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特開2023-145646慢性肺疾患を治療するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145646
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】慢性肺疾患を治療するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/30 20060101AFI20231003BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20231003BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20231003BHJP
【FI】
A61K38/30
A61P11/00
A61K38/17
A61K47/64
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125304
(22)【出願日】2023-08-01
(62)【分割の表示】P 2020514518の分割
【原出願日】2018-09-11
(31)【優先権主張番号】62/557,113
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】バートン ノーマン
(72)【発明者】
【氏名】マンジリ アレクサンドラ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】慢性肺疾患(CLD)を治療するための方法を提供する。
【解決手段】インスリン様成長因子-1(IGF-1)またはそのアゴニストもしくはアナログを投与することを含む方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療の必要のある対象に、インスリン様成長因子-1(IGF-1)またはそのアゴニストもしくはアナログを投与することを含む、慢性肺疾患を治療する方法。
【請求項2】
前記IGF-IまたはそのアゴニストもしくはアナログがIGF-1およびIGF結合タンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、IGF-1およびインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
治療の必要のある前記対象が乳児である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象が未熟児である、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記乳児が、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月早く誕生した、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、または経口投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが静脈内投与される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、約100~500マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、約250マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、約400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、誕生時から約24~34週の月経後年齢(PMA)まで投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、誕生時から約28~32週のPMAまで投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、誕生時から約29週+6日のPMAまで投与される、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記対象が、低減されたIGF-1血清レベルを有する、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記低減されたIGF-1血清レベルが約30~50マイクログラム/Lである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記IGF-1が組換え作製されている、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記IGFBP-3が組換え作製されている、請求項3~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記IGF-1および前記IGFBP-3が前記対象への投与前に複合体化される、請求項3~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記IGF-1およびIGFBP-3が等モル量で複合体化される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、12か月の修正年齢(CA)まで、慢性呼吸器病的状態(Chronic Respiratory Morbidity:CRM)の発生率低下をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、気管支肺異形成症(BPD)の発生率低下をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、重度脳室内出血(IVH)グレードIIIまたはIVの発生率低下をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児網膜症(ROP)の発生率低下をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、または12ヶ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児インデックス(PREMature Infant Index:PREMII)によって評価した場合の機能状態の上昇をもたらす、前記請求項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/557,113号に対する優先権を主張するものであり、当該仮出願の開示内容は参照によりその全体で本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
毎年、米国において推定で420万人の子供が生まれ、そのうち約383,000人(約9%)が未熟状態で誕生する。早期陣痛とその合併症は今日の先進国における周産期の主要な公衆衛生課題である。未熟状態で誕生し、出生時体重が低い乳児は、子宮内発育期間のうちの重要な期間のほとんどを失ってしまう。これらが、全乳児死亡原因の半分と、長期病的状態の4分の3を占めている。新生児期と生存者の生涯にわたって、特別なケアとそれによる高いコストがかかるために、国の財政に重い負担を課す。生存者の多くも、未熟状態を直接的な原因とする身体のダメージにより生活の質が落ちている。
【0003】
