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特開2023-143802ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物及びパターン形成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023143802
(43)【公開日】2023-10-06
(54)【発明の名称】ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物及びパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/11 20060101AFI20230928BHJP
   C08G 77/04 20060101ALI20230928BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20230928BHJP
【FI】
G03F7/11 503
C08G77/04
H01L21/30 573
H01L21/30 502D
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041625
(22)【出願日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】P 2022049689
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】小林 直貴
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 かなた
(72)【発明者】
【氏名】三井 亮
(72)【発明者】
【氏名】矢野 俊治
【テーマコード(参考)】
2H225
4J246
5F146
【Fターム(参考)】
2H225AF11N
2H225AF23N
2H225AF24N
2H225AF24P
2H225AF29P
2H225AF44N
2H225AF44P
2H225AF48P
2H225AF56N
2H225AF71P
2H225AF78N
2H225AF99P
2H225AH12
2H225AH17
2H225AJ13
2H225AJ53
2H225AJ54
2H225AJ59
2H225AJ60
2H225AM85N
2H225AM91N
2H225AM92N
2H225AM94N
2H225AM99N
2H225AN11N
2H225AN21P
2H225AN31N
2H225AN31P
2H225AN38N
2H225AN38P
2H225AN39N
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN51P
2H225AN62P
2H225AP08N
2H225BA01N
2H225BA02N
2H225BA02P
2H225BA11P
2H225BA20N
2H225BA21N
2H225BA26P
2H225BA32P
2H225CA12
2H225CB10
2H225CB14
2H225CC03
2H225CC15
4J246AA03
4J246AA19
4J246BA260
4J246BA26X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA240
4J246CA249
4J246CA24X
4J246CA250
4J246CA259
4J246CA25X
4J246CA400
4J246CA409
4J246CA40X
4J246CA530
4J246CA539
4J246CA53X
4J246CA640
4J246CA649
4J246CA64X
4J246CA660
4J246CA669
4J246CA66X
4J246CA680
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4J246CA840
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4J246CA84X
4J246FA071
4J246FA321
4J246FA461
4J246FB091
4J246FE26
4J246GA01
4J246GB04
4J246GC60
4J246GD08
4J246HA15
5F146AA31
5F146NA19
(57)【要約】
【課題】多層レジスト法において超微細パターンの倒れ抑止効果が高く、LWRに優れたレジストパターンを形成可能であり、かつ従来のケイ素含有下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性と湿式剥離性を有するとともに、従来のメタルハードマスク材料に対して優れた埋め込み特性を併せ持つケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を提供する。
【解決手段】
(A)金属酸化物ナノ粒子と、(B)芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサン(Sx)と、(C)溶媒を含むものであることを特徴とするケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)金属酸化物ナノ粒子と、(B)芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサン(Sx)と、(C)溶媒を含むものであることを特徴とするケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項2】
前記(A)金属酸化物ナノ粒子が、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、タングステン、チタン、銅、スズ、セリウム、インジウム、亜鉛、イットリウム、ランタン、クロム、コバルト、白金、鉄、アンチモン及びゲルマニウムからなる群から選択される金属の酸化物ナノ粒子の一種以上であることを特徴とする請求項1に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項3】
前記(A)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化タングステンナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子からなる群から選択される一種以上のものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項4】
前記(A)金属酸化物ナノ粒子が、100nm以下の平均一次粒子径を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項5】
前記(B)熱架橋性ポリシロキサン(Sx)が、下記一般式(Sx-1)で表される繰り返し単位、下記一般式(Sx-2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(Sx-3)で表される部分構造のいずれか1つ以上を含む構造単位を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【化1】
(式中、Rは1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を持つ芳香環を含まない有機基、または、酸、熱のいずれかまたは両方の作用により保護基が脱離して1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を発生する芳香環を含まない有機基である。R、Rはそれぞれ独立に芳香環を含まない有機基か、水素原子である。)
【請求項6】
架橋触媒(Xc)を更に含有するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項7】
前記架橋触媒(Xc)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、これらを構造の一部として有するポリシロキサン、又はアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項6に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項8】
前記(C)溶媒が、有機溶剤であって、沸点が180℃未満の有機溶剤の1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤の1種以上との混合物であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物。
【請求項9】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(I-2)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、有機レジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記有機レジスト下層膜上に、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして、ドライエッチングで前記有機レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された有機レジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、有機レジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記有機レジスト下層膜上に、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(III-3)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、有機薄膜形成用の組成物を用いてBARC又は密着膜を形成する工程、
(III-4)前記BARC又は前記密着膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜及び前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして、ドライエッチングで前記有機レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された有機レジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
レジストパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、フォトレジスト材料を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(IV-2)前記フォトレジスト膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記フォトレジスト膜にパターンを形成する工程、
(IV-3)前記フォトレジスト膜パターン上に、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記フォトレジスト膜パターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(IV-4)前記パターンが形成された前記フォトレジスト膜上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記フォトレジスト膜の上面を露出させる工程、
(IV-5)表面が露出した前記フォトレジスト膜パターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(IV-6)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項13】
ナノインプリント法により得られたパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、ナノインプリント法によりパターンを形成する工程、
(V-2)パターン上に、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記ナノインプリントパターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(V-3)前記ナノインプリント法により形成したパターン上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記ナノインプリントパターン膜の上面を露出させる工程、
(V-4)表面が露出した前記ナノインプリントパターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(V-5)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
レジストパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(VI-1)被加工基板上に、フォトレジスト材料を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(VI-2)前記フォトレジスト膜をパターン露光した後、現像液で現像する工程、及び必要に応じてさらにリンス液でリンス処理する工程、
(VI-3)前記現像液、又は前記リンス液を請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で置換し、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記フォトレジスト膜パターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(VI-4)前記パターンが形成された前記フォトレジスト膜上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記フォトレジスト膜の上面を露出させる工程、
(VI-5)表面が露出した前記フォトレジスト膜パターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(VI-6)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項15】
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(VII-1)被加工基板上に有機レジスト下層膜を形成し、その上に請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成し、更にその上にレジスト上層膜を形成する工程、
(VII-2)前記レジスト上層膜を露光、現像してレジスト上層膜パターンを形成する工程、
(VII-3)前記レジスト上層膜パターンをマスクとしてドライエッチングでケイ素含有メタルハードマスクに前記レジスト上層膜パターンを転写し、更に前記レジスト上層膜パターンが転写された前記ケイ素含有メタルハードマスクをマスクとして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクの一部を前記有機レジスト下層膜の上部に残して前記有機レジスト下層膜に前記レジスト上層膜パターンを転写して有機レジスト下層膜パターンを形成する工程、
(VII-4)前記有機レジスト下層膜パターン上部に残った前記ケイ素含有メタルハードマスクを剥離液で除去する工程、
(VII-5)前記有機レジスト下層膜パターンを覆うようにポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素又はこれらの複合材料のうちのいずれかからなる無機ケイ素膜をCVD法又はALD法によって形成する工程、
(VII-6)前記無機ケイ素膜の一部をドライエッチングで除去して前記有機レジスト下層膜パターンの上部を露出させる工程、及び
(VII-7)前記有機レジスト下層膜パターンを除去して、パターンピッチが前記レジスト上層膜パターンの1/2である無機ケイ素膜パターンを形成する工程、
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項16】
前記工程(VII-4)において、剥離液をフッ素イオン、窒素含有カチオンのいずれか一方又は両方を含むものとすることを特徴とする請求項15に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記被加工基板を、半導体装置基板、又は該半導体装置基板上に金属膜、合金膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜が成膜されたものとすることを特徴とする請求項9から請求項16のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
前記被加工基板を構成する金属がケイ素、ガリウム、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、銀、金、インジウム、ヒ素、パラジウム、タンタル、イリジウム、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、マンガン、ルテニウム又はこれらの合金とすることを特徴とする請求項9から請求項17のいずれか一項に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模集積回路(LSI)の高集積化と高速度化に伴い、パターン寸法の微細化が急速に進んでいる。リソグラフィー技術は、この微細化に併せ、光源の短波長化とそれに対応するレジスト組成物の適切な選択により、微細パターンの形成を達成してきた。その中心となったのは単層で使用するポジ型フォトレジスト組成物である。この単層ポジ型フォトレジスト組成物は、塩素系あるいはフッ素系のガスプラズマによるドライエッチングに対しエッチング耐性を持つ骨格をレジスト樹脂中に持たせ、かつ露光部が溶解するようなスイッチング機構を持たせることによって、露光部を溶解させてパターンを形成し、残存したレジストパターンをエッチングマスクとして被加工基板をドライエッチング加工するものである。
【0003】
ところが、使用するフォトレジスト膜の膜厚をそのままで微細化、即ちパターン幅をより小さくした場合、フォトレジスト膜の解像性能が低下し、また現像液によりフォトレジスト膜をパターン現像しようとすると、いわゆるアスペクト比が大きくなりすぎ、結果としてパターン崩壊が起こってしまうという問題が発生した。このため、パターンの微細化に伴いフォトレジスト膜は薄膜化されてきた。
【0004】
一方、被加工基板の加工には、通常、パターンが形成されたフォトレジスト膜をエッチングマスクとして、ドライエッチングにより基板を加工する方法が用いられるが、現実的にはフォトレジスト膜と被加工基板の間に完全なエッチング選択性を取ることのできるドライエッチング方法が存在しない。そのため、基板の加工中にレジスト膜もダメージを受けて崩壊し、レジストパターンを正確に被加工基板に転写できなくなるという問題があった。そこで、パターンの微細化に伴い、フォトレジスト組成物にはより高いドライエッチング耐性が求められてきた。しかしながら、その一方で、解像性を高めるために、フォトレジスト組成物に使用する樹脂には、露光波長における光吸収の小さな樹脂が求められてきた。そのため、露光光がi線、KrF、ArFと短波長化するにつれて、フォトレジスト組成物に使用する樹脂もノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレン、脂肪族多環状骨格を持った樹脂へと変化してきたが、現実的には基板加工時のドライエッチング条件におけるエッチング速度は速いものになってきてしまっており、解像性の高い最近のフォトレジスト組成物は、むしろエッチング耐性が弱くなる傾向にある。
【0005】
このことから、より薄くよりエッチング耐性の弱いフォトレジスト膜で被加工基板をドライエッチング加工しなければならないことになり、この加工工程における材料及びプロセスの確保は急務になってきている。
【0006】
このような問題点を解決する方法の一つとして、多層レジスト法がある。この方法は、フォトレジスト膜(即ち、レジスト上層膜)とエッチング選択性が異なる下層膜をレジスト上層膜と被加工基板の間に介在させ、レジスト上層膜にパターンを得た後、レジスト上層膜パターンをドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより下層膜にパターンを転写し、更に下層膜をドライエッチングマスクとして、ドライエッチングにより被加工基板にパターンを転写する方法である。
【0007】
多層レジスト法の一つに、単層レジスト法で使用されている一般的なレジスト組成物を用いて行うことができる3層レジスト法がある。この3層レジスト法では、例えば、被加工基板上にノボラック樹脂等による有機膜を成膜し、その上にケイ素含有レジスト中間膜を成膜し、その上に通常の有機系フォトレジスト膜をレジスト上層膜として形成する。フッ素系ガスプラズマによるドライエッチングを行う際には、有機系のレジスト上層膜は、ケイ素含有レジスト中間膜に対して良好なエッチング選択比が取れるため、レジスト上層膜パターンはフッ素系ガスプラズマによるドライエッチングによりケイ素含有レジスト中間膜に転写することができる。この方法によれば、直接被加工基板を加工するための十分な膜厚を持ったパターンを形成することが難しいレジスト組成物や、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持たないレジスト組成物を用いても、ケイ素含有膜(レジスト中間膜)にパターンを転写することができ、続いて酸素系又は水素系ガスプラズマによるドライエッチングによるパターン転写を行えば、基板の加工に十分なドライエッチング耐性を持つノボラック樹脂等による有機膜のパターンを得ることができる。有機膜パターンを形成した後に残ったケイ素含有膜は、一般に、フッ素系ガスプラズマによるドライエッチング、もしくはアルカリ系、フッ素系などのエッチング液によるウェットエッチング(湿式剥離)により、欠陥の原因となる残渣とならないよう除去される。エッチング速度が不十分な場合、ケイ素含有膜由来の残渣が残って欠陥となる、あるいは長時間のエッチング処理が必要となって被加工基板にダメージを与えるなどの問題を生じる可能性が高まる。このように、正確なパターニング、及び円滑な除去のため、ケイ素含有レジスト中間膜には、適切なエッチング速度が必要とされる。
【0008】
一方、近年においては、ArF液浸リソグラフィー、EUVリソグラフィーなどの登場により、より微細なパターンの形成が可能となりつつあるが、一方で超微細パターンは接地面積が小さいため極めて倒れ易く、パターン倒れの抑制が非常に大きな課題である。このために、レジスト上層膜の薄膜化が必要となるが、レジスト下層膜とのエッチング選択比を稼ぐために、レジスト上層膜にもドライエッチング選択性の改善が必要となってくる。この課題を解消するための試みとして、レジスト材料に金属材料を用いることが近年検討されるようになった。バリウム、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、スズ等の金属元素を含む化合物は、金属を含まない有機材料に比べて、EUV光に対する吸光度が高く、レジストの感光性の向上やショットノイズの影響の抑制が期待できる。また、金属含有レジストパターンは、非金属材料からなる下層膜と組み合わせることにより、高選択比エッチング加工が期待できる。しかしながら、これらの金属含有レジストの解像性や安定性は未だ実用化に必要とされる水準には届かず、解像性の更なる向上が求められる(特許文献1)。
【0009】
一方、上記課題に対して、レジスト上層膜や被加工基板に対して優れたエッチング選択性を示す金属種を、レジスト下層膜に用いる技術が注目されている。しかしながら、被加工基板とのエッチング選択性に優れるだけでなく、レジスト下層膜としての必要性能である微細凹凸パターンの充填性や、LWRやCDUに優れる上層レジストパターンの形成が可能な材料は報告されていない。
【0010】
微細レジストパターンを上層に形成することが可能なレジスト下層膜材料を形成するために、レジスト上層膜との密着性に期待のできるケイ素含有化合物とエッチング選択性に期待のできるチタン化合物を組み合わせた材料が報告されている(特許文献2)。しかしながら、加水分解性チタン化合物は反応性が高く、組成物としての安定性が悪い。また、充填性については述べられていないが、加水分解性チタン化合物を加水分解または縮合することで得たチタン含有化合物は反応性が高いために、熱流動性が低く、充填性は期待できないと推察される。また、実施例に使用しているケイ素含有化合物の多くが芳香環を含んでいることから、ケイ素含有化合物による流動性のアシストも期待できないことが考えられる。また、特許文献3では、ポリ酸とポリシロキサンを組み合わせたレジスト下層膜上に、60nmのライン&スペースパターンの形成を報告しているが、ポリシロキサンの構造からレジスト上層膜との密着性は高くないことが予想されるため、より微細なレジストパターンの形成は困難であると考えられる。
