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特開2023-144396回転乾燥装置の蒸気管保護機構、回転乾燥装置
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  • 特開-回転乾燥装置の蒸気管保護機構、回転乾燥装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144396
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】回転乾燥装置の蒸気管保護機構、回転乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/32 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
F26B17/32 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051344
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100203910
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 健弘
(72)【発明者】
【氏名】戸田 宏明
(72)【発明者】
【氏名】武田 政志
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB03
3L113AC05
3L113AC58
3L113AC63
3L113AC68
3L113AC86
3L113BA04
3L113CB01
3L113CB29
3L113CB34
3L113DA18
3L113DA21
(57)【要約】
【課題】掻き上げ体としても機能する蒸気管が被乾燥物と接触する機会を低減することにより蒸気管の摩耗を防止するとともに被乾燥物の流れを抑制しないような回転乾燥装置を提供する。
【解決手段】回転軸を中心に回転するとともに被乾燥物が収容される筒状の筐体1と、前記筐体1において径方向及び軸方向のいずれの方向にも間隔を隔ててそれぞれ複数本設けられ、前記回転軸まわりの周方向に沿って湾曲するとともに内部を加熱蒸気が通過する複数の蒸気管10とを備える回転乾燥装置の蒸気管保護機構40であって、前記蒸気管10の湾曲方向に沿って湾曲された長方形状に形成され、前記被乾燥物が排出される排出部が形成される本体部を備え、前記本体部は、前記複数の蒸気管10のうち径方向内側に位置するとともに軸方向において隣接する同じ寸法に形成された複数の蒸気管10に固定されている。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転するとともに被乾燥物が収容される筒状の筐体と、前記筐体において径方向及び軸方向のいずれの方向にも間隔を隔ててそれぞれ複数本設けられ、前記回転軸まわりの周方向に沿って湾曲するとともに内部を加熱蒸気が通過する複数の蒸気管とを備える回転乾燥装置の蒸気管保護機構であって、
前記蒸気管の湾曲方向に沿って湾曲された長方形状に形成され、前記被乾燥物が排出される排出部が形成される本体部を備え、
前記本体部は、前記複数の蒸気管のうち径方向内側に位置するとともに軸方向において隣接する同じ寸法に形成された複数の蒸気管に固定されていることを特徴とする回転乾燥装置の蒸気管保護機構。
【請求項2】
前記排出部は、前記本体部の長手方向に直交する短手方向に沿って並んで配置されるとともに、前記複数の蒸気管のそれぞれに対応して形成された複数の開口を有し、
前記複数の開口のそれぞれは、前記長手方向に延びる長孔状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転乾燥装置の蒸気管保護機構。
【請求項3】
回転軸を中心に回転するとともに被乾燥物が収容される筒状の筐体と、前記筐体において径方向及び軸方向のいずれの方向にも間隔を隔ててそれぞれ複数本設けられ、前記回転軸まわりの周方向に沿って湾曲するとともに内部を加熱蒸気が通過する複数の蒸気管とを備える回転乾燥装置であって、
前記蒸気管の湾曲方向に沿って湾曲された長方形状に形成され、前記被乾燥物が排出される排出部が形成される本体部を有する保護機構を備え、
前記本体部は、前記複数の蒸気管のうち径方向内側から数えて4番目までに位置するとともに軸方向において隣接する同じ寸法に形成された複数の蒸気管に固定されていることを特徴とする回転乾燥装置。
【請求項4】
