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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145800
(43)【公開日】2023-10-11
(54)【発明の名称】絵本
(51)【国際特許分類】
   B42D 1/00 20060101AFI20231003BHJP
【FI】
B42D1/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023131775
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2021015387の分割
【原出願日】2019-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲生
(72)【発明者】
【氏名】中根 愛
(57)【要約】
【課題】幼児個々の興味と語彙獲得状況に応じた語彙獲得効果の高い絵本を提供する。
【解決手段】絵本は、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本である。絵本は、あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページにより構成された本編を含み、本編には、カテゴリについての、対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、カテゴリについての、対象者が発話できない1個の語に対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)を含む。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を製本した絵本であり、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本であって、
あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページにより構成された本編を含み、
前記本編には、
前記カテゴリについての、前記対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、
前記カテゴリについての、前記対象者が発話できない複数の語それぞれに対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、
を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)
を含み、
前記本編には、
前記第1の見開きページの前に、
前記カテゴリについては前記興味オブジェクトを表す絵のみを含み、
前記興味オブジェクトに関する文も含む、
第2の見開きページ
を含み、
前記本編には、
前記第2の見開きページの前に、
前記カテゴリについては前記興味オブジェクトを表す絵のみを含み、
前記興味オブジェクトに関する質問をする記載も含む、
第3の見開きページ
を含む絵本。
【請求項2】
紙を製本した絵本であり、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本であって、
あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページにより構成された本編を含み、
前記本編には、
前記カテゴリについての、前記対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、
前記カテゴリについての、前記対象者が発話できない1個の語に対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、
を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)
を含む絵本。
【請求項3】
電子ファイルによる絵本であり、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本であって、
前記電子ファイルには、前記絵本の見開きページの画像が、1画面に表示される形式で格納されており、
あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページの画像により構成された本編を含み、
前記本編には、
前記カテゴリについての、前記対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、
前記カテゴリについての、前記対象者が発話できない複数の語それぞれに対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、
を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)の画像
を含み、
前記本編には、
前記第1の見開きページの画像の前に、
前記カテゴリについては前記興味オブジェクトを表す絵のみを含み、
前記興味オブジェクトに関する文も含む、
第2の見開きページの画像
を含み、
前記本編には、
前記第2の見開きページの画像の前に、
前記カテゴリについては前記興味オブジェクトを表す絵のみを含み、
前記興味オブジェクトに関する質問をする記載も含む、
第3の見開きページの画像
を含む絵本。
【請求項4】
電子ファイルによる絵本であり、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本であって、
前記電子ファイルには、前記絵本の見開きページの画像が、1画面に表示される形式で格納されており、
あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページの画像により構成された本編を含み、
前記本編には、
前記カテゴリについての、前記対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、
前記カテゴリについての、前記対象者が発話できない1個の語に対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、
を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)の画像
を含む絵本。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば幼児の言葉の習得(語彙の獲得)のために用いる絵本に関する。
【背景技術】
【0002】
対象となる幼児に特化した絵本としては非特許文献1がある。非特許文献1は、物語の主人公の名前を対象となる幼児の名や愛称にすることで、対象となる幼児に特化した絵本を実現している。また、非特許文献2は、非特許文献1の要素に加えて、生年月日や親のメッセージを含むことにより、対象となる幼児に特化した絵本に出産記念の要素を含む内容になっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「オリジナルブックのページへようこそ」、[online]、遊絲社、[令和1年7月18日検索]、インターネット<URL:https://www.yuubook.com/oribook.html>
【非特許文献2】「出産祝い プレゼント 名入れ絵本[お名前・出産日など入れて完了♪]」、[online]、あなたの絵本ドットコム(株式会社クレソン・ブレス)、[令和1年7月18日検索]、インターネット<URL:https://www.anatano-ehon.com/SHOP/130.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1や2の絵本では、物語の主人公の名前が対象となる幼児の名や愛称になっているので、対象となる幼児は、自身が絵本の対象となっていることから興味をもって絵本を読むことができると想定されている。しかし、非特許文献1や2の絵本は、主人公の名前以外はある特定の固定的な内容と要素をもとに作成されるため、対象となる幼児の興味があるものが出現しなかったり、対象となる幼児が知っているものばかり出現したり、対象となる幼児にとって難し過ぎるものばかり出現したりする可能性が十分考えられる。従って、非特許文献1や2の絵本は、対象となる幼児の語彙の獲得などの知育的な側面に必ずしも貢献しないという課題がある。
【0005】
