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特開2023-143716基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
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  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図1
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図2
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図3
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図4
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図5
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図6
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図7
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図8A
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図8B
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図9
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図10
  • 特開-基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143716
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/268 20060101AFI20230928BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 21/31 20060101ALN20230928BHJP
【FI】
H01L21/268 Z
H01L21/68 N
H01L21/31 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010521
(22)【出願日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2022049018
(32)【優先日】2022-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 克彦
(72)【発明者】
【氏名】西堂 周平
(72)【発明者】
【氏名】中川 崇
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 愛彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 伸也
(72)【発明者】
【氏名】道田 典明
【テーマコード(参考)】
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F045AB31
5F045AB39
5F045BB17
5F045DQ10
5F045DQ17
5F045EK01
5F045HA16
5F131AA02
5F131BA24
5F131BB03
5F131BB14
5F131DA22
5F131DA42
5F131EC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】熱処理による面内温度の不均一な基板の反りや割れを防止する基板処理装置及びプログラム並びに半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置は、基板保持部217に保持される複数の基板200を処理する処理室201と、処理室内に電磁波を供給する電磁波発生器655-1、655-2と、複数の基板が保持される間隔に合うように設けられた複数のガス供給口から、複数の基板間に冷却ガスを供給するガス供給部105と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板保持部に保持される複数の基板を処理する処理室と、
前記処理室内に電磁波を供給する電磁波発生器と、
前記複数の基板が保持される間隔に合うように設けられた複数のガス供給口から、前記複数の基板間に冷却ガスを供給するガス供給部と、
を備える基板処理装置。
【請求項2】
前記複数のガス供給口の数は、前記複数の基板の数と同数である請求項1の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数のガス供給口は、前記基板の中心からエッジ方向にずれた方向に向けて前記冷却ガスを供給するように開口している請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記冷却ガスの流速は、0.2m/s以上、40.0m/s以下である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記冷却ガスの流量は、1slm以上、50slm以下である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数のガス供給口の径は、0.2mm以上、5.0mm以下である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記電磁波発生器が発生する電磁波のON/OFFを制御することが可能なよう構成される制御部を備える請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板保持部に保持される基板を回転させる回転機構を備え、
