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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146442
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】はんだバンプ形成用部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231004BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H01L21/92 604H
H05K3/34 505A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053630
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】欠畑 純一
(72)【発明者】
【氏名】赤井 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】葭葉 歩未
(72)【発明者】
【氏名】森谷 敏光
(72)【発明者】
【氏名】宮地 勝将
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319BB04
5E319CD25
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】ロール化或いはシート化にあたって、はんだボールと基体部との接触を防止できるはんだバンプ形成用部材を提供する。
【解決手段】はんだバンプ形成用部材1A,1Bは、ロール状或いはシート状の積層構造をなすはんだバンプ形成用部材であって、第1面2a及び第1面2aと反対側の第2面2bを有する基体部2を備え、基体部2の第1面2a側には、基体部2に保持された複数のはんだボールSが並ぶ配列領域Rと、スペーサ4とが設けられており、基体部2におけるスペーサ4の頂部4aの高さ位置は、基体部2におけるはんだボールSの頂部Saの高さ位置よりも高くなっている。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状或いはシート状の積層構造をなすはんだバンプ形成用部材であって、
第1面及び前記第1面と反対側の第2面を有する基体部を備え、
前記基体部の前記第1面側には、前記基体部に保持された複数のはんだボールが並ぶ配列領域と、スペーサとが設けられており、
前記基体部からの前記スペーサの頂部の高さ位置は、前記基体部からの前記はんだボールの頂部の高さ位置よりも高くなっているはんだバンプ形成用部材。
【請求項2】
前記第2面から前記第1面までの前記基体部の厚さをH1とし、前記スペーサの高さをH2とし、前記はんだボールの平均粒径をH3とした場合に、(H1+H2)は、H3の1倍より大きく600倍以下となっている請求項1記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項3】
前記はんだボールの平均粒径をH3とし、前記スペーサの頂部と前記はんだボールの頂部との高さの差をH4とした場合に、H4は、H3の0.5倍以上となっている請求項1又は2記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項4】
前記第2面から前記第1面までの前記基体部の厚さをH1とし、前記スペーサの頂部と前記はんだボールの頂部との高さの差をH4とした場合に、H1は、H4の1/10よりも大きくなっている請求項1~3のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項5】
前記配列領域には、前記はんだボールのそれぞれを保持する複数の凹部が設けられている請求項1~4のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項6】
前記スペーサの頂部と前記はんだボールの頂部との高さの差をH4とし、前記凹部における前記基体部の厚さをH5とした場合に、H4は、H5の1/50以上10倍以下となっている請求項5記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項7】
前記凹部における前記基体部の厚さをH5とし、前記凹部からの前記はんだボールの突出量をH6とした場合に、H5は、H6の2倍以上となっている請求項5又は6記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項8】
前記スペーサは、前記基体部の前記第1面側に対して接合され、積層構造において隣り合う前記基体部の前記第2面側に対して非接合となっている請求項1~7のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項9】
前記スペーサは、前記基体部の前記第2面側に対して接合され、積層構造において隣り合う前記基体部の前記第1面側に対して非接合となっている請求項1~7のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項10】
前記スペーサは、積層構造において隣り合う一方の前記基体部の前記第1面側及び他方の前記基体部の前記第2面側に対して非接合となっている請求項1~7のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項11】
前記スペーサと、積層構造において隣り合う前記基体部の前記第2面との間には、前記はんだボールから離間した状態でカバーフィルムが設けられている請求項1~7のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項12】
前記スペーサは、前記基体部の前記第1面側に対して接合され、
