(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144208
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 40/40 20180101AFI20231003BHJP
【FI】
G16H40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051075
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川上 伸弥
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を高める。
【解決手段】複数台の医用機器と通信を行ってそれぞれの医用機器に関する所定の情報を取得する第1通信部と、医用機器で実行すべき1又は複数の作業を含む作業リストを作成する作業リスト作成部と、複数台の端末と通信可能で作業リスト作成部で作成した作業リストを端末に送信する第2通信部と、を備える。端末の画面にToDoリスト901で表示する作業(ToDo)901に示すように、作業リスト作成部は、作業リストの作成に関して、当該作業リスト中に表示すべき作業が第1通信部で受信した情報に基づく医用機器の試薬の交換であったときは、前記情報に基づいて、当該医用機器ごとに当該医用機器の名称、当該医用機器の交換すべき試薬の名称、及び、当該試薬の個数を関連付けて1行又は1列に並べて表示した表示欄を作業リストに含める。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の対象機器と通信を行ってそれぞれの当該対象機器に関する所定の情報を取得する第1通信部と、
前記対象機器で実行すべき1又は複数の作業を含む作業リストを作成する作業リスト作成部と、
複数台の情報処理装置と通信可能で前記作業リスト作成部で作成した作業リストを前記情報処理装置に送信する第2通信部と、を備え、
前記作業リスト作成部は、前記作業リストの作成に関して、当該作業リスト中に表示すべき作業が前記第1通信部で受信した情報に基づく前記対象機器の交換品の交換であったときは、前記情報に基づいて、当該対象機器ごとに当該対象機器の識別標識、当該対象機器の交換すべき交換品の識別標識、及び、当該交換品の個数を関連付けて1行又は1列に並べて表示した表示欄を前記作業リストに含めること、を特徴とする作業支援システム。
【請求項2】
前記作業リスト作成部は、前記交換品が複数種類あるときは、前記対象機器ごとに当該対象機器の識別標識と複数種類の前記交換品の識別標識とを関連付け、それぞれの当該交換品の識別標識に当該交換品の個数を付記して前記表示欄を作成する、ことを特徴とする請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記交換品は、前記対象機器で使用される検体の分析用の試薬である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記作業リスト中で完了した作業の履歴を記憶する履歴記憶部と、
前記履歴記憶部に記憶されている前記履歴の中から所定の履歴が選択されたときは当該履歴に対応している前記作業の達成状況を示す画像を作成する画像作成部と、を備え、
前記第2通信部は、前記情報処理装置に前記履歴も送信し、当該情報処理装置からの求めに応じて前記画像作成部が作成した前記画像も当該情報処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかの1項に記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記画像作成部は、前記達成状況として、選択された複数の前記履歴の中で当該履歴に係る前記作業が予め設定されていた期限内に完了したものの割合を示すデータを前記画像中に掲載して当該画像を作成する、ことを特徴とする請求項4に記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記画像作成部は、前記達成状況として、選択された複数の前記履歴の中で当該履歴に係る前記作業が前記情報処理装置のユーザの起案であったものの割合を示すデータを前記画像中に掲載して当該画像を作成する、ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の作業支援システム。
【請求項7】
前記画像作成部は、前記達成状況として、選択された複数の前記履歴のうち当該履歴に係る前記作業が前記情報処理装置のユーザの起案であったもののうち当該起案したユーザ以外の前記ユーザが当該作業に関わったものの割合を示すデータを前記画像中に掲載して当該画像を作成する、ことを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れかの1項に記載の作業支援システム。
【請求項8】
