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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145005
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】環境試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 21/28 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
G01G21/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052262
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000231637
【氏名又は名称】株式会社ニップン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(74)【代理人】
【識別番号】100159846
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 尚
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 友彦
(57)【要約】
【課題】環境試験機の内部空間内に配置された試料の重量を容易に測定することができる環境試験装置を提供すること。
【解決手段】環境試験機の天井壁は、接続梁部材の一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有している。一対の垂下部材が、一対の張出領域から下方へ一対の貫通孔を貫通するように垂下されている。環境試験機の内部空間内に、一対の垂下部材によって支持されるように試料配置部が配置される。貫通孔は、垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされている。シール部材は、挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有し、内側領域が垂下部材と気密に接続され、外側領域が天井壁と気密に接続されて、内部空間の気密を維持する一方、上下方向に弾性変形可能であることによって垂下部材の上下方向の移動を許容する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材と、
前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、
前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記外側領域が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項2】
前記シール部材は、シリコン製であり、
前記シール部材の厚みは、0.5~3mmであり、
前記シール部材の前記垂下部材に接続された前記内側領域の外周縁は、直径6~12mmの円形であり、
前記シール部材の前記天井壁に接続された前記外側領域の内周縁は、直径30~100mmの円形である
ことを特徴とする請求項1に記載の環境試験装置。
【請求項3】
前記シール部材の上下方向の弾性変形のバネ定数は、
前記シール部材が存在しない状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力を100%とした時に、
前記シール部材が存在する状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上である、という程度に小さい
ことを特徴とする請求項1または2に記載の環境試験装置。
【請求項4】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から張り出した張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ前記貫通孔を貫通するように垂下された垂下部材と、
前記内部空間内に配置され、前記垂下部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記貫通孔は、前記垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、
前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記外側領域が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項5】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材と、
前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、
前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項6】
前記キャップ部材は、シリコン製であり、
前記キャップ部材の前記側壁筒は、直径15~100mm、高さ20~60mmの略円筒形である
ことを特徴とする請求項5に記載の環境試験装置。
【請求項7】
前記キャップ部材の前記側壁筒の伸縮変形のバネ定数は、
前記キャップ部材が存在しない状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力を100%とした時に、
前記キャップ部材が存在する状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上である、という程度に小さい
ことを特徴とする請求項5または6に記載の環境試験装置。
【請求項8】
前記キャップ部材は、シリコン製であり、
前記キャップ部材の前記キャップ部の厚みは、3~6mmであり、
前記キャップ部材の前記キャップ部の前記垂下部材に接続された前記内側領域の外周縁は、直径6~10mmの円形であり、
前記キャップ部材の前記キャップ部が上下方向に弾性変形可能であることによっても前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の環境試験装置。
【請求項9】
前記キャップ部材の前記キャップ部の上下方向の弾性変形のバネ定数は、
前記キャップ部材の前記キャップ部が存在しない状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力を100%とした時に、
前記キャップ部材の前記キャップ部が存在する状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上である、という程度に小さい
ことを特徴とする請求項8に記載の環境試験装置。
【請求項10】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から張り出した張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ前記貫通孔を貫通するように垂下された垂下部材と、
前記内部空間内に配置され、前記垂下部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記貫通孔は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、
前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項11】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材と、
前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記一対の貫通孔の一方は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、
前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記外側領域が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっており、
前記一対の貫通孔の他方は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、
前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項12】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ前記側壁の両外方にまで張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記一対の貫通孔を貫通する一対の垂下屈曲部材と、
前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、
前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記外側領域が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項13】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から外側へ前記側壁の外方にまで張り出した張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の鉛直下方に対応する位置に貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記貫通孔を貫通する垂下屈曲部材と、
前記内部空間内に配置され、前記垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記貫通孔は、前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、
前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記外側領域が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項14】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ前記側壁の両外方にまで張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記一対の貫通孔を貫通する一対の垂下屈曲部材と、
前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、
前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され弾性変形可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項15】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から外側へ前記側壁の外方にまで張り出した張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の鉛直下方に対応する位置に貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記貫通孔を貫通する垂下屈曲部材と、
前記内部空間内に配置され、前記垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記貫通孔は、前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、
前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され弾性変形可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【請求項16】
