(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145259
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】パターンの形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/32 20060101AFI20231003BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20231003BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20231003BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20231003BHJP
【FI】
G03F7/32 501
G03F7/004 512
G03F7/027 511
H05K3/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052631
(22)【出願日】2022-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】591021305
【氏名又は名称】太陽ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 文崇
(72)【発明者】
【氏名】志村 優之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大地
【テーマコード(参考)】
2H196
2H225
5E314
【Fターム(参考)】
2H196AA26
2H196BA05
2H196GA08
2H196GA18
2H225AC31
2H225AC54
2H225AC55
2H225AC63
2H225AC64
2H225AC72
2H225AD02
2H225AD07
2H225AE14P
2H225AE15P
2H225AN36P
2H225AN65P
2H225AN82P
2H225AN94P
2H225AN95P
2H225AP09P
2H225AP11P
2H225BA16P
2H225BA20P
2H225BA22P
2H225CA13
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
5E314AA31
5E314AA32
5E314BB02
5E314BB10
5E314CC02
5E314CC07
5E314DD06
5E314FF05
5E314GG24
(57)【要約】
【課題】工業的に精製した純水を用いた水洗浄を行いつつ、高い解像性(硬化物の開口部の断面形状において開口底部のアンダーカット抑制)と高い絶縁信頼性とを達成するパターンの形成方法を提供する。
【解決手段】ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層の所定部分を活性光線により硬化後、前記感光層の、硬化した前記所定部分以外の領域を除去したうえで、水洗水を用いて洗浄するパターンの形成方法であって、前記水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm以下であるパターンの形成方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(A)と、
エポキシ樹脂(B)と、
エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)と、
光重合開始剤(D)と、
を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層の所定部分を活性光線により硬化後、前記感光層の、硬化した前記所定部分以外の領域を除去したうえで、水洗水を用いて洗浄するパターンの形成方法であって、前記水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm未満であることを特徴とするパターンの形成方法。
【請求項2】
前記水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が10ppm未満 であることを特徴とする請求項1に記載のパターンの形成方法。
【請求項3】
前記水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が1ppm未満 であることを特徴とする請求項1に記載のパターンの形成方法。
【請求項4】
前記水洗水の導電率が20μs/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のパターンの形成方法。
【請求項5】
前記水洗水の導電率が2μs/cm以下であることを特徴とする請求項1に記載のパターンの形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンの形成方法、特には、ソルダーレジスト用ドライフィルムパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に感光性樹脂組成物を用いたパターン形成のために感光層の所定部分を活性光線により硬化後、上記硬化部分以外の前記感光層領域を除去し、除去のために使用した薬液や表面の付着物などを除去するために水洗浄が行われる。
【0003】
引用文献1および2には、この水洗浄工程の際に、B-HASTなどの絶縁信頼性向上のために、水洗水に二価もしくは三価の金属イオンを含有させるパターンの形成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6658801号公報
【特許文献2】特許第4706188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、水洗水に二価もしくは三価の金属イオンを積極的に含有させる手法を用いた場合、特定のカルボキシル基含有感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物から得られる硬化物パターンに作用しパターンの開口形状を崩してしまうことがある。また、当該硬化物内のカルボキシル基に二価もしくは三価の金属イオンが結合することで以降の工程で行う熱硬化が進みにくくなり最終硬化塗膜の信頼性が十分に得られない懸念がある。さらにまた、水洗水として、二価もしくは三価の金属イオンを含有した水溶液を選択する際に一般的には地域に供給された工業用水や水道水、井水などが候補に挙がるがこれらは地域ごとに水質に差があり硬化物パターンを形成する地域ごとに硬化物パターンの開口形状や硬化塗膜の機械的物性にばらつきが生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、特定のカルボキシル基含有感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いたパターンの形成方法の水洗工程において、水洗水の二価もしくは三価の金属イオンの量を所定の量以下とすることで、高い解像性(硬化物の開口部の断面形状において開口底部のアンダーカット抑制)と高い絶縁信頼性とを達成するパターンの形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意検討した。その結果、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物と、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm未満である水洗水を用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のパターンの形成方法は、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物からなる感光層の所定部分を活性光線により硬化後、前記感光層の、硬化した前記所定部分以外の領域を除去したうえで、水洗水を用いて洗浄するパターンの形成方法であって、前記水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm未満であることを特徴とする。なお、本発明において、金属イオン含有量の単位(ppm)は、試料1リットル中に含まれる金属イオンのmg数を表す単位である。