複数台の対象機器と通信を行ってそれぞれの当該対象機器に関する所定の情報を取得する第1通信工程と、
前記対象機器で実行すべき1又は複数の作業を含む作業リストを作成する作業リスト作成工程と、
複数台の情報処理装置と通信可能で前記作業リスト作成工程で作成した作業リストを前記情報処理装置に送信する第2通信工程と、を備え、
前記作業リスト作成工程は、前記作業リストの作成に関して、当該作業リスト中に表示すべき作業が前記第1通信工程で受信した情報に基づく前記対象機器の交換品の交換であったときは、前記情報に基づいて、当該対象機器ごとに当該対象機器の識別標識、当該対象機器の交換すべき交換品の識別標識、及び、当該交換品の個数を関連付けて1行又は1列に並べて表示した表示欄を前記作業リストに含めること、を特徴とする作業支援方法。
【請求項9】
前記作業リスト作成工程は、前記交換品が複数種類あるときは、前記対象機器ごとに当該対象機器の識別標識と複数種類の前記交換品の識別標識とを関連付け、それぞれの当該交換品の識別標識に当該交換品の個数を付記して前記表示欄を作成する、ことを特徴とする請求項8に記載の作業支援方法。
【請求項10】
前記交換品は、前記対象機器で使用される検体の分析用の試薬である、ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の作業支援方法。
【請求項11】
前記作業リスト中で完了した作業の履歴を記憶する履歴記憶工程と、
前記履歴記憶工程に記憶されている前記履歴の中から所定の履歴が選択されたときは当該履歴に対応している前記作業の達成状況を示す画像を作成する画像作成工程と、を備え、
前記第2通信工程は、前記情報処理装置に前記履歴も送信し、当該情報処理装置からの求めに応じて前記画像作成工程が作成した前記画像も当該情報処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項8乃至請求項10の何れかの1項に記載の作業支援方法。
【請求項12】
前記画像作成工程は、前記達成状況として、選択された複数の前記履歴の中で当該履歴に係る前記作業が予め設定されていた期限内に完了したものの割合を示すデータを前記画像中に掲載して当該画像を作成する、ことを特徴とする請求項11に記載の作業支援方法。
【請求項13】
前記画像作成工程は、前記達成状況として、選択された複数の前記履歴の中で当該履歴に係る前記作業が前記情報処理装置のユーザの起案であったものの割合を示すデータを前記画像中に掲載して当該画像を作成する、ことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の作業支援方法。
【請求項14】
前記画像作成工程は、前記達成状況として、選択された複数の前記履歴のうち当該履歴に係る前記作業が前記情報処理装置のユーザの起案であったもののうち当該起案したユーザ以外の前記ユーザが当該作業に関わったものの割合を示すデータを前記画像中に掲載して当該画像を作成する、ことを特徴とする請求項11乃至請求項13の何れかの1項に記載の作業支援方法。
【請求項15】
複数台の対象機器と通信を行ってそれぞれの当該対象機器に関する所定の情報を取得する第1通信処理と、
前記対象機器で実行すべき1又は複数の作業を含む作業リストを作成する作業リスト作成処理と、
複数台の情報処理装置と通信可能で前記作業リスト作成処理で作成した作業リストを前記情報処理装置に送信する第2通信処理と、をコンピュータに実行させ、
前記作業リスト作成処理は、前記作業リストの作成に関して、当該作業リスト中に表示すべき作業が前記第1通信処理で受信した情報に基づく前記対象機器の交換品の交換であったときは、前記情報に基づいて、当該対象機器ごとに当該対象機器の識別標識、当該対象機器の交換すべき交換品の識別標識、及び、当該交換品の個数を関連付けて1行又は1列に並べて表示した表示欄を前記作業リストに含めること、を特徴とするプログラム。
【請求項16】
前記作業リスト作成処理は、前記交換品が複数種類あるときは、前記対象機器ごとに当該対象機器の識別標識と複数種類の前記交換品の識別標識とを関連付け、それぞれの当該交換品の識別標識に当該交換品の個数を付記して前記表示欄を作成する、ことを特徴とする請求項15に記載のプログラム。
【請求項17】
前記交換品は、前記対象機器で使用される検体の分析用の試薬である、ことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記作業リスト中で完了した作業の履歴を記憶する履歴記憶処理と、
前記履歴記憶処理で記憶されている前記履歴の中から所定の履歴が選択されたときは当該履歴に対応している前記作業の達成状況を示す画像を作成する画像作成処理と、をコンピュータに実行させ、