試料の環境試験を行う環境試験装置であって、
天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、
前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、
前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ前記側壁の両外方にまで張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、
を備え、
前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔を有しており、
前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記一対の貫通孔を貫通する一対の垂下屈曲部材と、
前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、
を更に備え、
前記一対の貫通孔の一方は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、
前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記外側領域が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっており、
前記一対の貫通孔の他方は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、
前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され弾性変形可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっている
ことを特徴とする環境試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の環境試験を行う環境試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機が知られている。
【0003】
環境試験機によって試料の環境試験を行う際には、試料の重量変化をモニタリングすることも行われている。
【0004】
環境試験機内にスケーラー(重量はかり)を設置して、当該スケーラー(重量はかり)上に試料を配置しておけば、任意のタイミングで重量の測定値を把握することができる。しかしながら、環境試験に伴う環境試験機内の温度及び/又は湿度の変化が外乱要因となって、スケーラー(重量はかり)の測定精度が顕著に悪化してしまうという問題がある。
【0005】
従って、試料の重量変化をモニタリングする場合には、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機の内部空間から試料を取り出して、環境試験機の外部においてスケーラー(重量はかり)等を用いて試料の重量を測定している。
【0006】
環境試験機については、例えば特許文献1に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平06-022951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機の内部空間から試料を取り出して重量を測定するという作業は、作業者にとって面倒である。
【0009】
また、環境試験機の内部空間から試料を取り出す際には、環境試験機の内部空間が開放される必要があるため、環境試験のために整えられていた当該内部空間の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうという問題もある。
【0010】
本件発明者は、本件発明に至る過程において、スケーラー(重量はかり)として機能するロードセルを環境試験機の上方(環境試験機の上面上でも、環境試験機から離れた上方でもよい)に上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設け、試料が配置される試料配置部を環境試験機の内部空間内に設けると共に環境試験機を貫通する部材を介して前記ロードセルの荷重作用面で支持させるという構成を採用することで、ロードセルを環境試験機の外部に配置しておきながら環境試験機の内部空間から試料を取り出すことなく試料の重量測定ができるということを知見した。
【0011】
具体的には、ロードセルの荷重作用面上に当該荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材を設け、環境試験機の天井壁において当該接続梁部材の一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を設け、前記接続梁部材の一対の張出領域に接続されて当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材を設け、環境試験機の内部空間内の試料配置部を前記一対の垂下部材によって支持させる、という構成を想到するに至った。
【0012】
このような構成によれば、環境試験に伴う環境試験機内の温度及び/又は湿度の変化によってロードセルによる重量の測定精度が悪化するということがないし、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機の内部空間から試料を取り出すという必要もない。
【0013】
しかしながら、このような構成では、一対の貫通孔を介して環境試験機の内部空間と環境試験機の外部とが連通しているため、環境試験のために整えられるべき内部空間の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうという問題は残る。
【0014】
本件発明者は、更に、一対の貫通孔の各々にキャップ部材を設けて、重量測定時には当該キャップ部材を取り外し、それ以外の時にはキャップ部材を装着しておく(一対の垂下部材の可動性が阻害されても構わない)、という構成を考えた。
【0015】
この構成によれば、重量測定時を除いては、内部空間の環境が外気の状態によって影響されることがなくなる。
【0016】
しかしながら、この構成では、重量測定の度にキャップ部材を取り外す作業が必要で、作業者にとっては面倒である。また、重量の時間的変化を連続的に測定するということができない。
【0017】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、環境試験機の内部空間の試験環境に悪影響を及ぼすことが顕著に抑制され、且つ、環境試験機の内部空間内に配置された試料の重量を容易に測定することができる環境試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材と、前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記外側領域が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0019】
本発明によれば、環境試験機の上方にロードセルを設け、当該ロードセルの荷重作用面上に当該荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材を設け、環境試験機の天井壁において接続梁部材の一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を設け、接続梁部材の一対の張出領域に接続されて当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材を設け、環境試験機の内部空間内の試料配置部を前記一対の垂下部材によって支持させる、という構成が採用されている。これにより、環境試験に伴う環境試験機内の温度及び/又は湿度の変化によってロードセルによる重量の測定精度が悪化するということがないし、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機の内部空間から試料を取り出すという必要もない。
【0020】
また、本発明によれば、前記一対の貫通孔の各々が薄肉のシール部材によってシールされて、環境試験機の内部空間の気密が維持されている。これにより、環境試験のために整えられていた環境試験機の内部空間の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうということが顕著に抑制され得る。
【0021】
更に、本発明によれば、シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって、当該シール部材の内側領域に接続された垂下部材が当該シール部材の外側領域に接続された環境試験機の天井壁に対して上下方向に移動できるようになっている。これにより、試料配置部の重量(試料の重量)に依存するロードセルの設置面(荷重作用面と対向する面)に対する接続梁部材及び垂下部材の位置の変化(ロードセルの荷重作用面の位置の変化)が拘束される程度が抑制されているため、シール部材を取り外さなくても、ロードセルによる重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0022】
本発明のシール部材は、例えばシリコン製である。この場合、当該シール部材の厚みは、0.5~3mmであることが好ましい。このようなシール部材は、十分な弾性を提供することができる。シリコン以外の素材は、ある程度の密閉性及びある程度の屈曲性を有し、吸湿性がほとんど無く、想定される試験環境温度に耐えることが可能なものであれば採用され得る。具体的には、各種ゴム、プラスチック、ビニール、薄膜状金属等のほか、これらの素材に更に紙や布などを組み合わせた複合材料等、が採用され得る。
【0023】
更に具体的には、シール部材の垂下部材に接続された内側領域の外周縁は、直径6~12mmの円形であって、シール部材の天井壁に接続された外側領域の内周縁は、直径30~100mmの円形であることが好ましい。この場合、シール部材が等方的に変形するため、ロードセルによる重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0024】
シール部材の上下方向の弾性変形のバネ定数は、前記シール部材が存在しない状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力を100%とした時に、前記シール部材が存在する状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上であるという程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセルの出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセルによる重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0025】
その他、一対の貫通孔の各々は、直径10~100mmの略円筒形であることが好ましく、一対の垂下部材の各々は、直径4~6mmの略円筒形であることが好ましい。
【0026】
なお、試料配置部を一対の垂下部材で支持するのではなく、試料配置部を一本の垂下部材で片持ち梁状に支持する態様も採用され得る。この場合、本発明の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から張り出した張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ前記貫通孔を貫通するように垂下された垂下部材と、前記内部空間内に配置され、前記垂下部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記貫通孔は、前記垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記外側領域が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0027】
