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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146174
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】自動分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20231004BHJP
   H05F 3/02 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G01N35/00 Z
H05F3/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053230
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】八文字 勇貴
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 望
(72)【発明者】
【氏名】清川 哲宜
【テーマコード(参考)】
2G058
5G067
【Fターム(参考)】
2G058GA03
2G058HA01
5G067AA27
5G067AA53
5G067DA02
5G067DA15
(57)【要約】
【課題】
ユーザアクセス箇所への静電気放電を防ぐことができる構造を備えた自動分析装置を提供する。
【解決手段】
ユーザがアクセスするための開口部を設けた収容部材で、例えば、コンピュータのUSBポートなどのユーザアクセス箇所を覆い、収容部材の開口部にユーザアクセス箇所の外部へ接地された除電部材を取り付けた構造をとる。
【選択図】図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザアクセス箇所の外部に接地された除電部材を取り付けた、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
ユーザがアクセスするための開口部を設けた収容部材でユーザアクセス箇所を覆い、
前記収容部材の開口部に前記除電部材を取り付けた、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
ユーザがアクセスするための開口部を設けた収容部材でユーザアクセス箇所を覆い、
前記収容部材の内部に前記除電部材を取り付けた、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記ユーザアクセス箇所の外部に接地された収容部材で前記ユーザアクセス箇所を覆い、前記収容部材に自動で閉じる開閉機構を備えた、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材として除電ブラシを用いる、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材として金属鎖を用いる、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材として自動で閉じる開閉扉を用いる、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項8】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材として自動で閉じるシャッター機構を用いる、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
請求項1に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材として有線ケーブル等を通すための隙間を設けた自動で閉じるシャッター機構を用いる、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項10】
請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材として収容部材内部に除電ブラシを用いる、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項11】
請求項2または請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材をアース線を介して前記自動分析装置の金属筐体に接続する、