前記制御部は、前記回転機構を制御することが可能なよう構成される請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記電磁波のON/OFFのサイクルと前記基板の回転とが非同期となるように前記電磁波発生器と前記回転機構とを制御することが可能なよう構成される請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記電磁波発生器は、前記処理室の側壁に設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記電磁波は、マイクロ波である請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記複数のガス供給口は、前記基板が保持される方向に設けられる請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項13】
基板保持部に保持される複数の基板を処理する処理室と、前記処理室内に電磁波を供給する電磁波発生器と、前記複数の基板が保持される間隔に合うように設けられた複数のガス供給口から、前記複数の基板間に冷却ガスを供給するガス供給部と、を備える基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する工程と、
前記基板を処理する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記基板を処理する工程では、前記冷却ガスを供給する請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記基板を処理する工程では、前記基板の中心からエッジ方向にずれた方向に前記冷却ガスを供給する請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記基板を処理する工程では、前記冷却ガスの流速は、0.2m/s以上、40.0m/s以下である、または前記冷却ガスの流量は、1slm以上、50slm以下である請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
基板保持部に保持される複数の基板を処理する処理室と、前記処理室内に電磁波を供給する電磁波発生器と、前記複数の基板が保持される間隔に合うように設けられた複数のガス供給口から、前記複数の基板間に冷却ガスを供給するガス供給部と、を備える基板処理装置の前記処理室に前記基板を搬入する手順と、
前記基板を処理する手順と、
を前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項18】
前記基板を処理する工程では、前記冷却ガスを供給する請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記基板を処理する工程では、前記基板の中心からエッジ方向にずれた方向に前記冷却ガスを供給する請求項17に記載のプログラム。
【請求項20】
前記基板を処理する工程では、前記冷却ガスの流速は、0.2m/s以上、40.0m/s以下である、または前記冷却ガスの流量は、1slm以上、50slm以下である請求項17に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、半導体装置の製造方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、加熱装置を用いて処理室内の基板を加熱し、基板の表面に成膜された薄膜中の組成や結晶構造を変化させたり、成膜された薄膜内の結晶欠陥等を修復したりするアニール処理に代表される改質処理がある。近年の半導体デバイスにおいては、微細化、高集積化が著しくなっており、これに伴い、高いアスペクト比を有するパターンが形成された高密度の基板への改質処理が求められている。このような高密度基板への改質処理方法として例えば特許文献1に見るような電磁波を用いた熱処理方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-070045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁波を用いた処理では、熱処理により半導体基板の面内温度の不均一による基板の反りや割れが発生する場合がある。
【0005】
本開示は、熱処理による基板反りや割れを防止することが可能となる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、基板保持部に保持される複数の基板を処理する処理室と、前記処理室内に電磁波を供給する電磁波発生器と、前記複数の基板が保持される間隔に合うように設けられた複数のガス供給口から、前記複数の基板間に冷却ガスを供給するガス供給部と、を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、熱処理による基板の反りや割れを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉部分を縦断面図で示した概略構成図。
図2】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の概略構成を処理炉の位置で示した縦断面図。
図3】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の断面構成を示した横断面図。
図4】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図。
図5】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置の熱こもりを説明するための図。
図6】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置ノズルの穴間隔、穴数、穴径、実施例を説明するための図。
図7】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置ノズルの基板への吹き出し方向変化の結果を示す図。
図8A】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置複数本のノズル設置の実施例を説明するための図。
図8B】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置ノズルのホットスポットへの吹き出し制御を示す図。
図9】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理のフローの一例を示す図。
