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特開2023-143717情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143717
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20230928BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20230928BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230928BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G05D1/00 B
G05D1/02 R
G08G1/00 X
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011034
(22)【出願日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】P 2022046373
(32)【優先日】2022-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100110607
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 進也
(72)【発明者】
【氏名】大塚 愛子
(72)【発明者】
【氏名】谷内田 益義
(72)【発明者】
【氏名】室井 基継
(72)【発明者】
【氏名】工藤 宏一
(72)【発明者】
【氏名】阪東 華子
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA07
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF17
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL07
5H181LL09
5H181MA48
5H181MB04
5H301BB05
5H301BB10
5H301GG09
5H301MM07
(57)【要約】
【課題】 自律移動の可否の判断が容易に行うことができる情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラムを提供すること。
【解決手段】 所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体100を制御する情報処理システム100であって、自律移動体110の位置が経路上にあるか否かに応じて、切り替えに関する情報を通知する通知部311を含む。
【選択図】 図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理システムであって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知する通知手段を含む、
情報処理システム。
【請求項2】
ディスプレイをさらに含み、
前記通知手段は、前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記第1のモードに切り替えることができない表示を前記ディスプレイにすることを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
ディスプレイをさらに含み、
前記自律移動体の位置が前記経路上にある場合に、前記ディスプレイの所定の領域に前記第1のモードに切り替える操作に係るボタンを表示することを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
ディスプレイをさらに含み、
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記ディスプレイの所定の領域に表示された前記第1のモードに切り替える操作に係るボタンを非表示にする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合であって、前記自律移動体が自律走行の中断中であるか、第2のモードによる制御中である場合に、前記通知手段は、前記第1のモードに切り替える操作に係るボタンを無効にする表示をする、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
スピーカをさらに含み、
前記通知手段は、前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記第1のモードに切り替えることができない旨の音声を前記スピーカから出力することを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
ハプティクスデバイスをさらに含み、
前記通知手段は、前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記第1のモードに切り替えることができないことを示すパターンで前記ハプティクスデバイスを動作させることを特徴とする、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合には、前記自律移動体は、前記第1のモードに切り替える操作を受け付けないことを特徴とする、
請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記自律移動体が前記第1のモードで動作している場合に、前記経路の所定の位置において、当該自律移動体の周辺の画像を撮影する撮影手段をさらに含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記自律移動体が前記第1のモードで動作している場合に、前記経路の所定の位置において、当該位置の温度を点検する点検手段をさらに含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記自律移動体が、工場の敷地内を前記第1のモードまたは前記第2のモードで動作することを特徴とする、
請求項9または10に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記自律移動体が、医療施設内を前記第1のモードまたは前記第2のモードで動作することを特徴とする、
請求項9または10に記載の情報処理システム。
【請求項13】
ユーザによる操作を受け付ける操作端末をさらに含む、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記自律移動体が、周辺の画像を撮影する撮影手段を含み、
前記自律移動体が前記操作端末からの操作によって停止した時に前記撮影手段が撮影した画像を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている画像と、前記自律移動体が移動中に撮影した画像とを比較して、画像の一致度を判定する判定手段とをさらに含み、
前記通知手段は、前記一致度が所定の閾値以上である場合に、停止に関する情報を通知する、
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
請求項13に記載の前記操作端末とネットワークを介して通信可能な自律移動体であって、
前記操作端末に対する操作に応じて、前記切り替えを実行する自律移動体。
【請求項16】
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体であって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合には、前記第1のモードに切り替える操作を受け付けないことを特徴とする、
自律移動体。
【請求項17】
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理装置であって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知する通知手段を含む、
情報処理装置。
【請求項18】
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理システムが実行する方法であって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知するステップを含む、
方法。
【請求項19】
コンピュータが実行するプログラムであって、前記コンピュータに請求項18に記載の方法を実行させるプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動と遠隔操作との切り替えが可能な情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
点検や警備などの作業において、遠隔操作が可能な移動体が用いられることがある。このような移動体は、作業者の負担を軽減する観点から、あらかじめ学習した経路を自働的に走行する自律走行が可能なもの(以下、「自律走行装置」として参照する場合がある)も開発されている。
【0003】
自律走行中の自律走行装置が経路上の障害物を検出するなどして一時的に自律走行を中断した場合には、遠隔操作に切り替え、その後、自律走行に復帰する技術が開発されている。