ことを特徴とする自動分析装置。
【請求項12】
請求項2または請求項3に記載の自動分析装置であって、
前記除電部材を前記自動分析装置の金属筐体に直接組み込む、
ことを特徴とする自動分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関し、特にユーザアクセス箇所に対する除電機能を有する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置では、血漿、血清、尿などの生体試料と各種試薬を混合させ分析を行う。自動分析装置によって得られる分析結果は、病状を診断する上での多くの情報をもたらす。近年、より電磁両立性を高めるための施策の1つとして、自動分析装置に対する静電気放電の影響を低減することが求められている。
【0003】
ここで、カード用コネクタ装置の静電気放電対策に関して、特許文献1および特許文献2がある。
【0004】
特許文献1には「カード挿入部を覆う金属製カバーが設けられるとともにカバーは回路基板上のグランドパターンに接続され、開閉扉はカバーを介して回路基板のグランドパターンに接続されることを特徴とするカード用コネクタ装置」について記載されている。
【0005】
特許文献2には「回路基板上に固定され、xDピクチャーカード(カードという)が端子面を下側として収納される空間を形成し、前記カードを前記空間に導入するための開口部を有する筐体と、前記開口部近傍で前記筐体に保持され、一端が回路基板上の回路に導電接続され、他端がこの回路との接続点から前記空間側に延設されて、前記筐体に前記カードが導入されるときにこのカードの端子面と摺動接触する導電部材からなる回路端子とを備えたカードコネクタにおいて、断面がL字型又はコの字型の形状を有し、前記回路端子の前記開口部付近の露出部分を覆い、前記回路基板上の接地電位に接続された板金構造でなる保護プレートを前記回路基板上に設け、前記保護プレートの前記L字型又はコの字型の形状は、前記カードの挿入時に、カード先端を前記開口部から空間へ、前記回路端子の回路基板からの高さ相当分ガイドし得る形状とされており、この保護プレートにより回路の静電気放電を防止することを特徴とするカードコネクタ」について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-203718号公報
【特許文献2】特開2006-196355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2においては、共通して、カードコネクタにカードを挿入する際に回路基板上のグランドパターンに接続された金属に触れる構造をとることで、カードおよびユーザを除電し、カードおよび回路基板上の信号部を静電気放電から守る仕組みをとっている。
【0008】
しかしながら、ある一定以上の静電気が回路基板上のグランドパターンに放電された場合、回路上のグランド電位が揺さぶられるため、回路動作に異常をきたす可能性があり、最悪の場合、回路素子の破壊につながる可能性がある。回路のグランドパターンの揺れによる回路動作の異常および回路素子の破壊を回路上の対策で完全に防ぐことは難しく、放電される静電気が大きくなるほど、その対策は困難を極めていく。
【0009】
ここで、自動分析装置の場合、ユーザアクセス箇所の中で静電気放電により異常をきたす可能性のある箇所の一例として、制御部にあるコンピュータのUSBポート部が考えられる。USBポート部も特許文献1、2と同様に金属シェル等で静電気対策がされているが、その接続先はコンピュータ内部回路基板上のグランドパターンであり、一定以上の大きさの静電気が放電されるとコンピュータは動作異常をきたし、装置動作や分析データに異常をきたす可能性がある。自動分析装置において、特に分析データの異常は、病気の診断ミスにつながるため、確実に回避しなければならない。
【0010】
自動分析装置おいて、上記のような異常を回避するためには、そもそもユーザアクセス箇所への静電気放電を防ぐ必要がある。
【0011】
したがって、本発明の目的は自動分析装置におけるユーザアクセス箇所への静電気放電を防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための一態様として、ユーザがアクセスするための開口部を設けた収容部材によってユーザアクセス箇所を収容し、前記収容部材における開口部にユーザアクセス箇所外部へ接地された除電部材を備えることを特徴とする自動分析装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザがユーザアクセス箇所にアクセスする直前/しているときにユーザアクセス箇所外部に接地された除電部材を介して、必ず除電される構造をとるため、ユーザアクセス箇所への静電気放電を確実に防ぐことができる。