【0011】
高屈折率レンズ用材料では、金属酸化物ナノ粒子と加水分解性シランを組み合わせた材料が多く報告されている(特許文献4、特許文献5)。半導体製造とは異なる用途なのでレジスト下層膜材料としての性能については述べられていないが、分散性に優れた金属酸化物ナノ粒子を用いることで優れた流動性を発揮することが期待される。しかしながら、加水分解性シランにレジストパターンとの密着性に期待できる有機基が含まれていないため、先端のレジスト下層膜材料としての適用は期待できない。
【0012】
被加工基板とのエッチング選択性に優れるだけでなく、微細凹凸パターンの充填性に優れ、かつLWRやCDUに優れる上層のレジストパターンの形成が可能な材料を開発できれば、3層レジストプロセスのレジスト中間膜としてだけでなく、2層レジストプロセスのレジスト下層膜としても好適に用いることが可能となる。特にEUV適用世代では基板からの反射率制御は不要であり、上層レジストパターンとの密着性と上層レジストと被加工基板に対するエッチング選択性に優れれば2層レジストプロセスも選択肢に入ってくる可能性がある。具体的には、凹凸を有する被加工基板を充填することが可能であり、上層に超微細レジストパターンを形成することが可能であり、上層レジストパターンを高精度で被加工基板に転写することが可能な材料が必要となる。また、被加工基板に対するエッチング選択性と埋め込み/平坦化特性に優れることで、レジスト下層膜としてだけでなく、レジストパターンのトーン反転式パターン形成方法に用いる反転剤としての利用にも展開できる。このように、微細凹凸パターンの充填性および上層膜と被加工基板に対するエッチング選択性に優れ、かつ上層にLWRやCDUに優れるレジストパターンの形成が可能な材料を開発できれば、先端世代のリソグラフィー技術の課題を複数のアプローチで解消できる汎用性の高い材料として有用である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第6119544号公報
【特許文献2】特許第6196165号公報
【特許文献3】特許第6327484号公報
【特許文献4】WO2015-115377号
【特許文献5】特開第2016-155882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、多層レジスト法において超微細パターンの倒れ抑止効果が高く、LWRに優れたレジストパターンを形成可能であり、かつ従来のケイ素含有下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性と湿式剥離性を有するとともに、従来のメタルハードマスク材料に対して優れた埋め込み特性を併せ持つケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明では、多層レジスト法に用いられるメタルハードマスク材料またはパターン反転プロセスによるパターン形成方法に用いられる反転材料であって、
(A)金属酸化物ナノ粒子と、(B)芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサン(Sx)と、(C)溶媒を含むものであるケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を提供する。
【0016】
このようなケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物であれば、分散性に優れた金属酸化物ナノ粒子と、芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサンから構成されるため、金属酸化物ナノ粒子単独では実現困難な高度な平坦化特性/埋め込み特性を併せ持つケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を提供することが可能である。また、レジスト上層膜や被加工基板に対して優れたエッチング選択性を示す金属種の酸化物ナノ粒子が膜中に良好に分散していることで、従来のケイ素含有中間膜材料に対して優れたエッチング耐性を発揮することが可能である。更に、このケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いて形成されたメタルハードマスクは、超微細パターンの倒れ抑止効果が高く、LWRに優れたレジストパターンを形成可能であり、良好な湿式剥離性を有する。
【0017】
前記(A)金属酸化物ナノ粒子が、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、タングステン、チタン、銅、スズ、セリウム、インジウム、亜鉛、イットリウム、ランタン、クロム、コバルト、白金、鉄、アンチモン及びゲルマニウムからなる群から選択される金属の酸化物ナノ粒子の一種以上であることが好ましい。
【0018】
このような金属酸化物ナノ粒子を用いることで、金属ナノ粒子の分散性/安定性に優れたケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を調製することが可能となる。
【0019】
前記(A)金属酸化物ナノ粒子が、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化タングステンナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子からなる群から選択される一種以上のものであることが好ましい。
【0020】
このような金属酸化物ナノ粒子を用いることで、エッチング耐性に優れたメタルハードマスクを形成することが可能となる。
【0021】
前記(A)金属酸化物ナノ粒子が、100nm以下の平均一次粒子径を有するものであることが好ましい。
【0022】
このような金属酸化物ナノ粒子を用いることで、金属ナノ粒子の分散性と流動性に優れたケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を調製することが可能である。
【0023】
前記(B)熱架橋性ポリシロキサン(Sx)が、下記一般式(Sx-1)で表される繰り返し単位、下記一般式(Sx-2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(Sx-3)で表される部分構造のいずれか1つ以上を含む構造単位を有するものであることが好ましい。
【化1】
(式中、Rは1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を持つ芳香環を含まない有機基、または、酸、熱のいずれかまたは両方の作用により保護基が脱離して1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を発生する芳香環を含まない有機基である。R、Rはそれぞれ独立に芳香環を含まない有機基か、水素原子である。)
【0024】
このような熱架橋性ポリシロキサンを含むことで、アルカリ現像(ポジ型現像)、有機溶剤現像(ネガ型現像)に関係なく、いずれのレジストパターンに対してもレジスト上層膜との良好な密着性を発揮することが可能である。また、R~Rが芳香環を含まないことで、熱流動性に優れたケイ素含有メタルハードマスクを形成することが可能である。
【0025】
上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、架橋触媒(Xc)を更に含有するものであることが好ましい。
【0026】
このようなケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物であれば、熱架橋性ポリシロキサンと金属酸化物が高密度に架橋したケイ素含有メタルハードマスクを形成することができる。
【0027】
この場合、前記架橋触媒(Xc)が、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩、これらを構造の一部として有するポリシロキサン、又はアルカリ金属塩であることが好ましい。
【0028】
このような架橋触媒(Xc)を本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物と組み合わせることで、LWRやCDUにより優れたレジストパターンを形成することができる。
【0029】
前記(C)溶媒が、有機溶剤であって、沸点が180℃未満の有機溶剤の1種以上と、沸点が180℃以上の有機溶剤の1種以上との混合物であることが好ましい。
【0030】
上記有機溶剤が上記混合物であれば、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物に高沸点溶剤の添加による熱流動性が付与されることで、高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つものとなる。
【0031】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(I-1)被加工基板上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(I-2)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0032】
上記2層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工体(被加工基板)に微細なパターンを形成することができる。
【0033】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(II-1)被加工基板上に、有機レジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記有機レジスト下層膜上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして、ドライエッチングで前記有機レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された有機レジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0034】
上記3層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0035】
また、本発明は、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、有機レジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記有機レジスト下層膜上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(III-3)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、有機薄膜形成用の組成物を用いてBARC又は密着膜を形成する工程、
(III-4)前記BARC又は前記密着膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜及び前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして、ドライエッチングで前記有機レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された有機レジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0036】
上記4層レジストプロセスによるパターン形成方法により、被加工基板に微細なパターンを高精度で形成することができる。
【0037】
また、本発明は、レジストパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、フォトレジスト材料を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(IV-2)前記フォトレジスト膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記フォトレジスト膜にパターンを形成する工程、
(IV-3)前記フォトレジスト膜パターン上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記フォトレジスト膜パターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(IV-4)前記パターンが形成された前記フォトレジスト膜上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記フォトレジスト膜の上面を露出させる工程、
(IV-5)表面が露出した前記フォトレジスト膜パターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(IV-6)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0038】
上記反転プロセスによるパターン形成方法により、被加工基板に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【0039】
また、本発明は、ナノインプリント法により得られたパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、ナノインプリント法によりパターンを形成する工程、
(V-2)パターン上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記ナノインプリントパターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(V-3)前記ナノインプリント法により形成したパターン上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記ナノインプリントパターン膜の上面を露出させる工程、
(V-4)表面が露出した前記ナノインプリントパターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(V-5)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0040】
上記反転プロセスによるパターン形成方法により、ナノインプリントリソグラフィー法を用いる方法で被加工基板に微細なパターンをより一層高精度で形成することができる。
【0041】
また、本発明は、レジストパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(VI-1)被加工基板上に、フォトレジスト材料を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(VI-2)前記フォトレジスト膜をパターン露光した後、現像液で現像する工程、及び必要に応じてさらにリンス液でリンス処理する工程、
(VI-3)前記現像液、又は前記リンス液を上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で置換し、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記フォトレジスト膜パターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(VI-4)前記パターンが形成された前記フォトレジスト膜上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記フォトレジスト膜の上面を露出させる工程、
(VI-5)表面が露出した前記フォトレジスト膜パターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(VI-6)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0042】
上記レジストパターン反転プロセスによるパターン形成方法により、超微細なレジストパターンを倒壊させることなく、被加工基板に超微細パターンを高精度で形成することができる。
【0043】
レジストパターンが超微細になると、現像液やリンス液でレジストを除去しレジストパターンを形成する時にラプラス力が働きパターン倒れを生じる可能性がある。さらに、現像時に現像液をスピンドライするときにも、ラプラス力によるパターン倒れを生じる。上記方法では、現像液またはリンス液を上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で置換することにより、レジストパターン間にケイ素含有メタルハードマスクを充填し、乾燥後はレジストパターン間に上記組成物膜が形成され、レジストパターンとその間に形成された上記組成物膜とのドライエッチング速度差を利用して、ドライエッチングによるパターンの反転を行うことができる。
【0044】
上記レジストパターン反転プロセスによるパターン形成方法は、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の溶剤組成を上記現像液との親和性に優れる組成に調整することで、上記現像液が、アルカリ現像(ポジ型現像)、有機溶剤現像(ネガ型現像)に関係なく、提供することができる。
【0045】
また、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(VII-1)被加工基板上に有機レジスト下層膜を形成し、その上に上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成し、更にその上にレジスト上層膜を形成する工程、
(VII-2)前記レジスト上層膜を露光、現像してレジスト上層膜パターンを形成する工程、
(VII-3)前記レジスト上層膜パターンをマスクとしてドライエッチングでケイ素含有メタルハードマスクに前記レジスト上層膜パターンを転写し、更に前記レジスト上層膜パターンが転写された前記ケイ素含有メタルハードマスクをマスクとして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクの一部を前記有機レジスト下層膜の上部に残して前記有機レジスト下層膜に前記レジスト上層膜パターンを転写して有機レジスト下層膜パターンを形成する工程、
(VII-4)前記有機レジスト下層膜パターン上部に残った前記ケイ素含有メタルハードマスクを剥離液で除去する工程、
(VII-5)前記有機レジスト下層膜パターンを覆うようにポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素又はこれらの複合材料のうちのいずれかからなる無機ケイ素膜をCVD法又はALD法によって形成する工程、
(VII-6)前記無機ケイ素膜の一部をドライエッチングで除去して前記有機レジスト下層膜パターンの上部を露出させる工程、及び
(VII-7)前記有機レジスト下層膜パターンを除去して、パターンピッチが前記レジスト上層膜パターンの1/2である無機ケイ素膜パターンを形成する工程、
を含むパターン形成方法を提供する。
【0046】
上記パターン形成方法により、側壁スペーサー法により超微細なレジストパターンを被加工基板上にダメージを与えることなく高精度で形成することができる。上記(VII-4)でケイ素含有金属酸化膜をドライエッチングではなく、剥離液によるウェットエッチングで除去できるため、ドライエッチングガスによる被加工基板へのダメージを回避することができるため、半導体製造装置の歩留まり改善に貢献することが可能である。
【0047】
本発明のような上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いたケイ素含有金属酸化膜(下層膜)が、上記効果を奏する理由は必ずしも明確ではないが、例えば以下の様に推察することができる。すなわち、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物中に金属酸化物が良好に分散しているため、ベーク時に酸素原子を介してSi原子と金属原子の架橋が良好に進行し、剥離液耐性を持つポリシロキサン膜と金属酸化膜が膜中に局所的に残りにくい。このため、剥離液による膜除去性を向上することができると考えられる。
【0048】
前記工程(VII-4)において、剥離液をフッ素イオン、窒素含有カチオンのいずれか一方又は両方を含むものとすることが好ましい。
【0049】
このようなものであれば、容易にケイ素含有メタルハードマスクを剥離することができる。
【0050】
また、前記被加工基板を、半導体装置基板、又は該半導体装置基板上に金属膜、合金膜、金属炭化膜、金属酸化膜、金属窒化膜、金属酸化炭化膜又は金属酸化窒化膜が成膜されたものとすることが好ましい。
【0051】
本発明では、上記被加工基板として、例えば、上記のものを用いることができる。
【0052】
この場合、前記被加工基板を構成する金属がケイ素、ガリウム、チタン、タングステン、ハフニウム、ジルコニウム、クロム、ゲルマニウム、銅、銀、金、インジウム、ヒ素、パラジウム、タンタル、イリジウム、アルミニウム、鉄、モリブデン、コバルト、マンガン、ルテニウム又はこれらの合金とすることが好ましい。
【0053】
上記金属としてこれらのものを用いることができる。このように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いてパターン形成を行うと、被加工基板に上層フォトレジストのパターンを高精度で転写、形成することが可能になる。
【発明の効果】
【0054】
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いると、アルカリ現像と有機現像のどちらにおいてもレジスト上層膜との良好な密着性を発揮する有機基を含むポリシロキサンを含むことで、従来のメタルハードマスクに対してLWRやCDUの良好なレジスト上層膜パターンを形成できる。また、レジスト上層膜や被加工基板に対して優れたエッチング選択性を示す金属種を金属酸化物ナノ粒子の形態で含ませることで、金属種が膜中に良好に分散した状態で硬化することが可能となり、従来のケイ素含有中間膜に対して優れたエッチング耐性を実現できるため、ドライエッチング中のレジスト上層膜パターンの変形を抑え、優れたLWRやCDUを維持したまま基板に高い精度で転写することができる。埋め込み性の観点からも金属酸化物ナノ粒子は有用であり、反応性の高い加水分解性金属化合物に対して良好な流動性を示す。しかしながら、金属酸化物ナノ粒子単独では微細パターンの埋め込み/平坦化は困難であるため、ポリシロキサンには流動性を補助する性能が必要である。本発明では、金属酸化物ナノ粒子の流動性を補助するために、芳香環を含まない有機基を有するポリシロキサンを適用している。これにより、ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の熱流動性が向上し、従来のメタルハードマスクに対して優れた埋め込み/平坦化を実現できる。このため、凹凸を有する被加工基板上への微細レジストパターンの転写やレジストパターン反転プロセスによるパターン形成方法に好適に用いることが可能である。さらに、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、従来のケイ素含有中間膜に対して良好な湿式剥離性を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1図1は、本発明のパターン形成方法の一例(3層レジストプロセス)の説明図である。
図2図2は、本発明のレジスト反転パターン形成方法の一例の説明図である。
図3図3は、本発明のレジスト現像液又はリンス液置換によるレジスト反転パターン形成方法の一例の説明図である。
図4図4は、本発明の側壁スペーサー法を用いたレジストパターン形成方法の一例の説明図である。
図5図5は、埋め込み特性評価方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
上記のように、超微細パターンのパターン形成方法として期待される、多層レジスト法およびレジストパターン反転プロセスによるパターン形成方法などに適用可能な汎用性の高い材料として、微細凹凸パターンを有する被加工基板の充填性、及び被加工基板とのエッチング選択性に優れ、かつLWRやCDUに優れる上層のレジストパターンの形成が可能な膜形成用組成物の開発が求められていた。
【0057】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、金属酸化物ナノ粒子と、シラノール基、水酸基もしくはカルボキシル基を持つ芳香環を含まない有機基、または、酸、熱のいずれかまたは両方の作用により保護基が脱離して1個以上のシラノール基、水酸基もしくはカルボキシル基を発生する芳香環を含まない有機基を含むポリシロキサンから成るケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いたパターン形成方法が非常に有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0058】