前記第2通信処理は、前記情報処理装置に前記履歴も送信し、当該情報処理装置からの求めに応じて前記画像作成処理が作成した前記画像も当該情報処理装置に送信する、ことを特徴とする請求項15乃至請求項17の何れかの1項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2011-112524号公報(特許文献1)がある。この公報には、「ディスプレイに表示された試薬情報(試薬位置、分析項目、試薬残量、有効期限)を確認しながら、分析装置において交換する必要のある試薬(試薬容器)を交換する」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、補充すべき試薬の内容が一見して把握しやすいシステムという観点からは不十分である。
そこで、本発明の目的は、ユーザの利便性を高めることができる作業支援システム、作業支援方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の作業支援システムは、複数台の対象機器と通信を行ってそれぞれの当該対象機器に関する所定の情報を取得する第1通信部と、前記対象機器で実行すべき1又は複数の作業を含む作業リストを作成する作業リスト作成部と、複数台の情報処理装置と通信可能で前記作業リスト作成部で作成した作業リストを前記情報処理装置に送信する第2通信部と、を備え、前記作業リスト作成部は、前記作業リストの作成に関して、当該作業リスト中に表示すべき作業が前記第1通信部で受信した情報に基づく前記対象機器の交換品の交換であったときは、前記情報に基づいて、当該対象機器ごとに当該対象機器の識別標識、当該対象機器の交換すべき交換品の識別標識、及び、当該交換品の個数を関連付けて1行又は1列に並べて表示した表示欄を前記作業リストに含める。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザの利便性を高めることができる作業支援システム、作業支援方法及びプログラムを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3B】医用機器で発生したアラームに関するデータを示す図。
【
図5】作業支援システムのハードウェア構成を示す図。
【
図7】作業支援システムが実行する処理について説明するフローチャート。
【
図8】端末の画面に表示されるToDoリストタブの平面図。
【
図9】端末の画面に表示される完了済みToDoリストタブの平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
(医用システム)
本実施例の医用システムについて説明する。
図1は、医用システムの構成を示す図である。医用システム1は、作業支援システム100と、複数の医用機器200(対象機器)と、複数の端末300(情報処理装置)と、を備える。
作業支援システム100は、クラウド上に配置されるシステムである。なお、作業支援システム100は、オンプレミスであってもよい。作業支援システム100は、複数の医用機器200と通信可能に接続され、且つ、複数の端末300と通信可能に接続されている。この作業支援システム100は、複数の医用機器200で実施することが推奨される作業を検査技師に提供することによって、検査技師を支援するシステムである。作業支援システム100は、検査技師を支援するWebアプリケーションプログラム104a(
図5参照)を有する。作業支援システム100は、複数の医用機器200から医用機器200に関する情報を収集し、収集した情報を記憶する。また、収集した情報に基づいて、医用機器200で実施することが推奨される作業のリストを生成し、そのリストを複数の端末300に送信する。
【0009】
医用機器200は、検体を分析する分析装置、及び、検体の前処理や後処理を行う処理装置等の医用機器である。医用機器200は、医用機器であれば、分析装置や処理装置に限定されない。つまり、医用機器200は、ヒトや動物の診断、治療、又は予防を目的とする機器である。例えば、医用機器200は、X線CT(computed tomography)、MRI(magnetic resonance imaging)、ペースメーカ、人工透析装置、内視鏡等の様々な機器を含む。複数の医用機器200の各々は、作業支援システム100と通信可能に接続されており、作業支援システム100に、医用機器200に関する情報を、定期的又は作業支援システム100からの要求に応じて、送信する。また、本実施例の「対象機器」は、医用機器に限定されず、様々な機器を対象とすることができる。また、本実施例の「交換品」は医用機器で使用される検体の分析用の試薬に限定されず、交換部品等、対象機器で補充、交換が必要とされる様々な製品が含まれる。
【0010】
(医用機器)
実施例の医用機器200について説明する。
図2は、医用機器のハードウェア構成を示す図である。医用機器200は、搬送部210と、処理部220と、制御部230と、を有する。搬送部210は、血液、髄液、尿等の検体や試薬を所定の位置まで搬送する機能を有する。処理部220は、搬送部210によって搬送された検体を分取し、反応容器に分注する。また、処理部220は、搬送部210によって搬送された試薬を分取し、反応容器に分注する。また、処理部220は、反応容器内の検体及び試薬を攪拌し、当該攪拌された反応容器内の反応液に光を照射する。反応液を投下した光は、光度計で測定されて、制御部230に出力される。