図10】本開示の実施形態で好適に用いられるサーモカメラを付加した基板処理装置の一例を示す図。
図11】本開示の実施形態で好適に用いられる基板処理装置のシミュレーション結果の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図1図11を参照しながら説明する。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
以下、図面に従い、本開示の実施形態について説明する。
【0011】
(1)基板処理装置の構成
本開示の実施形態に係る基板処理装置は、複数枚のウエハに各種の熱処理を施す枚葉式熱処理装置として構成されており、後述する電磁波を用いたアニール処理(すなわち、改質処理)を行う装置として説明を行う。本実施例における基板処理装置では、基板としてのウエハを処理室内部に収容した収納容器(キャリア)としてFOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドと称する)が使用される。ポッドは、ウエハを種々の基板処理装置間を搬送する為の搬送容器としても用いられる。
【0012】
図1図2および図3に示すように、基板処理装置100は、ウエハ200を搬送する搬送室203を内部に有する搬送筐体202と、搬送筐体202の側壁に設けられ、ウエハ200を処理する処理室201-1、201-2をそれぞれ内部に有する後述する処理容器としてのケース102-1、102-2を備えている。また、処理室201-1、201-2の間には、冷却室204を形成する冷却ケース109が設けられている。
【0013】
搬送筐体202の前側である図2の向かって右側(図3の向かって下側)には、ポッド110の蓋を開閉し、ウエハ200を搬送室203に搬入・搬出するための、ポッド開閉機構としてのロードポートユニット(LP)106が配置されている。ロードポートユニット106は、筐体106aと、ステージ106bと、オープナ106cとを備え、ステージ106bは、ポッド110を載置し、搬送室203の筐体前方に形成された基板搬入搬出口134にポッド110を近接させるように構成され、オープナ106cによってポッド110に設けられている図示しない蓋を開閉させる。また、ロードポートユニット106は、ポッド110内部をNガス等のパージガスでパージする可能な機能を有していてもよい。また、搬送筐体202は、搬送室203内にパージガスを循環させるための後述するパージガス循環構造を有している。
【0014】
搬送筐体202の後側である図2の向かって左側(図3の向かって上側)には、処理室201-1、201-2を開閉するゲートバルブ(GV)205-1、205-2がそれぞれ配置されている。搬送室203には、ウエハ200を移載する基板移載機構である基板移載ロボット、基板搬送部としての移載機125が設置されている。移載機125は、ウエハ200を載置する載置部としてのツィーザ(アーム)125a-1、125a―2と、ツィーザ125a-1、125a―2のそれぞれを水平方向に回転または直動可能な移載装置125bと、移載装置125bを昇降させる移載装置エレベータ125cとで構成されている。ツィーザ125a-1、125a-2、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、後述する基板保持具(基板保持部)217、冷却室204やポッド110にウエハ200を装填(チャージング)または脱装(ディスチャージング)することを可能な構成としている。以降、ケース102-1、102-2、処理室201-1、201-2、ツィーザ125a-1および125a-2のそれぞれは、特に区別して説明する必要が無い場合には、単にケース102、処理室201、ツィーザ125aとして記載する。
【0015】
ツィーザ125a-1は、通常のアルミ材質であって、低温および常温のウエハの搬送に用いられる。ツィーザ125a-2は、耐熱性が高く、熱伝導率の悪いアルミや石英部材等の材質であって、高温および常温のウエハの搬送に用いられる。つまり、ツィーザ125a-1は低温用の基板搬送部であり、ツィーザ125a-2は高温用の基板搬送部である。高温用のツィーザ125a-2は、例えば、100℃以上、より好ましくは、200℃以上の耐熱性を有する様に構成するのが良い。低温用ツィーザ125a-1には、マッピングセンサを設置することが出来る。低温用ツィーザ125a-1にマッピングセンサを設けることにより、ロードポートユニット106内のウエハ200の枚数の確認、反応室201内のウエハ200の枚数の確認、冷却室204内のウエハ200の枚数の確認を行うことが可能になる。
【0016】
本開示の実施形態の基板処理装置において、ツィーザ125a-1を低温用ツィーザとし、ツィーザ125a-2は高温用ツィーザとして説明を行うが、これに限定されない。ツィーザ125a-1を耐熱性が高く、熱伝導率の悪いアルミや石英部材等の材質で構成し、高温および常温のウエハの搬送に用い、ツィーザ125a-2を、通常のアルミ材質で構成し、低温および常温のウエハの搬送に用いても良い。また、ツィーザ125a-1、125a-2の両方を、耐熱性が高く、熱伝導率の悪いアルミや石英部材等の材質で構成しても良い。
【0017】
(処理炉)
図2の破線で囲まれた領域Aには、図1に示すような基板処理構造を有する処理炉(処理室)201が構成される。図3に示すように、本実施例においては処理炉が複数設けられているが、処理炉の構成は同一である為、一つの構成を説明するに留め、他方の処理炉構成の説明は省略する。
【0018】
図1に示すように、処理炉は、金属などの電磁波を反射する材料で構成されるキャビティ(処理容器)としてのケース102を有している。また、金属材料で構成されたキャップフランジ(閉塞板)104が、図示を省略したシール部材としてのOリングを介してケース102の上端を閉塞するように構成する。主にケース102とキャップフランジ104の内側空間をシリコンウエハ等の基板を処理する処理室201として構成している。ケース102の内部に電磁波を透過させる石英製の図示しない反応管を設置してもよく、反応管内部が処理室となるように処理容器を構成してもよい。また、キャップフランジ104を設けずに、天井が閉塞したケース102を用いて処理室201を構成するようにしてもよい。
【0019】