すなわち、本発明は、多層レジスト法に用いられるレジスト下層膜材料またはレジストパターン反転プロセスによるパターン形成方法などに用いられる反転材料であって、(A)金属酸化物ナノ粒子と、(B)芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサンと、(C)溶媒を含むことを特徴とするケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物である。
【0059】
上記のように、多層レジスト法において超微細パターンの倒れ抑止効果が高く、良好なレジストパターンを形成可能であり、かつ従来のケイ素含有下層膜材料に対して優れたドライエッチング耐性と湿式剥離性を有するとともに、従来のメタルハードマスク材料に対して優れた埋め込み/平坦化特性を併せ持つケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物及びこれを用いたパターン形成に関するものである。
【0060】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
<ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物>
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、(A)金属酸化物ナノ粒子と、(B)芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサン(Sx)と、(C)溶媒を含有するものである。
【0062】
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いて形成されるケイ素含有メタルハードマスクは、金属酸化膜であり、例えばレジスト下層膜やレジスト中間膜として用いることができる。
【0063】
上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、(A)金属酸化物ナノ粒子と(B)芳香環を含む有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサン(Sx)及び(C)溶剤を含有するものであればよく、必要に応じて架橋触媒や酸発生剤などの添加剤を含んでもよい。以下、本発明の組成物に含まれる成分について説明する。
【0064】
<(A)金属酸化物ナノ粒子>
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物中に含まれる前記(A)金属酸化物ナノ粒子は、ジルコニウム、ハフニウム、アルミニウム、タングステン、チタン、銅、スズ、セリウム、インジウム、亜鉛、イットリウム、ランタン、クロム、コバルト、白金、鉄、アンチモン及びゲルマニウムからなる群から選択される金属の酸化物ナノ粒子の一種以上であることが好ましい。この中でも、酸化ジルコニウムナノ粒子、酸化ハフニウムナノ粒子、酸化タングステンナノ粒子、酸化チタンナノ粒子、酸化スズナノ粒子が、分散性及びドライエッチング耐性の観点から好ましい。
なお、本発明において「ナノ粒子」とは、ナノメートルオーダー(1nm以上1000nm未満)の体積平均一次粒子径を有する粒子を意味する。金属酸化物ナノ粒子とは、ナノメートルオーダーの体積平均一次粒子径を有する金属酸化物粒子である。前記体積平均一次粒子径は、後述する電子顕微鏡法により測定した値である。
【0065】
上記金属酸化物を選択することで、分散性とドライエッチング耐性に優れたケイ素含有メタルハードマスクを形成することが可能である。
【0066】
上記(A)金属酸化物ナノ粒子は、100nm以下の平均一次粒子径を有するものが好ましく、50nm以下の平均一次粒子径がより好ましく、30nm以下の平均一次粒子径がさらに好ましく、15nm以下が特に好ましい。有機溶剤中に分散させる前の前記金属酸化物ナノ粒子の平均一次粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に100個以上の粒子についてそれぞれ粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径として求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)、走査型(SEM)又は走査透過型(STEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
【0067】
このような粒子径範囲であれば、ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物中において、良好な分散性を発揮することが可能であり、微細パターン構造の密集部の埋め込み性/平坦化特性に優れたケイ素含有金属酸化膜を形成することが可能である。
【0068】
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物に含まれる(A)金属酸化物ナノ粒子としては、上記条件を満たすことが好ましく、市販品の購入や公知の方法で合成した金属酸化物ナノ粒子を用いることができる。
【0069】
チタニアナノ粒子としては、例えば石原産業(株)製TTOシリーズ(TTO-51(A)、TTO-51(C)など)、TTO-S、Vシリーズ(TTO-S-1、TTO-S-2、TTO-V-3など)、テイカ(株)製(MT-01、MT-05、MT-100SA、MT-500SA、NS405など)、堺化学工業(株)製STR-100A-LPなどが挙げられる。
【0070】
ジルコニアナノ粒子としては、例えば、PCS(日本電工(株)製)、JS-01、JS-03、JS-04(日本電工(株)製)、UEP、UEP-50、UEP-100(第一稀元素化学工業(株)製)、PCPB-2-50-PGA及びPCPA-2-502-PGA(PixelligentTechnologies社製)、ZrO nanoparticles 915505(Sigma-Aldrich社製)、SZR-W、SZR-CW、SZR-K、SZR-En10(堺化学工業(株)製)などを挙げることができる。
【0071】
公知の合成方法としては、例えば、物理法として気相蒸着やレーザーアブレーションなど、化学法として金属塩の還元法、ゾルゲル法、熱分解法などを挙げることができる。
【0072】
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物に含まれる上記(A)金属酸化物ナノ粒子は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。これらは要求性能に合わせて任意の組み合わせを選択することが可能である。(A)成分は組成物中熱架橋性ポリシロキサン100質量部に対して5~1900質量部とすることができる。
【0073】
<(B)熱架橋性ポリシロキサン>
本発明の熱架橋性ポリシロキサン(Sx)は、下記一般式(Sx-1)で表される繰り返し単位、下記一般式(Sx-2)で表される繰り返し単位、及び下記一般式(Sx-3)で表される部分構造のいずれか1つ以上を含む構造単位を有するものである。
【化2】
(式中、Rは1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を持つ芳香環を含まない有機基、または、酸、熱のいずれかまたは両方の作用により保護基が脱離して1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を発生する芳香環を含まない有機基である。R、Rはそれぞれ独立に芳香環を含まない有機基か、水素原子である。)
【0074】
上記Rは、1個以上のシラノール基、水酸基、エーテル基、エステル基、アルコキシ基、もしくはカルボキシル基を持つ芳香環を含まない有機基であるか、または、酸、熱のいずれかまたは両方の作用により保護基が脱離して1個以上の上記基を発生する芳香環を含まない有機基であれば特に限定されない。
【0075】
このような熱架橋性ポリシロキサン(Sx)のRとして、以下のものを例示することが出来る。なお、下記式中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した(以下において同様)。
【化3】
【0076】
【化4】
【0077】
【化5】
【0078】
上記Rの中でも、エステル結合を含む基、又は環状エーテルを含む有機基が好ましい。エステル結合とは、-C(=O)-O-結合又は-O-C(=O)-結合を意味し、環状エーテルとは具体的にエポキシ基やオキセタニル基、フラニル基などを意味する。
【0079】
上記有機基を含むことで、アルカリ現像(ポジ型現像)、有機溶剤現像(ネガ型現像)に関係なく、いずれのレジストパターンに対してもレジスト上層膜との良好な密着性を発揮することが可能である。また、塩基を含有する湿式剥離液に対する溶解性が向上するため、窒素含有カチオンを含んだ剥離液を用いたウェットエッチング(湿式剥離)により容易に除去することが可能である。さらに、芳香環を含まないため、熱流動性に優れたケイ素含有メタルハードマスクを形成することが可能である。
【0080】
本発明の構造を形成するための原料として使用される加水分解性モノマー(Sm)としては、上記構造をケイ素上に有し、他方加水分解性基として1個、2個または3個の塩素、臭素、ヨウ素、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基等と、存在する場合、R、Rとして水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基を含んでいるものを1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0081】
上記R、Rで表される有機基の例として、それぞれ同じでも異なってもよい、メチル、エチル、ビニル、プロピル、シクロプロピル、ブチル、シクロブチル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロペンチルメチル、ヘプチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキセニルメチル、ビシクロ[2,2,1]ヘプチル、オクチル、シクロオクチル、シクロヘキシルエチル、デシル、アダマンチル、ドデシルなど芳香環を含まない有機基を例示することが出来る。また、Rと同じであることが好ましい。
【0082】
上記R、Rで表される別の有機基の例として、炭素-酸素単結合又は炭素-酸素二重結合を1以上有する芳香環を含まない有機基を挙げることができる。具体的には、エーテル結合、エステル結合、アルコキシ基、ヒドロキシ基などからなる群から選択される1以上の基を有する有機基である。この例として次の一般式(Sm-R)で示されるものを挙げることができる。
【0083】
(P-Q-(Sv1-Q-)-(T)v2-Q-(Sv3-Q
(Sm-R)
(一般式(Sm-R)中、Pは水素原子、環状エーテル基、ヒドロキシル基、炭素数1~4のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルカルボニルオキシ基、または炭素数1~6のアルキルカルボニル基であり、Q、Q、Q、及びQは各々独立して-C(2q-p)-(式中、Pは上記と同様であり、pは0~3の整数であり、qは0~10の整数(但し、q=0は単結合であることを示す。)である。)、uは0~3の整数であり、SとSは各々独立して-O-、-CO-、-OCO-、-COO-または-OCOO-を表す。v1、v2、及びv3は、各々独立して0または1を表す。これらとともに、Tは炭素以外の2価の原子、脂環または複素環からなる2価の基である。)
【0084】
Tとして、酸素原子等のヘテロ原子を含んでもよい脂環、または複素環の例を以下に示す。TにおいてQとQと結合する位置は、特に限定されないが、立体的な要因による反応性や反応に用いる市販試薬の入手性等を考慮して適宜選択できる。
【0085】
【化6】
【0086】
一般式(Sm-R)中の炭素-酸素単結合又は炭素-酸素二重結合を1以上有する有機基の好ましい例として、以下のものが挙げられる。
【化7】
【0087】
【化8】
【0088】
また、R、Rの有機基の例として、ケイ素-ケイ素結合を含む有機基を用いることもできる。具体的には下記のものを挙げることができる。
【0089】
【化9】
【0090】
更に、R、Rの有機基の例として、フッ素原子を有する有機基を用いることもできる。具体的には特開2012-53253号公報の[0059]段落に示されているケイ素化合物から得られる有機基を挙げることができる。
【0091】
上記の加水分解性モノマー(Sm)は、上記部分構造中(Si)で示されているケイ素上に加水分解性基として1個、2個または3個の塩素、臭素、ヨウ素、アセトキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基またはブトキシ基等が結合している。
【0092】
さらに、以下の加水分解性モノマー(Sm)を含んだ混合物を加水分解縮合することにより本発明の熱架橋性ポリシロキサン(Sx)を製造出来る。
【0093】
加水分解性モノマー(Sm)として具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、トリイソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリプロポキシシラン、イソプロピルトリイソプロポキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ブチルトリプロポキシシラン、ブチルトリイソプロポキシシラン、sec-ブチルトリメトキシシラン、sec-ブチルトリエトキシシラン、sec-ブチルトリプロポキシシラン、sec-ブチルトリイソプロポキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、t-ブチルトリプロポキシシラン、t-ブチルトリイソプロポキシシラン、シクロプロピルトリメトキシシラン、シクロプロピルトリエトキシシラン、シクロプロピルトリプロポキシシラン、シクロプロピルトリイソプロポキシシラン、シクロブチルトリメトキシシラン、シクロブチルトリエトキシシラン、シクロブチルトリプロポキシシラン、シクロブチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリプロポキシシラン、シクロペンチルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリプロポキシシラン、シクロヘキシルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルトリイソプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリプロポキシシラン、シクロヘキセニルエチルトリイソプロポキシシラン、シクロオクチルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリエトキシシラン、シクロオクチルトリプロポキシシラン、シクロオクチルトリイソプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリメトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリエトキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリプロポキシシラン、シクロペンタジエニルプロピルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリメトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリエトキシシラン、ビシクロヘプテニルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプテニルトリイソプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリメトキシシラン、ビシクロヘプチルトリエトキシシラン、ビシクロヘプチルトリプロポキシシラン、ビシクロヘプチルトリイソプロポキシシラン、アダマンチルトリメトキシシラン、アダマンチルトリエトキシシラン、アダマンチルトリプロポキシシラン、アダマンチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジプロピルジプロポキシシラン、ジプロピルジイソプロポキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジプロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ジブチルジエトキシシラン、ジブチルジプロポキシシラン、ジブチルジイソプロポキシシラン、ジsec-ブチルジメトキシシラン、ジsec-ブチルジエトキシシラン、ジsec-ブチルジプロポキシシラン、ジsec-ブチルジイソプロポキシシラン、ジt-ブチルジメトキシシラン、ジt-ブチルジエトキシシラン、ジt-ブチルジプロポキシシラン、ジt-ブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロプロピルジメトキシシラン、ジシクロプロピルジエトキシシラン、ジシクロプロピルジプロポキシシラン、ジシクロプロピルジイソプロポキシシラン、ジシクロブチルジメトキシシラン、ジシクロブチルジエトキシシラン、ジシクロブチルジプロポキシシラン、ジシクロブチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジプロポキシシラン、ジシクロペンチルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジプロポキシシラン、ジシクロヘキシルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルジイソプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジメトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジエトキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジプロポキシシラン、ジシクロヘキセニルエチルジイソプロポキシシラン、ジシクロオクチルジメトキシシラン、ジシクロオクチルジエトキシシラン、ジシクロオクチルジプロポキシシラン、ジシクロオクチルジイソプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジエトキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジプロポキシシラン、ジシクロペンタジエニルプロピルジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプテニル)ジイソプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジメトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジエトキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジプロポキシシラン、ビス(ビシクロヘプチル)ジイソプロポキシシラン、ジアダマンチルジメトキシシラン、ジアダマンチルジエトキシシラン、ジアダマンチルジプロポキシシラン、ジアダマンチルジイソプロポキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン、ジメチルエチルエトキシシラン等を例示できる。
【0094】
また、(Sm)の例として、好ましくは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、シクロヘキセニルトリメトキシシラン、シクロヘキセニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、ジプロピルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルエチルメトキシシラン等を例示出来る。
【0095】
〔熱架橋性ポリシロキサン(Sx)の合成方法〕
(合成方法1:酸触媒)
本発明の熱架橋性ポリシロキサン(Sx)は、加水分解性モノマー(Sm)の1種または2種以上の混合物(以下、単に「モノマー」ともいう)を酸触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することができる。
【0096】
このとき使用される酸触媒は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸などの有機酸、フッ酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸などの無機酸を挙げることができる。触媒の使用量は、モノマー1モルに対して1×10-6~10モル、好ましくは1×10-5~5モル、より好ましくは1×10-4~1モルである。
【0097】
これらのモノマーから加水分解縮合により熱架橋性ポリシロキサンを得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.01~100モル、より好ましくは0.05~50モル、更に好ましくは0.1~30モルを添加することが好ましい。100モル以下であれば、反応に使用する装置が小さくなり経済的になる。
【0098】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶剤を加えてもよいし、モノマーを有機溶剤で希釈しておいてもよいし、両方行ってもよい。反応温度は0~100℃、好ましくは5~80℃である。モノマーの滴下時に5~80℃に温度を保ち、その後20~80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0099】
触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等及びこれらの混合物等が好ましい。
【0100】
これらの溶剤の中で好ましいものは水溶性のものである。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。この中で特に好ましいのは、沸点が100℃以下のものである。
【0101】
尚、有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0~1,000ml、特に0~500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が少なくなると反応容器が小さくなり経済的である。
【0102】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできるアルカリ性物質の量は、触媒で使用された酸に対して0.1~2当量が好ましい。このアルカリ性物質は水中でアルカリ性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0103】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を減圧除去等で取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶剤と反応で発生したアルコールなどの種類によるが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤及びアルコールなどの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールなどのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0104】
次に、反応混合物から加水分解縮合に使用した酸触媒を除去してもよい。酸触媒を除去する方法として、水と熱架橋性ポリシロキサン溶液を混合し、熱架橋性ポリシロキサンを有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、熱架橋性ポリシロキサンを溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0105】