【0011】
制御部230は、プロセッサ231と、通信インターフェース232(以下、インターフェースをI/Fと略記する)と、主記憶装置233と、補助記憶装置234と、入出力I/F235と、上記した各モジュールを通信可能に接続するバス236と、を有する。
プロセッサ231は、医用機器200の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ231は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。プロセッサ231は、補助記憶装置234に記憶されたプログラムを主記憶装置233の作業領域に実行可能に展開する。主記憶装置233は、プロセッサ231が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶装置233は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。補助記憶装置234は、各種のプログラム、及び、各種のデータを記憶する。補助記憶装置234は、例えば、OS(Operating System)、各種プログラム、各種テーブル等を記憶する。補助記憶装置234は、不揮発性半導体メモリ(フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM))を含むシリコンディスク、ソリッドステートドライブ装置、ハードディスク(HDD、Hard Disk Drive)装置等である。
【0012】
通信I/F232は、ネットワークを介して医用機器200を作業支援システム100に通信可能に接続するためのインターフェースである。入出力I/F235は、入出力I/F235に接続される入力デバイスを操作する検査技師からの操作指示等を受け付ける。入力デバイスは、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス、マイクロフォン等である。また、入出力I/F235には、例えば、LCD、EL(Electroluminescence)パネル、有機ELパネル等の表示デバイス、プリンタ、スピーカ等の出力デバイスを接続することが可能である。入出力I/F235は、プロセッサ231で処理されるデータや情報、主記憶装置233や補助記憶装置234に記憶されるデータや情報を出力デバイスに出力する。
【0013】
(医用機器の送信データ)
医用機器200が作業支援システム100に送信する送信データについて説明する。
図3は、医用機器が作業支援システムに送信する送信データを示す図である。医用機器200は、消耗品の残量に関するデータ240及び医用機器200で発生したアラームに関するデータ250を、ネットワークを介して作業支援システム100に送信する。
図3Aは、消耗品の残量に関するデータ240を示し、
図3Bは、医用機器で発生したアラームに関するデータ250を示す。消耗品の残量に関するデータ240は、試薬の試薬名と当該試薬の残量を示す情報を紐づけたデータであって、例えば、AAA試薬の残量が70%であることを示すデータである。なお、試薬の残量を示す情報として、残容量であってもよい。ここでは、消耗品の残量に関するデータとして、試薬の残量を示したが、搬送部210のベルトの使用期間、及び、処理部220の分注ノズルの使用回数等も、消耗品の残量に関するデータ240である。また、消耗品には、上記した試薬以外にも、洗剤や装置で使用される洗浄剤が含まれる。
【0014】
医用機器200で発生したアラームに関するデータ250は、アラームのタイプとアラーム対象とを紐づけたデータであって、例えば、FFF試薬が試薬不足になっていることを示すデータ、搬送部210が動作不良となっていることを示すデータ等である。
【0015】
(端末)
実施例の端末300について説明する。
図4は、端末のハードウェア構成を示す図である。端末300は、検査技師や管理職が使用する情報処理装置であって、パソコン、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ、又は、タブレット等である。端末300には、Webブラウザがインストールされており、Webブラウザを介して作業支援システム100のWebアプリケーションプログラム104aと情報の送受信を行う。なお、端末300で実行されるプログラムは、作業支援システム100が提供するサービスを受けられるものであればWebブラウザに限定されず、例えば、ネイティブアプリであってもよい。
【0016】
図6に示すように、端末300は、プロセッサ301と、通信I/F302と、主記憶装置303と、補助記憶装置304と、入出力I/F305と、表示部306と、上記した各モジュールを通信可能に接続するバス307と、を有する。