前記保護機構に形成された挿通孔に挿通されるU字ボルトと、該U字ボルトの両端を保持するナットにより構成された固定部を備え、
前記本体部は、前記U字ボルトと前記ナットにより前記蒸気管に固定されていることを特徴とする請求項3に記載の回転乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転乾燥装置の蒸気管保護機構及び回転乾燥装置に関し、特に筐体内で被乾燥物を蒸気で加熱乾燥させるための回転乾燥装置の蒸気管保護機構及び回転乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
金属精錬の一工程では、例えば被乾燥物である銅精鉱を加熱乾燥させる回転乾燥機が使用される。回転乾燥機は、銅精鉱が投入される筒状のシェル(筐体)と、加熱された蒸気が供給される蒸気管を有する。シェルに投入された被乾燥物は、蒸気管あるいは攪拌部材によりシェル内で攪拌され、落下しつつ蒸気管に接触する。被乾燥物が蒸気管に接触する際、被乾燥物に蒸気管の熱が伝達される。被乾燥物の攪拌及び蒸気管からの熱の伝達が繰り返されることにより、被乾燥物に含まれる水分量が減少し、乾燥が促進される。
【0003】
例えば、特許文献1には、蒸気管式回転乾燥機が開示されている。蒸気管式回転乾燥機は、被乾燥物が投入されるドラム(筐体)と、熱媒体である蒸気が通過する蒸気管を有する。上流側に設けた被乾燥物入口からドラムに投入された被乾燥物は、ドラムによる回転とともに持ち上げられて落下し、落下する過程で蒸気管に接触する。被乾燥物は、蒸気管に接触する過程で水分量が減少し乾燥が促進され、下流側に設けた被乾燥物出口から排出される。
【0004】
また、特許文献2には、回転乾燥機が開示されている。回転乾燥機は、基台上に軸受部材を介して回転可能に支持されている。回転乾燥機は、被乾燥物が投入される回転胴を有し、回転胴の内壁面には複数の掻き上げ体が設けられる。被乾燥物は、回転胴の内部を流通する加熱空気に触れて乾燥処理されつつ回転胴の傾斜により徐々に排出側に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61-138084号公報
【特許文献2】実開昭51-122459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、筐体が繰り返し回転するため、筐体の回転に伴い蒸気管による被乾燥物の持ち上げ及び落下動作が繰り返される。落下する被乾燥物が蒸気管に触れる機会が多くなると、接触の過程で蒸気管の摩耗が促進されるという不都合が生じていた。このような不都合は、被乾燥物の堆積量が多くなる排出口の周辺でより顕著となる。
【0007】
そこで、本発明は例えば掻き上げ体としても機能する蒸気管が被乾燥物と接触する機会を低減することにより蒸気管の摩耗を防止するとともに被乾燥物の流れを抑制しないような回転乾燥装置及び回転乾燥装置の蒸気管保護機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、回転軸を中心に回転するとともに被乾燥物が収容される筒状の筐体と、前記筐体において径方向及び軸方向のいずれの方向にも間隔を隔ててそれぞれ複数本設けられ、前記回転軸まわりの周方向に沿って湾曲するとともに内部を加熱蒸気が通過する複数の蒸気管とを備える回転乾燥装置の蒸気管保護機構であって、前記蒸気管の湾曲方向に沿って湾曲された長方形状に形成され、前記被乾燥物が排出される排出部が形成される本体部を備え、前記本体部は、前記複数の蒸気管のうち径方向内側に位置するとともに軸方向において隣接する同じ寸法に形成された複数の蒸気管に固定されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る回転乾燥装置の蒸気管保護機構において、前記排出部は、前記本体部の長手方向に直交する短手方向に沿って並んで配置されるとともに、前記複数の蒸気管のそれぞれに対応して形成された複数の開口を有し、前記複数の開口のそれぞれは、前記長手方向に延びる長孔状に形成されていてもよい。
【0010】