本発明は、幼児個々の興味と語彙獲得状況に応じた語彙獲得効果の高い絵本を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、絵本は、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本である。絵本は、あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページにより構成された本編を含み、本編には、カテゴリについての、対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、カテゴリについての、対象者が発話できない複数の語それぞれに対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)を含み、本編には、第1の見開きページの前に、カテゴリについては興味オブジェクトを表す絵のみを含み、興味オブジェクトに関する文も含む、第2の見開きページを含み、本編には、第2の見開きページの前に、カテゴリについては興味オブジェクトを表す絵のみを含み、興味オブジェクトに関する質問をする記載も含む、第3の見開きページを含む。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、絵本は、対象となる幼児個人(以下「対象者」という)に特化した絵本である。絵本は、あるカテゴリを対象とした1以上の見開きページにより構成された本編を含み、本編には、カテゴリについての、対象者が興味を有する1個のオブジェクト(以下、「興味オブジェクト」という)を表す絵と、カテゴリについての、対象者が発話できない1個の語に対応するオブジェクトを表す絵である未獲得語絵と、を含む見開きページ(以下、「第1の見開きページ」という)を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、幼児個々の興味と語彙獲得状況に応じた高い語彙獲得効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、絵本の表紙を例示する図である。
図2図2は、絵本の導入部を例示する図である。
図3図3は、絵本の本編の第3の見開きページを例示する図である。
図4図4は、絵本の本編の第2の見開きページを例示する図である。
図5図5は、絵本の本編の第1の見開きページを例示する図である。
図6図6は、絵本の終結部を例示する図である。
図7図7は、絵本の情報部を例示する図である。
図8図8は、絵本製作情報取得装置の機能構成を例示する図である。
図9図9は、絵本製作情報取得装置の処理手続きを例示する図である。
図10図10は、絵本製作装置の機能構成を例示する図である。
図11図11は、絵本製作装置の処理手続きを例示する図である。
図12図12は、絵本製作装置の機能構成を例示する図である。
図13図13は、絵本製作装置の処理手続きを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。第1実施形態では絵本について説明し、第2実施形態では絵本の製作に用いる情報を取得する装置や方法について説明し、第3実施形態と第4実施形態では第1実施形態の絵本を製作する装置や方法について説明する。
【0011】
<第1実施形態>
第1実施形態の絵本は、例えば、図1に例示する表紙110A,110B、図2に例示する導入部120A,120B、図3に例示する第3の見開きページ130A,130Bと図4に例示する第2の見開きページ140A,140Bと図5に例示する第1の見開きページ150A,150Bを含む本編、図6に例示する終結部160A,160B、裏表紙、を順に含む。ただし、本発明の絵本は、対象となる幼児(以下、対象者という)に特化したことが特徴であるので、各図の各参照番号には、例示した2人の対象者である「えれん」と「ゆっぴー」をそれぞれ特定する識別子であるAとBを付してある。すなわち、本明細書では絵本の各部の説明箇所においてAを付した参照番号とBを付した参照番号を「,」を挟んで併記してあるが、1つの絵本がAを付した参照番号の構成とBを付した参照番号の構成部との両方を備えるわけではなく、例えば、対象者「えれん」向けの絵本は、図1に例示する表紙110A、図2に例示する導入部120A、図3に例示する第3の見開きページ130Aと図4に例示する第2の見開きページ140Aと図5に例示する第1の見開きページ150Aを含む本編、図6に例示する終結部160A、図示しない裏表紙、を順に含む。また、例えば、対象者「ゆっぴー」向けの絵本は、図1に例示する表紙110B、図2に例示する導入部120B、図3に例示する第3の見開きページ130Bと図4に例示する第2の見開きページ140Bと図5に例示する第1の見開きページ150Bを含む本編、図6に例示する終結部160B、図示しない裏表紙、を順に含む。
【0012】
なお、第1実施形態の絵本が含む対象者に関する後述する情報、すなわち、対象者の名または愛称、性別、対象者が興味を有するオブジェクト、対象者が発話できない語などの情報は、第2実施形態の絵本製作情報取得装置や特開2019-101255などにより対象者の養育者などから取得されたものである。
【0013】
[表紙110A,110B]
表紙110A,110Bは、図1に例示するように、タイトル111A,111Bを含み、幼児を表す絵112A,112Bや作者名113A,113Bなどを含んでもよい。タイトルは、例えば図1のタイトル111Aの「えれんちゃんの すきなもの」及び図1のタイトル111Bの「ゆっぴーちゃんの すきなもの」のように、対象者の名または愛称を含み、かつ、対象者が興味を有するオブジェクトが話題となっていることを特定する記載である。対象者が幼児であることを考慮すると、対象者が興味を有するオブジェクトとしては、対象者が好きなオブジェクトを採用するのがよい。幼児を表す絵112A,112Bは、例えば幼児の顔を模した絵であり、対象者の性別に合わせた絵としてもよい。対象者「えれん」と対象者「ゆっぴー」はともに女児であるため、図1の幼児を表す絵112Aと図1の幼児を表す絵112Bは、女児の顔を模した絵としている。なお、表紙110A,110Bには、上述した以外の絵や記載を含んでもよい。
【0014】
[導入部120A,120B]
導入部120A,120Bは、図2に例示するように、導入記載121A,121Bを含む。導入記載は、例えば図2の導入記載121Aの「えれんちゃんの すきなもの さがしに いこう」及び図2の導入記載121Bの「ゆっぴーちゃんの すきなもの さがしに いこう」のように、対象者の名または愛称を含み、かつ、対象者が興味を有するオブジェクトを探す話であることを特定する記載である。なお、導入部120A,120Bには、上述した以外の絵や記載を含んでもよい。
【0015】
[本編]
本編は、第1の見開きページ150A,150B(図5参照)を含む。本編は、第1の見開きページ150A,150Bの前に第2の見開きページ140A,140B(図4参照)を含んでもよく、さらに第2の見開きページ140A,140Bの前に第3の見開きページ130A,130B(図3参照)を含んでもよい。また、絵本には複数の本編を含んでもよい。絵本に複数の本編を含む場合には、それぞれ異なるカテゴリの本編とする。対象者が幼児であることを考慮すると、カテゴリとしては単純かつ大括りであるものを用いるのがよく、例えば、「動物」「飲食物」「その他(すなわち、動物でも飲食物でもないもの)」の3個の少なくとも何れかをカテゴリとして用いるとよい。
【0016】
各本編では、各本編が対応するカテゴリについて、対象者が興味を有する1個のオブジェクトと、対象者が発話できない複数の語それぞれに対応するオブジェクトと、を扱う。以下では、対象者が興味を有するオブジェクトのことを「興味オブジェクト」とも呼び、対象者が発話できない語のことを「未獲得語」とも呼び、対象者が発話できない語に対応するオブジェクトのことを「未獲得語オブジェクト」とも呼ぶ。1個の本編に複数の見開きページを含む場合でも、1個の本編に含む全ての見開きページで扱う興味オブジェクトは同一である。
【0017】
[[本編の第1の見開きページ150A,150B]]
【0018】
[[[興味語絵151A,151Bと未獲得語絵152A-n,152B-n]]]
本編の第1の見開きページ150A,150Bには、図5に例示するように、あるカテゴリについての、対象者が興味を有する1個のオブジェクト(すなわち、興味オブジェクト)を表す絵151A,151Bと、対象者が発話できない複数の語それぞれに対応するオブジェクト(すなわち、未獲得語オブジェクト)を表す絵152A-n,152B-n(nは1以上N以下の整数、Nは2以上の整数)と、を少なくとも含む。以下では、第1の見開きページ150A,150Bが含む対象者が興味を有するオブジェクトを表す絵のことを「興味語絵」と呼び、第1の見開きページ150A,150Bが含む対象者が発話できない語に対応するオブジェクトを表す絵のことを「未獲得語絵」と呼ぶ。この第1の見開きページ150A,150Bの構成は、同じカテゴリの興味語絵と未獲得語絵を同等の位置付けで含むことで、対象者に興味語絵だけではなく未獲得語絵にも興味を持たせて、対象者が未獲得語オブジェクトを表す語を覚えて発話できるようになる効果を狙うものである。