更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。例えばメタノール-酢酸エチル混合物、エタノール-酢酸エチル混合物、1-プロパノール-酢酸エチル混合物、2-プロパノール-酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノメチルエーテル-酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノエチルエーテル-酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-酢酸エチル混合物、ブタンジオールモノプロピルエーテル-酢酸エチル混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-酢酸エチル混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-酢酸エチル混合物、メタノール-メチルイソブチルケトン混合物、エタノール-メチルイソブチルケトン混合物、1-プロパノール-メチルイソブチルケトン混合物、2-プロパノール-メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-メチルイソブチルケトン混合物、メタノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エタノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、1-プロパノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、2-プロパノール-シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-シクロペンチルメチルエーテル混合物、メタノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エタノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、1-プロパノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、2-プロパノール-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノメチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノエチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノエチルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、プロピレングリコールモノプロピルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物、エチレングリコールモノプロピルエーテル-プロピレングリコールメチルエーテルアセテート混合物等が好ましいが、組み合わせはこれらに限定されることはない。
【0106】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1~1,000質量部、好ましくは1~500質量部、更に好ましくは2~100質量部である。
【0107】
続いて、中性水で洗浄してもよい。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、熱架橋性ポリシロキサン溶液1Lに対して、0.01~100L、好ましくは0.05~50L、より好ましくは0.1~5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1~5回程度である。
【0108】
その他に酸触媒を除去する方法として、イオン交換樹脂による方法や、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のエポキシ化合物で中和したのち除去する方法を挙げることができる。これらの方法は、反応に使用された酸触媒に合わせて適宜選択することができる。
【0109】
このときの水洗操作により、熱架橋性ポリシロキサンの一部が水層に逃げ、実質的に分画操作と同等の効果が得られている場合があるため、水洗回数や洗浄水の量は触媒除去効果と分画効果を鑑みて適宜選択すればよい。
【0110】
酸触媒が残留している熱架橋性ポリシロキサン溶液及び酸触媒が除去された熱架橋性ポリシロキサン溶液、いずれの場合においても、最終的な溶剤を加え、減圧で溶剤交換することで所望の熱架橋性ポリシロキサン溶液を得る。このときの溶剤交換の温度は、除去すべき反応溶剤や抽出溶剤の種類によるが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0111】
このとき、溶剤が変わることにより熱架橋性ポリシロキサンが不安定になる場合がある。これは最終的な溶剤と熱架橋性ポリシロキサンとの相性により発生するが、これを防止するため、安定剤として、特開2009-126940号公報(0181)~(0182)段落に記載されている環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを加えてもよい。加える量としては溶剤交換前の溶液中の熱架橋性ポリシロキサン100質量部に対して0~25質量部、好ましくは0~15質量部、より好ましくは0~5質量部であるが、添加する場合は0.5質量部以上が好ましい。溶剤交換前の溶液に必要であれば、環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを添加して溶剤交換操作を行えばよい。
【0112】
熱架橋性ポリシロキサンは、ある濃度以上に濃縮すると更に縮合反応が進行し、有機溶剤に対して再溶解不可能な状態に変化してしまう恐れがあるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが好ましい。また、あまり薄すぎると、溶剤の量が過大となるため、適度な濃度の溶液状態にしておくことが経済的で好ましい。このときの濃度としては、0.1~20質量%が好ましい。
【0113】
熱架橋性ポリシロキサン溶液に加える最終的な溶剤として好ましいものはアルコール系溶剤であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオールなどのモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール等が好ましい。また、アルコール系溶剤ではないが、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いることもできる。
【0114】
これらの溶剤が主成分であれば、補助溶剤として、非アルコール系溶剤を添加する事も可能である。この補助溶剤としては、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテルなどを例示できる。
【0115】
また、酸触媒を用いた別の反応操作としては、モノマー又はモノマーの有機溶液に、水又は含水有機溶剤を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマー又はモノマーの有機溶液に添加してもよいし、水又は含水有機溶剤に添加しておいてもよい。反応温度は0~100℃、好ましくは10~80℃である。水の滴下時に10~50℃に加熱し、その後20~80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0116】
有機溶剤を使用する場合は、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物等を挙げることができる。
【0117】
有機溶剤の使用量は、モノマー1モルに対して0~1,000ml、特に0~500mlが好ましい。有機溶剤の使用量が少ない方が、反応容器が小さくなり経済的である。得られた反応混合物の後処理は、上記の方法と同様で後処理し、熱架橋性ポリシロキサンを得ることができる。
【0118】
(合成方法2:アルカリ触媒)
また、熱架橋性ポリシロキサン(Sx:熱架橋性ポリシロキサン)は、加水分解性モノマー(Sm)1種または2種以上の混合物をアルカリ触媒の存在下、加水分解縮合を行うことで製造することができる。このとき使用されるアルカリ触媒は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクタン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、コリンハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。触媒の使用量は、ケイ素モノマー1モルに対して1×10-6モル~10モル、好ましくは1×10-5モル~5モル、より好ましくは1×10-4モル~1モルである。
【0119】
上記のモノマーから加水分解縮合により熱架橋性ポリシロキサンを得るときの水の量は、モノマーに結合している加水分解性置換基1モル当たり0.1~50モルを添加することが好ましい。50モル以下であれば、反応に使用する装置が小さくなり経済的になる。
【0120】
操作方法として、触媒水溶液にモノマーを添加して加水分解縮合反応を開始させる。このとき、触媒水溶液に有機溶媒を加えてもよいし、モノマーを有機溶媒で希釈しておいてもよいし、両方行っても良い。反応温度は0~100℃、好ましくは5~80℃である。モノマーの滴下時に5~80℃に温度を保ち、その後20~80℃で熟成させる方法が好ましい。
【0121】
アルカリ触媒水溶液に加えることのできる、又はモノマーを希釈することのできる有機溶媒としては、酸触媒水溶液に加えることのできるものとして例示した有機溶剤と同様のものが好ましく用いられる。尚、有機溶媒の使用量は、経済的に反応を行えるため、モノマー1モルに対して0~1,000mlが好ましい。
【0122】
その後、必要であれば触媒の中和反応を行い、反応混合物水溶液を得る。このとき、中和に使用することのできる酸性物質の量は、触媒で使用されたアルカリ性物質に対して0.1~2当量が好ましい。この酸性物質は水中で酸性を示すものであれば、任意の物質でよい。
【0123】
続いて、反応混合物から加水分解縮合反応で生成したアルコールなどの副生物を減圧除去等で取り除くことが好ましい。このとき反応混合物を加熱する温度は、添加した有機溶媒と反応で発生したアルコールの種類に依るが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき有機溶剤およびアルコールの種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。この際除去されるアルコール量を正確に知ることは難しいが、生成したアルコールのおよそ80質量%以上が除かれることが望ましい。
【0124】
次に加水分解縮合に使用した触媒を除去するため、熱架橋性ポリシロキサンを有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、熱架橋性ポリシロキサンを溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。例えばメタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル等、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0125】
次に加水分解縮合に使用したアルカリ触媒を除去するため、熱架橋性ポリシロキサンを有機溶剤で抽出する。このとき使用する有機溶剤としては、熱架橋性ポリシロキサンを溶解でき、水と混合させると2層分離するものが好ましい。更に、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物を使用することも可能である。
【0126】
アルカリ触媒を除去する際に用いられる有機溶剤の具体例は、酸触媒を除去する際に用いられるものとして具体的に例示した上述の有機溶剤や、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤の混合物と同様のものを用いることができる。
【0127】
尚、水溶性有機溶剤と水難溶性有機溶剤との混合割合は、適宜選定されるが、水難溶性有機溶剤100質量部に対して、水溶性有機溶剤0.1~1,000質量部、好ましくは1~500質量部、更に好ましくは2~100質量部である。
【0128】
続いて、中性水で洗浄する。この水は、通常脱イオン水や超純水と呼ばれているものを使用すればよい。この水の量は、熱架橋性ポリシロキサン溶液1Lに対して、0.01~100L、好ましくは0.05~50L、より好ましくは0.1~5Lである。この洗浄の方法は、両方を同一の容器にいれ掻き混ぜた後、静置して水層を分離すればよい。洗浄回数は、1回以上あればよいが、10回以上洗浄しても洗浄しただけの効果は得られないため、好ましくは1~5回程度である。
【0129】
洗浄済みの熱架橋性ポリシロキサン溶液に最終的な溶媒を加え、減圧で溶媒交換することで所望の熱架橋性ポリシロキサン溶液を得る。このときの溶媒交換の温度は、除去すべき抽出溶剤の種類に依るが、好ましくは0~100℃、より好ましくは10~90℃、更に好ましくは15~80℃である。またこのときの減圧度は、除去すべき抽出溶剤の種類、排気装置、凝縮装置及び加熱温度により異なるが、好ましくは大気圧以下、より好ましくは絶対圧で80kPa以下、更に好ましくは絶対圧で50kPa以下である。
【0130】
熱架橋性ポリシロキサン溶液に加える最終的な溶媒として好ましいものはアルコール系溶媒であり、特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのモノアルキルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどのモノアルキルエーテルである。具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコールなどが好ましい。
【0131】
また、アルカリ触媒を用いた別の反応操作としては、モノマーまたはモノマーの有機溶液に、水または含水有機溶媒を添加し、加水分解反応を開始させる。このとき触媒はモノマーまたはモノマーの有機溶液に添加しても良いし、水または含水有機溶媒に添加しておいてもよい。反応温度は0~100℃、好ましくは10~80℃である。水の滴下時に10~50℃に加熱し、その後20~80℃に昇温させて熟成させる方法が好ましい。
【0132】
モノマーの有機溶液又は含水有機溶媒として使用できる有機溶媒としては、水溶性のものが好ましく、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどの多価アルコール縮合物誘導体及びこれらの混合物などを挙げることができる。
【0133】
上記合成方法1又は2により得られる熱架橋性ポリシロキサンの分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量(Mw)が100,000以下、より好ましくは200~50,000、更には300~30,000のものを用いることが好ましい。重量平均分子量が100,000を以下のものを用いると、異物の発生や塗布斑が生じることがない。
尚、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0134】
本発明で使用される熱架橋性ポリシロキサンの物性は、加水分解縮合時に使用される酸またはアルカリ触媒の種類や反応条件により異なる。そのため、目的とするケイ素含有金属酸化膜の性能に合わせて適宜選択することが出来る。
【0135】
(B)熱架橋性ポリシロキサン(Sx)は、(A)金属酸化物ナノ粒子100質量部に対して5~1900質量部であることが好ましい。
【0136】
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、(A)金属酸化物ナノ粒子と(B)熱架橋性ポリシロキサンの重量割合が、5/95~95/5であることが好ましく、10/90~90/10であることがより好ましい。
【0137】
(A)金属酸化物ナノ粒子と(B)熱架橋性ポリシロキサンの割合を上記の様な範囲に制御することで、ドライエッチング耐性、埋め込み性/平坦化特性、超微細レジストパターンとの密着性を高度に発揮することが可能である。ドライエッチング耐性を向上させたい場合は、(A)金属酸化物ナノ粒子の割合を増やし、また、埋め込み性/平坦化特性、レジストパターンとの密着性を向上したいときは(B)熱架橋性ポリシロキサンの割合を増やせばよい。これらは要求性能に合わせて任意の割合に調整することが可能である。
【0138】
〔その他の成分〕
(架橋触媒)
本発明においては、架橋触媒(Xc)をケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物に配合してもよい。配合可能な架橋触媒(Xc)として、下記一般式(Xc0)で示される化合物を挙げることができる。
A (Xc0)
(式中、Lはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、スルホニウム、ヨードニウム、ホスホニウム又はアンモニウム、Aは非求核性対向イオンであり、aは1以上の整数、bは0又は1以上の整数で、a+bは非求核性対向イオンの価数である。)
【0139】
具体的な(Xc0)として本発明で使用される架橋触媒(Xc)としては、下記一般式(Xc-1)のスルホニウム塩、(Xc-2)のヨードニウム塩、(Xc-3)のホスホニウム塩、(Xc-4)のアンモニウム塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0140】
スルホニウム塩(Xc-1)、ヨードニウム塩(Xc-2)、ホスホニウム塩(Xc-3)として以下のものが例示される。
【0141】
【化10】
また、アンモニウム塩(Xc-4)として以下のものが例示される。
【0142】
【化11】
(式中、R204、R205、R206、R207はそれぞれ炭素数1~12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R205とR206とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R205、R206はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。Aは非求核性対向イオンを表す。R208、R209、R210、R211は、R204、R205、R206、R207と同様であるが、水素原子であってもよい。R208とR209、R208とR209とR210とは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R208とR209及びR208とR209とR210は炭素数3~10のアルキレン基を示す。)
【0143】
上記R204、R205、R206、R207、R208、R209、R210、R211は互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4-メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2-オキソシクロペンチル基、2-オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2-オキソプロピル基、2-シクロペンチル-2-オキソエチル基、2-シクロヘキシル-2-オキソエチル基、2-(4-メチルシクロヘキシル)-2-オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p-メトキシフェニル基、m-メトキシフェニル基、o-メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p-tert-ブトキシフェニル基、m-tert-ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、エチルフェニル基、4-tert-ブチルフェニル基、4-ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2-フェニル-2-オキソエチル基、2-(1-ナフチル)-2-オキソエチル基、2-(2-ナフチル)-2-オキソエチル基等の2-アリール-2-オキソエチル基等が挙げられる。
【0144】
の非求核性対向イオンとしては水酸化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、塩素酸イオン、臭素酸イオン、メタンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、モノメチル硫酸イオン等の1価のイオン、1価または2価のシュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
【0145】
アルカリ金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウムの水酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、ブタン酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、オクタン酸塩、ノナン酸塩、デカン酸塩、オレイン酸塩、ステアリン酸塩、リノール酸塩、リノレン酸塩、安息香酸塩、フタル酸塩、イソフタル酸塩、テレフタル酸塩、サリチル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、モノクロロ酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩等の1価の塩、1価または2価のシュウ酸塩、マロン酸塩、メチルマロン酸塩、エチルマロン酸塩、プロピルマロン酸塩、ブチルマロン酸塩、ジメチルマロン酸塩、ジエチルマロン酸塩、コハク酸塩、メチルコハク酸塩、グルタル酸塩、アジピン酸塩、イタコン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、シトラコン酸塩、クエン酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
【0146】
具体的には、スルホニウム塩(Xc-1)として、ギ酸トリフェニルスルホニウム、酢酸トリフェニルスルホニウム、プロピオン酸トリフェニルスルホニウム、ブタン酸トリフェニルスルホニウム、安息香酸トリフェニルスルホニウム、フタル酸トリフェニルスルホニウム、イソフタル酸トリフェニルスルホニウム、テレフタル酸トリフェニルスルホニウム、サリチル酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロ酢酸トリフェニルスルホニウム、モノクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、ジクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、トリクロロ酢酸トリフェニルスルホニウム、水酸化トリフェニルスルホニウム、硝酸トリフェニルスルホニウム、塩化トリフェニルスルホニウム、臭化トリフェニルスルホニウム、シュウ酸トリフェニルスルホニウム、マロン酸トリフェニルスルホニウム、メチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、エチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、プロピルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ブチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジメチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、ジエチルマロン酸トリフェニルスルホニウム、コハク酸トリフェニルスルホニウム、メチルコハク酸トリフェニルスルホニウム、グルタル酸トリフェニルスルホニウム、アジピン酸トリフェニルスルホニウム、イタコン酸トリフェニルスルホニウム、マレイン酸トリフェニルスルホニウム、フマル酸トリフェニルスルホニウム、シトラコン酸トリフェニルスルホニウム、クエン酸トリフェニルスルホニウム、炭酸トリフェニルスルホニウム、シュウ酸ビストリフェニルスルホニウム、マレイン酸ビストリフェニルスルホニウム、フマル酸ビストリフェニルスルホニウム、シトラコン酸ビストリフェニルスルホニウム、クエン酸ビストリフェニルスルホニウム、炭酸ビストリフェニルスルホニウムなどが挙げられる。
【0147】