正常な妊娠と懐胎の期間は、受胎の日から40週(280日)と見なされている。37週の妊娠期間の前に生まれた乳児は未熟とみなされ、合併症のリスクがあり得る。医療技術の進歩により、23週の在胎週数という早さで生まれた乳児(17週分の未熟)でも生存が可能となった。未熟状態で生まれた乳児は、出生時体重の低さと、身体システムが成熟していないことで、死亡または重大な合併症のリスクが高い。低出生時体重は、2,500gのカットオフで規定されており、ハイリスクな新生児のマーカーとしての機能を果たしている。出生時体重の低さは、出産前のリスク因子、分娩時の合併症、および新生児の疾患と相関しており、早産の多くを占めている。超低出生時体重に関する研究により、1,500g未満または1,000gの未満のカットオフが規定され、このカットオフにより、極度の未熟性と関連する、重度の呼吸器および神経系の合併症を高率で有する高リスク乳児が特定される。(Hack,M.,Klein,N.K.,&Taylor,H.G.,Long-term developmental outcomes of low birth weight infants.The Future of Children,5,176-196(1995)(非特許文献1)を参照のこと)。
【0004】
肺、消化管、および神経系(脳を含む)は、未熟児では完全には発達しておらず、特に合併症に対して脆弱性がある。早産児が直面する最も高頻度な医学的問題は、未熟児網膜症、発育遅延、精神遅滞、気管支肺異形成症(BPD)、壊死性腸炎、および脳室内出血である。
【0005】
慢性肺疾患(CLD)は、未熟児において特に困難であり、生命の危険のある状態である。未熟児、特に超早産児は、早く生まれた(early manifestation)期間に気管支肺異形成症(BPD)を伴う慢性肺疾患を発症するリスクが非常に高い。極度に未熟状態で誕生した乳児の肺転帰に関し、長期的な軌跡としては通常、出生前のリスク因子に始まり、誕生後の1時間または数日は呼吸補助を必要とする呼吸逼迫症候群(RDS)が発生し、正期相当(term equivalence)まで生存した患者においてはBPDの診断となり、最終的に、乳児期、幼児期、そしてしばしば学齢期または青年期へと成長したときに慢性呼吸器病的状態(Chronic Respiratory Morbidity)となる。慢性呼吸器病的状態は、呼吸器を原因とした再入院とER来院を頻繁に引き起こし、呼吸器の投薬または家庭における呼吸補助を必要とし、多くが気道過敏症に罹患して、生活の質が制限され続ける。36週でBPDを有する乳児の大多数が、12~24カ月の修正年齢で持続性の肺疾患を発症するが、BPDと診断されなくても、後に慢性肺疾患を乳児期に発症する乳児が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Hack,M.,Klein,N.K.,&Taylor,H.G.,Long-term developmental outcomes of low birth weight infants.The Future of Children,5,176-196(1995)
【発明の概要】
【0007】
概要
本発明は、未熟児の慢性肺疾患(CLD)の有効な治療法を提供するものである。本発明は、IGF-1およびインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)の併用が、慢性肺疾患に関する短期間の転帰だけではなく長期間の状態も改善し、それにより、母体からのIGF-1の供給が途絶える誕生直後に始まりそれが補充されるまで続く極度に未熟状態で生まれた乳児の成長と発達のアーチを大きく改善するという知見に一部基づいている。
【0008】
本開示の一つの態様において、慢性肺疾患(CLD)を治療する方法が提供され、当該方法は、治療の必要のある対象に、インスリン様成長因子-1(IGF-1)またはそのアゴニストもしくはアナログを投与する工程を含む。一部の実施形態では、CLDの治療方法が提供され、当該方法は、治療の必要のある対象に、IGF-1とIGF結合タンパク質とを含むIGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログを含む、組成物を投与する工程を含む。一部の実施形態では、併用は、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログを含み、さらにIGF-1およびインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)も含む。
【0009】
一部の実施形態では、治療の必要のある対象は、乳児である。一部の実施形態では、対象は未熟児であり、ここで、当該乳児は、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも5週、少なくとも6週、少なくとも7週、少なくとも2か月、少なくとも10週、または少なくとも3カ月早く誕生している。
【0010】
一部の実施形態では、治療の必要のある対象は、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログを含む組成物が投与され、ここで、当該組成物は、皮下、静脈内、筋肉内、または経口投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、静脈内投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、約100~500マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、100マイクログラム/kg/24時間~450マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、150マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、200マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、250マイクログラム/kg/24時間~400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、約250マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、約400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、誕生時から約24~34週の月経後年齢(PMA)まで投与される。PMAとは、乳児が退院したとき、または死亡時、または1歳の誕生日のいずれか早く到達したときの、乳児の週齢として規定される。PMAは、(i)総妊娠週と7の積、(ii)妊娠日数、および(iii)誕生後の入院日数の合計として算出される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、誕生時から約28~32週のPMAまで投与される。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、誕生時から約29週+6日のPMAまで投与される。
【0011】
本開示の一部の実施形態では、対象は、IGF-1血清レベルが低下している。一部の実施形態では、低下したIGF-1血清レベルは、60マイクログラム/L未満である。一部の実施形態では、低下したIGF-1血清レベルは、50マイクログラム/L未満である。一部の実施形態では、低下したIGF-1血清レベルは、40マイクログラム/L未満である。一部の実施形態では、低下したIGF-1血清レベルは、約30~50マイクログラム/Lである。
【0012】
一部の実施形態では、IGF-1は、組み換え作製されている。一部の実施形態では、IGFBP-3は、組み換え作製されている。一部の実施形態では、IGF-1およびIGFBP-3は、対象への投与前に複合体化される。一部の実施形態では、IGF-1およびIGFBP-3は、等モル量で複合体化される。
【0013】