【0019】
Nは3程度がよい。すなわち、第1の見開きページ150Aには、1個の興味語絵151Aと3個の未獲得語絵152A-1、152A-2、152A-3を、第1の見開きページ150Bには、1個の興味語絵151Bと3個の未獲得語絵152B-1、152B-2、152B-3を含むのがよい。第1の見開きページ150Aが3個の未獲得語絵152A-1、152A-2、152A-3を、第1の見開きページ150Bが、3個の未獲得語絵152B-1、152B-2、152B-3を含む場合には、対象者が発話できない語であって平均獲得齢が異なる3個の語それぞれに対応するオブジェクトの絵を3個の未獲得語絵とするのがよい。すなわち、3個の未獲得語絵152A-1、152A-2、152A-3、及び、3個の未獲得語絵152B-1、152B-2、152B-3が、対象者が発話できない3個の語である語α、語β、語γそれぞれに対応するオブジェクトを表す絵αp、絵βp、絵γpであるとすると、語αの平均獲得齢<語βの平均獲得齢<語γの平均獲得齢である。言い換えると、語αの平均獲得齢は語βの平均獲得齢より小さく、語γの平均獲得齢は語βの平均獲得齢より大きい。これは、対象者がまだ覚えていない語のうちの、対象者がすぐに覚えそうな語αに対応する絵αp、対象者が少し先に覚えそうな語βに対応する絵βp、対象者が更に先に覚えそうな語γに対応する絵γp、について対象者に同時に興味を持たせることで、難易度が最も低い語αについては対象者が最低でも覚えて発話できるようになる効果を狙い、さらには、語αより難易度が高い語βや語γについても対象者が覚えて発話できるようになる効果を狙うものである。
【0020】
なお、平均獲得齢とは、語を平均的な人が獲得する齢のことである。齢としては、絵本のように対象を幼児とする場合には月齢を用いることが多いが、年齢を用いてもよいし、日齢を用いてもよい。平均獲得齢の例は、Xを0≦X≦100の所定の数として、平均的な人のX%がその単語を獲得するX%獲得月齢である。Xは例えば50である。
【0021】
図5は、カテゴリが「動物」である場合の対象者「えれん」向けの第1の見開きページ150Aと対象者「ゆっぴー」向けの第1の見開きページ150Bを例示したものである。
【0022】
図5の興味語絵151Aは、対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」の絵であり、図5の3個の未獲得語絵152A-1、152A-2、152A-3は、対象者「えれん」が発話できない語に対応する動物である「ぞう」「キリン」「うし」の絵である。語「ぞう」の平均獲得月齢は24.05であり、語「キリン」の平均獲得月齢は26.15であり、語「うし」の平均獲得月齢は28.36である。図5の第1の見開きページ150Aは、対象者「えれん」が、難易度が最も低い語「ぞう」については最低でも覚えて発話できるようにする効果を狙い、さらには、語「ぞう」より難易度が高い語「キリン」や語「うし」についても覚えて発話できるようになる効果も狙ったものである。
【0023】
図5の興味語絵151Bは、対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」の絵であり、図5の3個の未獲得語絵152B-1、152B-2、152B-3は、対象者「ゆっぴー」が発話できない語に対応する動物である「ぞう」「カエル」「パンダ」の絵である。語「ぞう」の平均獲得月齢は24.05であり、語「カエル」の平均獲得月齢は26.54であり、語「パンダ」の平均獲得月齢は26.92である。図5の第1の見開きページ150Bは、対象者「ゆっぴー」が、難易度が最も低い語「ぞう」については最低でも覚えて発話できるようにする効果を狙い、さらには、語「ぞう」より難易度が高い語「カエル」や語「パンダ」についても覚えて発話できるようになる効果も狙ったものである。
【0024】
なお、第1の見開きページ150A,150Bには、それぞれ、オブジェクトを表す絵として興味語絵151A,151Bと複数個の未獲得語絵152A-n,152B-nの最低3個の絵が含まれることになるので、興味語絵と複数の未獲得語絵とのうちの少なくとも1個は基調色が異なるようにするとよい。基調色自体は語を覚えて発話できるようになることに直接的に影響するものではないが、興味を引く絵の絵本であれば対象者の絵本への興味は強まることが想定される。そこで、第1の見開きページ150A,150Bに含まれる絵に基調色のバリエーションを持たせておくことで、対象者の絵本への興味を強めて、対象者が語を覚えて発話できるようになる効果を間接的に高めることを狙っている。
【0025】
[[[質問記載153A,153B]]]
本編の第1の見開きページ150A,150Bには、図5に例示するように、対象者が興味を有するオブジェクト(すなわち、興味オブジェクト)がどれであるかを質問する記載である質問記載153A,153Bを含むとよい。質問記載153A,153Bは、例えば図5の質問記載153Aの「ねこ どこどこ?」のように、対象者「えれん」が好きな動物「ねこ」がどれであるかを質問する記載であり、また例えば図5の質問記載153Bの「いぬ どこどこ?」のように、対象者「ゆっぴー」が好きな動物「いぬ」がどれであるかを質問する記載である。質問記載153A,153Bは、興味オブジェクトがどれであるかを確認するために興味語絵だけではなく未獲得語絵についても対象者が目視する必要性を生じさせることで、未獲得語オブジェクトにも対象者に興味を持たせて、対象者が未獲得語を覚えて発話できるようになる効果も狙うものである。
【0026】
なお、質問記載には、例えば図5の質問記載153Aと153Bの「どうぶつ いっぱい」のように、本編が対応するカテゴリに含まれるオブジェクトの絵が第1の見開きページ150A,150Bに複数含まれていることを表す文も含んでもよい。この文は、第1の見開きページ150A,150Bに含まれている未獲得語絵152A-n,152B-nが表す未獲得語オブジェクトが、第1の見開きページ150A,150Bに含まれている興味語絵151A,151Bが表す興味オブジェクトと同じカテゴリに含まれることを対象者に覚えさせる効果も狙うものである。
【0027】
[[[興味オブジェクトを表す語の文字表記154A,154Bと未獲得語の文字表記155A-n,155B-n]]]
本編の第1の見開きページ150A,150Bには、図5に例示するように、興味オブジェクトの絵151A,151Bの近傍に興味オブジェクトを表す語の文字表記154A,154Bを含んでもよく、未獲得語オブジェクトの絵152A-n,152B-nそれぞれの近傍に未獲得語の文字表記155A-n,155B-nを含んでもよい。例えば図5に示すように、対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」の絵151Aのすぐ下に「ねこ」との文字表記154Aを含み、対象者「えれん」が発話できない語に対応する動物である「ぞう」「キリン」「うし」の絵152A-1、152A-2、152A-3それぞれのすぐ下に、「ぞう」「キリン」「うし」との文字表記155A-1、155A-2、155A-3を含んでもよい。また例えば図5に示すように、対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」の絵151Bのすぐ下に「いぬ」との文字表記154Bを含み、対象者「ゆっぴー」が発話できない語に対応する動物である「ぞう」「カエル」「パンダ」の絵152B-1、152B-2、152B-3それぞれのすぐ下に、「ぞう」「カエル」「パンダ」との文字表記155B-1、155B-2、155B-3を含んでもよい。
【0028】
なお、第1の見開きページ150A,150Bには、上述した以外の絵や記載は含まないほうがよく、含むとしてもオブジェクトの絵ではなく装飾的な絵を含む程度とする必要がある。
【0029】
[[第2の見開きページ140A,140B]]
本編の第2の見開きページ140A,140Bは、絵本において本編の第1の見開きページ150A,150Bの前に含むページであって、図4に例示するように、本編が対応するカテゴリ(すなわち、第1の見開きページ150A,150Bと同じカテゴリ)については興味オブジェクトの絵141A,141Bのみを含み、興味オブジェクトに関する文142A,142Bも含む。対象者が幼児であることを考慮すると、1個の本編があまりに多くの見開きページを含むのは好ましくないことから、本編において、第2の見開きページ140A,140Bは、第1の見開きページ150A,150Bの直前に含むようにするとよい。