処理室201内には載置台210が設けられており、載置台210の上面には、基板としてのウエハ200を保持する基板保持具としてのボート217が載置されている。ボート217には、処理対象であるウエハ200と、ウエハ200を挟み込むようにウエハ200の垂直方向上下に載置されたサセプタ103a、103bが所定の間隔で保持されている。このサセプタ103a、103bは、例えば、シリコンプレート(Si板)や炭化シリコンプレート(SiC板)などの材料としてウエハ200の上下に配置することにより、ウエハ200のエッジに対する電界強度が集中することを抑制する。すなわち、サセプタは、ウエハのエッジに対する電磁波の吸収を抑制するものである。また、サセプタ103a、103bの上面及び下面に、断熱板としての石英プレート101a、101bが所定の間隔で保持されるようにしても良い。本実施例において、石英プレート101aと101bのそれぞれ、サセプタ103aと103bのそれぞれは同一の部品で構成されており、以後、特に区別して説明する必要が無い場合には、石英プレート101、サセプタ103と称して説明する。
【0020】
処理容器としてのケース102は、例えば横断面が円形であり、平らな密閉容器として構成されている。また、下部容器としての搬送筐体202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)などの金属材料、または、石英などにより構成されている。なお、ケース102に囲まれた空間を処理空間としての処理室201又は反応エリア201と称し、搬送筐体202に囲まれた空間を搬送空間としての搬送室又は搬送エリア203と称する場合もある。なお、処理室201と搬送室203は、本実施形態のように水平方向に隣接させて構成することに限らず、垂直方向に隣接させ、所定の構造を有する基板保持具を昇降させる構成としてもよい。
【0021】
図1図2および図3に示すように、搬送筐体202の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入搬出口206が設けられており、ウエハ200は基板搬入搬出口206を介して処理室201と搬送室203との間を移動する。ゲートバルブ205または基板搬入搬出口206の周辺には、後述する電磁波の漏洩対策として、使用される電磁波の1/4波長の長さを有するチョーク構造が設けられている。
【0022】
ケース102の側面には、後に詳述する加熱装置としての電磁波供給部が設置されており、電磁波供給部から供給されたマイクロ波等の電磁波が処理室201に導入されてウエハ200等を加熱し、ウエハ200を処理する。
【0023】
載置台210は回転軸としてのシャフト255によって支持される。シャフト255は、処理室201の底部を貫通しており、更には処理室201の外部で回転動作を行う駆動機構267に接続されている。駆動機構267を作動させてシャフト255及び載置台210を回転させることにより、ボート217上に載置されるウエハ200を回転させることが可能となっている。なお、シャフト255下端部の周囲はベローズ212により覆われており、処理室201および搬送エリア203内は気密に保持されている。
【0024】
ここで、載置台210は基板搬入搬出口206の高さに応じて、駆動機構267によって、ウエハ200の搬送時にはウエハ200がウエハ搬送位置となるよう上昇または下降し、ウエハ200の処理時にはウエハ200が処理室201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇または下降するよう構成されていてもよい。
【0025】
処理室201の下方であって、載置台210の外周側には、処理室201の雰囲気を排気する排気部が設けられている。図1に示すように、排気部には排気口221が設けられている。排気口221には排気管231が接続されており、排気管231には、処理室201内の圧力に応じて弁開度を制御するAPCバルブなどの圧力調整器244、真空ポンプ246が順に直列に接続されている。
【0026】
ここで、圧力調整器244は、処理室201内の圧力情報、後述する圧力センサ245からのフィードバック信号を受信して排気量を調整することができるものであればAPCバルブに限らず、通常の開閉バルブと圧力調整弁を併用するように構成されていてもよい。
【0027】
主に、排気口221、排気管231、圧力調整器244により排気部(排気系または排気ラインとも称する)が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めてもよい。なお、載置台210を囲むように排気口を設け、ウエハ200の全周からガスを排気可能に構成してもよい。
【0028】
キャップフランジ104には、不活性ガス、原料ガス、反応ガスなどの各種基板処理のための処理ガスを処理室201内に供給するためのガス供給管232が設けられている。このガス供給管232には、上流から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241、および、開閉弁であるバルブ243が設けられている。ガス供給管232の上流側には、例えば不活性ガス源が接続され、MFC241、バルブ243を介して処理室201内へ供給される。基板処理の際に複数種類のガスを使用する場合には、ガス供給管232のバルブ243よりも下流側に、上流側から順に流量制御器であるMFCおよび開閉弁であるバルブが設けられたガス供給管が接続された構成を用いることで複数種類のガスを供給することができる。ガス種毎にMFC、バルブが設けられたガス供給管を設置してもよい。
【0029】
処理室201にはガス供給管232に接続されるノズル105が設けられている。ノズル105の側面にはガスを供給するガス供給口が設けられている。ガス供給口はウエハ200に向けて開口し、ウエハ200の表面と平行にガスを供給する。このガス供給口は処理室201の下部から上部にわたって(すなわち、基板保持具217にウエハ200が保持(積載)される方向(垂直方向)に)複数設けられ、基板保持具217に保持されるウエハ200の間隔に合うように設けられている。複数のガス供給口は、それぞれが同一の開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
