(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143124
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】平角ケーブル、コイル、平角ケーブルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 7/00 20060101AFI20230928BHJP
H01F 5/06 20060101ALI20230928BHJP
H01F 27/28 20060101ALI20230928BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20230928BHJP
H01B 13/22 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
H01B7/00 303
H01F5/06 H
H01F5/06 Q
H01F27/28 147
H01B13/00 517
H01B13/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050341
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】509216094
【氏名又は名称】古河マグネットワイヤ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】折戸 博
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇
【テーマコード(参考)】
5E043
5G309
【Fターム(参考)】
5E043AB02
5G309CA12
5G309CA15
(57)【要約】
【課題】小径ボビンに対しても巻き付けし易い平角ケーブルを提供する。
【解決手段】平角ケーブル100は、平角素線が複数積層されている積層素線1と、積層素線1の外周を被覆する絶縁層2と、を有し、平角素線は、平角導線の外周が絶縁層で被覆されたものであり、積層素線1は、積層方向の両面において、長手方向に連続する凹凸形状を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平角素線が複数積層されている積層素線と、
前記積層素線の外周を被覆する絶縁層と、
を有し、
前記平角素線は、平角導線の外周が絶縁層で被覆されたものであり、
前記積層素線は、積層方向の両面において、長手方向に連続する凹凸形状を有する平角ケーブル。
【請求項2】
前記平角導線の外周を被覆する絶縁層は熱硬化性樹脂からなる請求項1記載の平角ケーブル。
【請求項3】
前記積層素線の外周を被覆する絶縁層は熱可塑性樹脂からなる請求項1または2記載の平角ケーブル。
【請求項4】
長手方向に垂直な断面形状は四角形である請求項1から3のいずれか一項に記載の平角ケーブル。
【請求項5】
前記積層素線の外周を被覆する絶縁層は、前記積層素線の前記凹凸形状を有する面の外側となる面に、長手方向に連続する凹凸形状を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の平角ケーブル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の平角ケーブルがボビンに巻かれているコイル。
【請求項7】
請求項5記載の平角ケーブルの製造方法であって、
平角導線の外周が第一の絶縁層で被覆されている複数の平角素線を、複数重ねて積層素線を得る第一工程と、
前記第一工程で得られた積層素線を、当該積層素線の積層方向両側に配置された金型を用いてプレス加工することにより、当該積層素線の積層方向両側に、長手方向に連続する凹凸形状を形成する第二工程と、
前記第二工程後の前記積層素線の外周に、熱可塑性樹脂を用いた押出成形法で第二の絶縁層を形成する第三工程と、
前記第三工程後の前記第二の絶縁層を有する前記積層素線を、当該積層素線の積層方向両側に配置された金型を用いてプレス加工することにより、前記第二の絶縁層の前記積層素線の前記凹凸形状を有する面の外側となる面に、長手方向に連続する凹凸形状を形成する第四工程と、
を備えた平角ケーブルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平角ケーブルとこれを用いたコイル、および平角ケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電源用トランスには、小型化、低損失(低発熱)が求められている。特にモバイル機器用途の充電器については、小型化は勿論、急速充電化(高出力化)による発熱が問題となっている。
しかし、各メーカーは、トランスで使用する電線を低損失化する対策はとっておらず、トランスの温度を検知しながら電力をコントロールする充電方法を採用している。また、トランスの熱を放出させるために、放熱グリースの使用、シリコーンゴムの充填、シリコーン系シートの使用により、トランスを外側のケースに接触させた構造を採用している。
