IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 古河電気工業株式会社の特許一覧 ▶ 古河AS株式会社の特許一覧

特開2023-143027短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体
<>
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図1
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図2
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図3
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図4
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図5
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図6
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図7
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図8
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図9
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図10
  • 特開-短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143027
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20230928BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20230928BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20230928BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/3828
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H02J7/00 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050214
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(72)【発明者】
【氏名】横山 真司
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA02
2G216BA17
2G216BA20
2G216BB02
2G216CB34
2G216CB55
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503FA17
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体を提供する。
【解決手段】短絡判定システム8は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方を取得するように構成されるコントローラ14を備える。コントローラ14は、推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方を取得するように構成されるコントローラを備え、
前記コントローラは、前記推定SOCおよび前記推定DODの前記一方を短絡判定閾値と比較することで前記充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される、
短絡判定システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの前記電流値の前記積算値に基づいて前記推定SOCおよび前記推定DODの前記一方を算出するように構成される、
請求項1に記載の短絡判定システム。
【請求項3】
前記短絡判定閾値は、SOC閾値を含み、
前記コントローラは、前記推定SOCが前記SOC閾値を超える場合、前記充電可能バッテリ内で短絡が発生していると判定するように構成される、
請求項1または2に記載の短絡判定システム。
【請求項4】
前記SOC閾値は、100%よりも高い値である、
請求項3に記載の短絡判定システム。
【請求項5】
前記短絡判定閾値は、DOD閾値を含み、
前記コントローラは、前記推定DODが前記DOD閾値未満の場合、前記充電可能バッテリ内で短絡が発生していると判定するように構成される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の短絡判定システム。
【請求項6】
前記DOD閾値は、0%よりも低い値である、
請求項5に記載の短絡判定システム。
【請求項7】
前記コントローラに電気的に接続され前記充電可能バッテリの温度を測定するように構成される温度センサをさらに備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の短絡判定システム。
【請求項8】
前記コントローラに電気的に接続され前記充電可能バッテリの前記電流値を測定するように構成される電流センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記温度センサの測定温度を用いて前記電流センサの測定電流値を補正するように構成され、
前記コントローラは、補正された前記測定電流値に基づいて前記積算値を算出するように構成される、
請求項7に記載の短絡判定システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記温度センサの測定温度を用いて前記短絡判定閾値を補正するように構成され、
前記コントローラは、前記推定SOCおよび前記推定DODの前記一方を、補正された前記短絡判定閾値と比較することで前記充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される、
請求項7または8に記載の短絡判定システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの前記電流値の前記積算値と前記充電可能バッテリの容量に関する情報とに基づいて前記推定SOCおよび前記推定DODの前記一方を算出するように構成される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の短絡判定システム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記充電可能バッテリの容量に関する情報およびバッテリタイプの少なくとも1つに基づいて前記短絡判定閾値を設定するように構成される、
請求項1から10のいずれか一項に記載の短絡判定システム。
【請求項12】
前記コントローラに電気的に接続されるインターフェースをさらに備え、
前記インターフェースは、前記充電可能バッテリに関するバッテリ情報の入力を受けるように、および/または、外部装置へ短絡判定結果を送信するように構成される、
請求項1から11のいずれか一項に記載の短絡判定システム。
【請求項13】
充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方を取得するように構成されるコントローラを備え、
前記コントローラは、前記推定SOCおよび前記推定DODの前記一方を短絡判定閾値と比較することで前記充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される、
短絡判定装置。
【請求項14】
充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方をコントローラにより取得すること、および
前記推定SOCおよび前記推定DODの前記一方を短絡判定閾値と比較することで前記充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを前記コントローラにより判定すること、
を備える短絡判定方法。
【請求項15】
請求項14に記載の短絡判定方法をコンピュータに実行させる、
短絡判定プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の前記短絡判定プログラムを記憶する、
コンピュータに読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示される技術は、短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、蓄電部を管理するための管理装置が記載される。特許文献1に記載の管理装置は、電圧検出部、電流検出部、および制御部を含む。電圧検出部は、蓄電部の両端電圧を検出する。電流検出部は、蓄電部を流れる電流を検出する。制御部は、電圧検出部により検出される電圧をもとにOCV(Open Circuit Voltage)法により蓄電部のSOC(State of Charge)を推定する。制御部は、電流検出部により検出される電流をもとに電流積算法により蓄電部のSOCを推定する。制御部は、OCV法により推定されたSOCと電流積算法により推定されたSOCとを比較して、蓄電部の微小短絡の有無を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2017/217092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、蓄電部が車両に搭載されている状態では、駐車中においても暗電流が存在したり分極および成層化のような現象が発生したりすることで、OCVの精度は低下する。OCVの精度が低下すると、OCV法により推定されたSOCの精度も低下する。したがって、OCV法により推定されたSOCと電流積算法により推定されたSOCとの比較により微小短絡の有無を判定すると、正確に判定できない場合がある。
【0005】
本願に開示される技術の課題は、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の特徴によれば、短絡判定システムは、充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方を取得するように構成されるコントローラを備える。コントローラは、推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較することで充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。
