(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014577
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G11B 19/02 20060101AFI20230124BHJP
G06F 3/06 20060101ALI20230124BHJP
G11B 5/09 20060101ALI20230124BHJP
G11B 19/04 20060101ALI20230124BHJP
G11B 20/10 20060101ALI20230124BHJP
G11B 20/18 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G11B19/02 100Z
G06F3/06 306Z
G11B5/09 108
G11B5/09 361Z
G11B19/04 100Z
G11B20/10 301Z
G11B20/18 572B
G11B20/18 572F
G11B20/18 576B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118594
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】上田 茂夫
【テーマコード(参考)】
5D044
【Fターム(参考)】
5D044BC01
5D044CC04
5D044DE62
5D044EF02
5D044GK18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】動作不良が少ない情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ハードディスク装置10は、複数のヘッドを用いて、データを記憶領域に対して書き込み、記憶領域からデータを読み出すヘッド部10F1と、記憶領域に対して書き込み、読み出しの結果に基づき、ヘッドの各々の性能を判断する判断部10F2と、ヘッドのうち、性能が劣化している劣化ヘッドがあると判断すると、劣化ヘッドに割り当てたデータを劣化ヘッド以外のヘッドに割り当てる割当部10F7と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のヘッドを用いて、データを記憶領域に対して書き込み、及び、前記記憶領域から前記データを読み出すヘッド部と、
前記記憶領域に対して書き込み、及び、読み出しの結果に基づき、前記ヘッドの各々の性能を判断する判断部と、
前記ヘッドのうち、前記性能が劣化している劣化ヘッドがあると判断すると、前記劣化ヘッドに割り当てたデータを前記劣化ヘッド以外のヘッドに割り当てる割当部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記判断部は、
前記性能を示す性能値が閾値以上であるか否かで判断する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記性能値は、
SMART値である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記性能値は、
前記記憶領域から前記データを読み出すのに要した時間である
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記判断部は、
ディスク上の前記記憶領域に対してテスト書き込み、及び、テスト読み出しを行って、前記性能を判断し、
テストに用いる前記記憶領域は、
前記ディスク上に複数設けられる
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
複数のテストに用いる前記記憶領域に対してテストを行い、テスト結果に基づき故障時期を判断する故障判断部を更に備える
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
ハードディスクを用い、
前記ヘッドには、ヘッドごとにディスクが割り当てられ、
初期状態における前記性能を示す第1性能値を記憶する初期記憶部と、
前記記憶領域に対してテスト書き込み、及び、テスト読み出しを行って現状の性能値である第2性能値を取得するテスト部と、
前記第1性能値と前記第2性能値を比較する比較部とを更に備える
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数のヘッドを用いて、データを記憶領域に対して書き込み、及び、前記記憶領域から前記データを読み出すヘッド部を備える情報処理装置が行う情報処理方法であって、