【0004】
例えば、特開2007-310698号公報(特許文献1)では、自律走行モードで走行経路上に障害物を検出した場合に、車両本体を停止し、複数の回避経路を遠隔操縦システムに提示して当該複数の回避経路の何れか一つを選択して自律走行モードで障害物を回避するか或いは遠隔操縦モードに切り替えて操縦者の操作により回避を実行するかを選択する手段を備える無人車両が開示されている。特許文献1によれば、操縦者の意思を反映した障害物の回避が可能となる。
【0005】
しかしながら、自律走行の中断の間に移動した先が元の経路から外れていた場合には、自律走行装置は、自律走行を再開できない。このような場合、自律走行装置のユーザは、自律走行装置の位置が元の経路上でないから再開できないのか、それ以外の不具合が生じているから再開できないのかが判断できず、対応が困難となる場合があった。そこで、自律移動の可否の判断を容易に行うことができる技術が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術における課題に鑑みてなされたものであり、自律移動の可否の判断が容易に行うことができる情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理システムであって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知する通知手段を含む、
情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自律移動の可否の判断が容易に行うことができる情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラムが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
図2】本実施形態のシステムを構成する各装置に含まれるハードウェア構成を示す図。
図3】本実施形態のシステムに含まれるソフトウェアブロック図。
図4】本実施形態のシステムにおいて自律走行装置のモードを切り替える処理を示すフローチャート。
図5】本実施形態における自律走行装置のモード遷移図。
図6】本実施形態における表示画面の例を示す図。
図7】本実施形態における表示画面の例を示す図。
図8】本実施形態における表示画面の例を示す図。
図9】本実施形態において学習される経路の例を示す図。
図10】本実施形態の経路情報記憶部に記憶されるテーブルの例を示す図。
図11】本実施形態において自律走行が中断された場合の処理を示すフローチャート。
図12】本実施形態において自律走行装置の自律走行が中断された場合の例を説明する図。
図13】本実施形態において中断された自律走行を復帰する処理を示すフローチャート。
図14】本実施形態において自律走行装置が復帰地点まで移動する第1の例を説明する図。
図15】本実施形態において自律走行装置が復帰地点まで移動する第2の例を説明する図。
図16】本実施形態において自律走行装置が復帰地点まで移動する第3の例を説明する図。
図17】本実施形態において自律走行装置が復帰地点まで移動する第4の例を説明する図。
図18】本実施形態において自律走行が中断された自律走行装置が経路を記憶する処理を示すフローチャート。
図19】本実施形態において自律走行装置が復帰地点まで移動できない例を説明する図。
図20】他の実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
図21】他の実施形態のシステムに含まれるソフトウェアブロック図。
図22】さらに別の実施形態におけるシステム全体のハードウェアの概略構成を示す図。
図23】さらに別の実施形態のシステムに含まれるソフトウェアブロック図。
図24】さらに別の実施形態の停止状況記憶部に記憶されるテーブルの例を示す図。
図25】さらに別の実施形態において、停止の可能性を通知する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではない。なお、以下に参照する各図においては、共通する要素について同じ符号を用い、適宜その説明を省略するものとする。
【0011】
図1は、本実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。図1では、例として、自律走行装置110と、操作端末120と、サーバ130とが、インターネットやLANなどのネットワーク140を介して接続された環境を例示している。なお、各装置の台数は、図1に示したものに限らず、システム100に含まれる台数に制限はない。また、各装置から、ネットワーク140へ接続する方法は、有線または無線のどちらでもよい。
【0012】
本発明の情報処理システムとは、自律移動体を制御する情報処理システムである。本実施形態の情報処理システムであるシステム100は、自律走行装置110を制御する情報処理システムとして、操作端末120と、サーバ130とを含む。
【0013】
自律移動体である自律走行装置110は、対象拠点に設置され、対象拠点内を自律移動可能な走行装置ロボットである。この自律走行は、対象拠点内における過去に移動した経路を学習し、学習の結果を利用して自律的に対象拠点内を移動する動作を含む。また、自律走行は、あらかじめ設定された移動経路に従って自律的に対象拠点内を移動する動作またはライントレースなどの技術を用いて自律的に対象拠点内を移動する動作であってもよい。さらに、自律走行装置110は、遠隔地にいるユーザからの手動操作(以下、「遠隔操作」として参照する)によっても移動可能である。すなわち、自律走行装置110は、自律走行と遠隔操作とを切り替えながら、対象拠点内を移動することができる。また、本実施形態の自律走行装置110は、例えば対象拠点内を移動しながら、点検、保守、運搬、警備または軽作業などの所定のタスクを実行することができる。なお、説明する実施形態では、移動体として、車輪で走行する自律走行装置110を例示しているが特に実施形態を限定するものではなく、実施形態に係る移動体はドローン、マルチコプタまたは無人飛行体のような飛行体であってもよい。また、自律走行装置110は、一般的なコンピュータとして機能可能である。
【0014】
操作端末120は、例えば、パーソナルコンピュータのような情報処理装置であって、ユーザが操作することによって、自律走行装置110の動作を制御することができる。本実施形態の操作端末120は、自律走行装置110を自律走行モードで動作させるか、遠隔操作モードで動作させるかを切り替えることができる。また、操作端末120は、自律走行装置110が遠隔操作モードの場合には、自律走行装置110からの画像を表示し、移動方向や移動速度などを操作することができる。さらに、操作端末120は、自律走行装置110が行う点検作業などにおいて、点検対象を確認することもできる。
【0015】
サーバ130は、本実施形態に係る自律走行装置110の制御に関するサービスを提供する情報処理装置である。例えば、サーバ130は、自律走行装置110と操作端末120とを管理し、特に、各装置と対象拠点とを関連付けて管理することができる。サーバ130は一般的なコンピュータとして機能可能である。
【0016】
説明する実施形態では、例えばサーバ130は、通信時に、クラウドコンピューティングサービスによる認証処理を利用することができる。このような認証処理を利用することで、操作端末120による操作コマンドの送信や、自律走行装置からの画像データなどの送信といった通信を安全に行うことができる。
【0017】
次に、本実施形態に係る装置のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施形態のシステム100を構成する各装置に含まれるハードウェア構成を示す図であり、図2(a)は、自律走行装置110のハードウェア構成を、図2(b)は、操作端末120およびサーバ130のハードウェア構成を、それぞれ示している。
【0018】
まず、図2(a)について説明する。図2(a)に示すように、自律走行装置110は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、記憶装置204と、通信I/F205と、走行ユニット206と、センサ207と、カメラ208とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。
【0019】
CPU201は、自律走行装置110の動作を制御するプログラムを実行し、所定の処理を行う装置である。RAM202は、CPU201が実行するプログラムの実行空間を提供するための揮発性の記憶装置であり、プログラムやデータの格納用、展開用として使用される。ROM203は、CPU201が実行するプログラムやファームウェアなどを記憶するための不揮発性の記憶装置である。
【0020】
記憶装置204は、自律走行装置110を機能させるOSや種々のソフトウェア、設定情報、自律走行に係る学習済みの経路データ、その他の各種データなどを記憶する、読み書き可能な不揮発性の記憶装置である。記憶装置240の一例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが挙げられる。
【0021】