本明細書に提供される方法は、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、12か月の修正年齢(CA)まで、慢性呼吸器病的状態(CRM)の発生率低下をもたらす、実施形態を含む。乳児の修正年齢は、出産予定日に基づいて補正された当該乳児の年齢である。妊娠期間が40週(すなわち出産予定日)であることを考慮して、未熟児の修正年齢は、母体外で存在した余剰時間を、実際の年齢から差し引いたものとなる。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、24週~12カ月の月経後年齢(PMA)まで、気管支肺異形成症(BPD)の発生率低下をもたらす。例えば、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、24週、28週、30週、32週、34週、36週、または38週、または40週、45週、50週、または52週のPMAまで、BPDの発生率低下をもたらす。一部のその他の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月のPMAまで、BPDの発生率低下をもたらす。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、24週、30週、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、重度脳室内出血(IVH)グレードIIIまたはIVの発生率低下をもたらす。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、24週、30週、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児網膜症(ROP)の発生率低下をもたらす。
【0014】
本明細書に開示される方法は、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、24週、30週、32週、34週、36週、38週、40週、50週、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、または12ヶ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児インデックス(PREMature Infant Index:PREMII)によって評価した場合の機能状態の上昇をもたらす、実施形態を含む。
【0015】
[本発明1001]
治療の必要のある対象に、インスリン様成長因子-1(IGF-1)またはそのアゴニストもしくはアナログを投与することを含む、慢性肺疾患を治療する方法。
[本発明1002]
前記IGF-IまたはそのアゴニストもしくはアナログがIGF-1およびIGF結合タンパク質を含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、IGF-1およびインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)を含む、本発明1002の方法。
[本発明1004]
治療の必要のある前記対象が乳児である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
前記対象が未熟児である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1006]
前記乳児が、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月早く誕生した、本発明1005の方法。
[本発明1007]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、または経口投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1008]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが静脈内投与される、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、約100~500マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、本発明1008の方法。
[本発明1010]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、約250マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、本発明1008の方法。
[本発明1011]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、約400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、本発明1008の方法。
[本発明1012]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、誕生時から約24~34週の月経後年齢(PMA)まで投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、誕生時から約28~32週のPMAまで投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1014]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログが、誕生時から約29週+6日のPMAまで投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
前記対象が、低減されたIGF-1血清レベルを有する、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1016]
前記低減されたIGF-1血清レベルが約30~50マイクログラム/Lである、本発明1015の方法。
[本発明1017]
前記IGF-1が組換え作製されている、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1018]
前記IGFBP-3が組換え作製されている、本発明1003~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
前記IGF-1および前記IGFBP-3が前記対象への投与前に複合体化される、本発明1003~1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
前記IGF-1およびIGFBP-3が等モル量で複合体化される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、12か月の修正年齢(CA)まで、慢性呼吸器病的状態(Chronic Respiratory Morbidity:CRM)の発生率低下をもたらす、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1022]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、気管支肺異形成症(BPD)の発生率低下をもたらす、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1023]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、重度脳室内出血(IVH)グレードIIIまたはIVの発生率低下をもたらす、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1024]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児網膜症(ROP)の発生率低下をもたらす、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1025]
前記IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、または12ヶ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児インデックス(PREMature Infant Index:PREMII)によって評価した場合の機能状態の上昇をもたらす、前記本発明のいずれかの方法。