【0009】
本発明のパターンの形成方法は、前記水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が10ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。また、前記水洗水の導電率が20μs/cm未満であることが好ましく、2μs/cm未満であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定のカルボキシル基感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いたパターンの形成方法の水洗工程において、水洗水の二価もしくは三価の金属イオンの量を所定の量以下とすることで、高い解像性(硬化物の開口部の断面形状において開口底部のアンダーカット抑制)と高い絶縁信頼性とを達成するパターンの形成方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
本発明のパターンの形成方法は、プリント配線板に対して、アルカリ現像型ソルダーレジストを用いて金メッキなどを施す際に好適に用いられる。
【0013】
本発明のパターンの形成方法は、導体パターンの形成された基板表面に、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られたカルボキシル基含有感光性樹脂を含有するアルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成し、このアルカリ現像型ソルダーレジスト層を、所定の開口パターンで露光し、希アルカリ水溶液により現像し、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm以下である水洗水を用いて水洗した後、熱硬化させることにより、アルカリ現像型ソルダーレジスト層の所定位置に開口部を形成することを特徴としている。
【0014】
即ち、本実施態様のパターンの形成方法は、以下のような工程を有している。
【0015】
1.導体パターンが形成された基板表面に、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成する工程
2.露光工程
3.希アルカリ水溶液による現像工程
4.二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm以下である水洗水を用いた水洗工程
5.(必要に応じて)水洗水をリンスする工程
6.基板を乾燥する工程
(3~6の工程を一括して、現像工程と呼ぶことが一般的である)
7.熱硬化工程
そして、これらの工程を経て、導体パターンの形成された基板表面に、所定位置に開口部が形成されたアルカリ現像型ソルダーレジスト層を備えたプリント配線板が形成される。
【0016】
先ず、導体パターンが形成された基板表面に、後述するアルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成する。この工程における、導体パターンの形成された基板とは、例えば紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不繊布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素・ポリエチレン・PPO・シアネートエステルなどを用いた高周波回路用銅張積層板などで、全てのグレード(FR-4など)の銅張積層板、その他ポリイミドフィルム、PETフィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板などに導電パターンを形成した基板を挙げることができる。
【0017】
このような基板表面に、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成する工程において、液状のアルカリ現像型ソルダーレジストを使用する方法と、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を有するドライフィルムを使用する方法がある。
【0018】
液状のアルカリ現像型ソルダーレジストを使用する場合、後述の希釈溶剤で塗布方法に適した粘度に調整し、導体パターンの形成された基板上に、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法などの方法により全面塗布する。そして、約60~100℃の温度でアルカリ現像型ソルダーレジスト中に含まれる希釈溶剤を揮発乾燥(仮乾燥)させる。このようにして、タックフリーのアルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成することができる。
【0019】
また、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を有するドライフィルムとは、キャリアフィルムとアルカリ現像型ソルダーレジストをキャリアフィルム(またはカバーフィルム)に塗布・乾燥して得られたソルダーレジスト層と、ソルダーレジスト層上に剥離可能なカバーフィルムを有するものである。
【0020】
キャリアフィルムとしては、10~150μmの厚みのPETなどのポリエステルフィルム、ポリイミドフィルムなどが用いられる。
【0021】
アルカリ現像型ソルダーレジスト層は、アルカリ現像型ソルダーレジストを、希釈溶剤で、キャリアフィルムまたはカバーフィルムに塗布可能な粘度に下げた後、ブレードコーター、リップコーター、コンマコーター、フィルムコーターなどを用いて、キャリアフィルム(またはカバーフィルム)に例えば10~150μmの厚さで均一に塗布し乾燥して形成される。
【0022】
カバーフィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどを使用することができるが、アルカリ現像型ソルダーレジスト層との接着力が、キャリアフィルムよりも小さいものが良い。
【0023】
このようなアルカリ現像型ソルダーレジストのドライフィルムを使用する場合、カバーフィルムを剥がし、導体パターンの形成された基板にキャリアフィルム上のアルカリ現像型ソルダーレジスト層を重ねる。そして、ラミネーターなどを用いてラミネートすることにより、導体パターンの形成された基板上にアルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成することができる。このとき、キャリアフィルムは、露光前または露光後のいずれかに剥離すれば良い。また、ラミネートは、加熱ラミネーターで、通常、60~110℃で、0.4MPa以上で行われる。このとき、真空ラミネーターを使用することにより、ボイドの発生を抑えることができる。
【0024】
次に、このようにして形成されたアルカリ現像型ソルダーレジスト層を、所定の開口パターンで露光する。この露光工程において、活性エネルギー線の照射光源として、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプを用いた接触または非接触露光機が一般的に用いられる。さらに、レーザー光を用いたレーザー・ダイレクト・イメージング装置を使用することもできる。
【0025】
このようにして露光されたアルカリ現像型ソルダーレジスト層の、硬化した所定部分以外の領域を除去するために、現像液として希アルカリ水溶液を用いて現像する。この現像工程において、ディッピング法、シャワー法、スプレー法などを用いることができるが、後工程の水洗工程を考慮した場合、スプレー法を用いることが好ましい。
【0026】