通信手段としての通信I/F205は、自律走行装置110とネットワーク140とを接続し、ネットワーク140を介して他の装置との通信を可能にする。ネットワーク140を介した通信は、TCP/IPなどの所定の通信プロトコルを使用し、各種データを送受信できる。
【0022】
移動機構としての走行ユニット206は、自律走行装置110の移動に係る装置であり、一例として、バッテリとモータを含んで構成される。
【0023】
センサ207は、自律走行装置110の走行状態や周辺状況などを検出する装置であり、例えば、GPSなどの位置確認センサ、障害物センサが挙げられる。自律走行装置110は、例えば、位置確認センサで、自装置の現在地を取得することで、所定の経路からのズレを確認することができる。また、障害物センサによって、走路上の障害物や段差などの有無を識別することができ、これによって自律走行装置110は回避行動を取ることができる。また、本実施形態におけるセンサ207は、点検作業を行う際にも用いることができる。例えばセンサ207に、温度センサ、音センサ、ガス検知センサなどを採用することで、点検対象に係る各種データを取得し、点検の用に供することもできる。
【0024】
カメラ208は、自律走行装置110の周囲を撮影する装置である。カメラ208が撮影した画像はネットワーク140を介して操作端末120に送信され、ユーザによる遠隔操作時において、自律走行装置110の周辺状況を把握するために用いられる。また、自律走行装置110が点検作業を行う場合には、カメラ208が撮影した画像によって、点検対象の確認をすることとしてもよい。さらに、画像は、センサ207と同様に、自律走行時における走路上の障害物や段差などの有無の判定に用いられてもよい。
【0025】
次に図2(b)について説明する。図2(b)に示すように、操作端末120は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、記憶装置204と、通信I/F205と、ディスプレイ209と、入力装置210、スピーカ211と、ハプティクスデバイス212とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。なお、CPU201、RAM202、ROM203、記憶装置204、通信I/F205については、図2(a)で説明した自律走行装置110のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
ディスプレイ209は、各種データや各装置の状態などを、ユーザに対して表示する装置であり、例として、LCD(Liquid Crystal Display)などが挙げられる。入力装置210は、ユーザが各装置を操作するための装置であり、例として、キーボード、マウスなどが挙げられる。また、操作端末120が備える入力装置210は、ジョイスティックのような移動装置の操作に特化した者であってもよい。なお、ディスプレイ209と入力装置210は、それぞれ別個の装置であってもよいし、タッチパネルディスプレイのような両方の機能を備えるものであってもよい。
【0027】
スピーカ211は、電気信号から変換された音を発する装置である。本実施形態のスピーカ211は、警報音や音声などを発することができ、例えば、自律走行装置110の状態などを音で知らせることができる。ハプティクスデバイス212は、電気信号を力、振動、動きなど変換して触覚に伝達する装置である。本実施形態のハプティクスデバイス212は、所定の振動をする動作によって、自律走行装置110の状態などを知らせることができる。
【0028】
なお、以下の実施形態の説明においては、ディスプレイ209、スピーカ211、ハプティクスデバイス212をまとめて、通知デバイスとして参照する場合がある。また、通知デバイスは、本実施形態の通知手段を構成し得る。
【0029】
次に図2(c)について説明する。図2(c)に示すように、サーバ130は、CPU201と、RAM202と、ROM203と、記憶装置204と、通信I/F205と、ディスプレイ209と、入力装置210とを含んで構成され、各ハードウェアはバスを介して接続されている。なお、サーバ130に含まれる各ハードウェアは、図2(a)、(b)で説明した自律走行装置110および操作端末120のものと同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0030】
以上、本実施形態の各装置に含まれるハードウェア構成について説明した。次に、本実施形態における各ハードウェアによって実行される機能手段について、図3を以て説明する。図3は、本実施形態のシステム100に含まれるソフトウェアブロック図である。
【0031】
図3に示すように、本実施形態の自律走行装置110は、通信部311、走行制御部312、位置取得部313、経路判定部314、撮影部315、点検部316の各機能手段を含んで構成される。本実施形態の操作端末120は、通信部321、通知デバイス制御部322、操作部323の各機能手段を含んで構成される。本実施形態のサーバ130は、UI提供部331、位置判定部332、通知部333、経路情報記憶部334、地図データ記憶部335の各機能手段を含んで構成される。以下に、各機能手段の詳細を説明する。
【0032】
まず、自律走行装置110について説明する。通信部311は、通信I/F205を制御し、他の装置との通信を行う手段である。本実施形態の通信部311は、操作端末120からの操縦に係るデータの受信や、撮影した画像の送信、点検のために収集したデータの送信などを行うことができる。
【0033】
走行制御部312は、走行ユニット206の動作を制御する手段である。本実施形態の走行制御部312は、自律走行モードと遠隔操作モードとを切り替えることができる。走行制御部312は、自律走行モード時には、所定の経路を走行するように走行ユニット206を制御し、遠隔操作モード時には、操作端末120から受信した操縦データに基づいて走行ユニット206を制御する。
【0034】
位置取得部313は、GPSなどのセンサ207が取得したデータに基づいて、自律走行装置110の現在位置を算出する手段である。
【0035】
経路判定部314は、自律走行装置110の自律走行が中断された後、自律走行を再開するために移動する経路の有無を判定する手段である。本実施形態の経路判定部314は、例えば、位置判定部332による判定結果と、経路情報記憶部334に記憶されている経路とに基づいて、適切な経路を判定することができる。
【0036】
撮影部315は、カメラ208を制御し、自律走行装置110の周辺の画像を撮影する手段である。
【0037】
点検部316は、自律走行装置110が備える各種センサ類(センサ207)によって、種々のデータを測定し、点検を行う手段である。点検部316は、例えば、ガスの検知、騒音の測定、温度の測定などを行うことができるが、これらに限定されるものではない。
【0038】
次に操作端末120について説明する。通信部321は、通信I/F205を制御し、他の装置との通信を行う手段である。本実施形態の通信部321は、自律走行装置110の位置情報や撮影した画像の受信や、サーバ130からの地図データの受信、操縦データの送信などを行うことができる。
【0039】
通知デバイス制御部322は、ディスプレイ209、スピーカ211、ハプティクスデバイス212などの各種通知デバイスの動作を制御する手段である。ここで、本実施形態における通知は、通知デバイスを動作させることで視覚、聴覚、触覚などを介してユーザに認識させることができ、例えば、自律走行装置110の状態をユーザに認識させることができる。本実施形態の通知デバイス制御部322は、例えば、自律走行装置110が撮影した画像や操作画面などといった、自律走行装置110の状態をディスプレイ209に表示したり、スピーカ211から音声を発することやハプティクスデバイス212を動作させることで自律走行装置110の状態を知らせたりできる。
【0040】
操作部323は、入力装置210を介してユーザによって入力された操作を受け付ける手段である。操作部323は、自律走行装置110の操縦に係るコマンドなどを受け付けることができ、通信部321を介して自律走行装置110に送信することができる。
【0041】
続いてサーバ130について説明する。UI提供部331は、本実施形態に係るサービスのUIを操作端末120に提供する手段である。
【0042】
位置判定部332は、自律走行装置110の位置取得部313が取得した、自律走行装置110の現在位置が、学習済みの経路上であるか否かを判定する手段である。
【0043】
通知部333は、自律走行装置110の状態を操作端末120に通知する手段である。
【0044】
経路情報記憶部334は、記憶装置204を制御し、自律走行装置110が移動する経路情報を記憶する手段である。本実施形態の経路情報記憶部334には、例えば、自律走行のためにあらかじめ学習された経路情報や、遠隔操作時に自律走行装置110が移動した経路情報などを記憶することができる。また、経路情報記憶部334には、自律走行が中断された場合における中断地点を、当該自律走行に係る経路と対応付けて記憶することができる。
【0045】
地図データ記憶部335は、記憶装置204を制御し、対象拠点の地図データを記憶する手段である。
