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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023145894
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ハーネス配索構造及び連結保持部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/30 20060101AFI20231004BHJP
   H02G 3/06 20060101ALI20231004BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20231004BHJP
   F16L 3/08 20060101ALI20231004BHJP
   F16B 7/04 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H02G3/30
H02G3/06
H02G3/04 081
F16L3/08 A
F16B7/04 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022052789
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】三田 隼也
【テーマコード(参考)】
3H023
3J039
5G357
5G363
【Fターム(参考)】
3H023AA03
3H023AB01
3H023AC08
3H023AC23
3H023AD04
3H023AD18
3H023AD21
3H023AE08
3J039AA01
3J039BB01
3J039CA02
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD02
5G357DD05
5G357DD10
5G357DE05
5G357DE08
5G357DG01
5G357DG05
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】容易に、所望のワイヤーハーネスの配索経路に対応させることができるハーネス配索構造及び連結保持部材を提供することを目的とする。
【解決手段】ワイヤーハーネス10と、周方向に沿う凸状の外周凸部21と、周方向に沿う凹状の外周凹部22とが長手方向Xに交互に配置された筒状に形成され、内部にワイヤーハーネス10が挿通するコルゲート20と、コルゲート20を挿通させ、コルゲート20を直線状に規制する直管パイプ30とが備えられたハーネス配索構造1は、コルゲート20の一部は、直管パイプ30の全長に亘って内部に配置され、直管パイプ30の両端に、コルゲート20と直管パイプ30との境界部分を跨いで配置される連結ホルダ40が設けられ、連結ホルダ40は、外周凹部22と係止する第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスと、
周方向に沿う凸状の外周凸部と、前記周方向に沿う凹状の外周凹部とが軸方向に交互に配置された筒状に形成され、内部に前記ワイヤーハーネスが挿通するコルゲートチューブと、
該コルゲートチューブを挿通させ、前記コルゲートチューブを直線状に規制する直線規制部材とが備えられたハーネス配索構造であって、
前記コルゲートチューブの一部は、前記直線規制部材の全長に亘って内部に配置され、
前記直線規制部材の両端に、前記コルゲートチューブと前記直線規制部材との境界部分を跨いで配置される連結保持部材が設けられ、
該連結保持部材は、前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方と係止する係止部を有する
ハーネス配索構造。
【請求項2】
前記連結保持部材は、前記コルゲートチューブの外周を囲繞する筒形状で形成された
請求項1に記載のハーネス配索構造。
【請求項3】
前記連結保持部材の少なくとも一方は、
前記コルゲートチューブを挿入可能な開口を有するベース部と、
該開口を覆うカバー部とで構成され、
前記ベース部に対して前記カバー部を枢動可能に連結する枢動部が備えられた
請求項2に記載のハーネス配索構造。
【請求項4】
前記連結保持部材は、
前記直線規制部材を保持する規制部材保持部を備えた
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項5】
前記連結保持部材は、
前記外周凸部又は前記外周凹部の少なくとも一方と当接して前記コルゲートチューブを保持するコルゲートチューブ保持部を有する
請求項4に記載のハーネス配索構造。
【請求項6】
前記係止部は、
前記軸方向に複数設けられ、前記周方向の一部分に形成された
請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項7】
前記軸方向に隣接する前記係止部は、前記周方向において互いに異なる位置に設けられた
請求項6に記載のハーネス配索構造。
【請求項8】
前記連結保持部材に、被固定部材における固定箇所に固定する固定部が備えられた
請求項1乃至請求項7のうちのいずれかに記載のハーネス配索構造。
【請求項9】
周方向に沿う凸状の外周凸部と、前記周方向に沿う凹状の外周凹部とが軸方向に交互に配置された筒状に形成され、内部にワイヤーハーネスを挿通させるコルゲートチューブを、一端から他端まで挿通させて直線状に規制する直線規制部材の端部と、前記コルゲートチューブとの境界部分を跨いで配置され、
前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方と係止する係止部を有する
連結保持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両に配索されるワイヤーハーネスの少なくとも一部をコルゲートチューブと直線規制部材とで保護したハーネス配索構造、及び、前記コルゲートチューブと前記直線規制部材とを連結する連結保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の操作性や快適性を向上させるために搭載されている電気機器類は、ワイヤーハーネスを介してバッテリーなどと電気的に接続されており、信号の送受信や電力の供給などが行われている。このように電気機器類に接続するワイヤーハーネスは、外装部材を介して、車両の形状に合わせた二次元的又は三次元的な配索経路に合わせて経路規制するとともに、他部材との干渉による損傷を防止している。
【0003】
例えば、配索経路における湾曲部位に合わせてワイヤーハーネスを保護するコルゲートチューブと、配索経路における直線部位に合わせてワイヤーハーネスを保護する直線規制部材とを組み合わせた外装部材にワイヤーハーネスを挿通させたハーネス配索構造が特許文献1に開示されている。
【0004】
この特許文献1に開示されているハーネス配索構造は、コルゲートチューブの先端が、直線規制部材の外周面に合わせて塑性変形しており、コルゲートチューブの内部に直線規制部材の他端が挿通することで、コルゲートチューブと直線規制部材とを連結できるとされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されているハーネス配索構造では、ワイヤーハーネスの配索経路における直線箇所に応じた個数の直線規制部材及びコルゲートチューブを準備し、それぞれにワイヤーハーネスを挿通させた後に、それぞれのコルゲートチューブと直線規制部材とを連結する必要があるため、ハーネス配索構造を配索経路に対応させるのに手間を要するといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-196270号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上述の問題に鑑み、容易に、所望のワイヤーハーネスの配索経路に対応させることができるハーネス配索構造及び連結保持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ワイヤーハーネスと、周方向に沿う凸状の外周凸部と、前記周方向に沿う凹状の外周凹部とが軸方向に交互に配置された筒状に形成され、内部に前記ワイヤーハーネスが挿通するコルゲートチューブと、該コルゲートチューブを挿通させ、前記コルゲートチューブを直線状に規制する直線規制部材とが備えられたハーネス配索構造であって、前記コルゲートチューブの一部は、前記直線規制部材の全長に亘って内部に配置され、前記直線規制部材の両端に、前記コルゲートチューブと前記直線規制部材との境界部分を跨いで配置される連結保持部材が設けられ、該連結保持部材は、前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方と係止する係止部を有するハーネス配索構造である。