現像液としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類など、1価のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を含む希アルカリ水溶液を使用することができる。
【0027】
このようにして現像された直後のアルカリ現像型ソルダーレジスト層を、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm未満である水洗水を用いて水洗する。
【0028】
この水洗工程において用いられる水洗水に含まれる二価の金属イオンとしては、カルシウムイオン(Ca2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+)、バリウムイオン(Ba2+)などが挙げられる。この水洗工程において用いられる水洗水に含まれる三価の金属イオンとしては、ppbオーダーのごく微量であるが、Fe3+、 Al3+などが挙げられる。水洗水に含まれるこれらの金属イオンは、所定の含有量未満であれば、特定のカルボキシル基含有感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いて形成されたレジストパターンの解像性(硬化物の開口部の断面形状において開口底部のアンダーカット抑制)および絶縁信頼性に悪影響を与えることがない。
【0029】
上記のとおり、本発明の水洗水における、これらの二価および三価の金属イオンの合計の含有量は30ppm未満である。二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm未満であれば、形成済みの硬化物パターンに作用しパターンの開口形状を崩してしまうことがなく、また、硬化物内のカルボキシル基に二価もしくは三価の金属イオンが結合することで以降の工程で行う熱硬化が進みにくくなり最終硬化塗膜の信頼性が十分に得られない懸念もない。さらにまた、二価もしくは三価の金属イオンの含有量を限定することで、硬化物パターンを形成する地域ごとに硬化物パターンの開口形状や硬化塗膜の機械的物性にばらつきが生じることもない。
【0030】
また、二価および三価の金属イオンの合計の含有量は10ppm未満であることがより好ましく、1ppm以下であることがさらに好ましい。さらにまた、金属イオンの総量に関して、水洗水の導電率は、20μs/cm以下であることが好ましく、2μs/cm以下であることがより好ましい。さらにまた、洗浄を複数回行ない、そのすべての洗浄における水洗水の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が10ppm未満であることが好ましい。この性状を満足する水洗水は、市水をRO膜およびイオン交換樹脂により精製するイオン交換水を用いることにより、調製することができる。
【0031】
これら二価および三価の金属イオンの合計の含有量は、原子吸光光度法、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP法)、イオンクロマトグラフ法などを用いて測定することにより管理することができる。また、簡易型の水質検査キットを使用することもできる。
【0032】
このような水洗工程を設けることにより、現像残渣を低減することが可能となる。
【0033】
ここで、アルカリ現像型ソルダーレジスト層の表面近傍に残存する2価の金属イオンは、例えば以下の手順で分析することができる。まず、アルカリ現像型ソルダーレジスト層を、削り取るなどにより分離し、例えば18MΩ以上の電気伝導度の純水中において、100~120℃で4~8時間加熱処理し、イオン成分を熱抽出する。そして、抽出液をイオンクロマトグラフィ(DIONEX社製、型式DXION Chromatograph)などを用いて分析することにより、アルカリ現像型ソルダーレジスト層の表面近傍に残存する二価および三価の金属イオン成分を同定することができる。
【0034】
さらに、必要に応じて、イオン交換水により、二次洗浄(リンス)が行われる。
【0035】
このようにして水洗(必要に応じて二次洗浄)が行われたアルカリ現像型ソルダーレジスト層を、乾燥させた後、熱硬化させる。
【0036】
このような熱硬化工程において、例えば、熱風循環式乾燥炉や遠赤外線硬化炉などを用い、例えば約140~180℃の温度に設定して加熱される。そして、アルカリ現像型ソルダーレジスト中に含まれるカルボキシル基と、エポキシ樹脂などの熱硬化性成分が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化塗膜を形成することができる。
【0037】
また、めっき耐性などを向上させるため、熱硬化前または熱硬化後、紫外線照射による硬化を行ってもよい。例えば、紫外線照射コンベア炉を用いて、露光時に未反応のまま残ったアクリレート基などの感光基を、硬化させることができる。しかしながら、マーキングインキの密着性が低下したり、塗膜の弾性率が低下したりするなどの問題もあるため、用途などを考慮して、適宜硬化方法を選べばよい。
【0038】
そして、これらの工程を経て、通常銅箔などの導電体パターンの形成された基板表面に、プリント配線板におけるパッド部などとなる部分に、金メッキなどが形成されるための開口部が形成されたアルカリ現像型ソルダーレジスト層を備えたプリント配線板が形成される。
【0039】
このとき、開口部の径は、20~100μmであることが好ましい。20μm未満であると、露光時の解像度が十分に得られないなどにより、精度よく開口部を形成することが困難となる。一方、100μmを超えると、搭載されるチップサイズが大きくなり、CSP、UT-CSPを用いるメリットが損なわれるためである。
【0040】
このようにして形成されたプリント配線板は、さらに、例えば酸性脱脂液などにより脱脂、洗浄した後、触媒液に浸漬して触媒付与を行う。そして、無電解ニッケルめっき、無電解金メッキを行うことにより、開口部にパッドが形成される。
【0041】
このようなパターンの形成方法において形成されるアルカリ現像型ソルダーレジスト層には、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(A)と、エポキシ樹脂(B)と、エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)と、光重合開始剤(D)と、を含有する感光性樹脂組成物が用いられる。
【0042】
(カルボキシル基含有樹脂(A))
カルボキシル基含有樹脂(A)は、前記したように、ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドとの反応生成物にアクリル酸および/またはメタクリル酸を反応させ、得られた反応生成物と多塩基酸無水物とを反応させて得られる。このようなカルボキシル基含有感光性樹脂は、30~150mgKOH/g、好ましくは50~120mgKOH/gの範囲内にある酸価を有することが望ましい。
【0043】
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類とホルムアルデヒドとの縮合反応によって得られるが、通常、これらの反応は酸性触媒の存在下で行なわれる。フェノール類としては、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、クミルフェノール等が挙げられる。
【0044】
ノボラック型フェノール樹脂に対するアルキレンオキシドの付加割合は、ノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基1当量当り、0.3~5.0モルが好ましい。0.3モル未満および5.0モルより多い場合、カルボキシル基含有感光性樹脂を含有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物において、光硬化性が乏しくなる恐れがある。
【0045】