【0007】
第1の特徴に係る短絡判定システムでは、短絡の有無を判定する際に推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較するので、2つの推定SOCを比較する場合に比べて、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる。
【0008】
第2の特徴によれば、第1の特徴に係る短絡判定システムにおいて、コントローラは、充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。
【0009】
第2の特徴に係る短絡判定システムでは、推定SOCおよび推定DODの一方を外部から取得する場合に比べて、コントローラの処理速度が向上する。
【0010】
第3の特徴によれば、第1または第2の特徴に係る短絡判定システムにおいて、短絡判定閾値は、SOC閾値を含む。コントローラは、推定SOCがSOC閾値を超える場合、充電可能バッテリ内で短絡が発生していると判定するように構成される。
【0011】
第3の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリ内で短絡が発生していない場合の推定SOCに比べて、短絡が発生している場合の推定SOCが高くなる、という特性を利用して、充電可能バッテリの短絡判定の精度をより高めることができる。
【0012】
第4の特徴によれば、第3の特徴に係る短絡判定システムにおいて、SOC閾値は、100%よりも高い値である。
【0013】
第4の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリ内で短絡が発生すると満充電の場合の推定SOCが100%を超える、という特性を利用して、充電可能バッテリの短絡判定の精度を確実に高めることができる。
【0014】
第5の特徴によれば、第1から第4の特徴のいずれか1つに係る短絡判定システムにおいて、短絡判定閾値は、DOD閾値を含む。コントローラは、推定DODがDOD閾値未満の場合、充電可能バッテリ内で短絡が発生していると判定するように構成される。
【0015】
第5の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリ内で短絡が発生していない場合の推定DODに比べて、短絡が発生している場合の推定DODが低くなる、という特性を利用して、充電可能バッテリの短絡判定の精度をより高めることができる。
【0016】
第6の特徴によれば、第5の特徴に係る短絡判定システムにおいて、DOD閾値は、0%よりも低い値である。
【0017】
第6の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリ内で短絡が発生すると満充電の場合の推定DODが0%未満になる、という特性を利用して、充電可能バッテリの短絡判定の精度を確実に高めることができる。
【0018】
第7の特徴によれば、第1から第6の特徴のいずれか1つに係る短絡判定システムにおいて、コントローラに電気的に接続され充電可能バッテリの温度を測定するように構成される温度センサをさらに備える。
【0019】
第7の特徴に係る短絡判定システムでは、温度センサの測定温度を用いて短絡判定に用いられる数値を補正することで、充電可能バッテリの温度変化が短絡判定に与える影響を低減でき、充電可能バッテリの短絡判定の精度をより高めることができる。
【0020】
第8の特徴によれば、第7の特徴に係る短絡判定システムにおいて、コントローラに電気的に接続され充電可能バッテリの電流値を測定するように構成される電流センサをさらに備える。コントローラは、温度センサの測定温度を用いて電流センサの測定電流値を補正するように構成される。コントローラは、補正された測定電流値に基づいて積算値を算出するように構成される。
【0021】
第8の特徴に係る短絡判定システムでは、測定電流値を温度補正することで、充電可能バッテリの温度変化が推定SOCの精度に与える影響を低減でき、充電可能バッテリの短絡判定の精度をより高めることができる。
【0022】
第9の特徴によれば、第7または第8の特徴に係る短絡判定システムにおいて、コントローラは、温度センサの測定温度を用いて短絡判定閾値を補正するように構成される。コントローラは、推定SOCおよび推定DODの一方を、補正された短絡判定閾値と比較することで充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。
【0023】
第9の特徴に係る短絡判定システムでは、短絡判定閾値を温度補正することで、充電可能バッテリの温度変化が短絡判定閾値の精度に与える影響を低減でき、充電可能バッテリの短絡判定の精度をより高めることができる。
【0024】
第10の特徴によれば、第1から第9の特徴のいずれか1つに係る短絡判定システムにおいて、コントローラは、充電可能バッテリの電流値の積算値と充電可能バッテリの容量に関する情報とに基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。
【0025】
第10の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリの容量に関する情報を用いることで推定SOCおよび推定DODの一方を正確に算出できる。なお、「容量に関する情報」とは、いわゆるカタログ値としての定格放電容量、推定値としてのSOH(State of Health)などの、放電可能な容量に関する情報を意味する。
【0026】
第11の特徴によれば、第1から第10の特徴のいずれか1つに係る短絡判定システムにおいて、コントローラは、充電可能バッテリの容量に関する情報およびバッテリタイプの少なくとも1つに基づいて短絡判定閾値を設定するように構成される。
【0027】
第11の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリの仕様に応じて短絡判定閾値を設定でき、充電可能バッテリの短絡判定の精度をより高めることができる。
【0028】
第12の特徴によれば、第1から第11の特徴のいずれか1つに係る短絡判定システムにおいて、コントローラに電気的に接続されるインターフェースをさらに備える。インターフェースは、充電可能バッテリに関するバッテリ情報の入力を受けるように、および/または、外部装置へ短絡判定結果を送信するように構成される。
【0029】
第12の特徴に係る短絡判定システムでは、充電可能バッテリに関するバッテリ情報を用いて短絡判定の精度をより高めることができる、および/または、外部装置へ短絡判定結果を送信することで充電可能バッテリ内で短絡が発生していることをユーザ等に知らせることができる。
【0030】
第13の特徴によれば、短絡判定装置は、充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方を取得するように構成されるコントローラを備える。コントローラは、推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較することで充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。
【0031】
第13の特徴に係る短絡判定装置では、短絡の有無を判定する際に推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較するので、2つの推定SOCを比較する場合に比べて、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる。
【0032】
第14の特徴によれば、短絡判定方法は、充電可能バッテリの電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方をコントローラにより取得すること、および、推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較することで充電可能バッテリ内で短絡が発生しているか否かをコントローラにより判定すること、を備える。
【0033】
第14の特徴に係る短絡判定方法では、短絡の有無を判定する際に推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較するので、2つの推定SOCを比較する場合に比べて、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる。
【0034】
第15の特徴によれば、短絡判定プログラムは、第14の特徴に係る短絡判定方法をコンピュータに実行させる、
第15の特徴に係る短絡判定プログラムでは、短絡の有無を判定する際に推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値と比較するので、2つの推定SOCを比較する場合に比べて、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる。
【0035】
第16の特徴によれば、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体は、第15の特徴に係る短絡判定プログラムを記憶する。
【0036】
第16の特徴に係るコンピュータに読み取り可能な記憶媒体では、短絡判定プログラムをコンピュータに実行させることで、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0037】
本願に開示される技術によれば、充電可能バッテリの短絡判定の精度を高めることができる短絡判定システム、短絡判定装置、短絡判定方法、短絡判定プログラム、および短絡判定プログラムを記憶する記憶媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、充電可能バッテリの短絡判定システムの概略ブロック図である。
図2図2は、推定SOCと短絡発生との関係を示すグラフである。
図3図3は、推定DODと短絡発生との関係を示すグラフである。
図4図4は、図1に示す短絡判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図5図5は、図1に示す短絡判定システムにおいて実行される短絡判定方法を示すフローチャートである。
図6図6は、第1変形例に係る短絡判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図7図7は、図6に示す短絡判定システムにおいて実行される短絡判定方法を示すフローチャートである。