【0009】
またこの発明は、周方向に沿う凸状の外周凸部と、前記周方向に沿う凹状の外周凹部とが軸方向に交互に配置された筒状に形成され、内部にワイヤーハーネスを挿通させるコルゲートチューブを、一端から他端まで挿通させて直線状に規制する直線規制部材の端部と、前記コルゲートチューブとの境界部分を跨いで配置され、前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方と係止する係止部を有する連結保持部材である。
【0010】
前記直線規制部材は、内部にコルゲートチューブを挿通できる直線状の管状体であれば、その材質は特に限定されず、例えば、樹脂製や金属製のものを含む。また、前記直線規制部材は、管状体で形成された一部品のもののみならず、複数部品を組み合わせて管状体とするものも含む。
【0011】
前記連結保持部材は、前記コルゲートチューブを内部に挿通できるように構成されていればよく、例えば、前記コルゲートチューブの軸方向から視てU字状に形成されている場合や、環状の筒状に形成されている場合を含む。なお、前記連結保持部材は、前記直線規制部材と別体の場合のみならず、一体で構成されていてもよい。
【0012】
この発明によると、内部にコルゲートチューブが挿通された直線規制部材における両端において、コルゲートチューブと直線規制部材とを跨ぐように、連結保持部材の係止部をコルゲートチューブの前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方に係止することにより、コルゲートチューブに対して係止固定された連結保持部材で直線規制部材を挟み込むことができる。これにより、直線規制部材が軸方向へ移動することを連結保持部材で容易に規制することができる。
【0013】
このように、ワイヤーハーネスの配索経路に応じて軸方向に所定の長さを有するコルゲートチューブを、配索経路における直線部分の長さに対応する直線規制部材に挿通するとともに、直線規制部材をコルゲートチューブにおける所望の位置に配置し、直線規制部材の両端に連結保持部材を係止固定することで、ワイヤーハーネスの配索経路における所望の位置に直線規制部材を容易に配置して固定できる。したがって、ワイヤーハーネスの配索経路に対応して、配索経路における湾曲部分をコルゲートチューブで保護しつつ、直線規制部材で所望の箇所を直線規制しながら保護できるハーネス配索構造とすることができる。
【0014】
また、連結保持部材を介してコルゲートチューブに係止固定された直線規制部材の位置が、配索経路における所望の位置から外れている場合には、連結保持部材とコルゲートチューブとの係止を解除し、直線規制部材を軸方向に沿って移動し、再度コルゲートチューブと連結保持部材とを係止固定させるだけでよく、配索経路における所望の位置に直線規制部材を容易に位置調整できる。
【0015】
この発明の態様として、前記連結保持部材は、前記コルゲートチューブの外周を囲繞する筒形状で形成されてもよい。
この発明によると、連結保持部材がコルゲートチューブの外周を囲繞できるため、連結保持部材がコルゲートチューブから脱落することを防止できる。これにより、より確実に、直線規制部材の両端に連結保持部材を配置でき、コルゲートチューブに対する直線規制部材の移動を所定の範囲で確実に規制できる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記連結保持部材の少なくとも一方は、前記コルゲートチューブを挿入可能な開口を有するベース部と、該開口を覆うカバー部とで構成され、前記ベース部に対して前記カバー部を枢動可能に連結する枢動部が備えられてもよい。
【0017】
この発明により、開口を介してコルゲートチューブをベース部に挿入できるため、容易に連結保持部材をコルゲートチューブに後付けできるとともに、確実に係止部を前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方に係止できる。また、ベース部に対してカバー部を枢動させて開口を閉じることで、連結保持部材がコルゲートチューブから脱落することを防止できる。
【0018】
さらにまた、枢動部を枢動軸としてカバー部をベース部から離間することだけで、開口を容易に開くことができ、コルゲートチューブに対する連結保持部材の係止を容易に解除できる。したがって、コルゲートチューブと直線規制部材との境界に連結保持部材を組み付けた後であっても、コルゲートチューブに対する直線規制部材の位置調整を容易に行うことができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記連結保持部材は、前記直線規制部材を保持する規制部材保持部を備えてもよい。
前記規制部材保持部は、前記直線規制部材の外周面の全周と当接して前記直線規制部材を保持する場合や、軸方向及び周方向に対して部分的に前記直線規制部材を当接して、前記直線規制部材を挟持する場合を含む。
【0020】
この発明によると、連結保持部材は、コルゲートチューブに係止固定できるとともに、直線規制部材を保持できるため、より確実にコルゲートチューブに対する直線規制部材の相対移動を確実に防止できる。このように、連結保持部材がコルゲートチューブ及び直線規制部材の双方に対して位置規制できるため、直線規制部材が軸方向に沿って移動して連結保持部材と衝突することを防止できる。したがって、連結保持部材と直線規制部材との間での異音が発生することを防止できる。
また、連結保持部材で直線規制部材を保持することで、直線規制部材に対する連結保持部材の回転を防止できる。
【0021】
さらにまた、規制部材保持部が、直線規制部材の外周面と当接して直線規制部材を保持するため、連結保持部材と直線規制部材との間に異物が侵入することを規制できる。これにより、直線規制部材に挿通されたコルゲートチューブ及びコルゲートチューブの内部を挿通するワイヤーハーネスが損傷することを抑制できる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記連結保持部材は、前記外周凸部又は前記外周凹部の少なくとも一方と当接して前記コルゲートチューブを保持するコルゲートチューブ保持部を有してもよい。
上述の前記外周凸部又は前記外周凹部の少なくとも一方と当接して前記コルゲートチューブを保持するとは、外周凹部と係止することでコルゲートチューブを保持する係止部で前記コルゲートチューブを保持する場合や、外周凸部と当接することでコルゲートチューブを保持する連結保持部材の内周面で前記コルゲートチューブを保持する場合を含む。
【0023】
この発明によると、コルゲートチューブ保持部と規制部材保持部との間に段差が形成されるため、コルゲートチューブ保持部と規制部材保持部との境界部分において、段差と突き当たるように直線規制部材を配置できる。これにより、より確実に直線規制部材を連結保持部材に保持させることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記係止部は、前記軸方向に複数設けられ、前記周方向の一部分に形成されてもよい。
この発明により、軸方向に対して複数設けられた係止部が前記外周凹部及び前記外周凸部の少なくとも一方に係止されるため、確実に連結保持部材をコルゲートチューブに係止固定できる。したがって、意図せずに連結保持部材とコルゲートチューブとの係止が解除され、連結保持部材がコルゲートチューブから脱落することを規制できる。また、周方向の一部分に係止部を形成することで、周方向全周に設ける場合と比べ、材料費を節約することもできる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記軸方向に隣接する前記係止部は、前記周方向において互いに異なる位置に設けられてもよい。
上述の周方向において互いに異なる位置とは、軸方向に隣接する前記係止部が前記周方向に対して互いに重複しない場合のみならず、一部分が周方向に重複する場合を含む。
【0026】