主に、ガス供給管232、MFC241、バルブ243、ノズル105によりガス供給系(ガス供給部)が構成される。ガス供給系に不活性ガスを流す場合には、不活性ガス供給系とも称する。不活性ガスとしては、例えば、Nガスや、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。
【0030】
キャップフランジ104には、非接触式の温度測定装置として温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づき後述するマイクロ波発振器655の出力を調整することで、基板を加熱し、基板温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、例えばIR(Infrared Radiation)センサなどの放射温度計で構成されている。温度センサ263は、石英プレート101aの表面温度、または、ウエハ200の表面温度を測定するように設置される。上述した発熱体としてのサセプタが設けられている場合にはサセプタの表面温度を測定するように構成してもよい。なお、本実施例においてウエハ200の温度(ウエハ温度)と記載した場合は、後述する温度変換データによって変換されたウエハ温度、すなわち、推測されたウエハ温度のことを意味する場合と、温度センサ263によって直接ウエハ200の温度を測定して取得した温度を意味する場合と、それらの両方を意味する場合を指すものとして説明する。
【0031】
温度センサ263によって石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200のそれぞれに対し、温度変化の推移を予め取得しておくことで石英プレート101またはサセプタ103と、ウエハ200の温度の相関関係を示した温度変換データを記憶装置121cまたは外部記憶装置123に記憶させてもよい。このように予め温度変換データを作成することによって、ウエハ200の温度は、石英プレート101の温度のみを測定することで、ウエハ200の温度を推測可能とし、推測されたウエハ200の温度を基に、マイクロ波発振器655の出力、すなわち加熱装置の制御を行うことが可能となる。
【0032】
なお、基板の温度を測定する温度測定部として、上述した放射温度計に限らず、熱電対を用いて温度測定を行ってもよいし、熱電対と非接触式温度計を併用して温度測定を行ってもよい。ただし、熱電対を用いて温度測定を行った場合、熱電対をウエハ200の近傍に配置して温度測定を行う必要がある。すなわち、処理室201内に熱電対を配置する必要があるため、後述するマイクロ波発振器から供給されたマイクロ波によって熱電対自体が加熱されてしまうので正確に測温することができない。したがって、非接触式温度計を温度センサ263として用いることが好ましい。
【0033】
また、温度センサ263は、キャップフランジ104に設けることに限らず、載置台210に設けるようにしてもよい。また、温度センサ263は、キャップフランジ104や載置台210に直接設置するだけでなく、キャップフランジ104や載置台210に設けられた測定窓からの放射光を鏡等で反射させて間接的に測定するように構成されてもよい。さらに、温度センサ263は1つ設置することに限らず、複数設置するようにしてもよい。
【0034】
ケース102の側壁には電磁波導入ポート653-1、653-2が設置されている。電磁波導入ポート653-1、653-2のそれぞれには処理室201内に電磁波(マイクロ波)を供給するための導波管654-1、654-2のそれぞれの一端が接続されている。導波管654-1、654-2それぞれの他端には処理室201内に電磁波を供給して加熱する加熱源としてのマイクロ波発振器(電磁波源、電磁波発生器)655-1、655-2が接続されている。マイクロ波発振器655-1、655-2はマイクロ波などの電磁波を導波管654-1、654-2にそれぞれ供給する。また、マイクロ波発振器655-1、655-2は、マグネトロンやクライストロンなどが用いられる。以降、電磁波導入ポート653-1、653-2、導波管654-1、654-2、マイクロ波発振器655-1、655-2は、特にそれぞれを区別して説明する必要のない場合には、電磁波導入ポート653、導波管654、マイクロ波発振器655と記載して説明する。
【0035】
マイクロ波発振器655によって生じる電磁波の周波数は、好ましくは13.56MHz以上24.125GHz以下の周波数範囲となるように制御される。さらに好適には、2.45GHzまたは5.8GHzの周波数となるように制御されることが好ましい。ここで、マイクロ波発振器655-1、655-2のそれぞれの周波数は同一の周波数としてもよいし、異なる周波数で設置されてもよい。
【0036】
また、本実施例において、マイクロ波発振器655は、ケース102の側面に2つ配置されるように記載されているが、これに限らず、1つ以上設けられていればよく、また、ケース102の対向する側面等の異なる側面に設けられるように配置してもよい。主に、マイクロ波発振器655―1、655-2、導波管654-1、654-2および電磁波導入ポート653-1、653-2によって加熱装置としての電磁波供給部(電磁波供給装置、マイクロ波供給部、マイクロ波供給装置とも称する)が構成される。
【0037】
マイクロ波発振器655-1、655-2のそれぞれには後述するコントローラ121が接続されている。コントローラ121には処理室201内に収容される石英プレート101aまたは101b、若しくはウエハ200の温度を測定する温度センサ263が接続されている。温度センサ263は、上述した方法によって石英プレート101、またはウエハ200の温度を測定してコントローラ121に送信し、コントローラ121によってマイクロ波発振器655-1、655-2の出力を制御し、ウエハ200の加熱を制御する。なお、加熱装置による加熱制御の方法としては、マイクロ波発振器655へ入力する電圧を制御することでウエハ200の加熱を制御する方法と、マイクロ波発振器655の電源をONとする時間とOFFとする時間の比率を変更することでウエハ200の加熱を制御する方法などを用いることができる。
【0038】
ここで、マイクロ波発振器655-1、655-2は、コントローラ121から送信される同一の制御信号によって制御される。しかし、これに限らず、マイクロ波発振器655-1、655-2それぞれにコントローラ121から個別の制御信号を送信することでマイクロ波発振器655-1、655-2が個々に制御されるように構成してもよい。