また、ヨードニウム塩(Xc-2)として具体的には、ギ酸ジフェニルヨードニウム、酢酸ジフェニルヨードニウム、プロピオン酸ジフェニルヨードニウム、ブタン酸ジフェニルヨードニウム、安息香酸ジフェニルヨードニウム、フタル酸ジフェニルヨードニウム、イソフタル酸ジフェニルヨードニウム、テレフタル酸ジフェニルヨードニウム、サリチル酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロ酢酸ジフェニルヨードニウム、モノクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、ジクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、トリクロロ酢酸ジフェニルヨードニウム、水酸化ジフェニルヨードニウム、硝酸ジフェニルヨードニウム、塩化ジフェニルヨードニウム、臭化ジフェニルヨードニウム、ヨウ化ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ジフェニルヨードニウム、マレイン酸ジフェニルヨードニウム、フマル酸ジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ジフェニルヨードニウム、クエン酸ジフェニルヨードニウム、炭酸ジフェニルヨードニウム、シュウ酸ビスジフェニルヨードニウム、マレイン酸ビスジフェニルヨードニウム、フマル酸ビスジフェニルヨードニウム、シトラコン酸ビスジフェニルヨードニウム、クエン酸ビスジフェニルヨードニウム、炭酸ビスジフェニルヨードニウムなどが挙げられる。
【0148】
また、ホスホニウム塩(Xc-3)として具体的には、ギ酸テトラエチルホスホニウム、酢酸テトラエチルホスホニウム、プロピオン酸テトラエチルホスホニウム、ブタン酸テトラエチルホスホニウム、安息香酸テトラエチルホスホニウム、フタル酸テトラエチルホスホニウム、イソフタル酸テトラエチルホスホニウム、テレフタル酸テトラエチルホスホニウム、サリチル酸テトラエチルホスホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルホスホニウム、トリフルオロ酢酸テトラエチルホスホニウム、モノクロロ酢酸テトラエチルホスホニウム、ジクロロ酢酸テトラエチルホスホニウム、トリクロロ酢酸テトラエチルホスホニウム、水酸化テトラエチルホスホニウム、硝酸テトラエチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、ヨウ化テトラエチルホスホニウム、シュウ酸テトラエチルホスホニウム、マレイン酸テトラエチルホスホニウム、フマル酸テトラエチルホスホニウム、シトラコン酸テトラエチルホスホニウム、クエン酸テトラエチルホスホニウム、炭酸テトラエチルホスホニウム、シュウ酸ビステトラエチルホスホニウム、マレイン酸ビステトラエチルホスホニウム、フマル酸ビステトラエチルホスホニウム、シトラコン酸ビステトラエチルホスホニウム、クエン酸ビステトラエチルホスホニウム、炭酸ビステトラエチルホスホニウム、ギ酸テトラフェニルホスホニウム、酢酸テトラフェニルホスホニウム、プロピオン酸テトラフェニルホスホニウム、ブタン酸テトラフェニルホスホニウム、安息香酸テトラフェニルホスホニウム、フタル酸テトラフェニルホスホニウム、イソフタル酸テトラフェニルホスホニウム、テレフタル酸テトラフェニルホスホニウム、サリチル酸テトラフェニルホスホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラフェニルホスホニウム、トリフルオロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、モノクロロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、ジクロロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、トリクロロ酢酸テトラフェニルホスホニウム、水酸化テトラフェニルホスホニウム、硝酸テトラフェニルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム、シュウ酸テトラフェニルホスホニウム、マレイン酸テトラフェニルホスホニウム、フマル酸テトラフェニルホスホニウム、シトラコン酸テトラフェニルホスホニウム、クエン酸テトラフェニルホスホニウム、炭酸テトラフェニルホスホニウム、シュウ酸ビステトラフェニルホスホニウム、マレイン酸ビステトラフェニルホスホニウム、フマル酸ビステトラフェニルホスホニウム、シトラコン酸ビステトラフェニルホスホニウム、クエン酸ビステトラフェニルホスホニウム、炭酸ビステトラフェニルホスホニウムなどが挙げられる。
【0149】
一方、アンモニウム塩(Xc-4)として具体的には、ギ酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、プロピオン酸テトラメチルアンモニウム、ブタン酸テトラメチルアンモニウム、安息香酸テトラメチルアンモニウム、フタル酸テトラメチルアンモニウム、イソフタル酸テトラメチルアンモニウム、テレフタル酸テトラメチルアンモニウム、サリチル酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラメチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸テトラメチルアンモニウム、マロン酸テトラメチルアンモニウム、マレイン酸テトラメチルアンモニウム、フマル酸テトラメチルアンモニウム、シトラコン酸テトラメチルアンモニウム、クエン酸テトラメチルアンモニウム、炭酸テトラメチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラメチルアンモニウム、マロン酸ビステトラメチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラメチルアンモニウム、フマル酸ビステトラメチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラメチルアンモニウム、クエン酸ビステトラメチルアンモニウム、炭酸ビステトラメチルアンモニウム、ギ酸テトラエチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、プロピオン酸テトラエチルアンモニウム、ブタン酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラエチルアンモニウム、フタル酸テトラエチルアンモニウム、イソフタル酸テトラエチルアンモニウム、テレフタル酸テトラエチルアンモニウム、サリチル酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラエチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラエチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラエチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、硝酸テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラエチルアンモニウム、シュウ酸テトラエチルアンモニウム、マロン酸テトラエチルアンモニウム、マレイン酸テトラエチルアンモニウム、フマル酸テトラエチルアンモニウム、シトラコン酸テトラエチルアンモニウム、クエン酸テトラエチルアンモニウム、炭酸テトラエチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラエチルアンモニウム、マロン酸ビステトラエチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラエチルアンモニウム、フマル酸ビステトラエチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラエチルアンモニウム、クエン酸ビステトラエチルアンモニウム、炭酸ビステトラエチルアンモニウム、ギ酸テトラプロピルアンモニウム、酢酸テトラプロピルアンモニウム、プロピオン酸テトラプロピルアンモニウム、ブタン酸テトラプロピルアンモニウム、安息香酸テトラプロピルアンモニウム、フタル酸テトラプロピルアンモニウム、イソフタル酸テトラプロピルアンモニウム、テレフタル酸テトラプロピルアンモニウム、サリチル酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラプロピルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、硝酸テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸テトラプロピルアンモニウム、マロン酸テトラプロピルアンモニウム、マレイン酸テトラプロピルアンモニウム、フマル酸テトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸テトラプロピルアンモニウム、クエン酸テトラプロピルアンモニウム、炭酸テトラプロピルアンモニウム、シュウ酸ビステトラプロピルアンモニウム、マロン酸ビステトラプロピルアンモニウム、マレイン酸ビステトラプロピルアンモニウム、フマル酸ビステトラプロピルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラプロピルアンモニウム、クエン酸ビステトラプロピルアンモニウム、炭酸ビステトラプロピルアンモニウム、ギ酸テトラブチルアンモニウム、酢酸テトラブチルアンモニウム、プロピオン酸テトラブチルアンモニウム、ブタン酸テトラブチルアンモニウム、安息香酸テトラブチルアンモニウム、フタル酸テトラブチルアンモニウム、イソフタル酸テトラブチルアンモニウム、テレフタル酸テトラブチルアンモニウム、サリチル酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸テトラブチルアンモニウム、モノクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、ジクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、トリクロロ酢酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、硝酸テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、メタンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、モノメチル硫酸テトラブチルアンモニウム、シュウ酸テトラブチルアンモニウム、マロン酸テトラブチルアンモニウム、マレイン酸テトラブチルアンモニウム、フマル酸テトラブチルアンモニウム、シトラコン酸テトラブチルアンモニウム、クエン酸テトラブチルアンモニウム、炭酸テトラブチルアンモニウム、シュウ酸ビステトラブチルアンモニウム、マロン酸ビステトラブチルアンモニウム、マレイン酸ビステトラブチルアンモニウム、フマル酸ビステトラブチルアンモニウム、シトラコン酸ビステトラブチルアンモニウム、クエン酸ビステトラブチルアンモニウム、炭酸ビステトラブチルアンモニウム、ギ酸トリメチルフェニルアンモニウム、酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、プロピオン酸トリメチルフェニルアンモニウム、ブタン酸トリメチルフェニルアンモニウム、安息香酸トリメチルフェニルアンモニウム、フタル酸トリメチルフェニルアンモニウム、イソフタル酸トリメチルフェニルアンモニウム、テレフタル酸トリメチルフェニルアンモニウム、サリチル酸トリメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、モノクロロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、ジクロロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、トリクロロ酢酸トリメチルフェニルアンモニウム、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム、硝酸トリメチルフェニルアンモニウム、塩化トリメチルフェニルアンモニウム、臭化トリメチルフェニルアンモニウム、ヨウ化トリメチルフェニルアンモニウム、メタンスルホン酸トリメチルフェニルアンモニウム、モノメチル硫酸トリメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸トリメチルフェニルアンモニウム、マロン酸トリメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸トリメチルフェニルアンモニウム、フマル酸トリメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸トリメチルフェニルアンモニウム、クエン酸トリメチルフェニルアンモニウム、炭酸トリメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、マロン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、フマル酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、クエン酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、炭酸ビストリメチルフェニルアンモニウム、ギ酸トリエチルフェニルアンモニウム、酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、プロピオン酸トリエチルフェニルアンモニウム、ブタン酸トリエチルフェニルアンモニウム、安息香酸トリエチルフェニルアンモニウム、フタル酸トリエチルフェニルアンモニウム、イソフタル酸トリエチルフェニルアンモニウム、テレフタル酸トリエチルフェニルアンモニウム、サリチル酸トリエチルフェニルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリエチルフェニルアンモニウム、トリフルオロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、モノクロロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、ジクロロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、トリクロロ酢酸トリエチルフェニルアンモニウム、水酸化トリエチルフェニルアンモニウム、硝酸トリエチルフェニルアンモニウム、塩化トリエチルフェニルアンモニウム、臭化トリエチルフェニルアンモニウム、ヨウ化トリエチルフェニルアンモニウム、メタンスルホン酸トリエチルフェニルアンモニウム、モノメチル硫酸トリエチルフェニルアンモニウム、シュウ酸トリエチルフェニルアンモニウム、マロン酸トリエチルフェニルアンモニウム、マレイン酸トリエチルフェニルアンモニウム、フマル酸トリエチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸トリエチルフェニルアンモニウム、クエン酸トリエチルフェニルアンモニウム、炭酸トリエチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、マロン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、フマル酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、クエン酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、炭酸ビストリエチルフェニルアンモニウム、ギ酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、プロピオン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、ブタン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、安息香酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、フタル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、イソフタル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、テレフタル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、サリチル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、トリフルオロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、モノクロロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、ジクロロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、トリクロロ酢酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、水酸化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、硝酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、塩化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、臭化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、ヨウ化ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、メタンスルホン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、モノメチル硫酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マロン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、フマル酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、クエン酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、炭酸ベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シュウ酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マロン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、マレイン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、フマル酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、シトラコン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、クエン酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム、炭酸ビスベンジルジメチルフェニルアンモニウム等を例示することができる。
【0150】
アルカリ金属塩としては、ギ酸リチウム、酢酸リチウム、プロピオン酸リチウム、ブタン酸リチウム、安息香酸リチウム、フタル酸リチウム、イソフタル酸リチウム、テレフタル酸リチウム、サリチル酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロ酢酸リチウム、モノクロロ酢酸リチウム、ジクロロ酢酸リチウム、トリクロロ酢酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、メタンスルホン酸リチウム、シュウ酸水素リチウム、マロン酸水素リチウム、マレイン酸水素リチウム、フマル酸水素リチウム、シトラコン酸水素リチウム、クエン酸水素リチウム、炭酸水素リチウム、シュウ酸リチウム、マロン酸リチウム、マレイン酸リチウム、フマル酸リチウム、シトラコン酸リチウム、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、ブタン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、イソフタル酸ナトリウム、テレフタル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロ酢酸ナトリウム、モノクロロ酢酸ナトリウム、ジクロロ酢酸ナトリウム、トリクロロ酢酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、メタンスルホン酸ナトリウム、シュウ酸水素ナトリウム、マロン酸水素ナトリウム、マレイン酸水素ナトリウム、フマル酸水素ナトリウム、シトラコン酸水素ナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、マロン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、シトラコン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、安息香酸カリウム、フタル酸カリウム、イソフタル酸カリウム、テレフタル酸カリウム、サリチル酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、トリフルオロ酢酸カリウム、モノクロロ酢酸カリウム、ジクロロ酢酸カリウム、トリクロロ酢酸カリウム、水酸化カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、メタンスルホン酸カリウム、シュウ酸水素カリウム、マロン酸水素カリウム、マレイン酸水素カリウム、フマル酸水素カリウム、シトラコン酸水素カリウム、クエン酸水素カリウム、炭酸水素カリウム、シュウ酸カリウム、マロン酸カリウム、マレイン酸カリウム、フマル酸カリウム、シトラコン酸カリウム、クエン酸カリウム、炭酸カリウムなどを例示できる。
【0151】
本発明において、架橋触媒(Xc)として、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩を構造の一部として有するポリシロキサン(Xc-10)をケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物に配合してもよい。
ここで使用される(Xc-10)を製造するために使用される原料として、下記一般式(Xm)で示される化合物を使用できる。
1A A12A A23A A3Si(OR0A(4-A1-A2-A3) (Xm)
(式中、R0Aは炭素数1~6の炭化水素基であり、R1A、R2A、R3Aのうち、少なくとも一つはアンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ヨードニウム塩を有する有機基であり、他方が水素原子又は炭素数1~30の1価の有機基である。A1、A2、A3は0又は1であり、1≦A1+A2+A3≦3である。)
ここで、R0Aとしては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基を例示できる。
【0152】
Xmとして、例えば、スルホニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物である、下記一般式(Xm-1)で示される化合物を例示できる。
【化12】
【0153】
(式中、RSA1、RSA2はそれぞれ炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基又はアリールオキシアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子等によって置換されていてもよい1価の有機基である。また、RSA1とRSA2とはこれらが結合する硫黄原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RSA1、RSA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。RSA3は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリーレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい2価の有機基である。)
【0154】
なお、上記一般式(Xm-1)中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。
【0155】