現在、トランスに使用されている電線は一般的な丸線(断面が丸形)であって、単線で、または複数本撚ったリッツ線として使用されている。リッツ線は丸線の単線よりも表皮効果が低減できるが、近接効果による損失量が大きくなる欠点がある。これに対して、断面が矩形である平角線は、表皮効果による電気抵抗の増加が抑制されるとともに、隙間無く並べることができるので、占積率が向上して低発熱化および小型化の点で有利である。
【0003】
特許文献1には、中心導体の外周にエナメル被膜が形成された複数のエナメル素線が、接合被膜を介して積層された積層素線と、積層素線の外周に接合被膜を介して巻きつけられた長尺物と、長尺物の外周に形成された絶縁被覆層と、絶縁被覆層の外周に形成された融着層と、を有する高周波用積層平角エナメル電線が記載されている。
特許文献2には、熱硬化性樹脂層により外周が被覆された平角導体を有する平角線が積層されてなる積層導体部と、積層導体部の外周を被覆する熱可塑性樹脂層とを有し、積層導体部の平角線同士が接着されていない、平角電線が記載されている。
つまり、特許文献1および2には、平角素線が複数積層されている積層素線と、積層素線の外周を被覆する絶縁層とを有し、平角素線は、平角導線の外周が絶縁層で被覆されたものである平角ケーブルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-86036号公報
【特許文献2】特開2019-75312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載された平角ケーブルは、曲げにくいため、直径が30mm以下の小径ボビンに巻きつけようとすると、巻き付けの際に外側に存在する平角素線が切断されるなどの不具合が生じる。
本発明の課題は、小径ボビンに対しても巻き付けし易い平角ケーブルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の平角ケーブルは、平角素線が複数積層されている積層素線と、前記積層素線の外周を被覆する絶縁層と、を有し、前記平角素線は、平角導線の外周が絶縁層で被覆されたものであり、前記積層素線は、積層方向の両面において、長手方向に連続する凹凸形状を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の平角ケーブルによれば、積層素線が長手方向に連続する凹凸形状を有するため、小径ボビンに対しても巻き付けし易いものとなることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態の平角ケーブルを示す平面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態の平角ケーブルの長手方向に平行な断面を示す図であって、
図1のA-A断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態の平角ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す図であって、
図1のB-B断面図である。
【
図4】
図1の平角ケーブルの製造方法を説明する図である。
【
図5】
図1の平角ケーブルを小径のボビンに巻きつけてコイルを形成する途中の状態を示す断面図である。
【
図6】本発明の第二実施形態の平角ケーブルを示す平面図である。
【
図7】本発明の第二実施形態の平角ケーブルの長手方向に平行な断面を示す図であって、
図6のA-A断面図である。
【
図8】本発明の第二実施形態の平角ケーブルの長手方向に垂直な断面を示す図であって、
図6のB-B断面図である。
【
図9】本発明の第三実施形態の平角ケーブルの長手方向に平行な断面を示す図である。
【
図10】本発明の第四実施形態の平角ケーブルの長手方向に平行な断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下に示す実施形態に限定されない。以下に示す実施形態では、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
〔第一実施形態〕
<平角ケーブルの構成>
図1は、この実施形態の平角ケーブル100の平面図であり、
図1のA-A断面を
図2に、
図1のB-B断面を
図3に示す。
図1~3に示すように、この実施形態の平角ケーブル100は、凹凸形状を有する積層素線1と、積層素線1の外周を被覆する絶縁層2とで構成されている。積層素線1は、三本(複数)の平角素線11が積層されたものである。平角素線11は、平角導線111の外周が絶縁層112で被覆されたものである。平角導線111を構成する材料は特に限定されず、一般的な材料(銅、銅合金、アルミニウム合金など)が使用できる。
【0010】
図2に示すように、積層素線1は、長手方向に連続する波形の凹凸形状を有する。積層素線1の外周を被覆する絶縁層2は、積層素線1の凹凸面の外側となる面に、長手方向に連続するパルス形の凹凸形状を有する。絶縁層2の連続パルス形状は、積層素線1の波形に対応しており、積層素線1の波形の凸部の外側に絶縁層2の凸部21が存在し、積層素線1の波形の凹部の外側に絶縁層2の凹部22が存在する。
図3に示すように、平角ケーブル100の長手方向に垂直な断面形状は四角形である。
また、平角導線111の厚さは例えば0.8mmで、絶縁層112の厚さは例えば0.03mmであり、積層素線1の側面は例えば厚さ0.1mmの絶縁層2で覆われ、上面および下面は最も薄いところでも一定厚さ(例えば0.1mm)以上の絶縁層2で覆われている。