前記記憶領域に対して書き込み、及び、読み出しの結果に基づき、前記ヘッドの各々の性能を判断する判断手順と、
前記ヘッドのうち、前記性能が劣化している劣化ヘッドがあると判断すると、前記劣化ヘッドに割り当てたデータを前記劣化ヘッド以外のヘッドに割り当てる割当手順と
を含む情報処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の情報処理方法を情報処理装置に実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハードディスクドライブ(以下「HDD」という。)を破損から保護する技術が知られている。例えば、HDDは、落下、振動、又は、衝撃等によってディスク面が破損する場合がある。このような破損から保護するため、ヘッドを退避させる等といった技術がある。
【0003】
例えば、情報処理装置が、まず、電力状態を特定する。そして、消費電力が少ない電力状態であると判断すると、情報処理装置は、補助記憶領域へ実記憶領域からデータを退避させる頻度を少なくする。このようにして、頻繁なアクセスによる不揮発性記憶装置の性能低下、及び、物理的な機能への影響を軽減させる技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、高い頻度でHDDへのアクセスが継続すると、磁気ヘッドが性能劣化してHDDの動作不良が起きる課題がある。
【0005】
本発明は、HDDの動作不良を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様である、情報処理装置は、
複数のヘッドを用いて、データを記憶領域に対して書き込み、及び、前記記憶領域から前記データを読み出すヘッド部と、
前記記憶領域に対して書き込み、及び、読み出しの結果に基づき、前記ヘッドの各々の性能を判断する判断部と、
前記ヘッドのうち、前記性能が劣化している劣化ヘッドがあると判断すると、前記劣化ヘッドに割り当てたデータを前記劣化ヘッド以外のヘッドに割り当てる割当部と
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、HDDの動作不良を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【
図2】ハードディスク装置10の制御例を示す図である。
【
図3】ディスク15と磁気ヘッド11の位置関係の例を示す図である。
【
図4】ハードディスク装置10の内部構造例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[情報処理装置の例]
図1は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。以下、情報処理装置が、図示するようなハードディスク装置10である例で説明する。
【0011】
ハードディスク装置10は、磁気ヘッド11、アーム12、アクチュエータ13、制御回路14、及び、ディスク15等を備えるハードウェア構成である。なお、ハードディスク装置10は、これら以外の装置を備えてもよい。
【0012】
ディスク15は、円盤状の形状である。そして、ディスク15は、データを記憶する。
【0013】
磁気ヘッド11は、ディスク15に対し、データの書き込みを行う。また、磁気ヘッド11は、ディスク15上に事前に書き込まれたデータを読み出す。
【0014】
以下、磁気ヘッド11によるディスク15への書き込みを「ライト(Write)」という場合もある。また、磁気ヘッド11によって、事前にディスク15に書き込まれたデータの読み出しを「リード(Read)」という場合もある。
【0015】
アーム12は、磁気ヘッド11を支持する。
【0016】
アクチュエータ13は、アーム12を動かす装置である。
【0017】
制御回路14は、ハードディスク装置10全体を制御するため、演算、及び、処理を実行する装置である。
【0018】
[テスト書き込み、及び、テスト読み出し用の記憶領域の設定例]
例えば、テスト書き込み、及び、テスト読み出し用に、記憶領域(以下「テスト領域」という。)が事前に設定される。以下、第1テスト領域M1、第2テスト領域M2、及び、第3テスト領域M3の3つの記憶領域を例に説明する。
【0019】
なお、テスト領域は、3つ以外でもよい。また、テスト領域は、図示する以外の範囲に設定してもよい。
【0020】
HDDの動作不良は、磁気ヘッド11に起因する場合と、ディスク15等に起因する場合とがある。そこで、ハードディスク装置10は、複数のテスト領域に対して、別々にテストを行う。そして、ハードディスク装置10は、各々のテスト結果を比較する。例えば、第1テスト領域M1と、第2テスト領域M2とでテスト結果が異なる場合がある。一方のテスト結果が閾値以上の性能値であったのに対し、他方のテスト結果が閾値未満の性能値であると、ハードディスク装置10は、ディスク15の損傷等が故障の原因であると判断できる。
