(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143328
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】物品搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 17/12 20060101AFI20230928BHJP
A47J 37/12 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
B65G17/12 A
A47J37/12 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022050647
(22)【出願日】2022-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】早川 光治
(72)【発明者】
【氏名】大原 良介
(72)【発明者】
【氏名】望月 孝次郎
(72)【発明者】
【氏名】鹿子木 晋一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大地
【テーマコード(参考)】
3F034
4B059
【Fターム(参考)】
3F034DA05
3F034DB02
3F034DB07
3F034EA05
4B059AA01
4B059AB01
4B059AC04
4B059AC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】処理槽を搬送するため等に利用可能な物品搬送装置において、当該処理時間を容易に変更できる物品搬送装置を開発することを課題とする。
【解決手段】無端状のコンベアチェーンを装着しつつ、下方側の搬送経路と上方側の搬送経路を形成させつつ、下方側及び上方側の搬送経路を規定するスプロケットをスライド移動可能とすることによって当該下方側の搬送経路の距離を変化させるタイプとする。さらにコンベアチェーンの下方側の搬送経路が通過する処理槽を設けた物品処理装置としてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平方向にスライド移動可能な一対の第一スプロケットと、
前記第一スプロケットよりも上方に位置し、スライド移動可能な一対の第二スプロケットと、
前記第一スプロケットと第二スプロケットに巻きかけられる一対の無端状のコンベアチェーンと、
前記一対の無端状コンベアチェーンの下方側及び上方側の搬送経路を形成するためにコンベアチェーンの搬送経路を規制する複数の一対の中間スプロケットと、
前記一対の無端状のコンベアチェーンを駆動するためのいずれかのスプロケットに連結される駆動装置と、
前記コンベアチェーン間に所定間隔を経て連続的に装着される物品収納枠と、
を備えた物品搬送装置。
【請求項2】
前記物品収納枠が食品収納用である請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の物品搬送装置に対して、当該物品搬送装置のコンベアチェーンの下方側の搬送経路が通過する処理槽をさらに設けた、物品処理装置。
【請求項4】
前記第一スプロケット及び前記第二スプロケットを移動させるための移動装置を備えた請求項3に記載の物品処理装置。
【請求項5】
前記処理槽が茹で槽である請求項3又は4に記載の物品処理装置。
【請求項6】
前記処理槽内において、当該処理槽内を幅方向に横断する複数の脱着可能な流体供給管を装着した請求項3~5のいずれかに記載の物品処理装置。
【請求項7】
前記コンベアチェーンに対して下方より支持する複数の支持レールであって、第一スプロケット又は第二スプロケットのスライド時に退避可能な複数の支持レールを装着した請求項3~6のいずれかに記載の物品処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のコンベアチェーンを装着し、上側搬送経路と下側搬送経路を有する物品搬送装置において、上側搬送経路と下側搬送経路の搬送距離を調整可能な物品搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品等の物品を処理するために利用されるコンベア装置においては、一対の無端状のコンベアチェーンを一方のコンベア端となる一対のスプロケットと、他方のコンベア端となる一対のスプロケットに巻きかけて、コンベアチェーン間に食品を収納するための枠体を装着したタイプを利用するのが一般的である。