【0039】
(制御装置)
図4に示すように、制御部(制御装置、制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0040】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、アニール(改質)処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単にレシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0041】
I/Oポート121dは、上述の移載機125、MFC241、バルブ243、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、駆動機構267、マイクロ波発振器655等に接続されている。
【0042】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、移載機による基板の移載動作、MFC241による各種ガスの流量調整動作、バルブ243の開閉動作、圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくマイクロ波発振器655の出力調整動作、駆動機構267による載置台210(または、ボート217)の回転および回転速度調節動作、または、昇降動作等を制御することが可能なように構成されている。
【0043】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、ハードディスク等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0044】
ここで、本実施形態においては、基板を加熱する加熱時にノズルから冷却ガスを供給することで基板を所定の温度に維持しながら所定時間マイクロ波照射を行うことにより、基板を所定の温度維持によりウエハ基板上の温度バラツキを抑制して半導体基板の反りや割れの発生を抑制することができる。本実施例により、半導体基板の面内温度均一性の向上のためのノズルからのガス吹き付けにより、半導体基板の処理品質向上(または、処理不良低減)、反り割れを抑制し、同時処理枚数を増加するので、上述した従来技術の問題点を十分に解決することができる。
【0045】
図6に示す本実施形態に係るガス供給部としてのガスノズル(ノズル)105の条件の一例を以下に示す。ガスノズル105は処理室201に設けられ、ウエハ200に対してガスを供給するものである。
穴間隔:ウエハ間隔と同じにする。
ガス流量:各ウエハに供給するガスの流量は、1slm以上、50slm以下とする。
ガス流速:各ウエハに供給するガスの流速は、0.2m/s以上、40.0m/s以下とする。
ガス供給口の穴数:ウエハ枚数およびサセプタ枚数と同等とする。具体的には、ウエハ5枚とウエハの上下に配置されるサセプタ2枚の場合、穴数は7つである。
穴径:Φ0.2mm以上、Φ5.0mm以下とする。穴径が小さい方がガス流速を速くでき、ガス流量を削減できる。また、熱損失を最小にできる。
ガス流量について、1slm未満の場合、ウエハの中央までガスが届かないことがあり、また、50slmを超える場合、ガスの供給量が過剰となり冷却ガスの浪費につながってしまう。また、ガス流速について、0.2m/s未満の場合、ウエハの中央までガスが届かないことがあり、また、40.0m/sを超える場合、ウエハ間を通過したガスが壁面にぶつかってしまいガス流が乱れてウエハに悪影響を与えてしまう。また、穴径について、Φ0.2mm未満の場合、加工することが難しく、Φ5.0mmを超える場合、所定のガス流量を確保するために多量のガスを使用しなければならずガスの浪費となる可能性がある。ノズルを用いて基板間にガスを供給しながら熱処理(改質処理)することで基板の処理不良低減、反りや割れを防止、同時処理枚数を増加することを図ることが可能となる。
【0046】
ガス供給部としてのガスノズルを設け、基板間にガスを供給することで基板面内の均一性を向上させることが可能となる。
【0047】
図7に本実施形態のノズル向きを調整した際の均一性の変化結果を示す。同図に示すように、ガス供給部としてのガスノズル105の向きを基板中心からエッジ方向にずらす、例えば、基板中心からエッジへ1/2方向に調整する事により面内均一性を改善できる。冷却ガスをウエハ間に流し、余分な熱こもりを除去する事により均一性を改善する。熱こもりは図5に示すように、ウエハ中央で大きくなるが、ノズル105が中心を向いているとウエハ中心部のみが冷えすぎる。一方、ノズル105から出た冷却ガスは広がり幅があるので、ウエハ中心を向いていなくても、ウエハ中央の熱こもりを除去可能である。
【0048】
(マイクロ波のサイクル供給)
ウエハにマイクロ波を間欠的に印加する際には、回転する基板に対してガスが供給される箇所が変化する(言い換えれば、同じ場所にならないようにタイミングをずらす)ように制御する。マイクロ波の供給時(On時)に発生した熱こもりを冷却ガスにより除去して、マイクロ波の停止時(Off時)には冷却ガスの供給量を低減または停止してウエハの冷め過ぎを防止する。なお、ウエハが急激に高くなってしまった場合や出力が強いマイクロ波を印加して加熱する場合等においては、マイクロ波のOff時に冷却ガスの供給を低減または停止することなく冷却ガスを供給するようにしてもよい。
【0049】
さらに、マイクロ波の出力(パワー)のパワーOn/Offサイクルとウエハ回転が同期しないようにすると、面内分布への影響を低減させることが可能となる。具体的には、1回転する時間(この場合は、60/rpm)とマイクロ波サイクル(すなわち、On+Offの時間)が整数倍とならないように制御する。図11にウエハの回転数とマイクロ波のON/OFFのサイクルとのシミュレーション結果の一例を示す。本実施形態では、マイクロ波のON:2秒、OFF:4秒とした。ウエハの回転数が2.5rpmとすると、冷却ガスの供給がウエハの特定箇所と重なってしまい、特定の箇所が冷却されることとなってしまう。すなわち、マイクロ波のON/OFFサイクルとウエハ回転が同期すると、同じ部分が重なり面内分布を悪化させる可能性がある。これに対して、ウエハの回転数が2.4rpmとすると、冷却ガスの供給がウエハの特定箇所から分散されるようになる。さらに、2.3rpmとすると、ウエハに対する冷却ガスの供給がさらに分散されることとなり、ウエハ面内の冷却をより均一に処理することが可能となる。