としては水酸化物イオン、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、ブタン酸イオン、ペンタン酸イオン、ヘキサン酸イオン、ヘプタン酸イオン、オクタン酸イオン、ノナン酸イオン、デカン酸イオン、オレイン酸イオン、ステアリン酸イオン、リノール酸イオン、リノレン酸イオン、安息香酸イオン、p-メチル安息香酸イオン、p-t-ブチル安息香酸イオン、フタル酸イオン、イソフタル酸イオン、テレフタル酸イオン、サリチル酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、モノクロロ酢酸イオン、ジクロロ酢酸イオン、トリクロロ酢酸イオン、硝酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、臭素酸イオン、ヨウ素酸イオン、メタンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、モノメチル硫酸イオン、硫酸水素イオン、シュウ酸イオン、マロン酸イオン、メチルマロン酸イオン、エチルマロン酸イオン、プロピルマロン酸イオン、ブチルマロン酸イオン、ジメチルマロン酸イオン、ジエチルマロン酸イオン、コハク酸イオン、メチルコハク酸イオン、グルタル酸イオン、アジピン酸イオン、イタコン酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、シトラコン酸イオン、クエン酸イオン、炭酸イオン等が挙げられる。
【0156】
上記一般式(Xm-1)で示される化合物のカチオン部分として、具体的には、以下のイオンが例示される。
【化13】
【0157】
例えば、ヨードニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-2)を例示できる。
【化14】
(式中、RIA1は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子等によって置換されていてもよい1価の有機基である。RIA2は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリーレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい2価の有機基である。)
【0158】
なお、上記一般式(Xm-2)中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。Xは上記されるとおりである。
【0159】
上記一般式(Xm-2)で示される化合物のカチオン部分として、具体的には、以下のイオンが例示される。
【0160】
【化15】
【0161】
例えば、ホスホニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-3)を例示できる。
【化16】
(式中、RPA1、RPA2、RPA3はそれぞれ炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ハロゲン原子等によって置換されていてもよい。また、RPA1とRPA2とはこれらが結合するリン原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RPA1、RPA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基を示す。RPA4は炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリーレン基であり、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい。)
なお、上記一般式(Xm-3)中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。Xは上記されるとおりである。
上記一般式(Xm-3)で示される化合物のカチオン部分として、具体的には、以下のイオンが例示される。
【0162】
【化17】
【0163】
【化18】
【0164】
例えば、アンモニウム塩を構造の一部として有する加水分解性ケイ素化合物として下記一般式(Xm-4)を例示できる。
【化19】
(式中、RNA1、RNA2、RNA3はそれぞれ水素、炭素数1~20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基又はオキソアルケニル基、炭素数6~20の置換あるいは非置換のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基又はアリールオキシアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい1価の有機基である。また、RNA1とRNA2とはこれらが結合する窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、RNA1、RNA2はそれぞれ炭素数1~6のアルキレン基または窒素を含んだ環状複素環、複素芳香環を示す。RNA4は炭素数1~30の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルケニレン基、炭素数6~30の置換あるいは非置換のアリーレン基、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基等によって置換されていてもよい2価の有機基であり、RNA1とRNA2、RNA1とRNA4で環状構造を形成し更に不飽和窒素を含む場合はnN3=0、それ以外はnN3=1である。)
なお、上記一般式(Xm-4)中において、(Si)はSiとの結合箇所を示すために記載した。Xは上記されるとおりである。
上記一般式(Xm-4)で示される化合物のカチオン部分として、具体的には、以下のイオンが例示される。
【0165】
【化20】
【0166】
【化21】
【0167】
【化22】
【0168】
【化23】
【0169】
【化24】
【0170】
【化25】
【0171】
【化26】
【0172】
【化27】
【0173】
【化28】
【0174】
【化29】
【0175】
【化30】
【0176】
【化31】
【0177】
【化32】
【0178】
(Xc-10)を製造するために、上記(Xm-1)、(Xm-2)、(Xm-3)、(Xm-4)と同時に使用される加水分解性ケイ素化合物として、上述の(Sm)を例示できる。
【0179】
このように示されるモノマー(Xm-1)、(Xm-2)、(Xm-3)、(Xm-4)の1種以上と(Sm)の1種以上を選択して、反応前又は反応中に混合して(Xc-10)を形成する反応原料とすることができる。反応条件は熱架橋性ポリシロキサン(Sx)の合成方法と同様の方法でよい。
【0180】
得られるケイ素含有化合物(Xc-10)の分子量は、モノマーの選択だけでなく、重合時の反応条件制御により調整することができるが、重量平均分子量が100,000を超えないものを用いると、異物の発生や塗布斑が生じることがなく、100,000以下、より好ましくは200~50,000、更には300~30,000のものを用いることが好ましい。なお、上記重量平均分子量に関するデータは、検出器としてRI、溶離溶剤としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリスチレンを用いて、ポリスチレン換算で分子量を表したものである。
【0181】
なお、上記架橋触媒(Xc-1)、(Xc-2)、(Xc-3)、(Xc-4)、(Xc-10)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。架橋触媒の添加量は、ベースポリマー(上記方法で得られた熱架橋性ポリシロキサン(Sx))100質量部に対して、好ましくは0.01~50質量部、より好ましくは0.1~40質量部、更に好ましくは0.1~10質量部である。
【0182】
流動性の観点から、上記加水分解性ケイ素化合物(Xc-10)を用いる場合は、芳香環を有する有機基が非含有であり、添加量は少ない方がより好ましい。
【0183】
(有機酸)
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の安定性を向上させるため、炭素数が1~30の1価又は2価以上の有機酸を添加してもよい。このとき添加する酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、トリフルオロ酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クエン酸等を例示することができる。特にシュウ酸、マレイン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸等が好ましい。また、安定性を保つため、2種以上の酸を混合して使用してもよい。有機酸の添加量は本発明のケイ素含有レジスト下層膜形成用組成物に含まれるケイ素100質量部に対して0.001~25質量部、好ましくは0.01~15質量部、より好ましくは0.1~5質量部である。
【0184】
あるいは、上記有機酸を本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物のpHに換算して、好ましくは0≦pH≦7、より好ましくは0.3≦pH≦6.5、更に好ましくは0.5≦pH≦6となるように配合することがよい。
【0185】
<(C)溶媒(溶剤)>
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物において使用可能な溶剤としては、上記の(A)金属酸化物ナノ粒子を分散し、(B)熱架橋性ポリシロキサン、及び含まれる場合には架橋触媒、有機酸、光酸発生剤、安定剤、界面活性剤、その他添加剤等が溶解するものであれば特に制限はない。特に沸点が180℃未満のものが好ましい。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル、及びこれらのうち2種以上の混合物が好ましい。
【0186】
本発明では組成物に水を添加してもよい。水を添加すると、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物中の熱架橋性ポリシロキサン化合物が水和されるため、リソグラフィー性能が向上する。本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の溶剤成分における水の含有率は0質量%を超え70質量%未満であり、好ましくは0.1~30質量%である。水の添加量が上記範囲内であれば、ケイ素含有メタルハードマスクの均一性が悪くなることがなく、はじきが発生することがない。
【0187】
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物が水を含むことで、ポジ型現像により形成したレジストパターンのパターン倒壊抑制剤として利用することが可能となる。つまり、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液などのポジ型現像液やそのリンス液である純水を良好に置換することが可能となり、ポジ型現像により形成したレジストパターン間をパターン倒壊なく充填でき、そのままレジストパターンの反転剤として利用することが可能となる。
【0188】
水を含む全溶剤の配合量は、(A)金属酸化物ナノ粒子100質量部に対して100~100,000質量部、特に200~50,000質量部が好適である。
【0189】
(高沸点溶剤)
さらに、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物には有機溶剤として、上記の沸点が180℃未満の溶剤に沸点が180℃以上の高沸点溶剤を添加する事も可能である(沸点が180℃未満の溶剤と沸点が180℃以上の溶剤の混合物)。高沸点有機溶剤としては、(A)金属酸化物ナノ粒子を分散し、(B)熱架橋性ポリシロキサン、及び含まれる場合には架橋触媒、有機酸、光酸発生剤、安定剤、界面活性剤、その他添加剤等が溶解できるものであれば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、塩素系溶剤等の制限は特にはないが、具体例として、1-オクタノール、2-エチルヘキサノール、1-ノナノール、1-デカノール、1-ウンデカノール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、2,4-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、酢酸n-ノニル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノー2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4―ブタンジオールジアセテート、1,3―ブチレングリコールジアセテート、1,6-ヘキサンジオールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、γ-ブチロラクトン、マロン酸ジヘキシル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジプロピル、コハク酸ジブチル、コハク酸ジヘキシル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどを例示することができ、これらを単独または混合し用いても良い。
【0190】
上記、高沸点溶剤の沸点は、ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を熱処理する温度に合わせて適宜選択すればよく、添加する高沸点溶剤の沸点は180℃~300℃であることが好ましく、200℃~300℃であることがより好ましい。このような沸点であれば沸点が低すぎることによってベーク(熱処理)した際の揮発が速すぎる恐れがないため、十分な熱流動性を得ることができる。また、このような沸点であれば沸点が高すぎることなくベーク後も膜中に揮発せずに残存してしまうことがないため、エッチング耐性等の膜物性に悪影響を及ぼす恐れがない。
【0191】
また、上記、高沸点溶剤を使用する場合、高沸点溶剤の配合量は、沸点180℃未満の溶剤100質量部に対して1~30質量部とすることが好ましい。このような配合量であれば、十分な熱流動性を付与することができ、膜中に残存することもなく、エッチング耐性などの膜物性も良好となる。
【0192】
このようなケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物であれば、上記組成物に高沸点溶剤の添加による熱流動性が付与されることで、より高度な埋め込み/平坦化特性を併せ持つ組成物となる。
【0193】
(光酸発生剤)
本発明では組成物に光酸発生剤を添加してもよい。本発明で使用される光酸発生剤として、具体的には、特開2009-126940号公報(0160)~(0179)段落に記載されている材料を添加することができる。光酸発生剤の配合量は、金属酸化物ナノ粒子100質量部に対して好ましくは0.05~50質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。
【0194】
(安定剤)
更に、本発明では組成物に安定剤を添加することができる。安定剤として環状エーテルを置換基として有する1価又は2価以上のアルコールを添加することができる。特に特開2009-126940号公報(0181)~(0182)段落に記載されている安定剤を添加するとケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の安定性を向上させることができる。安定剤の配合量は、金属酸化物ナノ粒子100質量部に対して好ましくは0.05~50質量部、より好ましくは0.1~10質量部である。
【0195】
(界面活性剤)
更に、本発明では必要に応じて組成物に界面活性剤を配合することが可能である。このようなものとして、具体的には、特開2009-126940号公報(0185)段落に記載されている材料を添加することができる。界面活性剤の配合量は、金属酸化物ナノ粒子100質量部に対して好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部である。
【0196】
(分散剤)
本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物には更に分散剤を添加することができる。使用される分散剤の種類は特に制限されず、公知の分散剤を使用することができる。例えば、アルキルアミン、アルカンチオール、アルカンジオール、リン酸エステルなどの低分子型分散剤や、各種官能基を有する高分子型分散剤、シランカップリング剤などが挙げられる。なお、高分子型分散剤としては、例えば、スチレン系樹脂(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体など)、アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸などの(メタ)アクリル酸系樹脂など)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性アクリルウレタン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(ニトロセルロース; エチルセルロースなどのアルキルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどのアルキル-ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのカルボキシアルキルセルロースなどのセルロースエーテル類など)、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール(液状のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなど)、天然高分子(ゼラチン、デキストリン、アラビヤゴム、カゼインなどの多糖類など)、ポリエチレンスルホン酸またはその塩、ポリスチレンスルホン酸またはその塩、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、窒素原子含有高分子化合物[例えば、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミンなど) 、ポリビニルピロリドン、ポリアリルアミン、ポリエーテルポリアミン(ポリオキシエチレンポリアミンなど) などのアミノ基を有する高分子化合物]などが挙げられる。
【0197】
一般的に、金属ナノ粒子は凝集を防止するために有機保護膜で覆われているが、分散剤を添加することで、金属ナノ粒子の凝集防止性をさらに向上させることができる。分散剤の配合量は、金属酸化物ナノ粒子100質量部に対して好ましくは0.1~100質量部、より好ましくは0.1~50質量部である。
【0198】
〔パターン形成方法〕
また、本発明では、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いた2層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
(I-1)被加工基板上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(I-2)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(I-3)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(I-4)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、及び
(I-5)前記パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0199】
上記2層レジストプロセスのレジスト上層膜は、塩素系ガスおよびフロン系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記2層レジストプロセスにおいて、レジスト上層膜をマスクにして行うケイ素含有メタルハードマスクのドライエッチングを、塩素系ガスまたはフロン系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0200】
また、本発明では、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いた3層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
(II-1)被加工基板上に、有機レジスト下層膜を形成する工程、
(II-2)前記有機レジスト下層膜上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(II-3)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(II-4)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(II-5)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、
(II-6)前記パターンが転写されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして、ドライエッチングで前記有機レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(II-7)前記パターンが形成された有機レジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0201】
3層レジストプロセスの一例について、図1を用いて具体的に示すと下記の通りである。3層レジストプロセスの場合、図1(A)に示したように、被加工基板1の上に積層された被加工層2上に有機レジスト下層膜3を形成した後、ケイ素含有メタルハードマスク4を形成し、その上にレジスト上層膜5を形成する。
【0202】
次いで、図1(B)に示したように、レジスト上層膜5の露光部分6を露光し、PEB及び現像を行ってレジスト上層膜パターン5aを形成する(図1(C))。この得られたレジスト上層膜パターン5aをマスクとし、CF系ガスを用いてケイ素含有メタルハードマスク4をエッチング加工してケイ素含有メタルハードマスクパターン4aを形成する(図1(D))。レジスト上層膜パターン5aを除去後、この得られたケイ素含有メタルハードマスクパターン4aをマスクとして有機レジスト下層膜3を酸素プラズマエッチングし、有機レジスト下層膜パターン3aを形成する(図1(E))。さらにケイ素含有メタルハードマスクパターン4aを除去後、有機レジスト下層膜パターン3aをマスクに被加工層2をエッチング加工し、被加工層に形成されるパターン2aを形成する(図1(F))。
【0203】
上記3層レジストプロセスのケイ素含有メタルハードマスクは、酸素系ガスによるエッチング耐性を示すため、上記3層レジストプロセスにおいて、ケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして行う有機レジスト下層膜のドライエッチングを、酸素系ガスを主体とするエッチングガスを用いて行うことが好ましい。
【0204】
上記3層レジストプロセスで使用可能な有機レジスト下層膜としては、既に3層レジスト法用、あるいはシリコンレジスト組成物を使用した2層レジスト法用の下層膜として公知のもの、特開2005-128509号公報記載の4,4’-(9-フルオレニリデン)ビスフェノールノボラック樹脂(分子量11,000)の他、ノボラック樹脂をはじめとする多数の樹脂であって、2層レジスト法や3層レジスト法のレジスト下層膜材料として公知のもの等を使用することができる。また、通常のノボラックよりも耐熱性を上げたい場合には、6,6’-(9-フルオレニリデン)-ジ(2-ナフトール)ノボラック樹脂のような多環式骨格を入れることもでき、更にポリイミド系樹脂を選択することもできる(例えば、特開2004-153125号公報)。
【0205】
上記有機レジスト下層膜は、組成物溶液を用い、フォトレジスト組成物と同様にスピンコート法等で被加工基板上に形成することが可能である。スピンコート法等で有機下層膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させるためベークをすることが望ましい。ベーク温度は80~300℃の範囲内で、ベーク時間は10~300秒の範囲内が好ましく用いられる。
【0206】
上記有機レジスト下層膜の代わりに、CVD法またはALD法で形成された有機ハードマスクを適用することも可能である。
【0207】
また、本発明では、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いた4層レジストプロセスによるパターン形成方法として、
被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(III-1)被加工基板上に、有機レジスト下層膜を形成する工程、