前記カバーフィルムは、前記スペーサ及び積層構造において隣り合う前記基体部に対して非接合となっている請求項11記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項13】
前記スペーサは、積層構造において隣り合う前記基体部のそれぞれに対して非接合となっており、
前記カバーフィルムは、前記スペーサに対して接合されている請求項11記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項14】
前記積層構造は、ロール状であり、
前記配列領域は、前記基体部の前記第1面側における幅方向の中央部分において、前記基体部の延在方向に連続して設けられ、
前記スペーサは、前記配列領域を前記幅方向に挟むように前記基体部の延在方向に連続して設けられている請求項1~13のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項15】
前記積層構造は、ロール状であり、
前記配列領域は、前記基体部の前記第1面側における幅方向の中央部分において、前記基体部の延在方向に所定の間隔をもって複数設けられ、
前記スペーサは、前記配列領域を前記幅方向に挟むように前記基体部の延在方向に連続して設けられている請求項1~13のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【請求項16】
前記積層構造は、シート状であり、
前記配列領域は、前記基体部の前記第1面側の中央部分に設けられ、
前記スペーサは、前記配列領域を囲むように設けられている請求項1~13のいずれか一項記載のはんだバンプ形成用部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、はんだバンプ形成用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を高密度実装する手法の一つとして、フリップチップ実装が知られている。フリップチップ実装では、例えば一方の回路部材に設けられた電極に予めはんだバンプを形成し、一方の回路部材の電極と他方の回路部材の電極とをはんだバンプの溶融によって接合する。これにより、回路部材同士の接続構造体を得ることができる。
【0003】
電極にはんだバンプを形成する技術としては、例えば特許文献1に記載のはんだバンプ形成方法がある。この従来のはんだバンプ形成方法では、基板の電極の相互間隔に対応して複数の凹部を形成した位置決め板が用いられている。この位置決め用板は、電極に対するはんだバンプ用形成部材として用いられるものであり、位置決め板の各凹部内には、はんだボールが配置されている。位置決め板に対し、外周面が粘着面である転写ロールを位置決め板の表面で転がすことで、転写ロールの粘着面にはんだボールが転写される。その後、粘着材を設けた基板の電極に転写ロールを転がすことで、転写ロールの粘着面から基板の電極にはんだボールが転写される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-157626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
実際の電子部品の実装の場面では、上述のようなはんだバンプ形成用部材をロール化或いはシート化して搬送・保存することが想定される。しかしながら、上述した特許文献1の位置決め板のように、はんだボールが凹部から突出している構成(特許文献1の図2(b)参照)では、はんだバンプ形成用部材をロール化或いはシート化した場合に、はんだボールの突出部分がこれに重なるはんだバンプ形成用部材の基体部に接触するおそれがある。この場合、はんだボールの形状が歪み、電子部品の実装の際の信頼性に影響を及ぼすことが考えられる。また、はんだボールが基体部に接触することで、静電気によるはんだボールの抜け、はんだボールへの有機物等の付着による転写不良などが生じることも考えられる。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、ロール化或いはシート化にあたって、はんだボールと基体部との接触を防止できるはんだバンプ形成用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係るはんだバンプ形成用部材は、ロール状或いはシート状の積層構造をなすはんだバンプ形成用部材であって、第1面及び第1面と反対側の第2面を有する基体部を備え、基体部の第1面側には、当該第1面に保持された複数のはんだボールが並ぶ配列領域と、スペーサとが設けられており、基体部からのスペーサの頂部の高さ位置は、基体部からのはんだボールの頂部の高さ位置よりも高くなっている。
【0008】
このはんだバンプ形成用部材では、基体部の第1面において、はんだボールの頂部の高さよりも高くなるようにスペーサが設けられている。このスペーサの配置により、基体部に保持されたはんだボールと、これに重なるはんだバンプ形成用部材の基体部との間に一定の空間を形成できる。したがって、はんだバンプ形成用部材をロール化或いはシート化した場合であっても、はんだボールと基体部との接触を防止できる。はんだボールと基体部との接触を防止することで、静電気によるはんだボールの抜け、はんだボールへの有機物等の付着による転写不良などの不具合の発生を好適に防止できる。
【0009】
第2面から第1面までの基体部の厚さをH1とし、スペーサの高さをH2とし、はんだボールの平均粒径をH3とした場合に、(H1+H2)は、H3の1倍より大きく600倍以下となっていてもよい。これにより、はんだボールのサイズに対してスペーサによる空間を十分に形成できる。したがって、はんだボールと基体部との接触を好適に防止できる。また、空間の高さが過剰とならず、はんだバンプ形成用部材の小型化が図られる。
【0010】
はんだボールの平均粒径をH3とし、スペーサの頂部とはんだボールの頂部との高さの差をH4とした場合に、H4は、H3の0.5倍以上となっていてもよい。これにより、はんだボールのサイズに対してスペーサによる空間を十分に形成できる。したがって、はんだボールと基体部との接触を好適に防止できる。