【0046】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU201が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0047】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図3に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、操作端末120がUI提供部331、地図データ記憶部335、経路判定部314などを含んでいてもよいし、経路情報記憶部334を自律走行装置110や操作端末120が含んで構成されてもよい。また、例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、自律走行装置110と、操作端末120と、サーバ130との協働によって実現されてもよい。
【0048】
また、他の好ましい実施形態においては、自律走行装置110は、専ら自律走行と点検に係る機能手段のみを備え、他の機能手段はシステム100を構成する他の装置に含まれる構成としてもよい。かかる場合には、自律走行装置110は、各種情報を収集して、操作端末120やサーバ130に送信し、操作端末120やサーバ130が種々の制御を行い得る。
【0049】
次に、本実施形態の自律走行装置110のモードの切り替えについて図4を以て説明する。図4は、本実施形態のシステム100において自律走行装置110のモードを切り替える処理を示すフローチャートである。
【0050】
図4の処理は、ステップS1000から開始される。操作端末120は、ステップS1001において、操作画面を表示し、ユーザの操作を待機する。次に操作端末120は、ステップS1002において、ユーザの操作によって自律走行装置110の移動先となる目的地の設定を行う。
【0051】
その後、自律走行装置110は、ステップS1002において、目的地に向かって移動を開始する。このとき自律走行装置110は、自装置の位置情報を随時操作端末120に送信し、操作端末120の表示画面では、自律走行装置110の位置がマップ上などに反映される。
【0052】
次に、ステップS1004では、自律走行と遠隔操作のモードの切り替えがあったか否かによって処理を分岐する。切り替えが行われた場合には(YES)、ステップS1005に進む。ステップS1005では、自律走行装置110の制御モードを切り替え、対応する制御モード(自律走行モードまたは遠隔操作モード)に基づいた移動を行う。一方で、ステップS1004において切り替えが行われなかった場合には(NO)、ステップS1006に進む。
【0053】
ステップS1006では、自律走行装置110が最終目的地に到着したか否かによって処理を分岐する。到着した場合には(YES)、ステップS1007に進み、処理を終了する。一方で、到着していない場合には(NO)、ステップS1003に戻り、再度移動を行い、最終目的地に到着するまで上記の各処理を繰り返す。
【0054】
なお、自律走行装置110は、最終目的地に到達しなくても、移動開始から一定時間以上経過した場合、移動経路上に障害物を検知した場合、ユーザからの停止命令を取得した場合などにおいて、自律走行装置110の移動を一時停止または移動処理の動作を途中で終了する構成であってもよい。
【0055】
次に、自律走行装置110の各モードの遷移について図5を以て説明する。図5は、本実施形態における自律走行装置110のモード遷移図である。なお、以下の図5の説明においては、適宜図6図8を参照する。図6図8は、本実施形態における表示画面の例を示す図である。図6図8に示す表示画面は、例えば、通知デバイス制御部322によって、操作端末120のディスプレイ209に表示される。
【0056】
図5に示すように、本実施形態の自律走行装置110は、学習走行モード、自律走行モード、遠隔操作モードの各モードで走行することができ、操作端末120によって適宜モードの切り替えを行うことができる。学習走行モードは、ユーザの操作によって走行した経路を学習するモードである。学習走行モードにおいては、位置取得部313が取得した位置情報を経路情報記憶部334に随時記憶することによって、自律走行のための経路情報として保存することができる。学習走行が完了し、経路情報が記憶されると、操作端末120には、図6に示すような画面を表示することができる。図6には2つの点検ルートが表示された例を示しており、各々のルートは操作端末120から編集したり、点検開始の操作を受け付けたりすることができる。
【0057】
学習走行モードの終了後に図6の表示画面から「点検開始」が選択されると、自律走行装置110は、自律走行モードに移行する。自律走行モードが行われると、操作端末120には例えば図7(a)のような画面が表示される。図7(a)に例示する画面には、自律走行装置110の周辺の画像や、緊急停止ボタン、自律走行終了ボタン、ホームボタン、走行経路マップ、モード表示などが含まれる。
【0058】
図7(a)の表示画面において「緊急停止」が選択されると、自律走行装置110は、走行を一時停止する(図5参照)。このとき、操作端末120には、図7(b)のような画面によって、緊急停止した旨と、その後の動作を選択するボタンが表示される。その後の動作の例としては、自律走行で再開するか、または、遠隔操作で再開するかが挙げられる。図7(b)の画面において「自律走行で再開」が選択された場合には一時停止から自律走行モードに移行し、「遠隔操作で再開」が選択された場合には一時停止から遠隔操作モードに移行する(図5参照)。なお、自律走行装置110は、一時停止すると、その時点の画像を撮影し、種々の情報と共にサーバ130に送信することができる。サーバ130は、後述する停止状況記憶部337に記憶することができる。
【0059】
図7(b)の表示画面において「遠隔操作で再開」が選択されると、図8(a)または(b)の表示画面に遷移する。このとき、自律走行装置110位置が、経路情報記憶部334に記憶されている学習済みの経路上にある場合には、図8(a)のように、操作端末120には、自律走行が再開できる旨が表示され、併せて自律走行再開ボタンが表示される。一方で、自律走行装置110位置が、学習済みの経路上でない場合には、図8(b)のように、操作端末120には、自律走行を再開するための遠隔操作が行われている旨が表示される。この場合、自律走行装置110は自律走行ができない位置にいることから、自律走行再開ボタンが表示されない。なお、自律走行再開ボタンを表示しない形態に替えて、例えば自律走行再開ボタンをグレーアウト表示することとしてもよい。
【0060】
次に、学習走行モードによって行われる経路の学習について図9および図10を以て説明する。図9は、本実施形態において学習される経路の例を示す図である。また、図10は、本実施形態の経路情報記憶部334に記憶されるテーブルの例を示す図である。
【0061】
図9に示す例では、R001(図9において実線で示される経路)とR002(図9において破線で示される経路)の2つの経路が学習されている。R001は、P11を出発し、P21、P22、P23、P13、P12、P22、P21の順で経由してP11に戻る経路である。R001では、P23とP13の途中で点検を行うチェックポイントCP1と、P12とP22の途中で点検を行うチェックポイントCP2が設定されている。R002は、P11を出発し、P21、P31、P32、P33、P34、P24、P23、P22、P21、の順で経由してP11に戻る経路である。R002では、P34とP24の途中で点検を行うチェックポイントCP2が設定されている。
【0062】
なお、経路の学習は、学習走行モードに設定された自律走行装置110をユーザが操縦して、実際の経路を走行させながら位置情報を取得することによって行われてもよいし、地図上で経路を指定することによって行われてもよい。
【0063】
図9のようにして学習された2つの経路は、例えば図10に示すような形式で、経路情報記憶部334に記憶される。図10(a)は、図9に示した経路IDと経路データとチェックポイントとが関連付けられた経路情報をテーブルとして経路情報記憶部334に格納した例である。さらに、経路情報記憶部334には、図10(b)に示すような、図10(a)の各経路において通過する地点(例えば、P11、P12、CP1など)と、当該地点の位置を示す座標情報とを関連付けたテーブルを格納することができる。
【0064】
また、経路情報記憶部334に点検に係るテーブルを記憶することで、自律走行装置110が当該テーブルを読み出して所定の点検を行うこととしてもよい。例えば、経路情報記憶部334には、図10(c)、(d)に示すように、点検IDと、点検対象名と、点検位置の座標と、点検動作と、点検に係る条件とを関連付けて記憶することができる。図10(c)は、工場の敷地内において点検する箇所を示すテーブルの例である。例えば、図10(c)におけるIDがD001の点検作業は、カメラ208をパン、チルト、ズームして(x1,y1)の位置にあるメータを撮影するものである。また、図10(c)におけるIDがD002の点検作業は、(x2,y2)の位置にあるガス管から50cmの位置で、センサ207によってガスを検知するものである。図10(d)は、医療施設内において点検する箇所を示すテーブルの例である。例えば、図10(d)におけるIDがD101の点検作業は、カメラ208をパン、チルト、ズームして(x6,y6)の位置にある101号室内の様子を撮影するものである。このように、点検作業では、点検箇所にある測定装置や点検箇所の状態を撮影したり、自律走行装置110が備えるセンサ類で点検箇所に係る環境を測定したりできる。これによって、例えば工場や医療施設などといった各種施設を、無人の自律走行装置110が点検でき、点検に要する労力を低減できる。