図8図8は、第2変形例に係る短絡判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図9図9は、図8に示す短絡判定システムにおいて実行される短絡判定方法を示すフローチャートである。
図10図10は、第1変形例に係る短絡判定システムにおける情報のやりとりを示す概略ブロック図である。
図11図11は、図10に示す短絡判定システムにおいて実行される短絡判定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。図中において同じ符号は、対応するまたは同一の構成を示している。
【0040】
図1に示すように、充電可能バッテリ2は、負荷4に電気的に接続される。充電可能バッテリ2は、負荷4に電気を供給する。充電可能バッテリ2は、例えば、鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリ、およびニッケル水素バッテリなどの二次バッテリを含む。したがって、充電可能バッテリ2は、二次バッテリ2とも称し得る。
【0041】
負荷4は、充電可能バッテリ2から供給される電気により動作する。負荷4は、少なくとも1つの電気機器を含む。充電可能バッテリ2が車両に搭載される場合、電気機器の例は、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)、ライト、ヒータ、オーディオ機器、センサ、およびカメラを含む。
【0042】
車両の例は、自動車を含む。自動車の例は、動力源としてエンジン(内燃機関)が搭載される自動車、動力源としてエンジンおよび車両駆動モータが搭載されるハイブリッド車、および動力源として車両駆動モータが搭載される電気自動車または燃料電池自動車を含む。したがって、例えば、充電可能バッテリ2が車両駆動用に用いられてもよいし、充電可能バッテリ2以外に車両駆動用バッテリが車両に搭載されてもよい。車両は上記の車両に限定されない。また、充電可能バッテリ2は、車両以外の用途に用いられてもよい。
【0043】
充電可能バッテリ2は、充電回路6に電気的に接続される。充電回路6は、充電可能バッテリ2に電気を供給し、充電可能バッテリ2を充電する。充電可能バッテリ2が車両に搭載される場合、例えば、充電回路6は、オルタネータおよび車両駆動モータなどの発電装置を含む。
【0044】
充電可能バッテリ2では、例えば、セパレータのずれにより正極および負極が接触したり、充電可能バッテリ2内への異物の混入により導電路が発生したりすることで、充電可能バッテリ2内で短絡が発生する場合がある。充電可能バッテリ2の短絡は、充電可能バッテリ2の内部短絡または微小短絡とも称し得る。充電可能バッテリ2の短絡は、充電可能バッテリ2の過熱の原因となり得る。
【0045】
そこで、充電可能バッテリ2の短絡の有無が短絡判定システム8により判定される。短絡判定システム8は、例えば、短絡判定装置10、外部装置30、および外部装置40を備える。短絡判定装置10は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される。短絡判定装置10は、充電可能バッテリ2から供給される電気により動作する。
【0046】
短絡判定システム8は、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。短絡判定装置10は、コントローラ14を備える。すなわち、短絡判定システム8は、コントローラ14を備える。本実施形態では、コントローラ14は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される。コントローラ14は、例えば、プロセッサ14P、メモリ14M、回路基板14C、およびバス14Bを含む。
【0047】
プロセッサ14Pは、例えば、CPU(Central Processing Unit)および/またはMPU(Micro Processing Unit)を含む。メモリ14Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAM(Random Access Memory)および/またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)を含む。不揮発性メモリの例は、ROM(Read Only Memory)およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)を含む。メモリ14Mは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体(Computer-readable storage medium)とも称し得る。プロセッサ14Pおよびメモリ14Mは、電気的に回路基板14C上に搭載される。プロセッサ14Pおよびメモリ14Mは、および回路基板14Cを介して互いに電気的に接続される。プロセッサ14Pは、ハードウェアプロセッサ14Pとも称し得る。メモリ14Mは、ハードウェアメモリ14Mとも称し得る。
【0048】
コントローラ14は、短絡判定システム8および短絡判定装置10の制御アルゴリズムを実現するようにプログラムされている。コントローラ14のメモリ14Mは、例えば、短絡判定システム8および短絡判定装置10の制御アルゴリズムを実現するためのプログラムなどのソフトウェアを記憶する。プロセッサ14Pは、メモリ14Mに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、短絡判定システム8および短絡判定装置10の制御アルゴリズムを実現する。
【0049】
コントローラ14の構成は、プロセッサ14P、メモリ14M、回路基板14Cおよびバス14Bに限定されない。コントローラ14の構成は、ハードウェアのみ、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。また、プロセッサ14Pおよびメモリ14Mは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)のように1チップで構成されてもよい。なお、コントローラ14は、コントローラ回路(Controller circuit)14、コントローラ回路構成(Controller circuitry)14、回路(Circuit)14、および/または回路構成(Circuitry)14とも称し得る。
【0050】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される。コントローラ14は、充電可能バッテリ2から電源回路14Sに供給される電気により動作する。コントローラ14は、充電可能バッテリ2に電気的に接続される電源回路14Sを備える。電源回路14Sは、例えば、充電可能バッテリ2から供給される電圧(例えば、12V)を必要に応じて所定の電圧(例えば、3.3Vまたは5V)に変換する。電源回路14Sは、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。
【0051】
短絡判定装置10は、電流センサ16をさらに備える。すなわち、短絡判定システム8は、電流センサ16をさらに備える。電流センサ16は、コントローラ14に電気的に接続され、充電可能バッテリ2の電流値を測定するように構成される。電流センサ16は、充電可能バッテリ2の充放電電流(入出力電流)の電流値を測定するように構成される。電流センサ16は、充電可能バッテリ2と負荷4との間、および、充電可能バッテリ2と充電回路6との間に配置される。電流センサ16は、充電可能バッテリ2から負荷4へ流れる放電電流の電流値を測定するように構成される、充電回路6から充電可能バッテリ2へ流れる充電電流の電流値を測定するように構成される。コントローラ14は、電流センサ16の測定電流値を積算することで充電可能バッテリ2の電流値の積算値を算出するように構成される。例えば、コントローラ14が推定SOCを算出する場合、コントローラ14は、放電電流の電流値を負とし充電電流の電流値を正として、単位時間あたりの電流値の積算値を所定の周期で算出するように構成される。
【0052】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DOD(Depth of Discharge)の一方を取得するように構成される。コントローラ14は、電流積算法に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方を取得するように構成される。本実施形態では、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCを取得するように構成される。しかし、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定DODを取得するように構成されてもよい。
【0053】
ここで、SOCは、充電可能バッテリ2の充電状態を示す指標である。例えば、充電可能バッテリ2が満充電状態の場合、SOCは100%となり、充電可能バッテリ2が完全放電状態の場合、SOCは0%となる。一方、DODは、充電可能バッテリ2の放電状態を示す指標である。例えば、充電可能バッテリ2が満充電状態の場合、DODは0%となり、充電可能バッテリ2が完全放電状態の場合、DODは100%となる。
【0054】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。すなわち、コントローラ14は、電流積算法に基づいて充電可能バッテリ2の推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。本実施形態では、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて推定SOCを算出するように構成される。しかし、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて推定DODを算出するように構成されてもよい。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの少なくとも1つを外部装置から取得するように構成されてもよい。