【0011】
第2面から第1面までの基体部の厚さをH1とし、スペーサの頂部とはんだボールの頂部との高さの差をH4とした場合に、H1は、H4の1/10よりも大きくなっていてもよい。この場合、基体部が一定の厚さを有するため、基体部の取扱性を十分に確保できる。
【0012】
配列領域には、はんだボールのそれぞれを保持する複数の凹部が設けられていてもよい。この場合、凹部によってはんだボールが位置決めされるため、はんだボールの転写の確実性を担保できる。
【0013】
スペーサの頂部とはんだボールの頂部との高さの差をH4とし、凹部における基体部の厚さをH5とした場合に、H4は、H5の1/50以上10倍以下となっていてもよい。これにより、はんだボールのサイズに対してスペーサによる空間を十分に形成できる。したがって、はんだボールと基体部との接触を好適に防止できる。また、空間の高さが過剰とならず、はんだバンプ形成用部材の小型化が図られる。
【0014】
凹部における基体部の厚さをH5とし、凹部からのはんだボールの突出量をH6とした場合に、H5は、H6の2倍以上となっていてもよい。この場合、はんだボールの突出量に対して凹部の深さが十分なものとなり、凹部からのはんだボールの脱落の発生を抑制できる。
【0015】
スペーサは、基体部の第1面側に対して接合され、積層構造において隣り合う基体部の第2面側に対して非接合となっていてもよい。この構成によれば、基体部に対するスペーサのずれを防止できる。また、はんだボールの転写の際、スペーサが基体部とは別体の廃棄物となることを回避できる。
【0016】
スペーサは、基体部の第2面側に対して接合され、積層構造において隣り合う基体部の第1面側に対して非接合となっていてもよい。この構成によれば、スペーサの配置の際にスペーサが配列領域に干渉することを防止できる。また、はんだボールの転写の際、スペーサが基体部とは別体の廃棄物となることを回避できる。
【0017】
スペーサは、積層構造において隣り合う一方の基体部の第1面側及び他方の基体部の第2面側に対して非接合となっていてもよい。この場合、スペーサを簡単に除去できる。したがって、はんだボールの転写の際、スペーサが転写用の装置に干渉する不具合を防止できる。また、配列領域よりも大きい領域に対してはんだボールの転写を行うことが容易となる。
【0018】
スペーサと、積層構造において隣り合う基体部の第2面との間には、はんだボールから離間した状態でカバーフィルムが設けられていてもよい。この場合、カバーフィルムによってスペーサによる空間が保形される。したがって、はんだボールと基体部との接触をより確実に防止できる。
【0019】
スペーサは、基体部の第1面側に対して接合され、カバーフィルムは、スペーサ及び積層構造において隣り合う基体部のスペーサに対して非接合となっていてもよい。この場合、カバーフィルムが基体部及びスペーサから独立するので、カバーフィルムの除去が容易となる、また、カバーフィルムの材料選択の幅を広げることができる。
【0020】
スペーサは、積層構造において隣り合う基体部のそれぞれに対して非接合となっており、カバーフィルムは、スペーサに対して接合されていてもよい。この場合、スペーサと共にカバーフィルムを簡単に除去できる。はんだボールの転写の際にスペーサ及びカバーフィルムを除去することで、スペーサ及びカバーフィルムが転写用の装置に干渉する等の不具合を防止できる。
【0021】
積層構造は、ロール状であり、配列領域は、基体部の第1面側における幅方向の中央部分において、基体部の延在方向に連続して設けられ、スペーサは、配列領域を幅方向に挟むように基体部の延在方向に連続して設けられていてもよい。この場合、例えばロールtоロール方式でスペーサと共に基体部を巻回することで、ロール状のはんだバンプ形成用部材を容易に作製できる。また、配列領域に対するスペーサの配置の対称性により、スペーサによる空間の保形性を維持しつつ、はんだバンプ形成用部材の巻き取り及び繰り出しを均一に実施できる。
【0022】
積層構造は、ロール状であり、配列領域は、基体部の第1面側における幅方向の中央部分において、基体部の延在方向に所定の間隔をもって複数設けられ、スペーサは、配列領域を幅方向に挟むように基体部の延在方向に連続して設けられていてもよい。この場合、例えばロールtоロール方式でバンプ形成用部材を容易に作製できる。また、配列領域に対するスペーサの配置の対称性により、スペーサによる空間の保形性を維持しつつ、バンプ形成用部材を巻き取り及び繰り出しを均一に実施できる。
【0023】
積層構造は、シート状であり、配列領域は、基体部の第1面側の中央部分に設けられ、スペーサは、配列領域を囲むように設けられていてもよい。この場合、配列領域に対するスペーサの配置の対称性により、スペーサによる空間の保形性を好適に維持できる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、ロール化或いはシート化にあたって、はんだボールと基体部との接触を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の第1実施形態に係るはんだバンプ形成用部材を示す模式的な斜視図である。
図2図1に示したはんだバンプ形成用部材の積層構造を示す模式的な断面図である。
図3】スペーサの頂部の高さ位置とはんだボールの頂部の高さ位置との関係を示す模式的な断面図である。
図4】スペーサの構成の一例を示す模式的な分解断面図である。
図5】スペーサの構成の別例を示す模式的な分解断面図である。
図6】スペーサの構成の更なる別例を示す模式的な分解断面図である。
図7】カバーフィルムが配置された場合のはんだバンプ形成用部材の積層構造を示す模式的な断面図である。
図8】カバーフィルムの構成の一例を示す模式的な分解断面図である。
図9】カバーフィルムの構成の別例を示す模式的な分解断面図である。
図10】スペーサの別の配置例を示す模式的な平面図である。