また、本発明はユーザアクセス箇所の外部でおこなう静電気対策であるため、ユーザアクセス箇所自体の静電気対策の有無にかかわらず、静電気によるユーザアクセス箇所や自動分析装置への影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】自動分析装置の基本構成の概略図。
図2】自動分析装置外観の概略図。
図3】コンピュータ周辺図。
図4A】実施例1に係る、除電部材として除電ブラシを備えたコンピュータ周辺図(通常時)。
図4B】実施例1に係る、除電部材として除電ブラシを備えたコンピュータ周辺図(USBポートアクセス時)。
図5】実施例1に係る、ユーザの行動と帯電状態の関係性を示す図。
図6A】実施例2に係る、除電部材として金属鎖を備えたコンピュータ周辺図(通常時)。
図6B】実施例2に係る、除電部材として金属鎖を備えたコンピュータ周辺図(USBポートアクセス時)。
図7A】実施例3に係る、除電部材として自動で閉じる開閉扉を備えたコンピュータ周辺図(開閉扉が閉じている状態)。
図7B】実施例3に係る、除電部材として自動で閉じる開閉扉を備えたコンピュータ周辺図(開閉扉が開いている状態)。
図8】実施例3に係る、ユーザの行動と帯電状態の関係性を示す図。
図9A】実施例4に係る、除電部材として自動で閉じるシャッター機構を備えたコンピュータ周辺図(シャッターが閉じている状態)。
図9B】実施例4に係る、除電部材として自動で閉じるシャッター機構を備えたコンピュータ周辺図(シャッターが開いている状態)。
図10A】実施例5に係る、除電部材として有線ケーブル等を通すための隙間を設けた自動で閉じるシャッター機構を備えたコンピュータ周辺図(シャッターが閉じている状態)。
図10B】実施例5に係る、除電部材として有線ケーブル等を通すための隙間を設けた自動で閉じるシャッター機構を備えたコンピュータ周辺図(シャッターが開いている状態)。
図11A】実施例6に係る、除電部材として収容部材内部に除電ブラシを備えたコンピュータ周辺図。
図11B】実施例6に係る、除電部材として収容部材内部に金属鎖を備えたコンピュータ周辺図。
図12】実施例7に係る、ユーザアクセス箇所を外部に持ち出した例を示す図。
図13】実施例8に係る、アース線を用いたユーザアクセス箇所外部(自動分析装置の金属筐体部)への接地する例を示す図。
図14】実施例8に係る、収容部材・除電部材がユーザアクセス箇所外部(自動分析装置の金属筐体)に直接組み込まれている例を示す図。
図15A】実施例9に係る、除電材料で構成された自動で閉じる収容部材を備えたコンピュータ周辺図(収容部材が閉じている状態)。
図15B】実施例9に係る、除電材料で構成された自動で閉じる収容部材を備えたコンピュータ周辺図(収容部材が開いている状態)。
図16】実施例9に係る、ユーザの行動と帯電状態の関係性を示す図。
図17】実施例11に係る、絶縁性の手袋を装着したユーザの帯電状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の種々の実施例について図面を用いて説明するが、最初に各実施例が適用される最初に装置の基本構成を説明する。
【装置の基本構成】
【0016】
図1および図2を用いて本実施例に関わる自動分析装置の全体的な基本構成の概略を説明する。なお、ここで説明する基本構成は、自動分析装置の基本構成の一例である。
図1に示すように自動分析装置100は試料および試薬を反応させた液体を測定する装置であり、主として、試料搬送機構104、反応ディスク111、試薬ディスク109、試料分注機構101、試薬分注機構106、撹拌機構113、測定部(図示なし)、洗浄機構105、コントローラ102などを備えている。ただし、ここでいう試料とは患者の血液や尿を意味する。
【0017】
自動分析装置100による試料の分析処理は、一般的に以下の順に従い実行される。
【0018】
まず、ラック103が搬入部等に設置され、試料搬送機構104によって自動分析装置100の試料分取位置まで搬入される。
【0019】
試料分取位置に到着したラック103は、試料分注機構101によって試料を反応ディスク111の反応容器112に分取される。試料分注機構101により、当該試料に依頼された分析項目に応じて、必要回数だけ試料の分取を行う。