例えば、当該タイプの物品搬送装置として、先行技術文献1の技術が開示されている。当該特許文献1では、処理槽内にコンベアチェーンの搬送領域の一部が存在するように構成することで、当該食品(物品)の処理を実施するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-7155号 一方、食品等の物品を処理するための時間を調整するために、処理槽内における搬送距離を簡便に調整することができれば便利である。一方、このようなタイプの搬送装置は開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者らは処理槽を搬送するため等に利用可能な物品搬送装置において、当該処理時間を容易に変更できる物品搬送装置を開発することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らの鋭意研究の結果、上述の課題を解決するために、物品搬送装置において、無端状のコンベアチェーンを装着しつつ、下方側の搬送経路と上方側の搬送経路を形成させつつ、下方側及び上方側の搬送経路を規定するスプロケットをスライド移動可能とすることによって当該下方側の搬送経路の距離を変化させるタイプとすることが有効であることを見出した。
【0006】
すなわち、本願第一の発明は、
“略水平方向にスライド移動可能な一対の第一スプロケットと、
前記第一スプロケットよりも上方に位置し、スライド移動可能な一対の第二スプロケットと、
前記第一スプロケットと第二スプロケットに巻きかけられる一対の無端状のコンベアチェーンと、
前記一対の無端状コンベアチェーンの下方側及び上方側の搬送経路を形成するためにコンベアチェーンの搬送経路を規制する複数の一対の中間スプロケットと、
前記一対の無端状のコンベアチェーンを駆動するためのいずれかのスプロケットに連結される駆動装置と、
前記コンベアチェーン間に所定間隔を経て連続的に装着される物品収納枠と、
を備えた物品搬送装置。“、である。
【0007】
次に、前記物品収納枠は、食品収納用の物品枠であることが可能である。すなわち、本願第二の発明は、
“前記物品収納枠が食品収納用である請求項1に記載の物品搬送装置。”、である。
【0008】
次に、本発明においては、さらにコンベアチェーンの下方側の搬送経路が通過する処理槽を設けた物品処理装置も意図している。
すなわち、本願第三の発明は、
“請求項1又は2に記載の物品搬送装置に対して、当該物品搬送装置のコンベアチェーンの下方側の搬送経路が通過する処理槽をさらに設けた物品処理装置。”、である。
【0009】
次に、前記の第一スプロケット及び第二スプロケットを移動させるための移動装置を備えるタイプが好ましい。すなわち、本願第四の発明は、
“前記第一スプロケット及び前記第二スプロケットを移動させるための移動装置を備えた請求項3に記載の物品処理装置。”、である。
【0010】
次に、前記処理槽は、食品を茹でる茹で槽であることも可能である。
すなわち、本願第五の発明は、
“前記処理槽が茹で槽である請求項3又は4に記載の物品処理装置。”、である。
【0011】
次に、前記処理槽内においては、処理の促進のため、バブリング等のための流体供給のために処理槽内を幅方向に横断する方向(コンベア搬送方向に交差する方向)に装着される脱着可能な流体供給管を装着することが好ましい。
すなわち、本願第六の発明は、
“前記処理槽内において、当該処理槽内を幅方向に横断する複数の脱着可能な流体供給管を装着した請求項3~5のいずれかに記載の物品処理装置。”、である。
【0012】
次に、前記コンベア装置においては、コンベアチェーンに対して下方より支持する複数の支持レールであって、第一スプロケット又は第二スプロケットの移動時においてコンベアチェーンに対して下方より支持する複数の支持レールであって、第一スプロケット又は第二スプロケットのスライド移動時に退避可能な複数の支持レールを装着することが好ましい。
すなわち、本願第七の発明は、
“前記コンベアチェーンに対して下方より支持する複数の支持レールであって、第一スプロケット又は第二スプロケットのスライド時に退避可能な複数の支持レールを装着した請求項3~6のいずれかに記載の物品処理装置。”、である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の物品搬送処理装置を利用することで、当該物品搬送装置を処理槽内における処理に利用した場合に、処理時間を簡便に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一の実施態様の物品処理装置(物品搬送装置及び処理槽)の断面模式図である。