【0030】
図4は、カテゴリが「動物」である場合の対象者「えれん」向けの第2の見開きページ140Aと対象者「ゆっぴー」向けの第2の見開きページ140Bを例示したものである。図4の第2の見開きページ140Aは、「動物」カテゴリについては対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」の絵141Aのみを含み、「ねこ」以外の動物の絵は含まない。さらに、図4の第2の見開きページ140Aは、対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」に関する文142Aである「ねこさん にゃー にゃー にゃー」を含む。図4の第2の見開きページ140Bは、「動物」カテゴリについては対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」の絵141Bのみを含み、「いぬ」以外の動物の絵は含まない。さらに、図4の第2の見開きページ140Bは、対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」に関する文142Bである「いぬさん わん わん わん」を含む。
【0031】
なお、第2の見開きページ140A,140Bには、対象としているカテゴリ以外であれば上述した以外の絵や記載を含んでもよいが、対象者の注意が興味オブジェクトの絵141A,141Bからそれないようにするためには、装飾的な絵を含む程度とするのがよい。
【0032】
本編において第2の見開きページ140A,140Bの後に含まれる第1の見開きページ150A,150Bは、当該本編が対象としているカテゴリについて、対象者が興味を有するオブジェクトの絵だけではなく、対象者が発話できない語に対応するオブジェクトの絵を複数個含むという、対象者にとっては難易度が高いものである。そして、第1の見開きページ150A,150Bが質問記載153A,153Bを含んでいたり養育者から質問記載153A,153Bと同様の質問をされたりした場合には、対象者は複数個存在している絵の中から興味を有するオブジェクトの絵を探し出す必要があり、これも対象者にとっては難易度が高い。そこで、対象としているカテゴリについては興味オブジェクトの絵141A,141Bのみを含み、興味オブジェクトに関する文142A,142Bを含む、第2の見開きページ140A,140Bを第1の見開きページ150A,150Bの前に含めるようにすることで、第1の見開きページ150A,150Bにおける対象者の難易度を実質的に下げることができる。
【0033】
[[第3の見開きページ130A,130B]]
本編の第3の見開きページ130A,130Bは、絵本において本編の第2の見開きページ140A,140Bの前に含むページであって、図3に例示するように、本編が対応するカテゴリ(すなわち、第1の見開きページ150A,150B及び第2の見開きページ140A,140Bと同じカテゴリ)については興味オブジェクトの絵131A,131Bのみを含み、興味オブジェクトに関する質問をする記載である質問記載132A,132Bも含む。対象者が幼児であることを考慮すると、1個の本編があまりに多くの見開きページを含むのは好ましくないことから、本編において、第3の見開きページ130A,130Bは、第2の見開きページ140A,140Bの直前に含むようにするとよい。また、第3の見開きページ130A,130Bの興味オブジェクトの絵131A,131Bは、第1の見開きページ150A,150Bの興味語絵151A,151Bとも第2の見開きページ140A,140Bの興味オブジェクトの絵141A,141Bとも異なるものとするとよい。
【0034】
なお、質問記載132A,132Bは、興味オブジェクトの特徴を含んだ質問をする記載とするのがよく、興味オブジェクトの特徴を含み、かつ、興味オブジェクトが何であるかの質問をする記載としてもよい。興味オブジェクトの特徴とは、興味オブジェクトの存在に起因して知覚される特徴であり、例えば、興味オブジェクトそのものの視覚的な特徴、興味オブジェクトの動きによって知覚される視覚的な特徴や聴覚的な特徴、興味オブジェクトに触れた際に知覚される触覚的な特徴、興味オブジェクトを飲食した際に知覚される味覚的な特徴、興味オブジェクトが匂いを発したときに知覚される嗅覚的な特徴、などであってもよい。また、質問記載132A,132Bには、興味オブジェクトの特徴を複数個含んでもよく、興味オブジェクトの複数種類の特徴を含んでもよい。
【0035】
図3は、カテゴリが「動物」である場合の対象者「えれん」向けの第3の見開きページ130Aと対象者「ゆっぴー」向けの第3の見開きページ130Bを例示したものである。図3の第3の見開きページ130Aは、「動物」カテゴリについては対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」の絵131Aのみを含み、「ねこ」以外の動物の絵は含まない。さらに、図3の第3の見開きページ130Aは、対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」の視覚的な特徴を含んだ質問をする質問記載132Aである「さんかく おみみの きみ だあれ?」を含む。図3の第3の見開きページ130Bは、「動物」カテゴリについては対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」の絵131Bのみを含み、「いぬ」以外の動物の絵は含まない。さらに、図3の第3の見開きページ130Bは、対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」の視覚的な特徴を含んだ質問をする質問記載132Bである「ふりふり しっぽの きみ だあれ?」を含む。また、例えば、対象者が好きな動物が「サカナ」である場合には、第3の見開きページは、「動物」カテゴリについては対象者が好きな動物である「サカナ」の絵のみを含み、「サカナ」以外の動物の絵は含まず、対象者が好きな動物である「サカナ」の聴覚的な特徴も含んだ質問をする質問記載である「ぴちぴち すいー きみ だあれ?」を含む。
【0036】
なお、第3の見開きページには興味オブジェクトの絵と興味オブジェクトに関する質問をする記載である質問記載を少なくとも含んでいればよく、図3の「あたまを なで なで なで」や図3のような「おしりを なで なで なで」のような興味オブジェクトに関する文も第3の見開きページ130A,130Bが含んでいてもよい。ただし、第3の見開きページ130A,130Bは、興味オブジェクトに関する質問をするものであることから、興味オブジェクトの絵131A,131B以外には意味を有する絵を含まないようにする必要がある。
【0037】
本編の第1の見開きページ150A,150Bと第2の見開きページ140A,140Bにおいては、当該本編が対象としているカテゴリについて、対象者が興味を有するオブジェクトとして1個の特定のオブジェクトを対象にしている。本編が対象にしている興味オブジェクトは必ず対象者が興味を有するオブジェクトではあるものの、本編が対象としているカテゴリについて対象者が興味を有するオブジェクトが1個とは限らない。例えば、対象者「えれん」は「いぬ」も好きかもしれないし、対象者「ゆっぴー」は「ねこ」も好きかもしれない。そこで、第2の見開きページ140A,140Bの前に第3の見開きページ130A,130Bを含めることで、本編が対象にしている興味オブジェクトを対象者自身に特定させて、対象者を本編が対象としている興味オブジェクトに引き込むことができる。
【0038】
[終結部160A,160B]
終結部160A,160Bは、それぞれ、図6に例示するように、終結記載161A,161Bと興味オブジェクトの絵162A,162Bを含む。終結記載は、例えば図6の終結記載161A,161Bの「あ~ たのしかった すきなもの いっぱい」のように、対象者が興味を有するオブジェクトの話であったことを特定する記載である。終結記載161A,161Bには、対象者の名または愛称を含むようにしてもよい。興味オブジェクトの絵162A,162Bは、絵本が含む本編の興味オブジェクトの絵である。絵本が複数の本編を含んでいる場合には、終結部160A,160Bは、絵本が含む複数個の本編それぞれの興味オブジェクトの絵である複数個の絵を興味オブジェクトの絵162A,162Bとして含んでもよい。ただし、終結部160A,160Bは、上述した以外の絵や記載を含んでもよいが、絵本が含む本編の各カテゴリについては、興味オブジェクトの絵162A,162Bのみを含み、興味オブジェクト以外のオブジェクトの絵は含まない。