本発明は好ましい特定の実施形態と併せて記載されているが、前述の内容ならびに以下の実施例は、本発明の範囲の解説が目的であり、限定は意図されないことを理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点および改変は、本発明の属する分野の当業者には明白であろう。
【発明を実施するための形態】
【0016】
詳細な説明
本発明は、慢性肺疾患を治療するための方法および組成物を提供するものである。本明細書に提供される組成物および方法は、未熟児、特に超早産児の慢性肺疾患の治療に特に有効である。一部の実施形態では、本発明の方法は、治療の必要のある対象(例えば未熟児)に、インスリン様成長因子-1(IGF-1)またはそのアゴニストもしくはアナログを投与する工程を含む。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、IGF-1およびIGF結合タンパク質(例えばインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3))を含む。
【0017】
本発明の様々な態様は、以下のセクションで詳細に説明される。セクションの使用は、本発明を限定することを意味しない。各セクションは、本発明の任意の態様に適用することができる。本出願において、「または」の使用は、他に記載がない限り、「および/または」を意味する。
【0018】
定義
「正期前」もしくは「早産」もしくは「未熟性」もしくは「未熟児」もしくは「未熟な新生児」またはその文法的均等は、妊娠40週前に患者が誕生していることを指すか、または患者の在胎月齢平均よりも体重が10%低いことを指す。一部の実施形態では、未熟児とは、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月早く誕生した乳児を指す。
【0019】
「IGF-I」とは、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、およびヒト、好ましくはヒトを含む任意の種由来のインスリン様成長因子Iを指し、もし外因的な投与を指している場合には、天然、合成または組み換えのいずれかの任意の種由来のインスリン様成長因子Iを指すが、ただし適切な部位でIGF結合タンパク質に結合するものとする。IGF-Iは、例えば、PCT公報WO95/04076に記載されるように、組換えにより作製することができる。
【0020】
「IGFBP」または「IGF結合タンパク質」とは、インスリン様成長因子結合タンパク質ファミリー由来のタンパク質またはポリペプチドを指し、通常、循環性であるかないかに関わらず(すなわち血清中か組織中か)、IGF-Iと会合するか、または結合するか、または複合体化される。この結合タンパク質は、受容体を含まない。この定義には、IGFBP-1、IGFBP-2、IGFBP-3、IGFBP-4、IGFBP-5、IGFBP-6、Mac 25(IGFBP-7)およびプロスタサイクリン刺激因子(prostacyclin-stimulating factor:PSF)、または内皮細胞特異的分子(endothelial cell-specific molecule:ESM-1)、ならびにIGFBP類に対し高い相同性を有する他のタンパク質が含まれる。Mac25は、例えば、Swisshelm et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,92:4472-4476(1995)およびOh et al.,J.Biol.Chem.,271:30322-30325(1996)に記載されている。PSFは、Yamauchi et al.,Biochemical Journal,303:591-598(1994)に記載されている。ESM-1は、Lassalle et al.,J.Biol.Chem.,271:20458-20464(1996)に記載されている。他の特定されたIGFBPについては、例えば、1990年6月27日に公開されたEP 375,438、1990年5月23日に公開されたEP 369,943、1989年10月5日に公開されたWO89/09268、Wood et al.,Molecular Endocrinology,2:1176-1185(1988);Brinkman et al.,The EMBO J.,7:2417-2423(1988);Lee et al.,Mol.Endocrinol.,2:404-411(1988);Brewer et al.,BBRC,152:1289-1297(1988);1988年12月7日に公開されたEP 294,021;Baxter et al.,BBRC,147:408-415(1987);Leung et al.,Nature,330:537-543(1987);Martin et al.,J.Biol.Chem.,261:8754-8760(1986);Baxter et al.,Comp.Biochem.Physiol.,91B:229-235(1988);1989年9月21日に公開されたWO 89/08667、1989年10月19日に公開されたWO89/09792、およびBinkert et al.,EMBO J.,8:2497-2502(1989)を参照のこと。
【0021】
「IGFBP-3」とは、インスリン様成長因子結合タンパク質3(insulin-like growth factor binding protein 3)を指す。IGFBP-3は、インスリン様成長因子結合タンパク質ファミリーの1つのメンバーである。IGFBP-3は、ウシ、ヒツジ、ブタおよびヒトをはじめとする任意の種由来であってもよく、天然配列またはバリアント型であってもよく、限定されないが、天然型アレルのバリアントが挙げられる。IGFBP-3は、天然、合成または組み換えのいずれでも、任意の源由来であってよいが、ただし、適切な部位でIGF-Iに結合するものとする。IGFBP-3は、PCT公報WO95/04076に記載されるように、組換えにより作製することができる。
【0022】
本明細書において使用される場合、「治療用組成物」とは、IGF-I、そのアナログ、またはその結合タンパク質であるIGFBP-3と組み合わされたIGF-I(IGF-I/IGFBP-3の複合体)を含むものとして規定される。治療用組成物は、例えば水、ミネラル、例えばタンパク質などの担体、および当業者に公知の他の賦形剤などの他の物質を含んでもよい。
【0023】
IGF-Iの「アナログ」は、ヒトまたは動物においてIGF-Iと同じ治療効果を有する化合物である。これらはIGF-Iの天然型アナログ(例えば切断型IGF-I)であってもよいか、またはIGF-Iの公知の合成アナログのいずれかであってもよい。例えば、IGF-Iのアナログ化合物に関しては、米国特許第5,473,054号を参照のこと。
【0024】
IGF-Iの「アゴニスト」は、ペプチドを含む化合物であり、哺乳動物、特にヒトにおいて、IGF、特にIGF-Iの血清レベルおよび組織レベルを上昇させることができる。IGFアゴニスト分子に関しては例えば、米国特許第6,251,865号を参照のこと。
【0025】
本明細書で使用される場合、「発達遅延」とは、発達上のマイルストーンの達成において精神的向上の遅延につながる可能性を有する異常な神経新生を意味するものとする。発育遅延は、一部の症例においては、脳波図により判定されてもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、「対象」とは、ヒトを含む任意の哺乳動物を意味する。本発明の特定の実施形態では、対象は、成人、青年、または未成年者である。本発明によって企図されるのは、医薬組成物の投与および/または子宮内での処置方法の実施である。
【0027】