【0065】
本実施形態の自律走行装置110は、図10に示したような経路情報記憶部334に格納される各種テーブルのデータを適宜読み出すことで、所定の経路を自律走行でき、併せて点検作業を行うことができる。
【0066】
次に、自律走行装置110の自律走行が中断された場合の処理について図11を以て説明する。図11は、本実施形態において自律走行が中断された場合の処理を示すフローチャートである。
【0067】
図11に示す処理は、自律走行装置110が自律走行をしている間に、例えば、緊急停止操作がされたり、遠隔操作モードに切り替えられたりした場合に、ステップS2000から開始される。なお、図11における一連の処理では、自律走行の中断後に自律走行装置110が遠隔操作によって移動しているものとする。ステップS2000において自律走行が中断されると、ステップS2001で位置取得部313は、自装置の現在位置の情報を取得する。
【0068】
続くステップS2002では、自装置の位置が自律走行設定中の経路上であるか否かによって処理を分岐し、モードの切り替えに関する情報を通知する処理を行う。ステップS2002の処理は、位置判定部332が行うことができる。ここで、自律走行設定中の経路とは、中断された自律走行に係る経路を指すものとする。例えば、図9の例において、R001の経路での移動が設定されて自律走行をしている間に中断された後、自律走行装置110の位置がR002の経路上にある場合には、自律走行設定中の経路上でないと判定される。
【0069】
ステップS2002において、自律走行装置110の位置が自律走行設定中の経路上でない場合には(NO)、ステップS2003に進む。ステップS2003では、通知部333は、自律走行モードへの切り替えができない旨を操作端末120に通知し、通知デバイス制御部322は、自律走行モードへの切り替えができない旨を通知する態様で通知デバイスの動作を制御する。ここで、ステップS2003における通知は、例えば、操作端末120に表示される自律走行モードボタンを非表示やグレーアウトすることで無効にする態様や、自律走行モードへの切り替えができない旨を表示する態様とすることができる(図8(b)参照)。また、別の通知の態様の例として、スピーカ211によって切り替えができない旨の音声を出力したり、ハプティクスデバイス212が特定のパターンで振動したりすることとしてもよい。また、ステップS2003における通知と併せて、自律走行装置110側でも、自律走行モードへの切り替えを受け付けない構成とすることとしてもよい。ステップS2003の後、ステップS2001の処理に戻り、上記の各処理を繰り返す。
【0070】
一方で、ステップS2002において、自律走行装置110の位置が自律走行設定中の経路上である場合には(YES)、ステップS2004に進む。ステップS2004では、通知部333は、自律走行モードへの切り替えができる旨を通知する。ステップS2004の通知の例としては、操作端末120の画面上の自律走行モードボタンの有効化(図8(a)参照)、スピーカ211による音声案内、ハプティクスデバイス212の特定の振動パターンなどで行うことができる。その後、ステップS2005に進み、自律走行モードに切り替えられたか否かによって処理を分岐する。自律走行モードに切り替えられていない場合には(NO)、ステップS2001に戻り、上記の各処理を繰り返す。
【0071】
自律走行モードに切り替えられた場合には(YES)、ステップS2006に進む。ステップS2006では、走行制御部312は、設定中の経路を自律走行モードで移動する。その後、ステップS2007において処理を終了する。
【0072】
図11に示した処理によって、ユーザは自律移動の可否の判断を容易に行うことができる。また、自律走行設定中であった経路であるか否かを判断することにより、自律走行の中断後に自律走行を再開しようとする場合において、ユーザは、自律走行の再開が可能であるか否かを容易に把握することができる。
【0073】
また、図11において説明した通り、通知部333は、自律走行装置110が自律走行経路上にあるか否かに応じて第1のモードと第2のモードとの切り替えに関する情報を通知する。この構成によりユーザは自律移動の可否の判断を容易に行うことができる。
【0074】
さらに、ステップS2002では自律走行設定中であった経路上にあるか否かを判断している。この構成をとることにより、中断した自律走行経路での再開が可能であるかを把握できるという、さらなる効果を得ることができる。
【0075】
切り替えに関する情報の通知として、本実施形態では、自律走行経路上にある場合は、自律走行再開を行うためのボタンを表示している。また自律走行経路上にない場合は、切り替えに関する情報の通知として、自律走行再開を行うためのボタンが表示される領域においてボタンを非表示としている。
【0076】
また、切り替えに関する情報として、音声を用いても良い。すなわち自律走行経路上にある場合は切り替え可能であることを示す音声を通知し、自律走行経路上にない場合は、切り替えができないことを示す音声を通知してもよい。さらに別の態様として、切り替え可能である、切り替えができない音声がいずれかが通知されている状態で、切り替えに関する情報の通知として、その音声を停止することで通知してもよい。
【0077】
ここまで、本実施形態において、自律走行が中断された場合の処理について説明した。次に、中断された自律走行を復帰する処理について説明する。ここでは、図12に示すようにして自律走行が中断された例によって説明する。図12は、本実施形態において自律走行装置110の自律走行が中断された場合の例を説明する図である。
【0078】
図12に示す例では、自律走行装置110は、図9における経路R001で自律走行する設定がされているものとする。ここで、図12に例示する自律走行装置110は、P11を出発し、P21、P22、P23を経由した後、P23からP13へ向かう経路上においてCP1を過ぎた地点(図12における×印の位置)で自律走行が中断されたものとする。さらに説明する実施形態の自律走行装置110は、自律走行が中断された後、ユーザの遠隔操作によってP24とP34の間の地点(図12における☆印の位置)に移動したものとする。以下では、かかる状況下を前提として、中断された自律走行を復帰する実施形態を説明する。
【0079】
図13は、本実施形態において中断された自律走行を復帰する処理を示すフローチャートである。図13に示す処理は、中断された自律走行を復帰する操作を契機に、ステップS3000から開始される。すなわち、図13に示す処理は、自律走行装置110が図12の☆印の位置に遠隔操作によって移動したあと、自律走行モードに切り替えられたことによって開始される。
【0080】
次に、ステップS3001では、自律走行で復帰地点に行けるか否かによって処理を分岐する。ここで、復帰とは、設定されている自律走行の経路(説明する実施形態の例では経路R001)での自律走行の再開を指し、復帰地点とは、設定されている自律走行の経路上において、自律走行の再開が可能な地点を指すものとする。復帰地点は、例えば、自律走行が中断された位置や、次に点検するべき位置などとすることができる。自律走行で復帰地点に行けるか否かの判定は、経路判定部314が行うことができ、例えば、経路情報記憶部334に記憶されている学習済みの経路や、自律走行装置110の移動履歴などに基づいて行うことができ、複数の経路を組み合わせて行けるかを判定してもよい。
【0081】
ステップS3001において復帰地点に行けないと判定された場合には(NO)、ステップS3005に進む。ステップS3005では、通知部333は、自律走行による復帰ができない旨をユーザに通知する。なお、好ましい他の実施形態では、ステップS3005の処理と併せて、自律走行装置110をスタート地点(例えばP11)に移動することとしてもよい。その後、ステップS3006において処理を終了する。
【0082】
一方、ステップS3001において復帰地点に行けると判定された場合には(YES)、ステップS3002に進む。ステップS3002では、走行制御部312は、復帰地点までの自律走行を開始する。その後、ステップS3003では、自律走行装置110が復帰地点に到着したか否かによって処理を分岐し、到着していない場合には(NO)、ステップS3003に戻り、到着するまで処理を繰り返す。復帰地点に到着した場合には(YES)、ステップS3004に進む。なお、ステップS3003の分岐処理は、位置判定部332によって判定することができる。
【0083】
ステップS3004において走行制御部312は、自律走行モードによって設定されている経路(R001)を移動し、設定されている点検などの作業を再開する。その後、ステップS3006において処理を終了する。
【0084】
図13に示した処理によって、本実施形態の自律走行装置110は、中断された自律走行を適切に再開することができる。
【0085】