【0020】
また、分析に使用する試薬を、試薬ディスク109上の試薬ボトル108から試薬分注機構106により先に試料を分取した反応容器112に対して分取する。続いて、撹拌機構113で反応容器112内の試料と試薬とを混合して調製した反応液の撹拌を行う。
【0021】
その後、光源107から発生させた光を撹拌後の反応液の入った反応容器112を透過させ、透過光の光度を分光光度計110により測定する。分光光度計110により測定された光度を、コントローラ102に送信する。そしてコントローラ102によって演算を行い、血液や尿等の液体試料中の所定の成分の濃度を求め、結果を表示装置等にて表示させたり、記憶部に記憶させたりする。
【0022】
図2に上記コントローラ102の搭載位置の一例を示す。本例においては、自動分析装置は制御部203と分析部202に分かれており、コントローラ102は制御部203のコントローラ(コンピュータ)格納領域204に、図1に示すその他の構成部品は分析部203に搭載される。ここでいうコントローラ102は、CPUやメモリなどを備えたコンピュータであり、上記の各部材の様々な動作を制御するとともに、分光光度計110の検出結果から検体中の所定成分の濃度を求める演算処理を行う。コントローラ102による各機器の動作の制御は、記憶部(図示省略)に記録された各種プログラムに基づき実行される。
【0023】
なお、コントローラ102で実行される動作の制御処理は、1つのプログラムにまとめられていても、それぞれが複数のプログラムに別れていてもよく、それらの組み合わせでもよい。また、プログラムの一部または全ては専用ハードウェアで実現してもよく、モジュール化されていても良い。
【0024】
また、前記コンピュータにはUSBポートや光学ドライブが搭載されており、それらを用いて、前記プログラムのアップデート、分析結果のデータ出力等をおこなうことができる。
【0025】
以下本発明である、収容部材における開口部にユーザアクセス箇所外部へ接地された除電部材を備える構成の具体的な実施例を図面に従い説明する。
【実施例0026】
実施例1は、除電部材として、除電ブラシを用いる実施例である。以下、実施例1を図3図4図5に沿って説明する。
【0027】
図3は自動分析装置に搭載されたユーザアクセス箇所 (コンピュータとそのUSBポート部)の周辺を示した概略図300である。図3のユーザアクセス箇所であるコンピュータ301のUSBポート302前面に少なくともUSBメモリが収容可能な奥行かつ、少なくとも人の手を入れることが可能な開口面積をもつ収容部材303と、前記収容部材303の開口部304にユーザアクセス箇所外部に接地された除電部材307である除電ブラシを配置した構造をとる。
【0028】
前記除電部材307の一例として、図4Aに示すような除電ブラシ407を収容部材開口部404に取り付ける方法が考えられる。
【0029】
ただし、収容部材開口部404正面から見たときの除電ブラシ407がない領域は人の手が入る面積に比べて十分に小さい必要がある。この制限はユーザがユーザアクセス箇所外部に接地された除電ブラシ407に触れない限り、ユーザアクセス箇所であるUSBポート402にアクセスすることができない構造にするためである。
【0030】
加えて、上記除電ブラシ407の長さは、収容部材の奥行に比べ短くする必要がある。この制限は、除電ブラシがUSBポート内部402の信号線と接触し短絡することを防ぐためである。
【0031】
上記構造をとることで、図4Bのように、ユーザはユーザアクセス箇所外部に接地された除電ブラシ407に必ず接触しながら、ユーザアクセス箇所であるUSBポート402にアクセスすることができず、ユーザがユーザアクセス箇所にアクセスする直前/しているときにはユーザアクセス箇所外部に接地された除電ブラシに接触するため確実に除電される。
【0032】
具体的な状況を想定すると、図5のステップ(以下Sと略す)501~S510に示すように、ユーザがユーザアクセス箇所であるUSBポート402にUSBメモリ408を挿入する場合および、USBポート402からUSBメモリ408を取り外す場合の両方の状況で、ユーザはユーザアクセス箇所外部に接地された導体の除電ブラシ407に接触しながらUSBメモリ408の挿入/取り外しをおこなう必要があるため、ユーザアクセス箇所であるUSBポート402にアクセスする直前/しているときには除電された状態にあり、ユーザアクセス箇所であるUSBポート402への静電気放電は発生しない。