【0021】
また、ハードディスク装置10は、複数のテスト領域でのテスト結果に基づき、故障個所を数えて、故障の度合いにしてもよい。具体的には、故障時期は、故障の度合いが一定値に達する時点をいう。なお、故障個所が1箇所でもあれば故障時期であるとしてもよい。ただし、ハードディスク装置10は、2箇所以上である場合を故障時期と判断するように設定されてもよい。
【0022】
ハードディスク装置10は、故障個所の増加により信頼性が低下する場合が多い。このように、ハードディスク装置10は、テスト結果に基づいて、故障時期を判断できるのが望ましい。
【0023】
以上のように、テストに用いる記憶領域は、ディスク15上に複数設けられるのが望ましい。このように、複数のテスト領域があると、ハードディスク装置10は、性能の劣化をより精度良く判断できる。
【0024】
[ハードディスク装置10の制御例]
図2は、ハードディスク装置10の制御例を示す図である。例えば、ディスク15への書き込み、及び、ディスク15からの読み出しは、以下のように制御される。
【0025】
ディスク15は、容量により、複数枚実装される。
【0026】
ディスク回転機能モジュール20は、ディスク15の回転数等を制御する。
【0027】
ヘッド位置決め機能モジュール21は、アドレスの位置に磁気ヘッド11を誘導する。
【0028】
ヘッド支持機能モジュール22は、磁気ヘッド11を支持する。
【0029】
リード/ライト機能モジュール23は、ディスク15への書き込み、及び、ディスク15からの読み出しを制御するコマンドを送る。
【0030】
コントロールモジュール24は、ヘッド位置決め機能モジュール21、ヘッド支持機能モジュール22、及び、リード/ライト機能モジュール23の制御等を行う。
【0031】
Central Processing Unit(以下「CPU26」という。)は、ハードディスク装置10の全体等を制御する演算装置、及び、制御装置の例である。
【0032】
制御I/F25は、CPU26とコントロールモジュール24の制御を行うためのインタフェースである。
【0033】
なお、モジュール構成等は、図示する構成に限られない。例えば、モジュール構成は、他にモジュールがあってもよい。
【0034】
図3は、ディスク15と磁気ヘッド11の位置関係の例を示す図である。例えば、磁気ヘッド11は、制御により、ディスク15と以下のような位置関係となる。
【0035】
ディスク15は、潤滑剤、保護膜153、磁性体154、及び、基板155等で構成する。
【0036】
流動部分151、及び、磁気ヘッド11の間は、3ナノメートル乃至5ナノメートル程度の間隔である。そして、流動部分151、及び、磁気ヘッド11の間を空気が流れる。
【0037】
潤滑剤は、流動部分151、及び、固定部分152がある。また、流動部分151、及び、固定部分152は、合わせて2ナノメートル乃至5ナノメートル程度の厚みである。
【0038】
基板155は、例えば、アルミニウム、又は、ガラス等を含む素材である。
【0039】
磁性体154の上部に保護膜153がある。そして、保護膜153を保護するため、潤滑剤が塗布される。
【0040】
例えば、連続した動作を行うと、機器内部の温度が上昇しやすい。そして、温度が上昇すると、潤滑剤が気化して磁気ヘッド11等に付着する現象が発生する。
【0041】
また、振動、又は、衝撃により、磁気ヘッド11がディスク15に接触して潤滑剤が磁気ヘッド11に付着する場合もある。ほかにも、ディスク15に損傷が生じると、データの読み取り、又は、書き込みができなくなる場合もある。
【0042】
なお、構成は、図示する以外の構成でもよい。
【0043】
[ディスク15の割り当て例]
図4は、ハードディスク装置10の内部構造例を示す図である。図示するように、複数の磁気ヘッド11、及び、複数のディスク15を用いる場合には、各々の磁気ヘッド11に対して、1つ、又は、複数のディスク15を事前に割り当てる。
【0044】
複数の磁気ヘッド11のうち、いずれかのヘッドが、性能が劣化しているヘッド(以下「劣化ヘッド」という。)であると判断された場合には、劣化ヘッドに割り当てたデータは、劣化ヘッド以外のヘッドに割り当てられる。
【0045】
例えば、磁気ヘッド11が動作不良となる前に、他の性能が良好な磁気ヘッドが割り当てられたディスクに、ハードディスク装置10は、データを退避させる。このようにすると、劣化ヘッド以外の磁気ヘッド11を使用するため、稼働を継続できる。
【0046】
[全体処理例]