【0039】
図6は、絵本が「動物」「飲食物」「その他」の3個のカテゴリを含む場合の対象者「えれん」向けの終結部160Aと対象者「ゆっぴー」向けの終結部160Bを例示したものである。図6の終結部160Aは、対象者「えれん」が好きな動物である「ねこ」の絵162A-1と、対象者「えれん」が好きな飲食物である「ぎゅうにゅう」の絵162A-2と、対象者「えれん」が好きなその他の物である「どんぐり」の絵162A-3と、の3個の絵を興味オブジェクトの絵162Aとして含む。図6の終結部160Bは、対象者「ゆっぴー」が好きな動物である「いぬ」の絵162B-1と、対象者「ゆっぴー」が好きな飲食物である「アイスクリーム」の絵162B-2と、対象者「えれん」が好きなその他の物である「でんしゃ」の絵162B-3と、の3個の絵を興味オブジェクトの絵162Bとして含む。
【0040】
[裏表紙]
裏表紙は、図は例示しないが、周知の絵本と同様に絵や文字などを適宜含むものとすればよい。
【0041】
<第1実施形態の変形例>
絵本には、養育者向けのページとして、対象者の語の獲得に関する情報を含むページである情報部を含んでもよい。この場合には、絵本には、終結部160A,160Bの後かつ裏表紙より前に、すなわち、終結部160A,160Bと裏表紙の間に、図7に例示する情報部170A,170Bを含めるとよい。
【0042】
[情報部170A,170B]
情報部170A,170Bは、対象者の語の獲得に関する情報を含むページである。情報部170A,170Bは、図7に例示するように、対象者の名または愛称、対象者が覚えている語の数、対象者が既に覚えている語の例、対象者がこれから覚えると予想される語の例、を含む。対象者がこれから覚えると予想される語は、対象者の歳と対象者がこれまでに覚えた語と、発明者らが収集した各語の平均獲得齢などの情報と、から得られるものである。対象者がこれまでに覚えた語の数や対象者が既に覚えている語の例には、例えば特開2019-101255に記載された語彙力取得装置で取得した情報を用いればよい。なお、対象者がこれから覚えると予想される語は、図7に例示するように、複数個の期間に分けて例示してもよい。
【0043】
<第2実施形態>
第1実施形態の絵本を製作するためには、対象者が興味を有するオブジェクト、対象者が発話できない語、などの情報が必要である。第2実施形態では、これらの情報を取得する絵本製作情報取得装置とその動作について説明する。
【0044】
第2実施形態の絵本製作情報取得装置は、図8に例示する絵本製作情報取得装置200のように、例えば、興味語選択部210と未獲得語選択部220と入力部230と表示部240と絵本素材記憶部250と対象者情報記憶部260を備える。第2実施形態の絵本製作情報取得装置200は、対象者の養育者などの利用者が、第1実施形態の絵本に含める各カテゴリについて、複数個の興味オブジェクトの候補のうちの1個を興味オブジェクトとして選択し、また、複数個の未獲得語の候補から未獲得語を選択するためのものであり、図9に例示するステップS210とステップS220を行う。第1実施形態で上述した通り、絵本に含めるカテゴリは1個でもよく複数個でもよい。すなわち、絵本製作情報取得装置200は、少なくともある1個のカテゴリについて、図9に例示するステップS210とステップS220を行う。なお、第2実施形態の絵本製作情報取得装置200は、図8に破線で例示するように対象者情報取得部270も備えて、図9に破線で例示するステップS270も行ってもよい。
【0045】
[絵本素材記憶部250]
絵本素材記憶部250には、絵本に含める各カテゴリについての、複数個の興味オブジェクトを表す語の候補と、複数個の未獲得語の候補と、が予め記憶されている。
【0046】
例えば、絵本素材記憶部250には、「動物」「飲食物」「その他」の3個のカテゴリそれぞれについて、興味オブジェクトを表す語の候補が15個記憶されている。興味オブジェクトを表す語の候補は、各カテゴリに含まれる名詞であり、事前の養育者へのアンケート調査で幼児が興味あるオブジェクトとしてランキングの上位に含まれたものであり、絵を見て何であるかが分かり易い語であることを条件として、予め人手で選択されたものである。また例えば、絵本素材記憶部250には、「動物」「飲食物」「その他」の3個のカテゴリそれぞれについて、未獲得語の候補が20個記憶されている。未獲得語の候補は、各カテゴリに含まれる名詞であり、平均獲得齢が絵本の対象齢に基づく所定の齢の範囲内(例えば、月齢18~32ヶ月)にある語であり、絵を見て何であるかが分かり易い語であることを条件として、予め人手で選択したものである。
【0047】
なお、絵本素材記憶部250に予め記憶しておく興味オブジェクトを表す語の候補数や未獲得語の候補数は、全てのカテゴリで同一とする必要はなく、カテゴリごとに所望の値を設定すればよい。
【0048】
[興味語の選択(ステップS210)]
興味語の選択は、カテゴリごとに、以下のステップS210-1からステップS210-4により行われる。興味語選択部210は、対象とするカテゴリについての、絵本素材記憶部250に記憶された複数個の興味オブジェクトを表す語の候補を絵本素材記憶部250から読み出して(ステップS210-1)、読み出した複数個の興味オブジェクトを表す語の候補全てを選択肢として表示部240に表示させて(ステップS210-2)、表示部240が表示した候補のうちの何れか1個に対する利用者による選択操作を入力部230に受け付けさせて(ステップS210-3)、入力部230が選択操作を受け付けた候補を興味オブジェクトを表す語として選択して対象者情報記憶部260に記憶する(ステップS210-4)。
【0049】
[未獲得語の選択(ステップS220)]
未獲得語の選択は、カテゴリごとに、以下のステップS220-1からステップS220-4により行われる。未獲得語選択部220は、対象とするカテゴリについての、絵本素材記憶部250に記憶された複数個の未獲得語の候補を絵本素材記憶部250から読み出して(ステップS220-1)、読み出した複数個の未獲得語の候補それぞれを表示部240に表示させて(ステップS220-2)、表示部240が表示したそれぞれの候補について対象者が発話できるか否かについての利用者による選択操作を入力部230に受け付けさせて(ステップS220-3)、対象者が発話できないとの選択操作を入力部230が受け付けた語を未獲得語として選択して対象者情報記憶部260に記憶する(ステップS220-4)。
【0050】
[対象者情報の取得(ステップS270)]
なお、絵本製作情報取得装置200が対象者情報取得部270を備える場合には、対象者情報取得部270は、対象者の名や愛称や性別を入力するための画面を表示部240に表示させて、対象者の名や愛称や性別についての利用者による入力操作を入力部230に受け付けさせて、入力された対象者の名や愛称や性別を対象者情報記憶部260に記憶するようにしてもよい。
【0051】
<第3実施形態>
第3実施形態では、まず、第1実施形態の絵本を製作する装置とその動作について説明する。
【0052】
第3実施形態の絵本製作装置は、図10に例示する絵本製作装置300のように、例えば、個人特化素材取得部310とページ画像生成部320と絵本製作部330と絵本素材記憶部250と対象者情報記憶部260を備える。第3実施形態の絵本製作装置300は、各対象者向けの絵本を製作するものであり、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の情報に基づいて絵本素材記憶部250から素材を選択して、選択した素材を用いて絵本のページ画像を生成して、生成したページ画像を含む絵本を製作するものである。絵本製作装置300は、対象者ごとに、図11に例示するステップS310からステップS330を行う。すなわち、絵本製作装置300は、ある一人の対象者向けの絵本を製作する場合であれば、当該対象者について図11に例示するステップS310からステップS330を1回行う。
【0053】
[絵本素材記憶部250]
絵本素材記憶部250は、絵本の素材となる画像やテキストの情報を予め記憶した記憶部である。
【0054】