図11】(a)及び(b)は、はんだボールの配列領域及びスペーサの配置の別例を示す模式的な平面図である。
図12】(a)及び(b)は、はんだボールの配列領域及びスペーサの配置の更なる別例を示す模式的な平面図である。
図13】本開示の第2実施形態に係るはんだバンプ形成用部材を示す模式的な斜視図である。
図14】(a)及び(b)は、はんだボールの配列領域及びスペーサの配置の別例を示す模式的な平面図である。
図15】本開示の変形例におけるスペーサの頂部の高さ位置とはんだボールの頂部の高さ位置との関係を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係るはんだバンプ形成用部材の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0027】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含むものとする。本明細書において段階的に記載されている数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
[第1実施形態]
【0028】
図1は、本開示の第1実施形態に係るはんだバンプ形成用部材を示す模式的な斜視図である。また、図2は、図1に示したはんだバンプ形成用部材の積層構造を示す模式的な断面図である。図1及び図2に示すはんだバンプ形成用部材1Aは、例えば回路部材の電極へのはんだバンプの形成(はんだボールSの転写)に用いられる部材である。図1及び図2の例では、はんだバンプ形成用部材1Aは、ロール状の積層構造をなしており、この状態で保管・搬送・使用がなされるようになっている。はんだバンプ形成用部材1A及び後述のはんだバンプ形成用部材1Bを容器内に収容する場合には、当該容器内に窒素などの不活性ガスをパージしてもよい。
【0029】
はんだバンプ形成用部材1Aは、長尺の基体部2を有している。基体部2は、平面視において所定の幅の帯状をなしている。基体部2は、図1及び図2に示すように、第1面2a及び第1面2aと反対側の第2面2bとを有している。はんだバンプ形成用部材1Aでは、基体部2は、第1面2a側が中心側を向くようにしてロール状に巻回された状態となっている(図1参照)。
【0030】
基体部2の構成材料としては、例えばシリコン、各種セラミックス、ガラス、ステンレススチールなどの無機材料、各種樹脂などの有機材料が挙げられる。基体部2の構成材料は、光透過性の高い材料であってもよい。このような材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、透明(無色)のポリイミド、ポリアミドなどが挙げられる。基体部2の構成材料は、はんだボールSの融点において変質しない耐熱性を有する材料であってもよい。基体部2の構成材料は、はんだボールSを構成する材料と合金化或いは反応して変化しない材料であってもよい。
【0031】
基体部2の構成材料は、可撓性を有するフィルム材料であってもよい。このような材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレンポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートなどが挙げられる。基体部2の取扱性を向上させる観点では、先に挙げた材料の厚みを増すことで変形を抑えることができる。
【0032】
電極へのはんだボールSの転写精度を向上させる観点からは、基体部2の構成材料として、エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック、先に挙げた汎用プラスチックへフィラーや繊維を複合化した材料、無機材料を用いることができる。この場合、例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポエリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどを用いることができる。
【0033】
基体部2の第1面2a側には、はんだボールSが保持された配列領域Rが設けられている。図1及び図2の例では、配列領域Rは、基体部2の第1面2a側における幅方向の中央部分において、基体部2の延在方向に連続して一定の幅で設けられている。配列領域Rには、はんだボールSを保持する複数の凹部3が設けられている。図1及び図2の例では、配列領域Rにおいて、複数の凹部3が6列×n行(nは整数)の格子状に配列されており、各凹部3にはんだボールSが1つずつ保持されている。
【0034】
凹部3は、例えばインプリント法、フォトリソグラフィ法、機械加工、レーザ加工などの公知の方法を用いて形成することができる。特に、ナノインプリント法を用いる場合には、所望の型の押し付けにより、比較的短い工程で精度良く凹部3を形成することができる。このような凹部3を設けることで、凹部3によってはんだボールSが位置決めされるため、はんだボールSの転写の確実性を担保できる。
【0035】
凹部3のサイズ(幅、容積、深さなど)は、はんだボールSのサイズに応じて適宜設定される。ここでは、凹部3の深さは、はんだボールSの直径より小さくなっている。したがって、各凹部3に保持されたはんだボールSの頂部Sa側は、図2に示すように、凹部3の開口面3aから突出した状態となっている。電極へのはんだボールSの転写の際に電極とはんだボールSとを確実に接触させる観点から、凹部3の深さを1とした場合に、はんだボールSの高さは、1.02以上であってもよく、1.07以上であってもよい。
【0036】
電極への転写時以外の場面において凹部3からのはんだボールSの脱落を防止する観点から、凹部3の深さを1とした場合に、はんだボールSの高さは、3.00以下であってもよい。凹部3の深さの設計にあたっては、複数のはんだボールSの平均粒径をはんだボールSの直径と見做して用いてもよい。
【0037】