プロセッサ301は、端末300の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ301、主記憶装置303、補助記憶装置304は、それぞれ、プロセッサ231、主記憶装置233、補助記憶装置234と同様である。
【0017】
通信I/F302は、ネットワークを介して端末300を作業支援システム100と通信可能に接続するためのインターフェースである。入出力I/F305は、入出力I/F305に接続される入力デバイスを操作する端末300のユーザからの操作指示等を受け付ける。入力デバイスや入出力I/F305は、入出力I/F235の説明と同様である。入出力I/F305は、情報を表示部306のデバイスに出力する。
【0018】
(作業支援システム)
本実施例の作業支援システム100について説明する。
図5は、作業支援システムのハードウェア構成を示す図である。
図6は、作業支援システムの機能ブロック図である。作業支援システム100は、複数の医用機器200から情報を収集し、複数の端末300に対して医用機器200で実行することが推奨される1又は複数の作業を含む作業リストを提供する。また、作業支援システム100は、医用機器200で発生したアラームに関する情報も、複数の端末300に提供することができる。
【0019】
図5に示すように、作業支援システム100は、プロセッサ101と、通信I/F102と、主記憶装置103と、補助記憶装置104と、入出力I/F105と、上記した各モジュールを通信可能に接続するバス106と、を有する。作業支援システム100は、1台のサーバ等のコンピュータであってもよいし、複数台のサーバ等のコンピュータが連携して、各種機能を提供してもよい。
プロセッサ101は、作業支援システム100の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ101、主記憶装置103、補助記憶装置104は、それぞれ、プロセッサ231、主記憶装置233、補助記憶装置234と同様である。
【0020】
通信I/F102は、ネットワークを介して作業支援システム100を医用機器200や端末300と通信可能に接続するためのインターフェースである。入出力I/F105は、入出力I/F105に接続される入力デバイスを操作する作業支援システム100のオペレータからの操作指示等を受け付ける。入力デバイスや入出力I/F105は、入出力I/F235の説明と同様である。
【0021】
作業支援システム100の補助記憶装置104は、医用機器200で実行することが推奨される作業の支援を行うWebアプリケーションプログラム(プログラム)(以下、Webアプリと略記する)104a等の様々なプログラムを記憶する。Webアプリケーションプログラム104aを実行する作業支援システム100は、Webサーバとして機能し、Webクライアントである端末300に各種情報を提供する。実施例のWebアプリ104aは、端末300のWebブラウザに、後述する画面を提供する。
【0022】
ところで、特許文献1には、分析装置の試薬の交換を支援する技術が記載されている。しかし、これらの技術は、補充すべき試薬の内容が一見して把握しやすいシステムという観点からは改良すべき点がある。
すなわち、特許文献1では、分析装置の識別情報(識別ID)、試薬の設置位置、試薬の分析項目、試薬の残量を画面表示している。しかしながら、試薬情報と分析装置の識別情報(識別ID)とが同一行に表示されず、試薬情報がどの分析装置に関するものであるのかが一見しただけでは把握しにくいという点がある。
【0023】
そこで、以下では、対象機器の交換品の交換に関する情報が一見して把握しやすいために、ユーザの利便性を高めることができる、作業支援システム100を中心とした構成と作用効果について説明する。
プロセッサ101によって各種プログラム、特にWebアプリ104aが実行されると、作業支援システム100は、様々な機能を実行することが可能となる。作業支援システム100は、
図6に示すように、特に、第1通信部110と、作業リスト作成部111と、第2通信部112と、履歴記憶部113と、画像作成部114とを備えている。
図6に示したモジュールは、ソフトウェアモジュールであるが、ハードウェアモジュールであってもよい。
【0024】
第1通信部110は、複数台の対象機器(医用機器200)と通信I/F102を介して通信を行って、それぞれの対象機器に関する前記試薬等の所定の情報を取得する。
作業リスト作成部111は、対象機器(医用機器200)で実行すべき1又は複数の作業を含む作業リストを作成する。作業リスト作成部111は、作業リストの作成に関して、当該作業リスト中に表示すべき作業が第1通信部110で受信した情報に基づく対象機器の交換品(試薬)の交換であったときは、当該情報に基づいて、当該対象機器(医用機器200)ごとに当該対象機器の識別標識(ユーザにとって直ちに理解できる、名称、識別ID等)、当該対象機器(医用機器200)の交換すべき交換品(試薬)の識別標識(ユーザにとって直ちに理解できる、名称、識別ID等)、及び、当該交換品(試薬)の個数を関連付けて1行(又は1列)に並べて表示した表示欄を作業リストに含める。