この発明によると、係止部が周方向の異なる方向からコルゲートチューブを係止できるため、コルゲートチューブに対して連結保持部材を安定して係止固定できる。したがって、周方向全周に設ける場合と比べて材料費を節約できるとともに、連結保持部材がコルゲートチューブを安定して保持できる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記連結保持部材に、被固定部材における固定箇所に固定する固定部が備えられてもよい。
前記固定部は、例えば車体パネルに設けた挿通孔に挿通させて固定するアンカーや、車両に設けられたスタッドボルトなどを挿通させて固定するボルト孔などを含む。
【0028】
この発明により、連結保持部材を車両における所定箇所に固定することができる。したがって、ワイヤーハーネスを所望の配索経路に沿って配索することができる。なお、コルゲートチューブに対する連結保持部材の位置を軸方向に沿って移動させることで、固定箇所と連結保持部材の公差を吸収することもできる。
【発明の効果】
【0029】
この発明により、容易に、所望のワイヤーハーネスの配索経路に対応させることができるハーネス配索構造及び連結保持部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】上方から視たハーネス配索構造の概略斜視図。
図2】下方から視たハーネス配索構造の概略斜視図。
図3】コルゲートチューブを挿通させた直管パイプの中央部分の概略縦断面図。
図4】連結保持部材の概略斜視図。
図5】連結保持部材の概略斜視図。
図6】連結保持部材の説明図。
図7】連結保持部材の概略断面図。
図8】連結保持部材の概略正面図及び概略背面図。
図9】連結保持部材の概略断面図。
図10】ハーネス配索構造の中央部分の概略縦断面図。
図11】ハーネス配索構造における連結保持部材の概略縦断面図。
図12】パネルに固定した状態のハーネス配索構造の拡大概略側面図。
図13】他の実施形態のハーネス配索構造を上方から視た概略斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の一実施形態を以下図面とともに説明する。
図面はハーネス配索構造1、及び、コルゲート20と直管パイプ30とを連結する連結ホルダ40を示す。図1はハーネス配索構造1を上側Zaかつ左方側Ybから視た概略斜視図を示し、図2はハーネス配索構造1の下側Zbかつ右方側Yaから視た概略斜視図を示す。図3はコルゲート20及び直管パイプ30の概略断面図を示す。なお、図3は長手方向Xから視てコルゲート20及び直管パイプ30の中心を、長手方向Xに沿って切断したコルゲート20及び直管パイプ30の断面の概略断面図を示す。
【0032】
図4乃至図9は開口Sが右方側Yaに設けられている場合における連結ホルダ40を説明する説明図を示す。図4(a)はカバー52を閉塞させた状態の連結ホルダ40を上側Zaかつ左方側Ybから視た概略斜視図を示し、図4(b)はカバー52を開放させた状態の連結ホルダ40を上側Zaかつ左方側Ybから視た概略斜視図を示し、図5はカバー52を開放させた状態の連結ホルダ40を上側Za及び右方側Yaから視た概略斜視図を示す。図6(a)はカバー52を開放させた状態の連結ホルダ40を右方側Yaから視た概略側面図を示し、図6(b)はカバー52を開放させた状態の連結ホルダ40を上側Zaから視た概略平面図を示す。
【0033】
図7(a)は図6(b)におけるA-A矢視断面図を示し、図7(b)はカバー52を閉塞させた状態のA-A矢視断面図に対応する概略断面図を示す。図8(a)はカバー52を開放させた状態の連結ホルダ40を前方側Xaから視た概略正面図を示し、図8(b)はカバー52を閉塞させた状態の連結ホルダ40を後方側Xbから視た概略背面図を示し図9図8(b)におけるB-B矢視断面図を示す。
【0034】
図10は長手方向Xから視てコルゲート20の中心を長手方向Xに沿って切断したハーネス配索構造1の縦断面を表した概略断面図を示し、図11図10における連結ホルダ40が装着された箇所の拡大断面図を示す。図12はボディパネルPにアンカー62を固定した状態におけるハーネス配索構造1の拡大側面図を示す。なお、図12は連結ホルダ40に対応する箇所の拡大側面図を示す。
【0035】
ここで、図1において、直管パイプ30に沿った方向を長手方向Xとし、アンカー62に沿った方向を上下方向Zする。そして、互いに直交する長手方向X及び上下方向Zと直交する方向を幅方向Yとする。また、図1において、上下方向Zに沿って上方側(アンカー62の延出する方向)を上側Zaとし、下方側を下側Zbとする。同様に、長手方向Xに沿って下方側を前方側Xaとし、長手方向Xに沿って上方側を後方側Xbとする。そして、幅方向Yに沿って上方側を右方側Yaとし、幅方向Yに沿って下方側を左方側Ybとする。
【0036】
ハーネス配索構造1は、車両における床下(ボディパネルPの下方)に配索される配索構造であり、図1及び図2に示すように、複数の被覆電線を束ねたワイヤーハーネス10と、内部にワイヤーハーネス10を挿通するコルゲート20と、コルゲート20を挿通させる直管パイプ30と、直管パイプ30の長手方向Xの両端において、コルゲート20と直管パイプ30との境界部分を跨いで配置される二つの連結ホルダ40とで構成されている。
【0037】
ワイヤーハーネス10は、導体の外周が絶縁被膜部材で囲繞した複数の被覆電線が束ねられており、例えば、車両に搭載されている電気機器類やバッテリーなどと電気的に接続し、信号の送受信や電力の供給を行うことができる。
【0038】
コルゲート20は、内部にワイヤーハーネス10を挿通して保護する、いわゆるコルゲートチューブである。このコルゲート20は、図3に示すように、周方向に沿う凸状の外周凸部21と、周方向に沿う凹状の外周凹部22とが軸方向に交互に配置された筒状に形成された蛇腹構造をしており、ワイヤーハーネス10の配索経路に応じて適宜湾曲させることができる。
【0039】
直管パイプ30は、図3に示すように、外周凸部21の外径よりもわずかに大きな内径を有するとともに、所定の剛性を有する樹脂製の管状体である。この直管パイプ30の長手方向Xに沿った長さは、コルゲート20の長手方向Xに沿った長さよりも短い。このように構成された直管パイプ30は、全長に亘って内部にコルゲート20を挿通させることができ、コルゲート20に挿通されたワイヤーハーネス10を保護するとともに、直線状に規制することができる。
【0040】
直管パイプ30の長手方向Xの両端に配置されている連結ホルダ40は、図4乃至図9に示すように、コルゲート20及び直管パイプ30を連結保持する保持部50と、車両における所定箇所に固定する固定部60とで一体構成されている。
【0041】
保持部50は、図4乃至図9に示すように、幅方向Yに向けて開いた開口Sを有するベース51と、開口Sに対して開平自在に構成されたカバー52と、ベース51に対してカバー52を枢動可能に連結する枢動部53とを備えている。なお、ベース51とカバー52とを係止させて開口Sをカバー52で塞いでいる状態において、保持部50は、コルゲート20及び直管パイプ30の外周を囲繞する筒形状で形成されている(図4(a)参照)。
【0042】
カバー52と係止可能に構成されたベース51には、図5(b)、図6(a)及び図7に示すように、開口Sを挟んで枢動部53と反対側の端面を幅方向Yに沿って窪ませて形成された挿通部54が設けられている。
【0043】
挿通部54は、正面視略L字状に形成された孔である(図7(b)参照)。具体的には、挿通部54は、開口Sを挟んで枢動部53と反対側に配置されたベース51の端面を幅方向Yに沿って窪ませた挿入孔541と、挿入孔541の幅方向Yの中央部分において、ベース51の長手方向Xの中央部分を枢動部53と離間する方向に向けて貫通させた係止孔542とで構成されている。
【0044】
一方で、カバー52には、図5(b)に示すように、枢動部53を介してカバー52を枢動させて開口Sを閉塞した状態において、挿通部54に係止される係止片55が備えられている。この係止片55は、挿入孔541に挿入可能な挿入片551と、係止孔542に係止される係止爪552とで構成されている。
【0045】
挿入片551は、カバー52が開口Sを閉塞した状態において、カバー52における枢動部53と反対側の端面から挿通部54に向けて突出する板状体である(図7(a)及び図7(b)参照)。この挿入片551における長手方向Xの中央部分には、図5(b)に示すように、係止孔542の長手方向Xと略同じ長さだけ板厚を貫通させた貫通孔が基端側に設けられている。
【0046】