図5は、全体処理例を示す図である。
【0047】
ステップS0501では、ハードディスク装置10は、データの書き込み、及び、読み出しを開始する。
【0048】
ステップS0502では、ハードディスク装置10は、稼働時間の計測を開始する。
【0049】
ステップS0503では、ハードディスク装置10は、経過時間が規定時間内であるか否かを判断する。そして、経過時間が規定時間内でないと(ステップS0503でNO)、ハードディスク装置10は、ステップS0504に進む。一方で、経過時間が規定時間内であると(ステップS0503でYES)、ハードディスク装置10は、ステップS0503に進む。
【0050】
ステップS0504では、ハードディスク装置10は、動作中であるか否かを判断する。そして、動作中であると(ステップS0504でYES)、ハードディスク装置10は、ステップS0505に進む。一方で、動作中でないと(ステップS0504でNO)、ハードディスク装置10は、ステップS0506に進む。
【0051】
ステップS0505では、ハードディスク装置10は、動作を中断する。
【0052】
すなわち、ステップS0501でデータの書き込み、及び、読み出しが開始されると、ハードディスク装置10は、稼働時間の計測を開始する(ステップS0502)。そして、事前に決められた規定時間内であれば計測を継続する(ステップS0503でYES)。一方で、ハードディスク装置10は、稼働時間が規定時間を超過すると(ステップS0503でNO)、リード/ライトの動作が継続されているか否かを判断する(ステップS0504)。
【0053】
次に、ハードディスク装置10は、動作が継続中であれば(ステップS0504でYES)動作を中断する(ステップS0505)。具体的には、ステップS0505では、ハードディスク装置10は、処理を再開する位置をメモリに保存する等を行う。
【0054】
ステップS0506では、ハードディスク装置10は、磁気ヘッド11をテスト領域に移動する。なお、リード/ライト等の動作が完了していれば(ステップS0504でNO)、ハードディスク装置10は、すぐに磁気ヘッド11をテスト領域に移動させる。
【0055】
ステップS0507では、ハードディスク装置10は、テストを開始する。
【0056】
ステップS0508では、ハードディスク装置10は、テストデータをメモリへ記憶する。
【0057】
ステップS0509では、ハードディスク装置10は、性能値を比較する。
【0058】
ステップS0510では、ハードディスク装置10は、性能値が閾値以上であるか否かを判断する。そして、性能値が閾値以上であると(ステップS0510でYES)、ハードディスク装置10は、ステップS0511に進む。一方で、性能値が閾値以上でないと(ステップS0510でNO)、ハードディスク装置10は、ステップS0513に進む。
【0059】
すなわち、ステップS0507により、磁気ヘッド11の性能を評価するテストが開始される。まず、ステップS0508では、ハードディスク装置10は、事前に用意したテストデータをリードする。
【0060】
テストデータは、事前に設定するデータ容量、及び、データ内容のデータである。したがって、テストデータの容量、及び、内容等は、ハードディスク装置10が把握できるため、書き込み、及び、読み込んだデータを事前に設定した容量、及び、内容と照合すれば、書き込み、及び、読み込みの精度、又は、速度等が把握できる。
【0061】
以下、ハードディスク装置10は、初期起動時等にテスト領域をリードし、性能値を初期状態で記憶する例で説明する。また、以下の説明は初期状態の性能値(以下「第1性能値」という。)を基準に性能が劣化しているか否かを判断する例とする。なお、第1性能値は、初期状態の性能値以外でもよい。例えば、第1性能値は、設定する値でもよい。
【0062】
性能値は、読み取り精度等である。第1性能値等は、メモリに保存される。
【0063】
ステップS0509では、ハードディスク装置10は、動作している途中等でテストを実行して取得する読み取り精度等の性能値、すなわち、現状の性能値(以下「第2性能値」という。)をメモリに保存する。
【0064】
そして、ステップS0509では、ハードディスク装置10は、第1性能値と第2性能値を比較する。
【0065】
例えば、第1性能値より、第2性能値が大きく乖離する値であるか否かが比較によって判断される。
【0066】
なお、どの程度の値で乖離が大きいかは例えば基準値が事前に設定される。
【0067】
ステップS0511では、ハードディスク装置10は、データを退避させる。
【0068】