本明細書で使用される場合、「治療」(「治療する」または「治療すること」)という用語は、特定の疾患、障害、および/もしくは状態(例えば慢性肺疾患)の一つまたは複数の症状または特性を、部分的もしくは完全に軽減し、改善し、緩和し、阻害し、発症を遅延させ、予防し、重症度を低下させ、かつ/または発生率を低下させる治療用組成物(例えばIGF-1またはそのアゴニストもしくはアナログ)のいずれか投与を指す。そのような治療は、関連する疾患、障害、および/もしくは状態の兆候を示さない対象、ならびに/または疾患、障害、および/もしくは状態の初期兆候のみを示す対象のものであり得る。代替的または追加的に、そのような治療は、関連する疾患、障害、および/または状態の一つまたは複数の確立された徴候を示す対象であり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」、または「低下する」という用語、またはその文法的均等は、例えば、本明細書に記載される治療の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される治療が行われない対照個体(または複数の対照個体)における測定値、または病歴参照もしくはデータなどの基準測定値と比較される値を示す。「対照個体」は、治療されている個体とほぼ同じ年齢である(治療される個体および対照個体における疾患ステージが比較可能であることを確保するため)、治療される個体と同じ型の慢性肺疾患に罹患した個体である。
【0029】
慢性肺疾患
本発明は、成人、特に高齢者、および乳児、特に未熟児または超早産児において発生する慢性肺疾患(CLD)を含む任意の型のCLDを治療するために使用され得る。CLDは、限定されないが、COPD(肺気腫および慢性気管支炎)、喘息、嚢胞性線維症、拘束性肺疾患、および持続性感染症をはじめとする多様な疾患および障害を含む。
【0030】
未熟児の慢性肺疾患
超早産児は、慢性肺疾患を発症するリスクが非常に高い。未熟児は、呼吸器(人工呼吸器)および呼吸するために追加の酸素を必要とし得る。慢性肺疾患は、呼吸器または酸素が未熟児の肺を損傷することで発生する。肺損傷を負うことで、新生児の肺の内側組織は炎症を起こす。組織は破壊され、瘢痕化が生じる。瘢痕化は呼吸困難を引き起こし、新生児はより多くの酸素を必要とし得る。肺損傷は、以下によって生じ得る。
・ 未熟性:未熟児の肺は、完全には形成されていない。これは特に肺胞において当てはまる。
・ 少量のサーファクタント:これは、小さな肺胞が開かれた状態を維持するのを補助する肺中の物質である。
・ 酸素の使用:多量の酸素は肺内の細胞を損傷する可能性がある。
・ 呼吸機(機械的換気):空気圧は肺を損傷する可能性がある。この圧力は呼吸器、気道吸引、および気管内(ET)チューブの使用により生じ得る。ETチューブは新生児の気管(windpipe/trachea)に配置され、呼吸器に繋がれる。
【0031】
極度に未熟状態で誕生した乳児の肺転帰に関し、長期的な軌跡としては通常、出生前のリスク因子に始まり、誕生後の1時間または数日は呼吸補助を必要とする呼吸逼迫症候群が発生し、正期相当まで生存した患者においてはBPDの診断となり、最終的に、乳児期、幼児期、そしてしばしば学齢期または青年期へと成長したときに慢性呼吸器病的状態となる。慢性呼吸器病的状態は、呼吸器を原因とした再入院とER来院を頻繁に引き起こし、呼吸器の投薬または家庭における呼吸補助を必要とし、多くが気道過敏症に罹患して、生活の質が制限され続ける。
【0032】
IGF-1またはそのアゴニストもしくはアナログ
IGF-1またはそのアゴニストもしくはアナログを使用して、本発明を実施し得る。IGF-Iは、公知の出生後の成長と代謝の制御因子である。Baker J,Liu J P,Robertson E J,Efstratiadis Aを参照のこと。およそ7.5キロダルトン(Kd)の分子量を有する。ほとんどの循環IGFは、IGF結合タンパク質、特にIGFBP-3に結合する。IGF-Iは、異常な成長に関連した状態を診断するために血清中で測定され得る。
【0033】
典型的には、本発明によるCLDの治療に適した治療用組成物は、IGF-1と、例えばIGF結合タンパク質(IGFBP)などのIGF-1結合タンパク質とを含有する。様々な組織中および体液中で、少なくとも六種類の別個のIGF結合タンパク質(IGFBP)が同定されている。一部の実施形態では、本発明による適切な治療用組成物は、IGF-1とIGFBP-3とを含有する。IGF-1およびIGFBP-3は、タンパク質複合体として使用されてもよいか、または別個に使用されてもよい。
【0034】
IGF-I、およびIGFBP-3などのIGF-I結合タンパク質は、天然供給源から精製されてもよいか、または組み換え手段により作製されてもよい。例えばヒト血清からのIGF-Iの精製が当分野に公知である(Rinderknecht et al.(1976) Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73:2365-2369)。組み換え法によるIGF-Iの作製は、1984年12月に公開されたEP0128-733に示されている。IGFBP-3は、例えばBaxter et al.(1986,Biochem.Biophys.Res.Comm.139:1256-1261)に示される方法などを使用して、天然供給源から精製されてもよい。あるいは、IGFBP-3は、Sommer et al.,pp.715-728,Modern Concepts Of Insulin-Like Growth Factors(E.M.Spencer,ed.,Elsevier,N.Y.,1991)に検討されるように組み換え合成されてもよい。組み換えIGFBP-3は、1:1のモル比でIGF-Iに結合する。
【0035】
医薬組成物および治療用途
本発明は、慢性肺疾患(CLD)、特に未熟性に関連したCLDに罹患する患者を治療するための組成物および方法を提供する。例えば本発明を使用して、CLDまたはCLDと関連した合併症に罹患する未熟児を治療してもよい。一部の実施形態では、本発明を使用して、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月早く誕生した乳児を治療してもよい。一部の実施形態では、本発明を使用して、超早産児が治療されてもよい。
【0036】
本発明の一つの実施形態では、IGF-Iまたはそのアナログは、IGF-Iに結合することができるIGF結合タンパク質と併用して投与される。一部の実施形態では、IGF-Iに結合することができるIGF結合タンパク質は、IGF結合タンパク質3(IGFBP-3)である。
【0037】
等モル量のIGF-IとIGF結合タンパク質とを含む組成物を使用してもよい。一部の実施形態では、IGF-IおよびIGF結合タンパク質は、投与前に複合体化される。この複合体は、例えば生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水などの生理学的に適合性のある担体中に溶解された、およそ等モル量のIGF-IとIGF結合タンパク質とを混合することにより形成されてもよい。一部の実施形態では、組み換えヒトIGF-Iの濃縮溶液と、組み換えヒトIGF結合タンパク質の濃縮溶液とを、等モル複合体が形成されるのに充分な時間、一緒に混合する。一部の実施形態では、国際特許出願番号WO96/40736に記載されるように、組み換えヒトIGF-Iと組み換えヒトIGF結合タンパク質が組み合わされて、精製中に複合体が形成される。
【0038】
治療用途については、IGF-Iまたはそのアナログは、単独で、または医薬組成物の一部として患者に適切に投与されてもよく、当該医薬組成物は、一つまたは複数の許容可能な担体および任意で他の治療成分とともにIGF-Iまたはそのアナログを含む。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、患者に有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0039】