係止爪552は、挿入片551の基端側を貫通させた貫通孔に対応する箇所において、挿入片551の先端から挿入片551の基端側に向かうに伴い、挿入片551と離間する方向に向けて突出した弾性片であり、先端部分は係止孔542に係止可能に構成されている。
【0047】
このように構成された保持部50は、図5及び図6に示すように、長手方向Xに沿って連続して並ぶコルゲート保持部70とパイプ保持部80とが設けられている。
以下、右方側Yaに開口Sが設けられている連結ホルダ40に基づき、コルゲート保持部70及びパイプ保持部80ついて詳述する。なお、右方側Yaに開口Sが設けられている場合、コルゲート保持部70はパイプ保持部80の前方側Xaに配置されている。
【0048】
コルゲート保持部70は、図5及び図6に示すように、ベース51の一部分を構成するコルゲート側ベース71と、カバー52の一部分を構成するコルゲート側カバー72とで構成されている。
コルゲート側ベース71は、図5及び図8(a)に示すように、長手方向Xから視て略C字状に形成された環状のコルゲート側本体部711と、コルゲート側本体部711の右方側Yaに延出する第一開口形成部712と第二開口形成部713とで構成され、第一開口形成部712と第二開口形成部713との間に開口Sが形成されている。
【0049】
長手方向Xから視て略C字状に形成されたコルゲート側本体部711は、外周凸部21の外径と等しい内径の内周面を有する。このコルゲート側本体部711における内周面の右方側Yaの端部は、コルゲート側本体部711の内径よりも短い間隔を隔てて互いに離間している。換言すると、コルゲート側本体部711における右方側Ya端部には、外周凸部21の外径よりも短い間隔を隔てて配置された一対のコルゲート抜止部714が設けられている。
【0050】
第一開口形成部712は、図5及び8(a)に示すように、コルゲート側本体部711の上側Zaから右方側Yaに向けて延出している。この第一開口形成部712の上端面は、コルゲート抜止部714よりも左方側Ybにおいて、右方側Yaに向かうに伴い、コルゲート側本体部711の右方側Yaの上端面から上側Zaに向けて傾斜するように突出し、コルゲート抜止部714に対応する部分よりも右方側Yaにおいて、フラットになるように構成されている。このため、第一開口形成部712は、コルゲート側本体部711に比べて板厚が分厚くなっているおり、コルゲート側本体部711と比べて剛性が高くなっている。
【0051】
一方で、第二開口形成部713は、図5及び8(a)に示すように、コルゲート側本体部711の下側Zbから右方側Yaに向けて延出する。この第二開口形成部713は、第一開口形成部712と異なり、基端部分における板厚がコルゲート側ベース71の板厚と略同じとなるように構成されている。なお、この第二開口形成部713の下端面(下側Zbの端面)における基端部分(コルゲート抜止部714に対応する位置)には、カバー52と連結する枢動部53が設けられている。
【0052】
なお、第一開口形成部712と第二開口形成部713における上下方向Zの内側には、長手方向Xから視て、右方側Yaに向かうに伴い上下方向Zの外側に向けて拡がるように傾斜したコルゲート案内部715がそれぞれ形成されている。
【0053】
このように構成されたコルゲート側ベース71の長手方向Xの長さは、長手方向Xに隣接する外周凹部22の間隔の略3倍となっている。そして、コルゲート側本体部711における後方側Xbの端部(後述するパイプ側ベース81との境界部分)には、図5図6図7及び図8に示すように、内周面からコルゲート側本体部711の径方向の内側に向けて突出する第一係止部73が設けられ、コルゲート側本体部711における前方側Xaの端部よりもわずかに内側には、内周面における周方向の一部分からコルゲート側本体部711の径方向の内側に向けて突出する第二係止部74が設けられている。
【0054】
この第一係止部73と第二係止部74は、長手方向Xに沿って、長手方向Xに隣接する外周凹部22の間隔の2倍に等しい長さだけ離れた位置に設けられている(図6(a)参照)。また、第一係止部73と第二係止部74は、図7及び図8に示すように、長手方向Xから視て、互いに対向するように配置されている。すなわち、第一係止部73と第二係止部74は、コルゲート側ベース71の内周面の中心軸を幅方向Yに沿って通る面を対称面として、面対称となる位置に設けられている。
【0055】
第一係止部73と第二係止部74について詳述する。第一係止部73及び第二係止部74には、長手方向Xに沿った長さが外周凹部22の長手方向Xに沿った溝幅と略等しく、高さが外周凸部21に対する外周凹部22の深さと等しくなるように構成されたリブである。この第一係止部73及び第二係止部74は、図5図6図7及び図8に示すように、コルゲート側本体部711の内周面における周方向の一部分から突出している。より具体的には、コルゲート側本体部711における内周面のうち、正面視においておよそ90度の領域において、第一係止部73及び第二係止部74は径方向に向けて突出している(図8(a)及び図8(b)参照)。
【0056】
また、第一係止部73及び第二係止部74は、図7及び図8に示すように、コルゲート側ベース71の内周面における上側Za及び下側Zbの端部を跨ぐように設けられている。すなわち、第一係止部73及び第二係止部74は、コルゲート側ベース71の内周面における左方側Ybの端部には設けられていない。なお、第一係止部73及び第二係止部74の右方側Yaの端部は、コルゲート側本体部711における幅方向Yの中央からわずかに右方側Yaに配置されている。すなわち、コルゲート側本体部711における右方側Yaには、第一係止部73及び第二係止部74が設けられていない。
【0057】
枢動部53を介してベース51と連結するカバー52の一部分を構成しているコルゲート側カバー72には、コルゲート側ベース71と同様に、長手方向Xに沿った外周凹部22の間隔のおよそ3倍の長さを有しており、長手方向Xから視て外周凸部21の外径と等しい内径の内周面が形成されている。
【0058】
このコルゲート側カバー72における後方側Xbの端部には、図6(b)に示すように、内周面から径方向の内側に向けて突出する第三係止部75が設けられ、コルゲート側カバー72における前方側Xaの端部よりもわずかに内側には、内周面から径方向の内側に向けて突出する第四係止部76が設けられている。
【0059】
第三係止部75及び第四係止部76は、長手方向Xにおいて、第一係止部73及び第二係止部74と対応する位置にそれぞれ設けられている。すなわち、第三係止部75と第四係止部76は、長手方向Xに沿って、長手方向Xに隣接する外周凹部22同士の間隔の2倍だけ離れた位置に設けられている。また、第三係止部75及び第四係止部76は、図8(b)に示すように、ベース51に対してカバー52を閉塞した状態において、コルゲート側カバー72の内周面の中心軸を幅方向Yに沿って通る面を対称面として、面対称となる位置に設けられている。
【0060】
第三係止部75及び第四係止部76は、第一係止部73及び第二係止部74と同様に、長手方向Xの幅が外周凹部22の長手方向Xに沿った溝幅と略等しく、径方向に対する高さが外周凸部21に対する外周凹部22の深さと等しくなるように構成されたリブである。この第三係止部75及び第四係止部76は、図6(a)及び図8(a)に示すように、コルゲート側カバー72の内周面における周方向の一部分、より具体的には、コルゲート側カバー72における内周面のうち、正面視においておよそ20度の領域において、突出している。
【0061】
また、カバー52で開口Sを閉塞した状態において、第三係止部75及び第四係止部76は、第一係止部73及び第二係止部74の左方側Ybの周方向端部と対向する位置に設けられている。なお、コルゲート側カバー72の内周面における右方側Yaの端部には設けられていない。
【0062】
パイプ保持部80は、図5及び図6に示すように、コルゲート保持部70と同様に、ベース51の一部分を構成するパイプ側ベース81と、カバー52の一部分を構成するパイプ側カバー82とで構成され、第三開口形成部812と第四開口形成部813との間に開口Sが形成されている。
パイプ側ベース81は、長手方向Xから視て略C字状に形成された環状のパイプ側本体部811と、パイプ側本体部811の右方側Yaに延出する形成する第三開口形成部812と第四開口形成部813とで構成されている。
【0063】