【0033】
したがって、本実施例を適用することにより、ユーザアクセス箇所への静電気放電を確実に防ぐことができる。また、本実施例は、ユーザアクセス箇所外部でおこなう静電気対策であるため、ユーザアクセス箇所自体の静電気対策の有無にかかわらず、ユーザアクセス箇所への静電気放電を要因とするユーザアクセス箇所および自動分析装置の破壊・誤動作を確実に防ぐことができる。
【実施例0034】
実施例2は、除電部材として金属鎖を用いる実施例である。すなわち、収容部材に取り付けられた、ユーザアクセス箇所外部に接地された除電部材として、図6Aに示すような金属鎖607を配置する構造が考えられる。
【0035】
本実施例の構造をとることで、図6Bに示すように、ユーザはユーザアクセス箇所外部に接地された金属鎖607に接触し持ち上げながらでないと、ユーザアクセス箇所であるUSBポート602にアクセスすることはできない。したがって、ユーザはユーザアクセス箇所にアクセスする直前/しているときに確実に除電され続ける状態になるため、実施例1と同等の効果が得られる。
【0036】
ただし、上記金属鎖607は、収容部材開口部604正面から見たときの金属鎖607がない領域は人の手が入る面積に比べて十分に小さい必要がある。この制限はユーザがユーザアクセス箇所外部に接地された金属鎖607に触れない限り、ユーザアクセス箇所であるUSBポート602にアクセスすることができない構造を崩さないためである。
【0037】
加えて、上記金属鎖607の収容部材奥行方向の可動範囲が収容部材の奥行に対して小さくする、または、金属鎖607の径をUSBポート602に比べ十分に大きくする必要がある。この制限は、金属鎖がUSBポート602内部の信号線と接触し短絡することを防ぐためである。
【実施例0038】
実施例3は、除電部材として自動で閉じる開閉扉を用いる実施例である。すなわち、収容部材に取り付けられた、ユーザアクセス箇所外部に接地された除電部材として、図7Aおよび図7Bに示すような、ユーザアクセス箇所外部に接地され、自動で閉じる機構をもつ開閉扉707を配置する構造も考えられる。
【0039】
上記構造をとることで、図8のS801~S812に示す通り、ユーザがユーザアクセス箇所であるUSBポート702にUSBメモリを挿入する場合および、USBポート702からUSBメモリを取り外す場合の両方の状況で、ユーザはユーザアクセス箇所外部に接地された導体の開閉扉707に接触し開けてからUSBメモリの挿入/取り外しをおこなう必要があるため、ユーザアクセス箇所であるUSBポート702にアクセスする直前/しているときには除電された状態にあり、ユーザアクセス箇所であるUSBポート702への静電気放電は発生しない。
【0040】
したがって、ユーザはユーザアクセス箇所にアクセスする直前/しているときに確実に除電され続ける状態になるため、実施例1乃至2と同等の効果が得られる。
【実施例0041】
実施例4は、除電部材として自動で閉じるシャッター機構を用いる実施例である。すなわち、実施例3において、収容部材701の開口部702にユーザアクセス箇所外部に接地された導電体の自動で閉じる開閉扉707を除電部材として取り付けていたが、図9A,Bのように、導電体でできた重力やばね等を用いた自動で閉じるシャッター機構907を除電部材として取り付ける構造をとる。本実施例の構造は開閉扉が開閉するための空間が不要であるため、実施例3に比べ、収容部材の手前側に必要な空間が小さいというメリットがある。
【0042】
上記構造をとることで、実施例3と同様に、ユーザは手を使ってユーザアクセス箇所外部に接地された導電体のシャッター907に触れて開けない限り、ユーザアクセス箇所であるUSBポート902にアクセスすることができず、ユーザがユーザアクセス箇所にアクセスする直前/しているときにはユーザアクセス箇所外部に接地された導電体に接触するため確実に除電される。
したがって、本実施例は実施例1乃至3と同等の効果が得られる。
【実施例0043】
実施例5は、除電部材として有線ケーブル等を通すための隙間を設けた自動で閉じるシャッター機構を用いる実施例である。
【0044】
実施例1、2において収容部材の開口部にユーザアクセス箇所外部に接地された、導電体の自動で閉じる開閉扉707/シャッター907を除電部材として取り付けていたが、その構造は必ずしも収容部材を密閉する構造でなくともよい。
【0045】