ノボラック型フェノール樹脂に対するアルキレンオキシドの付加反応は、例えば、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属化合物、または、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド等の第四級塩基性塩化合物、あるいはアルカリ金属化合物と第四級塩基性塩化合物の混合物の存在下において、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエンとメチルイソブチルケトンのような混合溶媒を用いて、80~180℃、常圧~10kg/cm2で行なわれる。
【0046】
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、トリメチレンオキシド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等が挙げられる。
【0047】
ノボラック型フェノール樹脂とアルキレンオキシドの反応生成物と、アクリル酸および/またはメタクリル酸とのエステル化反応における反応温度は、約50~150℃が好ましく、減圧下、常圧下、加圧下のいずれでも反応を行なうことができる。このエステル化反応において、アクリル酸および/またはメタクリル酸は、本発明のカルボキシル基含有感光性樹脂(A)の二重結合当量が300~700となるような付加量とすることが望ましい。反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素類;トリクロロエタン、テトラクロロエチレン、メチルクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の酢酸エステル類などが好適に用いられる。これらの溶媒は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。エステル化触媒としては、硫酸、塩酸、燐酸、フッ化ホウ素、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カチオン交換樹脂等が適宜用いられる。エステル化反応は重合禁止剤の存在下で行なうのが好ましく、重合禁止剤としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール等が好適に用いられる。
【0048】
前記反応生成物に、多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基含有感光性樹脂(A)が得られるが、反応は、希釈溶剤の存在下または非存在下でハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、通常50~130℃で行なう。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルホスフィン等のリン化合物等を触媒として添加してもよい。この反応において、多塩基酸無水物の使用量は、生成するカルボキシル基含有感光性樹脂(A)の酸価が、30~150mgKOH/g、好ましくは50~120mgKOH/gとなるような付加量とする。カルボキシル基含有感光性樹脂(A)の酸価が30mgKOH/gよりも低い場合には、アルカリ水溶液に対する溶解性が悪くなり、形成した塗膜の現像が困難になる。一方、150mgKOH/gよりも高くなると、露光の条件によらず露光部の表面まで現像されてしまい、好ましくない。
【0049】
(エポキシ樹脂(B))
エポキシ樹脂(B)としては、上記1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましく、たとえば、三菱ケミカル(株)製のエピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、DIC(株)製のエピクロン840、エピクロン850、エピクロン1050、エピクロン2055、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のエポトートYD-011、YD-013、YD-127、YD-128、住友化学(株)製のスミ-エポキシESA-011、ESA-014、ELA-115、ELA-128(何れも商品名)等のビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル(株)製のエピコートYL903、DIC(株)製のエピクロン152、エピクロン165、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のエポトートYDB-400、YDB-500、住友化学(株)製の2スミ-エポキシESB-400、ESB-700(何れも商品名)等のブロム化エポキシ樹脂;三菱ケミカル(株)製のエピコート152、エピコート154、DIC(株)製のエピクロンN-730、エピクロンN-770、エピクロンN-865、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のエポトートYDCN-701、YDCN-704、日本化薬(株)製のEPPN-201、EOCN-1025、EOCN-1020,EOCN-104S、RE-306、住友化学(株)製のスミ-エポキシESCN-195X、ESCN-220(何れも商品名)等のノボラック型エポキシ樹脂;DIC(株)製のエピクロン830、三菱ケミカル(株)製のエピコート807、東都化成(株)製のエポトートYDF-170、YDF-175、YDF-2004(何れも商品名)等のビスフェノールF型エポキシ樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のエポトートST-2004、ST-2007、ST-3000(何れも商品名)等の水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂;三菱ケミカル(株)製のエピコート604、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のエポトートYH-434、住友化学(株)製のスミ-エポキシELM-120(何れも商品名)等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;(株)ダイセル製のセロキサイド2021(商品名)等の脂環式エポキシ樹脂;三菱ケミカル(株)製のYL-933、日本化薬(株)製のEPPN-501、EPPN-502(何れも商品名)等のトリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂;三菱ケミカル(株)製のYL-6056、YX-4000、YL-6121(何れも商品名)等のビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物;三菱ケミカル(株)製のエピコート157S(商品名)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;三菱ケミカル(株)製のエピコートYL-931(商品名)等のテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂;日産化学(株)製のTEPIC(商品名)等の複素環式エポキシ樹脂;日本油脂(株)製のブレンマーDGT(商品名)等のジグリシジルフタレート樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のZX-1063(商品名)等のテトラグリシジルキシレノイルエタン樹脂;日鉄ケミカル&マテリアル(株)製のESN-190、ESN-360、DIC(株)製のHP-4032、EXA-4750、EXA-4700(何れも商品名)等のナフタレン基含有エポキシ樹脂;DIC(株)製のHP-7200、HP-7200H(何れも商品名)等のジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂;日本油脂(株)製のCP-50S、CP-50M(何れも商品名)等のグリシジルメタアクリレート共重合系エポキシ樹脂;シクロヘキシルマレイミドとグリシジルメタアクリレートの共重合エポキシ樹脂等が挙げられ、さらに、ビフェノール型ジグリシジルエーテル、ビキシレノール型ジグリシジルエーテル、ビスフェノール型ジグリシジルエーテルおよびナフタレン型ジグリシジルエーテルよりなる群から選ばれた少なくとも1種の1分子中に2個のグリシジル基を有する芳香族エポキシ樹脂と、ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体、ビフェノールおよびその誘導体、ビキシレノールおよびその誘導体、ビスフェノールおよびその誘導体、およびハイドロキノン誘導体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する芳香族アルコールとの反応生成物におけるアルコール性水酸基に対して、エピハロヒドリンを反応させて得られる線状の多核エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限られるものではない。これらエポキシ樹脂は単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