【
図2】
図1において第一スプロケット及び第二スプロケットを移動した場合の第一の実施態様の物品処理装置の断面模式図である。
【
図3】第一の実施態様の物品処理装置の処理槽部分の斜視透視図である。
【
図5】(a)物品収納枠の斜視図である。(b)物品収納の状態と物品排出の状態を示した斜視模式図である。
【
図6】
図1における処理槽内の幅方向の断面図である。
【
図7】(a)処理槽から突出した孔部に挿入された流体供給管を示した正面図である (b)ヘルール継手の脱着状態を示した正面図である。
【
図9】(a)二本の流体供給管を係合させた状態の正面図である。 (b) (a)の中央部付近を拡大した正面図である。
【
図10】二本の流体供給管を螺合させた場合の拡大図である。
【
図11】固定式の支持レールを示した斜視図である。
【
図12】(a)可動式支持レールの退避状態の斜視図である。 (b)可動式支持レールのチェーン支持状態の斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 第一スプロケット
3 第二スプロケット
5 物品収納枠
7 第一移動ユニット
9 第一移動ユニット用レール
11 第一移動ユニット用コンベアチェーン
13 第一移動ユニット用スプロケット
15 第二移動ユニット
17 第二移動ユニット用レール
19 第二移動ユニット用コンベアチェーン
21 第二移動ユニット用スプロケット
23 コンベアチェーン
25 第一中間スプロケット
27 第二中間スプロケット
29 第三中間スプロケット
31 第四中間スプロケット
33 第五中間スプロケット
35 第六中間スプロケット
37 流体供給管
39 突出する孔部(突出孔部)
41 孔部
43 ヘルール継手
45 ガスケット
47 クランプバンド
51 固定式の支持レール
53 可動式支持レール
55 シュート
100 物品搬送装置
150 処理槽
200 物品処理装置
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第一の実施態様の物品搬送装置及び処理槽を含む物品処理装置の全体の断面図を示したものである。
次に、
図2は、
図1における第一スプロケット及び第二スプロケットを移動させた場合の本発明の第一の実施態様の物品搬送装置100及び処理槽150を含む物品処理装置200の全体の断面図を示したものである。
【0017】
次に、
図3は本発明の第一の実施態様の物品搬送装置100及び処理槽150を含む物品処理装置200の処理槽部分の斜視透視図であり、特定の部材のみ示している。次に、
図4は
図3におけるAA´の断面模式図である。
【0018】
以下、本発明の第一の実施態様の物品搬送装置100及び物品処理装置200についての各構成について説明する。
【0019】
─物品搬送装置─
本発明にいう物品搬送装置100とは、食品等の物品を搬送するための装置をいう特に、食品等の物品を所定の処理槽内を通過させて処理するために好適に利用可能である。
例えば、食品等の物品を所定時間加熱することが必要な場合に、当該物品搬送装置100の物品収納枠に食品等を収納した後、当該物品を収納した物品収納枠5を加熱処理槽内で、所定時間、処理槽を搬送させて処理槽150を退出後に、物品収納枠5から食品等の物品を排出するようなタイプが挙げられる。
尚、本発明にいう物品処理装置200とは上記の物品搬送装置100に対してさらに処理槽150を追加した構成をいうものとする。
【0020】
─略水平方向にスライド移動可能な一対の第一スプロケット─
本発明の物品搬送装置100の第一実施態様における第一スプロケット3は、一方のコンベア端を規定するとともに、略水平方向に移動可能となっている。
図1に示す第一の実施態様においては、第一スプロケット3はスライド移動可能な第一移動ユニット7の下方部に装着されており、当該第一移動ユニット7は、第一移動ユニット用レール9の上に載置されており、必要に応じて当該レール9上を左右にスライドできるように構成されている。
【0021】
また、当該第一移動ユニット7においてはそのスライドのために、第一移動ユニットの枠体の前後には、第一移動ユニット用コンベアチェーン11が連結されており、当該コンベアチェーン11はその上部に設けられた複数の第一移動ユニット用スプロケット13に巻きかけられており、スプロケット13のいずれかを駆動することで第一移動ユニット7を移動することができるように構成されている。