ところで自律走行装置110が復帰地点までの移動は、いくつかの態様が採用され得る。説明する実施形態では、例えば、(1)現在位置から中断地点まで直線的に自律走行する、(2)学習済み経路を組み合わせて中断地点まで自律走行する、(3)学習済みの経路を組み合わせて中断地点の次のチェックポイントまで自律走行する、(4)中断地点から現在位置まで遠隔操作で移動した経路を逆に辿って自律走行する、などといった態様が挙げられる。そこで次に種々の態様について、図14図17を以て説明する。図14図17は、本実施形態において自律走行装置110が復帰地点まで移動する第1~第4の例を説明する図である。なお、図14図17においては、図12と同様に、×印は自律走行が中断した位置を示し、☆印はその後の遠隔操作によって移動した位置を示すとともに、□印は自律走行に復帰する位置を示すものとする。
【0086】
まず、第1の例について説明する。復帰地点まで移動する第1の例において自律走行装置110は、図14に示すように、現在位置から中断地点まで直線的に自律走行する。自律走行装置110の現在位置から中断地点までの間に障害物などがないことをカメラ208が撮影した画像によって判定できる場合には、図13のステップS3001において、経路判定部314は、現在位置と中断地点とを結ぶ直線の経路によって、自律走行で復帰地点(すなわち中断地点)まで移動可能であると判定することができる。そして、自律走行装置110が復帰地点に到着後(S3003)、当該地点から経路R001の自律走行を再開する(S3004)。
【0087】
次に第2の例について説明する。復帰地点まで移動する第2の例において自律走行装置110は、図15に示すように、学習済み経路を組み合わせて中断地点まで自律走行する。すなわち、学習済みの経路R002の一部の経路(P34~P24、P24~P23を移動する経路)と、経路R001の一部(P23~P13を移動する経路)を組み合わせることで、現在位置から中断位置まで自律走行で移動することができる。よって、図13のステップS3001において、経路判定部314は、学習済み経路を組み合わせて復帰地点である中断地点まで移動可能であると判定することができる。そして、自律走行装置110が復帰地点に到着後(S3003)、当該地点から経路R001の自律走行を再開する(S3004)。
【0088】
次に第3の例について説明する。復帰地点まで移動する第3の例において自律走行装置110は、図16に示すように、学習済みの経路を組み合わせて中断地点の次のチェックポイントまで自律走行する。自律走行の目的が点検などの所定の作業である点を鑑みれば、必ずしも中断地点から自律走行を復帰する必要はなく、必要なチェックポイントなどに移動できれば足りる。そこで第3の例では、自律走行が設定されていた経路R001において、通過済みのチェックポイント(CP1)の次のチェックポイント(CP2)を復帰地点として設定し、自律走行を再開する。この場合、学習済みの経路R002の一部の経路(P34~P24、P24~P22を移動する経路)と、経路R001の一部(P12~P22を移動する経路)を組み合わせることで、現在位置からCP2まで自律走行で移動することができる。よって、図13のステップS3001において、経路判定部314は、学習済み経路を組み合わせて復帰地点であるCP2まで移動可能であると判定することができる。そして、自律走行装置110が復帰地点に到着後(S3003)、当該地点から経路R001の自律走行を再開する(S3004)。
【0089】
次に第4の例について説明する。復帰地点まで移動する第4の例において自律走行装置110は、図17に示すように、中断地点から現在位置まで遠隔操作で移動した経路を逆に辿って自律走行する。第4の例では、自律走行の中断後に遠隔操作によって移動した経路を経路情報記憶部334に記憶し、当該移動経路を逆に辿ることで中断地点まで自律走行して復帰する。このようにして遠隔操作による移動経路を記憶することで、図13のステップS3001において、経路判定部314は、記憶された経路に基づく自律走行によって中断地点まで移動可能であると判定することができる。そして、自律走行装置110が復帰地点に到着後(S3003)、当該地点から経路R001の自律走行を再開する(S3004)。
【0090】
ここで、第4の例における移動経路を記憶する処理について図18を以て説明する。図18は、本実施形態において自律走行が中断された自律走行装置110が経路を記憶する処理を示すフローチャートである。自律走行装置110は、自律走行の中断後、遠隔操作の開始によってステップS4000から処理を開始する。次にステップS4001では、位置取得部313が自律走行装置110の現在の位置情報を取得し、遠隔操作に係る経路情報として経路情報記憶部334に記憶する。これによって、中断地点の位置を記憶することができる。
【0091】
その後、ステップS4002において、遠隔操作によって一定の距離を移動したか否かによって処理を分岐する。すなわち、説明する実施形態では、一定の間隔でプロットした移動経路を経路情報として記憶する。一定の距離を移動していない場合には(NO)、ステップS4002に戻り、一定の距離を移動するまで処理を繰り返す。一方で、一定の距離を移動した場合には(YES)、ステップS4003に進む。なお、ステップS4002の分岐処理は、位置判定部332によって判定することができる。
【0092】
ステップS4003では、ステップS4001と同様に、位置取得部313が自律走行装置110の現在の位置情報を取得し、遠隔操作に係る経路情報として経路情報記憶部334に記憶する。その後、ステップS4004では、遠隔操作モードが継続されているか否かによって処理を分岐する。遠隔操作モードでない場合、すなわち、自律走行モードに切り替えた場合には(NO)、ステップS4005に進み、経路を記憶する処理を終了する。なお、ステップS4004の分岐処理は、走行制御部312の状態によって判定することができる。
【0093】
遠隔操作モードが継続されている場合には(YES)、ステップS4002に戻り、上記の各処理を遠隔操作モードが終了されるまで繰り返す。これによって、遠隔操作による移動を一定の距離間隔で経路情報として経路情報記憶部334に記憶することができる。
【0094】
ここまで、本実施形態における自律走行装置110が復帰地点まで移動する態様の第1~第4の例を説明した。なお、本実施形態の自律走行装置110に実装される態様は、第1~第4の例の移動方法のいずれか1つに限られず、複数の移動方法が自律走行装置110に実装され得る。また、第1~第4の例による移動方法のうち実行可能なものをユーザに提示し、ユーザが任意に選択できることとしてもよい。
【0095】
次に、自律走行で復帰地点に移動できない場合について図19を以て説明する。図19は、本実施形態において自律走行装置110が復帰地点まで移動できない例を説明する図である。すなわち、図19は、図13のステップS3001において自律走行で復帰地点に行けない場合に行われる動作の例を示している。かかる場合には、ユーザに対して自律走行による復帰ができない旨が通知される(ステップS3005)。このとき、自律走行装置110は、復帰地点に移動はできなくとも、学習済みの経路を利用して自律走行のスタート地点などの所定位置に移動できる場合がある。自律走行装置110がスタート地点に戻ることができれば、その後に再度自律走行を行うことが容易になり得る。
【0096】
説明する実施形態の例では、図19に示すように、学習済みの経路R002の一部の経路(P34~P24、P24~P21を移動する経路)と、経路R001の一部(P21~P11を移動する経路)を組み合わせることで、現在位置から自律走行のスタート地点(P11)まで自律走行で移動することができる。したがって、経路判定部314はこのような経路を特定して、自律走行装置110は、スタート地点まで戻ることができる。これによって、ユーザは、自律走行装置110の次の動作を選択する判定を容易に行うことができる。
【0097】
なお、ここまで説明した実施形態は、図1に示したように、自律走行装置110と、操作端末120と、サーバ130とを含む構成によるものであった。しかしながら、かかる構成は特に実施形態を限定するものではなく、例えば、自律走行装置110と、操作端末120とを含む構成のシステム100であってもよい。ここで、他の実施形態の構成の例について図20を以て説明する。
【0098】
図20は、他の実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。図20に示すように、他の実施形態において、システム100は、自律走行装置110と、操作端末120とがネットワーク140を介して接続される。すなわち、図1などにおいて説明した実施形態とは、サーバ130を含まない点で相違する。図20に示す各装置の詳細は、図1において説明したものと同様であるため、説明は省略するが、後述するように、図1におけるサーバ130の各機能を、自律走行装置110または操作端末120が備えることができる。
【0099】
また、図21は、他の実施形態のシステム100に含まれるソフトウェアブロック図である。他の実施形態では、図21に示すように、自律走行装置110は、通信部311、走行制御部312、位置取得部313、経路判定部314、撮影部315、点検部316、位置判定部317、通知部318、経路情報記憶部319の各機能手段を含んで構成される。また、他の実施形態における操作端末120は、通信部321、通知デバイス制御部322、操作部323、UI提供部324、地図データ記憶部325の各機能手段を含んで構成される。図21に示す各機能手段は、図3において説明したものと同様であるため、詳細は省略する。