【0055】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値と充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報とに基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出する。バッテリ情報は、例えば、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプを含む。ここで、「容量に関する情報」とは、いわゆるカタログ値としての定格放電容量、推定値としてのSOH(State of Health)などの、放電可能な容量に関する情報を意味する。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値と充電可能バッテリ2の容量に関する情報とに基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。本実施形態では、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値と充電可能バッテリ2の容量に関する情報とに基づいて推定SOCを算出するように構成される。しかし、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値と充電可能バッテリ2の容量に関する情報とに基づいて推定DODを算出するように構成されてもよい。
【0056】
コントローラ14は、充電可能バッテリ2の容量に関する情報をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、容量に関する情報に対する単位時間あたりの電流値の積算値の割合(%)をSOC変化量として算出するように構成される、前回算出された推定SOCにSOC変化量を加算することで充電可能バッテリ2の最新の推定SOCを算出するように構成される。算出された推定SOCは、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。前回算出された推定SOCが存在しない場合、コントローラ14は、推定SOCの初期値である100%にSOC変化量を加算することで、充電可能バッテリ2の推定SOCを算出するように構成される。
【0057】
なお、コントローラ14は、複数の充電可能バッテリにそれぞれ対応する複数の容量に関する情報をメモリ14Mに記憶していてもよい。この場合、充電可能バッテリが実際に搭載される際に、充電可能バッテリを特定するためのID情報(型番等)をユーザが入力し、入力されたID情報に基づいて複数の容量に関する情報からID情報が示す充電可能バッテリに対応する容量に関する情報をコントローラ14が選択し推定SOCの算出に用いてもよい。
【0058】
図2に示すように、充電可能バッテリ2が満充電状態の場合、充電可能バッテリ2の推定SOCは、通常、100%または100%を少し上回った値で推移する。それ以降は、充電回路6から充電可能バッテリ2へは、充電電流は流れ込まない。
【0059】
しかし、例えば、充電可能バッテリ2の一部のセルで短絡が発生すると、短絡が発生したセルの充電が消費され、電流積算法で算出された推定SOCが減少しないにも関わらず、充電可能バッテリ2はさらに充電可能な状態となる。したがって、充電可能バッテリ2内で短絡が発生すると、推定SOCが100%の状態から充電可能バッテリ2にさらに充電電流が流れ込むので、電流積算法で算出される推定SOCは100%を超えて上昇する。
【0060】
図3に示すように、充電可能バッテリ2が満充電状態の場合、充電可能バッテリ2の推定DODは、通常、0%または0%を少し下回った値で推移する。それ以降は、充電回路6から充電可能バッテリ2へは、充電電流は流れ込まない。
【0061】
しかし、例えば、充電可能バッテリ2の一部のセルで短絡が発生すると、短絡が発生したセルの充電が消費され、電流積算法で算出された推定DODが増加しないにも関わらず、充電可能バッテリ2はさらに充電可能な状態となる。したがって、充電可能バッテリ2内で短絡が発生すると、推定DODが0%の状態から充電可能バッテリ2にさらに充電電流が流れ込むので、電流積算法で算出される推定DODは0%を超えて下降する。
【0062】
そこで、短絡判定システム8は、電流積算法に基づいて算出される推定SOCまたは推定DODの一方を短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2の短絡の有無を判定する。
【0063】
具体的には、図2および図3に示すように、コントローラ14は、推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。本実施形態では、図2に示すように、コントローラ14は、推定SOCを短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。短絡判定閾値Xは、SOC閾値XSを含む。コントローラ14は、推定SOCをSOC閾値XSと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。短絡判定閾値Xは、例えば、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。SOC閾値XSは、例えば、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0064】
しかし、コントローラ14は、推定DODのみ(図3参照)、または、推定SOCおよび推定DODの両方を短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成されてもよい。図3に示すように、推定DODを短絡判定に用いる場合、短絡判定閾値Xは、DOD閾値XDを含む。コントローラ14は、推定DODを短絡判定閾値X(DOD閾値XD)と比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。
【0065】
コントローラ14は、推定SOCがSOC閾値XSを超える場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していると判定するように構成される。コントローラ14は、推定SOCがSOC閾値XS以上である場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していると判定する。コントローラ14は、推定SOCがSOC閾値XS未満である場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していないと判定するように構成される。なお、コントローラ14は、推定SOCがSOC閾値XS以下である場合に、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していないと判定するように構成されてもよい。
【0066】
図2に示すように、SOC閾値XSは、100%よりも高い値である。例えば、誤判定を低減または防止するために、SOC閾値XSは、100%よりも比較的高い値に設定される。充電可能バッテリ2の仕様に応じて、適切なSOC閾値XSは異なる。したがって、使用する充電可能バッテリ2に対応するSOC閾値XSは、例えば実験またはシミュレーションにより求めておき、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0067】
図3に示すように、推定DODを短絡判定に用いる場合、コントローラ14は、推定DODがDOD閾値XD未満の場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していると判定するように構成される。コントローラ14は、推定DODがDOD閾値XD以下である場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していると判定するように構成される。コントローラ14は、推定DODがDOD閾値XDを超える場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していないと判定するように構成される。なお、コントローラ14は、推定DODがDOD閾値XD以上である場合に、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していないと判定するように構成されてもよい。
【0068】
DOD閾値XDは、0%よりも低い値である。例えば、DOD閾値XDは、例えば、誤判定を低減または防止するために、DOD閾値XDは、0%よりも比較的低い値に設定される。充電可能バッテリ2の仕様に応じて、適切なDOD閾値XDは異なる。したがって、使用する充電可能バッテリ2に対応するDOD閾値XDは、例えば実験またはシミュレーションにより求めておき、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0069】
図1に示すように、短絡判定装置10は、温度センサ18をさらに備える。すなわち、短絡判定システム8は、温度センサ18をさらに備える。温度センサ18は、コントローラ14に電気的に接続され、充電可能バッテリ2の温度を測定するように構成される。温度センサ18は、充電可能バッテリ2に取り付けられる。
【0070】
充電可能バッテリ2の温度に応じて、充電可能バッテリ2の電流値が実際の測定電流値からずれる場合がある。したがって、コントローラ14は、温度センサ18の測定温度を用いて電流センサ16の測定電流値を補正するように構成される。コントローラ14は、補正された測定電流値に基づいて積算値を算出するように構成される。
【0071】
例えば、コントローラ14は、測定温度および測定電流値の関係を示す電流値補正情報(例えば、関係式またはテーブル)をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、測定温度および電流値補正情報に基づいて、測定電流値の温度補正値である補正電流値を算出する。コントローラ14は、補正電流値を用いて充電可能バッテリ2の電流値の積算値を算出する。しかし、コントローラ14は、温度センサ18の測定温度を用いて電流センサ16の測定電流値を補正しないように構成されてもよい。
【0072】
また、充電可能バッテリ2の温度に応じて、短絡判定閾値Xが適切な短絡判定閾値からずれる場合がある。したがって、コントローラ14は、温度センサ18の測定温度を用いて短絡判定閾値Xを補正するように構成される。コントローラ14は、推定SOCおよび推定DODの一方を、補正された短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定するように構成される。本実施形態では、コントローラ14は、温度センサ18の測定温度を用いて短絡判定閾値Xを補正するように構成される。
【0073】