エポキシ樹脂(B)の配合量は用途に応じて適宜設定でき、一般には、カルボキシル基含有感光性樹脂(A)および後述のカルボキシル基含有感光性樹脂(E)(任意成分)の合計量100質量部(固形分として、以下同様)に対して5~100質量部の割合が適当である。
【0051】
(エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C))
エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)の使用目的は、組成物の光反応性を上げることにある。エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)としては、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する室温で液体、固体または半固形の感光性(メタ)アクリレート化合物が使用できる。室温で液状の感光性(メタ)アクリレート化合物は、組成物の光反応性を上げる目的の他、組成物を各種の塗布方法に適した粘度に調整したり、アルカリ水溶液への溶解性を助けたりする役割も果たす。しかし、室温で液状の感光性(メタ)アクリレート化合物を多量に使用すると、塗膜の指触乾燥性が得られず、また塗膜の特性も悪化する傾向があるので、多量に使用することは好ましくない。エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)の配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂(A)と後述のカルボキシル基含有感光性樹脂(E)(任意成分)の合計量100質量部に対して10~50質量部の割合が好ましい。
【0052】
エチレン性不飽和基を有する光重合性モノマー(C)としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの水酸基含有のアクリレート類;ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどの水溶性のアクリレート類;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどの多価アルコールの多官能ポリエステルアクリレート類;トリメチロールプロパン、水添ビスフェノールA等の多官能アルコールもしくはビスフェノールA、ビフェノールなどの多価フェノールのエチレンオキサイド付加物および/またはプロピレンオキサイド付加物のアクリレート類;上記水酸基含有アクリレートのイソシアネート変成物である多官能もしくは単官能ポリウレタンアクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテルまたはフェノールノボラックエポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸付加物であるエポキシアクリレート類、および上記アクリレート類に対応するメタクリレート類などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0053】
(光重合開始剤(D))
光重合開始剤(D)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニケトン等のアセトフェノン類;2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノアミノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のアミノアセトフェノン類;2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、単独であるいは2種以上を組合せて用いることができる。さらに、かかる光重合開始剤(D)は、N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤もしくは光開始助剤の1種あるいは2種以上と組合せて用いることができる。また、可視光領域に吸収のあるOmnirad784(IGM Resins社製)のチタノセン化合物等も、光反応を促進するために添加することもできる。特にこれらに限られるものではなく、紫外光もしくは可視光領域で光を吸収し、(メタ)アクリロイル基等の不飽和基をラジカル重合させるものであれば、光重合開始剤、光増感剤(光開始助剤)に限らず、単独であるいは複数併用して使用できる。
【0054】
好ましい組合せは、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-アミノプロパノン-1と2,4-ジエチルチオキサントンや2-イソプロピルチオキサントン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイドとの組合せ等である。
【0055】
光重合開始剤(D)の配合量(光増感剤もしくは光開始助剤を用いる場合にはそれらの合計量)は、カルボキシル基含有感光性樹脂(A)および後述のカルボキシル基含有感光性樹脂(E)(任意成分)の合計量100質量部に対して0.1~30質量部、好ましくは0.5~20質量部の割合が望ましい。光重合開始剤(D)の配合量が上記範囲よりも少ない場合、活性エネルギー線の照射を行なっても硬化しないか、もしくは照射時間を増やす必要があり、適切な皮膜特性が得られ難くなる。一方、上記範囲よりも多量に光重合開始剤を添加しても、光硬化性に変化は無く、経済的に好ましくない。
【0056】
(カルボキシル基含有感光性樹脂(E)(任意成分))
本発明の感光性樹脂組成物は、任意成分のカルボキシル基含有感光性樹脂(A)に該当しないカルボキシル基含有感光性樹脂(E)を含んでも良い。任意成分のカルボキシル基含有感光性樹脂(E)は、分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸又はそれらの誘導体由来であることが好ましい。カルボキシル基含有樹脂の具体例としては、(1)以下のような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
【0057】
(1)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
【0058】
(2)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0059】
(3)前記(1)又は(2)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子内に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0060】
(4)前記(1)又は(2)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子内に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