【0100】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU201が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0101】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図21に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、操作端末120が位置判定部317や経路情報記憶部319などを備えてもよいし、自律走行装置110は自律走行および点検に係る機能手段のみを備え、それ以外の機能手段は操作端末120に含まれることとしてもよい。
【0102】
上述した機能手段によって実行される各種機能や処理などは、図4図19において説明したものと同様であるため、詳細は省略する。すなわち、説明する他の実施形態は、図1などにおけるサーバ130が実行する機能が、他の装置によって実行されるものである点に留意されたい。
【0103】
以下では、さらに別の実施形態について説明する。図22は、さらに別の実施形態におけるシステム100全体のハードウェアの概略構成を示す図である。図22に示す実施形態では、図1に示した実施形態と同様に、自律走行装置110と、操作端末120と、本実施形態のサービスを提供するサーバ130とが、ネットワーク140を介して接続される。サーバ130は、説明する実施形態に係るサービスを提供するコンピュータである。また、ネットワーク140は、インターネットやLANなどによる各装置間の通信を提供する。図22に示すように、さらに別の実施形態では、複数の拠点A~Cのそれぞれに自律走行装置110が配置される。なお、図22において、複数の拠点を示したのは説明の便宜のためであり、拠点が1つだけであっても、説明する実施形態を実現し得る点に留意されたい。すなわち、図22は、実施形態の一例であって、特に実施形態を限定するものではなく、拠点は1つであってもよいし、複数であってもよい。また、図22における各装置の詳細は、図1において説明したものと同様であるため、説明は省略する。
【0104】
なお、図22において、1台の操作端末120が示されているが、当該操作端末120が複数の拠点の自律走行装置110の動作を制御することとしてもよい。また、図22のシステム100において、各拠点の自律走行装置110が、それぞれに対応する複数の操作端末120によって操作されてもよい。
【0105】
図23は、さらに別の実施形態のシステム100に含まれるソフトウェアブロック図である。通信部311、走行制御部312、位置取得部313、経路判定部314、撮影部315、点検部316の各機能手段を含んで構成される。説明する実施形態の操作端末120は、通信部321、通知デバイス制御部322、操作部323の各機能手段を含んで構成される。説明する実施形態のサーバ130は、UI提供部331、位置判定部332、通知部333、画像判定部336、経路情報記憶部334、地図データ記憶部335、停止状況記憶部337の各機能手段を含んで構成される。なお、図23に示す機能手段のうち、画像判定部336および停止状況記憶部337以外の機能手段は、図3において説明したものと同様であるため、詳細は省略する。
【0106】
画像判定部336は、過去に停止したときの状況を撮影した画像と、走行中の自律走行装置110が撮影している画像とを比較し、各画像に係る自律走行装置110の周辺状況の一致度を判定する手段である。周辺状況の一致度が、所定の閾値以上である場合には、走行中の自律走行装置110が停止する必要である可能性が高いものとして、通知部333がユーザに対してその旨を通知する。
【0107】
停止状況記憶部337は、操作端末120によって自律走行装置110を停止する操作が行われた際に撮影していた画像を、種々の情報と関連付けて記憶する手段である。ここで、停止状況記憶部337に記憶される情報について、図24を以て説明する。図24は、さらに別の実施形態の停止状況記憶部337に記憶されるテーブルの例を示す図である。
【0108】
説明する実施形態における停止状況記憶部337は、図24に示すように、画像IDと、装置IDと、エリア情報と、撮影位置座標と、撮影日時と、画像データの各項目を対応付けたテーブルを記憶する。なお、図24に示す停止状況記憶部337のテーブルに含まれる項目は一例であり、停止状況記憶部337に含まれる項目は、図24に示すものよりも少なくてもよいし、図24に示した項目以外の項目を含むものであってもよい。
【0109】
画像IDは、自律走行装置110が停止した際に撮影した画像(以下、「停止画像」として参照する)を識別するIDである。画像IDは、自律走行装置110から取得した画像を一意に特定できるものであればよく、一例として、画像のデータに含まれる情報から生成することなどによって得られる。例えば、画像のデータにカメラ固有の製造情報と撮像した日時が含まれている場合、これらの組み合わせから生成できる。装置IDは、画像を撮影した自律走行装置110を識別するIDである。なお、他の例では、装置IDは、自律走行装置110を識別するものでなくてもよく、例えば、自律走行装置110に搭載されたカメラを識別するIDであってもよい。装置IDは、一例として自律走行装置110から取得した画像の画像ファイルに撮影したカメラ固有の製造情報が含まれていれば、当該製造情報に基づき生成できる。
【0110】
エリア情報は、停止画像が撮影されたエリアを示す情報である。説明する実施形態では、エリアの例として、自律走行装置110が配置された拠点(例えば、拠点A、拠点Bなど)が挙げられる。サーバ130は、自律走行装置110と操作端末120とを管理し、特に、各装置と対象拠点とを関連付けて管理しているため、撮影した画像を送信してきた自律走行体110が配置された拠点を特定でき、エリア情報とする。撮影位置座標は、停止画像が撮影された位置の座標を示す。停止画像の撮影位置座標は、自律走行装置110の位置取得部313が、例えばGPSなどを使用して、停止した時点の位置を取得することで得られる。撮影日時は、停止画像が撮影された日付および時刻である。すなわち、撮影日時は、自律走行装置110が停止した日付および時刻を示すものである。例えば、撮影日時は、自律走行装置110から取得した画像の画像ファイルに含まれる、画像ファイルが生成された日付および時刻とすることができる。
【0111】
画像データは、停止画像を示すデータである。停止状況記憶部337に記憶される画像データは、停止画像のファイル名であってもよいし、停止画像が格納されたフォルダを示すパスなどであってもよい。
【0112】
説明を図23に戻す。なお、図23において図3と共通する機能手段については詳細を省略したが、説明する実施形態における通知部333は、画像判定部336が判定した結果に基づいて、自律走行装置110の停止の必要性が高い状況にある旨を通知することができる。
【0113】
なお、上述したソフトウェアブロックは、CPU201が本実施形態のプログラムを実行することで、各ハードウェアを機能させることにより、実現される機能手段に相当する。また、各実施形態に示した機能手段は、全部がソフトウェア的に実現されても良いし、その一部または全部を同等の機能を提供するハードウェアとして実装することもできる。
【0114】
さらに、上述した各機能手段は、必ずしも全てが図23に示すような構成で含まれていなくてもよい。例えば、操作端末120がUI提供部331、地図データ記憶部335、経路判定部314などを含んでいてもよいし、経路情報記憶部334を自律走行装置110や操作端末120が含んで構成されてもよい。また、例えば、他の好ましい実施形態では、各機能手段は、自律走行装置110と、操作端末120と、サーバ130との協働によって実現されてもよい。
【0115】
次に、さらに別の実施形態において実行する処理について、図25を以て説明する。図25は、さらに別の実施形態において、停止の可能性を通知する処理を示すフローチャートである。なお、図25の処理は、一例としてサーバ130が実行するものとして説明するが、システム100が実行してもよい。
【0116】
サーバ130は、ステップS5000から処理を開始する。ステップS5001において、サーバ130は、走行中の自律走行装置110が撮影した画像を取得する。
【0117】
次に、ステップS5002では、画像判定部336は、停止状況記憶部337を参照して、ステップS5001で取得した画像と、過去の停止画像とを比較する。自律走行装置110が緊急停止する、また操作端末120の操作により停止する状況は、例えば、一般に自律走行装置110が走行可能な走行経路上に想定されない障害物がある場合である。その場合、自律走行装置110の撮像装置は、走行経路上に障害物があることを示す特徴的な画像、例えば人や動物を示す画像を撮像する。またその他に緊急停止する、また操作端末120の操作により停止する状況は、例えば、自律走行装置110の姿勢が大きく変化する場合が挙げられる。その場合自律走行装置110の撮像装置は、時間変化が大きかったり水平方向がずれたりするなどの特徴的な画像を撮像する。このような状況は、特定の場所によらず発生し得るものであるため、説明する実施形態のように、停止状況記憶部337に複数の拠点で撮影された停止画像を記憶することで、様々な状況にも対応することができる。なお、ステップS5002における比較処理は、例えば、画像内の特徴的な部分を抽出することで行うことができる。