本発明の医薬組成物としては、経口投与、鼻投与、局所投与(口腔投与および舌下投与を含む)、または非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、静脈内投与、および皮内投与を含む)に適したものが挙げられる。製剤は、例えば錠剤および徐放性カプセルなどの簡便な単位剤型、またはリポソームであってもよく、薬学分野において公知の任意の方法により調製されてもよい。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.(17th ed.1985)を参照のこと。
【0040】
かかる調製法としては、投与成分である分子、例えば一つまたは複数のアクセサリー成分を構成する担体などと会合させる工程を含む。概して組成物は、活性成分と、液状担体、リポソーム、もしくは微細に分割された固形担体、またはそれらすべてを均質にそして密接に会合させ、もし必要があればその後に生成物を成形することにより調製される。
【0041】
経口投与に適した本発明の組成物は、例えばカプセル、カシェ剤、または錠剤などの別個の単位としてあってもよく、それらは各々所定量の活性成分を、粉末もしくは顆粒として、水性液体中もしくは非水性液体中の溶液または懸濁液として、または水中油液体エマルションもしくは油中水液体エマルションとして、またはリポソーム中に封入されて、およびボーラスとして含有する。
【0042】
錠剤は、任意で一つまたは複数のアクセサリー成分とともに圧縮または成形により作製されてもよい。圧縮錠剤は、例えば粉末または顆粒などのフリーフロー形態の活性成分を、任意で結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、表面活性化剤、または分散剤とともに混合して、適切な機器中で圧縮することにより調製されてもよい。成形錠剤は、不活性液状希釈剤で湿らされた粉末化化合物の混合物を適切な機器中で成形することにより調製されてもよい。錠剤は任意で、コーティングされてもまたは印をつけられてもよく、かつ、中に含まれる活性成分がゆっくりと放出されるようにまたは放出が制御されるように製剤化されてもよい。
【0043】
非経口投与に適した組成物としては、水性または非水性の滅菌注射溶液が挙げられ、それらは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、および意図されるレシピエントの血液との等張性を製剤に与える溶質を含んでもよい。また、水性または非水性の滅菌懸濁液も挙げられ、それらは懸濁化剤および増粘剤を含んでもよい。製剤は、例えば密閉アンプルおよびバイアルなどの単位投与量または複数投与量の容器中にあってもよく、そして使用直前に例えば注射用水などの滅菌液状担体の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze dried/lyophilized)条件下で保存されてもよい。即時調製用の注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製されてもよい。
【0044】
本明細書に開示される本発明の方法は、IGF-I、そのアナログもしくはアゴニスト、またはIGF結合タンパク質複合体と併用されるIGF-Iもしくはアナログの、かかる治療を必要とする乳児への非経口投与および経口投与のための方法を提供する。非経口投与には、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮下(SC)、腹腔内(IP)、鼻腔内、および吸入経路が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法において、IGF-I、そのアゴニストまたはアナログは、経口投与されるのが好ましい。IV投与、IM投与、SC投与、およびIP投与は、ボーラスまたは点滴によるものであってもよく、また限定されないが、ポンプ、徐放性製剤、および機械デバイスをはじめとする徐放性の移植可能デバイスによるものであってもよい。製剤、投与経路および投与方法、ならびに用量は、治療される障害と、患者の既往歴に応じる。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログは、静脈内投与される。
【0045】
本発明による医薬組成物は、様々な投与量で投与され得る。例えば適切な用量は、約100~500マイクログラム/kg/24時間の範囲であり得る。一部の実施形態では、適切な用量は、約100マイクログラム/kg/24時間、150マイクログラム/kg/24時間、200マイクログラム/kg/24時間、250マイクログラム/kg/24時間、300マイクログラム/kg/24時間、350マイクログラム/kg/24時間、400マイクログラム/kg/24時間、450マイクログラム/kg/24時間、もしくは500マイクログラム/kg/24時間であり得るかまたはそれらを上回り得る。一部の実施形態では、本発明による医薬組成物は、誕生時から約24~34週の月経後年齢(PMA)まで、約28~32週のPMAまで、約29週間+6日のPMAまで、投与される。
【0046】
本明細書に提供される方法は、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、12か月の修正年齢(CA)まで、慢性呼吸器病的状態(CRM)の発生率低下をもたらす、実施形態を含む。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、気管支肺異形成症(BPD)の発生率低下をもたらす。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、重度脳室内出血(IVH)グレードIIIまたはIVの発生率低下をもたらす。一部の実施形態では、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与は、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児網膜症(ROP)の発生率低下をもたらす。
【0047】
本明細書に開示される方法は、IGF-Iまたはそのアゴニストもしくはアナログの投与が、36週、40週、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、または12ヶ月の月経後齢(PMA)まで、未熟児インデックス(PREMII)によって評価した場合の機能状態の上昇をもたらす、実施形態を含む。
【0048】
非経口投与または経口投与に関し、複合体組成物は、例えば液体、懸濁液などの半固形または液状の調製物であってもよい。生理学的に適合性のある担体は、採用される用量および濃度でレシピエントに対し非毒性であり、製剤の他の成分と適合性がある担体である。例えば製剤は、酸化剤、およびポリペプチドに対して有害であることが知られている他の化合物を含まないことが好ましい。ゆえに生理学的に適合性のある担体としては限定されないが、生理食塩水、血清アルブミン、5%デキストロース、血漿調製物、および他のタンパク質含有溶液が挙げられる。任意で、担体としては洗浄剤または界面活性剤も挙げられる。
【0049】
本発明のさらに別の態様では、早産の合併症を治療するための治療用組成物の製造における、IGF-I、そのアゴニストまたはアナログの使用が提供される。
【0050】
最後に、包装材と当該包装材内に含まれる薬剤とを含む製品も提供される。包装材は、当該薬剤が、早産に関連した合併症を治療および/または予防するために、有効量で充分な期間、投与され得ることを示すラベルを含む。薬剤は、薬学的に許容可能な担体とともに、IGF-I、そのアゴニストまたはアナログを含む。
【0051】
本発明は、本発明の例示を目的とした以下の実施例によりさらに解説される。
【実施例0052】
実施例1.超早産児におけるCLDの治療
インスリン様成長因子-1/インスリン様成長因子結合タンパク質-3(rhIGF-1/rhIGFBP-3)複合体を含む本試験薬を、CLDの治療効果に関して試験した。本試験は、多施設、無作為化、非盲検制御下の3群試験であり、ヒト慢性肺疾患の予防における治療用組成物の臨床効果および安全性を評価するものとして設計されている。本試験は、12カ月の修正年齢(CA)まで対象に対して実施され、超早産児の標準的な新生児医療と比較された。本試験は、責任機関の施設内倫理委員会(IRB)/医療機関内倫理委員会(IEC)によりレビューされ、承認を受けた。