【0050】
図8Aに、複数のノズル105を設置し、基板毎にガス流量を調整可能とする実施例を示す。例えば、ウエハの枚数と同じ数のノズル105を設置することにより、ウエハ毎に細かく調整することが可能となる。調整する条件としては、冷却ガスの流量、冷却ガスを供給する方向が挙げられる。最上段のウエハをIRセンサにより、中心、端、その間、など多点測定し、温度の高い部分へ向けて冷却ガスを供給すること、温度の高い部分に冷却ガスの供給量を多くして供給することが可能となり、冷却効率を向上させることが可能となる。
【0051】
(基板反り制御)
基板予備加熱時にガス流量、向き、タイミングを制御して、基板面内の温度差を低減させ変形(例えば、反り)を抑制する。更に、IRセンサやサーモカメラにより検知して流し方を制御するとより効果的である。図10に示すようなサーモカメラ111を用いれば、1台で複数個のIRセンサ相当の働きをして、温度分布を正確に測定できる。ウエハの斜め上から温度測定すれば、ウエハ間の温度測定可能である。図8Bにホットスポット700を狙ってガスを流す様子を示す。ウエハを冷ますことなく変形を抑制できるため、高速昇温に有利である。
【0052】
(流量制御テーブル)
処理基板の膜種とガス流量(または、流速)とマイクロ波出力と処理時間とをテーブル形式で予め記憶部に記憶しておき、処理基板に対応した条件で処理を行うようにする。ここで、制御テーブルによる制御を行うことにより、時間(または、レシピステップ)による変化、処理膜種類による変化に対応することが可能となる。更に、複数のIRセンサ(もしくは、サーモカメラ)により分布測定して熱こもり量を制御することが可能となる。
【0053】
図9に本実施例に係る基板処理のフローの一例を示した。ここで、上述の基板処理装置を用いて、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、例えば、基板上に形成されたシリコン含有膜としてのアモルファスシリコン膜の改質(例えば、結晶化)方法の一例について、図9に示した処理フローに沿って説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作は図4で説明した制御部により制御される。ここで、「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。
【0054】
まず、基板取出し工程(S801)の後、基板搬入工程(S802)が実施され、ウエハ200はゲートバルブ205の開閉動作によって所定の処理室201に搬入(ボートローディング)される。つまり、低温用のツィーザ125a-1、高温用のツィーザ125a-2を用いて、例えば5枚のウエハを、処理室201に搬入する。
【0055】
(炉内圧力・温度調整工程(S803))
処理室201へウエハ200の搬入が完了したら、所定の圧力(例えば、10~102000Pa)となるよう処理室201内の雰囲気を制御する。具体的には、真空ポンプ246により排気しつつ、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて圧力調整器244の弁開度をフィードバック制御し、処理室201内を所定の圧力とする。なお、本明細書における「10~102000Pa」のような数値範囲の表記は、下限値および上限値がその範囲に含まれることを意味する。よって、例えば、「10~102000Pa」とは「10Pa以上、102000Pa以下」を意味する。他の数値範囲についても同様である。
【0056】
(不活性ガス供給工程(S804))
炉内圧力・温度調整工程S803によって処理室201内の圧力と温度を所定の値に制御すると、駆動機構267は、シャフト255を回転させ、載置台210上のボート217を介してウエハ200を回転させる。このとき、窒素ガス等の不活性ガスがガス供給管232を介して供給される(S804)。さらにこのとき、処理室201内の圧力は10Pa以上102000Pa以下の範囲となる所定の値であって、例えば101300Pa以上101650Pa以下となるように調整される。なお、シャフトは基板搬入工程S402時、すなわち、ウエハ200を処理室201内に搬入完了後に回転させてもよい。
【0057】
(予備加熱工程(S805))
続いて、処理室201内を所定の圧力になると、マイクロ波発振器655は上述した各部を介して処理室201内に第1のマイクロ波が供給する。第1のマイクロ波出力(例えば、3600W)で、マイクロ波供給のON時間(例えば、150秒)として、ウエハ200を加熱する予備加熱処理を行う。これにより、基板の温度上昇を緩やかにすることで、基板の反りや割れを防止できる。
【0058】
(改質工程(S806))
処理室201内を所定の圧力となるように維持しながら、マイクロ波発振器655は上述した各部を介して処理室201内に第2のマイクロ波(例えば、5130W)を、所定時間(例えば、600秒)供給する。処理室201内に第2のマイクロ波が供給されることによって、ウエハ200が100℃以上、1000℃以下の温度、好適には400℃以上、900℃以下の温度となるように加熱し、さらに好適には、500℃以上、700℃以下の温度となるように加熱される。このような温度で基板処理することによって、ウエハ200が効率よくマイクロ波を吸収する温度下での基板処理となり、改質処理の速度向上が可能となる。換言すると、ウエハの温度を100℃よりも低い温度、または1000℃よりも高い温度下で処理してしまうと、ウエハの表面が変質してしまい、マイクロ波を吸収し難くなってしまうためにウエハを加熱し難くなってしまうこととなる。このため、上述した温度帯で基板処理を行うことが望まれる。
【0059】
(基板搬出工程(S807))
処理室201内の圧力を大気圧復帰させた後、ゲートバルブ205を開放し処理室201と搬送室203とを空間的に連通させる。その後、ボート217に載置されている加熱(処理)後のウエハ200を移載機125の高温用のツィーザ125a-2によって、搬送室203に搬出する(S807)。
【0060】
(基板冷却工程(S808))