絵本素材記憶部250には、例えば、絵本の表紙110A,110Bの元画像、導入部120A,120Bの元画像、第3の見開きページ130A,130Bの元画像、第2の見開きページ140A,140Bの元画像、第1の見開きページ150A,150Bの元画像、終結部160A,160Bの元画像、裏表紙の元画像、が予め記憶されている。各元画像は、対象者に特化した部分を含まない画像である。対象者に特化した部分とは、例えば、図1に例示した表紙110A,110Bであれば、タイトル111A,111Bのうちの対象者の名または愛称であり、図5に例示した第1の見開きページ150A,150Bであれば、興味オブジェクトを表す絵151A,151B、未獲得語絵152A-n,152B-n、質問記載153A,153B、興味オブジェクトを表す語の文字表記154A,154B、未獲得語の文字表記155A-n,155B-nである。
【0055】
また、絵本素材記憶部250には、絵本に含める各カテゴリについての、複数組(M組、Mは2以上の整数)の興味オブジェクトを表す語の候補のテキストと各候補が対応する興味オブジェクトを表す絵と興味オブジェクトに関する文のテキストの組、複数組(L組、LはNより大きい整数)の未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵との組、が予め記憶されている。興味オブジェクトに関する文のテキストは各組について複数個であってもよく、絵本素材記憶部250には、興味オブジェクトに関する文のテキストを絵本に含める複数通りについて記憶しておく。また、未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵との組は、平均獲得齢順が分かるように絵本素材記憶部250に記憶しておくのがよく、例えば、平均獲得齢順に記憶しておいてもよいし、平均獲得齢も組に含めて記憶しておいてもよい。なお、絵本素材記憶部250に記憶しておく組の個数はカテゴリごとに異なっていてもよい。すなわち、前述したMやLの値はカテゴリごとに異なっていてもよい。
【0056】
例えば、絵本素材記憶部250には、「動物」「飲食物」「その他」の3個のカテゴリそれぞれについて、興味オブジェクトを表す語の候補のテキストと各候補が対応する興味オブジェクトを表す絵と興味オブジェクトに関する文のテキストの組が15組記憶されている。また例えば、絵本素材記憶部250には、「動物」「飲食物」「その他」の3個のカテゴリそれぞれについて、未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵との組が20組記憶されている。
【0057】
絵本素材記憶部250に記憶しておく興味オブジェクトを表す語の候補と未獲得語の候補は、第2実施形態の絵本製作情報取得装置200の絵本素材記憶部250に記憶しておく興味オブジェクトを表す語の候補と未獲得語の候補と同じとする。
【0058】
また、絵本素材記憶部250には、性別ごとの幼児を表す絵の画像が記憶されている。絵本素材記憶部250には、例えば、男児の顔を模した絵の画像と女児の顔を模した絵の画像が記憶されており、男児の姿を模した絵の画像と女児の姿を模した絵の画像も記憶されていてもよい。
【0059】
[対象者情報記憶部260]
対象者情報記憶部260は、絵本の製作に用いる対象者ごとの情報を予め記憶した記憶部である。対象者情報記憶部260には、対象者ごとの、興味オブジェクトを表す語、未獲得語、名や愛称、性別、が予め記憶されている。対象者情報記憶部260に予め記憶しておくこれらの情報は、例えば、第2実施形態の絵本製作情報取得装置200が対象者情報記憶部260に記憶したものである。
【0060】
[個人特化素材の取得(ステップS310)]
個人特化素材取得部310は、絵本の各部に用いる対象者ごとの画像及びテキストを、対象者情報記憶部260と絵本素材記憶部250の少なくとも何れかに基づいて取得してページ画像生成部320に出力する。第2実施形態の絵本製作情報取得装置200が取得した対象者の情報に基づいて第1実施形態の絵本の各部に用いる対象者ごとの画像やテキストを取得する場合であれば、個人特化素材取得部310は、例えば下記の動作をする。
【0061】
〔名または愛称の取得〕
個人特化素材取得部310は、対象者情報記憶部260から、対象者の名または愛称を取得して出力する。例えば、対象者「えれん」向けの絵本を製作する場合であれば、対象者情報記憶部260から「えれん」とのテキストを取得して出力する。
【0062】
〔幼児を表す絵の画像の取得〕
個人特化素材取得部310は、絵本素材記憶部250に記憶された幼児を表す絵の画像のうち、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の性別に対応する画像を取得して出力する。例えば、対象者「えれん」向けの絵本を製作する場合であれば、絵本素材記憶部250に記憶された女児の顔を模した絵の画像と男児の顔を模した絵の画像のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者「えれん」の性別である「女」に対応する画像である女児の顔を模した絵の画像を取得して出力する。
【0063】
〔興味オブジェクトを表す語のテキスト、興味オブジェクトを表す絵の画像、興味オブジェクトに関する文のテキスト、の取得〕
個人特化素材取得部310は、絵本に含める各カテゴリについて、絵本素材記憶部250に記憶されたM組の興味オブジェクトを表す語の候補のテキストと各候補が対応する興味オブジェクトを表す絵の画像と興味オブジェクトに関する文のテキストの組のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の興味オブジェクトを表す語のテキストを含む組(1組)に含まれる興味オブジェクトを表す語のテキストと興味オブジェクトを表す絵の画像と興味オブジェクトに関する文のテキストを取得して出力する。例えば、対象者「えれん」向けの絵本を製作する場合であれば、絵本に含める「動物」カテゴリについては、絵本素材記憶部250に記憶された15組の興味オブジェクトを表す語の候補のテキストと各候補が対応する興味オブジェクト表す絵と興味オブジェクトに関する文のテキストとの組のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者「えれん」の興味オブジェクトを表す語「ねこ」のテキストを含む組に含まれる、「ねこ」とのテキストと、「ねこ」を表す絵の画像と、「ねこさん にゃー にゃー にゃー」とのテキストと、「さんかく おみみの きみ だあれ?」とのテキストと、「あたまを なで なで なで」とのテキストと、を取得して出力する。
【0064】
〔未獲得語オブジェクトを表す語のテキスト、未獲得語オブジェクトを表す絵の画像、の取得〕
個人特化素材取得部310は、絵本に含める各カテゴリについて、絵本素材記憶部250に記憶されたL組の未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵の画像との組のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の未獲得語のうちのN個それぞれを含む組(すなわちN組)を選択し、選択した各組に含まれる未獲得語オブジェクトを表す語のテキストと未獲得語オブジェクトを表す絵の画像を取得して出力する。例えば、「動物」カテゴリについて、対象者情報記憶部260に記憶された対象者「えれん」の未獲得語が12語であり、L=20でありN=3である場合であれば、個人特化素材取得部310は、絵本素材記憶部250に記憶された20組の未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵の画像との組のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者「えれん」の未獲得語12語のうちの3個それぞれを含む組(すなわち3組)を選択し、選択した各組に含まれる未獲得語オブジェクトを表す語のテキストと未獲得語オブジェクトを表す絵の画像を取得して出力する。
【0065】
なお、個人特化素材取得部310は、絵本に含める各カテゴリについて、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の未獲得語の個数(K個とする。Kは正の整数)が選択する個数(N個)より多い場合には、対象者の未獲得語K個のうち、平均獲得齢が最も小さいものからK/N番目のものまで、平均獲得齢がK/N+1番目のものから2K/N番目のものまで、・・・、平均獲得齢が(N-1)K/N+1番目のものからK番目のものまで、の各範囲から1語ずつ選択するようにするとよい。範囲内に複数語がある場合には、個人特化素材取得部310は、複数語からランダムに1語を選択すればよい。また、KがNで割り切れない場合には、個人特化素材取得部310は、上述した各分数により計算された値に代えて、各分数により計算された値の小数第一位を切り捨てたり切り上げたり四捨五入したりすることにより得た整数値を用いればよい。個人特化素材取得部310をこのように動作をさせる場合には、絵本素材記憶部250には、L組の未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵の画像との組を、平均獲得齢順が分かるように記憶しておけばよく、例えば、平均獲得齢順に記憶しておいてもよいし、平均獲得齢も組に含めて記憶しておいてもよい。