例えば、コントローラ14は、測定温度および短絡判定閾値X(ここでは、SOC閾値XS)の関係を示す閾値補正情報(例えば、関係式またはテーブル)をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、測定温度および閾値補正情報に基づいて、短絡判定閾値Xの温度補正値である補正短絡判定閾値X1を算出するように構成される。コントローラ14は、補正短絡判定閾値X1を用いて充電可能バッテリ2の短絡判定を行うように構成される。しかし、コントローラ14は、短絡判定閾値Xを補正しないように構成されてもよい。
【0074】
図2に示すように、推定SOCを短絡判定に用いる場合、コントローラ14は、温度センサ18の測定温度を用いてSOC閾値XSを補正するように構成される。例えば、コントローラ14は、測定温度およびSOC閾値XSの関係を示す閾値補正情報(例えば、関係式またはテーブル)をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、測定温度および閾値補正情報に基づいて、SOC閾値XSの温度補正値である補正SOC閾値XS1を算出するように構成される。コントローラ14は、補正SOC閾値XS1を用いて充電可能バッテリ2の短絡判定を行うように構成される。しかし、コントローラ14は、SOC閾値XSを補正しないように構成されてもよい。
【0075】
図3に示すように、推定DODを短絡判定に用いる場合、コントローラ14は、温度センサ18の測定温度を用いてDOD閾値XDを補正するように構成される。コントローラ14は、測定温度およびDOD閾値XDの関係を示す閾値補正情報(例えば、関係式またはテーブル)をメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、測定温度および閾値補正情報に基づいて、DOD閾値XDの温度補正値である補正DOD閾値XD1を算出するように構成される。コントローラ14は、補正短絡判定閾値X1を用いて充電可能バッテリ2の短絡判定を行うように構成される。コントローラ14は、補正DOD閾値XD1を用いて充電可能バッテリ2の短絡判定を行うように構成される。しかし、コントローラ14は、DOD閾値XDを補正しないように構成されてもよい。
【0076】
図1に示すように、短絡判定装置10は、コントローラ14に電気的に接続されるインターフェース20をさらに備える。すなわち、短絡判定システム8は、コントローラ14に電気的に接続されるインターフェース20をさらに備える。インターフェース20は、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報の入力を受けるように、および/または、外部装置30および/または40へ短絡判定結果を送信するように構成される。短絡判定結果は、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していることを示す。インターフェース20は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。インターフェース20は、コントローラ14から供給される電気により動作する。インターフェース20は、ユーザインターフェース22および通信部24を含む。
【0077】
ユーザインターフェース22は、コントローラ14に電気的に接続される。ユーザインターフェース22は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。ユーザインターフェース22は、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報の入力をユーザから受けるように構成される。コントローラ14は、ユーザインターフェース22から入力されるバッテリ情報をメモリ14Mに記憶する。ユーザインターフェース22は、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプの入力をユーザから受けるように構成される。コントローラ14は、ユーザインターフェース22から入力される容量に関する情報およびバッテリタイプをメモリ14Mに記憶する。コントローラ14は、メモリ14Mに記憶される容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。また、コントローラ14は、メモリ14Mに記憶される容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定するように構成される。ユーザインターフェース22の例は、タッチパネルなどの操作パネルを含む。
【0078】
通信部24は、コントローラ14に電気的に接続される。通信部24は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。通信部24は、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報を外部装置30および/または40から受信するように構成される。コントローラ14は、通信部24に入力されるバッテリ情報をメモリ14Mに記憶する。また、通信部24は、短絡判定結果を外部装置30および/または40へ送信するように構成される。
【0079】
通信部24は、無線通信回路を含む。無線通信回路は、コントローラ14に電気的に接続され、例えば、インターネットに無線で接続可能である。無線通信回路は、短絡判定結果を外部装置30へインターネットを介して送信するように構成される。充電可能バッテリ2が車両に搭載される場合、通信部24は、例えば、無線通信回路およびゲートウェイECUを含む。
【0080】
無線通信回路は、例えば、アンテナ、無線送信回路、および無線受信回路を含む。アンテナは、無線送信回路および無線受信回路に電気的に接続される。無線送信回路は、アンテナを介して無線で信号を送信するように構成される。無線受信回路は、アンテナを介して無線で信号を受信するように構成される。無線送信回路は、所定のプロトコルで信号を暗号化するように構成される。無線受信回路は、所定のプロトコルで無線信号を復号化するように構成される。通信部24は、外部装置30と有線で通信するように構成されてもよい。
【0081】
図1に示すように、外部装置30は、各種情報処理を行う装置であり、サーバ30とも称し得る。外部装置30は、例えば、データセンタまたはクラウドの一部を構成し、インターネットに接続可能である。外部装置30は、コントローラ32、インターフェース33、およびディスプレイ34を備える。インターフェース33およびディスプレイ34は、コントローラ32に電気的に接続される。ディスプレイ34は、コントローラ32に電気的に接続され、情報を表示するように構成される。コントローラ32は、情報を表示するようにディスプレイ34を制御するように構成される。
【0082】
コントローラ32は、例えば、プロセッサ32P、メモリ32M、回路基板32C、およびバス32Bを含む。プロセッサ32Pは、例えば、CPUおよび/またはMPUを含む。メモリ32Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAMおよび/またはDRAMを含む。不揮発性メモリの例は、ROMおよびEEPROMを含む。メモリ32Mは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体(Computer-readable storage medium)とも称し得る。プロセッサ32Pおよびメモリ32Mは、電気的に回路基板32C上に搭載される。プロセッサ32Pおよびメモリ32Mは、および回路基板32Cを介して互いに電気的に接続される。プロセッサ32Pは、ハードウェアプロセッサ32Pとも称し得る。メモリ32Mは、ハードウェアメモリ32Mとも称し得る。
【0083】
コントローラ32は、外部装置30の制御アルゴリズムを実現するようにプログラムされている。コントローラ32のメモリ32Mは、例えば、外部装置30の制御アルゴリズムを実現するためのプログラムなどのソフトウェアを記憶する。プロセッサ32Pは、メモリ32Mに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、外部装置30の制御アルゴリズムを実現する。
【0084】
コントローラ32の構成は、プロセッサ32P、メモリ32M、回路基板32Cおよびバス32Bに限定されない。コントローラ32の構成は、ハードウェアのみ、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。また、プロセッサ32Pおよびメモリ32Mは、ASICまたはFPGAのように1チップで構成されてもよい。なお、コントローラ32は、コントローラ回路(Controller circuit)32、コントローラ回路構成(Controller circuitry)32、回路(Circuit)32、および/または回路構成(Circuitry)32とも称し得る。
【0085】
インターフェース33は、回路基板32Cおよびバス32Bを介してプロセッサ32Pおよびメモリ32Mに電気的に接続される。インターフェース33は、ユーザインターフェース35および通信部36を含む。
【0086】
ユーザインターフェース35は、コントローラ32に電気的に接続される。ユーザインターフェース35は、回路基板32Cおよびバス32Bを介してプロセッサ32Pおよびメモリ32Mに電気的に接続される。ユーザインターフェース35は、ユーザが外部装置30の操作をする際に用いられる。ユーザインターフェース35の例は、キーボード、マウス、およびタッチパネルを含む。
【0087】
通信部36は、コントローラ32に電気的に接続される。通信部36は、回路基板32Cおよびバス32Bを介してプロセッサ32Pおよびメモリ32Mに電気的に接続される。通信部36は、短絡判定装置10および外部装置40と通信するように構成される。
【0088】
通信部36は、例えば、有線通信回路を含む。有線通信回路は、コントローラ32に電気的に接続され、例えば、インターネットに有線で接続可能である。有線通信回路は、短絡判定装置10および外部装置40とインターネットを介して通信するように構成される。通信部36は、無線通信回路を含んでいてもよい。
【0089】
図4に示すように、通信部36は、短絡判定装置10から短絡判定結果SRを受信するように構成される。通信部36は、短絡判定装置10から受信した短絡判定結果SRを外部装置40に送信するように構成される。通信部36は、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報BTを外部装置40から受信するように構成される。通信部36は、外部装置40から受信したバッテリ情報BTを短絡判定装置10に送信するように構成される。
【0090】