本発明の別の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材と、前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記側壁筒が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0028】
当該態様によっても、環境試験機の上方にロードセルを設け、当該ロードセルの荷重作用面上に当該荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材を設け、環境試験機の天井壁において接続梁部材の一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を設け、接続梁部材の一対の張出領域に接続されて当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材を設け、環境試験機の内部空間内の試料配置部を前記一対の垂下部材によって支持させる、という構成が採用されている。これにより、環境試験に伴う環境試験機内の温度及び/又は湿度の変化によってロードセルによる重量の測定精度が悪化するということがないし、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機の内部空間から試料を取り出すという必要もない。
【0029】
また、当該態様によれば、前記一対の貫通孔の各々がキャップ部材によってシールされて、環境試験機の内部空間の気密が維持されている。これにより、環境試験のために整えられていた環境試験機の内部空間の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうということが顕著に抑制され得る。
【0030】
更に、当該態様によれば、キャップ部材は、キャップ部材のキャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒を有し、キャップ部材の側壁筒の蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって、キャップ部材のキャップ部の内側領域に接続された垂下部材が当該キャップ部材の外側領域の側壁筒(キャップ部に対して蛇腹構造を挟んで反対側の部分)に接続された環境試験機の天井壁に対して上下方向に移動できるようになっている。これにより、試料配置部の重量(試料の重量)に依存するロードセルの設置面(荷重作用面と対向する面)に対する接続梁部材及び垂下部材の位置の変化(ロードセルの荷重作用面の位置の変化)が拘束される程度が抑制されているため、キャップ部材を取り外さなくても、ロードセルによる重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0031】
本発明のキャップ部材は、例えばシリコン製である。このようなキャップ部材の蛇腹構造は、十分な伸縮性を提供することができる。シリコン以外の素材は、ある程度の密閉性及びある程度の屈曲性を有し、吸湿性がほとんど無く、想定される試験環境温度に耐えることが可能なものであれば採用され得る。具体的には、各種ゴム、プラスチック、ビニール、薄膜状金属等のほか、これらの素材に更に紙や布などを組み合わせた複合材料等、が採用され得る。
【0032】
更に具体的には、キャップ部材の側壁筒は、直径15~100mm、高さ20~60mmの略円筒形であることが好ましい。このような数値範囲において、キャップ部材の側壁筒(蛇腹構造)は、十分な伸縮性を提供することができる。また、キャップ部材の側壁筒(蛇腹構造)が等方的に変形するため、ロードセルによる重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0033】
また、以上の態様において、前記キャップ部材の前記側壁筒の伸縮変形のバネ定数は、前記キャップ部材が存在しない状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力を100%とした時に、前記キャップ部材が存在する状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上である、という程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセルの出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセルによる重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0034】
また、以上の態様において、前記キャップ部材が例えばシリコン製であり、前記キャップ部材の前記キャップ部の厚みが1~6mmであれば、当該キャップ部も十分な弾性(上下方向の変形性)を提供することができる。すなわち、この場合、前記キャップ部材の前記キャップ部が上下方向に弾性変形可能であるため、このことによっても前記垂下部材の上下方向の移動を許容することができて(試料配置部の重量(試料の重量)に依存するロードセルの設置面(荷重作用面と対向する面)に対する接続梁部材及び垂下部材の位置の変化(ロードセルの荷重作用面の位置の変化)が拘束される程度が更に抑制されることになって)、好ましい。
【0035】
また、前記キャップ部材の前記キャップ部の前記垂下部材に接続された前記内側領域の外周縁は、直径6~12mmの円形であることが好ましい。この場合、キャップ部が等方的に変形するため、ロードセルによる重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0036】
また、この場合、前記キャップ部材の前記キャップ部の上下方向の弾性変形のバネ定数は、前記キャップ部材の前記キャップ部が存在しない状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力を100%とした時に、前記キャップ部材の前記キャップ部が存在する状態での、前記垂下部材の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上である、という程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセルの出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセルによる重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0037】
当該態様においても、試料配置部を一対の垂下部材で支持するのではなく、試料配置部を一本の垂下部材で片持ち梁状に支持する態様も採用され得る。この場合、本発明の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から張り出した張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ前記貫通孔を貫通するように垂下された垂下部材と、前記内部空間内に配置され、前記垂下部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記貫通孔は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0038】
あるいは、一対の貫通孔の一方がシール部材によってシールされ、一対の貫通孔の他方がキャップ部材によってシールされる態様も、原理的に採用可能である。すなわち、本発明の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記天井壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ前記一対の貫通孔を貫通するように垂下された一対の垂下部材と、前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記一対の貫通孔の一方は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記外側領域が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっており、前記一対の貫通孔の他方は、対応する前記垂下部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記天井壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が上下方向に伸縮可能であることによって前記垂下部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0039】
以上の各発明は、環境試験機の天井壁に貫通孔を設けて、当該貫通孔を貫通するような垂下部材を環境試験機の内部に至らしめ、当該垂下部材によって試料配置部を支持するという構成を採用している。しかしながら、環境試験機の仕様や利用態様によっては、環境試験機の天井壁に貫通孔を設けることが困難な場合がある。
【0040】
本件発明者は、そのような場合、環境試験機の側壁に貫通孔を設けて、当該貫通孔を貫通するような垂下屈曲部材を環境試験機の内部に至らしめ、当該垂下屈曲部材によって試料配置部を支持するという構成を採用しても、シール部材あるいはキャップ部材の弾性変形のバネ定数が十分に小さければ、以上の各発明と類似の作用効果を得られることを知見した。
【0041】
すなわち、本発明の更に別の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ前記側壁の両外方にまで張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記一対の貫通孔を貫通する一対の垂下屈曲部材と、前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記外側領域が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0042】
当該態様においても、試料配置部を一対の垂下部材で支持するのではなく、試料配置部を一本の垂下部材で片持ち梁状に支持する態様も採用され得る。この場合、本発明の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から外側へ前記側壁の外方にまで張り出した張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の鉛直下方に対応する位置に貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記貫通孔を貫通する垂下屈曲部材と、前記内部空間内に配置され、前記垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記貫通孔は、前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記外側領域が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0043】
あるいは、本発明の更に別の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ前記側壁の両外方にまで張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記一対の貫通孔を貫通する一対の垂下屈曲部材と、前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記一対の貫通孔の各々は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され弾性変形可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0044】