【0053】
目的:本試験の目的は、rhIGF-1/rhIGFBP-3を含む本試験薬(以下、治療用組成物とする)が、12カ月の修正年齢(CA)まで超早産児において呼吸器合併症を低下し得るかどうかを、標準的な新生児治療のみを受けた超早産児と比較して判定することである。
【0054】
被験対象:対象は、在胎週齢(GA)が23週+0日~27週+6日である。対象は、男女の両方を含む。少なくとも50名の対象が本試験に含まれる。
【0055】
除外基準:除外基準には、治験責任医師の意見に従い、検出可能な肉眼的先天的異常、判明したもしくは推測された染色体異常、遺伝性障害もしくは遺伝性症候群が含まれる。除外基準としてはまた、グルコース代謝の重度の先天性異常を除外するために、基準来院時に1リットル当たり2.5ミリモル未満(mmol/L)の持続的な血液グルコースレベル;治験責任医師の意見による臨床的に重大な神経系疾患;一卵性重複(monozygotic multiple);および対象にリスクを負わせ得る、または対象のプロトコール順守能力に干渉し得る、または結果の解釈に干渉し得る、任意の他の状態も含まれる。対象が別の被験薬、被験デバイス、または被験方法の臨床試験に参加するかまたは参加する予定がある場合(観察試験の参加はケースバイケースで許可される)は、除外される。対象または対象の親または法的に認定された代表者が、プロトコールを順守できない場合、または治験責任医師が決定した長期的なフォローアップ期間に会うことができる可能性が無い場合、その対象も除外される。
【0056】
試験設計の詳細:本試験の主な目的は、気管支肺異形成症および慢性肺疾患の予防である。本試験は非盲検試験であり、介入モデルは、並行群間比較試験である。監視される状態は、BPDおよびCLDである。
【0057】
250マイクログラム/Kg/24時間の治療用組成物を、被験者の1群(A群)に、誕生時から月経後年齢(PMA)29週+6日まで静脈内投与(IV)する。被験者の別の群(B群)に対しては、400マイクログラム/Kg/24時間の治療用組成物を、誕生時から月経後年齢(PMA)29週+6日まで静脈内投与(IV)する。第三の群(C群または対照群)には、標準的な新生児治療のみを与える。
【0058】
測定される主要転帰は、12カ月の修正年齢(CA)までの慢性呼吸器病的状態(CRM)の発生率である[時間枠:基準時から12カ月の修正年齢(CA)まで]。CRMは、未熟児の普遍的な有害転帰であり、例えば気管支拡張剤などの肺医薬を用いた治療を必要する再発性の呼吸器症状を生じさせ、特に1歳までの間、家庭での酸素補充、頻繁な救急室来院または再入院を必要とする。CRMは、呼吸器医療の利用と、呼吸器症状により測定される。
【0059】
二次転帰としては、月経後年齢(PMA)36週での気管支肺異形成症(BPD)の発生率が含まれる[時間枠:PMA36週]。BPDは、肺の未成熟性、ヒアリン膜の存在を伴う未分化肺胞と肺拡張不全、間充組織に浸った拡張毛細血管、そして細胞外マトリクスの歪な沈着を特徴とする慢性肺障害である。BPDは肺機能に残存性の影響をもたらし、その後の子供時代の神経発達上の問題と関連づけられている。
【0060】
二次転帰としては以下も挙げられる。
・ 月経後年齢(PMA)40週までの重度脳室内出血(IVH)グレードIIIまたはIVの発生率[時間枠:基準時からPMA40週まで]。
・ 月経後年齢(PMA)40週での気管支肺異形成症(BPD)の発生率[時間枠:PMA 40週]。
・ 6カ月の修正年齢(CA)までの慢性呼吸器病的状態(CRM)または死亡の発生率[時間枠:基準時から6カ月の修正年齢(CA)まで]。CRMは、未熟児の普遍的な有害転帰であり、例えば気管支拡張剤などの肺医薬を用いた治療を必要する再発性の呼吸器症状を生じさせ、特に1歳までの間、家庭での酸素補充、頻繁な救急室来院または再入院を必要とする。CRMは、呼吸器医療の利用と、呼吸器症状により測定される。
・ 月経後年齢(PMA)40週での未熟児インデックス(PREMII)によって評価した場合の機能状態[時間枠:PMA36週]。PREMIIは、超早産児の全体的な機能的成熟を捕捉するために使用される医師報告転帰(Clinician-Reported Outcome:ClinRO)評価である。機能状態は、乳児の全体的な健康状態と発育の反映として、乳児が8つの重要な機能領域に関して行い得ること(摂食、体重増加、体温調節、呼吸補助、無呼吸、徐脈、飽和度低下事象、および酸素投与)として規定される。
【0061】
実施例2.超早産児におけるBPD予防
BPD予防における、IGF-1/IGFBP3の効果に関する無作為試験が、並行群間比較試験の介入モデルを用いて実施された。本試験は、イタリア、オランダ、ポーランド、スウェーデン、英国、および米国の複数の施設において、2010年6月18日~2016年3月30日の間に実施された。
【0062】
IGF-1/IGFBP3である薬物のメカセルミンリンファバート(Mecasermin Rinfabate)は、試験0日目(誕生日)から、対象の内因性のIGF-1産生が、生理学的血清IGF-1レベルを維持するのに充分であるとみなされるとき、PMA29週+6日まで、対象において連続静脈内点滴として投与された。被験薬物の点滴を停止した後、各対象は、PMA40週±4日まで追跡される。本試験は、未熟児網膜症を予防するために、未熟児における生理学的レベルの範囲内の長期的な血清IGF-1レベルの確立と維持に必要とされる、連続点滴(CI)として投与されるrhIGF-1/rhIGFBP-3の投与量を決定することが目的であった。本試験は、rhIGF-1/rhIGFBP-3の第II相無作為制御下の評価担当者盲検、投与量確認、薬物動態、安全性、および有効性の試験である。61名の被験者が、0日目から月経後年齢(PMA)29週6日まで、連続静脈内(IV)点滴により、インスリン様成長因子(rhIGF-I)/インスリン様成長因子結合タンパク質-3(rhIGFBP-3)を、24時間で1キログラム当たり250マイクログラム(mcg/kg)投与された。対照群として、60名の被験者が、標準的な治療のみを受けた。表1は、被験者の全体的な試験フローを示す。
【0063】
(表1)被験者のフロー:試験全体
【0064】
表2は、本試験の母集団を示す。
【0065】
(表2)
【0066】
本試験継続中の二次転帰には特に以下のパラメーターが含まれた。
・ 新生児集中治療(TDNIC)から退院するまでの時間[時間枠:0日目~月経後年齢40週(EOS)]。
・ 気管支肺異形成症(BPD)を有する被験者数[時間枠:月経後年齢36週において]。
・ 軽度、中程度、および重度としてのBPDの重大度は、32週未満の在胎週数(GA)で生まれた未熟児に関するNational Institute of Child Health and Human Development(NICHD)ガイドラインに基づいた。
・ 軽度:最初の28日間は酸素を必要とするが、PMA36週または退院して帰宅のいずれか早いほうで、室内気下となる。
・ 中程度BPD:最初の28日間は酸素を必要とするが、PMA36週または退院して帰宅のいずれか早いほうで、30パーセント(%)未満の酸素を必要とする。
・ 重度のBPD:最初の28日間は酸素を必要とし、PMA36週または退院して帰宅のいずれか早いほうで、頭部のフードもしくは鼻カニューレ、または連続的気道陽圧、または人工呼吸器、または≧2L/分の大流量鼻カニューレを通して、(≧)30%の酸素を必要とする。
・ 体重の変化率[時間枠:0日目~月経後年齢40週(EOS)]。変化率は、1日当たり、キログラム単位(kg)での具体的な体重変化率である。
・ 身長の変化率[時間枠:0日目~月経後年齢40週(EOS)]。
・ 変化率は、1日当たりのセンチメートル単位(cm)での身長変化である。治療下で発現した有害事象(TEAE)および治療下で発現した重篤な有害事象(TESAE)を伴う被験者数[時間枠:0日目~月経後年齢40週(EOS)]。