図1に示すように、外部装置40は、外部装置30と通信するように構成され、端末40とも称し得る。外部装置40は、短絡判定装置10のユーザが使用するための装置である。外部装置40は、外部装置30から送信される短絡判定結果を表示するように構成される。また、外部装置40は、短絡判定装置10のユーザからの短絡判定に必要な情報の入力を受けるように構成され、入力された情報を外部装置30に送信するように構成される。外部装置40の例は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータを含む。なお、外部装置40は、短絡判定装置10と通信するように構成されていてもよい。
【0091】
外部装置40は、コントローラ42、インターフェース43、およびディスプレイ44を備える。インターフェース43およびディスプレイ44は、コントローラ42に電気的に接続される。ディスプレイ44は、コントローラ42に電気的に接続され、情報を表示するように構成される。コントローラ42は、情報を表示するようにディスプレイ44を制御するように構成される。
【0092】
コントローラ42は、例えば、プロセッサ42P、メモリ42M、回路基板42C、およびバス42Bを含む。プロセッサ42Pは、例えば、CPUおよび/またはMPUを含む。メモリ42Mは、例えば、揮発性および/不揮発性メモリを含む。揮発性メモリの例は、RAMおよび/またはDRAMを含む。不揮発性メモリの例は、ROMおよびEEPROMを含む。メモリ42Mは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体(Computer-readable storage medium)とも称し得る。プロセッサ42Pおよびメモリ42Mは、電気的に回路基板42C上に搭載される。プロセッサ42Pおよびメモリ42Mは、および回路基板42Cを介して互いに電気的に接続される。プロセッサ42Pは、ハードウェアプロセッサ42Pとも称し得る。メモリ42Mは、ハードウェアメモリ42Mとも称し得る。
【0093】
コントローラ42は、外部装置40の制御アルゴリズムを実現するようにプログラムされている。コントローラ42のメモリ42Mは、例えば、外部装置40の制御アルゴリズムを実現するためのプログラムなどのソフトウェアを記憶する。プロセッサ42Pは、メモリ42Mに記憶されるプログラムを読み出して実行することにより、外部装置40の制御アルゴリズムを実現する。
【0094】
コントローラ42の構成は、プロセッサ42P、メモリ42M、回路基板42Cおよびバス42Bに限定されない。コントローラ42の構成は、ハードウェアのみ、または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。また、プロセッサ42Pおよびメモリ42Mは、ASICまたはFPGAのように1チップで構成されてもよい。なお、コントローラ42は、コントローラ回路(Controller circuit)42、コントローラ回路構成(Controller circuitry)42、回路(Circuit)42、および/または回路構成(Circuitry)42とも称し得る。
【0095】
インターフェース43は、回路基板42Cおよびバス42Bを介してプロセッサ42Pおよびメモリ42Mに電気的に接続される。インターフェース43は、ユーザインターフェース45および通信部46を含む。
【0096】
ユーザインターフェース45は、コントローラ42に電気的に接続される。ユーザインターフェース45は、回路基板42Cおよびバス42Bを介してプロセッサ42Pおよびメモリ42Mに電気的に接続される。ユーザインターフェース45は、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報の入力をユーザから受けるように構成される。コントローラ42は、ユーザインターフェース45から入力されるバッテリ情報をメモリ42Mに記憶する。ユーザインターフェース45は、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプの入力をユーザから受けるように構成される。コントローラ42は、ユーザインターフェース45から入力される容量に関する情報およびバッテリタイプをメモリ42Mに記憶する。ユーザインターフェース45の例は、キーボード、マウス、およびタッチパネルを含む。
【0097】
本実施形態では、短絡判定システム8および短絡判定装置10のコントローラ14は、ユーザインターフェース22を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプ、または、外部装置40のユーザインターフェース45を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて推定SOCおよび推定DODの一方を算出するように構成される。短絡判定システム8および短絡判定装置10のコントローラ14は、ユーザインターフェース22を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプ、または、外部装置40のユーザインターフェース45を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定するように構成される。しかし、容量に関する情報およびバッテリタイプは、ユーザインターフェース22および45の一方のみから入力されてもよい。
【0098】
通信部46は、コントローラ42に電気的に接続される。通信部46は、回路基板42Cおよびバス42Bを介してプロセッサ42Pおよびメモリ42Mに電気的に接続される。通信部46は、外部装置30と通信するように構成される。通信部46は、無線通信回路を含む。無線通信回路は、コントローラ42に電気的に接続され、インターネットを介して外部装置30と無線で通信するように構成される。無線通信回路は、インターネットを介して短絡判定装置10と無線で通信するように構成されていてもよい。通信部46は、有線通信回路を含んでいてもよい。
【0099】
通信部24と同様に、通信部46の無線通信回路は、例えば、アンテナ、無線送信回路、および無線受信回路を含む。アンテナは、無線送信回路および無線受信回路に電気的に接続される。無線送信回路は、アンテナを介して無線で信号を送信するように構成される。無線受信回路は、アンテナを介して無線で信号を受信するように構成される。無線送信回路は、所定のプロトコルで信号を暗号化するように構成される。無線受信回路は、所定のプロトコルで無線信号を復号化するように構成される。
【0100】
図4に示すように、通信部46は、インターネットを介してバッテリ情報BTを外部装置30へ送信するように構成される。通信部46は、外部装置30から送信される短絡判定結果SRをインターネットを介して受信するように構成される。
【0101】
図1に示すように、コントローラ14は、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報に基づいて短絡判定閾値Xを設定する。コントローラ14は、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプの少なくとも1つに基づいて短絡判定閾値Xを設定するように構成される。本実施形態では、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定するように構成される。コントローラ14は、インターフェース20を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定するように構成される。しかし、コントローラ14は、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプの一方のみに基づいて短絡判定閾値Xを設定するように構成されてもよい。
【0102】
バッテリタイプの例は、鉛バッテリ、リチウムイオンバッテリ、およびニッケル水素バッテリを含む。コントローラ14は、容量に関する情報、バッテリタイプ、および短絡判定閾値Xの関係を示す閾値設定情報(例えば、テーブル)をメモリ14Mに記憶する。閾値設定情報は、複数のバッテリタイプと、複数のバッテリタイプのそれぞれに対応する複数の容量に関する情報と、複数の容量に関する情報にそれぞれ対応する複数の短絡判定閾値Xと、を含む。コントローラ14は、インターフェース20を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプに対応する短絡判定閾値Xをメモリ14Mに記憶されるテーブルから選択するように構成される。コントローラ14は、選択された短絡判定閾値Xを用いて短絡判定を行うように構成される。
【0103】
推定SOCを短絡判定に用いる場合、コントローラ14は、容量に関する情報、バッテリタイプ、およびSOC閾値XSの関係を示す閾値設定情報をメモリ14Mに記憶する。閾値設定情報のテーブルは、複数のバッテリタイプと、複数のバッテリタイプのそれぞれに対応する複数の容量に関する情報と、複数の容量に関する情報にそれぞれ対応する複数のSOC閾値XSと、を含む。コントローラ14は、インターフェース20を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプに対応するSOC閾値XSをメモリ14Mに記憶されるテーブルから選択するように構成される。コントローラ14は、選択されたSOC閾値XSを用いて短絡判定を行うように構成される。
【0104】
推定DODを短絡判定に用いる場合、コントローラ14は、容量に関する情報、バッテリタイプ、およびDOD閾値XDの関係を示す閾値設定情報をメモリ14Mに記憶する。閾値設定情報のテーブルは、複数のバッテリタイプと、複数のバッテリタイプのそれぞれに対応する複数の容量に関する情報と、複数の容量に関する情報にそれぞれ対応する複数のDOD閾値XDと、を含む。コントローラ14は、インターフェース20を介して入力される容量に関する情報およびバッテリタイプに対応するDOD閾値XDをメモリ14Mに記憶されるテーブルから選択するように構成される。コントローラ14は、選択されたDOD閾値XDを用いて短絡判定を行うように構成される。
【0105】
図1に示すように、短絡判定装置10は、報知装置26を備える。すなわち、短絡判定システム8は、報知装置26を備える。報知装置26は、コントローラ14に電気的に接続される。報知装置26は、回路基板14Cおよびバス14Bを介してプロセッサ14Pおよびメモリ14Mに電気的に接続される。コントローラ14は、短絡判定の結果に基づいて報知装置26を制御するように構成される。報知装置26は、コントローラ14から供給される電気により動作する。
【0106】