長手方向Xから視て略C字状に形成されたパイプ側本体部811は、コルゲート側本体部711の外周面と面一となる外周面を有するとともに、直管パイプ30の外径と同じ内径の内周面を有する管状体で構成されている。このため、保持部50の内周面には、コルゲート保持部70とパイプ保持部80との境界部分に、段差Dが形成されている(図8及び図9参照)。より具体的には、コルゲート保持部70とパイプ保持部80との境界部分における、コルゲート側本体部711とパイプ側本体部811との内周面との間に段差Dが形成されている。なお、第一係止部73の後方側Xbの端面は、段差Dと面一となっている。
【0064】
このように形成されたパイプ側本体部811における内周面の右方側Yaの端部は、パイプ側本体部811の内径よりも短い間隔を隔てて互いに離間している。換言すると、パイプ側本体部811における右方側Ya端部の内周面には、直管パイプ30の外径よりも短い間隔を隔てて配置された一対のパイプ抜止部814が上下方向Zに対となって設けられている。なお、パイプ抜止部814は、図8(b)に示すように、コルゲート抜止部714よりも右方側Yaにおいて、コルゲート抜止部714と同じ高さとなるように構成されている。
【0065】
第三開口形成部812は、図5及び8(b)に示すように、第一開口形成部712と同様に、パイプ側本体部811の上側Zaから右方側Yaに向けて延出している。この第三開口形成部812の上端面は、パイプ抜止部814よりも左方側Ybにおいて、右方側Yaに向かうに伴い、パイプ側本体部811の右方側Yaの上端面から上側Zaに向けて傾斜するように突出し、コルゲート抜止部714に対応する部分よりも右方側Yaにおいて、フラットになるように構成されている。すなわち、第三開口形成部812の上側Zaの上端面は、第一開口形成部712の上端面(上側Zaの端面)と面一となるように構成されている。このように構成された第三開口形成部812は、パイプ側ベース81に比べて板厚が分厚くなっており、パイプ側本体部811の端部に比べて剛性が高くなっている。
【0066】
一方で、パイプ側本体部811の下側Zbから右方側Yaに向けて延出する第四開口形成部813は、第三開口形成部812と異なり、基端部分における板厚がパイプ側ベース81と略同じとなるように構成されている。そして、第四開口形成部813の下端面(下側Zbの端面)には、第二開口形成部713に設けられた枢動部53が長手方向Xに沿って連続して設けられている。なお、第四開口形成部813の下端面は第二開口形成部713の下端面と面一となっている。
【0067】
また、第三開口形成部812と第四開口形成部813における上下方向Zの内側には、長手方向Xから視て、右方側Yaに向かうに伴い上下方向Zの外側に向けて拡がるように傾斜したパイプ案内部815がそれぞれ形成されている。このパイプ案内部815は、コルゲート案内部715と面一となっている(図4(b)、図5及び図8(b)参照)。
【0068】
固定部60は、図4乃至図8に示すように、ベース51における開口Sの反対側に設けられたアンカー配置部61と、アンカー配置部61から上側Zaに向けて突出するアンカー62とで構成されている。
【0069】
アンカー配置部61は、ベース51における開口Sの反対側においてベース51と一体構成された略直方体状の配置部本体611と、配置部本体611における上側Zaからベース51に向けて延出する上方補強部612と、配置部本体611における下側Zbからベース51に向けて延出する下方補強部613とで構成されている。
【0070】
配置部本体611は、図4(a)及び図4(b)に示すように、ベース51の長手方向Xの中央において、ベース51の左方側Ybの外周面と連結している略四角柱状に台座である。この配置部本体611の長手方向Xに沿った長さは、ベース51の長手方向Xに沿った長さのおよそ半分であり、配置部本体611の幅方向Yに沿った長さは、ベース51の外径よりも短く構成されている。また、配置部本体611の上下方向Zに沿った長さは、ベース51の外径と略同じである。なお、この配置部本体611の上側Zaの端面は、第一開口形成部712及び第三開口形成部812と面一になっている。
【0071】
上方補強部612は、配置部本体611の長手方向Xの幅と同じ幅を有する補強部材であり、図4図7及び図8に示すように、配置部本体611の上側Za端部から右方側Yaに向けて延出し、ベース51の外周面と当接している。また、上方補強部612と第三開口形成部812とは、上方補強部612に対して幅狭に形成された補強延長部614により連結されている(図4参照)。
【0072】
このように上方補強部612と第三開口形成部812とを連結する補強延長部614は、下端側がベース51の外周面と連結しているため、上方補強部612及び第三開口形成部812と協働してベース51の左方側Ybの変形を抑制できる。
【0073】
配置部本体611の下側Zb端部から右方側Yaに向けて延出する下方補強部613は、配置部本体611の長手方向Xの幅と同じ幅を有する補強部材であり、図4図7及び図8に示すように、配置部本体611とベース51の外周面と連結している。この下方補強部613はベース51における左方側Ybと連結しており、下側Zbにおけるベース51の左方側Ybの変形を抑制できる。
【0074】
このように、上方補強部612及び補強延長部614は、配置部本体611から第一開口形成部712及び第三開口形成部812まで幅方向Yに沿って延びているのに対して下方補強部613は配置部本体611から第二開口形成部713及び第四開口形成部813まで延びておらず、ベース51における幅方向Yの中央部分に対応する位置で、ベース51と連結している。また、上述のように、第一開口形成部712及び第三開口形成部812は、第二開口形成部713及び第四開口形成部813と比べて板厚が厚いため、コルゲート20及び直管パイプ30をベース51に挿入した場合、第一開口形成部712及び第三開口形成部812と比べて、第二開口形成部713及び第四開口形成部813が下側Zbに向けて撓むこととなる。
【0075】
アンカー62は、図4乃至図8に示すように、アンカー配置部61から上側Zaに向けて延出する固定軸部621と、固定軸部621の先端から長手方向Xに沿って延出する一対の係止アーム622とで構成されている。なお、係止アーム622の上端部分には、傘状のパネル当接部623が設けられている。
係止アーム622は、図6(a)に示すように、先端が固定軸部621の先端と連結されており、固定軸部621の先端側から基端側に向かって固定軸部621から徐々に離間している。
【0076】
パネル当接部623は、上下方向Zから視て略長円形に形成されており、アンカー62がボディパネルPのアンカー孔P1に挿入された際に、ボディパネルPの表面に当接する。また、パネル当接部623は、固定軸部621から離間するに伴い上側Zaへ傾斜しているため、その弾性力によってボディパネルPに対して連結ホルダ40を安定して支持できる(図12参照)。
【0077】
このように構成された連結ホルダ40は、ワイヤーハーネス10を内部に挿通するコルゲート20を直管パイプ30の全長に亘って挿通させた状態において、直管パイプ30の両端部分に装着することで、コルゲート20に対する直管パイプ30の相対移動を規制することができる。以下、コルゲート20を挿通させた直管パイプ30の両端に連結ホルダ40を取り付ける取付方法及びコルゲート20を挿通させた直管パイプ30の両端部分に連結ホルダ40を組み付けたハーネス配索構造1について詳述する。
【0078】
はじめに、コルゲート20にワイヤーハーネス10を挿通させる。そして、直管パイプ30の全長に亘ってコルゲート20を挿通し、ワイヤーハーネス10の配索経路において直線規制したい箇所に、コルゲート20に対して直管パイプ30の位置を調整し、直管パイプ30の両端部分において、コルゲート20と直管パイプ30とを跨ぐように連結ホルダ40を取り付ける。
【0079】
具体的には、直管パイプ30の両端部分において、ベース51に対してカバー52を開放した状態において、アンカー62が所定の方向(上側Za)に向くようにそれぞれの連結ホルダ40を配置し、第三開口形成部812と第四開口形成部813との間に形成される開口Sから直管パイプ30をパイプ側本体部811に挿入するとともに、第一開口形成部712と第二開口形成部713との間に形成される開口Sからコルゲート20をコルゲート側本体部711に挿入する。
【0080】
この際、直管パイプ30をパイプ案内部815に沿わせることで、容易に直管パイプ30をパイプ側本体部811に案内することができ、容易に直管パイプ30をパイプ側本体部811に挿入できる。また、一対のパイプ抜止部814によってパイプ側本体部811の開口Sは直管パイプ30の外径よりも狭くなっているが、直管パイプ30を押し込むことで下側Zbに配置された第四開口形成部813が開口Sを拡げるように下側Zbに向けて変形するため、パイプ側本体部811に直管パイプ30を挿入することができる。