・ 有害事象(AE)は、因果関係の可能性に関わらず、被験薬物を投与された被験者における、あらゆる有害な医学的出来事とした。重篤な有害事象(SAE)は、以下の転帰のいずれかにつながるAE、または任意の他の理由のために重大であるとみなされるAEとした:死亡;初回の入院または入院患者の入院期間の延長;生命を脅かす出来事(差し迫った死のリスク);持続的な、または重大な身体障害/無能力;先天性異常。
・ 治療下で発現した有害事象とは、被験生成物の最初の投与の日、または後でのいずれかAEの発生、または既存のAEの重大度の悪化の場合と規定された。
・ rhIGF-1/rhIGFBP-3の点滴後に、標的範囲内に収まった血清IGF-1濃度の割合[時間枠:0日目~月経後年齢40週(EOS)]。
・ 血清サンプルを治療被験者および対照被験者から集め、認証済みの免疫アッセイ法を使用してIGF-1の定量を行った。血清IGF-1の標的範囲は28~109mcg/Lであった。範囲内に収まる治療被験者全体の血清IGF-1レベルの割合が報告された。
・ rhIGF-1/rhIGFBP-3の静脈内(IV)点滴後のIGFBP-3の血清濃度[時間枠:0日目~月経後年齢40週]。
・ rhIGF-1/rhIGFBP-3の静脈内(IV)点滴後の酸不安定サブユニット(ALS)の血清濃度[時間枠:7日目~月経後年齢40週]。
【0067】
表3は、二次転帰として測定されたBPD値を示す。
【0068】
(表3)
【0069】
気管支肺異形成症(BPD)を有する被験者数に関する統計解析は提示されなかった。
【0070】
本明細書に記載された特定の化合物、組成物および方法は、特定の実施形態に従って特異性をもって記載されているが、以下の実施例は、本発明の化合物を説明するためのものであって、本発明の化合物を限定することを意図するものではない。
【0071】
本明細書および特許請求の範囲で使用される冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、明確に反対の指示がない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。グループの一つまたは複数のメンバーとの間に「または」を含むクレームまたは説明は、グループメンバーの一つ、二つ以上、またはすべてが、文脈から逆のまたはそうでないことが示されていない限り、所与の生成物またはプロセスに存在する場合、採用される場合、またはそうでなければ関連する場合に満足されると考えられる。本発明は、グループのちょうど一つのメンバーが所与の生成物またはプロセスに存在する、使用される、または関連する実施形態を含む。本発明はまた、二つ以上の、またはグループメンバー全体が所与の生成物またはプロセスに存在する、使用される、または関連する実施形態も含む。さらに、本発明は、別段の指示がない限り、または当業者には矛盾または不一致が生じることが明らかでない限り、列挙された請求項の一つ以上からの一つ以上の制限、要素、句、記述的用語などが、同じ基本クレーム(または関連する他の請求項)に従属する別の請求項に導入されるすべての変形、組み合わせ、および置換を包含することが理解されるべきである。要素がリスト(例えば、マーカッシュグループまたは類似のフォーマット)として提示される場合、要素の各サブグループも開示され、任意の要素がグループから除去され得ることが理解されるべきである。一般に、本発明または本発明の態様は、特定の要素、特徴などを含むものとして言及し、本発明の特定の実施形態または本発明の態様は、そのような要素、特徴などからなるか、またはそれらから本質的になることを理解されたい。簡潔にするために、これらの実施形態は、すべての場合において、本明細書中に多くの言葉で具体的に記載されているわけではない。特定の排除が明細書に列挙されているかどうかにかかわらず、本発明の任意の実施形態または態様は、特許請求の範囲から明白に除外することができることも理解されるべきである。本発明の背景を説明し、その実施に関するさらなる詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物、ウェブサイト、および他の参考資料は、参照により本明細書に組み込まれる。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未熟児における、気管支肺異形成症、COPD(肺気腫および慢性気管支炎)、喘息、嚢胞性線維症、拘束性肺疾患、および持続性感染症からなる群より選択される慢性肺疾患を治療または予防するための治療用組成物であって、
該組成物が、組換えインスリン様成長因子-1(IGF-1)および組換えインスリン様成長因子結合タンパク質-3(IGFBP-3)を含み、
該IGF-1および該IGFBP-3が、投与前に複合体化されており、かつ、
該組成物が、約350マイクログラム/kg/24時間の用量またはそれを上回る用量で、誕生から月経後年齢(PMA)約24~34週まで、連続静脈内点滴により投与される、
治療用組成物。
【請求項2】
前記未熟児が、少なくとも1週、少なくとも2週、少なくとも3週、少なくとも4週、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、または少なくとも3ヶ月早く誕生した、請求項に記載の組成物
【請求項3】
約350、400、450、または500マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、請求項1または2に記載の組成物
【請求項4】
400マイクログラム/kg/24時間の用量で投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
生時からPMA約28~32週で投与される、求項1~4のいずれか一項に記載の組成物
【請求項6】
生時からPMA約29週+6日で投与される、求項1~5のいずれか一項に記載の組成物
【請求項7】
前記未熟児が、低減されたIGF-1血清レベルを有する、求項1~6のいずれか一項に記載の組成物
【請求項8】
前記低減されたIGF-1血清レベルが約30~50マイクログラム/Lである、請求項に記載の組成物
【請求項9】
前記IGF-1および前記IGFBP-3が等モル量で複合体化されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物
【請求項10】
前記慢性肺疾患が気管支肺異形成症(BPD)である、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の投与が、12か月の修正年齢(CA)まで、慢性呼吸器病的状態(Chronic Respiratory Morbidity:CRM)の発生率低下をもたらす、求項1~10のいずれか一項に記載の組成物
【請求項12】
前記組成物の投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、気管支肺異形成症(BPD)の発生率低下をもたらす、求項1~11のいずれか一項に記載の組成物
【請求項13】
前記組成物の投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、重度脳室内出血(IVH)グレードIIIまたはIVの発生率低下をもたらす、求項1~12のいずれか一項に記載の組成物
【請求項14】
前記組成物の投与が、36週、40週、6カ月、8カ月、10カ月、または12カ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児網膜症(ROP)の発生率低下をもたらす、求項1~13のいずれか一項に記載の組成物
【請求項15】
前記組成物の投与が、36週、40週、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月、または12ヶ月の月経後年齢(PMA)まで、未熟児インデックス(PREMature Infant Index:PREMII)によって評価した場合の機能状態の上昇をもたらす、求項1~14のいずれか一項に記載の組成物