また本発明は、回転軸を中心に回転するとともに被乾燥物が収容される筒状の筐体と、前記筐体において径方向及び軸方向のいずれの方向にも間隔を隔ててそれぞれ複数本設けられ、前記回転軸まわりの周方向に沿って湾曲するとともに内部を加熱蒸気が通過する複数の蒸気管とを備える回転乾燥装置であって、前記蒸気管の湾曲方向に沿って湾曲された長方形状に形成され、前記被乾燥物が排出される排出部が形成される本体部を有する保護機構を備え、前記本体部は、前記複数の蒸気管のうち径方向内側から数えて4番目までに位置するとともに軸方向において隣接する同じ寸法に形成された複数の蒸気管に固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る回転乾燥装置において、前記保護機構に形成された挿通孔に挿通されるU字ボルトと、該U字ボルトの両端を保持するナットにより構成された固定部を備え、前記本体部は、前記U字ボルトと前記ナットにより前記蒸気管に固定されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、掻き上げ体としても機能する蒸気管が被乾燥物と接触する機会を低減することにより蒸気管の摩耗を防止するとともに被乾燥物の流れを抑制しないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る回転乾燥装置の模式的な側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る回転乾燥装置を排出口側から見た模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る回転乾燥装置の排出口付近の部分拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る回転乾燥装置において使用されるプロテクターの斜視図である。
図5図5(a)は、プロテクターが蒸気管に取り付けられた状態を径方向内側から見た状態を示す図であり図5(b)は、プロテクターが蒸気管に取り付けられた状態を幅方向から見た図である。
図6】プロテクターに形成された開口を銅精鉱が通過する状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
まず本発明の実施形態に係る回転乾燥装置について説明する。なお、共通の構成要素については、共通の指示符号を図中に付して説明する。また、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
【0015】
図1は、実施形態に係る回転乾燥装置を概略的に示す側面図である。回転乾燥装置100は、筐体1と、筐体内に設けられる蒸気管10及び加熱パイプ20とを有して構成されている。筐体1は、前後方向を回転軸Xの軸線とする筒状形状を有し、回転軸Xを中心に回転する。筐体1は、被乾燥物として銅精鉱が収容され、一方側(図中右側)は供給口1aとされ、他方側(図中左側)は排出口1bとされる。筐体1は、供給口1aよりも排出口1bが低くなるように基台2に軸受部材3を介して配置されている。即ち、筐体1は供給口1aと比較して排出口1bが相対的に低くなるように傾斜している。筐体1の傾斜により、供給口1a側から供給された銅精鉱は排出口1b側に向けて供給され、排出口1bから排出される。なお、以下の実施形態では、X軸方向が前後方向、Y軸方向が左右方向であり、Z軸方向が上下方向とする。
【0016】
図2は、実施形態に係る回転乾燥装置100を回転軸Xの軸線方向から視た模式図である。排出口1b側から見て半時計周りに回転する筐体1内において、蒸気管10は径方向及び回転軸X方向に複数並んで配置されている。具体的には、蒸気管10は、筐体1の径方向内側から外周にかけて、第1蒸気管11、第2蒸気管12、第3蒸気管13、第4蒸気管14、第5蒸気管15、第6蒸気管16、第7蒸気管17、第8蒸気管18、第9蒸気管19を有して構成され、これらの蒸気管が回転軸X付近を除き、径方向内側から外周側にかけて略均等な間隔で配置されるとともに、回転軸X方向(紙面奥行き方向)に沿って複数配置されているなお、以下の説明では、第1蒸気管11乃至第9蒸気管19を特に区別しない場合には、単に「蒸気管10」と称する。径方向及び回転軸X方向に配置される蒸気管10の本数は、特に限定されるものではない。
【0017】
図2に示すように、同心円状に形成された異なる径を有する蒸気管10が、回転軸X周りに複数配置されている。また、同心円状に形成された同じ半径を有する蒸気管10が、回転軸X方向(紙面奥行き方向)にかけて複数配置されている。即ち、複数の蒸気管10は、径方向及び軸方向のいずれの方向にも間隔を隔てて複数本ずつ配置されており、軸方向に沿って同じ寸法に形成されている。なお、径方向及び回転軸X方向に配置される蒸気管10の個数は、特に限定されるものではない。各蒸気管10は、5つの支持部材30により周方向において支持され、回転軸Xまわりの周方向に沿って湾曲している。各蒸気管10は、周方向の全周に亘って一体的に形成されているが、支持部材30により周方向に5つに分離して形成されてもよい。
【0018】