【0066】
例えば、個人特化素材取得部310は、絵本素材記憶部250に記憶された20組の未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵の画像との組のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者「えれん」の「動物」カテゴリの未獲得語12語のうちの、平均獲得齢が最も小さいものから4番目のものまでの4語、平均獲得齢が5番目のものから8番目のものまでの4語、平均獲得齢が9番目のものから12番目のものまでの4語、の各範囲からランダムに1語ずつ選択することにより、対象者「えれん」の「動物」カテゴリの未獲得語12語のうちの3個それぞれを含む組(すなわち3組)を選択し、選択した各組に含まれる未獲得語オブジェクトを表す語のテキストと未獲得語オブジェクトを表す絵の画像を取得して出力する。このようにN=3とすれば、個人特化素材取得部310は、対象者の未獲得語K個のうちの、対象者がすぐに覚えそうな未獲得語αとこの未獲得語オブジェクトに対応する絵αp、対象者が少し先に覚えそうな未獲得語βとこの未獲得語オブジェクトに対応する絵βp、対象者が更に先に覚えそうな未獲得語γとこの未獲得語オブジェクトに対応する絵γp、を選択することができる。すなわち、INT()が、括弧内の数が整数値である場合には当該整数値を表し、括弧内の数が小数値である場合に当該小数値を整数化した値を表すとすると、個人特化素材取得部310は、対象者が発話できない語に対応するオブジェクトを表す絵のうちの、平均獲得齢が最も小さいものからINT(K/3)番目のものまでの範囲のうちの1個を未獲得語αに対応するオブジェクトの絵αpとして選択し、平均獲得齢がINT(K/3)+1からINT(2K/3)番目のものまでの範囲のうちの1個を未獲得語βに対応するオブジェクトの絵βpとして選択し、平均獲得齢がINT(2K/3)+1からK番目のものまでの範囲のうちの1個を未獲得語γに対応するオブジェクトの絵γpとして選択するとよい。
【0067】
なお、個人特化素材取得部310は、絵本に含める各カテゴリについて、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の未獲得語の個数(K個)が選択する個数(N個)より少ない場合には、N-K個については、絵本素材記憶部250に記憶されたL組の未獲得語の候補のテキストと各候補が対応する未獲得語オブジェクトを表す絵の画像との組のうちの、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の未獲得語ではないもののうちの、平均獲得齢が大きいものからN-K個それぞれを含む組も選択し、選択した各組に含まれる未獲得語オブジェクトを表す語のテキストと未獲得語オブジェクトを表す絵の画像も取得して出力すればよい。これにより、これらのN-K個は実際には対象者の未獲得語ではないものの、対象者が最近発話できるようになったであろう語の定着を促すことができる。
【0068】
[ページ画像の生成(ステップS320)]
ページ画像生成部320は、絵本素材記憶部250から入力された絵本の各部の元画像、すなわち、絵本の各部の対象者に特化した部分を含まない画像に、個人特化素材取得部310から入力された絵本の各部に用いる対象者ごとの画像及びテキストを挿入することで、絵本の各部のページ画像を生成して絵本製作部330に出力する。例えば、絵本の本編の第1の見開きページ150A,150Bを生成する場合であれば、個人特化素材取得部310で選択された興味オブジェクトを表す絵の画像と、個人特化素材取得部310で選択された複数個の未獲得語オブジェクトを表す絵の画像と、を含む第1の見開きページ150A,150Bの画像を生成する。
【0069】
[絵本の製作(ステップS330)]
絵本製作部330は、ページ画像生成部320から入力された絵本の各部の画像を視認可能とした絵本を製作して出力する。例えば、絵本製作部330は、入力された絵本の各部の画像を紙に印刷して、印刷により得た紙を、表紙110A,110B、導入部120A,120B、第3の見開きページ130A,130B、第2の見開きページ140A,140B、第1の見開きページ150A,150B、終結部160A,160B、裏表紙、の順に含むように製本することで、絵本を得て出力する。
【0070】
なお、第1実施形態の変形例の絵本を製作する場合には、絵本素材記憶部250には情報部170A,170Bの元画像も予め記憶しておき、対象者情報記憶部260には例えば特開2019-101255に記載された語彙力取得装置で取得した対象者がこれまでに覚えた語の数と対象者が既に覚えている語と、これらと各語の平均獲得齢などの情報から得た対象者がこれから覚えると予想される語も予め記憶しておき、個人特化素材取得部310が情報部170A,170Bに用いるテキストを対象者情報記憶部260から取得してページ画像生成部320に出力し、ページ画像生成部320が絵本素材記憶部250に記憶された情報部170A,170Bの元画像と個人特化素材取得部310が出力したテキストから情報部170A,170Bのページ画像を生成し、絵本製作部330は情報部170A,170Bの画像も紙に印刷して、終結部160A,160Bと裏表紙の間に情報部170A,170Bも含むように製本することで絵本を得て出力すればよい。
【0071】
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態では、紙を製本した物理的な絵本を製作する形態を説明したが、第1実施形態の絵本は必ずしも物理的な絵本ではなく電子的な絵本であってもよい。電子的な絵本を製作する絵本製作装置300は、第3実施形態の絵本製作装置300とは、絵本製作部330の動作のみが異なる。具体的には、絵本製作部330は、入力された絵本の各部の画像を第3実施形態で説明した順に含む電子ファイルを製作することで、絵本を得て出力する(ステップS330)。
【0072】
なお、第3の見開きページ130A,130B、第2の見開きページ140A,140B、第1の見開きページ150A,150Bそれぞれは、物理的な絵本であれば見開きの2ページとする必要があるのと同様に、電子的な絵本であれば1画面に表示できるようにする必要がある。すなわち、絵本をページめくり形式の電子ファイルとする場合には、絵本製作部330は、第3の見開きページ130A,130B、第2の見開きページ140A,140B、第1の見開きページ150A,150Bそれぞれを物理的な絵本と同様に見開きの2ページとすればよい。また、絵本を1スライドごとに表示するスライド形式の電子ファイルとする場合には、絵本製作部330は、第3の見開きページ130A,130B、第2の見開きページ140A,140B、第1の見開きページ150A,150Bそれぞれを1ページのスライドとすればよい。
【0073】
<第4実施形態>
第1実施形態の絵本を製作する際には、第3実施形態のように既に記憶された対象者の情報に基づいて素材を選択するのではなく、対象者の情報を取得して、取得した情報に基づいて素材を選択する形態としてもよい。この形態を第4実施形態として説明する。
【0074】
第4実施形態の絵本製作装置は、図12に例示する絵本製作装置301のように、例えば、興味語選択部210と未獲得語選択部220と対象者情報取得部270と入力部230と表示部240と絵本素材記憶部250と個人特化素材取得部310とページ画像生成部320と絵本製作部330とを備える。第4実施形態の絵本製作装置300は、各対象者向けの絵本を製作するものであり、興味語選択部210と未獲得語選択部220と対象者情報取得部270と入力部230と表示部240とが連携して当該対象者の情報を取得し、取得した当該対象者の情報に基づいて絵本素材記憶部250から素材を選択して、選択した素材を用いて絵本のページ画像を生成して、生成したページ画像を含む絵本を製作するものである。絵本製作装置301は、対象者ごとに、図13に例示するステップS210’、ステップS220’、ステップS270’、ステップS310’、ステップS320、ステップS330を行う。
【0075】