当該態様においても、試料配置部を一対の垂下部材で支持するのではなく、試料配置部を一本の垂下部材で片持ち梁状に支持する態様も採用され得る。この場合、本発明の一態様は、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から外側へ前記側壁の外方にまで張り出した張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記張出領域の鉛直下方に対応する位置に貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記張出領域に接続されて、当該張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記貫通孔を貫通する垂下屈曲部材と、前記内部空間内に配置され、前記垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記貫通孔は、前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され弾性変形可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【0045】
あるいは、一対の貫通孔の一方がシール部材によってシールされ、一対の貫通孔の他方がキャップ部材によってシールされる態様も、原理的に採用可能である。すなわち、本発明の一態様は、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁と側壁と底壁とを有し、環境試験用の内部空間を気密に形成すると共に当該内部空間の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機と、前記環境試験機の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセルと、前記ロードセルの前記荷重作用面上に載置され、前記荷重作用面から対向する両外側へ前記側壁の両外方にまで張り出した一対の張出領域を有している接続梁部材と、を備え、前記環境試験機の前記側壁は、前記接続梁部材の前記一対の張出領域の鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔を有しており、前記接続梁部材の前記一対の張出領域に接続されて、当該一対の張出領域から下方へ垂下し更に屈曲して前記一対の貫通孔を貫通する一対の垂下屈曲部材と、前記内部空間内に配置され、前記一対の垂下屈曲部材によって支持された試料配置部と、を更に備え、前記一対の貫通孔の一方は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有する薄肉のシール部材によってシールされており、前記シール部材は、前記挿通穴を規定する内側領域と、外周縁を規定する外側領域と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記外側領域が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材が上下方向に弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっており、前記一対の貫通孔の他方は、対応する前記垂下屈曲部材が挿通される挿通穴を有するキャップ部材によってシールされており、前記キャップ部材は、前記挿通穴を規定する内側領域から外側へと外側領域まで延在するキャップ部と、当該キャップ部の外側領域に気密に接続され弾性変形可能な蛇腹構造を有している側壁筒と、を有しており、前記内側領域が前記垂下屈曲部材と気密に接続され、前記側壁筒の前記キャップ部に対して前記蛇腹構造を挟んで反対側の部分が前記側壁と気密に接続されることで、前記内部空間の気密を維持するようになっている一方、前記蛇腹構造が弾性変形可能であることによって前記垂下屈曲部材の上下方向の移動を許容するようになっていることを特徴とする環境試験装置である。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、環境試験機の内部空間の試験環境を気密に維持しながら、環境試験機の上方に配置されたロードセルにより、内部空間内に配置された試料の重量を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の第1実施形態に係る環境試験装置の概略斜視図である。
図2図1の環境試験装置のシール部材を示す概略斜視図である。
図3図1の環境試験装置のシール部材を示す概略断面図である。
図4図1の環境試験装置を用いた重量モニタリング試験の結果例を示すグラフである。
図5】本発明の第2実施形態に係る環境試験装置の概略斜視図である。
図6図5の環境試験装置のキャップ部材を示す概略斜視図である。
図7図5の環境試験装置のキャップ部材を示す概略断面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る環境試験装置の概略斜視図である。
図9】本発明の第4実施形態に係る環境試験装置の概略斜視図である。
図10】シール部材の変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0049】
(第1実施形態の構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る環境試験装置1の概略斜視図であり、図2は、図1の環境試験装置1のシール部材14を示す概略斜視図であり、図3は、図1の環境試験装置のシール部材を示す概略断面図である。
【0050】
図1乃至図3に示すように、本実施形態の環境試験装置1は、試料の環境試験を行う装置として構成されており、環境試験用の内部空間2を気密に形成すると共に当該内部空間2の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機4と、環境試験機4の上方に、上面側を荷重作用面とした位置姿勢で設けられたロードセル6と、ロードセル6の荷重作用面6a上に載置され、荷重作用面6aから対向する両外側へ張り出した一対の張出領域8aを有している接続梁部材8と、を備えている。
【0051】
環境試験機4は、内部空間2の温度及び/又は湿度を調節することによって、季節変動や環境変化を想定した各種保存試験、例えば一般的に想定される室温環境や敢えて過酷な環境で行う虐待試験・加速試験等、を行うことができる。例えば、環境試験機4は、日立アプライアンス社製のEC-45MHPである。
【0052】
本実施形態の環境試験機4は、直方体形状の箱型に形成され、すなわち、天井壁4aと側壁4bと底壁4cとを有しており、更に前面に開閉可能な扉5を有しており、扉5を開けた状態で内部空間2内に配置される試料配置部12を出し入れすることができる。
【0053】
本実施形態の環境試験機4の天井壁4aには、接続梁部材8の一対の張出領域8aの下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔4dが設けられている。本実施形態では、一対(2つ)の貫通孔4dは、ロードセル6の荷重作用面6aに関して左右対称な位置に配置されている。
【0054】
貫通孔4dの各々は、直径10~100mm(後述の環状固定部材26bを用いない場合には、直径30~100mm)の円筒形または略円筒形であることが好ましく、本実施形態では直径20mmの円筒形である。貫通孔4dの周面には、天井壁4a内の断熱材等が外部空間に露出することを防ぐためのパイプ部材24が接着または嵌合されている。すなわち、パイプ部材24も円筒形であり、貫通孔4dの全長に亘って(天井壁4aの外面から内面まで)延びている。パイプ部材24は、例えばポリカーボネート製である。
【0055】
ロードセル6は、荷重作用面6a上に載せられた物体の質量を電子的に測定できる電子天秤である。ロードセル6は、上面側を荷重作用面6aとした位置姿勢で設けられている。ロードセル6は、例えば、重量測定値をアナログ出力できるA&D社製の電子天秤GX-2002Aである。本実施形態では、この電子天秤GX-2002Aの出力端子GXA-06が、日置電機製のデータロガーであるワイヤレスロギングステーション LR8410に接続されている。これにより、ロードセル6(電子天秤GX-2002A)は、測定した質量値をデータロガーに出力可能である。なお、環境試験機4内に熱電対(乾球用及び湿球用)(図示せず)が設置され得て、これらもデータロガーに接続され得る。
【0056】
接続梁部材8は、薄板の棒状部材であり、例えば幅19mm、厚み6mm、長さ500mmである。接続梁部材8は、中央部分が荷重作用面6a上にその中心を通るように配置され、左右の両外側の部分が左右対称に張出領域8aとなっている。接続梁部材8は、荷重作用面6aに対して平行(水平)に配置されている。各張出領域8aは、対応する天井壁4aの貫通孔4dの真上に位置している。接続梁部材8は、例えばステンレス製である。
【0057】
環境試験装置1は、更に、接続梁部材8の一対の張出領域8aに接続されて当該一対の張出領域8aから下方へ一対の貫通孔4dを貫通するように垂下された一対の垂下部材10を備えている。
【0058】
垂下部材10は、略円柱棒状に形成され、外周面の全体がネジ切りされて「寸切」を形成している。垂下部材10は、例えば外径が5mmであり、長さが285mmである。垂下部材10は、その上部が接続梁部材8の張出領域8aに接続されて支持されており、その下端に、フック10aが設けられている。
【0059】
環境試験装置1は、更に、内部空間2内に配置され一対の垂下部材10によって支持された試料配置部12を備えている。本実施形態の試料配置部12は、一対の垂下部材10のフック10aに支持された一本の支持梁部材16と、支持梁部材16から一対の紐17によって吊り下げられたプレート体18と、を有している。プレート体18には、試料が直接的に配置されてもよいし、液体や粉体の試料が収容されたトレイが載置されてもよい。
【0060】
そして、本実施形態の環境試験装置1の特徴として、一対の貫通孔4dの各々は、対応する垂下部材10が挿通される挿通孔14aを有する薄肉のシール部材14によってシールされている。本実施形態のシール部材14は、貫通孔4dの上方側に配置されており、シリコンゴム硬度40°~50°のシリコン製で、厚みは1mmとなっており、上下方向に弾性変形可能となっている。
【0061】
本実施形態のシール部材14は、挿通孔14aを規定する内側領域14bと、外周縁を規定する外側領域14cと、を有している。挿通孔14aは、直径4~6mmの円形であることが好ましく、本実施形態では直径5mmの円形である。
【0062】
シール部材14は、その内側領域14bが垂下部材10と気密に接続され、その外側領域14cが天井壁4aと気密に接続されることで、内部空間2の気密を維持するようになっている。
【0063】
より具体的には、垂下部材10(寸切)がシール部材14の挿通孔14aを通された状態で、シール部材14の内側領域14bの上面側(外側)及び下面側(内側)の両方にナット22a、22b(上下端面の少なくとも一方が円環状端面であるタイプ)が締結されることで、垂下部材10とシール部材14の内側領域14bとが気密に接続されている。気密性能向上のため、ナット22a、22bの円環状端面とシール部材14の内側領域14bとの間の隙間がコーキングされている。更に、ナット22a、22bと垂下部材10との間の隙間がコーキングされていてもよい。
【0064】