(III-2)前記有機レジスト下層膜上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成する工程、
(III-3)前記ケイ素含有メタルハードマスク上に、有機薄膜形成用の組成物を用いてBARC又は密着膜を形成する工程、
(III-4)前記BARC又は前記密着膜上に、フォトレジスト材料を用いてレジスト上層膜を形成する工程、
(III-5)前記レジスト上層膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記レジスト上層膜にパターンを形成する工程、
(III-6)前記パターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして、ドライエッチングで前記BARC又は前記密着膜及び前記ケイ素含有メタルハードマスクにパターンを転写する工程、
(III-7)前記パターンが転写されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして、ドライエッチングで前記有機レジスト下層膜にパターンを転写する工程、及び
(III-8)前記パターンが形成された有機レジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にパターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0208】
上記のように、ケイ素含有メタルハードマスクの上に有機反射防止膜(BARC)又は密着膜をスピンコートで形成して、その上にフォトレジスト膜を形成してもよい。特に、ケイ素含有メタルハードマスクとBARCの2層の反射防止膜によって1.0を超える高NAの液浸露光においても反射を抑えることが可能となる。
【0209】
上記多層レジストプロセスにおけるレジスト上層膜は、ポジ型でもネガ型でもどちらでもよく、通常用いられているフォトレジスト組成物と同じものを用いることができる。フォトレジスト組成物をスピンコート後、プリベークを行うが、60~180℃で10~300秒の範囲が好ましい。その後常法に従い、露光を行い、さらに、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)、現像を行い、レジストパターンを得る。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、30~500nmが好ましく、特に50~400nmが好ましい。
【0210】
また、露光光としては、波長300nm以下の高エネルギー線、具体的には248nm、193nm、157nmのエキシマレーザー、3~20nmの軟X線、電子ビーム、X線等を挙げることができる。
【0211】
上記レジスト上層膜のパターン形成方法として、波長が5nm以上300nm以下の光リソグラフィー、電子線による直接描画、ナノインプリンティングまたはこれらの組み合わせによるパターン形成とすることが好ましい。
【0212】
上記レジスト上層膜に回路パターンを形成する方法として上記方法を用いると、被加工基板に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0213】
また、前記パターン形成方法における現像方法を、アルカリ現像または有機溶剤による現像とすることが好ましい。
【0214】
また、上記パターン形成方法において、レジスト上層膜に回路パターンを形成するために露光及び現像を行い、上記現像が、アルカリ現像または有機溶剤による現像であることが好ましい。
【0215】
現像方法として、アルカリ現像または有機溶剤による現像を用いると、被加工基板に微細なパターンをより高精度で形成することができる。
【0216】
次に、得られたレジストパターンをマスクにしてエッチングを行う。2層レジストプロセスにおけるケイ素含有メタルハードマスクのエッチングは、塩素系またはフロン系のガスを用いて上層レジストパターンをマスクにして行う。これにより、ケイ素含有メタルハードマスクパターンを形成する。次いで、3層レジストプロセスの場合は、得られたケイ素含有メタルハードマスクパターンをマスクにして、有機レジスト下層膜のエッチングを行う。有機レジスト下層膜のエッチングは酸素系のガスを用いることが好ましい。
【0217】
次の被加工基板のエッチングも、常法によって行うことができ、例えば被加工基板がSiO、SiN、シリカ系低誘電率絶縁膜であればフロン系ガスを主体としたエッチングを行う。
【0218】
なお、被加工体(被加工基板)としては、特に限定されるものではなく、Si、α-Si、p-Si、SiO、SiN、SiON、W、TiN、Al等の基板や、該基板上に被加工層が成膜されたもの等が用いられる。被加工層としては、Si、SiO、SiON、SiN、p-Si、α-Si、W、W-Si、Al、Cu、Al-Si等種々のLow-k膜及びそのストッパー膜が用いられ、通常50~10,000nm、特に100~5,000nmの厚さに形成し得る。なお、被加工層を成膜する場合、基板と被加工層とは、異なる材質のものが用いられる。
【0219】
本発明のパターン形成方法は、高さ30nm以上の構造体又は段差を有する被加工基板を用いることが好ましい。上述のように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工基板に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦な硬化膜を形成することができる。上記被加工基板の有する構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることがより好ましい。上記高さのパターンを有する段差基板を加工する方法において、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、その後成膜されるレジスト上層膜の膜厚を均一にすることが可能となるため、フォトリソグラフィー時の露光深度マージン(DOF)確保が容易となり、非常に好ましい。
【0220】
また、本発明では、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いたレジストパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(IV-1)被加工基板上に、フォトレジスト材料を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(IV-2)前記フォトレジスト膜をパターン露光した後、現像液で現像して、前記フォトレジスト膜にパターンを形成する工程、
(IV-3)前記フォトレジスト膜パターン上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記フォトレジスト膜パターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(IV-4)前記パターンが形成された前記フォトレジスト膜上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記フォトレジスト膜の上面を露出させる工程、
(IV-5)表面が露出した前記フォトレジスト膜パターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(IV-6)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有することを特徴とするトーン反転式パターン形成方法を提供する。
【0221】
レジスト反転パターンの形成方法の一例について、図2を用いて具体的に示すと下記の通りである。図2(G)に示したように、被加工基板1の上に積層された被加工層2上にフォトレジスト膜5’を形成する。次いで、図2(H)に示したように、フォトレジスト膜5’の露光部分6を露光し、PEB及び現像を行ってフォトレジスト膜パターン5a’を形成する(図2(I))。
【0222】
フォトレジスト膜パターン5a’上に、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりレジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク7を被覆し、フォトレジスト膜パターン5a’間をレジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク7で充填する(図2(J))。次に、フォトレジスト膜パターン5a’を覆うレジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク7を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、フォトレジスト膜パターン5a’の上面を露出させる(図2(K))。その次に、表面が露出したフォトレジスト膜パターン5a’をドライエッチングで除去し、レジストパターンを反転したケイ素含有メタルハードマスクパターン7aを形成する(図2(L))。そして、レジストパターンを反転したケイ素含有メタルハードマスクパターン7aをマスクにして被加工層2をエッチング加工し、被加工層に形成されるパターン2aを形成する(図2(M))。
【0223】
上記レジスト反転パターン形成方法では、得られたレジスト上層膜パターン上にケイ素含有メタルハードマスクを被覆した後、レジスト上層膜パターン上面を露出させるために塩素系ガスまたはフロン系ガスを用いたドライエッチングでケイ素含有メタルハードマスクの上層を除去することが好ましい。その後、表面の露出したレジスト上層膜パターンを酸素系ガスによるドライエッチングで除去し、ケイ素含有金属酸化膜パターンを形成し、これをマスクに用いて被加工基板をエッチングする。
【0224】
上記レジストパターンに限らず、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で形成されるケイ素含有メタルハードマスクとエッチング選択比の取れる材料で形成したパターンであれば、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で反転パターンを形成することが可能である。具体的には、ポリシロキサンベースのケイ素含有中間膜やCVD法やALD法等で形成した、ケイ素酸化膜、ケイ素窒化膜、及びケイ素酸化窒化膜(SiON膜)などの無機ハードマスク、スピンコート法で形成した有機レジスト下層膜やCVD法、ALD法で形成したレジスト下層膜などからなるパターンを含む。
【0225】
上記反転パターン形成方法では、反転パターンのもとになるパターンは高さ30nm以上の構造体又は段差を有することが好ましい。上述のように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、埋め込み/平坦化特性に優れるため、被加工膜に高さ30nm以上の構造体又は段差(凹凸)があっても、平坦なメタルハードマスクを形成することができる。上記パターンの構造体又は段差の高さは30nm以上が好ましく、50nm以上であることがより好ましい。上記高さのパターンを有するパターンを反転する方法において、酸素系ガスおよびフロン系ガスを用いたエッチングに対して優れた耐性を持つ上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を成膜して埋込/平坦化を行うことにより、パターンの反転/転写を高精度で行うことが可能となる。
【0226】
また、本発明では、ナノインプリント法により得られたパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(V-1)被加工基板上に、ナノインプリント法によりパターンを形成する工程、
(V-2)パターン上に、上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記ナノインプリントパターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(V-3)前記ナノインプリント法により形成したパターン上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記ナノインプリントパターン膜の上面を露出させる工程、
(V-4)表面が露出した前記ナノインプリントパターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(V-5)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0227】
上記ナノインプリント法により得られたパターンの反転方法では、得られたナノインプリントパターン上にケイ素含有メタルハードマスクを被覆した後、ナノインプリント法により形成したパターン上面を露出させるために塩素系ガスまたはフロン系ガスを用いたドライエッチングでケイ素含有メタルハードマスクの上層を除去することが好ましい。その後、表面の露出したナノインプリントパターンを酸素系ガスによるドライエッチングで除去し、ケイ素含有メタルハードマスクパターンを形成し、これをマスクに用いて被加工基板をエッチングする。
【0228】
また、本発明では、レジストパターンを反転し、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(VI-1)被加工基板上に、フォトレジスト材料を用いてフォトレジスト膜を形成する工程、
(VI-2)前記フォトレジスト膜をパターン露光した後、現像液で現像する工程、及び必要に応じてさらにリンス液でリンス処理する工程、
(VI-3)前記現像液、又は前記リンス液を上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で置換し、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを被覆し、前記フォトレジスト膜パターン間を前記ケイ素含有メタルハードマスクで充填する工程、
(VI-4)前記パターンが形成された前記フォトレジスト膜上を覆う前記ケイ素含有メタルハードマスクを化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、パターンが形成された前記フォトレジスト膜の上面を露出させる工程、
(VI-5)表面が露出した前記フォトレジスト膜パターンをドライエッチングで除去し、元のパターンの反転パターンをケイ素含有メタルハードマスク上に形成する工程、
(VI-6)前記反転パターンが形成されたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして前記被加工基板を加工して前記被加工基板にトーン反転式パターンを形成する工程
を有するパターン形成方法を提供する。
【0229】
レジスト現像液又はリンス液置換によるレジスト反転パターンの形成方法の一例について、図3を用いて具体的に示すと下記の通りである。図3(G)に示したように、被加工基板1の上に積層された被加工層2上にフォトレジスト膜5’を形成する。次いで、図3(H)に示したように、フォトレジスト膜5’の露光部分6を露光し、PEB及び現像液による現像を行う。そして必要に応じてさらにリンス液でリンス処理を行う。フォトレジスト膜パターン5a’上は、現像液又はリンス液6aで覆われている(図3(N))。
【0230】
次に、現像液又はリンス液6aを本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物で置換し、熱処理することによりレジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク8を被覆し、フォトレジスト膜パターン5a’間をレジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク8で充填する(図3(O))。次に、フォトレジスト膜パターン5a’を覆うレジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク8を化学的ストリッパ又はドライエッチングでエッチバックし、フォトレジスト膜パターン5a’の上面を露出させる(図3(P))。
【0231】
その次に、表面が露出したフォトレジスト膜パターン5a’をドライエッチングで除去し、レジストパターンを反転したケイ素含有メタルハードマスクパターン8aを形成する(図3(Q))。そして、レジストパターンを反転したケイ素含有メタルハードマスクパターン8aをマスクにして被加工層2をエッチング加工し、被加工層に形成されるパターン2aを形成する(図3(R))。
【0232】
上記レジスト反転パターン形成方法では、得られたフォトレジスト膜パターン上にケイ素含有メタルハードマスクを被覆した後、フォトレジスト膜パターン上面を露出させるために塩素系ガスまたはフロン系ガスを用いたドライエッチングでケイ素含有メタルハードマスクの上層を除去することが好ましい。その後、表面の露出したフォトレジスト膜パターンを酸素系ガスによるドライエッチングで除去し、ケイ素含有メタルハードマスクパターンを形成し、これをマスクに用いて被加工基板をエッチングする。
【0233】
本発明の上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、レジストを現像する現像液と親和性の良好な溶剤組成に適宜調整することが可能であり、ポジ型、ネガ型のどちらでも現像液置換による反転パターンを形成することが可能である。
【0234】
前記露光後のレジスト膜の現像に使用する現像液として、そのレジスト膜がポジ型レジスト溶液を用いて形成されたものである場合、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n-プロピルアミン等の第一級アミン類、ジエチルアミン、ジ-n-ブチルアミン等の第二級アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン等の第4級アンモニウム塩、ピロール、ピペリジン等の環状アミン類、等のアルカリ類の水溶液が挙げられる。さらに、上記アルカリ類の水溶液にイソプロピルアルコール等のアルコール類、ノニオン系等の界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。これらの中で好ましい現像液は第四級アンモニウム塩の水溶液、さらに好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液である。
【0235】
上記露光後のレジスト膜の現像に使用する現像液として、そのレジスト膜がネガ型レジスト溶液を用いて形成されたものである場合、例えば、2-オクタノン、2-ノナノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、2-ヘキサノン、3-ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、酢酸フェニル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、ギ酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニルエチル、3-フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸-2-フェニルエチルから選ばれる1種以上を成分として含む現像液等を使用することができ、現像液成分1種又は2種以上の合計が、50質量%以上である現像液を使用することが、パターン倒れ改善等の観点から好ましい。
【0236】
レジスト膜がポジ型レジスト溶液を用いて形成されたものである場合、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の溶剤組成は、水とアルコール溶剤の混合組成が好ましい。水の含有率は0質量%を超え70質量%未満であり、好ましくは0.1~30質量%である。アルコール系溶剤で特に好ましいものはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオールなどのモノアルキルエーテル誘導体である。具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール等が好ましい。
【0237】
レジスト膜がネガ型レジスト溶液を用いて形成されたものである場合、上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物の溶剤組成は、水を含まない組成が好ましく、具体的には、ブタンジオールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ブタンジオールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ブタンジオールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジアセトンアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、酢酸t-ブチル、プロピオン酸t-ブチル、プロピレングリコールモノt-ブチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンチルメチルエーテル、及びこれらのうち2種以上の混合物が好ましい。
【0238】
また、本発明では、被加工基板にパターンを形成する方法であって、
(VII-1)被加工基板上に有機レジスト下層膜を形成し、その上に上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を塗布後、熱処理することによりケイ素含有メタルハードマスクを形成し、更にその上にレジスト上層膜を形成する工程、
(VII-2)前記レジスト上層膜を露光、現像してレジスト上層膜パターンを形成する工程、
(VII-3)前記レジスト上層膜パターンをマスクとしてドライエッチングでケイ素含有メタルハードマスクに前記レジスト上層膜パターンを転写し、更に前記レジスト上層膜パターンが転写された前記ケイ素含有メタルハードマスクをマスクとして、ドライエッチングで前記ケイ素含有メタルハードマスクの一部を前記有機レジスト下層膜の上部に残して前記有機レジスト下層膜に前記レジスト上層膜パターンを転写して有機レジスト下層膜パターンを形成する工程、
(VII-4)前記有機レジスト下層膜パターン上部に残った前記ケイ素含有メタルハードマスクを剥離液で除去する工程、
(VII-5)前記有機レジスト下層膜パターンを覆うようにポリシリコン、アモルファスシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化ケイ素又はこれらの複合材料のうちのいずれかからなる無機ケイ素膜をCVD法又はALD法によって形成する工程、
(VII-6)前記無機ケイ素膜の一部をドライエッチングで除去して前記有機レジスト下層膜パターンの上部を露出させる工程、及び
(VII-7)前記有機レジスト下層膜パターンを除去して、パターンピッチが前記レジスト上層膜パターンの1/2である無機ケイ素膜パターンを形成する工程、
を含むパターン形成方法を提供する。
【0239】
側壁スペーサー法を用いたレジストパターンの形成方法の一例について、図4を用いて具体的に示すと下記の通りである。図4(A)に示したように、被加工基板1の上に積層された被加工層2上に有機レジスト下層膜3を形成した後、ケイ素含有メタルハードマスク4を形成し、その上にレジスト上層膜5を形成する。
【0240】
次いで、図4(B)に示したように、レジスト上層膜5の露光部分6を露光し、PEB及び現像を行ってレジスト上層膜パターン5aを形成する(図4(C))。この得られたレジスト上層膜パターン5aをマスクとし、CF系ガスを用いてケイ素含有メタルハードマスク4をエッチング加工してケイ素含有メタルハードマスクパターン4aを形成する(図4(D))。レジスト上層膜パターン5aを除去後、この得られたケイ素含有メタルハードマスクパターン4aをマスクとして有機レジスト下層膜3を酸素プラズマエッチングし、有機レジスト下層膜パターン3aを形成する(図4(E))。さらにケイ素含有メタルハードマスクパターン4aを湿式剥離により除去する(図4(S))。
【0241】
次に、有機レジスト下層膜パターン3aを覆うように無機ケイ素膜9を形成し(図4(T))、ドライエッチングにより無機ケイ素膜9をエッチバックし、エッチングバックされた無機ケイ素膜9aを形成して、有機レジスト下層膜パターン3aの上面を露出させる(図4(U))。そして、有機レジスト下層膜パターン3aを除去し、パターンピッチがレジスト上層膜パターンの1/2である無機ケイ素膜パターン9bを形成する(図4(V))。そして、パターンピッチがレジスト上層膜パターンの1/2である無機ケイ素膜パターン9bをマスクにして被加工層2をエッチング加工し、被加工層に形成されるパターン2aを形成する(図4(W))。
【0242】