尚、このようなスプロケット13を移動させるための移動装置については、必ずしも必須ではなく、例えば、手動で動かしてネジ等によってその位置を固定する態様であっても可能である。
【0022】
─スライド移動可能な第二スプロケット─
本発明の第一の実施態様における第二スプロケット3は、前記第一スプロケット1よりも上方に位置するとともに、他方のコンベア端を規定するとともに、略水平方向に移動可能となっている。
図1に示す第一の実施態様においては、前記第一スプロケット1よりも上方に位置することによって、第一スプロケット1を含む下側搬送経路と、第二スプロケット3を含む上側搬送経路を形成している。
【0023】
また、第二スプロケット3はスライド移動可能な第二移動ユニット15の中央部に装着されており、当該第二移動ユニット15は、第二移動ユニット用レール17の上に載置されており、必要に応じて当該レール17上を左右にスライドできるように構成されている。
【0024】
また、当該第二移動ユニット15においてはそのスライドのために、第二移動ユニットの枠体の前後には、第二移動ユニット用コンベアチェーン19が連結されており、当該コンベアチェーン19はその上部に設けられた複数の第二移動ユニット用のスプロケット21に巻きかけられており、スプロケット21のいずれかを駆動することで第二移動ユニット15を移動することができるように構成されている。
尚、このようなスプロケット21を移動させるための移動装置については、必ずしも必須ではなく、例えば、手動で動かしてネジ等によってその位置を固定する態様であっても可能である。
【0025】
─一対の無端状コンベアチェーンの下方側及び上方側の搬送経路を形成するためにコンベアチェーンの搬送経路を規制する複数の一対の中間スプロケット─
本発明においては、上述の下側搬送経路と上側搬送経路を形成するために、コンベアチェーン23の搬送方向を規定するための複数の一対のスプロケットが必要となる。
本発明の第一の実施態様においては、
図1及び
図2に示すように第一スプロケット1及び第二スプロケット3以外にまず、下側搬送経路を上方に変更するための第一中間スプロケット25、上方に移動した後に水平方向に変更するための第二中間スプロケット27が設けられている。さらに、第三中間スプロケット29が設けられており第二中間スプロケット27と協働してコンベアチェーン23の搬送方向を規定している。また、当該第三中間スプロケット29は駆動スプロケットにもなっており、所定の動力部からの回転力をコンベアチェーン23に伝達するように設けられている。
【0026】
尚、駆動スプロケットについては、本実施態様においては第三中間スプロケット29の例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば、第一スプロケット1でもよいし、他のスプロケットでもよいことは勿論である。
【0027】
次に、コンベアチェーン23は第二スプロケット3で上側搬送経路を形成するように反転してから第四中間スプロケット31が設けられており、先の駆動スプロケットでもある第三中間スプロケット29と協働してコンベアチェーン23の搬送方向を規定している。
さらに、第五中間スプロケット33を通過後にコンベアチェーン23は下方向に移動して、第六中間スプロケット35によって水平方向に搬送の向きを変えることで下側搬送経路に移る。
【0028】
─コンベアチェーン間に所定間隔を経て連続的に装着される物品収納枠─
前記コンベアチェーン23の間には、物品収納枠5が装着されており、所定の物品を搬送できるように構成されている。また、当該物品収納枠5は、通液性を有するステンレス製の網目構造によって構成されており、9列の収納部位を有している。
【0029】
本発明の第一の実施態様においては、
図5(a)に示すような物品収納枠5がコンベアチェーン23に連結されて設けられており、
図1の物品供給装置100の上方から食品(麺線群)を受入れ(
図5(b))、
図1の第三中間スプロケット29の右付近で反転して下方に排出する態様を示している。
【0030】
但し、物品収納枠5の物品の収納・排出の態様は上記に限定されるものではなく種々の方法が可能である。尚、物品収納枠5はコンベアチェーン23において等間隔に装着するのが一般的である。
図1及び
図2においては、便宜上、物品収納枠5の一部のみを示している。
【0031】
─第一スプロケット及び第二スプロケットのスライド移動─