【0061】
(5)2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0062】
(6)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
【0063】
(7)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
【0064】
(8)前記(1)~(7)の樹脂にさらに1分子内に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
【0065】
このようなカルボキシル基含有感光性樹脂(E)は、30~150mgKOH/g、好ましくは50~120mgKOH/gの範囲内にある酸価を有することが望ましい。カルボキシル基含有感光性樹脂(E)の酸価が30mgKOH/gよりも低い場合には、アルカリ水溶液に対する溶解性が悪くなり、形成した塗膜の現像が困難になる。一方、150mgKOH/gよりも高くなると、露光の条件によらず露光部の表面まで現像されてしまい、好ましくない。
【0066】
カルボキシル基含有感光性樹脂(E)とカルボキシル基含有感光性樹脂(A)の配合割合は、目的に応じて任意であるが、カルボキシル基含有感光性樹脂(A)に対してカルボキシル基含有感光性樹脂(E)を70:30~30:70の割合で配合し、かつこれら両樹脂の合計の酸価が30~150mgKOH/g、好ましくは40~110mgKOH/gの範囲内にあることが望ましい。カルボキシル基含有感光性樹脂(A)と(E)の配合後の酸価が30mgKOH/gよりも低い場合には、アルカリ水溶液に対する溶解性が悪くなり、形成した塗膜の現像が困難になる。一方、150mgKOH/gよりも高くなると、露光の条件によらず露光部の表面まで現像されてしまい、好ましくない。
【0067】
(その他の成分)
希釈溶剤は、カルボキシル基含有感光性樹脂(A)および(E)を溶解させ、また組成物を塗布方法に適した粘度に調整するために用いるものである。希釈溶剤としては、例えば、エチルメチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビールアセテート等のエステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などを挙げることができる。この希釈溶剤の使用量は、前記カルボキシル基含有感光性樹脂(A)および(E)の固形分の総量100質量部に対して10~300質量部が好ましい。
【0068】
硬化触媒は、特に、強靱性、密着性、耐熱性、無電解金めっき耐性等のソルダーレジストとしての諸特性をより一層向上させるものである。硬化触媒の具体例としては、例えば、四国化成工業(株)製の2MZ、2E4MZ、C11Z、C17Z、2PZ、1B2MZ、2MZ-CN、2E4MZ-CN、C11Z-CN、2PZ-CN、2PHZ-CN、2MZ-CNS、2E4MZ-CNS、2PZ-CNS、2MZ-AZINE、2E4MZ-AZINE、C11Z-AZINE、2MA-OK、2P4MHZ、2PHZ、2P4BHZ、1B2PZ等のイミダゾール誘導体;アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のグアナミン類;ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、ジシアンジアミド、尿素、尿素誘導体、メラミン、多塩基ヒドラジド等のポリアミン類;これらの有機酸塩および/またはエポキシアダクト:三フッ化ホウ素のアミン錯体;エチルジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-キシリル-S-トリアジン等のトリアジン誘導体類;トリメチルアミン、トリエタノールアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N-ベンジルジメチルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン、ヘキサ(N-メチル)メラミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノフェノール)、テトラメチルグアニジン、m-アミノフェノール等の三級アミン類;ポリビニルフェノール、ポリビニルフェノール臭素化物、フェノールノボラック、アルキルフェノールノボラック等のポリフェノール類;トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス-2-シアノエチルホスフィン等の有機ホスフィン類;トリ-n-ブチル(2,5-ジヒドロキシフェニル)ホスホニウムブロマイド、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、フェニルトリブチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩類;前記多塩基酸無水物;ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、2,4,6-トリフェニルチオピリリウムヘキサフルオロホスフェート、BASFジャパン社製のIRGACURE290、(株)ADEKA製のオプトマーSP-170等の光カチオン重合触媒;スチレン-無水マレイン酸樹脂;フェニルイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物や、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネートとジメチルアミンの等モル反応物などの公知慣用の硬化剤類あるいは硬化促進剤類が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。この硬化触媒の使用量は、前記エポキシ樹脂(B)100質量部に対して、0.01~25質量部が好ましく、特に好ましくは0.1~15質量部である。
【0069】
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、密着性、硬度などの特性を向上する目的で、必要に応じて、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸アルミニウム、雲母粉等の公知慣用の無機充填剤が使用できる。その使用量は、本発明の感光性樹脂組成物全体の0~60質量%が好ましく、特に好ましくは5~40質量%である。
【0070】
また本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて、フタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、アイオジン・グリーン、ジスアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック、ナフタレンブラックなどの公知慣用の着色剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert-ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の公知慣用の重合禁止剤、アスベスト、オルベン、ベントン、モンモリロナイト等の公知慣用の増粘剤、シリコーン系、フッ素系、高分子系等の消泡剤および/またはレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系、シランカップリング剤等の密着性付与剤のような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