ステップS0512では、ハードディスク装置10は、データの退避が完了したか否かを判断する。そして、データの退避が完了していると(ステップS0512でYES)、ハードディスク装置10は、ステップS0513に進む。一方で、データの退避が完了していないと(ステップS0512でNO)、ハードディスク装置10は、ステップS0512に進む。
【0069】
ステップS0513では、ハードディスク装置10は、連続動作へ復帰する。
【0070】
ステップS0514では、ハードディスク装置10は、連続動作を継続する。
【0071】
すなわち、判断の結果、劣化ヘッドがある場合(ステップS0510でYES)には、ハードディスク装置10は、データを劣化ヘッドから他の磁気ヘッド11へ割り当てを変更するように、データを退避させる(ステップS0511)。
【0072】
このように、磁気ヘッド11の性能劣化を性能値で定量的に判断できると、劣化ヘッドを精度良く判断できる。
【0073】
以降、ハードディスク装置10は、劣化ヘッドにデータが割り当てられないようにする。具体的には、ハードディスク装置10は、劣化ヘッドの使用、及び、劣化ヘッドに割り当てられたディスク15の使用を禁止する。
【0074】
一方で、性能値が閾値以上でなければ(ステップS0510でNO)、ハードディスク装置10は、磁気ヘッド11が以降も使用可能と判断し、動作を継続する(ステップS0513、及び、ステップS0514)。
【0075】
なお、全体処理は、上記の例に限られない。例えば、全体処理は、上記の例とは異なる順序で行われてもよい。また、全体処理は、上記の例以外の処理を行ってもよい。
【0076】
[性能値の例]
性能劣化は、データの読み出し、及び、書き込み等の処理速度が遅くなる、又は、エラーの発生する可能性が高い状態等をいう。そして、性能値は、このようなデータの読み出し、及び、書き込み等の性能を示す値である。
【0077】
性能値は、Self-Monitoring Analysis and Reporting Technologyを示す値(以下「SMART値」という。)を用いるのが望ましい。SMART値は、例えば、専用のプログラム、又は、BIOS等で管理される。なお、性能値は、信頼性、又は、処理速度等を示す値等でもよい。
【0078】
SMART値には、リード、及び、ライトにおけるエラーの回数等を含む。
【0079】
このようなSMART値を性能値に用いると、SMART値の結果に基づき、HDDに備わる機能ツールが使用できる。また、SMART値は、HDDで共通して使用される指標であるため、様々なHDDに適用できる。
【0080】
ほかにも、性能値は、記憶領域からデータを読み出すのに要した時間等であるのが望ましい。
【0081】
磁気ヘッド11は、劣化していると、記憶領域からデータを読み出すのに要する時間が長くなる場合が多い。ゆえに、初期状態におけるデータを読み出すのに要した時間と、現状におけるデータを読み出すのに要した時間とを比較すると、ハードディスク装置10は、磁気ヘッド11の性能劣化の度合いを判断できる。
【0082】
[機能構成例]
図6は、機能構成例を示す図である。例えば、ハードディスク装置10は、ヘッド部10F1、判断部10F2、及び、割当部10F7を備える。なお、ハードディスク装置10は、故障判断部10F3、初期記憶部10F4、テスト部10F5、及び、比較部10F6等を更に備えるのが望ましい。
【0083】
ヘッド部10F1は、複数のヘッドを用いて、データを記憶領域に対して書き込み、及び、前記記憶領域から前記データを読み出す。例えば、ヘッド部10F1は、磁気ヘッド11等で実現する。
【0084】
判断部10F2は、記憶領域に対して書き込み、及び、読み出しの結果に基づき、ヘッドの各々の性能を判断する判断手順を行う。例えば、判断部10F2は、CPU26等で実現する。
【0085】
割当部10F7は、劣化ヘッドがあると判断すると、劣化ヘッドに割り当てたデータを他のヘッドに割り当てる割当手順を行う。例えば、割当部10F7は、CPU26等で実現する。
【0086】
故障判断部10F3は、複数のテストに用いる記憶領域に対してテストを行い、テスト結果に基づき故障時期を判断する故障判断手順を行う。例えば、故障判断部10F3は、CPU26等で実現する。
【0087】
初期記憶部10F4は、第1性能値を記憶する初期記憶手順を行う。例えば、初期記憶部10F4は、制御回路14等で実現する。
【0088】
テスト部10F5は、記憶領域に対してテスト書き込み、及び、テスト読み出しを行って、第2性能値を取得するテスト手順を行う。例えば、テスト部10F5は、CPU26等で実現する。
【0089】
比較部10F6は、第1性能値と第2性能値を比較する比較手順を行う。例えば、比較部10F6は、CPU26等で実現する。
【0090】
HDDの故障率は、使い始めて1年半で5%、3年で1.5%、3年以上になると12%になり、高い故障率である。