本発明においては、第一スプロケット1及び/又は第二スプロケット3をスライド移動させることで、物品搬送装置100の下側搬送経路が処理槽150を搬送する距離を短くすることができる。すなわち、物品を処理槽150で処理する場合においては、対象となる物品の種類や大きさ等に応じて処理時間を変える必要がある場合がある。特に、処理の対象となる物品が供給されてくる速度が変わらない場合には、この必要性が大きい。
【0032】
このような場合、第一スプロケット1を
図1に示す紙面右側に移動するとともに、第二スプロケット3も同様に紙面右側に移動することで処理槽における搬送距離を短くすることができ、対象物の処理時間を短くすることができる。例えば対象となる物品が食品の場合、食品の種類や大きさによって処理時間を変える必要があるがこのようなニーズに無理なく対応することができる。
【0033】
より具体的には、
図1に示すように茹で処理の対象として生麺の場合、当該生麺は麺の太さや量によってその茹で時間を変える必要がある場合がある。通常厚みが太めの生麺は長めの時間、細めの生麺は短めの時間茹で処理を行う必要があるため、厚みの生麺の場合には第一スプロケット1及び第二スプロケット3を
図1に示すように茹で槽150を搬送する距離が長くなるように設定しておき、細めの生麺の場合には、第一スプロケット及び第二スプロケットを
図2に示すように茹で槽150を搬送する短くなるように設定することが好適である。
【0034】
尚、
図1に示すように品種等によって処理時間を変えるために第一スプロケット1及び第二スプロケット3を
図1、
図2に示すように移動装置を利用して移動する場合には、位置のズレを防ぐため両方の移動装置の動力部が同期して作動するようにしておくことが好ましい。
【0035】
また、上記のような場合以外においても処理対象となる物品の種類によってコンベアチェーン23の長さが異なる場合やコンベアチェーン23に連結される物品収納枠5の連結のピッチ(間隔)が変わる場合等においても第一スプロケット1及び第二スプロケット3の位置を変えることで対応することが可能となる。
【0036】
─処理槽─
本発明における処理槽150は幅方向と長さ方向を有するタイプである。前記物品搬送装置100が当該処理槽内において、長さ方向の向きに搬送されるように構成される。本発明における処理槽150とは、
図1及び
図2に示すように物品収納枠5に収納される物品に対して何らかの処理を施すための槽であれば特に用途は問わない。但し、本発明においては処理対象の物品として食品を利用するのが好適である。
【0037】
具体的には、食品を茹で処理する場合の茹で槽、食品をフライ処理する場合のフライ処理槽等が挙げられる。また、処理槽を密閉系として蒸気加熱するような場合にも加熱処理槽として利用することができる。また処理槽150は必ずしもお湯やフライオイルのみではなく、蒸気による蒸しのための蒸し槽としてや、気流による乾燥に利用して、乾燥処理槽と利用することも好適である。
【0038】
例えば、
図1には食品を茹でる態様を示しているが、
図1に示すように茹でる対象となる食品(例えば、生麺)を物品収納枠5に収容し、当該物品収納枠5を茹で槽内を通過させて、所定時間通過させている間に食品を茹で処理し、茹で槽内を退出した後に、当該収納枠から食品を排出するようなタイプが挙げられる。
また、
図1の場合においては、上部から供給される生麺を物品収納枠5に収納し、茹で槽100を搬送することによって当該生麺の茹で処理を行い、茹で処理後に物品収納枠5を反転させて茹で後の麺を排出する態様を示している。
【0039】
─当該処理槽内を幅方向に横断する複数の脱着可能な流体供給管を装着する─
本発明においては、処理槽内に処理中の対象となる物品(特に食品)の分散を促して効率的に処理することが好ましい場合がある。このため、例えば処理中に処理槽内に蒸気や気流等の流体を供給しバブリング等を行うことによって、その処理を促進させることも好ましい。
【0040】
そこで、本発明においても物品(特に食品)を加熱処理するための処理槽において、容易に脱着が可能な流体供給管37を備えることができる。
また、当該流体供給管37は、
図1~
図4に示すように前記処理槽150内を幅方向に横断する複数の脱着可能な流体供給管37を設けることが好ましい。
【0041】
─流体供給管─
本発明における流体供給管37とは、前記処理槽100内において当該処理中に処理中の対象となる物品(特に食品)の分散を促して効率的に処理するために流体を供給するための管である。例えば、茹で処理の場合においては、処理中に処理槽150内に蒸気やお湯等の流体を供給し、バブリングや撹拌等を促すことで、その処理を促進させることができる。
