(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023144809
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】無線通信方法、無線通信装置、及び無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04L 27/01 20060101AFI20231003BHJP
H04B 1/04 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
H04L27/01
H04B1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022051960
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福園 隼人
(72)【発明者】
【氏名】栗山 圭太
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正文
(72)【発明者】
【氏名】宮城 利文
(72)【発明者】
【氏名】前原 文明
【テーマコード(参考)】
5K060
【Fターム(参考)】
5K060BB08
5K060HH06
(57)【要約】
【課題】伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化する。
【解決手段】送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容されるPAPRの値を算出し、PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出し、平均送信電力に対してSNRを算出し、算出したロールオフ率それぞれ及びSNRとを用いて送信増幅器を介する伝送容量を算出し、平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信増幅器を備えて信号を伝送する無線通信装置を用いた無線通信方法において、
前記送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容されるPAPRの値を算出する許容値算出工程と、
PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出するα算出工程と、
平均送信電力に対してSNRを算出するSNR算出工程と、
算出したロールオフ率それぞれ及びSNRとを用いて前記送信増幅器を介する伝送容量を算出する容量算出工程と、
平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を前記送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する決定工程と
を含むことを特徴とする無線通信方法。
【請求項2】
送信増幅器を備えて信号を伝送する無線通信装置において、
前記送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容される各変調方式のPAPRの値を算出する許容値算出部と、
PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出するα算出部と、
平均送信電力に対してSNRを算出するSNR算出部と、
前記α算出部が算出したロールオフ率それぞれと、前記SNR算出部が算出したSNRとを用いて前記送信増幅器を介する伝送容量を算出する容量算出部と、
平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、前記容量算出部が算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を前記送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する決定部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
送信増幅器を備えた無線通信装置により信号を伝送する無線通信システムにおいて、
前記送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容される各変調方式のPAPRの値を算出する許容値算出部と、
PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出するα算出部と、
平均送信電力に対してSNRを算出するSNR算出部と、
前記α算出部が算出したロールオフ率それぞれと、前記SNR算出部が算出したSNRとを用いて前記送信増幅器を介する伝送容量を算出する容量算出部と、
平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、前記容量算出部が算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を前記送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する決定部と
を有することを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信増幅器を用いた無線通信方法、無線通信装置、及び無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
送信信号を増幅させる送信増幅器を備えた無線通信装置は、送信増幅器のロールオフ率(roll-off factor)αが小さいほど伝送帯域が狭くてすむ。また、無線通信装置のPAPR(Peak to Average Power Ratio)は、ロールオフ率αと圧縮率(compression factor)τの関数で表される。