報知装置26は、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していることをユーザに報知するように構成される。報知装置26は、例えば、インジケータ、ディスプレイ、およびスピーカの少なくとも1つを含む。コントローラ14は、報知装置26がユーザに充電可能バッテリ2内で短絡が発生していることを報知するように報知装置26を制御するように構成される。
【0107】
図4および図5を参照しながら短絡判定システム8の動作について説明する。図4に示すように、短絡判定システム8および短絡判定装置10のコントローラ14は、以下に説明する短絡判定方法を実行するように構成される。コントローラ14は、短絡判定プログラムをメモリ14Mに記憶する。すなわち、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体は、短絡判定プログラムを記憶する。短絡判定プログラムは、短絡判定方法をコンピュータに実行させる。コントローラ14のプロセッサ14Pは、メモリ14Mに記憶される短絡判定プログラムを読み込み実行することで、以下に説明する短絡判定方法を実現する。
【0108】
図5に示すように、短絡判定方法は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCおよび推定DODの一方をコントローラ14により取得すること(例えば、ステップS5およびS6)、および、推定SOCおよび推定DODの一方を短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かをコントローラ14により判定すること(例えば、ステップS8)、を備える。
【0109】
本実施形態では、短絡判定方法は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定SOCをコントローラ14により取得すること、および、推定SOCを短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かをコントローラ14により判定すること、を備える。推定DODを短絡判定に用いる場合、短絡判定方法は、充電可能バッテリ2の電流値の積算値に基づいて算出される推定DODをコントローラ14により取得すること、および、推定DODを短絡判定閾値Xと比較することで充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かをコントローラ14により判定すること、を備える。
【0110】
以下では、推定SOCを短絡判定に用いる場合の短絡判定方法について説明するが、推定DODを短絡判定に用いる場合は、以下に説明する短絡判定方法において、「SOC」を「DOD」に、「XS」を「XD」に、「≧」を「≦」に、それぞれ読み替えることで、以下の記載および図5のフローチャートを流用できる。
【0111】
図5に示すように、ステップS1において、充電可能バッテリ2に関するバッテリ情報BT(容量に関する情報およびバッテリタイプ)がユーザインターフェース22または45を介して短絡判定装置10に入力される。ユーザインターフェース22を介して入力されるバッテリ情報BT(容量に関する情報およびバッテリタイプ)は、コントローラ14により取得される。ユーザインターフェース45を介して入力されるバッテリ情報BT(容量に関する情報およびバッテリタイプ)は、インターネットおよび外部装置30を介してコントローラ14により取得される。取得された容量に関する情報およびバッテリタイプは、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0112】
ステップS2において、充電可能バッテリ2の容量に関する情報およびバッテリタイプの少なくとも1つに基づいてコントローラ14により短絡判定閾値Xが設定される。本実施形態では、ステップS1において取得された容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいてコントローラ14により短絡判定閾値Xが設定される。ステップS1において取得された容量に関する情報およびバッテリタイプに対応する短絡判定閾値Xがメモリ14Mに記憶されるテーブルからコントローラ14により選択される。選択された短絡判定閾値Xは、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。ステップS1およびS2は、例えば、充電可能バッテリ2が交換された際に実行される。
【0113】
ステップS3において、充電可能バッテリ2の電流値および温度が電流センサ16および温度センサ18により測定される。測定電流値および測定温度は、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0114】
ステップS4において、温度センサ18の測定温度を用いて電流センサ16の測定電流値がコントローラ14により補正される。例えば、測定温度および電流値補正情報に基づいてコントローラ14により補正電流値が算出される。補正電流値は、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0115】
ステップS5において、補正電流値に基づいてコントローラ14により積算値が算出される。算出された積算値は、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0116】
ステップS6において、推定SOCまたは推定DODの一方がコントローラ14により取得される。具体的には、ステップS5において算出された積算値に基づいて推定SOCがコントローラ14により算出される。
【0117】
ステップS7において、温度センサ18の測定温度を用いてコントローラ14により短絡判定閾値X(本実施形態では、SOC閾値XS)が補正される。例えば、測定温度および閾値補正情報に基づいてコントローラ14により補正短絡判定閾値X1(本実施形態では、補正SOC閾値XS1)が算出される。補正短絡判定閾値X1は、コントローラ14のメモリ14Mに記憶される。
【0118】
ステップS8において、推定SOCおよび推定DODの一方を、補正された短絡判定閾値X(本実施形態では、補正短絡判定閾値X1)と比較することで、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かがコントローラ14により判定される。例えば、推定SOCを補正されたSOC閾値XS(本実施形態では、補正SOC閾値XS1)と比較することで、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かがコントローラ14により判定される。
【0119】
具体的には、推定SOCがSOC閾値XS(本実施形態では、補正SOC閾値XS1)を超える場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているとコントローラ14により判定される。推定SOCがSOC閾値XS(本実施形態では、補正SOC閾値XS1)以上である場合、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているとコントローラ14により判定される。一方、推定SOCがSOC閾値XS(本実施形態では、補正SOC閾値XS1)未満である場合、充電可能バッテリ2内で短絡は発生していないとコントローラ14により判定される。
【0120】
ステップS8において充電可能バッテリ2内で短絡が発生していないとコントローラ14により判定される場合、プロセスがステップS3に戻る。一方、ステップS8において充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているとコントローラ14により判定される場合、ステップS9において、報知装置26により充電可能バッテリ2内で短絡が発生していることがユーザに報知される。さらに、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているとコントローラ14により判定される場合、ステップS10において、充電可能バッテリ2内で短絡が発生していることを示す短絡判定結果SRが、インターネットおよび外部装置30を介して短絡判定装置10から外部装置40へ送信される(図4参照)。ステップS11において、短絡判定結果SRが外部装置40のディスプレイ44に表示される。プロセスがステップS3に戻り、ステップS3~S11が繰り返される。
【0121】
なお、前述の実施形態では、短絡判定装置10においてステップS1~S10が実行されるが、以下に説明するように、ステップS1~S10の少なくとも一部が外部装置30で実行されてもよい。
【0122】
例えば、図6に示す第1変形例に係る短絡判定システム208では、図7に示すように、外部装置30においてステップS1およびS2が実行される。図7に示すように、第1変形例に係る短絡判定システム208は、短絡判定装置10、外部装置30、および外部装置40を備える。短絡判定プログラムの一部は、外部装置30のコントローラ32のメモリ32Mに記憶され、コントローラ32のプロセッサ32Pにより読み込まれることで、外部装置30によりステップS1およびS2が実行される。
【0123】
図6および図7に示すように、外部装置30は、短絡判定装置10および外部装置40の一方に入力されるバッテリ情報BT(定格放電電流およびバッテリタイプ)を短絡判定装置10および外部装置40の一方からインターネットを介して取得する(ステップS1)。外部装置30のコントローラ32は、取得した容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定する(ステップS1)。前述の実施形態のコントローラ14と同様に、コントローラ32は、容量に関する情報、バッテリタイプ、および短絡判定閾値Xの関係を示す閾値設定情報(例えば、テーブル)をメモリ32Mに記憶する。コントローラ32は、取得された容量に関する情報およびバッテリタイプに対応する短絡判定閾値Xをメモリ32Mに記憶されるテーブルから選択する。コントローラ32は、選択された短絡判定閾値Xを短絡判定装置10のコントローラ14に通信部36を介して送信する(ステップS212)。短絡判定装置10のコントローラ14は、外部装置30から取得された短絡判定閾値Xを用いて短絡判定を行う(ステップS3~S8)。短絡判定装置10は、充電可能バッテリ2の短絡判定結果SRを、インターネットおよび外部装置30を介して外部装置40へ送信する(ステップS10)。
【0124】