【0042】
対象となる食品が麺線群の場合、蒸気バブリング等によって麺線同士の結着を回避したり、撹拌を可能とすることができ、茹で効率が向上する。尚、
図1及び
図2には、処理槽150に流体供給管37を装着した態様を示している。
また、フライ処理装置であれば、フライ処理中にバブリングや撹拌等を促すことで、その処理を促進させることができる。例えば、ポテトチップ等のフライ菓子の製造の場合に有効に利用することができる。
【0043】
次に、本発明の流体供給管37は
図6に示すように処理槽150の外側より挿入及び引抜されるタイプを好適に利用することができる。尚、
図6は
図1における処理槽内の断面図を示している。
【0044】
流体供給管の装着方法としては種々可能であるが、外側より挿入するタイプとすることで処理槽150の内部のスペースを有効に利用することができるとともに、流体供給管37の脱着が容易であるというメリットを有する。さらに、清掃性が向上するとともに、使用する流体が蒸気の場合においては、蒸気を使用する箇所の限定化しやすいとい利点も有する。
【0045】
本発明の第一の実施態様においては、
図6に示すように処理槽150の外側に突出する孔部(突出孔部)39を設け、当該突出孔部39に挿入するタイプが開示されている。
次に、流体供給管37は種々の流体供給装置に連結することができる。当該流体供給装置は蒸気発生装置、気体供給装置や液体供給装置等の種々の流体を供給する装置が可能である。
【0046】
─流体─
本発明において供給される流体は種々が可能である。例えば、処理槽150が茹で処理のためのものであれば、蒸気、お湯等の流体が可能である。また、フライ油を含むフライ槽の場合にはフライ油も想定される。その他、空気、窒素やアルゴン等気体を高温にしてこれを供給する流体としてもよい。
【0047】
─流体供給管に設けられる孔部─
前記流体供給管には複数の孔部41を設けられており、当該孔部41より流体が供給される。孔部41のサイズや個数は特に限定されるものではないが、例えば、物品処理槽が茹で槽の場合であって、バブリング等のための蒸気を供給するタイプであると概ね0.5~5.0mm程度の孔部が好適である。また、孔部41の形状は円又は楕円等種々が可能である。
【0048】
─脱着可能─
本発明の流体供給管37はその脱着が容易なタイプである。脱着の方法としては種々の方法が可能である。また、処理槽150にお湯等の液体を利用する場合には処理液の漏れを防止する必要がある。
【0049】
具体的には、フランジ継手、ねじ込み継手やヘルール継手等の方法があるがこれらいずれも可能である。
図1及び
図2に示す本願第一の実施態様においては、ヘルールタイプの継手を利用するタイプを開示している。
【0050】
すなわち、
図7(a)及び(b)に示すように流体供給管に装着されたヘルール継手43と物品処理槽150の外側に突出する孔部39の端部のヘルール継手43に対してガスケット45を介して密着させ、クランプバンド47で締め込むタイプを開示している。本発明においては、ヘルール継手43の場合、装着・脱着が簡単であるため、好ましい。
【0051】
─流体供給管が二分割されており、前記処理槽の幅方向の外側の両側より一方づつ挿入され、槽内において係合するタイプ─
本願発明においては、以下の
図8のように一本の流体供給管37であってもよい。
【0052】
また、流体供給管37について内部が中空であり二分割され、処理槽150の幅方向に対立する側壁部の外側の両側から挿入し、処理槽150内において係合するタイプとすることも好ましい(
図9)。まず、二分割するとともに両側からの挿入タイプとすることで、流体供給37管の長さを短くすることができ、挿入の作業時において障害物に引っかかったりせず、流体供給管37の挿入のための作業スペースの確保がしやすい。
【0053】
また、係合のタイプのついては、種々が可能であるが、本発明の第一態様においては
図9(a)、(b)に示すように中央部で係合するタイプを示している。係合の態様についてはあらゆるタイプが可能である。尚、このような係合タイプにおいては、係合する先端領域が中空では無い状態とすることも可能である。
尚、上記の形態の場合、それぞれの流体供給管37の開口端部より供給したい流体を供給することとなる。
但し、本願発明は、
図10に示すような係合タイプに限定されず、例えば、
図7に示すように螺合するタイプも勿論、可能である。
【0054】
─コンベアチェーンの支持レール─