一方、シール部材14の外側領域14cの上下には、当該外側領域14cを挟むように環状固定部材26a、26b(厚みはそれぞれ2mm及び10mm)が挿通孔14aと同心に配置されており、シール部材14の外側領域14cは、例えば4個のネジ28によって上下の環状固定部材26a、26bと共に天井壁4aの上面に気密に接続されている。気密性能向上のため、シール部材14の外側領域14cと環状固定部材26a、26bと天井壁4aとの間の隙間はコーキングされている。天井壁4aと環状固定部材26bとの間にスペーサが設けられてもよい。
【0065】
垂下部材10に接続されたシール部材14の内側領域14b(シール部材14の弾性変形が拘束されている内側領域)の外周縁は、直径6~12mmの円形であることが好ましく、本実施形態では直径9mmの円形となっている。一方、天井壁4aに接続されたシール部材14の外側領域14c(シール部材14の弾性変形が拘束されている外側領域)の内周縁は、直径30~100mmの円形であることが好ましく、本実施形態では直径50mmの円形となっている(環状固定部材26a、26bの内周縁となっている)。
【0066】
そして、本実施形態のシール部材14の上下方向の弾性変形のバネ定数は、シール部材14が存在しない(シール部材14の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在しない)状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、シール部材14が存在する(シール部材14の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在する)状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が94%(80%以上の一例)である、という程度に小さくされている。
【0067】
(第1実施形態の作用)
環境試験装置1の使用者は、扉5を開けて、環境試験機4の内部空間2内の試料配置部12のプレート体18上に、試験対象の試料を配置する。次に、使用者は、扉5を閉じて、環境試験装置1による環境試験を開始する。これに伴って、ロードセル6及びデータロガーを介しての試料の重量変化の測定も開始される。
【0068】
試料の重量変化に応じて、ロードセル6の荷重作用面6a、接続梁部材8及び垂下部材10は、環境試験機4の天井壁4aに対して、上下方向の位置変化を生じる。この時、シール部材14による弾性抵抗(垂下部材10の位置の変化が拘束される程度)が小さく抑制されているため、シール部材14を取り外さなくても、当該位置変化に基づくロードセル6による重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0069】
実際に、例えば1kgの重量の試料が試料配置部12に載置された時、ロードセル6の出力値は940gであった。これは、本実施形態のシール部材14の上下方向の弾性変形のバネ定数によって、シール部材14が存在しない状態でのロードセル6の出力を100%とした時に、シール部材14が存在する状態でのロードセルの出力が94%となる、ということを意味する。
【0070】
従って、ロードセル6の出力値を0.94で除算することによって、ロードセル6の出力値を本来の試料の重量測定値に換算することができる。
【0071】
粉末水飴パインデックス#3を試料とした場合の、重量モニタリング試験の結果例を、図4に示す。図4に示すように、本実施形態の環境試験装置1によれば、極めて高精度に重量変化の推移を測定することができる。
【0072】
(第1実施形態の効果)
以上のような本実施形態によれば、環境試験機4の上方にロードセル6を設け、当該ロードセル6の荷重作用面6a上に当該荷重作用面6aから対向する両外側へ張り出した一対の張出領域8aを有している接続梁部材8を設け、環境試験機4の天井壁4aにおいて接続梁部材8の一対の張出領域8aの下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔4dを設け、接続梁部材8の一対の張出領域8aに接続されて当該一対の張出領域8aから下方へ前記一対の貫通孔4dを貫通するように垂下された一対の垂下部材10を設け、環境試験機4の内部空間2内の試料配置部12を一対の垂下部材10によって支持させる、という構成が採用されている。これにより、環境試験に伴う環境試験機4内の温度及び/又は湿度の変化によってロードセル6による重量の測定精度が悪化するということがないし、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機4の内部空間2から試料を取り出すという必要もない。
【0073】
また、本実施形態によれば、一対の貫通孔4dの各々が薄肉のシール部材14によってシールされて、環境試験機4の内部空間2の気密が維持されている。これにより、環境試験のために整えられていた環境試験機4の内部空間2の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうということが顕著に抑制され得る。
【0074】
更に、本実施形態によれば、シール部材14が上下方向に弾性変形可能であることによって、当該シール部材14の内側領域14bに接続された垂下部材10が当該シール部材14の外側領域14cに接続された環境試験機4の天井壁4aに対して上下方向に移動できるようになっている。これにより、試料配置部12の重量(試料の重量)に依存するロードセル6の設置面(荷重作用面6aと対向する面)に対する接続梁部材8及び垂下部材10の位置の変化(ロードセル6の荷重作用面6aの位置の変化)が拘束される程度が抑制されているため、シール部材14を取り外さなくても、ロードセル6による重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0075】
特に、本実施形態によれば、シール部材14の内側領域14b(シール部材14の弾性変形が拘束されている内側領域)の外周縁は、直径9mmの円形となっており、シール部材14の外側領域14c(シール部材14の弾性変形が拘束されている外側領域)の内周縁は、直径50mmの円形となっている。これにより、シール部材14が等方的に変形することができ、ロードセル6による重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0076】
なお、本件発明者によれば、シール部材14の上下方向の弾性変形のバネ定数は、シール部材14が存在しない状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、シール部材14が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力が80%以上である、という程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセル6の出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセル6による重量測定をより高精度に実施することが期待できる。このようなバネ定数は、シリコンゴム硬度40°~50°のシリコン製のシール部材14の場合、厚み0.5mm~3mm程度であれば実現可能である。
【0077】
(第1実施形態の変形例1)
前述の第1実施形態においては、シール部材14は、貫通孔4dの上方側に取り付けられていたが、シール部材14は、これに代えて、または、これに加えて、上下対称の態様で貫通孔4dの下方側に取り付けられてもよい。
【0078】
シール部材14が貫通孔4dの上方側のみに設けられる場合、貫通孔4dの内面において露出する天井壁4aの内部構造が、環境試験機4の外部空間の雰囲気に触れることは確実に防止される一方、環境試験機4の内部空間2の雰囲気には触れる可能性がある(もっとも、基本的には、パイプ部材24によって保護される)。
【0079】
シール部材14が貫通孔4dの下方側のみに設けられる場合、貫通孔4dの内面において露出する天井壁4aの内部構造が、環境試験機4の内部空間2の雰囲気に触れることは確実に防止される一方、環境試験機4の外部空間の雰囲気には触れる可能性がある(もっとも、基本的には、パイプ部材24によって保護される)。
【0080】
シール部材14が貫通孔4dの上方側と下方側との両方に設けられる場合、貫通孔4dの内面において露出する天井壁4aの内部構造が、環境試験機4の内部空間2の雰囲気に対しても外部空間の雰囲気に対しても触れることが確実に防止される一方、ロードセル6による重量測定が2つのシール部材14による弾性抵抗を受けることになる(もっとも、本件発明者によれば、この態様であっても十分に高精度の重量測定を実現することができる。)
【0081】
(第1実施形態の変形例2)
前述の第1実施形態においては、貫通孔4dは一対が設けられ、これに対応するように垂下部材10も一対が設けられている。しかし、貫通孔4d及び垂下部材10を二対(4個)として、4個の垂下部材10の4個のフック10aによって試料配置部12が支持されてもよい。この場合、平行な2本の接続梁部材8がロードセル6の荷重作用面6a上にバランス良く載置されて各接続梁部材8の各端部である張出領域8aに各垂下部材10が接続されてもよいし、X字状やH字状等の接続梁部材がロードセル6の荷重作用面6a上にバランス良く載置されて各端部である張出領域8aに各垂下部材10が接続されてもよい。
【0082】
一方、多少測定精度は低下するものの、貫通孔4d及び垂下部材10を1個ずつとして、片持ち梁状に試料配置部12を支持することも可能である。この場合には、1個の垂下部材10の1個のフック10aによって、試料配置部12がバランス良く支持される必要がある(例えば支持梁部材16は用いられず、一対の紐17が直接的にフック10aに支持され得る)。
【0083】
片持ち梁状の(変形例2の)環境試験装置は、以下のように説明できる。すなわち、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁4aと側壁4bと底壁4cとを有し、環境試験用の内部空間2を気密に形成すると共に当該内部空間2の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機4と、環境試験機4の上方に上面側を荷重作用面6aとした位置姿勢で設けられたロードセル6と、ロードセル6の荷重作用面6a上に載置され荷重作用面6aから一側方に張り出した(1個の)張出領域8aを有している接続梁部材8と、を備えており、環境試験機4の天井壁4aは、接続梁部材8の張出領域8aの下方の位置に上下方向に貫通する(1個の)貫通孔4dを有している。そして、当該変形例2の環境試験装置は、接続梁部材8の(1個の)張出領域8aに接続されて当該張出領域8aから下方へ(1個の)貫通孔4dを貫通するように垂下された(1個の)垂下部材10と、内部空間2内に配置され(1個の)垂下部材10によって支持された試料配置部12と、を更に備え、(1個の)貫通孔4dは、(1個の)垂下部材10が挿通される挿通孔14aを有する薄肉のシール部材14によってシールされている。当該変形例2の環境試験装置においても、シール部材14は、挿通孔14aを規定する内側領域14bと、外周縁を規定する外側領域14cと、を有しており、内側領域14bが垂下部材10と気密に接続され、外側領域14cが天井壁4aと気密に接続されることで、内部空間2の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材14が上下方向に弾性変形可能であることによって垂下部材10の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0084】
(第2実施形態の構成)
図5は、本発明の第2実施形態に係る環境試験装置101の概略斜視図であり、図6は、図5の環境試験装置のキャップ部材を示す概略斜視図であり、図7は、図5の環境試験装置のキャップ部材を示す概略断面図である。
【0085】
図5乃至図7に示すように、本実施形態の環境試験装置101の特徴として、一対の貫通孔4dの各々が、第1実施形態におけるシール部材14ではなく、蛇腹構造114wを有するキャップ部材114によってシールされている。