また、図8に示す第2変形例に係る短絡判定システム308では、図9に示すように、外部装置30に対応する判定装置330においてステップS1、S2、S7、およびS8が実行される。図8に示すように、短絡判定システム308は、短絡判定装置310および外部装置40を含む。短絡判定装置310は、バッテリ管理装置311および判定装置330を備える。バッテリ管理装置311の基本構成は、短絡判定装置10の基本構成と実質的に同じである。判定装置330の基本構成は、外部装置30の基本構成と実質的に同じである。判定装置330が短絡判定を実行するので、判定装置330を短絡判定装置310とも称し得る。短絡判定プログラムの一部は、判定装置330のコントローラ32のメモリ32Mに記憶され、コントローラ32のプロセッサ32Pにより読み込まれることで、判定装置330によりステップS1、S2、S7、およびS8が実行される。
【0125】
図8および図9に示すように、判定装置330は、バッテリ管理装置311および外部装置40の一方に入力されるバッテリ情報BT(定格放電電流およびバッテリタイプ)を短絡判定装置10および外部装置40の一方からインターネットを介して取得する(ステップS1)。判定装置330のコントローラ32は、取得した容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定する(ステップS2)。
【0126】
さらに、バッテリ管理装置311は、ステップS3~S6で取得した推定SOCおよび測定温度を判定装置330へ送信する(ステップS312)。判定装置330は、測定温度に基づいて短絡判定閾値Xを補正する(ステップS7)。判定装置330は、推定SOCを補正された短絡判定閾値Xと比較することで、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定する(ステップS8)。外部装置40は、バッテリ管理装置311および外部装置40へ短絡判定結果SRを送信する(ステップS313)。バッテリ管理装置311の報知装置26は、短絡判定結果SRに基づいて充電可能バッテリ2の短絡を報知する(ステップS9)。外部装置40は、短絡判定結果SRに基づいて充電可能バッテリ2の短絡を表示する(ステップS11)。
【0127】
また、図10に示す第3変形例に係る短絡判定システム408では、図11に示すように、外部装置30に対応する判定装置430によりステップS1、S2、およびS5~S8が実行される。図10に示すように、短絡判定システム408は、短絡判定装置410および外部装置40を含む。短絡判定装置410は、バッテリ管理装置411および判定装置430を備える。バッテリ管理装置411の基本構成は、短絡判定装置10の基本構成と実質的に同じである。判定装置430の基本構成は、外部装置30の基本構成と実質的に同じである。判定装置430が短絡判定を実行するので、判定装置430を短絡判定装置410とも称し得る。短絡判定プログラムの一部は、判定装置430のコントローラ32のメモリ32Mに記憶され、コントローラ32のプロセッサ32Pにより読み込まれることで、判定装置430によりステップS1、S2、およびS5~S8が実行される。
【0128】
図10および図11に示すように、判定装置430は、バッテリ管理装置411および外部装置40の一方に入力されるバッテリ情報BT(定格放電電流およびバッテリタイプ)をバッテリ管理装置411および外部装置40の一方からインターネットを介して取得する(ステップS1)。判定装置430のコントローラ32は、取得した容量に関する情報およびバッテリタイプに基づいて短絡判定閾値Xを設定する(ステップS2)。
【0129】
さらに、バッテリ管理装置411は、ステップS3およびS4で取得された補正電流値および測定温度を判定装置430へ送信する(ステップS412)。判定装置430のコントローラ32は、補正電流値に基づいて積算値を算出し、積算値に基づいて推定SOCを算出する(ステップS5およびS6)。判定装置430のコントローラ32は、測定温度に基づいて短絡判定閾値Xを補正する(ステップS7)。判定装置430のコントローラ32は、推定SOCを補正された短絡判定閾値Xと比較することで、充電可能バッテリ2内で短絡が発生しているか否かを判定する(ステップS8)。判定装置430は、バッテリ管理装置411および外部装置40へ短絡判定結果SRを送信する(ステップS413)。バッテリ管理装置411の報知装置26は、短絡判定結果SRに基づいて充電可能バッテリ2の短絡を報知する(ステップS9)。外部装置40は、短絡判定結果SRに基づいて充電可能バッテリ2の短絡を表示する(ステップS11)。
【0130】
なお、前述の実施形態および第1~第3変形例に係る短絡判定システム8、208、308および408、短絡判定装置10および310、バッテリ管理装置311および411、短絡判定方法、ならびに短絡判定プログラムは、例えば、個人が所有する車両、レンタカーとして使用される車両、およびカーシェアリングに利用される車両に適用可能である。個人が所有する車両に短絡判定システム8、208、308および408、短絡判定装置10および310、ならびにバッテリ管理装置311および411の少なくとも1つが適用される場合、例えば、外部装置40は、車両の所有者またはドライバーが車両に搭載される充電可能バッテリ2の短絡を監視するために使用される。レンタカーとして使用される車両に短絡判定システム8、208、308および408、短絡判定装置10および310、ならびにバッテリ管理装置311および411の少なくとも1つが適用される場合、例えば、外部装置40は、レンタカー会社およびそのスタッフが、貸し出した車両に搭載される充電可能バッテリ2の短絡を監視するために使用される。また、カーシェアリングに利用される車両に短絡判定システム8、208、308および408、短絡判定装置10および310、ならびにバッテリ管理装置311および411の少なくとも1つが適用される場合、例えば、外部装置40は、カーシェアリング会社およびそのスタッフが、シェアされる車両に搭載される充電可能バッテリ2の短絡を監視するために使用される。
【0131】
また、前述の実施形態および第1~第3変形例に係る短絡判定システム8、208、308および408、短絡判定装置10および310、ならびにバッテリ管理装置311および411、短絡判定方法、および短絡判定プログラムは、車両以外の装置にも適用可能である。例えば、太陽光発電システムなどで発電された電気を蓄積しておく充電可能バッテリの監視にも利用可能である。
【0132】
なお、前述の短絡判定システム8、208、308および408は、短絡判定システムの単なる一例であり、短絡判定システムの構成は、短絡判定システム8、208、308および408の構成に限定されない。例えば、前述の実施形態では、短絡判定システム8が短絡判定装置10、外部装置30、および外部装置40を備えるが、短絡判定システム8から外部装置30および40の少なくとも1つが省略されてもよいし、短絡判定システム8が他の構成を含んでいてもよい。短絡判定システム208、308および408ならびにそれらの変形例についても同様である。また、短絡判定システム8が、電流センサ16、温度センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sを備えるが、電流センサ16、温度センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つが短絡判定システム8から省略されてもよいし、短絡判定システム8が他の構成を含んでいてもよい。電流センサ16、温度センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つが短絡判定システム8から省略される場合、短絡判定システム8は必要な情報(例えば、電流値、温度)を短絡判定システム8の外部から取得するように構成され得る。短絡判定システム208、308および408ならびにそれらの変形例についても同様である。
【0133】
前述の短絡判定装置10、210、310および410は、短絡判定装置の単なる一例であり、短絡判定装置の構成は、短絡判定装置10、210、310および410の構成に限定されない。例えば、前述の実施形態では、短絡判定装置10が、電流センサ16、温度センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sを備えるが、電流センサ16、温度センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つが短絡判定装置10から省略されてもよい。電流センサ16、温度センサ18、インターフェース20、報知装置26、および電源回路14Sの少なくとも1つが短絡判定装置10から省略される場合、短絡判定装置10は必要な情報(例えば、電流値、温度)を短絡判定装置10の外部から取得するように構成され得る。短絡判定装置210、310および410ならびにそれらの変形例についても同様である。
【0134】
なお、本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0135】
本願において、「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在していることを暗に意味しているわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在していることを暗に意味しているわけではない。
【0136】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0137】
また、本開示における「AおよびBのうち少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、および(3)AおよびBの両方、のいずれも包含している。「A、BおよびCのうち少なくとも1つ」という表現は、例えば、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AおよびB、(5)BおよびC、(6)AおよびC、(7)A、BおよびCの全て、のいずれも包含している。本開示では、「AおよびBのうち少なくとも1つ」という表現は、「Aのうち少なくとも1つおよびBのうち少なくとも1つ」とは解釈されない。
【0138】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0139】
2 :充電可能バッテリ
8、208、308、408:短絡判定システム
10、310:短絡判定装置
14 :コントローラ
16 :電流センサ
18 :温度センサ
20 :インターフェース
26 :報知装置
30、40:外部装置
BT :バッテリ情報
X :短絡判定閾値
XD :DOD閾値
XS :SOC閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11