図10A,Bに示すように、例えば有線キーボード等のUSBケーブルなどを通すための隙間1008が空いていてもよいものとする。ただし、この隙間1008は人の手が入る面積よりも十分に小さいものとする。この制限は、ユーザが手を使ってユーザアクセス箇所外部に接地された導電体の開閉扉707/シャッター907に触れて開けない限り、ユーザアクセス箇所であるUSBポート1002にアクセスすることができない構造を崩さないためである。
【0046】
上記構造をとることでの効果は、実施例3、4と同等である。
【実施例0047】
実施例6は除電部材として収容部材内部に除電ブラシを用いる実施例である。すなわち、 実施例1および2において、収容部材開口部404/604にユーザアクセス箇所外部に接地された除電ブラシ407/金属鎖607を除電部材として取り付ける構造としていたが、図11A図11Bに示すように、上記除電ブラシ1107/金属鎖1107を収容部材内部に取り付ける構造の実施例である。
【0048】
ただし、本実施例の場合も実施例1および2で記述した制限を満たす必要がある。
【0049】
なお、本実施例を適用した場合の効果は実施例1乃至5と同等である。
【実施例0050】
実施例7はユーザアクセス箇所を外部に持ち出した構成の実施例である。すなわち、実施例1乃至6において、収容部材をユーザアクセス箇所であるUSBポート302の手前に配置していたが、図12のようにUSB延長ケーブル1208等を用いて、ユーザアクセス箇所を別の場所に設け、実施例1乃至6と同様の収容部材および除電部材の構造をとることもできる。
【0051】
この実施例の構造は、ユーザアクセス箇所周辺に実施例1乃至6の構造をとることが難しい場合や、例えばコンピュータのUSBポート1202をよりユーザが使いやすい場所に配置したい場合などの状況で有効である。
【0052】
なお、この実施例を適用した時の効果は実施例1乃至6と同等である。
【実施例0053】
実施例1乃至7において、ユーザアクセス箇所外部に接地された除電部材に関して記述しているが、その接地方法についてはいくつか考えられる。
【0054】
例えば、図13のように除電部材1307をアース線1306を介して自動分析装置の金属筐体1305に接続する方法や、図14のように収容部材1403を含めて除電部材1407を自動分析装置の金属筐体1405に直接組み込まれるような構造をとることなどが考えられる。ただし、この場合の自動分析装置の金属筐体は保護接地がなされているものとする。
【0055】
本実施例で示す接地方法はあくまで一例であり、除電部材1307/1407がユーザアクセス箇所に直接接地されることなく、ユーザアクセス箇所外部に接地されればよく、その方法については問わない。
【実施例0056】
実施例1乃至8において、収容部材の開口部に除電部材を取り付ける構造について記述しているが、収容部材をユーザアクセス箇所外部に接地された導電性の材料で構成し、収容部材自体が開閉する機構を備えてもよい。
【0057】
図15A,Bのように、ユーザアクセス箇所であるコンピュータ1501のUSBポート1502前面に、少なくともUSBメモリが収容可能な容積をもち、かつ、ユーザアクセス箇所外部に接地された、導電性の自動で元の位置に戻る機構を備えた収容部材1503を配置する。
【0058】
本構造の場合も実施例4乃至5と同様、図16のS1601~S1612に示すように、ユーザがユーザアクセス箇所であるUSBポート1502にUSBメモリを挿入する場合および、USBポート1502からUSBメモリを取り外す場合の両方の状況で、ユーザはユーザアクセス箇所外部に接地された導体の収容部材1503に接触し開けてからUSBメモリの挿入/取り外しをおこなう必要があるため、ユーザアクセス箇所であるUSBポート1502にアクセスする直前/しているときには除電された状態にあり、ユーザアクセス箇所であるUSBポート1502への静電気放電は発生しない。
【0059】
したがって、本実施例を適用した時の効果は実施例1乃至8と同等である。
【実施例0060】
実施例1乃至9において、ユーザアクセス箇所外部に接地された除電部材について記述しているが、その材質は例えば金属などの導電性の高い物質を想定している。また導電部材すべてを導電性の高い材質で構成する必要はなく、例えば、金属メッキや導電塗装など、人の触れる部分の導電性が高ければ問題はなく、それらがユーザアクセス箇所外部に接地されていればよい。
【実施例0061】
本実施例では、ユーザが医療用手袋などの絶縁性の手袋を装着している場合についての実施例1乃至9の静電気対策の効果について記述する。
【0062】