【0011】
平角導線111の外周を被覆する絶縁層112は、熱硬化性樹脂で形成されている。以下、この絶縁層112を「第一の絶縁層」とも称する。
第一の絶縁層に使用可能な熱硬化性樹脂としては、電線又は巻線で通常用いられる熱硬化性樹脂であれば、特に制限されることなく用いることができる。例えば、ポリアミドイミド(PAI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエステルイミド(PEsI)、ポリウレタン(PU)、ポリエステル(PEst)、ポリベンゾイミダゾール、メラミン樹脂又はエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリウレタン又はポリエステルが好ましい。熱硬化性樹脂は、1種又は2種以上含有していてもよい。
【0012】
第一の絶縁層112は1種の熱硬化性樹脂で形成されていてもよいし、2種以上の熱硬化性樹脂で形成されていてもよい。
積層素線1の外周を被覆する絶縁層2は、熱可塑性樹脂で形成されている。以下、この絶縁層2を「第二の絶縁層」とも称する。
第二の絶縁層に使用可能な熱可塑性樹脂としては、電線又は巻線で通常用いられる熱可塑性樹脂であれば、特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリアミド(ナイロン)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE、変性ポリフェニレンエーテルを含む)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、超高分子量ポリエチレン等の汎用エンジニアリングプラスチックの他、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK、変性PEEKを含む)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、熱可塑性ポリイミド樹脂(TPI)、熱可塑性ポリアミドイミド(TPAI)、液晶ポリエステル等のスーパーエンジニアリングプラスチック、更に、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレンナフタレートをベース樹脂とするポリマーアロイ、ABS/ポリカーボネート、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル/ナイロン6,6、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン、ポリブチレンテレフタレート/ポリカーボネート等の上記エンジニアリングプラスチックを含むポリマーアロイが挙げられる。
【0013】
第二の絶縁層2は1種の熱可塑性樹脂で形成されていてもよいし、2種以上の熱可塑性樹脂で形成されていてもよい。
第二の絶縁層2が積層構造を有する場合、各層に最大含有量で含まれる樹脂成分は、互いに同じでも異なるものでもよい。
第二の絶縁層2は、電線又は巻線の被覆層として通常用いられる各種の添加剤を含有していてもよい。この場合、添加剤の含有量としては、特に限定されないが、樹脂成分100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
第二の絶縁層を形成する熱可塑性樹脂としては、ISO7619で規定された「デュロメーター測定法」で測定したA硬度で50°以下の硬さのものを用いると、曲げやすいため好ましい。
<平角ケーブルの製造方法>
第一実施形態の平角ケーブル100は、
図4に示す方法で製造することができる。
【0014】
この方法は、以下に示す第一工程乃至第四工程を備えている。
第一工程では、平角導線の外周が第一の絶縁層で被覆されている複数の平角素線11を、複数重ねて凹凸のない積層素線10を得る。
第二工程では、第一工程で得られた積層素線10を、積層素線10の積層方向両側に配置された金型4を用いてプレス加工することにより、積層素線10の積層方向両側に、長手方向に連続する凹凸形状を形成する。これにより得られた積層素線1は、平角素線11の積層方向両側に、長手方向に連続する凹凸形状を有する。
第三工程では、熱可塑性樹脂を用いた押出成形を行うことで、第二工程後の積層素線1の外周に、第二の絶縁層を形成する。具体的には、押出成形装置5の金型内に積層素線1を通過させながら、熱可塑性樹脂20を導入する。
【0015】
第四工程では、第三工程後の第二の絶縁層を有する積層素線を、積層素線の積層方向両側に配置された金型6を用いてプレス加工することにより、第二の絶縁層2の、積層素線1の凹凸形状を有する面の外側となる面に、長手方向に連続する凹凸形状を形成する。これにより、第一実施形態の平角ケーブル100が得られる。
<作用、効果>
第一実施形態の平角ケーブル100は、積層素線1が上述の凹凸形状を有するとともに、第二の絶縁層(積層素線1の外周を被覆する絶縁層)2が上述の凹凸形状を有するため、ボビン等の円周面に巻き付ける際に、凹凸面を円周面に向けて巻き付けることにより、平角ケーブル100の内側の面(円周面に向けている面)において、波形の積層素線1および第二の絶縁層の凹部22が縮み、外側の面において波形の積層素線1および第二の絶縁層の凹部22が開くことで、円周面に沿って変形し易いものとなっている。