ここで、蒸気管10は、いわゆる間接式ドライヤーに用いられる、内部に加熱された蒸気(加熱蒸気)が通過する筒状の部材(チューブ)である。筐体1において銅精鉱が蒸気管10に接触すると、蒸気管10に接触した銅精鉱が加熱され、温度上昇により銅精鉱の乾燥が促進される。銅精鉱と蒸気管10との接触時間が長ければ長いほど、銅精鉱の乾燥がより促進される。蒸気管10は、例えば鉄を主体とした金属により構成されていることが望ましい。
【0019】
図3は、筐体1における排出口1b付近の部分拡大図である。供給方向における上流側(供給口1a側)から供給された銅精鉱Cは、筐体1内で回転されながら徐々に下流側に移動し、排出口1b側から排出される。排出口1bから排出される直前には、上流側から供給された銅精鉱Cは排出口1bの付近に堆積し、堆積した銅精鉱Cは図中矢印で示すように、筐体1の回転に蒸気管10により伴い掻き上げられる掻き上げられた銅精鉱Cは、蒸気管10に上側から落とされるため、蒸気管10の上側が摩耗し易くなる。そこで、蒸気管10の摩耗を防止するために、蒸気管10にプロテクター40が取り付けられている。
【0020】
図3には、径方向内側から外側に向かって4番目までの蒸気管10にプロテクター40が取り付けられるとともに、供給方向の下流側から上流に向かって、即ち、回転軸X方向に沿って径方向内側から4番目までの蒸気管10に、保護機構としてのプロテクター40が取り付けられた状態の図を示す。これは、供給方向において下流側であるほど銅精鉱Cの堆積量が多くなり、径方向内側であるほど落下する銅精鉱Cと蒸気管10が接触する機会が増えるため、これらの場所に配置された蒸気管10を保護する必要性がより高まるためである。なお、径方向及び回転軸X方向において取り付けられるプロテクター40の個数は、特に限定されるものではない。
【0021】
プロテクター40は、軸方向において隣接する同じ寸法に形成された複数の蒸気管10に固定されている。具体的には、図3に示すように、プロテクター40は回転軸X方向に沿って同じ半径を有する複数の蒸気管10に亘って取り付けられる。実施形態において、プロテクター40は2個の蒸気管10に亘って取り付けられるが、3個以上の蒸気管10に亘って取り付けられてもよい。
【0022】
図4に、プロテクター40の模式的な斜視図を示す。図4に示すように、プロテクター40は、蒸気管10の湾曲方向に沿って湾曲された長方形状に形成された本体部40aを備えている。本体部40aは、複数の蒸気管10に亘って取り付けられる程度の寸法に形成されている。プロテクター40は、例えば鉄等の耐熱性を有する金属により構成されている。なお、プロテクター40は、熱に強ければいかなる素材であってもよい。
【0023】
プロテクター40には、本体部40aの長手方向に直交する短手方向に沿って、被乾燥物である銅精鉱が排出される複数の排出部50が形成されている。具体的には、排出部50は、本体部40aの長手方向に沿って第1排出部51、第2排出部52、第3排出部53をこの順に有している。第1排出部51は、短手方向(本体部40aの幅方向)に2個の開口51aを有している。第2排出部52は、短手方向に2個の開口52aを有している。第3排出部53は、短手方向に2個の開口53aを有している。開口51a、開口52a及び開口53aは、それぞれ長手方向に延びる長孔状に形成されている。
【0024】
長手方向に形成される排出部50の個数は、特に限定されるものではない。また、短手方向において排出部50が有する開口の個数は、プロテクター40が取り付けられる蒸気管10の本数と同数であることが望ましい。即ち、排出部50が有する複数の開口は、プロテクター40が取り付けられる蒸気管10のそれぞれに対応して形成されていることが望ましい。但し、排出部50が有する開口の個数は、蒸気管10の個数と異なっていてもよい。排出部50の両側には、幅方向に沿って後述のU字ボルトが挿入される複数の挿通孔40cが形成されている。
【0025】
図4の例では、第1排出部51、第3排出部53と比較して第2排出部52の開口面積が大きいが、排出部50の開口面積は特に限定されるものではない。また、第1排出部51の開口面積が大きければ、第2排出部52、第3排出部53はプロテクター40に形成されなくてもよい。即ち、第1排出部51が有する開口51aの開口面積が大きければ、プロテクター40に形成される排出部50は1ヶ所であってもよい。
【0026】