【0086】
キャップ部材114も、対応する垂下部材10が挿通される挿通穴114aを有しており、貫通孔4dの上方側に配置されており、シリコンゴム硬度40°~50°の厚み1mmのシリコン製である。
【0087】
本実施形態のキャップ部材114は、挿通穴114aを規定する内側領域114bから外側へと外側縁(外側領域)114cまで延在するキャップ部114uと、当該キャップ部114uの外側縁(外側領域)114cに連続して(気密に接続され)上下方向に伸縮可能な蛇腹構造114wを有している側壁筒114vと、を有している。挿通穴114aは、直径4~6mmの円形であることが好ましく、本実施形態では直径5mmの円形である。
【0088】
キャップ部材114は、その内側領域114bが垂下部材10と気密に接続され、その側壁筒114vのキャップ部114uに対して蛇腹構造114wを挟んで反対側の鍔部114xが天井壁4aと気密に接続されることで、内部空間2の気密を維持するようになっている。
【0089】
より具体的には、垂下部材10(寸切)がキャップ部材114の挿通穴114aを通された状態で、キャップ部材114の内側領域114bの上面側(外側)及び下面側(内側)の両方に22a、22b(上下端面の少なくとも一方が円環状端面であるタイプ)が締結されることで、垂下部材10とキャップ部材114の内側領域114bとが気密に接続されている。気密性能向上のため、ナット22a、22bの円環状端面とキャップ部材114の内側領域114bとの間の隙間がコーキングされている。更に、ナット22a、22bと垂下部材10との間の隙間がコーキングされていてもよい。
【0090】
一方、側壁筒114vの鍔部114x上には、環状固定部材126が配置されており、側壁筒114vの鍔部114xは、例えば4個のネジ128によって環状固定部材126と共に天井壁4aの上面に気密に接続されている。気密性能向上のため、側壁筒114vの鍔部114xと天井壁4aとの間の隙間はコーキングされている。突起部を有する取付板を用いて、鍔部114xに当該突起部に対応するポンチ孔を設け、当該突起部とポンチ孔とによって鍔部114xを取付板に結合してから、当該取付板及び鍔部114x(または当該取付板のみ)を環状固定部材126と天井壁4aとで挟むように固定してもよい。
【0091】
垂下部材10に接続されたキャップ部材114の内側領域114b(キャップ部114uの弾性変形が拘束されている内側領域)の外周縁は、直径6~12mmの円形であることが好ましく、本実施形態では直径9mmの円形となっている。一方、側壁筒114vは、直径15~100mm、高さ20~60mmの略円筒形であることが好ましく、本実施形態では外径72mm、内径70mm、高さ57mmの略円筒形となっており、鍔部114xの底面から7mm~46mmの高さ領域において4段折りの蛇腹構造114w(谷径72mm、山径94mm)が設けられている。鍔部114xは、外径72mm、内径70mm、高さ3mmとなっている。
【0092】
そして、本実施形態のキャップ部材114の側壁筒114vの上下方向の伸縮変形のバネ定数は、キャップ部材114が存在しない(キャップ部材114の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在しない)状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114の側壁筒114vの蛇腹構造114wの弾性変形に伴う弾性抵抗が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が98%である、という程度に小さくされている。
【0093】
更に、本実施形態のキャップ部材114のキャップ部114uの上下方向の伸縮変形のバネ定数は、キャップ部材114が存在しない(キャップ部材114の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在しない)状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114がキャップ部114uの弾性変形に伴う弾性抵抗が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が98%である、という程度に小さくされている。
【0094】
すなわち、本実施形態のキャップ部材114全体の上下方向の伸縮変形のバネ定数は、キャップ部材114が存在しない(キャップ部材114の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在しない)状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114全体の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が98%×98%=96%である、という程度に小さくされている。
【0095】
本実施形態の環境試験装置101のその他の構成は、図1乃至図3を用いて説明した環境試験装置1と略同様である。図5乃至図7において、環境試験装置1と同様の部分については、同様の符号を付している。また、環境試験装置1と同様の部分については、詳しい説明を省略する。
【0096】
(第2実施形態の作用)
環境試験装置101の使用者は、扉5を開けて、環境試験機4の内部空間2内の試料配置部12のプレート体18上に、試験対象の試料を配置する。次に、使用者は、扉5を閉じて、環境試験装置101による環境試験を開始する。これに伴って、ロードセル6及びデータロガーを介しての試料の重量変化の測定も開始される。
【0097】
試料の重量変化に応じて、ロードセル6の荷重作用面6a、接続梁部材8及び垂下部材10は、環境試験機4の天井壁4aに対して、上下方向の位置変化を生じる。この時、キャップ部材114による弾性抵抗(垂下部材10の位置の変化が拘束される程度)が小さく抑制されているため、キャップ部材114を取り外さなくても、当該位置変化に基づくロードセル6による重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0098】
実際に、例えば1kgの重量の試料が試料配置部12に載置された時、ロードセル6の出力値は960gであった。これは、本実施形態のキャップ部材114全体の上下方向の弾性変形のバネ定数によって、キャップ部材114が存在しない状態でのロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114が存在する状態でのロードセルの出力が96%となる、ということを意味する。
【0099】
従って、ロードセル6の出力値を0.96で除算することによって、ロードセル6の出力値を本来の試料の重量測定値に換算することができる。
【0100】
(第2実施形態の効果)
以上のような本実施形態によっても、環境試験機4の上方にロードセル6を設け、当該ロードセル6の荷重作用面6a上に当該荷重作用面6aから対向する両外側へ張り出した一対の張出領域8aを有している接続梁部材8を設け、環境試験機4の天井壁4aにおいて接続梁部材8の一対の張出領域8aの下方の位置に上下方向に貫通する一対の貫通孔4dを設け、接続梁部材8の一対の張出領域8aに接続されて当該一対の張出領域8aから下方へ前記一対の貫通孔4dを貫通するように垂下された一対の垂下部材10を設け、環境試験機4の内部空間2内の試料配置部12を一対の垂下部材10によって支持させる、という構成が採用されている。これにより、環境試験に伴う環境試験機4内の温度及び/又は湿度の変化によってロードセル6による重量の測定精度が悪化するということがないし、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機4の内部空間2から試料を取り出すという必要もない。
【0101】
また、本実施形態によれば、一対の貫通孔4dの各々が薄肉のキャップ部材114によってシールされて、環境試験機4の内部空間2の気密が維持されている。これにより、環境試験のために整えられていた環境試験機4の内部空間2の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうということが顕著に抑制され得る。
【0102】
更に、本実施形態によれば、キャップ部材114が上下方向に弾性変形可能であることによって、当該キャップ部材114の内側領域114bに接続された垂下部材10が当該キャップ部材114の鍔部114xに接続された環境試験機4の天井壁4aに対して上下方向に移動できるようになっている。これにより、試料配置部12の重量(試料の重量)に依存するロードセル6の設置面(荷重作用面6aと対向する面)に対する接続梁部材8及び垂下部材10の位置の変化(ロードセル6の荷重作用面6aの位置の変化)が拘束される程度が抑制されているため、キャップ部材114を取り外さなくても、ロードセル6による重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0103】
特に、本実施形態によれば、キャップ部材114の内側領域114b(キャップ部材114のキャップ部114uの弾性変形が拘束されている内側領域)の外周縁は、直径9mmの円形となっており、キャップ部114uの外側縁(外側領域)114cに連続する側壁筒114vは、外径72mm、内径70mmの円筒形となっており、側壁筒114vの中腹にある蛇腹構造114wも、谷径72mm、山径94mmの円筒タイプとなっている。これにより、キャップ部材114のキャップ部114u及び蛇腹構造114wが等方的に変形することができ、ロードセル6による重量測定をより高精度に実施することが期待できる。
【0104】
なお、本件発明者によれば、キャップ部材114の上下方向の弾性変形のバネ定数は、キャップ部材114が存在しない(キャップ部材114の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在しない)状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114全体の弾性変形に伴う弾性抵抗が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴う前記ロードセルの出力が80%以上である、という程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセル6の出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセル6による重量測定をより高精度に実施することが期待できる。このようなバネ定数は、シリコンゴム硬度40°~50°のシリコン製のキャップ部材114の場合、厚み0.5mm~3mm程度であれば実現可能である(キャップ部114uは1~6mmでよい)。
【0105】
(第2実施形態の変形例1)
前述の第2実施形態においては、キャップ部材114は、貫通孔4dの上方側に取り付けられていたが、キャップ部材114は、これに代えて、または、これに加えて、上下対称の態様で貫通孔4dの下方側に取り付けられてもよい。
【0106】
キャップ部材114が貫通孔4dの上方側のみに設けられる場合、貫通孔4dの内面において露出する天井壁4aの内部構造が、環境試験機4の外部空間の雰囲気に触れることは確実に防止される一方、環境試験機4の内部空間2の雰囲気には触れる可能性がある(もっとも、基本的には、パイプ部材24によって保護される)。
【0107】
キャップ部材114が貫通孔4dの下方側のみに設けられる場合、貫通孔4dの内面において露出する天井壁4aの内部構造が、環境試験機4の内部空間2の雰囲気に触れることは確実に防止される一方、環境試験機4の外部空間の雰囲気には触れる可能性がある(もっとも、基本的には、パイプ部材24によって保護される)。
【0108】