第4実施形態の絵本製作装置301は、興味語選択部210と未獲得語選択部220と対象者情報取得部270が、第2実施形態の絵本製作情報取得装置200では取得した対象者の情報を対象者情報記憶部260に記憶していたのに代えて、取得した対象者の情報を個人特化素材取得部310に出力する。また、第4実施形態の絵本製作装置301は、個人特化素材取得部310が、第3実施形態の絵本製作装置300では対象者情報記憶部260に記憶された対象者の情報を用いていたのに代えて、興味語選択部210と未獲得語選択部220と対象者情報取得部270が取得した対象者の情報を用いる。以下では、第4実施形態の絵本製作装置301について、第2実施形態と第3実施形態の説明を適宜参照して、説明する。
【0076】
[絵本素材記憶部250]
絵本素材記憶部250には、第3実施形態の絵本製作装置300の絵本素材記憶部250の記憶内容と、第2実施形態の絵本製作情報取得装置200の絵本素材記憶部250の記憶内容とが予め記憶されている。ただし、第3実施形態の絵本製作装置300の絵本素材記憶部250の記憶内容には第2実施形態の絵本製作情報取得装置200の記憶内容が含まれているので、絵本素材記憶部250は、実質的には第3実施形態の絵本製作装置300の絵本素材記憶部250と同じでよい。
【0077】
[興味語の選択(ステップS210’)]
興味語の選択は、カテゴリごとに、以下のステップS210’-1からステップS210’-4により行われる。興味語選択部210は、対象とするカテゴリについての、絵本素材記憶部250に記憶された複数個の興味オブジェクトを表す語の候補を絵本素材記憶部250から読み出して(ステップS210’-1)、読み出した複数個の興味オブジェクトを表す語の候補全てを選択肢として表示部240に表示させて(ステップS210’-2)、表示部240が表示した候補のうちの何れか1個に対する利用者による選択操作を入力部230に受け付けさせて(ステップS210’-3)、入力部230が選択操作を受け付けた候補を興味オブジェクトを表す語として選択して個人特化素材取得部310に出力する(ステップS210’-4)。すなわち、第4実施形態の絵本製作装置301が行う興味語の選択の動作(ステップS210’)は、選択した興味オブジェクトを表す語を個人特化素材取得部310に出力すること以外は第2実施形態のステップS210と同じである。
【0078】
[未獲得語の選択(ステップS220’)]
未獲得語の選択は、カテゴリごとに、以下のステップS220’-1からステップS220’-4により行われる。未獲得語選択部220は、対象とするカテゴリについての、絵本素材記憶部250に記憶された複数個の未獲得語の候補を絵本素材記憶部250から読み出して(ステップS220’-1)、読み出した複数個の未獲得語の候補それぞれを表示部240に表示させて(ステップS220’-2)、表示部240が表示したそれぞれの候補について対象者が発話できるか否かについての利用者による選択操作を入力部230に受け付けさせて(ステップS220’-3)、対象者が発話できないとの選択操作を入力部230が受け付けた語を未獲得語として選択して個人特化素材取得部310に出力する(ステップS220’-4)。すなわち、第4実施形態の絵本製作装置301が行う未獲得語の選択の動作(ステップS220’)は、選択した未獲得語を個人特化素材取得部310に出力すること以外は第2実施形態のステップS220と同じである。
【0079】
[対象者情報の取得(ステップS270’)]
対象者情報取得部270は、対象者の名や愛称や性別を入力するための画面を表示部240に表示させて、対象者の名や愛称や性別についての利用者による入力操作を入力部230に受け付けさせて、入力された対象者の名や愛称や性別を個人特化素材取得部310に出力する。すなわち、第4実施形態の絵本製作装置301が行う対象者情報の取得の動作(ステップS270’)は、入力された対象者の名や愛称や性別を個人特化素材取得部310に出力すること以外は第2実施形態のステップS270と同じである。
【0080】
[個人特化素材の取得(ステップS310’)]
個人特化素材取得部310は、絵本の各部に用いる対象者ごとの画像及びテキストを、興味語選択部210から入力された興味オブジェクトを表す語の情報、未獲得語選択部220から入力された未獲得語の情報、対象者情報取得部270から入力された対象者の名や愛称や性別の情報、絵本素材記憶部250の記憶内容、に基づいて得た絵本の各部に用いる対象者ごとの画像及びテキストをページ画像生成部320に出力する。個人特化素材取得部310が行う対象者ごとの素材の取得の動作(ステップS310’)は、対象者情報記憶部260に記憶された対象者の情報に代えて興味語選択部210と未獲得語選択部220と対象者情報取得部270が取得した対象者の情報を用いること以外は、第3実施形態の絵本製作装置300の個人特化素材取得部310と同じ動作をする。
【0081】
[ページ画像の生成(ステップS320)]
ページ画像生成部320は、第3実施形態の絵本製作装置300のページ画像生成部320と同じ動作(ステップS320)をする。
【0082】
[絵本の製作(ステップS330)]
絵本製作部330は、第3実施形態の絵本製作装置300の絵本製作部330と同じ動作(ステップS330)をする。
【0083】
<第4実施形態の変形例>
第4実施形態の絵本製作装置301についても、第3実施形態の変形例の絵本製作装置300と同様に、電子的な絵本を製作するようにしてもよい。
【0084】
<その他の変形例等>
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、第2実施形態の絵本製作情報取得装置200や第4実施形態の絵本製作装置301の入力部230と表示部240を含む装置とその他の各部を含む装置とが分散して配置され、これらの装置がインターネット等を通じて互いに情報の受け渡しを行って上述の各処理が実行されてもよい。
【0085】
上述の第2実施形態の絵本製作情報取得装置200や第3実施形態の変形例の絵本製作装置300や第4実施形態の変形例の絵本製作装置301をコンピュータによって実現する場合、装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。これらのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。これらの処理内容を記述したプログラムや絵本の電子ファイルは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体の例は、非一時的な(non-transitory)記録媒体である。このような記録媒体の例は、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等である。
【0086】
これらのプログラムや絵本の電子ファイルの流通は、例えば、これらのプログラムや絵本の電子ファイルを記録したDVD、CD-ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、これらのプログラムや絵本の電子ファイルをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにこれらのプログラムや絵本の電子ファイルを転送することにより、これらのプログラムや絵本の電子ファイルを流通させる構成としてもよい。
【0087】
このようなプログラムを実行するコンピュータは、例えば、まず、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、一旦、自己の記憶装置に格納する。処理の実行時、このコンピュータは、自己の記憶装置に格納されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従った処理を実行する。このプログラムの別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。
【0088】
コンピュータ上で所定のプログラムを実行させて本装置の処理機能が実現されるのではなく、これらの処理機能の少なくとも一部がハードウェアで実現されてもよい。
【符号の説明】
【0089】
110A,110B 表紙
120A,120B 導入部
130A,130B 第3の見開きページ
140A,140B 第2の見開きページ
150A,150B 第1の見開きページ
160A,160B 終結部
170A,170B 情報部
200 絵本製作情報取得装置
210 興味語選択部
220 未獲得語選択部
230 入力部
240 表示部
250 絵本素材記憶部
260 対象者情報記憶部
270 対象者情報取得部
300,301 絵本製作装置
310 個人特化素材取得部
320 ページ画像生成部
330 絵本製作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13