【0081】
このようにパイプ側本体部811に挿入された直管パイプ30は、直管パイプ30の外径と等しい内径の内周面を有するパイプ側本体部811によって保持することができる。また、パイプ側本体部811に直管パイプ30を挿入した後に第四開口形成部813が元の位置に戻るため、一対のパイプ抜止部814が開口Sを介して直管パイプ30がパイプ側本体部811から抜け落ちることを防止できる。したがって、直管パイプ30をパイプ側本体部811に仮止めすることができる。
【0082】
なお、パイプ側本体部811において、コルゲート保持部70とパイプ保持部80との間に形成される段差Dに直管パイプ30の端部を当接させることで、パイプ側本体部811における直管パイプ30を確実に保持できる位置に直管パイプ30を配置できる。したがって、直管パイプ30を連結ホルダ40で確実に保持できる。
【0083】
同様に、第一開口形成部712と第二開口形成部713との間に形成される開口Sから、第一係止部73及び第二係止部74に対応する位置に長手方向Xに沿って並んだ外周凹部22が配置されるように、コルゲート20をコルゲート側本体部711に挿入する。この際、コルゲート20をコルゲート案内部715に沿わせることで、容易にコルゲート20をコルゲート側本体部711に案内できるため、容易にコルゲート側本体部711にコルゲート20を挿入することができる。
【0084】
また、一対のコルゲート抜止部714によってコルゲート側本体部711の開口Sが外周凸部21の外径よりも狭くなっているが、パイプ側本体部811に直管パイプ30を押し込むことで、第四開口形成部813と一体に構成された第二開口形成部713も下側Zbに向けて変形するため、確実にコルゲート側本体部711にコルゲート20を容易に挿入することができる。また、コルゲート20をコルゲート側本体部711に押し込むことでコルゲート20が縮径するように、もしくは第二開口形成部713が開口Sを拡げるように下側Zbに向けて変形するため、コルゲート抜止部714同士の間隔が外周凸部21の外径よりも狭い場合でも、コルゲート20をコルゲート側本体部711に挿入することができる。
【0085】
このように、コルゲート側本体部711に挿入されたコルゲート20において、直管パイプ30の端部から露出するコルゲート20における外周凹部22が第一係止部73に嵌ることとなる。また、第一係止部73と嵌った外周凹部22から二つ長手方向Xに離れた外周凹部22が第二係止部74に嵌ることとなる。これにより、コルゲート20に対して連結ホルダ40が係止される(図11参照)。
【0086】
なお、コルゲート側本体部711にコルゲート20を挿入した後に第二開口形成部713が元の位置に戻るため、一対のコルゲート抜止部714が開口Sを介してコルゲート20がコルゲート側本体部711から抜け落ちることを防止できる。したがって、コルゲート20をコルゲート側本体部711に仮止めすることができる。
【0087】
そして、ベース51に対してコルゲート20及び直管パイプ30を挿入した状態で、枢動部53を介してカバー52を枢動させ、係止片55と挿通部54とを係止する。これにより、コルゲート側カバー72の内周面に設けられた第三係止部75及び第四係止部76が、それぞれ外周凹部22に嵌るように挿入されるとともに、コルゲート側カバー72の内周面とコルゲート側本体部711の内周面とで外周凸部21を挟持できる。また、パイプ側カバー82の内周面とパイプ側本体部811の内周面とで直管パイプ30を挟持できる。
【0088】
このように、ベース51の開口Sをカバー52で閉塞することにより、筒形状で形成された連結ホルダ40で、コルゲート20及び直管パイプ30の外周を囲繞することとなる(図1及び図2参照)。これにより、コルゲート20及び30が連結ホルダ40から抜け出ることを防止できる。
【0089】
このようにコルゲート20を挿通させた直管パイプ30の両端部分において、コルゲート20と直管パイプ30との境界部分に固定された連結ホルダ40は、図10及び図11に示すように、コルゲート20に対して係止固定されるとともに、直管パイプ30を保持することができる。
【0090】
これにより、コルゲート20に係止固定された二つの連結ホルダ40は、直管パイプ30を挟み込むことができ(図10参照)、コルゲート20に対して直管パイプ30が長手方向Xに相対移動することを確実に防止できる。したがって、コルゲート20に対する直管パイプ30の意図しない位置ズレを防止でき、ワイヤーハーネス10の配索経路において直線規制したい箇所に直管パイプ30を確実に留めることができる。
【0091】
また、直管パイプ30の両端に取り付けられた連結ホルダ40は、図11に示すように、パイプ側本体部811及びパイプ側カバー82で直管パイプ30を把持しているとともに、第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76でコルゲート20を係止固定されているため、直管パイプ30はコルゲート20に対して位置規制される。これにより、直管パイプ30が軸方向(長手方向X)に沿って移動して連結ホルダ40と衝突することを防止でき、連結ホルダ40と直管パイプ30との間での異音が発生することを防止できる。
【0092】
このように、連結ホルダ40を介して、ワイヤーハーネス10を挿通したコルゲート20における所望の位置において、コルゲート20に対する直管パイプ30の相対位置を規制したハーネス配索構造1を準備することができる。そして、ハーネス配索構造1におけるアンカー62をボディパネルPのアンカー孔P1に挿通させる(図12参照)。
【0093】
これにより、一対の係止アーム622をアンカー孔P1の縁に係止できるとともに、パネル当接部623がボディパネルPの表面に当接し、係止アーム622とパネル当接部623とでボディパネルPを挟み込み、ハーネス配索構造1をボディパネルPに安定して固定できる。
【0094】
このようにハーネス配索構造1は、ワイヤーハーネス10と、周方向に沿う凸状の外周凸部21と、周方向に沿う凹状の外周凹部22とが長手方向Xに交互に配置された筒状に形成され、内部にワイヤーハーネス10が挿通するコルゲート20と、コルゲート20を挿通させ、コルゲート20を直線状に規制する直管パイプ30とが備えられている。そして、コルゲート20の一部は、直管パイプ30の全長に亘って内部に配置され、直管パイプ30の両端に、コルゲート20と直管パイプ30との境界部分を跨いで配置される連結ホルダ40が設けられ、連結ホルダ40は、外周凹部22と係止する第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76を有する。
【0095】
また連結ホルダ40は、周方向に沿う凸状の外周凸部21と、周方向に沿う凹状の外周凹部22とが長手方向Xに交互に配置された筒状に形成され、内部にワイヤーハーネス10を挿通させるコルゲート20を、一端から他端まで挿通させて直線状に規制する直管パイプ30の端部と、コルゲート20との境界部分を跨いで配置され、外周凹部22及び外周凸部21の少なくとも一方と係止する第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76を有する。
【0096】
このように構成されたハーネス配索構造1は、内部にコルゲート20が挿通された直管パイプ30における両端において、コルゲート20と直管パイプ30とを跨ぐように、連結ホルダ40の第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76をコルゲート20の外周凹部22に係止されている。このため、コルゲート20に対して係止固定された連結ホルダ40で直管パイプ30を挟み込むことができ、容易に直管パイプ30が長手方向Xへ移動することを連結ホルダ40で規制できる。
【0097】
このように、ワイヤーハーネス10の配索経路に応じて長手方向Xに所定の長さを有するコルゲート20を、配索経路における直線部分の長さに対応する直管パイプ30に挿通するとともに、直管パイプ30をコルゲート20における所望の位置に配置し、直管パイプ30の両端に連結ホルダ40を係止固定することで、ワイヤーハーネス10の配索経路における所望の位置に直管パイプ30を容易に配置できる。したがって、ワイヤーハーネス10を挿通するコルゲート20及び直管パイプ30において、直線規制した箇所に直管パイプ30を容易に配置でき、湾曲させる箇所には直管パイプ30を配置せずコルゲート20とともにワイヤーハーネス10を湾曲することができる。すなわち、容易にワイヤーハーネス10の配索経路に対応させたハーネス配索構造1とすることができる。