図1及び図2の例では、平面視で円形のはんだボールSに対し、凹部3の平面形状が正方形状となっている。凹部3の平面形状は、正方形形状のほか、楕円形状、三角形状、長方形等の他の矩形状、多角形状などの種々の形状であってもよい。また、図1及び図2の例では、凹部3の断面形状は、矩形状となっている。凹部3の断面形状は、底面3b側から開口面3a側に向かって開口面積が拡大するようなテーパ状をなしていてもよい。凹部3の底面3bは、平坦面に限られず、例えば凹状の湾曲面などであってもよい。
【0038】
はんだボールSは、例えばスズ又はスズ合金を含んで構成されている。スズ合金としては、例えばIn-Sn合金、In-Sn-Ag合金、Sn-Au合金、Sn-Bi合金、Sn-Bi-Ag合金、Sn-Ag合金、Sn-Ag-Cu合金、Sn-Cu合金などが挙げられる。はんだボールSは、インジウム又はインジウム合金を含むものであってよい。インジウム合金としては、例えばIn-Bi合金、In-Ag合金などが挙げられる。
【0039】
はんだボールSは、Ag、Cu、Ni、Bi、Zn、Pd、Pb、Au、Sb、Ge、Mn、Co、Si、Al、P及びBから選ばれる一種以上の元素を含んでもよい。はんだボールSは、良好な導通信頼性を得る観点から、前述の元素のうち、Ag又はCuを含んでもよい。はんだボールSがAg又はCuを含むことで、はんだボールSの融点を220℃程度まで低下させることができ、且つ電極との接合強度を向上できる。はんだボールSは、樹脂製の粒子表面に金属膜を有する粒子であってもよい。はんだボールSは、単数の金属粒子からなるものであってもよく、複数の金属粒子からなるものであってもよい。
【0040】
はんだボールSの平均粒径は、例えば1μm以上35μm以下となっている。はんだボールSの平均粒径は、25μm以下、20μm以下、15μm以下であってもよい。はんだボールSの平均粒径は、例えば1μm以上、2μm以上、3μm以上、5μm以上であってもよい。はんだボールSの平均粒径は、サイズに合わせた各種方法を用いて測定できる。測定手法としては、例えば動的光散乱法、レーザ回折法、遠心沈降法、電気的検知帯法、共振式質量測定法などが挙げられる。
【0041】
はんだボールSの平均粒径他の測定手法としては、光学顕微鏡或いは電子顕微鏡等によって得られる画像に基づいて粒子サイズを測定する方法が挙げられる。具体的な装置としては、フロー式粒子像分析装置、マイクロトラック、コールターカウンターなどが挙げられる。はんだボールSの平均粒径は、例えばはんだバンプ形成用部材1Aの第1面2aに対して垂直方向からはんだボールSを観察した場合の投影面積円相当径(粒子の投影面積と等しい面積をもつ円の直径)に基づいて算出できる。
【0042】
はんだボールSのC.V.値は、前述の方法によって測定された粒子径の標準偏差を平均粒径で割った値に100を掛けることで算出される値である。はんだボールSのC.V.値は、より優れた導電信頼性及び絶縁信頼性を実現できる観点から、20%以下となっていてもよい。はんだボールSのC.V.値は、10%以下であってもよく、7%以下であってもよい。はんだボールSのC.V.値の下限は、特に限定されない。はんだボールSのC.V.値は、1%以上であってもよく、2%以上であってもよい。
【0043】
凹部3に保持されているはんだボールSは、凹部3の底面3b或いは内壁面3cに接触していてもよい。底面3b或いは内壁面3cとの接触部分において、はんだボールSの一部が平坦となっていてもよい。はんだボールSが凹部3の底面3b或いは内壁面3cに接触していることで、電極への転写時以外の場面において、凹部3からのはんだボールSの脱落の発生を抑制できる。
【0044】
基体部2の第1面2a側には、アライメントマーク(不図示)が設けられていてもよい。アライメントマークは、例えば基体部2の第1面2aに設けられた凹凸形状、インクや顔料による印刷、めっきやスパッタリングによる無機物の印刷、レーザによる焼き付けなどによって形成できる。アライメントマークは、平面視において、例えば円形、二重円形、多重円形、三角形、矩形、多角形、それらの多重角形などをなしていてもよい。アライメントマークは、磁性体、電磁波の吸収・反射・回折を伴う材料によって構成されていてもよい。この場合、アライメントマークの形状は、特に限定されない。
【0045】
アライメントマークをカメラ等の撮像装置で検出することにより、はんだバンプ形成の際に、形成対象となる電極と凹部3内のはんだボールSとの位置合わせが容易になる。したがって、電極へのはんだボールSの転写精度を高めることができる。アライメントマークは、第1面2a側に1箇所以上設けられていればよいが、複数設けることで位置合わせの精度の更なる向上が図られる。アライメントマークは、例えば基体部2が透明な場合には、第2面2b側に更に設けられていてもよい。
【0046】
基体部2の第1面2a側には、図1及び図2に示すように、スペーサ4が設けられている。スペーサ4は、基体部2に保持されたはんだボールSと、ロール状の積層構造においてこれに重なる基体部2との間に一定の空間Vを形成する部材である(図2参照)。空間Vの形成により、凹部3に保持されているはんだボールSが積層構造において隣り合う基体部2の第2面2bに接触することを抑制できる。
【0047】
本実施形態では、スペーサ4は、基体部2の幅方向に対する配列領域Rの幅よりも小さい幅の帯状をなし、配列領域Rの外側となる領域に配置されている。図1及び図2の例では、スペーサ4は、基体部2の幅方向の縁部において、配列領域Rを幅方向に挟むように基体部2の延在方向に連続して設けられている。
【0048】
スペーサ4は、例えば基体部2の構成材料と同一の材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、紫外線硬化性樹脂フィルム、微粘着フィルム、金属シート、紙シートなどによって構成することができる。スペーサ4は、静電気の発生を抑制可能な材料によって構成されていてもよい。このような材料としては、例えばアルミニウム製のシート、帯電防止コートが施されたポリエチレンテレフタレート、導電性カーボンシートなどが挙げられる。スペーサ4を紫外線構成性樹脂フィルム或いは微粘着フィルムなどで構成する場合、スペーサ4が基体部2に対して接合されていてもよい。