【0025】
作業リスト作成部111は、交換品(試薬)が複数種類あるときは、対象機器(医用機器200)ごとに当該対象機器(医用機器200)の識別標識と複数種類の交換品(試薬)の識別標識とを関連付け、それぞれの当該交換品(試薬)の識別標識に当該交換品(試薬)の個数を付記して前記表示欄を作成する。交換品は、本実施例においては医用機器200で使用される検体の分析用の試薬である。
第2通信部112は、複数台の情報処理装置(端末300)と通信I/F102を介して通信可能で、作業リスト作成部111で作成した作業リストを情報処理装置(端末300)に送信する。
【0026】
履歴記憶部113は、前記作業リスト中で完了した作業の履歴を補助記憶装置104等に記憶する。
画像作成部114は、履歴記憶部113に記憶されている履歴の中から所定の履歴が選択されたときは、当該履歴に対応している作業の「達成状況」を示す画像を作成する。
画像作成部114は、「達成状況」として、選択された複数の履歴の中で当該履歴に係る作業が予め設定されていた期限内に完了したものの割合を示すデータ(後述する「期間内達成率961」)を前記画像中に掲載して当該画像を作成する。
【0027】
画像作成部114は、「達成状況」として、選択された複数の履歴の中で当該履歴に係る作業が情報処理装置(端末300)のユーザの起案であったものの割合を示すデータ(後述する「ToDo起案率」962)を前記画像中に掲載して当該画像を作成する。
画像作成部114は、「達成状況」として、選択された複数の履歴のうち当該履歴に係る作業が情報処理装置(端末300)のユーザの起案であったもののうち、当該起案したユーザ以外のユーザが当該作業に関わったものの割合を示すデータ(後述する「ToDo協力率」963)を前記画像中に掲載して当該画像を作成する。
【0028】
また、第2通信部112は、情報処理装置(端末300)に前記履歴も送信し、当該情報処理装置(端末300)からの求めに応じて画像作成部114が作成した画像も当該情報処理装置(端末300)に送信する。
【0029】
(作業支援システムが実行する処理)
図7は、作業支援システムが実行する特徴的な処理について説明するフローチャートである。
図7に示すように、第1通信部110は、必要に応じて複数台の対象機器(医用機器200)と通信を行って、それぞれの対象機器(医用機器200)に関する試薬等に関する所定の情報を取得する(第1通信工程、第1通信処理)(ステップS1)。この情報収集は医用機器200からの定期的な作業支援システム100への情報送信、又は作業支援システム100からの医用機器200への定期的な問い合わせで行うことができる。
【0030】
次に、作業リスト作成部111は、対象機器(医用機器200)で実行すべき1又は複数の作業を含む「作業リスト」に更新すべき内容があったときは(ステップS2のYes)、その内容で更新した「作業リスト」を作成する(作業リスト作成工程、作業リスト作成処理)(ステップS3)。作業リストは、各医用機器200で行うべき「作業」を一覧にしたリストである。「作業リスト」は、端末300で表示される後述の「ToDoリストタブ901」となるものである。「作業」には、作業支援システム100が各医用機器200から収集した情報に基づいて自動で作成する「装置ToDo」と、端末300のユーザが起案した「任意ToDo」とがある。作成する「作業リスト」の具体的な内容は
図6を参照して前記した通りである。
【0031】
次に、履歴記憶部113は、「作業リスト」中で完了した作業があったときは(ステップS4のYes)、その完了した作業の「履歴」を記憶する(履歴記憶工程、履歴記憶処理)(ステップS5)。「履歴」は、端末300で表示される後述の「完了済みToDoリストタブ902」となるものである。
そして、端末300からの要求があったときは(ステップS6のYes)、第2通信部112は、要求された「作業リスト」及び「履歴」を要求先の端末300に送信する(第2通信工程、第2通信処理)(ステップS7)。
【0032】
また、この後、端末300から、履歴記憶部113で記憶された「履歴」の中から所定の「履歴」が選択されて要求されたときは(ステップS8のYes)、画像作成部114は、当該「履歴」に対応している作業の「達成状況」を示す「画像」を作成する(履歴記憶工程、履歴記憶処理)(ステップS9)。この「達成状況」を示す「画像」の具体的な作成内容については
図6を参照して前記した通りである。この「達成状況」を示す「画像」は、端末300で表示される後述する「ポップアップ画像903」となるものである。
【0033】