本発明においては物品搬送装置100のコンベアチェーン23の揺動を防止するために、当該コンベアチェーン23の下部にチェーンを支持する支持レールを設けることが好ましい。例えば、通常、
図11のように処理槽の側面部等にコンベアチェーンの下方に固定式支持レール51として装着する方法がある。
【0055】
一方、
図1、
図2に示す態様の場合のように第一スプロケット1を移動することが可能な場合、当該第一スプロケット1の移動の際に、支持レールが移動の妨げとなる場合がある。このような場合には
図12に示すように支持レールが出入することが可能な可動支持レール53のタイプにしておくことが好ましい。
【0056】
すなわち、当該可動支持レール53の場合、第一スプロケット1が移動する場合には、支持レールが第一スプロケット1の移動の妨げにならないように退避した状態とし(
図12(a))、スプロケットが移動しない場合には、支持レールがコンベアチェーンの下に存在して支持できる状態とすることができる(
図12(b))。
【0057】
特に、
図1、2に示す態様の場合、処理槽150内における下側搬送経路のうち、コンベアチェーン23の上部側の搬送経路に対する支持レールは第一スプロケットの移動に伴いその移動の妨げとなるため、上述の
図12の可動式の支持レール53となっている。一方、処理槽内の下側搬送経路のうち、コンベアチェーンの下部側の搬送経路の支持レールについては、スプロケットが移動してもその移動の妨げにはならないため、
図11の固定式の支持レール51が設けられている。
【0058】
─
図1及び
図2の物品処理装置を利用した場合の物品(食品)の搬送手順─
図1に示される物品処理装置については、処置対象として麺線群を想定している。物品収納枠5は一対のコンベアチェーンに23その両端が連結されており、
図1の矢印方向に循環している。
【0059】
まず、第六中間スプロケット35を通過した空の物品収納枠5は茹で槽150内に入るとともに、
図5(b)の上図に示すように上部から食品(生麺)を9列分個別に供給される。物品収納枠5は上部に回転式のフタを有しており、生麺の供給後に当該フタがかぶさる。
【0060】
次に茹で槽内において、熱湯に浸漬した状態で搬送される。搬送される間は下方に装着された複数の流体供給管37からの蒸気によるバブリングを受けながら搬送される。当該バブリングによって物品収納枠37中の麺線群は攪拌されるために、生麺同士の結着が防がれながら、麺の茹で処理が効率的に行われる。
【0061】
次に、第一スプロケット1によって当該物品収納枠5は下方に移動するとともに反転して茹で槽中で完全に浸漬した状態で搬送される。また、当該搬送中においても下方に装着された流体供給管37からの蒸気によるバブリングを受けながら搬送される。当該バブリングによって物品収納枠中の麺線群は攪拌されるために、麺の茹で処理が効率的に行われる。
【0062】
生麺を収納した物品収納枠5は、第一中間スプロケット25で上方に移動し、茹で槽から脱出し、第二中間スプロケット27で略水平方向への移動となり、その後物品収納枠は
図5(b)の下図に示すように反転し、内部の茹で後の麺は、シュート55を通じて、別に準備されたコンベア装置に移載され、所定の工程に運ばれる。
【0063】
一方、麺線群を排出後の空の物品収納枠5は水平方向に搬送された後、第二スプロケット3において上方に移動するとともに反転してフタが開いた状態で水平方向に搬送される。第四中間スプロケット31及び第五中間スプロケット33を通過して下方に移動し、第六中間スプロケット35において略水平方向の移動となる。
【0064】
次に
図2に示される物品処理装置100については、
図1の場合と比べて、第一スプロケット1が紙面右側に所定距離スライド移動しており、同時に第二スプロケット3も所定距離スライド移動している。この移動によって処理槽(茹で槽)150内における物品収納枠5の搬送距離が短くなっており、茹で処理の時間が短くなるように設定されている。このように茹で時間を変更することが可能となる。
【0065】
また、この場合、第一スプロケット1を
図1の紙面右側(処理槽の中央方向側)に移動させることになるが、このためには第一スプロケット1が移動する範囲において処理槽内の上方側の流体供給管37を取り外す必要がある。本発明においては上述のような脱着式の流体供給管37を利用しているため、脱着を容易に実施することができる。
さらに、処理槽内の上方側の可動式支持レール53ついても第一スプロケット1が移動する範囲において
図12(a)に示す退避状態とすることができる。