キャップ部材114が貫通孔4dの上方側と下方側との両方に設けられる場合、貫通孔4dの内面において露出する天井壁4aの内部構造が、環境試験機4の内部空間2の雰囲気に対しても外部空間の雰囲気に対しても触れることが確実に防止される一方、ロードセル6による重量測定が2つのキャップ部材114による弾性抵抗を受けることになる(もっとも、本件発明者によれば、この態様であっても十分に高精度の重量測定を実現することができる。)
【0109】
(第2実施形態の変形例2)
前述の第2実施形態においては、貫通孔4dは一対が設けられ、これに対応するように垂下部材10も一対が設けられている。しかし、貫通孔4d及び垂下部材10を二対(4個)として、4個の垂下部材10の4個のフック10aによって試料配置部12が支持されてもよい。この場合、平行な2本の接続梁部材8がロードセル6の荷重作用面6a上にバランス良く載置されて各接続梁部材8の各端部である張出領域8aに各垂下部材10が接続されてもよいし、X字状やH字状等の接続梁部材がロードセル6の荷重作用面6a上にバランス良く載置されて各端部である張出領域8aに各垂下部材10が接続されてもよい。
【0110】
一方、多少測定精度は低下するものの、貫通孔4d及び垂下部材10を1個ずつとして、片持ち梁状に試料配置部12を支持することも可能である。この場合には、1個の垂下部材10の1個のフック10aによって、試料配置部12がバランス良く支持される必要がある(例えば支持梁部材16は用いられず、一対の紐17が直接的にフック10aに支持され得る)。
【0111】
片持ち梁状の(変形例2の)環境試験装置は、以下のように説明できる。すなわち、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁4aと側壁4bと底壁4cとを有し、環境試験用の内部空間2を気密に形成すると共に当該内部空間2の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機4と、環境試験機4の上方に上面側を荷重作用面6aとした位置姿勢で設けられたロードセル6と、ロードセル6の荷重作用面6a上に載置され荷重作用面6aから一側方に張り出した(1個の)張出領域8aを有している接続梁部材8と、を備えており、環境試験機4の天井壁4aは、接続梁部材8の張出領域8aの下方の位置に上下方向に貫通する(1個の)貫通孔4dを有している。そして、当該変形例2の環境試験装置は、接続梁部材8の(1個の)張出領域8aに接続されて当該張出領域8aから下方へ(1個の)貫通孔4dを貫通するように垂下された(1個の)垂下部材10と、内部空間2内に配置され(1個の)垂下部材10によって支持された試料配置部12と、を更に備え、(1個の)貫通孔4dは、(1個の)垂下部材10が挿通される挿通孔14aを有するキャップ部材114によってシールされている。
【0112】
当該変形例2の環境試験装置においても、キャップ部材114は、挿通穴114aを規定する内側領域114bから外側へと外側領域114cまで延在するキャップ部114uと、当該キャップ部114uの外側領域114cに気密に接続され上下方向に伸縮可能な蛇腹構造114wを有している側壁筒114vと、を有しており、内側領域114bが垂下部材10と気密に接続され、側壁筒114vのキャップ部114uに対して蛇腹構造114wを挟んで反対側の鍔部114xが天井壁4aと気密に接続されることで、内部空間2の気密を維持するようになっている一方、蛇腹構造114wが上下方向に伸縮可能であることによって、及び、キャップ部114uが上下方向に弾性変形可能であることによって、垂下部材10の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0113】
(補助試験機を用いた変形例)
以上の各実施形態及び各変形例は、全て、環境試験機4の天井壁4aに貫通孔4dを設けて、当該貫通孔4dを貫通するような垂下部材10を環境試験機4の内部に至らしめ、当該垂下部材10によって試料配置部12を支持するという構成を採用している。しかしながら、環境試験機4の仕様や利用態様によっては、環境試験機4の天井壁4aに貫通孔4dを設けることが困難な場合がある。
【0114】
そのような場合、環境試験機4の側壁4bに連通孔を設け、当該側壁4bの外側に隣接するように連通孔を覆う(連通孔に連通する内部空間を区画する)補助試験機(補助試験室)を気密に形成した上で、当該補助試験機を環境試験機の一部とみなして、当該補助試験機の天井壁を環境試験機の天井壁として理解すれば、各実施形態及び各変形例を同様に有効に実施することができる。
【0115】
(第3実施形態及び第4実施形態の構成)
あるいは、そのような場合、環境試験機4の側壁4bに貫通孔204dを設けて、当該貫通孔204dを貫通するような垂下屈曲部材210を環境試験機4の内部に至らしめ、当該垂下屈曲部材210によって試料配置部12を支持するという構成を採用しても、シール部材14あるいはキャップ部材114の弾性変形のバネ定数が十分に小さければ、以上の各実施形態及び各変形例と類似の作用効果を得られる。
【0116】
そのような構成を採用する第3実施形態及び第4実施形態の環境試験装置201、201’では、図8及び図9に示すように、第1実施形態及び第2実施形態の接続梁部材8の代わりに、ロードセル6の荷重作用面6a上に載置され荷重作用面6aから対向する両外側へ側壁4bの両外方にまで張り出した一対の張出領域208aを有している接続梁部材208が設けられている。
【0117】
また、第1実施形態及び第2実施形態の一対の貫通孔4dの代わりに、環境試験機4の側壁4bに、接続梁部材208の一対の張出領域208aの鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔204dが穿孔されている。貫通孔4dの周面と同様に、貫通孔204dの周面には、側壁4b内の断熱材等が外部空間に露出することを防ぐためのパイプ部材24が接着または嵌合されている。
【0118】
そして、第1実施形態及び第2実施形態の一対の垂下部材10の代わりに、接続梁部材208の一対の張出領域208aに接続されて当該一対の張出領域208aから下方へ垂下し更に屈曲して一対の貫通孔204dを貫通する一対の垂下屈曲部材210が設けられている。一対の垂下屈曲部材210は、1本の支持梁部材16に左右両側から接続されている。各垂下屈曲部材210は、途中で折れ曲がる一部品として形成されて屈曲部(水平部)がネジ切りされて「寸切」となっていてもよいし、別体に形成された垂下部と「寸切」状の屈曲部(水平部)とを接続して形成してもよい。
【0119】
図8に示す第3実施形態では、一対の貫通孔204dの各々は、第1実施形態における貫通孔4dの各々と略同様に、挿通孔14aを有する薄肉のシール部材14によってシールされている。挿通孔14aには、対応する垂下屈曲部材210が挿通されている。
【0120】
第3実施形態のシール部材14も、第1実施形態のシール部材14と同様に、挿通孔14aを規定する内側領域14bと、外周縁を規定する外側領域14cと、を有しているが、内側領域14bは垂下屈曲部材210と気密に接続され、外側領域14cは側壁4bと気密に接続されて、内部空間2の気密を維持するようになっている。一方、当該シール部材14は、上下方向に弾性変形可能であることによって、垂下屈曲部材210の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0121】
すなわち、シール部材14の弾性変形の方向が、第1実施形態ではシール部材14の延在面に垂直な方向であったのに対して、第3実施形態ではシール部材14の延在面の方向となっている。
【0122】
第3実施形態の環境試験装置201のその他の構成は、図1乃至図3を用いて説明した環境試験装置1と略同様である。図8において、環境試験装置1と同様の部分については、同様の符号を付している。また、環境試験装置1と同様の部分については、詳しい説明を省略する。
【0123】
図9に示す第4実施形態では、一対の貫通孔204dの各々は、第2実施形態における貫通孔4dの各々と略同様に、挿通穴114aを有するキャップ部材114によってシールされている。挿通穴114aには、対応する垂下屈曲部材210が挿通されている。
【0124】
第4実施形態のキャップ部材114も、第2実施形態のキャップ部材114と同様に、挿通穴114aを規定する内側領域114bから外側へと外側縁(外側領域)114cまで延在するキャップ部114uと、当該キャップ部114uの外側縁(外側領域)114cに連続して(気密に接続され)上下方向に伸縮可能な蛇腹構造114wを有する側壁筒114vと、を有している。一方、キャップ部材114の内側領域114bは、垂下屈曲部材210と気密に接続され、キャップ部材114の側壁筒114vのキャップ部114uに対して蛇腹構造114wを挟んで反対側の鍔部114xは、側壁4bと気密に接続されて、内部空間2の気密を維持するようになっている。そして、キャップ部材114は、上下方向に弾性変形可能であることによって、垂下屈曲部材210の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0125】
すなわち、キャップ部材114の弾性変形の方向が、第2実施形態では側壁筒114vの軸線方向であったのに対して、第3実施形態では側壁筒114vの軸線方向に対して垂直な方向となっている。
【0126】
第4実施形態の環境試験装置201’のその他の構成は、図5乃至図7を用いて説明した環境試験装置101と略同様である。図9において、環境試験装置101と同様の部分については、同様の符号を付している。また、環境試験装置101と同様の部分については、詳しい説明を省略する。
【0127】
(第3実施形態及び第4実施形態の作用)
環境試験装置201、201’の使用者は、扉5を開けて、環境試験機4の内部空間2内の試料配置部12のプレート体18上に、試験対象の試料を配置する。次に、使用者は、扉5を閉じて、環境試験装置201、201’による環境試験を開始する。これに伴って、ロードセル6及びデータロガーを介しての試料の重量変化の測定も開始される。
【0128】
試料の重量変化に応じて、ロードセル6の荷重作用面6a、接続梁部材208及び垂下屈曲部材210は、環境試験機4の側壁4bに対して、上下方向の位置変化を生じる。この時、シール部材14またはキャップ部材114による弾性抵抗(垂下屈曲部材210の位置の変化が拘束される程度)が小さく抑制されているため、シール部材14またはキャップ部材114を取り外さなくても、当該位置変化に基づくロードセル6による重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0129】
実際に、第3実施形態の環境試験装置201では、例えば1kgの重量の試料が試料配置部12に載置された時、ロードセル6の出力値は890gであった。これは、本実施形態のシール部材14の上下方向の弾性変形のバネ定数によって、シール部材14が存在しない状態でのロードセル6の出力を100%とした時に、シール部材14が存在する状態でのロードセルの出力が89%となる、ということを意味する。従って、ロードセル6の出力値を0.89で除算することによって、ロードセル6の出力値を本来の試料の重量測定値に換算することができる。
【0130】
同様に、第4実施形態の環境試験装置201’では、例えば1kgの重量の試料が試料配置部12に載置された時、ロードセル6の出力値は920gであった。これは、本実施形態のキャップ部材114の上下方向の弾性変形のバネ定数によって、キャップ部材114が存在しない状態でのロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114が存在する状態でのロードセルの出力が92%となる、ということを意味する。従って、ロードセル6の出力値を0.92で除算することによって、ロードセル6の出力値を本来の試料の重量測定値に換算することができる。
【0131】
(第3実施形態の効果)