【0049】
本実施形態では、図3に示すように、第2面2bから第1面2aまでの基体部2の厚さをH1とし、スペーサ4の高さをH2とし、はんだボールSの平均粒径をH3とした場合に、(H1+H2)は、H3の1倍より大きく600倍以下となっている。(H1+H2)をH3の1倍より大きくすることで、はんだボールSのサイズに対してスペーサ4による空間Vを十分に形成できる。したがって、はんだボールSと基体部2との接触を好適に防止できる。また、(H1+H2)をH3の600倍以下とすることで、空間Vの高さが過剰とならず、はんだバンプ形成用部材1Aの小型化が図られる。(H1+H2)は、H3の2倍以上であってもよく、H3の8倍以上であってもよく、H3の20倍以上であってもよい。(H1+H2)は、H3の350倍以下であってもよく、H3の100倍以下であってもよく、H3の55倍以下であってもよい。
【0050】
本実施形態では、はんだボールの平均粒径をH3とし、スペーサ4の頂部4aとはんだボールSの頂部Saとの高さの差をH4とした場合に、H4は、H3の0.5倍以上となっている。これにより、はんだボールSのサイズに対してスペーサ4による空間Vを十分に形成できる。したがって、はんだボールSと基体部2との接触を好適に防止できる。H4は、H3の1倍以上であってもよく、10倍以上であってもよい。
【0051】
本実施形態では、第2面2bから第1面2aまでの基体部2の厚さをH1とし、スペーサ4の頂部4aとはんだボールSの頂部Saとの高さの差をH4とした場合に、H1は、H4の1/10よりも大きくなっている。これにより、基体部2が一定の厚さを有するため、基体部2の取扱性を十分に確保できる。
【0052】
本実施形態では、スペーサ4の頂部4aとはんだボールSの頂部Saとの高さの差をH4とし、凹部3における基体部2の厚さをH5とした場合に、H4は、H5の1/50以上10倍以下となっている。H4をH5の1/50以上とすることで、はんだボールSのサイズに対してスペーサ4による空間Vを十分に形成できる。したがって、はんだボールSと基体部2との接触を好適に防止できる。また、H4をH5の10倍以下とすることで、空間Vの高さが過剰とならず、はんだバンプ形成用部材1Aの小型化が図られる。H4は、H5の1/10以上であってもよく、H5の1/5倍以上であってもよい。H4は、H5の5倍以下であってもよく、H5の2倍以下であってもよい。
【0053】
本実施形態では、凹部3における基体部2の厚さをH5とし、凹部3からのはんだボールSの突出量をH6とした場合に、H5は、H6の2倍以上となっていてもよい。この場合、はんだボールSの突出量に対して凹部3の深さが十分なものとなり、凹部3からのはんだボールSの脱落の発生を抑制できる。H5は、H6の20倍以上であってもよく、H6の40倍以上であってもよく、H6の50倍以上であってもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、スペーサ4の頂部4aとはんだボールSの頂部Saとの高さの差H4が、上述した第2面2bから第1面2aまでの基体部2の厚さH1の10%以下であってもよい。はんだバンプ形成用部材1Aは、ロール状の積層構造をなしているが、H4とH1との関係が前述の範囲を満たすことで、基体部2とスペーサ4との曲率半径の差によるスペーサ4の皺の発生を抑制できる。
【0055】
本実施形態では、図4に示すように、スペーサ4は、基体部2の第1面2a側に対して接合され、積層構造において隣り合う基体部2の第2面2b側に対して非接合となっている。このような構成によれば、基体部2に対するスペーサ4のずれを防止できる。また、はんだボールSの転写の際、スペーサ4が基体部2とは別体の廃棄物となることを回避できる。
【0056】
図5に示すように、スペーサ4は、基体部2の第2面2b側に対して接合され、積層構造において隣り合う基体部2の第1面2a側に対して非接合となっていてもよい。図5の構成によれば、スペーサ4の配置の際にスペーサ4が配列領域Rに干渉することを防止できる。また、図4の場合と同様に、はんだボールSの転写の際、スペーサ4が基体部2とは別体の廃棄物となることを回避できる。
【0057】
スペーサ4を紙シートなどの非粘着性の材料で構成する場合、図6に示すように、スペーサ4は、積層構造において隣り合う一方の基体部2の第1面2a側及び他方の基体部2の第2面2b側に対して非接合となっていてもよい。この場合、はんだバンプ形成用部材1Aからスペーサ4を簡単に除去できる。はんだボールSの転写の際にスペーサ4を除去することで、スペーサ4が転写用の装置に干渉する等の不具合を防止できる。また、配列領域Rよりも大きい領域に対してはんだボールSの転写を行うことが容易となる。
【0058】
図7に示すように、スペーサ4と、積層構造において隣り合う基体部2の第2面2bとの間には、はんだボールSから離間した状態でカバーフィルム5が設けられていてもよい。図7の例では、カバーフィルム5は、積層構造において隣り合う基体部2の第2面2bに接した状態で、基体部2の幅方向の一方のスペーサ4の頂部4aと、基体部2の幅方向の他方のスペーサ4の頂部4aとにわたって掛け渡されている。このようなカバーフィルム5の配置により、スペーサ4による空間Vの保形性が高められる。したがって、はんだボールSと基体部2との接触をより確実に防止できる。
【0059】
カバーフィルム5の構成材料としては、例えば基体部2の構成材料と同一の材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、紫外線硬化性樹脂フィルム、微粘着フィルム、金属シート、紙シートなどを用いることができる。また、カバーフィルム5の構成材料としては、例えばエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックなどを用いることができる。また、先に挙げた汎用プラスチックへフィラーや繊維を複合化した材料、無機材料などを用いることができる。この場合、例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポエリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、無塵紙などを用いることができる。また、静電気発生防止の観点から、アルミニウム製のシート金属材料、導電性カーボン、帯電防止コートが施された樹脂材料などを用いることができる。