【0003】
例えば、非特許文献1には、ロールオフ率αごとのPAPRへのSRRC(square root raised cosine)の寄与が開示されている。また、非特許文献2には、ロールオフ率αごとの圧縮率に対するPAPRの変化が開示されている。
【0004】
また、送信増幅器を用いて増幅させた伝送信号を無線により送信する無線通信装置の伝送容量を最適化する技術の一つとして、SC(single carrier)-FTN(faster-than-nyquist)伝送が知られている。
【0005】
FTN伝送は、クロック周波数を超えるシンボルレートにより変調シンボルを送出する手法であり、同伝送ビット数の高次QAM(Quadrature Amplitude Modulation)よりもPAPRを低減することが期待される(例えば、非特許文献2,3参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Marco Baldi, et al., "A comparison between APSK and QAM inwireless tactical scenarios for land mobile systems", EURASIP Journal on Wireless Communications and Networking 2012
【非特許文献2】Jean-Alain Lucciardi, et al., "Trade-Off Between Spectral Efficiency Increase And PAPR Reduction When Using FTN Signaling: Impact Of Non Linearities", IEEE ICC 2016 SAC Satellite and Space Communications
【非特許文献3】Fredrik Rusek, et al., "Constrained Capacities for Faster-Than-Nyquist Signaling", IEEE TRANSACTIONS ON INFORMATION THEORY, VOL. 55, NO. 2, FEBRUARY 2009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
無線通信装置は、送信増幅器のバックオフとPAPRを考慮して平均送信電力を下げた場合、SNR(Signal-to-Noise Ratio)が下がる。そのため、通信容量を最適化するためには、ロールオフ率αと圧縮率τを調整して通信品質を維持する必要がある。
【0008】
無線通信では、PAPRの値がバックオフの値を超えて歪みが生じることを許容する場合、SNRの低下と同等の品質劣化が生じる。
【0009】
本発明は、伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化することができる無線通信方法、無線通信装置、及び無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様にかかる無線通信方法は、送信増幅器を備えて信号を伝送する無線通信装置を用いた無線通信方法において、前記送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容されるPAPRの値を算出する許容値算出工程と、PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出するα算出工程と、平均送信電力に対してSNRを算出するSNR算出工程と、算出したロールオフ率それぞれ及びSNRとを用いて前記送信増幅器を介する伝送容量を算出する容量算出工程と、平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を前記送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する決定工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様にかかる無線通信装置は、送信増幅器を備えて信号を伝送する無線通信装置において、前記送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容される各変調方式のPAPRの値を算出する許容値算出部と、PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出するα算出部と、平均送信電力に対してSNRを算出するSNR算出部と、前記α算出部が算出したロールオフ率それぞれと、前記SNR算出部が算出したSNRとを用いて前記送信増幅器を介する伝送容量を算出する容量算出部と、平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、前記容量算出部が算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を前記送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する決定部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様にかかる無線通信システムは、送信増幅器を備えた無線通信装置により信号を伝送する無線通信システムにおいて、前記送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容される各変調方式のPAPRの値を算出する許容値算出部と、PAPRとロールオフ率の関係に基づいてロールオフ率αを算出するα算出部と、平均送信電力に対してSNRを算出するSNR算出部と、前記α算出部が算出したロールオフ率それぞれと、前記SNR算出部が算出したSNRとを用いて前記送信増幅器を介する伝送容量を算出する容量算出部と、平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、前記容量算出部が算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を前記送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する決定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】ロールオフ率αごとのPAPRへのSRRCの寄与を例示するグラフである。