上記パターン形成方法では、レジスト上層膜をマスクにして上記ケイ素含有メタルハードマスクを塩素系ガスまたはフロン系ガスでエッチングし、得られたケイ素含有メタルハードマスクをマスクにして酸素系ガスでエッチングする。次いで、得られたレジスト下層膜パターン上からケイ素含有メタルハードマスクを湿式剥離液でウェットエッチングした後、有機レジスト下層膜パターン上に無機ケイ素膜をCVD法又はALD法を用いて形成する。その後、無機ケイ素膜の上層をフロン系ガスを用いてエッチングし、有機レジスト下層膜パターンの上部を露出する。露出した有機レジスト下層膜パターンを除去して、パターンピッチが上記レジストパターンの1/2である無機ケイ素膜パターンを形成する。
【0243】
レジスト下層膜上の残渣をドライエッチングにより除去する場合、被加工基板上にダメージが入り欠陥の原因となる恐れがあるが、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いた上記パターン形成方法では、上記ケイ素含有メタルハードマスクが剥離液による湿式剥離が容易であるため、基板にダメージを与えることなく、側壁スペーサー法を用いた微細パターンを形成することが可能である。
【0244】
有機レジスト下層膜上に残る上記ケイ素含有メタルハードマスクを、剥離液を用いて湿式処理することにより洗浄除去する。この時使用される剥離液としては、フッ素イオン含有剥離液や窒素含有カチオン含有剥離液が好ましい。一般的には、希フッ酸、フッ化アンモニウム水溶液、SC1、テトラアルキルアンモニウム水溶液、テトラアルキルアンモニウム含有有機溶剤、含水テトラアルキルアンモニウム含有有機溶剤などが知られているが、基板の材質により選択される。テトラアルキルアンモニウム水溶液、テトラアルキルアンモニウム含有有機溶剤は基板の材質の選択の幅が広いため最も好ましく、フッ素イオン含有水溶液やSC1は適切な基板材質であれば使用可能である。
【実施例0245】
以下、合成例及び実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。なお、下記例で%は質量%を示し、分子量MwはGPC測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0246】
[(A)金属酸化物ナノ粒子]
金属酸化膜形成用組成物には、下記の金属酸化物ナノ粒子を用いた。
(A1):ZrO nanoparticles(平均一次粒子径5nm,915505,Sigma-Aldrich Corp)
(A2):酸化チタン分散体 (平均一次粒子径6nm,NS405,テイカ(株)製)
【0247】
[(A)比較用金属酸化物化合物(A3)]
比較用金属酸化膜形成用組成物に用いた(A3)比較用金属酸化物化合物は、特許公報6196165号の[合成例A-I]を参考に下記手順により合成した。
チタンテトライソプロポキシド28.4g及びイソプロピルアルコール(IPA)50gの混合物に純水2.7g及びIPA50gの混合物を滴下した。滴下終了後、3時間撹拌させた。次に、2-(ブチルアミノ)エタノール11.8gを添加し、17時間撹拌した。さらに、1,2-プロパンジオール30.4gを添加し、2時間還流した。そこにPGMEA150gを加え、減圧で濃縮してチタン含有化合物(A3)のPGMEA溶液130gを得た。このチタン含有化合物(A3)は金属アルコキシドの加水分解縮合物であり、ポリメタロキサンの主鎖骨格を有するポリマーになるので、構造的に金属酸化物ナノ粒子と明確に区別される。このため、比較例に用いている。
【0248】
[(A)比較用金属酸化物化合物(A4)]
比較用金属酸化膜形成用組成物に用いた(A4)比較用金属酸化物化合物は、特許公報5756134号の[合成例A-II]を参考に下記手順により合成した。
ジルコニウムテトライソプロポキシド32.7g、イソプロピルアルコール50g及びアセチルアセトン50gの混合物に純水2.7g及びイソプロピルアルコール50gの混合物を滴下した。滴下終了後、2時間撹拌し加水分解縮合し、さらに、2時間還流した。そこにPGMEA200gを加え、減圧で濃縮してジルコニウム含有化合物(A4)のPGMEA溶液250gを得た。このジルコニウム含有化合物(A4)は、金属アルコキシドの加水分解縮合物であり、上記(A3)と同様に金属酸化物ナノ粒子ではない。このため、比較例に用いている。
【0249】
[合成例B1]
メタノール120g、メタンスルホン酸0.1g及び脱イオン水60gの混合物にモノマー100を20.4g、モノマー101を45.7g及びモノマー103を13.9gの混合物を添加し、12時間、40℃に保持し、加水分解縮合させた。反応終了後、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)200gを加え、加水分解縮合に供した水分及び副生アルコールを減圧で留去し、ポリシロキサン化合物B1のPGMEA溶液170g(化合物濃度20%)を得た。ポリシロキサン化合物B1のポリスチレン換算分子量を測定したところMw=2,500であった。
【0250】
[合成例B2~B11]
合成例B1と同様の条件で表1に示してあるモノマーを使用して、[合成例B2]から[合成例B11]までを行い、それぞれ目的物B2~B11を得た。
【表1】
【0251】
以下に、実施例、比較例で使用した化合物を示す。Phはフェニル基を表す。
モノマー100・・・CHSi(OCH
モノマー101・・・Si(OCH
モノマー102・・・PhSi(OCH
【0252】
【化33】
【0253】
[実施例、比較例]
金属酸化物ナノ粒子(A1、A2)、比較用金属酸化物化合物(A3、A4)と上記合成例で得られたポリシロキサン化合物B1~B11、架橋触媒、光酸発生剤、溶剤(溶媒)を表2に示す割合で混合し、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって、ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~6)を調製した。
【0254】
(ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物)
【表2】
【0255】
TPS-NO3:硝酸トリフェニルスルホニウム
TPSMA:マレイン酸モノ(トリフェニルスルホニウム)
TPSNf:ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG-1:下記式参照
【化34】
D1:1,6-ジアセトキシヘキサン(沸点260℃)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGEE:プロピレングリコールモノエチルエーテル
【0256】
[埋め込み特性評価](実施例1-1~1-15、比較例1-1~1-6)
上記のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15及び、比較例UDL-1~6)をそれぞれ、密集ライン&スペースパターン(ライン線幅40nm、ライン深さ150nm、隣り合う二つのラインの中心間の距離80nm)を有するSiOウエハー基板上に塗布し、ホットプレートを用いて350℃で60秒間加熱し、膜厚100nmの金属酸化膜を形成した。使用した基板は図5(X)(俯瞰図)及び(Y)(断面図)に示すような密集ライン&スペースパターンを有する下地基板10(SiOウエハー基板)である。得られた各ウエハー基板の断面形状を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察し、ライン間を充填したケイ素含有メタルハードマスク内部にボイド(空隙)が存在していないかを確認した。結果を表3に示す。埋め込み特性に劣るケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いた場合は、本評価において、ライン間を充填したケイ素含有メタルハードマスク内部にボイドが発生する。埋め込み特性が良好なケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物を用いた場合は、本評価において、図5(Z)に示されるように密集ライン&スペースパターンを有する下地基板10のライン間を充填したケイ素含有メタルハードマスク内部にボイドのないケイ素含有金属酸化膜11が充填される。
【表3】
【0257】
表3に示されるように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例1-1~1-15では、ボイドを発生することなく、密集ライン&スペースパターンを充填することが可能であり、良好な埋め込み特性を有することが確認できた。一方、本発明のポリシロキサンを含まない金属酸化物ナノ粒子単独の比較例1-1、芳香環を含む有機基を有するポリシロキサンを用いた比較例1-3および比較例1-4では、ボイドが観察された。金属酸化物ナノ粒子単独では、熱流動性が不十分であり、熱架橋性ポリシロキサンによる流動性アシストが必要であると推察される。しかしながら、芳香環を含む有機基を含んだ熱架橋性ポリシロキサンは、剛直な分子鎖を持ち熱流動性が不足するため、比較例1-3および比較例1-4では埋め込み特性の改善が見られなかったと推察される。また、金属酸化物ナノ粒子ではなく、金属アルコキシドの加水分解縮合物A3およびA4を用いた比較例1-5および比較例1-6においてもボイドが観察された。加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得たA3およびA4は反応性が高いために、本発明の芳香環を含む有機基を含まないポリシロキサン存在下においても熱流動性が不十分であり、ボイドが発生したと推察される。
【0258】
[エッチング耐性評価](実施例2-1~2-15、比較例2-1~2-6)
上記で調製したケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~6)をシリコン基板上に塗布し、大気中、350℃で60秒間ベークして100nmの塗布膜を形成し、膜厚aを測定した。次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いた下記条件でCFガス及びO2ガスでのエッチングをそれぞれ1分間行い、膜厚bを測定した。1分間にエッチングされる膜厚(膜厚b-膜厚a)をエッチング耐性として算出し、bとaの膜厚差が15nm未満の場合を「A」(極めて良好)、15nm以上25nm未満の場合を「B」(良好)、25nm以上の場合を「C」(不良)とした。結果を表4に示す。
【0259】
CFガスでのドライエッチング条件
チャンバー圧力:100mTorr
RFパワー(上部):300W
RFパワー(下部):200W
CFガス流量:150sccm
時間:60sec
【0260】
ガスでのドライエッチング条件
チャンバー圧力:100mTorr
RFパワー(上部):500W
RFパワー(下部):500W
ガス流量:300sccm
COガス流量:90sccm
Arガス流量:200sccm
時間:60sec
【表4】
【0261】
表4に示されるように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例2-1~2-15は、CF系ガス、O系ガスに対するエッチング耐性に優れることが確認された。一方、ポリシロキサンのみからなる比較例2-2は、エッチング耐性に優れる金属酸化物を含まないため、エッチング耐性の不足が観察された。また、金属酸化物ナノ粒子ではなく、加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得た金属酸化物化合物を用いた比較例2-5および比較例2-6は、金属酸化物ナノ粒子を用いた実施例2-1~2-15に比べてエッチング耐性の劣化が観察された。加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得た金属酸化物化合物は、反応性が高く安定性に劣るため、ポリシロキサンとの架橋が不均一となり、エッチング耐性に劣るポリシロキサンが膜中に残る。これに対して、金属酸化物ナノ粒子を用いた本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物では、組成物中に金属酸化物が良好に分散しているため、ベーク時に酸素原子を介してSi原子と金属原子の架橋が良好に進行し、エッチング耐性に優れる金属が膜中に均一に分散することが可能になると考える。
【0262】
[湿式エッチング評価](実施例3-1~3-15、比較例3-1~3-6)
上記で調製したケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~6)をシリコン基板上に塗布し、350℃で60秒間ベークして100nmの塗布膜を形成し、膜厚を測定した。これらの膜を25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(以下TMAHとする)中に50℃、1分間浸漬し残った膜厚をJAウーラム社製M-2000高速分光エリプソメーターで測定した。その結果を表5に示す。
【表5】
【0263】
表5に示されるように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例3-1~3-15は、TMAHを用いた湿式エッチングに対する剥離性に優れることが確認された。一方、金属酸化物ナノ粒子のみからなる比較例3-1、ポリシロキサンのみからなる比較例3-2は、剥離性が不十分であり、膜厚の変化は観察されなかった。また、金属酸化物ナノ粒子ではなく、加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得た金属酸化物化合物を用いた比較例3-5および比較例3-6は、金属酸化物ナノ粒子を用いた実施例3-1~3-15に比べて剥離性の劣化が観察された。加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得た金属酸化物化合物は、反応性が高く安定性に劣るため、ポリシロキサンとの架橋が不均一となり、TMAH剥離耐性のあるポリシロキサン膜と金属酸化膜が各々膜中に残りやすい。これに対して、金属酸化物ナノ粒子を用いた本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物では、組成物中に金属酸化物が良好に分散しているため、ベーク時に酸素原子を介してSi原子と金属原子の架橋が良好に進行し、TMAH剥離耐性に優れるポリシロキサン膜とケイ素含有メタルハードマスクが膜中に局所的に残りにくいと考える。
【0264】
金属酸化物ナノ粒子と組み合わせる熱架橋性ポリシロキサンがRを含まない熱架橋性ポリシロキサンの場合、剥離性が劣化することが比較例3-3と比較例3-4の比較で確認された。この結果から、剥離液との親和性が良好であるRを含むことが、より好ましいと言える。
【0265】
[EUVパターニング評価](実施例4-1~4-15、比較例4-1~4-6)
上記で調製したケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~6)をPGMEA6200部で希釈した組成物をSiO基板上に塗布し、220℃で60秒間加熱して、膜厚20nmのケイ素含有メタルハードマスク(レジスト下層膜)を作製した。
【0266】
続いて、下記成分を表6の割合で溶解させたレジスト材料をケイ素含有メタルハードマスク上にスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚35nmのレジスト膜を作製した。これに、ASML社製EUVスキャナーNXE3300(NA0.33、σ0.9/0.6、クアドルポール照明、ウエハー上寸法がピッチ36nmのL/Sパターン)を用いて露光し、ホットプレート上で100℃、60秒間PEBを行い、2.38質量%TMAH水溶液で30秒間現像を行って、寸法18nmのラインを得た。この寸法を(株)日立ハイテクノロジーズ製電子顕微鏡(CG5000)でLWRを、断面形状を(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-9380)で観測した(表7)。
【0267】
使用されたポリマー、クエンチャー、増感剤、界面活性剤及び有機溶剤は以下のとおりである。
【0268】
【化35】
【0269】
【化36】
【0270】
界面活性剤:3M社製FC-4430
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CyHO:シクロヘキサノン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0271】
【表6】
【0272】
【表7】
【0273】
表7に示されるように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例4-1~4-15は、レジスト上層膜との密着性に優れる有機基を含む熱架橋性ポリシロキサンを用いているため、パターンの倒れ抑止効果や良好なLWRを示すことが確認できた。一方、金属酸化物ナノ粒子のみからなる比較例4-1ではレジスト上層膜との密着性が不十分であるため、顕著なパターン倒れが確認された。また、レジストとの密着性に優れた有機基を含まない熱架橋性ポリシロキサンB11を用いた比較例4-4においても、パターン倒れが観察された。金属酸化物ナノ粒子ではなく、加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得た金属酸化物化合物を用いた比較例4-5および比較例4-6においても、パターン倒れが観察された。加水分解性金属化合物を加水分解または縮合することで得た金属酸化物化合物は、反応性が高く安定性に劣るため、ポリシロキサンとの架橋が不均一となり、レジスト上層膜との密着性に優れた層をレジスト上層膜との界面に均一に形成できないためと推察される。
【0274】
[レジストパターン反転方法](実施例5-1~5-15、比較例5-1~5-6)
SiO基板上に、信越化学工業(株)製スピンオンカーボン(SOC)膜ODL-301(カーボン含有量88質量%)を塗布し、350℃で60秒間加熱して、膜厚200nmのSOC膜を形成した。その上に表9の割合で溶解させたレジスト材料(表9~11参照)をスピンコートし、ホットプレートを用いて105℃で60秒間プリベークして膜厚100nmのレジスト膜を作製した。次いで、フォトレジスト膜上に液浸保護膜材料(TC-1)を塗布し90℃で60秒間ベークし膜厚50nmの保護膜を形成した。これを、ArF液浸露光装置((株)ニコン製;NSR-S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、55nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターン(レジストパターン)を得た。その後、100℃ベークで100nm膜厚になるように調整した上記ケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15、比較例UDL-1~6)を塗布し、100℃で60秒間加熱してケイ素含有メタルハードマスクを形成し、上記レジストパターンの埋め込みを行った。レジストパターン間をケイ素含有メタルハードマスクで埋め込んだ断面形状を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察し、パターン間を充填したケイ素含有メタルハードマスク内部にボイド(空隙)が存在していないかを確認した。
【0275】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)としては、ポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、塩基性化合物(Amine1)を、界面活性剤FC-4430(住友スリーエム(株)製)0.1質量%を含む溶媒中に表8の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0276】
【表8】
【0277】
レジスト上層膜材料(ArF用単層レジスト)に用いたポリマー(RP1)、酸発生剤(PAG1)、及び塩基性化合物(Amine1)を以下に示す。
【化37】
【0278】
液浸保護膜材料(TC-1)としては、保護膜ポリマー(PP1)を有機溶剤中に表9の割合で溶解させ、0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって調製した。
【0279】
【表9】
【0280】
液浸保護膜材料(TC-1)に用いたポリマー(PP1)を以下に示す。
【化38】
【0281】
次いで、東京エレクトロン製エッチング装置Teliusを用いてレジストパターンを覆うケイ素含有金属酸化膜をエッチングしてレジストパターンの上面を露出させた。上面が露出したレジストパターンをエッチングで除去し、ケイ素含有金属酸化膜に上記パターンを反転させ、得られたケイ素含有金属酸化膜パターンをマスクにしてSOC膜のエッチングを行い、得られたSOC膜パターンをマスクにしてSiO膜のエッチング加工を行った。エッチング条件は下記に示すとおりである。
【0282】
ケイ素含有金属酸化膜のエッチングバック(レジストパターンの露出)条件。
チャンバー圧力:100mTorr
RFパワー(上部):300W
RFパワー(下部):200W
CFガス流量:150sccm
時間:60sec
【0283】
レジストパターンの除去(ケイ素含有金属酸化膜へのレジストパターンの反転)条件。
チャンバー圧力:15mTorr
RFパワー(上部):300W
RFパワー(下部):50W
ガス流量:30sccm
ガス流量:270sccm
時間:60sec
【0284】
金属酸化膜パターンのSOC膜への転写条件。
チャンバー圧力:100mTorr
RFパワー(上部):500W
RFパワー(下部):500W
ガス流量:300sccm
COガス流量:90sccm
Arガス流量:200sccm
時間:60sec
【0285】
SOC膜パターンのSiO膜への転写条件。
チャンバー圧力:10mTorr
RFパワー(上部):100W
RFパワー(下部):800W
CFガス流量:25sccm
CHFガス流量:15sccm
ガス流量:5sccm
時間:200sec
【0286】
レジストパターン間をケイ素含有メタルハードマスクで埋め込んだ断面形状を、(株)日立製作所製電子顕微鏡(S-4700)を用いて観察し、パターン間を充填したケイ素含有メタルハードマスク内部にボイド(空隙)が存在していないかを確認した結果と、レジストパターンを反転して形成したSiOパターンの断面形状を観察した結果を表10に示す。
【表10】
【0287】
表10に示されるように、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物(UDL-1~15)を使用した実施例5-1~5-15は、スピンコート時の流動性に優れるため、レジストパターン間をボイドなく充填できていることが確認された。また、レジストパターンをケイ素含有酸化膜パターンに反転して形成したパターンをSiO基板まで転写した際の断面形状は、垂直形状に形成されており、優れたパターン転写性を有することが確認された。上記結果より、本発明のケイ素含有メタルハードマスク形成用組成物は、リソグラフィープロセスにおいて超微細なパターンを形成する際に、レジストパターン上に塗布することによりレジストパターン間にケイ素含有金属酸化膜が形成され、レジストパターンとその間に形成されたケイ素含有金属酸化膜とのドライエッチング速度差を利用してパターンの反転を行うことができる。一方、上記埋め込み特性評価において、流動性の不足により埋め込み性の劣化が観察された比較例5-1、比較例5-3~比較例5-6は、レジストパターン間の充填時にボイドが観察された。このため、レジストパターン反転後におけるSiO膜パターンの断面形状は潰れたパターンやパターンのない領域が観察された。比較例5-2はレジストパターン間の充填性は良好であったが、レジストパターン反転後におけるSiO膜パターンの断面形状でパターンのヨレが観察された。上記エッチング耐性評価において、O系ガスに対するエッチング耐性が不足していることが影響したと推察する。
【0288】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0289】
1…被加工基板、 2…被加工層、
2a…パターン(被加工層に形成されるパターン)、
3…有機レジスト下層膜、 3a…有機レジスト下層膜パターン、
4…ケイ素含有メタルハードマスク、
4a…ケイ素含有メタルハードマスクパターン、
5…レジスト上層膜、 5a…レジスト上層膜パターン、 5’…フォトレジスト膜、
5a’…フォトレジスト膜パターン、 6…露光部分、 6a…現像液又はリンス液、
7…レジストパターンを埋め込んだケイ素含有メタルハードマスク、
7a…レジストパターンを反転したケイ素含有メタルハードマスクパターン、
8…現像液又はリンス液を置換したケイ素含有メタルハードマスク、
8a…レジストパターン間の現像液又はリンス液を置換してパターンを反転したケイ素含有メタルハードマスクパターン、
9…無機ケイ素膜、 9a…エッチングバックした無機ケイ素膜、
9b…パターンピッチがレジスト上層膜パターンの1/2である無機ケイ素膜パターン、
10…密集ライン&スペースパターンを有する下地基板、
11…ケイ素含有メタルハードマスク。
図1
図2
図3
図4
図5