定してもよい。
【0021】
図3は、雑草量判定部120による雑草量の判定方法の一例を示す図である。情報処理装置100の管理者は、事前に圃場の雑草を撮影した画像と、当該画像の雑草量を表す値とを紐づけた教師データを用意し、任意の機械学習モデルに学習させることによって、学習済みモデル152を生成する。生成された学習済みモデル152は、記憶部150に記憶される。雑草量判定部120は、情報取得部110が除草ロボット20から画像を取得すると、取得した画像を学習済みモデル152に入力することによって、当該画像の雑草量を示す値を得る。
【0022】
図3の例では、学習済みモデル152が、画像の入力に応じて、入力された画像の雑草量を、より高い値がより多い雑草量を示す3つの値(1、2、3)によって表現し、出力する場合を表している。しかし、本発明の学習済みモデル152はそのような構成に限定されず、より一般的に、雑草量(換言すると、画像に占める雑草の面積の割合)を離散値によって出力するものであればよい。
【0023】
雑草量判定部120は、作業領域ごとの雑草量を判定すると、判定された雑草量を集約することによって、一以上の作業領域を含む作業区画ごとの雑草量を算出する。
図4は、雑草量判定部120によって算出される作業区画ごとの雑草量を示す図である。
図4において、作業区画A~Hは、それぞれ一以上の作業領域を含む。作業領域は、カメラ10による撮影単位の圃場領域である一方、作業区画は、除草ロボット20が圃場における一回の除草作業において除草を行う最小の作業単位を表す。作業区画は、情報処理装置100の管理者によって事前に定義されるものである。
【0024】
雑草量判定部120は、作業区画に含まれる一以上の作業領域の雑草量および作業時間に基づいて、作業区画ごとの雑草量および作業時間を算出する。
図4の例の場合、雑草量判定部120は、各作業区画に含まれる作業領域の雑草量および作業時間を積算することによって得られる積算値を、作業区画の雑草量および作業時間として設定している。しかし、本発明はそのような構成に限定されず、雑草量判定部120は、例えば、各作業区画に含まれる作業領域の雑草量の平均値を作業区画の雑草量として設定しても良い。雑草量判定部120は、算出した作業領域ごとの雑草量および作業時間の組み合わせを除草作業履歴154として記憶部150に格納する。
【0025】
除草作業強度予測部130は、除草作業履歴154に基づいて、作業区画ごとに、除草作業の負荷の高さを示す指標値である除草作業強度の将来値を予測する。例えば、除草作業強度は、作業区画と、雑草量と、作業時間との組み合わせ(1行3列のベクトル)によって表現される。すなわち、除草作業強度は、雑草量のみならず、作業時間をも含むベクトルであるため、除草ロボット20による旋回回数や作業内容(例えば、片道走行か往復走行)が考慮された概念であると言える。除草作業強度予測部130は、例えば、圃場における作業区画ごとに記録された過去の雑草量および作業時間データに回帰分析を施すことによって、除草作業強度の将来値を予測することができる。
【0026】
除草作業計画部140は、除草作業強度予測部130によって作業区画ごとに予測された除草作業強度の将来値に基づいて、複数の作業区画を、単位時間内で前記除草作業を実行可能な単位領域であるパケットに集約する。より具体的には、除草作業計画部140は、除草作業強度に含まれる雑草量の値がより大きい作業区画を、より早期に除草作業が実行されるパケットに順番に集約する。このとき同時に、除草作業計画部140は、複数の作業区画を、除草作業強度に含まれる作業時間の値の合計がパケットの単位時間を超えないようにパケットに集約する。
【0027】
図5は、除草作業計画部140が作業区画をパケットに集約する方法を説明するための図である。
図5において、パケット1~4は、それぞれ除草ロボット20が一回の除草作業において除草を行う単位時間(例えば、180分)を表し、各パケットは、少なくとも一以上の作業区画を含む。
図5は、雑草量の値がより大きい作業区画が、番号がより小さいパケットに順番に集約される状況を表している。作業区画を新規にパケットNに追加することによって、パケットNに含まれた作業区画の作業時間の総和がパケットNの単位時間を超過する場合には、当該作業区画は、次のパケットN+1に集約される。このように、雑草量のみならず、作業時間を考慮して作業区画をパケットに配置することにより、除草ロボット20による旋回回数や作業内容を除草作業のスケジューリングに反映することができる。なお、説明を分かりやすくするために、
図5に示される雑草量および作業時間の値(すなわち、将来値)は、
図4に示される雑草量および作業時間の値(すなわち、現在値)と同一の値として表現されているが、実際には、これらの値は互いに異なるものである。
【0028】
除草作業計画部140は、作業区画をパケットに集約すると、得られたパケットを事前に設定された適期作業日に除草作業を実行するように配置することによって、除草作業を計画する。
図6は、除草作業計画部140がパケットを適期作業日に配置する一例を示す図である。
図6は、除草作業計画部140がパケットを配置した除草作業のスケジュール画面を端末装置30にネットワークNWを介して送信し、端末装置30に表示させている場面を表している。
【0029】
図6において、符号A1は、播種日を設定するための領域を表す。
図6のカレンダーに示す通り、領域A1において播種日が設定されると、設定された播種日に応じた適期作業日(例えば、ホウレンソウの場合、播種日から2~4週間の期間)が表示される。
図6では、一例として、適期作業日が、太線で囲われた領域として表示されている。符号A2は、作業員が不足する日付および時間帯を指定するための領域を表す。領域A2において、日付および時間帯が指定された場合、当該日付および時間帯はパケットの配置対象から除外される。符号A3は、天候が不順となる日付および時間帯を指定するための領域を表す。領域A3において、日付および時間帯が指定された場合、当該日付および時間帯はパケットの配置対象から除外される。
【0030】