【0091】
HDDの故障率を低減させるには、一定時間のアイドル状態が続く場合等に、磁気ヘッド11をホームポジションに退避して機器内部の温度を下げる等の方法がある。ただし、高い頻度でHDDへのアクセスが継続すると、アイドル状態が作りにくい。その結果、磁気ヘッド11は、ホームポジションに戻れず、ディスク15上に位置する。このような場合において、振動、又は、衝撃が発生すると、磁気ヘッド11がディスク15に接触する等により、ディスク15の破壊又は損傷が発生する。
【0092】
また、長時間動作が継続すると、内部の温度が上昇しやすい。その結果、機械駆動部分等に使用する潤滑油、又は、ディスク15の表面に塗布する潤滑剤等が気化しやすい。そのため、磁気ヘッド11に潤滑油等が付着し、磁気ヘッドの性能が劣化する場合がある。
【0093】
例えば、HDDを使用するシステムによっては、24時間連続して稼働する場合もある。このようなシステムでは、アイドル状態が確保しにくい。その結果、HDD内部の温度が上昇しやすい。ゆえに、気化した潤滑油により、磁気ヘッドが性能劣化する場合が多い。
【0094】
このような磁気ヘッド11の性能劣化、及び、性能劣化が進むことによるHDD故障等を避けるために、ハードディスク装置10は、稼働中の磁気ヘッド11の状態を監視し、磁気ヘッド11の性能劣化の程度を判断する。そして、ハードディスク装置10は、対象となる磁気ヘッド11の性能が著しく低下する前に、磁気ヘッド11に割り当てたディスクに書き込まれているデータを他のディスクに移行する。
【0095】
以上のようにして、劣化ヘッドに割り当てたデータを他のヘッドへ割り当てを変更すると、劣化ヘッドを使用してアクセスする場合が少なくできる。劣化ヘッドでアクセスすると、書き込み、又は、読み込みでエラー等の動作不良が多くなる。ゆえに、劣化ヘッド以外を使用するようにして、ハードディスク装置10は、データへのアクセスを良くできる。このようにして、ハードディスク装置10は、HDDの動作不良を少なくできる。
【0096】
なお、ハードディスク装置10は、ヘッドの各々の性能を判断するのに、第1性能値と第2性能値の比較、及び、閾値との比較のうち、どちらか一方、又は、両方の比較結果を用いて良い。
【0097】
すなわち、第1性能値と第2性能値を比較すると、ハードディスク装置10は、現状が初期状態からどのくらい性能劣化したかが分かる。また、第1性能値は、装置ごとに異なり、個々の装置でばらつく値となる場合がある。
【0098】
一方で、閾値は、実験等に基づき、複数の装置間で一律に設定できる。
【0099】
ゆえに、ハードディスク装置10は、どちらかの比較結果のうち、どちらか一方(OR)の比較結果が性能の劣化を示す場合に全体として劣化ヘッドである等と判断してもよい。このように異なる基準に基づく比較結果を用いると、ハードディスク装置10は、劣化ヘッドを見落とす可能性を少なくできる。
【0100】
[その他の実施形態]
上記で説明する実施形態の各機能は、1つ又は複数の処理回路によって実現することが可能である。「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサ、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又は回路モジュール等のデバイスを含む。
【0101】
情報処理装置は、HDDを搭載するネットワーク機器、ストレージサーバ、又は、画像形成装置等でもよい。すなわち、情報処理装置は、Network Attached Storage(NAS)等でもよい。
【0102】
情報処理装置は、情報処理方法をプログラム等により実行する。情報処理方法は、情報処理装置が備える演算装置、制御装置、及び、記憶装置を協働させて処理を実行することで実現される。
【0103】
上記の実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
10 :ハードディスク装置
10F1 :ヘッド部
10F2 :判断部
10F3 :故障判断部
10F4 :初期記憶部
10F5 :テスト部
10F6 :比較部
10F7 :割当部
11 :磁気ヘッド
12 :アーム
13 :アクチュエータ
14 :制御回路
15 :ディスク
20 :ディスク回転機能モジュール
21 :ヘッド位置決め機能モジュール
22 :ヘッド支持機能モジュール
23 :ライト機能モジュール
24 :コントロールモジュール
25 :制御I/F
26 :CPU
M1 :第1テスト領域
M2 :第2テスト領域
M3 :第3テスト領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0105】