図17に示すように、絶縁性の手袋を装着しているユーザが接地された導電体に触れた場合、導電体に触れた方の手に装着している手袋表面のみが除電され、ユーザ自体およびもう片方の手の手袋表面は帯電したままである。上記状態で、ユーザの身体表面または導電体に触れなかった方の手が導体に触れた場合、静電気放電が発生する。
【0063】
本発明の実施例1乃至8において、除電部材に触れてから収容部材内部に手をアクセスするような構造をとっているため、ユーザアクセス箇所にアクセスする絶縁手袋を装着した手は除電された状態でユーザアクセス箇所であるUSBポートにアクセスすることになる。また、通常医療用手袋は手首までをしっかりと覆って装着しており、ユーザアクセス箇所の手前に収容部材が配置されているため、ユーザの身体表面がユーザアクセス箇所であるUSBポートに触れることはない。したがって、本発明の実施例1乃至8において、ユーザが絶縁性の手袋を装着していた場合でも、ユーザアクセス箇所への静電気放電は発生しない。
【0064】
ただし、実施例3乃至5においては、除電部材に触れる手と、ユーザアクセス箇所にアクセスする手が別になる可能性が考えられる。したがって、ユーザが絶縁性の手袋を装着することを想定する場合には、実施例1乃至2または実施例6を採用することが望ましい。
【実施例0065】
実施例1乃至9では、ユーザアクセス箇所の一例としてコンピュータのUSBポートについて詳細に記述しているが、本発明の適用範囲はコンピュータのUSBポートに限定するものではなく、例えば、コンピュータの光学ドライブ部、電源ボタン部、映像信号などの各種コネクタ部にも適用が可能である。また、コンピュータに限らず、例えば、ユーザが触れる可能性のある各種ボタン、コネクタ部などにも適用が可能である。
【0066】
この場合の効果は実施例1乃9と同様に、ユーザがユーザアクセス箇所にアクセスする直前/しているときに除電されるため、ユーザアクセス箇所自体の静電気対策の有無にかかわらず、ユーザアクセス箇所や装置の静電気による破壊や誤作動を防ぐことができる。
【0067】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることは可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例を加えることが可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
100/200 自動分析装置
101 試料分注機構
102 コントローラ
103 ラック
104 試料搬送機構
105 洗浄機構
106 試薬分注機構
107 光源
108 試薬ボトル
109 試薬ディスク
110 分光光度計
111 反応ディスク
112 反応容器
113 攪拌機構
201 情報表示モニタ
202 分析部
203 制御部
204 コントローラ(コンピュータ)格納領域
300/400/600/700/900/1000/1100/1200/1300/1400/1500 コンピュータ周辺図
301/401/601/701/901/1001/1101/1201/1301/1401/1501 コンピュータ
302/402/602/702/902/1002/1102/1202/1302/1402/1502 USBポート
303/403/603/703/903/1003/1103/1203/1303/1403/1503 収容部材
304/404/604/704/904/1004/1104/1204/1304/1404 収容部材開口部
305/405/605/705/905/1005/1105/1205/1305/1405/1505 自動分析装置金属筐体部
306/406/606/706/906/1006/1106/1206/1306 アース線
307/1207/1307/1407 除電部材
408/608 USBメモリ
409/609 ユーザの手指
708 開閉扉を自動で閉じるための機構(ドアクローザ等)の簡略図
907/1007 導電体でできた重力やばね等を用いた自動で閉じるシャッター機構
1008 有線ケーブル等を通すための隙間
1009 有線キーボード
1208 USB延長ケーブル
1209 延長先でのUSBポート
1508 収容部材を自動で元の位置に戻すためのばね機構の簡略図
1701 ユーザ
1702 絶縁性の手袋を装着したユーザの手
1703 接地された導電体
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17