【0060】
カバーフィルム5の厚さは、積層時の厚さを低減する観点から、1mm以下であってもよい。カバーフィルム5の厚さは、0.8mm以下であってもよく、0.5mm以下であってもよく、0.3mm以下であってもよく、0.1mm以下であってもよく、0.05mm以下であってもよく、0.037mm以下であってもよい。カバーフィルム5の厚さは、基体部2の厚さH1の5倍以下であってもよく、3倍以下であってもよく、2倍以下であってもよい。
【0061】
スペーサ4が基体部2の第1面2a側に対して接合されている場合、カバーフィルム5は、図8に示すように、スペーサ4及び積層構造において隣り合う基体部2の第2面2bに対して非接合となっていてもよい。この場合、カバーフィルム5が基体部2及びスペーサ4から独立するので、はんだボールSの転写の際、カバーフィルム5の除去が容易となる、また、カバーフィルム5の材料選択の幅を広げることができる。
【0062】
スペーサ4が積層構造において隣り合う基体部2,2のそれぞれに対して非接合となっている場合、カバーフィルム5は、図9に示すように、スペーサ4に対して接合されていてもよい。この場合、スペーサ4とカバーフィルム5とが一体化されるので、はんだボールSの転写の際、スペーサ4と共にカバーフィルム5を簡単に除去できる。はんだボールSの転写の際にスペーサ4及びカバーフィルム5を除去することで、スペーサ4及びカバーフィルム5が転写用の装置に干渉する等の不具合を防止できる。
【0063】
以上説明したように、はんだバンプ形成用部材1Aでは、基体部2の第1面2aにおいて、はんだボールSの頂部Saの高さよりも高くなるようにスペーサ4が設けられている。スペーサ4の配置により、基体部2に保持されたはんだボールSと、これに重なるはんだバンプ形成用部材1の基体部2との間に一定の空間Vを形成できる。したがって、はんだバンプ形成用部材1をロール化した場合であっても、はんだボールSと基体部2との接触を防止できる。はんだボールSと基体部2との接触を防止することで、静電気によるはんだボールSの抜け、はんだボールSへの有機物等の付着による転写不良などの不具合の発生を好適に防止できる。
【0064】
本実施形態では、積層構造がロール状であり、配列領域Rは、基体部2の第1面2a側における幅方向の中央部分において、基体部2の延在方向に連続して設けられている。また、スペーサ4は、配列領域Rを幅方向に挟むように基体部2の延在方向に連続して設けられている。このような構成によれば、例えばロールtоロール方式でスペーサ4と共に基体部2を巻回することで、ロール状のはんだバンプ形成用部材1Aを容易に作製できる。また、配列領域Rに対するスペーサ4の配置の対称性により、スペーサ4による空間Vの保形性を維持しつつ、はんだバンプ形成用部材1Aの巻き取り及び繰り出しを均一に実施できる。
【0065】
基体部2に対する配列領域R及びスペーサ4の配置は、種々の変形を適用し得る。例えば上記実施形態では、スペーサ4が配列領域Rを幅方向に挟むように基体部2の延在方向に連続して設けられているが、図10に示すように、スペーサ4が配列領域Rを幅方向に挟むように基体部2の延在方向に断続的に設けられていてもよい。この場合、スペーサ4の使用量を低減できる。また、はんだバンプ形成用部材1Aをカットして使用する場合のカット位置のマーカとしてスペーサ4を利用することができる。さらに、ロール状の積層構造とする際、基体部2とスペーサ4との曲率半径の差によるスペーサ4の皺の発生を抑制できる。
【0066】
基体部2の延在方向に対するスペーサ4,4の間隔に特に制限はないが、一例として、図10に示すように、基体部2の延在方向に対するスペーサ4,4の間隔が基体部2の延在方向に対するスペーサ4の長さよりも小さくなっていてもよい。この場合、スペーサ4,4間がスリットによって離間するような態様であってもよい。基体部2の延在方向に対するスペーサ4,4の間隔は、基体部2の延在方向に対するスペーサ4の長さと等しくなっていてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、配列領域Rが基体部2の延在方向に連続して設けられているが、例えば図11(a)、図11(b)、図12(a)、図12(b)に示すように、基体部2の第1面2a側における幅方向の中央部分において、配列領域Rが基体部2の延在方向に所定の間隔をもって複数設けられていてもよい。ここでは、配列領域Rのそれぞれにおいて、複数の凹部3が6列×6行の格子状に配列されており、各凹部3にはんだボールSが1つずつ保持されている。
【0068】
配列領域Rのそれぞれにおける凹部3の配置数は、任意に設定可能である。また、配列領域Rの平面形状も、矩形状に限られず、円形状、楕円形状、三角形状、多角形状といった他の形状とすることができる。基体部2の延在方向に対する配列領域R,Rの間隔も特に制限はないが、基体部2の延在方向に対する配列領域R,Rの間隔が基体部2の延在方向に対する配列領域Rの長さよりも小さくなっていてもよい。基体部2の延在方向に対する配列領域R,Rの間隔は、基体部2の延在方向に対する配列領域Rの長さと等しくなっていてもよい。
【0069】
配列領域Rを所定の間隔をもって複数設ける場合にも、スペーサ4の配置は、種々の構成を採り得る。図11(a)の例では、図1の場合と同様に、スペーサ4は、基体部2の幅方向の縁部において、配列領域Rを幅方向に挟むように基体部2の延在方向に連続して設けられている。このような構成によれば、上記実施形態と同様、例えばロールtоロール方式でスペーサ4と共に基体部2を巻回することで、ロール状のはんだバンプ形成用部材1Aを容易に作製できる。