【0071】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物は、引火性の低下のために水を添加することもできる。水を添加する場合には、カルボキシル基含有感光性樹脂(A)および(E)のカルボキシル基を、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート化合物で造塩することにより、(A)および(E)成分のカルボキシル基含有感光性樹脂を水に溶解するようにすることが好ましい。
【0072】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記したような配合成分を好ましくは前記の割合で配合し、ロールミル等で均一に混合することにより得られる。また、本発明の感光性樹脂組成物は、例えば次のようにして硬化させ、硬化物を得ることができる。即ち、プリント配線板に、スクリーン印刷法、スプレー法、ロールコート法、静電塗装法、カーテンコート法等の方法により10~100μmの膜厚で本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、塗膜を60~110℃で乾燥させた後、ネガフィルムを塗膜に直接に接触させ(または、接触しない状態で塗膜の上に配置する)、次いで紫外線を照射し、未露光部分を希アルカリ水溶液(例えば、0.5~2%炭酸ソーダ水溶液等)で溶解除去(現像)した後、さらに諸物性の向上のために、紫外線の照射および/または加熱(例えば、100~200℃で、0.5~1時間)によって充分な硬化を行ない、硬化皮膜を得る。
【0073】
このようにして形成されるプリント配線板は、CSPや、UT-CSPなどのパッケージの基板として好適に用いられる。
【0074】
CSPは、ICチップをプリント配線板に実装するための中間板(インターポーザ)の役割を果たすものであり、そのサイズはICチップとほぼ同じものである。UT-CSPは、CSPの厚みを、さらに薄くしたものである。
【0075】
このようなCSPまたはUT-CSPは、例えば、以下のようにして、製造され、実装される。
【0076】
まず、導体パターンが形成された基板の両面に、それぞれ開口部が形成されたアルカリ現像型ソルダーレジスト層を形成し、ICチップと接続するためのパッドと、プリント配線板と接続するためのパッドを有するパッケージ基板を形成する。
【0077】
次いで、パッケージ基板のICチップ接続面に、ワイヤーボンディング工法またはフリップチップ工法を用いて、ICチップを接続する。そして、ICチップを封止材(必要に応じてアンダーフィル)で、パッケージ基板に固定する。
【0078】
さらに、パッケージ基板のプリント配線板接続面に、はんだボールを付着し、CSP(UT-CSP)が形成される。
【0079】
形成されたCSP(UT-CSP)は、プリント配線板上に設置され、リフロー炉を通すことにより、はんだボールが溶融し、プリント配線板とその金メッキなどが施された開口部において接続されることにより実装される。
【実施例0080】
以下に実施例および比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。
【0081】
(カルボキシル基含有感光性樹脂(A-1)の合成)
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキシド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(アイカ工業(株)製 商品名:ショウノールCRG-951、OH当量:119.4)119.4質量部、水酸化カリウム1.19質量部およびトルエン119.4質量部を導入し、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキシド63.8質量部を徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cm2で16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56質量部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキシドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキシド反応溶液293.0質量部、アクリル酸43.2質量部、メタンスルホン酸11.53質量部、メチルハイドロキノン0.18質量部およびトルエン252.9質量部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6質量部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35質量部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1質量部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5質量部およびトリフェニルホスフィン1.22質量部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8質量部を徐々に加え、95~101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。このようにして、固形分65%、固形分の酸価87.7mgKOH/gの感光性のカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液(A-1)を得た。
【0082】
(カルボキシル基含有感光性樹脂(A-2)の合成)
撹拌機、冷却管、温度計、空気導入管を備えたSUS(ステンレス)製の反応装置に、ノボラック型クレゾール樹脂(アイカ工業(株)製 商品名:ショウノールBRG-556)とエチレンオキシドを反応させたアルコール性水酸基を有する樹脂(水酸基:239g/eq.、フェノール性水酸基1当量当りアルキレンオキシドが平均約3.0モル付加)239部、メタクリル酸メチル600部、テトラキスペンタジオナトジルコニウム(Zr(IV)(acac))5部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.2部を仕込み、乾燥させた空気を導入(50ml/min)しながら100℃で反応を行った。反応開始後、生成したメタノールをメタクリル酸メチルと共に反応系外に留出させながら7時間反応させた。ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート30部を加え、真空蒸留を行い、余分なメタクリル酸メチル、メタノールを除くことでメタクリル基を導入した樹脂溶液を得た。さらに、この樹脂をテトラヒドロ無水フタル酸61部(アルコール性水酸基に対して0.4当量)と反応させ、現像性を有するカルボキシル基含有感光性樹脂の溶液(A-2)を得た。
【0083】
(カルボキシル基含有感光性樹脂(E-1)の合成)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC(株)製 商品名:エピクロンN-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出し、カルボキシル基含有感光性樹脂(E-1)を得た。このようにして得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(E-1)は、不揮発分65%、固形物の酸価85mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500であった。
なお、得られた樹脂の重量平均分子量の測定は、(株)島津製作所製ポンプLC-804、KF-803、KF-802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
【0084】
(感光性樹脂組成物の調製)
得られたカルボキシル基含有感光性樹脂(A-1)、カルボキシル基含有感光性樹脂(A-2)およびカルボキシル基含有感光性樹脂(E-1)を用いて、表1に示す種々の成分を表記の割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、実施例1~13の感光性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部である。