以上のような第3実施形態及び第4実施形態によれば、環境試験機4の上方にロードセル6を設け、当該ロードセル6の荷重作用面6a上に当該荷重作用面6aから対向する両外側へ側壁4bの両外方にまで張り出した一対の張出領域208aを有している接続梁部材208を設け、環境試験機4の側壁4bにおいて接続梁部材208の一対の張出領域208aの鉛直下方に対応する位置に一対の貫通孔204dを設け、接続梁部材208の一対の張出領域208aに接続されて当該一対の張出領域208aから下方へ垂下し更に屈曲して一対の貫通孔204dを貫通する一対の垂下屈曲部材210を設け、環境試験機4の内部空間2内の試料配置部12を一対の垂下屈曲部材210によって支持させる、という構成が採用されている。これにより、環境試験に伴う環境試験機4内の温度及び/又は湿度の変化によってロードセル6による重量の測定精度が悪化するということがないし、環境試験の最中の必要なタイミングで(例えば定期的に)環境試験機4の内部空間2から試料を取り出すという必要もない。
【0132】
また、第3実施形態及び第4実施形態によれば、一対の貫通孔204dの各々が薄肉のシール部材14またはキャップ部材114によってシールされて、環境試験機4の内部空間2の気密が維持されている。これにより、環境試験のために整えられていた環境試験機4の内部空間2の環境が外気の状態によって影響されてしまって、環境試験自体の精度が悪くなってしまうということが顕著に抑制され得る。
【0133】
更に、第3実施形態及び第4実施形態によれば、シール部材14またはキャップ部材114が上下方向に弾性変形可能であることによって、当該シール部材14またはキャップ部材114の内側領域14b、114bに接続された垂下屈曲部材210が当該シール部材14の外側領域14cまたはキャップ部材114の鍔部114xに接続された環境試験機4の側壁4bに対して上下方向に移動できるようになっている。これにより、試料配置部12の重量(試料の重量)に依存するロードセル6の設置面(荷重作用面6aと対向する面)に対する接続梁部材8及び垂下屈曲部材210の位置の変化(ロードセル6の荷重作用面6aの位置の変化)が拘束される程度が抑制されているため、シール部材14またはキャップ部材114を取り外さなくても、ロードセル6による重量測定を十分高精度に実施することができる。
【0134】
なお、本件発明者によれば、シール部材14の上下方向の弾性変形のバネ定数は、シール部材14が存在しない状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、シール部材14が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力が80%以上(例えば89%)である、という程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセル6の出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセル6による重量測定をより高精度に実施することが期待できる。このようなバネ定数は、シリコンゴム硬度40°~50°のシリコン製のシール部材14の場合、厚み0.5mm~1.5mm程度であれば実現可能である。
【0135】
略同様に、本件発明者によれば、キャップ部材114の上下方向の弾性変形のバネ定数は、キャップ部材114が存在しない状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力を100%とした時に、キャップ部材114が存在する状態での、垂下部材10の上下方向の変位に伴うロードセル6の出力が80%以上(例えば92%)である、という程度に小さいことが好ましい。このような範囲であれば、ロードセル6の出力を較正する(補償する)ことが容易で、ロードセル6による重量測定をより高精度に実施することが期待できる。このようなバネ定数は、シリコンゴム硬度40°~50°のシリコン製のキャップ部材114の場合、厚み0.5mm~1.5mm程度であれば実現可能である(キャップ部114uは1~6mmでよい)。
【0136】
(第3実施形態及び第4実施形態の変形例1)
前述の第3実施形態及び第4実施形態においては、シール部材14またはキャップ部材114は、貫通孔204dの外方側に取り付けられていたが、シール部材14またはキャップ部材114は、これに代えて、または、これに加えて、左右対称の態様で貫通孔204dの内方側に取り付けられてもよい。
【0137】
シール部材14またはキャップ部材114が貫通孔204dの外方側のみに設けられる場合、貫通孔204dの内面において露出する側壁4bの内部構造が、環境試験機4の外部空間の雰囲気に触れることは確実に防止される一方、環境試験機4の内部空間2の雰囲気には触れる可能性がある(もっとも、基本的には、パイプ部材24によって保護される)。
【0138】
シール部材14またはキャップ部材114が貫通孔204dの内方側のみに設けられる場合、貫通孔204dの内面において露出する側壁4bの内部構造が、環境試験機4の内部空間2の雰囲気に触れることは確実に防止される一方、環境試験機4の外部空間の雰囲気には触れる可能性がある(もっとも、基本的には、パイプ部材24によって保護される)。
【0139】
シール部材14またはキャップ部材114が貫通孔204dの外方側と内方側との両方に設けられる場合、貫通孔204dの内面において露出する側壁4bの内部構造が、環境試験機4の内部空間2の雰囲気に対しても外部空間の雰囲気に対しても触れることが確実に防止される一方、ロードセル6による重量測定が2つのシール部材14またはキャップ部材114による弾性抵抗を受けることになる(もっとも、本件発明者によれば、この態様であっても十分に高精度の重量測定を実現することができる。)
【0140】
(第3実施形態及び第4実施形態の変形例2)
前述の第3実施形態及び第4実施形態においては、貫通孔204dは一対が設けられ、これに対応するように垂下屈曲部材210も一対が設けられている。しかし、貫通孔204d及び垂下屈曲部材210を二対(4個)として、4個の垂下屈曲部材210によって試料配置部12が支持されてもよい。この場合、平行な2本の接続梁部材8がロードセル6の荷重作用面6a上にバランス良く載置されて各接続梁部材8の各端部である張出領域8aに各垂下屈曲部材210が接続されてもよいし、X字状やH字状等の接続梁部材がロードセル6の荷重作用面6a上にバランス良く載置されて各端部である張出領域8aに各垂下屈曲部材210が接続されてもよい。
【0141】
一方、多少測定精度は低下するものの、貫通孔204d及び垂下屈曲部材210を1個ずつとして、片持ち梁状に試料配置部12を支持することも可能である。
【0142】
第3実施形態の片持ち梁状の(変形例2の)環境試験装置は、以下のように説明できる。すなわち、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁4aと側壁4bと底壁4cとを有し、環境試験用の内部空間2を気密に形成すると共に当該内部空間2の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機4と、環境試験機4の上方に上面側を荷重作用面6aとした位置姿勢で設けられたロードセル6と、ロードセル6の荷重作用面6a上に載置され荷重作用面6aから外側へ側壁4bの外方にまで張り出した(1個の)張出領域8aを有している接続梁部材8と、を備えており、環境試験機4の側壁4bは、接続梁部材8の張出領域8aの鉛直下方に対応する位置に(1個の)貫通孔204dを有している。そして、当該変形例2の環境試験装置は、接続梁部材8の(1個の)張出領域8aに接続されて当該張出領域8aから下方へ垂下し更に屈曲して(1個の)貫通孔204dを貫通する(1個の)垂下屈曲部材210と、内部空間2内に配置され(1個の)垂下屈曲部材210によって支持された試料配置部12と、を更に備え、(1個の)貫通孔204dは、(1個の)垂下屈曲部材210が挿通される挿通孔14aを有する薄肉のシール部材14によってシールされている。当該変形例2の環境試験装置においても、シール部材14は、挿通孔14aを規定する内側領域14bと、外周縁を規定する外側領域14cと、を有しており、内側領域14bは垂下屈曲部材210と気密に接続され、外側領域14cは側壁4bと気密に接続されて、内部空間2の気密を維持するようになっている一方、当該シール部材14が上下方向に弾性変形可能であることによって、垂下屈曲部材210の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0143】
第4実施形態の片持ち梁状の(変形例2の)環境試験装置は、以下のように説明できる。すなわち、試料の環境試験を行う環境試験装置であって、天井壁4aと側壁4bと底壁4cとを有し、環境試験用の内部空間2を気密に形成すると共に当該内部空間2の温度及び/又は湿度を調整できる環境試験機4と、環境試験機4の上方に上面側を荷重作用面6aとした位置姿勢で設けられたロードセル6と、ロードセル6の荷重作用面6a上に載置され荷重作用面6aから外側へ側壁4bの外方にまで張り出した(1個の)張出領域8aを有している接続梁部材8と、を備えており、環境試験機4の側壁4bは、接続梁部材8の張出領域8aの鉛直下方に対応する位置に(1個の)貫通孔204dを有している。そして、当該変形例2の環境試験装置は、接続梁部材8の(1個の)張出領域8aに接続されて当該張出領域8aから下方へ垂下し更に屈曲して(1個の)貫通孔204dを貫通する(1個の)垂下屈曲部材210と、内部空間2内に配置され(1個の)垂下屈曲部材210によって支持された試料配置部12と、を更に備え、(1個の)貫通孔204dは、(1個の)垂下屈曲部材210が挿通される挿通穴114aを有するキャップ部材114によってシールされている。当該変形例2の環境試験装置においても、キャップ部材114は、挿通穴114aを規定する内側領域114bから外側へと外側縁(外側領域)114cまで延在するキャップ部114uと、当該キャップ部114uの外側縁(外側領域)114cに連続して(気密に接続され)上下方向に伸縮可能な蛇腹構造114wを有する側壁筒114vと、を有しており、キャップ部材114の内側領域114bは、垂下屈曲部材210と気密に接続され、キャップ部材114の側壁筒114vのキャップ部114uに対して蛇腹構造114wを挟んで反対側の鍔部114xは、側壁4bと気密に接続されて、内部空間2の気密を維持するようになっている一方、キャップ部材114が上下方向に弾性変形可能であることによって、垂下屈曲部材210の上下方向の移動を許容するようになっている。
【0144】
(第3実施形態の変形例3)
第3実施形態で用いるシール部材14は、上下方向の弾性変形のしやすさを更に向上させるべく、図10に示すように、径方向断面が略三角形状である円周状隆起パターン14g、14hを同心状に(図10の例では2重に)有する形態のシール部材14’に置換されてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 環境試験装置
2 内部空間
4 環境試験機
4a 天井壁
4b 側壁
4c 底壁
4d 貫通孔
5 扉
6 ロードセル
6a 荷重作用面
8 接続梁部材
8a 張出領域
10 垂下部材
10a フック
12 試料配置部
14 シール部材
14a 挿通孔
14b 内側領域
14c 外側領域
14’ シール部材
14g 円周状隆起パターン
14h 円周状隆起パターン
16 支持梁部材
17 紐
18 プレート体
22a ナット
22b ナット
24 パイプ部材
26a 環状固定部材
26b 環状固定部材
28 ネジ
101 環境試験装置
114 キャップ部材
114a 挿通穴
114b 内側領域
114c 外側領域
114u キャップ部
114v 側壁筒
114w 蛇腹構造
114x 鍔部
126 環状固定部材
128 ネジ
201 環境試験装置
201’ 環境試験装置
204d 貫通孔
208 接続梁部材
208a 張出領域
210 垂下屈曲部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10