【
図2】ロールオフ率αごとの圧縮率に対するPAPRの変化を例示するグラフである。
【
図3】(a)は、SC-64QAMのコンスタレーションを示す図である。(b)は、歪んだSC-64QAMのコンスタレーションを示す図である。
【
図4】一実施形態にかかる無線通信装置が備える送信増幅器の入出力特性を例示するグラフである。
【
図5】一実施形態にかかる無線通信装置が伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化するために有する機能を例示する機能ブロック図である。
【
図6】一実施形態にかかる無線通信装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態にかかる無線通信システムは、送信増幅器を備えた送信装置(無線通信装置)が受信装置に対して信号を例えばSC-FTN伝送するように構成されている。ここでは、無線通信装置の伝送容量を最適化するようにロールオフ率αを算出する。
【0016】
まず、SC-FTN伝送のPAPRについて説明する。PAPRは、ロールオフ率αと圧縮率τの関数で表される。
【0017】
図1は、ロールオフ率αごとのPAPRへのSRRCの寄与を例示するグラフである。
図1においては、ロールオフ率αに対するSRRCのPAPRの増加分が例示されている(非特許文献1参照)。
【0018】
図2は、ロールオフ率αごとの圧縮率に対するPAPRの変化を例示するグラフである。
図2においては、圧縮率τに依存した信号の重なりにより、PAPRが変化していることが示されている(非特許文献2参照)。
【0019】
次に、SC-FTNの伝送容量と、送信増幅器による歪について説明する。FTNの伝送容量CFTNは、下式(1)によって表され、下式(2)が成り立つときに最大となる(非特許文献3参照)。
【0020】
【0021】
ただし、τはFTNの圧縮率、ロールオフ率αはロールオフ率、Wはバンド幅、Tはシンボル持続時間、Pは受信電力、N0はノイズ電力、SNRはSN比(P/N0)、H(・)は通信路の周波数応答とする。
【0022】
上式(2)を前提とした場合、伝送容量CFTNは、2つの変数SNR及びロールオフ率αの関数とみることができる。
【0023】
しかし、送信増幅器のバックオフとPAPRを考慮して平均送信電力を下げた場合、SNRが下がってしまう。
【0024】
例えば、
図3(a)に示したSC-64QAMのコンスタレーションは、PAPRの値が送信増幅器のバックオフの値を超えた場合、
図3(b)に示したように歪んでしまう。
【0025】
そのため、伝送品質を維持しつつ通信容量を最適化するためには、ロールオフ率αと圧縮率τを調整して通信品質を維持する必要がある。
【0026】
例えば、PAPRの値がバックオフの値を超えて歪みが生じることを許容する場合、SNRの低下と同等の品質劣化が生じてしまうため、ロールオフ率α及び圧縮率τなどのパラメータ調整する必要がある。
【0027】
そこで、一実施形態にかかる無線通信装置は、送信増幅器による歪が生じ得る場合にも、伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化するように構成されている。なお、一実施形態にかかる無線通信装置は、以下の(A)~(C)の3つを前提とする。
【0028】
(A):無線通信装置は、伝送容量CFTNが最大となるように上式(2)の関係性を保持する。
【0029】
(B):無線通信装置は、変調方式ごとにPAPRがロールオフ率α(τの関数)に対して一意となり、予め各変調方式(例えば16QAMと16APSKそれぞれ)に対するPAPRとロールオフ率αの関係表(ルックアップテーブルなど)を保持している。
【0030】
(C)無線通信装置は、PAPRの値が送信増幅器のバックオフの値を超えて歪みが生じることを許容する。
【0031】
図4は、一実施形態にかかる無線通信装置が備える送信増幅器の入出力特性を例示するグラフである。ここでは、P1dB(1dB compression point)と、動作点となる平均送信電力との差をバックオフとする。また、PAPRの値は、送信増幅器のバックオフの値を超えている。
【0032】
そして、一実施形態にかかる無線通信装置は、以下の(a)~(d)の処理を行い、最適なFTN効率、ロールオフ率、及びSNR(劣化SNR換算量)の組合せを選択し、伝送容量の最適化を実現する。
【0033】
(a):無線通信装置は、各変調方式(例えば16QAMと16APSK)のPAPRに対してロールオフ率αを関係表からそれぞれ特定し、送信増幅器のPAPRがバックオフを超える量と、最小ユークリッド距離に基づいて劣化SNR換算量を計算する。
【0034】
(b):無線通信装置は、PAPRに対して、下式(3)を用いてSNRを算出する。
【0035】
【0036】
(c):無線通信装置は、特定したロールオフ率αそれぞれと、算出したSNRとを用いて、上式(1)により伝送容量CFTNを算出する。
【0037】
(d):無線通信装置は、複数のPAPRの値から最適なCFTNを決定し、最適なCFTNとなるロールオフ率αを送信増幅器に対する最終的なロールオフ率αとして決定する。
【0038】
次に、一実施形態にかかる無線通信装置が備える機能の具体例について説明する。