図5に、蒸気管10にプロテクター40が取り付けられた状態の図を示す。図5(a)に示すように、一例としてプロテクター40は径方向内側から数えて4番目までの蒸気管10に取り付けられている。これは、上述の通り、径方向内側に位置する蒸気管10ほど、銅精鉱と接触する機会が多いため摩耗し易く、従って径方向外側に位置する蒸気管10よりも保護する必要があるためである。また、回転軸X方向(紙面上下方向)において、2本の蒸気管10に亘ってプロテクター40が取り付けられている。但し、3本以上の蒸気管10に亘ってプロテクター40が取り付けられてもよい。複数の蒸気管10に亘ってプロテクター40が取り付けられることにより、銅精鉱が蒸気管10に接触して摩耗することを防止することができる。プロテクター40は、後述する固定部60により蒸気管10に固定される。
【0027】
プロテクター40が2本の蒸気管10に取り付けられた状態では、蒸気管10とプロテクター40との間に銅精鉱が通過する隙間が生じるとともに、蒸気管10は開口51a、開口52a及び開口53aを介して外部と連通された状態となる。即ち、径方向から見た場合、蒸気管10は第1排出部51、第2排出部52、第3排出部53と重ならないことが望ましい。これにより、排出口1b付近において蒸気管10とプロテクター40との間に掻き上げられた銅精鉱がプロテクター40を介して径方向内側に移動することが可能となる。従って、プロテクター40を介して銅精鉱の流れを許容することができる。
【0028】
図5(b)は、プロテクター40が蒸気管10に取り付けられた状態を幅方向から見た図である。1枚のプロテクター40は、2本の蒸気管10に亘って取り付けられている。それぞれの蒸気管10はU字ボルト61及びナット62から構成される固定部60によりプロテクター40に固定される。図5(b)に示すように、挿通孔40cにはU字ボルト61が挿通され、U字ボルト61の両端をナット62が保持する。プロテクター40の本体部40aは、U字ボルト61とナット62により蒸気管10に固定される。U字ボルト61は、半円状に湾曲した形状を有し、湾曲した部分が蒸気管10の曲面に沿うようにして蒸気管10に取り付けられている。U字ボルト61によりプロテクター40が蒸気管10に取り付けられるため、プロテクター40が径方向において確実に固定される。
【0029】
図6は、銅精鉱C(図6中ドットで示す部分)がプロテクター40に形成された排出部50を通過する状態を示す模式図である。図6に示すように、銅精鉱Cが掻き上げられた状態、即ち、プロテクター40よりも径方向内側に位置する状態から落下する場合、各第1排出部51、第2排出部52、第3排出部53を介して銅精鉱Cが径方向内側(図中矢印方向)に排出される。この場合、径方向において蒸気管10と各第1排出部51、第2排出部52、第3排出部53は重ならないように位置している。従って、蒸気管10を保護するためにプロテクター40が取り付けられた場合でも、銅精錬の流れが抑制されない。
【0030】
以上説明したように、実施形態に係る回転乾燥装置100では、筐体1において径方向及び回転軸X方向のいずれの方向にも間隔を隔てて複数の蒸気管10が設けられ、それぞれの蒸気管10は回転軸Xまわりの周方向に沿って湾曲している。プロテクター40は、複数の蒸気管10のうち径方向内側に位置するとともに同心円状に形成された同じ半径を有する2以上の蒸気管10に亘って固定部60により固定され、プロテクター40には、被乾燥物である銅精鉱が排出される排出部50が形成されている。従って、プロテクター40により銅精鉱が蒸気管10に接触して摩耗することを防止することができるとともに、プロテクター40を介して銅精鉱の流れを許容することができる。
【0031】
なお、上記のように本発明の一実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明の新規事項及び効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には、容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【0032】
例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義又は同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、回転乾燥装置の構成も本発明の一実施形態及び実施例で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 筐体、10、11~19 蒸気管、20 加熱パイプ、30 支持部材、40 プロテクター(蒸気管保護機構)、40a 本体部、50~53 排出部、51a、52a、53a 開口、60 固定部、61 U字ボルト、62 ナット、100 回転乾燥装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6