【0016】
つまり、第一実施形態の平角ケーブル100は、積層素線および積層素線の外周を被覆する絶縁層が上述の凹凸形状を有さない平角ケーブルと比較して、小径ボビンに対して巻き付けし易いものである。その結果、平角ケーブル100を小径のボビンに巻いたコイルを得ることができるため、そのコイルをトランスで使用することにより、トランスの低発熱化および小型化に寄与することができる。
図5は、第一実施形態の平角ケーブル100を小径のボビン8に対して巻き付けてコイル9を形成する途中の状態を示している。
また、上述の製造方法は、積層素線および積層素線の外周を被覆する絶縁層が上述の凹凸形状を有さない平角ケーブルを製造する設備に、凹凸形成用のプレス装置を追加することで実施することができる。よって、上記実施形態の平角ケーブル100は、コスト上昇幅を抑えた方法で製造することができる。
〔第二実施形態〕
<平角ケーブルの構成>
図6は、この実施形態の平角ケーブル100Aの平面図であり、
図6のA-A断面を
図7に、
図6のB-B断面を
図8に示す。
【0017】
図6~8に示すように、この実施形態の平角ケーブル100Aは、凹凸形状を有する積層素線1と、積層素線1の外周を被覆する絶縁層2とで構成されている。積層素線1は、三本(複数)の平角素線11が積層されたものである。平角素線11は、平角導線111の外周が絶縁層112で被覆されたものである。平角導線111を構成する材料は特に限定されず、一般的な材料(銅、銅合金、アルミニウム合金など)が使用できる。
図7に示すように、積層素線1は、長手方向に連続する波形の凹凸形状を有する。積層素線1の外周を被覆する絶縁層2は、積層素線1の凹凸面の外側となる面に、長手方向に連続するパルス形の凹凸形状を有する。絶縁層2の連続パルス形状は、積層素線1の両凹凸面の外側となる両面の長手方向における同じ位置に凸部21または凹部22を設けた形状である。つまり、積層素線1の波形の凸部の外側に絶縁層2の凸部21が存在している部分と凹部22が存在している部分があり、積層素線1の波形の凹部の外側にも絶縁層2の凸部21が存在している部分と凹部22が存在している部分がある。
【0018】
図8に示すように、平角ケーブル100Aの長手方向に垂直な断面形状は四角形である。
第二実施形態の平角ケーブル100Aの構成は、上記以外の点は第一実施形態の平角ケーブル100と同じである。
第二実施形態の平角ケーブル100Aは、第四工程で上下の金型6の凸部同士を合わせること以外は第一実施形態と同じ方法で製造することができる。
第二実施形態の平角ケーブル100Aによれば、第一実施形態の平角ケーブル100と同じ作用、効果が得られる。
〔第三実施形態〕
図9に示すように、第三実施形態の平角ケーブル100Bでは、積層素線1の外周を被覆する絶縁層2が、積層素線1の波形の凹凸面に沿って略一定厚さに形成されている。
【0019】
第三実施形態の平角ケーブル100Bの構成は、上記の点以外は第一実施形態の平角ケーブル100と同じである。
第三実施形態の平角ケーブル100Bは、第一実施形態の第二工程後に、熱可塑性樹脂を押出し機からチューブ状に押し出しながら、そのチューブ状物に、波形の積層素線1を挿入する方法で製造することができる。
第三実施形態の平角ケーブル100Bによれば、第一実施形態の平角ケーブル100と同じ作用、効果が得られる。
〔第四実施形態〕
図10に示すように、第四実施形態の平角ケーブル100Cにおいて、積層素線1は、長手方向に連続するパルス形の凹凸形状を有する。積層素線1の外周を被覆する絶縁層2は、積層素線1の凹凸面の外側となる面に、長手方向に連続するパルス形の凹凸形状を有する。絶縁層2の連続パルス形状は、積層素線1のパルス形に対応しており、積層素線1のパルス形の凸部の外側に絶縁層2の凸部21が存在し、積層素線1のパルス形の凹部の外側に絶縁層2の凹部22が存在する。
【0020】
第四実施形態の平角ケーブル100Cの構成は、上記以外の点は第一実施形態の平角ケーブル100と同じである。
第四実施形態の平角ケーブル100Cは、第一工程で使用する上下の金型4の凸部の形状をパルス形に対応させたものとすること以外は、第一実施形態と同じ方法で製造することができる。
第四実施形態の平角ケーブル100Cによれば、第一実施形態の平角ケーブル100と同じ作用、効果が得られる。
〔その他〕
積層素線の外周を被覆する絶縁層には、凹凸形状が形成されていなくてもよい。その場合でも、積層素線が上述の凹凸形状を有することで、積層素線および積層素線の外周を被覆する絶縁層の両方が上述の凹凸形状を有さない平角ケーブルと比較して、小径ボビンに対して巻き付けし易いものとなる。
【符号の説明】
【0021】
100 平角ケーブル
100A 平角ケーブル
100B 平角ケーブル
100C 平角ケーブル
1 積層素線
10 凹凸のない積層素線
11 平角素線
111 平角導線
112 平角素線の外周を被覆する絶縁層(第一の絶縁層)
2 積層素線の外周を被覆する絶縁層(第二の絶縁層)
20 熱可塑性樹脂
21 第二の絶縁層の凸部
22 第二の絶縁層の凹部
4 第二工程で使用する積層素線の積層方向両側に配置された金型
5 第三工程で使用する押出成形装置
6 第四工程で使用する積層素線の積層方向両側に配置された金型