そして、第2通信部112は、この「達成状況」を示す「画像」を要求先の端末300に送信する(第2通信工程、第2通信処理)(ステップS10)。
(ToDoリスト画面)
【0034】
図8、
図9は、端末の表示部に表示されるToDoリスト画面の平面図である。端末300のWebブラウザは、表示部306に、作業支援システム100のWebアプリ104aが提供するToDoリスト画面900を表示する。ToDoリスト画面900は、実施が完了していないToDo(作業)リストを表示するToDoリストタブ901(
図8)と、完了済みのToDo(履歴)リストを表示する完了済みToDoリストタブ902(
図9)と、を有する。ToDoリストタブ901は、1又は複数(
図8では4つ)の作業911~914を表示する。
【0035】
ToDoリストタブ901には、実施することが推奨されていた期限が過ぎた作業911と、今日実施することが推奨される作業912と、4日後までに実施することが推奨される作業913と、5日後以降に実施すればよい作業914が表示されている。各作業911~914は、作業の「内容」が表示されたセルAと、作業の「担当者」を表示するセルBと、作業の推奨される「期限」を表示するセルCと、完了ボタンDと、が関連付けられて一列で表示されている。
【0036】
各作業911~914の欄の左端部921には、当該作業の重要度(高、中、低)が色別で表示されている。マーク922は、当該作業が前記した任意ToDoであることを示し、当該マーク922の直近の右側には「Iさん」のように当該任意ToDoを作成した担当者の名前が併記される。アイコン923は、クリックすることで作業(ToDo)を編集したり、削除することができる画面に遷移する。この画面ではコメントを書き込むことができ、マーク924は、該当の作業(ToDo)に当該コメントが付されていることを示す。セルBの「担当者」は、一人の場合も複数人の場合もある。担当者が存在しない作業にはセルBに「担当者を決めてください」というメッセージが表示される。アイコン925を操作すると、該当のユーザは該当の「作業」の担当者となることができる。完了ボタンDを操作すると、当該の「作業」は完了したと扱われ、ToDoリストタブ901から外れて完了済みToDoリストタブ902に掲載される。
【0037】
「作業」が試薬の交換であるときは、セルAの「内容」には次のように表示される(
図8参照)。つまり、当該「作業」が、対象機器(医用機器200)の交換品(試薬)の交換であったときは、対象機器(医用機器200)からの情報に基づいて、セルA内は次のような表示欄になる。すなわち、当該対象機器(医用機器200)ごとに、当該対象機器(医用機器200)の識別標識(ここでは、1号機、2号機等)、当該対象機器(医用機器200)の交換すべき交換品(試薬)の識別標識(ここでは「試薬交換」の文字と、「AAA」「BBB」「CCC」といった試薬の名称)、及び、当該交換品(試薬)の個数(「×2」、「×5」のように試薬の名称の右隣にかっこ書きで表記)を関連付けて1行(又は1列)に並べて表示した表示欄となる。
【0038】
そのため、作業支援システム100によれば、対象機器(医用機器200)ごとに、必要な交換品(試薬)と、その必要個数が一見して把握しやすいために、ユーザの利便性を高めることができる。
交換品(試薬)が複数種類あるときは、対象機器(医用機器200)ごとに当該対象機器(医用機器200)の識別標識(ここでは、「1号機」、「2号機」等)と複数種類の交換品(試薬)の識別標識(ここでは「試薬交換」の文字と、「AAA」「BBB」「CCC」といった試薬の名称)とを関連付け、それぞれの交換品(試薬)の識別標識に当該交換品の個数(「×2」、「×5」のように試薬の名称の右隣にかっこ書きで表記)を付記している。
【0039】
そのため、作業支援システム100によれば、該当の対象機器(医用機器200)交換品(試薬)が複数種類ある場合も、必要な交換品(試薬)と、その必要個数が一見して把握しやすいために、ユーザの利便性を高めることができる。
なお、医用機器200、交換すべき試薬及びその個数を関連付けて表示する場合に、これらの内容が多くて1行又は1列で表示しきれないときには、作業(ToDo)911のセルAの末尾に所定のアイコンを表示し、当該アイコンをクリックすればポップアップ画像が表示され、当該ポップアップ画像中で当該表示しきれない部分を表示するようにすればよい。
【0040】
完了済みToDoリストタブ902(
図9)には、順序選択領域930が設けられている。順序選択領域930は、完了済みToDoリストタブ902の表示領域に表示される「作業」(ToDo)の表示順序を選択するための領域である。
図9では、順序選択領域930が“期限順”となっているので、表示領域には、期限が近い順序で、作業(ToDo)931が表示されている。