【0098】
また、連結ホルダ40を介してコルゲート20に係止固定された直管パイプ30の位置が、配索経路における所望の位置から外れている場合には、連結ホルダ40とコルゲート20との係止を解除し、直管パイプ30を長手方向Xに沿って移動し、再度コルゲート20と連結ホルダ40とを係止固定させれば、配索経路における所望の位置に直管パイプ30を容易に位置調整できる。
【0099】
また、連結ホルダ40(保持部50)は、コルゲート20の外周を囲繞する筒形状で形成されていることにより、連結ホルダ40(保持部50)がコルゲート20の外周を囲繞できるため、コルゲート20から連結ホルダ40が脱落することを防止できる。これにより、より確実に、直管パイプ30の両端に連結ホルダ40を配置でき、コルゲート20に対する直管パイプ30の移動を所定の範囲で確実に規制できる。
【0100】
さらにまた、直管パイプ30の両端に設けられた連結ホルダ40(保持部50)は、コルゲート20を挿入可能な開口Sを有するベース51と、開口Sを覆うカバー52とで構成され、ベース51に対してカバー52を枢動可能に連結する枢動部53が備えられている。
【0101】
これにより、開口Sを介してコルゲート20をベース51(コルゲート側ベース71)に挿入できるため、容易に連結ホルダ40をコルゲート20に後付けできるとともに、確実に第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76を外周凹部22及び外周凸部21の少なくとも一方に係止できる。また、ベース51に対してカバー52を枢動させて開口Sを閉じることで、連結ホルダ40がコルゲート20から脱落することを防止できる。
【0102】
また、枢動部53を枢動軸としてカバー52をベース51から離間することだけで、開口Sを容易に開くことができ、コルゲート20に対する連結ホルダ40の係止を容易に解除できる。したがって、コルゲート20と直管パイプ30との境界に連結ホルダ40を組み付けた後であっても、コルゲート20に対する直管パイプ30の位置調整を容易に行うことができる。
【0103】
また、連結ホルダ40(保持部50)は、直管パイプ30を保持するパイプ保持部80を備えていることにより、保持部50(コルゲート保持部70)はコルゲート20に係止固定できるとともに、直管パイプ30を保持できるため、より確実にコルゲート20に対する直管パイプ30の相対移動を確実に防止できる。したがって、コルゲート20に対する直管パイプ30の意図しない位置ズレを防止し、確実に配索経路における所望の位置に直管パイプ30を留めることができる。
【0104】
また、連結ホルダ40(保持部50)がコルゲート20及び直管パイプ30の双方に対して位置規制できるため、直管パイプ30が長手方向Xに沿って移動して連結ホルダ40(保持部50)と衝突することを防止できる。したがって、連結ホルダ40(保持部50)と直管パイプ30との間での異音が発生することを防止できる。
さらにまた、連結ホルダ40で直管パイプ30を保持することで、直管パイプ30に対する連結ホルダ40の回転を防止できる。
【0105】
加えて、パイプ保持部80が、直管パイプ30の外周面と当接して直管パイプ30を保持しているため、連結ホルダ40と直管パイプ30との間に異物が侵入することを規制できる。これにより、直管パイプ30に挿通されたコルゲート20及びコルゲート20の内部に挿通するワイヤーハーネス10が損傷することを抑制できる。
【0106】
さらにまた、連結ホルダ40(保持部50)は、外周凹部22と当接してコルゲート20を保持する第一係止部73及び第三係止部75を有している。これにより、パイプ保持部80とコルゲート保持部70の端部に設けた第一係止部73及び第三係止部75との間に段差Dが形成されるため、コルゲート保持部70とパイプ保持部80との境界部分において、段差Dと突き当たるように直管パイプ30を配置できる。したがって、より確実に直管パイプ30を連結ホルダ40に保持させることができる。
【0107】
また、第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76は、長手方向Xに複数設けられ、周方向の一部分に形成されている。これにより、長手方向Xに対して複数設けられた第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76が外周凹部22に係止されるため、確実に連結ホルダ40をコルゲート20に係止固定できる。したがって、意図せずに連結ホルダ40とコルゲート20との係止が解除され、連結ホルダ40がコルゲート20から脱落することを規制できる。また、周方向の一部分に第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76を形成することで、周方向全周に設ける場合と比べ、材料費を節約することもできる。
【0108】
さらにまた、長手方向Xに隣接する第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76は、周方向において互いに異なる位置に設けられている。これにより、第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76が周方向の異なる方向からコルゲート20を係止できるため、コルゲート20に対して連結ホルダ40を安定して係止固定できる。したがって、周方向全周に設ける場合と比べて材料費を節約できるとともに、連結ホルダ40がコルゲート20を安定して保持できる。
【0109】
また、連結ホルダ40には、ボディパネルPにおけるアンカー孔P1に固定するアンカー62が備えられていることにより、連結ホルダ40を車両におけるアンカー孔P1に固定することができる。したがって、ワイヤーハーネス10を所望の配索経路に沿って配索することができる。なお、コルゲート20に対する連結ホルダ40の位置を長手方向Xに沿って移動させることで、アンカー孔P1と連結ホルダ40の公差を吸収することもできる。
【0110】
この発明の構成と、前述の実施形態との対応において、
この発明のワイヤーハーネスは、実施形態のワイヤーハーネス10に対応し、
以下同様に、
外周凸部は、外周凸部21に対応し、
外周凹部は、外周凹部22に対応し、
軸方向は、長手方向Xに対応し、
コルゲートチューブは、コルゲート20に対応し、
直線規制部材は、直管パイプ30に対応し、
ハーネス配索構造は、ハーネス配索構造1に対応し、
連結保持部材は、連結ホルダ40に対応し、
係止部は、第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76に対応し、
ベース部は、ベース51に対応し、
開口は、開口Sに対応し、
カバー部は、カバー52に対応し、
枢動部は、枢動部53に対応し、
規制部材保持部は、パイプ側本体部811に対応し、
コルゲートチューブ保持部は、第一係止部73及び第二係止部74に対応し、
被固定部材は、ボディパネルPに対応し、
固定箇所は、アンカー孔P1に対応し、
固定部は、アンカー62に対応するが
この発明は、前述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施形態を得ることができる。
【0111】
例えば、本実施形態では、コルゲート側本体部711及びコルゲート側カバー72に設けられた第一係止部73、第二係止部74、第三係止部75及び第四係止部76は、外周凹部22に嵌ることでコルゲート20と連結ホルダ40とが係止されるが、この構成に限定されない。例えば、コルゲート側本体部711が外周凹部22の外径と略等しい内径の内周面を有し、コルゲート側本体部711及びコルゲート側カバー72の内周面から突出するリブの代わりに、外周凸部21が嵌り込むような凹部をコルゲート側本体部711及びコルゲート側カバー72の内周面に設けてもよいし、コルゲート側本体部711及びコルゲート側カバー72の内周面に上述の凹部や内周面から突出するリブの双方を設けてもよい。
【0112】