除草作業計画部140は、適期作業日に対して、パケット1~4を順に配置することによって、除草作業計画を生成し、カレンダーとして端末装置30に表示させる。端末装置30のユーザは、カレンダー上で除草作業計画を確認し、ボタンB2を押下することによって、最終的に除草作業計画を確定させる。情報取得部110は、ユーザが除草作業計画を確定させたことを示す情報を受信すると、確定された除草作業計画を除草作業計画156として記憶部150に格納する。その後、除草作業計画156に記憶された除草作業日が到来すると、情報処理装置100は、除草作業計画156を除草ロボット20に送信し、除草ロボット20は、除草作業計画156に規定されたパケット(およびパケットに含まれる作業区画)の順序に従って、圃場で除草作業を行う。
【0031】
図7は、除草作業計画部140がパケットを適期作業日に配置する別の例を示す図である。
図6とは異なり、
図7は、端末装置30のユーザが、領域A2において作業員の不足を指定し、かつ領域A3において天候不順日を指定した場面を表している。端末装置30のユーザが、これらの情報を指定すると、情報取得部110は、ネットワークNWを介してこれらの指定情報を受け付け、除草作業計画部140は、作業員の不足日および天候不順日を適期作業日から除外して、パケットを順に配置することによって除草作業計画を生成する。除草作業計画部140は、生成した除草作業計画をカレンダーとして端末装置30に表示させる。端末装置30のユーザは、カレンダー上で除草作業計画を確認し、
図6の場合と同様、ボタンB2を押下することによって、最終的に除草作業計画を確定させる。
【0032】
図8は、端末装置30のユーザにパケットを設定させるための画面の一例を示す図である。
図8において、符号A4は、除草ロボット20のバッテリ容量を入力するための領域を表し、符号A5は、パケットの単位時間を入力するための領域を表す。領域A4においてユーザがバッテリ容量を入力すると、例えば、除草作業計画部140は、入力されたバッテリ容量に基づいて、パケットに設定可能な最大の単位時間を算出し、端末装置30に表示させる。端末装置30のユーザは、表示された最大の単位時間を参照しつつ、領域A5上でパケットの単位時間を指定することができる。
【0033】
ユーザが、パケットの単位時間を指定すると、除草作業計画部140は、指定された単位時間を有するパケットに、作業区画を集約する。
図8は、パケットの単位時間が180分から240分に変更されたことによって、各パケットはより多くの作業区画を包含し、パケットの個数が4個から3個に減少した場合を表している。このように、ユーザは、除草ロボット20のバッテリ容量に加えて、自身の勤務時間や休憩時間を考慮して、パケットの単位時間を設定することができる。ユーザが、ボタンB3を押下すると、パケットの単位時間は確定され、除草作業計画部140は、設定されたパケットの単位時間に収まるように作業区画を配置することによって、除草作業計画を生成する。
【0034】
次に、
図9を参照して、情報処理装置100によって実行される処理の流れについて説明する。
図9は、情報処理装置100によって実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、情報取得部110は、圃場で除草作業を行う除草ロボット20から、圃場の作業領域を撮影した画像を、当該作業領域の位置情報および作業時間と合わせて取得する(ステップS101)。次に、雑草量判定部120は、画像を学習済みモデル152に入力することによって、当該画像に対応する作業領域の雑草量を判定する(ステップS102)。
【0035】
次に、雑草量判定部120は、判定した作業領域ごとの雑草量および作業時間をそれぞれ積算することによって作業区画ごとの雑草量および作業時間を算出する(ステップS103)。次に、除草作業強度予測部130は、算出された作業区画ごとの雑草量および作業時間に基づいて、当該作業区画の除草作業強度の将来値を予測する(ステップS104)。
【0036】
次に、除草作業計画部140は、予測された除草作業強度の将来値に基づいて、作業区画をパケットに集約する(ステップS105)。より具体的には、除草作業計画部140は、ユーザによって指定されたパケットの単位時間に収まるように、除草作業強度に含まれる雑草量の将来値がより高い作業区画から順に除草作業が実行されるようパケットに集約する。次に、除草作業計画部140は、集約されたパケットを適期作業日に順に配置することによって除草作業計画を生成する(ステップS106)。このとき、除草作業計画部140は、ユーザによって作業員の不足日または天候不順日が指定された場合、指定された作業員の不足日および天候不順日を除外した適期作業日にパケットを配置する。これにより、本フローチャートの処理が終了する。
【0037】
以上の通り説明された本実施形態によれば、除草作業を実施する圃場の作業区画を、単位時間が設定されたパケットに集約することによって、除草ロボットによる除草作業を平準化することができる。
【0038】
さらに、本実施形態によれば、当該作業区画の雑草量に加えて、作業時間をも考慮して、パケットに集約される複数の作業区画の作業時間の合計がパケットの単位時間の範囲内に収まるように作業区画をパケットに集約する。これにより、除草ロボットの旋回回数や作業内容を除草作業計画の策定に反映することができる。
【0039】
さらに、本実施形態によれば、ユーザによる作業員の不足日や天候不順日の指定に応じて、除草作業の適期作業日からこれらの指定日を除外し、パケットを順に配置することによって除草スケジュールを生成する。これにより、他の支援作業や人員の配置に貢献することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 カメラ
20 除草ロボット
30 端末装置
100 情報処理装置
110 情報取得部
120 雑草量判定部
130 除草作業強度予測部
140 除草作業計画部
150 記憶部
152 学習済みモデル
154 除草作業履歴
156 除草作業計画