高温用のツィーザ125a-2によって搬出された加熱(すなわち、処理)後のウエハ200は、移載装置125b、移載装置エレベータ125cの連続動作により、冷却室204まで移動され、高温用のツィーザ125a-2によって、冷却室204内に、例えば5枚のウエハ200が載置され、所定時間載置されることで冷却される(S808)。
【0061】
(基板収容工程(S809))
基板冷却工程S808によって冷却されたウエハ200を、冷却室204から取り出し、所定のポッドに搬送する。
【0062】
なお上記の実施例の説明において、マイクロ波の第1の出力は、3600Wで説明したが、第1の出力は、2000W~4000Wとする。第1の出力について、2000W~4000Wの時のメリットは、ウエハの反り始めから最大になり収まるまでの時間を短縮できるからである。2000Wより低い時のデメリットは、ウエハの温度が上昇し始めるまで時間がかかり過ぎることにある。また、4000Wより高い時のデメリットは、ウエハ温度が急速に上昇しウエハ反りが大きくなりすぎることにより、他と接触する懸念があることである。
【0063】
また、上記の実施例の説明において、第2のマクロ波は、5130Wで説明したが、第2の出力は、4000W~12000Wとする。4000W~12000Wの時のメリットは、プロセスウエハをトリートメントに適正な温度に調整できることにある。4000Wより低い時のデメリットは、トリートメントに長時間必要か、処理不足になることにある。また、12000Wより高い時のデメリットは、一度に処理するウエハ枚数にもよるが、ウエハがマイクロ波を吸収できる限度を超え、放電やプラズマが発生するおそれがある。
【0064】
以上説明した本実施例の装置によれば、半導体基板の面内温度分布を均一にするために基板を加熱時に、ノズルからガスを供給することで基板を所定の温度に維持しながら基板に所定時間供給して改質処理を行うことにより半導体基板上の温度差を低減することで半導体基板の処理品質の向上、反りや割れの発生抑制することができる。更に、複数枚の基板を同時に処理することが可能となり、生産性も向上可能となる。
【0065】
以上説明した実施形態は、適宜変更して用いることができ、その効果も得ることができる。例えば、上述の説明では、シリコンを主成分とする膜として、アモルファスシリコン膜をポリシリコン膜に改質する処理について記載したが、これに限らず、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)のうち、少なくとも1つ以上を含むガスを供給させて、ウエハ200の表面に形成された膜を改質しても良い。例えば、ウエハ200に、高誘電体膜としてのハフニウム酸化膜(HfxOy膜)が形成されている場合に、酸素を含むガスを供給しながらマイクロ波を供給して加熱させることによって、ハフニウム酸化膜中の欠損した酸素を補充し、高誘電体膜の特性を向上させることができる。
【0066】
なお、ここでは、ハフニウム酸化膜について示したが、これに限らず、アルミニウム(Al)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、イットリウム(Y)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、鉛(Pb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の少なくともいずれかを含む金属元素を含む酸化膜、すなわち、金属系酸化膜を改質する場合においても、好適に適用可能である。すなわち、上述の成膜シーケンスは、ウエハ200上に、TiOCN膜、TiOC膜、TiON膜、TiO膜、ZrOCN膜、ZrOC膜、ZrON膜、ZrO膜、HfOCN膜、HfOC膜、HfON膜、HfO膜、TaOCN膜、TaOC膜、TaON膜、TaO膜、NbOCN膜、NbOC膜、NbON膜、NbO膜、AlOCN膜、AlOC膜、AlON膜、AlO膜、MoOCN膜、MoOC膜、MoON膜、MoO膜、WOCN膜、WOC膜、WON膜、WO膜を改質する場合にも、好適に適用することが可能となる。
【0067】
また、高誘電体膜に限らず、不純物がドーピングされたシリコンを主成分とする膜を加熱させるようにしてもよい。シリコンを主成分とする膜としては、シリコン窒化膜(SiN膜)、シリコン酸化膜(SiO膜)シリコン酸炭化膜(SiOC膜)、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)、シリコン酸窒化膜(SiON膜)等のSi系酸化膜がある。不純物としては、例えば、臭素(B)、炭素(C)、窒素(N)、アルミニウム(Al)、リン(P)、ガリウム(Ga)、砒素(As)などの少なくとも1つ以上を含む。
【0068】
また、メタクリル酸メチル樹脂(Polymethyl methacrylate:PMMA)、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェニール樹脂などの少なくともいずれかをベースとするレジスト膜であってもよい。
【0069】
また、上述では、半導体装置の製造工程の一工程について記したが、これに限らず、液晶パネルの製造工程のパターニング処理、太陽電池の製造工程のパターニング処理や、パワーデバイスの製造工程のパターニング処理などの、基板を処理する技術にも適用可能である。
【0070】
なお、本開示は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施例は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0071】
更に、上述した各構成、機能、制御部であるコントローラ等は、それらの一部又は全部を実現するプログラムを作成する例を中心に説明したが、それらの一部又は全部を例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現しても良いことは言うまでもない。すなわち、処理部の全部または一部の機能は、プログラムに代え、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路などにより実現してもよい。
【符号の説明】
【0072】
100 基板処理装置
105 ノズル
200 ウエハ(半導体基板)
655 マイクロ波発振器(電磁波源、電磁波発生器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11