また、本実施形態では、コルゲート保持部70とパイプ保持部80との境界部分において、第一係止部73及び第三係止部75が設けられている。すなわち、コルゲート保持部70におけるパイプ保持部80側の端部に第一係止部73及び第三係止部75が設けられている。しかしながら、第一係止部73及び第三係止部75をコルゲート保持部70におけるパイプ保持部80側の端部よりもコルゲート保持部70側に設けてもよい。この場合、第一係止部73及び第三係止部75のパイプ保持部80側には、外周凸部21の外周面を保持するように、コルゲート側本体部711の内周面の内径を外周凸部21の外径と等しくすることで、コルゲート保持部70とパイプ保持部80との境界部分に段差Dを形成することができる。
【0113】
また、コルゲート20と直管パイプ30との境界部分において、境界部分を跨ぐように、直管パイプ30の外周面とコルゲート20の外周面とをテープ部材にてテープ巻きしてもよい。この場合には、コルゲート20に対する直管パイプ30の軸方向への移動をより確実に規制できるとともに、コルゲート20と直管パイプ30との間の止水性を向上させることができる。
【0114】
また、本実施形態においては直線規制部材として円筒形状の直管パイプ30を例示したが、円筒形状以外の管状体であってもよい。さらには、本実施形態における直管パイプ30のような管状体で形成された一部品のものに限らず、複数の部品を組み合わせることで管状体となるような構成であってもよい。
【0115】
また、本実施形態において、連結ホルダ40(保持部50)は筒状体で構成されているが、連結ホルダ40(保持部50)は、コルゲート20や直管パイプ30を内部に挿通できるように構成されていればよく、例えば、長手方向Xから視てU字状に形成されていてもよい。
【0116】
また、本実施形態において、連結ホルダ40は直管パイプ30と別体として構成されているが、直管パイプ30の両端に連結ホルダ40が一体として連結されている構成であってもよい。すなわち、直管パイプ30の両端に、コルゲート20を挿通させるコルゲート保持部70が設けられていてもよい。
【0117】
さらにまた、本実施形態において、連結ホルダ40は保持部50と固定部60とで構成されているが、ボディパネルPなどにおけるアンカー孔P1などに必ず連結ホルダ40を固定する必要はない。この場合には、連結ホルダ40にアンカー62がなくてもよい。
【0118】
また、本実施形態においては、アンカー62をアンカー孔P1に挿入することで連結ホルダ40を固定する例を示したが、アンカー62に代えて次の構造を採用してもよい。すなわち、ボディパネルPに予めスタッドボルトを植設、あるいは、ウエルドナットを溶接固定し、このスタッドボルト又はウエルドナットに挿入して嵌合することで固定部60を固定するような構造を採用してもよい。
【0119】
さらにまた、本実施形態においては、被固定部材としてボディパネルPを例示したが、ボディパネルPに代えて、車体外板を形成する外板パネル以外の、車両内側面を形成するサイドインナパネルやドアインナパネル、又はリフトゲートインナパネル等の他のパネルであってもよい。
【0120】
また、本実施形態において、連結ホルダ40(保持部50)は、コルゲート保持部70とパイプ保持部80とが長手方向Xに沿って配置された構成となっているが、例えば、図13に示すように、長手方向Xにおける中央部分に配置されたコルゲート保持部70の両端にパイプ保持部80が設けられた連結ホルダ40xとすることもできる。
【0121】
以下、図13に基づいて、連結ホルダ40x及び連結ホルダ40とともに連結ホルダ40xを用いたハーネス配索構造1xについて簡単に説明する。なお、ハーネス配索構造1x及び連結ホルダ40xにおいてハーネス配索構造1及び連結ホルダ40と同様の構成については同じ符号を付してその説明は省略し、特徴的な構成について詳細に説明する。
【0122】
図13はハーネス配索構造1x及び連結ホルダ40xを示す。図13(a)はハーネス配索構造1の他の実施形態であるハーネス配索構造1xを上側Zaかつ左方側Ybから視た概略斜視図を示し、図11(b)は図11(a)の連結保持部材である連結ホルダ40xの部分の拡大縦断面図を示す。なお、図13においては、便宜上、ワイヤーハーネス10の図示を省略している。
【0123】
ハーネス配索構造1xは、ワイヤーハーネス10を内部に挿通するコルゲート20を、全長に亘って挿通する二つの直管パイプ30(前方側Xaを第一直管パイプ30A、後方側Xbを第二直管パイプ30Bとする。)を有し、第一直管パイプ30Aの前方側Xaの端部と第二直管パイプ30Bの後方側Xbの端部に連結ホルダ40が連結されている。また、第一直管パイプ30Aと第二直管パイプ30Bの間には、第一直管パイプ30Aと第二直管パイプ30Bとの境界部分を跨ぐように、第一直管パイプ30Aとコルゲート20及びコルゲート20と第二直管パイプ30Bとを連結ホルダ40xで連結している。
【0124】
連結ホルダ40xは、図13(a)に示すように、保持部50に対応する保持部50xと固定部60とで構成されている。
保持部50xは、図13(a)及び図13(b)に示すように、長手方向Xの中央部分に配置されたコルゲート保持部70と、コルゲート保持部70の両端に配置されたパイプ保持部80(第一パイプ保持部80A及び第二パイプ保持部80B)が一体に構成されている。すなわち、保持部50は前方側Xaから後方側Xbに向かって、パイプ保持部80(第一パイプ保持部80Aとする。)、コルゲート保持部70、パイプ保持部80(第二パイプ保持部80Bとする。)がこの順で配置されている。
【0125】
コルゲート保持部70を構成するコルゲート側本体部711における前方側Xaの端部には、図13(b)に示すように、第二係止部74が設けられている。すなわち、第二係止部74は、コルゲート保持部70における第一パイプ保持部80Aとの境界部分に設けられている。
【0126】
一方で、コルゲート側本体部711における後方側Xbの端部には、図13(b)に示すように、第一係止部73が設けられている。すなわち、第二係止部74は、コルゲート保持部70における第二パイプ保持部80Bとの境界部分に設けられている。
【0127】
コルゲート保持部70の長手方向Xの両端に配置されている第一パイプ保持部80Aと第二パイプ保持部80Bは、基本的にパイプ保持部80同じ構成をしている。すなわち、第一パイプ保持部80A及び第二パイプ保持部80Bは、直管パイプ30の外径と等しい内径の内周面を有するパイプ側本体部811とパイプ側カバー82(図示省略)を有する。
【0128】
このように構成された連結ホルダ40xは、図13(a)に示すように、ワイヤーハーネス10を内部に挿通させたコルゲート20を、第一直管パイプ30A及び第二直管パイプ30Bに挿通させ、第一直管パイプ30Aとコルゲート20及びコルゲート20と第二直管パイプ30Bの境界部分を跨ぐように取り付けることで、第一直管パイプ30Aと第二直管パイプ30Bとを連結することができる。
【0129】
具体的には、外周凹部22、第一直管パイプ30A及び第二直管パイプ30Bに対して連結ホルダ40を取り付けることで、図13(b)に示すように、第一パイプ保持部80Aが第一直管パイプ30Aを保持するとともに、第一直管パイプ30Aの後方側Xbの端部から導出されたコルゲート20における外周凹部22に第二係止部74が係止固定される。また、第二パイプ保持部80Bが第二直管パイプ30Bを保持するとともに、第二直管パイプ30Bの前方側Xaの端部から導出されたコルゲート20における外周凹部22に第二係止部74が係止固定される。
【0130】
これにより、第一直管パイプ30A及び第二直管パイプ30Bの両端に取り付けられた連結ホルダ40及び連結ホルダ40xが、コルゲート20を係止固定できるとともに、第一直管パイプ30A及び第二直管パイプ30Bを保持できるため、第一直管パイプ30A及び第二直管パイプ30Bを連結できるとともに、少ない数の連結ホルダ40及び連結ホルダ40xでコルゲート20に対する第一直管パイプ30A及び第二直管パイプ30Bの相対移動を防止できる。したがって、短い複数の直管パイプ30で直線規制の範囲を拡大できる。
なお、図13に示した例では、連結ホルダ40xが一つのみとしたが、複数の連結ホルダ40xを並べて直線規制の範囲を拡大してもよい。
【符号の説明】
【0131】
1 ハーネス配索構造
10 ワイヤーハーネス
20 コルゲート
21 外周凸部
22 外周凹部
30 直管パイプ
40 連結ホルダ
51 ベース
52 カバー
53 枢動部
62 アンカー
711 コルゲート側本体部
73 第一係止部
74 第二係止部
75 第三係止部
76 第四係止部
811 パイプ側本体部
P ボディパネル
P1 アンカー孔
S 開口
X 長手方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13