図5は、一実施形態にかかる無線通信装置が伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化するために有する機能を例示する機能ブロック図である。
【0039】
図5に示したように、一実施形態にかかる無線通信装置は、記憶部10、許容値算出部11、α算出部12、SNR算出部13、容量算出部14、及び決定部15を有する。
【0040】
記憶部10は、上述した関係表など、無線通信装置が伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化するために必要な情報を記憶するメモリなどである。
【0041】
許容値算出部11は、送信増幅器による平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容されるPAPRの値を算出し、算出結果を記憶部10及びα算出部12に対して出力する。
【0042】
つまり、許容値算出部11は、送信増幅器が増幅させた平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容される各変調方式のPAPRの値を算出する。
【0043】
α算出部12は、PAPRとロールオフ率αの関係に基づいてロールオフ率αを算出し、算出結果を記憶部10及びSNR算出部13に対して出力する。
【0044】
SNR算出部13は、記憶部10にアクセスし、平均送信電力Pに対して上式(3)を用いてSNRを算出し、算出したSNRを記憶部10及び容量算出部14に対して出力する。
【0045】
容量算出部14は、記憶部10にアクセスし、α算出部12が算出したロールオフ率αそれぞれと、SNR算出部13が算出したSNRとを用いて、上式(1)により伝送容量CFTNを算出し、算出結果を記憶部10及び決定部15に対して出力する。例えば、容量算出部14は、SC-FTN伝送における許容される各変調方式のPAPRの値を算出する。
【0046】
つまり、容量算出部14は、α算出部12が算出したロールオフ率それぞれと、SNR算出部13が算出したSNRとを用いて送信増幅器を介する伝送容量を算出する。
【0047】
決定部15は、記憶部10にアクセスし、平均送信電力Pを順次に変更しつつ、複数のPAPRの値から最適な伝送容量CFTNを決定し、最適なCFTNとなるロールオフ率αを送信増幅器に対する最終的なロールオフ率αとして決定する。
【0048】
つまり、決定部15は、平均送信電力を順次に変更しつつ、複数のPAPRの値に基づいて、容量算出部14が算出した伝送容量の中から最適な伝送容量を決定し、最適な伝送容量となるロールオフ率を送信増幅器に対する最終的なロールオフ率として決定する。
【0049】
このように、一実施形態にかかる無線通信装置は、最適なFTN効率、ロールオフ率α、及びSNR(劣化SNR換算量)の組合せを選択することにより、伝送容量CFTNの最適化を実現する。
【0050】
次に、一実施形態にかかる無線通信装置の動作例について説明する。
図6は、一実施形態にかかる無線通信装置の動作例を示すフローチャートである。
【0051】
ステップ100(S100)において、許容値算出部11は、送信増幅器による平均送信電力Pに対して、P1dBからの差をバックオフとして許容されるPAPRの値を算出する。
【0052】
ステップ102(S102)において、α算出部12は、PAPRとロールオフ率αの関係に基づいてロールオフ率αを算出する。
【0053】
ステップ104(S104)において、SNR算出部13は、平均送信電力に対して上式(3)を用いてSNRを算出する。
【0054】
ステップ106(S106)において、容量算出部14は、α算出部12が算出したロールオフ率αそれぞれと、SNR算出部13が算出したSNRとを用いて、上式(1)により伝送容量CFTNを算出する。
【0055】
ステップ108(S108)において、決定部15は、容量算出部14が算出したCFTNが、記憶部10が以前に記憶したCFTNより大きいか否かを判定し、大きい場合(S108:Yes)にはS110の処理に進み、その他の場合(S108:No)にはS112の処理に進む。
【0056】
ステップ110(S110)において、記憶部10は、容量算出部14が最後に算出したCFTNを記憶する。
【0057】
ステップ112(S112)において、決定部15は、平均送信電力PがPmax(送信電力最大値)よりも大きいか否かを判定し、大きい場合(S112:Yes)には処理を終了し、その他の場合(S112:No)にはS114の処理に進む。
【0058】
ステップ114(S114)において、決定部15は、平均送信電力PiをPi+1(ただし、・・・<Pi-1<Pi<Pi+1<・・・)とする。
【0059】
つまり、決定部15は、平均送信電力Pを順次に変更しつつ、複数のPAPRの値から最適な伝送容量CFTNを決定し、最適なCFTNとなるロールオフ率αを送信増幅器に対する最終的なロールオフ率αとして決定する。
【0060】
このように、送信信号を増幅させる送信増幅器を備えた無線通信装置は、ロールオフ率α、及び劣化SNR換算量の組合せを決定し、伝送品質を維持しつつ伝送容量を最適化することができる。
【0061】
なお、上述した無線通信装置を構成する各部は、一部又は全部が、ハードウェアによって構成されてもよいし、メモリ等に記憶されたプログラムをプロセッサに実行させることによって構成されてもよい。
【0062】
また、無線通信装置を構成する各部は、一部又は全部がプログラムをプロセッサに実行させることによって構成されている場合、当該プログラムが記録媒体に記録されて供給されてもよいし、ネットワークを介して供給されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10・・・記憶部、11・・・許容値算出部、12・・・α算出部、13・・・SNR算出部、14・・・容量算出部、15・・・決定部