【0085】
【0086】
【0087】
(*1) 前述のカルボキシル基含有感光性樹脂(A-1)
(*2) 前述のカルボキシル基含有感光性樹脂(A-2)
(*3) DIC(株)製 カルボキシル基含有感光性樹脂 商品名:EPICLON UE―9650
(*4) 前述のカルボキシル基含有感光性樹脂(E-1)
(*5) 日本触媒(株)製 カルボキシル基含有感光性樹脂 商品名:SR-668A
(*6) DIC(株)製 フェノールノボラック型多官能エポキシ樹脂 商品名:EPICLON N-770
(*7) 三菱ケミカル(株)製 ビフェニル型エポキシ樹脂 商品名:YX4000
(*8) DIC(株)製 ビスフェノールA型多官能エポキシ樹脂 商品名:EPICLON N-870
(*9) 日本化薬(株)製 ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂 商品名:NC-3000
(*10) DIC(株)製 ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂 商品名:HP-7200L
(*11) 三洋化成(株)製 アクリレートモノマー 商品名:DA-600
(*12) 新中村工業(株)製 トリシクロデカンジメタノールジアクリレート 商品名: A-DCP
(*13) 2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド:アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤
(*14) IGM Resins B.V.製 アルキルフェノン系光重合開始剤 商品名: Omnirad907
(*15) アドマテックス(株)製 商品名:SO-C2
(*16) 堺化学(株)製 商品名:B-30
(*17) 日産化学工業(株)製 メラミン
(*18) C.I.Pigment Blue 15:3、0.6質量部、C.I.Pigment Yellow 147、0.4質量部
【0088】
(水洗水の調製)
(純水1の調整)
工場に供給される工業用水をRO膜およびイオン交換樹脂により精製した二価および三価の金属イオンの合計の含有量が1ppm未満のイオン交換水を純水1とした。
【0089】
ここで、工場に供給される工業用水の二価および三価の金属イオンの合計の含有量が一般に30~100ppm程度であることから、以下、本発明における二価および三価の金属イオンの合計の含有量の上限値を求めるため、純水2、純水3として、二価および三価の金属イオンの合計の含有量を調整した。
【0090】
(純水2の調整)
カルシウムイオンの供給源として、塩化カルシウム((株)高純度化学研究所製)(分子量=110.98、カルシウムを36.11質量%含有)を用い、マグネシウムイオンの供給源として、塩化マグネシウム((株)高純度化学研究所製)(分子量=95.21、マグネシウムを25.53質量%含有)を用い、塩化カルシウム(CaCl2)22.152mg、塩化マグネシウム7.834mgをイオン交換水1リットル中に溶解し、純水2とした。純水2の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量は9ppmであった。また、導電率は1.9μs/cmであった。
【0091】
(純水3の調整)
純水2と同様にイオン交換水1リットル中に、一般的な水道水におけるカルシウム:マグネシウム比率になるように塩化カルシウム(CaCl2)66.456mg、塩化マグネシウム23.502mgを溶解し、一般的な水道水の二価の金属イオンの濃度下限30ppm未満にした純水3を調整した。純水3の、二価および三価の金属イオンの合計の含有量は29ppmであった。また、導電率は19μs/cmであった。
【0092】
(市水の調整)
工場に供給される工業用水を市水とした。二価および三価の金属イオンの合計の含有量は45ppmであった。また、導電率は190μs/cmであった。
【0093】
(二価イオン添加市水の調整)
市水に塩化カルシウム(CaCl2)121.84mg、塩化マグネシウム43.09mgを溶解し、一般的な水道水の二価イオンの濃度上限程度に調整した二価イオン添加市水を調整した。二価および三価の金属イオンの合計の含有量は100ppmであった。また、導電率は200μs/cmであった。
【0094】
このようにして得た実施例1~13の感光性樹脂組成物および純水1~3を用いて、以下の評価を行なった。これらの結果を表1中に併せて示す。また、比較例1~13として、実施例1~13のそれぞれの感光性樹脂組成物と市水、二価イオン添加市水を用い、以下の評価を行なった。これらの結果を表2中に示す。
【0095】
(解像性の評価)
表面処理(メック(株)製薬液CZ8101B、エッチングレート1.0μm/m2でのCZ粗化処理)した銅めっき基板上に作成した厚さ15μmの各感光性樹脂組成物層を投影露光機により各開口パターンにて露光を行なった。露光量は、ステップタブレット(Photec 41段)で光沢感度が10段になるように露光量を調整した。その後、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧2kg/cm2の条件で30秒間現像後、各水洗水にて60秒の水洗を行った。この積層体をUVコンベア炉にて積算露光量2000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、170℃で60分間加熱硬化し、得られた硬化物の開口の断面形状をSEMにより観測し評価した。解像性の評価基準は以下の通りとした。
◎:断面形状において開口底部にアンダーカット発生無し。
○:断面形状において開口底部に片側5um未満のアンダーカット発生。
×:断面形状において開口底部に片側5um以上のアンダーカット発生。
【0096】
(絶縁信頼性の評価)
メック(株)製薬液CZ8101Bで、エッチングレート1.0μm/m2でのCZ粗化処理されたL/S=12/13μmの櫛形パターンが形成された基板に感光性樹脂組成物を回路上膜厚約15μmになるように形成し、全面露光を行った。その後、上記(解像性の評価)と同じ条件で現像、水洗、硬化を実施した。その後、電極をつなぎ、130℃、相対湿度85%RH、試験電圧5V、さらし時間400時間の条件でB-HAST試験を6回実施した。抵抗値が1×10-6Ωcm-1を下回ったらNGとし絶縁信頼性の評価基準は以下の通りとした。
◎:400時間後にN=6/6パス。
○:400時間後にN=3~5/6パス。
×:400時間後にN=2以下/6パス。
【0097】
上記表1に示す評価結果から、実施例1~13の感光樹脂組成物を用い、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が30ppm未満である純水1、純水2および純水3を用いて水洗する方法でパターンを形成すれば、高い解像性(硬化物の開口部の断面形状において開口底部のアンダーカット抑制)と、高い絶縁性が得られることが分かる。また、純水2と純水3の比較で、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が10ppm以下であることがより好ましいことが分かる。また、純水1と純水2の比較で、二価および三価の金属イオンの合計の含有量が1ppm以下であることがさらに好ましいことが分かる。
また、上記表2に示す評価結果から、水洗水に市水または二価イオン添加市水を用いて水洗する方法でパターンを形成する比較例1~13においては、高い解像性と、高い絶縁性が両立することはできないことが分かる。
【0098】
以上のように、本発明によれば、特定のカルボキシル基含有感光性樹脂を含む感光性樹脂組成物を用いたパターンの形成方法の水洗工程において、工業的に精製した純水を用いた水洗浄を行いつつ、高い解像性(硬化物の開口部の断面形状において開口底部のアンダーカット抑制)と高い絶縁信頼性とを達成するパターンの形成方法を提供することができることが分かる。