フィルタ領域940は、完了済みToDoリストタブ902の表示領域に表示される作業931をフィルタするための領域である。ユーザは、フィルタ領域940の期限に関するチェックボックス(Deadline;今日中/4日後まで/5日後以降)をチェックすることによって、表示領域に表示される作業を期限でフィルタすることができる。また、ユーザは、フィルタ領域940のカテゴリーに関するチェックボックス(Category;試薬交換/メンテナンス/その他)をチェックすることによって、表示領域に表示される作業931をカテゴリーでフィルタすることができる。また、ユーザは、フィルタ領域940の装置No(Device select;1号機/2号機/3号機等)を選択することによって、表示領域910に表示される作業を医用機器200の名称でフィルタすることができる(
図9の例では全選択されている)。また、ユーザは、フィルタ領域940の作業の種類(Type;全ToDo/装置ToDo/任意ToDo)を選択することによって、表示領域に表示される作業を種類でフィルタすることができる。また、ユーザは、フィルタ領域940の作業の担当者(Person in charge;担当者/全員)を選択することによって、表示領域表示される作業を担当者でフィルタすることができる(
図9の例では全員が選択されている)。
【0041】
達成状況ボタン950を操作すると、ポップアップ画像903が表示される。ポップアップ画像903は、完了済みの作業(ToDo)931の「達成状況」を視覚的に表示する画面である。年指定欄951は、完了済みの作業(ToDo)931のうち指定した年でフィルタすることができる。月指定欄952は、完了済みの作業(ToDo)931のうち指定した年の特定の月でフィルタすることができる。これらでフィルタリングされた完了済みの作業(ToDo)931を対象として「達成状況」がポップアップ画像903に表示される。
【0042】
すなわち、「達成状況」として、「期間内達成率」951がドーナツグラフと数字で表示される。「期間内達成率」961は、選択された複数の完了済みの作業(ToDo)931(履歴)の中で当該履歴に係る作業が予め設定されていた期限内に完了したものの割合を示すデータである。
同じくドーナツグラフと数字で表示される「ToDo起案率」962は、選択された複数の完了済みの作業(ToDo)931(履歴)の中で当該履歴に係る作業が情報処理装置(端末300)のユーザの起案であったものの割合を示すデータである。
【0043】
同じくドーナツグラフと数字で表示される「ToDo協力率」963は、選択された複数の完了済みの作業(ToDo)931(履歴)の中で当該履歴に係る作業が情報処理装置(端末300)のユーザの起案であったもののうち、当該起案したユーザ以外のユーザが当該作業に関わったものの割合を示すデータである。
このように、「作業」(ToDo)の達成状況がポップアップ画像903で表示されるので、各ユーザは達成状況を向上させるように鼓舞される。
【0044】
具体的には、「期間内達成率」961は、選択された複数の完了済みの作業(ToDo)931(履歴)の中で当該履歴に係る作業が予め設定されていた期限内に完了したものの割合を表示するので、各ユーザは期限を守るように鼓舞される。
また、「ToDo起案率」962は、選択された複数の完了済みの作業(ToDo)931(履歴)の中で当該履歴に係る作業が情報処理装置(端末300)のユーザの起案であったものの割合を表示するので、各ユーザは積極的に作業の起案を行うように鼓舞される。
【0045】
さらに、「ToDo協力率」963は、選択された複数の完了済みの作業(ToDo)931(履歴)の中で当該履歴に係る作業が情報処理装置(端末300)のユーザの起案であったもののうち、当該起案したユーザ以外のユーザが当該作業に関わったものの割合を示す。そのため、ユーザ起案の作業を他のユーザが積極的に手伝うように各ユーザは鼓舞される。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0046】
また、例えば、対象機器は前記の実施例では医用機器200であって、交換品は試薬の例を示したが、対象機器をプリンタとして交換品をインクやトナーとする等、他の電子機器を対象機器としてもよい。
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれ機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0047】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0048】
1 医用システム
110 第1通信部
111 作業リスト作成部
112 第2通信部
113 履歴記憶部
114 画像作成部
200 医用機器(対象機器)
300 端末(情報処理装置)
901 ToDoリスト
902 完了済みToDoリスト
903 ポップアップ画像(画像)
912~914 ToDo(作業)
931 ToDo(履歴)
961 期間内達成率
962 ToDo起案率
963 ToDo協力率