【0118】
その後、ステップS5003では、比較した両画像の一致度が所定の閾値以上であるか否かによって処理を分岐する。一致度が閾値以上でない場合には(NO)、ステップS5001に戻り、次の画像を取得する。一致度が閾値以上である場合(YES)、すなわち、自律走行装置110が撮影した画像と、過去の停止画像とが類似している場合には、当該自律走行装置110が停止の必要性が高い状況にあるものとして、ステップS5004に進む。
【0119】
ステップS5004では、通知部333は、自律走行装置110が停止する可能性がある旨を通知する。これによって、ユーザは、走行中の自律走行装置110の周辺の状況が、停止を必要とする可能性があることを認識でき、回避動作を行うなどの対策を講じることができる。その後、ステップS5005で処理を終了する。
【0120】
図25に示す処理によって、システム100は、停止につながる可能性のある画像が撮影された場合に、その画像を撮影した自律走行装置110は停止の可能性があるものとして、ユーザにその旨を通知することができる。
【0121】
以上、説明した本発明の実施形態によれば、自律移動の可否の判断が容易に行うことができる情報処理システム、自律移動体、情報処理装置、方法およびプログラムを提供することができる。
【0122】
上述した本発明の実施形態の各機能は、C、C++、C#、Java(登録商標)等で記述された装置実行可能なプログラムにより実現でき、本実施形態のプログラムは、ハードディスク装置、CD-ROM、MO、DVD、フレキシブルディスク、EEPROM(登録商標)、EPROM等の装置可読な記録媒体に格納して頒布することができ、また他装置が可能な形式でネットワークを介して伝送することができる。
【0123】
以上、本発明について実施形態をもって説明してきたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、当業者が推考しうる実施態様の範囲内において、本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。なお、本発明の態様は、以下のものを含み得るが、これらに限定するものではない。
【0124】
本発明の第1の態様は、
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理システムであって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知する通知手段を含む、
情報処理システムである。
【0125】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、
ディスプレイをさらに含み、
前記通知手段は、前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記第1のモードに切り替えることができない表示を前記ディスプレイにすることを特徴とする、
情報処理システムである。
【0126】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様において、
ディスプレイをさらに含み、
前記自律移動体の位置が前記経路上にある場合に、前記ディスプレイの所定の領域に前記第1のモードに切り替える操作に係るボタンを表示することを特徴とする、
情報処理システムである。
【0127】
本発明の第4の態様は、第1の態様または第2の態様において、
ディスプレイをさらに含み、
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記ディスプレイの所定の領域に表示された前記第1のモードに切り替える操作に係るボタンを非表示にする、
情報処理システムである。
【0128】
本発明の第5の態様は、第2の態様において、
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合であって、前記自律移動体が自律走行の中断中であるか、第2のモードによる制御中である場合に、前記通知手段は、前記第1のモードに切り替える操作に係るボタンを無効にする表示をする、
情報処理システムである。
【0129】
本発明の第6の態様は、第1の態様において、
スピーカをさらに含み、
前記通知手段は、前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記第1のモードに切り替えることができない旨の音声を前記スピーカから出力することを特徴とする、
情報処理システムである。
【0130】
本発明の第7の態様は、第1の態様において、
ハプティクスデバイスをさらに含み、
前記通知手段は、前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合に、前記第1のモードに切り替えることができないことを示すパターンで前記ハプティクスデバイスを動作させることを特徴とする、
情報処理システムである。
【0131】
本発明の第8の態様は、第1の態様または第2の態様において、
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合には、前記自律移動体は、前記第1のモードに切り替える操作を受け付けないことを特徴とする、
情報処理システムである。
【0132】
本発明の第9の態様は、第1の態様~第8の態様において、
前記自律移動体が前記第1のモードで動作している場合に、前記経路の所定の位置において、当該自律移動体の周辺の画像を撮影する撮影手段をさらに含む、
情報処理システムである。
【0133】
本発明の第10の態様は、第1の態様~第9の態様において、
前記自律移動体が前記第1のモードで動作している場合に、前記経路の所定の位置において、当該位置の温度を点検する点検手段をさらに含む、
情報処理システムである。
【0134】
本発明の第11の態様は、第9の態様または第10の態様において、
前記自律移動体が、工場の敷地内を前記第1のモードまたは前記第2のモードで動作することを特徴とする、
情報処理システムである。
【0135】
本発明の第12の態様は、第9の態様または第10の態様において、
前記自律移動体が、医療施設内を前記第1のモードまたは前記第2のモードで動作することを特徴とする、
情報処理システムである。
【0136】
本発明の第13の態様は、第1の態様~第12の態様において、
ユーザによる操作を受け付ける操作端末をさらに含む、
情報処理システムである。
【0137】
本発明の第14の態様は、
第13の態様における前記操作端末とネットワークを介して通信可能な自律移動体であって、
前記操作端末に対する操作に応じて、前記切り替えを実行する自律移動体である。
【0138】
本発明の第15の態様は、
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体であって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にない場合には、前記第1のモードに切り替える操作を受け付けないことを特徴とする、
自律移動体である。
【0139】
本発明の第16の態様は、
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理装置であって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知する通知手段を含む、
情報処理装置である。
【0140】
本発明の第17の態様は、
所定の経路を自律移動する第1のモードと、遠隔操作によって移動する第2のモードとの切り替えが可能な自律移動体を制御する情報処理システムが実行する方法であって、
前記自律移動体の位置が前記経路上にあるか否かに応じて、前記切り替えに関する情報を通知するステップを含む、
方法である。
【0141】
本発明の第18の態様は、
コンピュータが実行するプログラムであって、前記コンピュータに第18の態様の方法を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0142】
100…システム、110…自律走行装置、120…操作端末、130…サーバ、140…ネットワーク、201…CPU、202…RAM、203…ROM、204…記憶装置、205…通信I/F、206…走行ユニット、207…センサ、208…カメラ、209…ディスプレイ、210…入力装置、211…スピーカ、212…ハプティクスデバイス、240…記憶装置、311…通信部、312…走行制御部、313…位置取得部、314…経路判定部、315…撮影部、316…点検部、317…位置判定部、318…通知部、319…経路情報記憶部、321…通信部、322…通知デバイス制御部、323…操作部、324…UI提供部、325…地図データ記憶部、331…UI提供部、332…位置判定部、333…通知部、334…経路情報記憶部、335…地図データ記憶部、336…画像判定部、337…停止状況記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】
【特許文献1】特開2007-310698号公報
図1
図2
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