【0070】
図11(b)の例では、スペーサ4は、配列領域R,R間において、基体部2の幅方向に一定の幅で設けられている。このような構成によれば、はんだバンプ形成用部材1Aをカットして使用する場合のカット位置のマーカとしてスペーサ4を利用することができる。また、ロール状の積層構造とする際、基体部2とスペーサ4との曲率半径の差によるスペーサ4の皺の発生を抑制できる。
【0071】
図12(a)の例では、スペーサ4は、配列領域Rのそれぞれを囲むように枠状に設けられている。このような構成によれば、スペーサ4による空間Vの保形性を高めることができる。図12(b)の例では、図10の場合と同様に、スペーサ4は、基体部2の幅方向の縁部において、配列領域Rを幅方向に挟むように基体部2の延在方向に断続的に設けられている。したがって、図10の場合と同様の作用効果が奏される。なお、図12(b)の例では、断続的に設けられたスペーサ4の位置は、配列領域Rのそれぞれの角部に対応している。このようなスペーサ4の配置により、スペーサ4の使用量を低減しつつ、スペーサ4による空間Vの保形性の維持が図られる。
[第2実施形態]
【0072】
図13は、本開示の第2実施形態に係るはんだバンプ形成用部材を示す模式的な斜視図である。図13に示すように、第2実施形態に係るはんだバンプ形成用部材1Bは、シート状の積層構造をなしている点で、ロール状の積層構造をなしている第1実施形態と相違している。
【0073】
はんだバンプ形成用部材1Bは、複数の矩形(ここでは正方形)の基体部2を有している。基体部2のそれぞれの第1面2a側の中央部分には、はんだボールSが保持された配列領域Rが設けられている。図13の例では、配列領域Rにおいて、複数の凹部3が6列×6行の格子状に配列されており、各凹部3にはんだボールSが1つずつ保持されている。スペーサ4は、基体部2の第1面2a側の縁部において、配列領域Rを囲むように枠状に配置されている。
【0074】
はんだバンプ形成用部材1Bの積層構造は、はんだバンプ形成用部材1Aの積層構造と同じである(図2参照)。はんだバンプ形成用部材1Bにおいて、(H1+H2)とH3との大小関係、H3とH4との大小関係、H1とH4との大小関係、H4とH5との大小関係、及びH5とH6との大小関係は、はんだバンプ形成用部材1Aと同じである(図3参照)。また、はんだバンプ形成用部材1Bにおいても、図4図6に示したスペーサの構成を適用できる。はんだバンプ形成用部材1Bにおいても、図7~9に示したカバーフィルムの構成を適用できる。これらの構成から奏する作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0075】
はんだバンプ形成用部材1Bにおいても、基体部2の第1面2aにおいて、はんだボールSの頂部Saの高さよりも高くなるようにスペーサ4が設けられている。スペーサ4の配置により、基体部2に保持されたはんだボールSと、これに重なるはんだバンプ形成用部材1の基体部2との間に一定の空間V(図2参照)を形成できる。したがって、はんだバンプ形成用部材1をシート化した場合であっても、はんだボールSと基体部2との接触を防止できる。はんだボールSと基体部2との接触を防止することで、静電気によるはんだボールSの抜け、はんだボールSへの有機物等の付着による転写不良などの不具合の発生を好適に防止できる。
【0076】
本実施形態では、積層構造は、シート状(或いは板状)であり、配列領域Rは、基体部2の第1面2a側の中央部分に設けられている。また、スペーサ4は、配列領域Rを囲むように基体部2の縁部に設けられている。このような構成によれば、配列領域Rに対するスペーサ4の配置の対称性により、スペーサ4による空間Vの保形性を好適に維持できる。
【0077】
はんだバンプ形成用部材1Bでは、はんだバンプ形成用部材1Aとは異なり、ロール化による湾曲がなされないため、基体部2、スペーサ4、カバーフィルム5のすくなくとも一つに硬質材料を用いることができる。この場合の硬質材料としては、シリコンウェハなどの無機材料、硬質プラスチックといった樹脂材料、アルミニウム板といった金属材料などが挙げられる。硬質材料を用いることで、はんだバンプ形成用部材1Bの取扱性が向上することに加え、空間Vの保形性の向上も図られる。
【0078】
はんだバンプ形成用部材1Bにおいても、配列領域Rのそれぞれにおける凹部3の配置数は、任意に設定可能である。また、配列領域Rの平面形状も、矩形状に限られず、円形状、楕円形状、三角形状、多角形状といった他の形状とすることができる。
【0079】
スペーサ4の配置についても種々の変形を適用し得る。例えば図14(a)に示すように、基体部2の縁部のうち互いに対向する2辺のみにスペーサ4を設ける構成としてもよい。このような構成によれば、スペーサ4の配置が一方向のみとなるため、スペーサ4の配置が容易なものとなる。また、例えば図14(b)に示すように、基体部2の縁部において、スペーサ4を断続的に設ける構成としてもよい。この場合、図10及び図12(b)の場合と同様の作用効果が奏される。図14(b)の例では、図12(b)の例と同様に、断続的に設けられたスペーサ4の位置が配列領域Rのそれぞれの角部に対応している。このようなスペーサ4の配置によれば、スペーサ4の使用量を低減しつつ、スペーサ4による空間Vの保形性の維持が図られる。
[変形例]
【0080】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、いずれもスペーサ4が配列領域Rの外側となる領域に配置されているが、はんだボールSの転写を阻害しない場合には、スペーサ4が配列領域Rの内側に配置されていてもよい。この場合、スペーサ4は、例えば隣り合う凹部3,3を仕切る壁部の頂部などに配置され得る。また、スペーサ4は、配列領域Rの一部においてはんだボールSを覆っていてもよい。この場合、はんだバンプ形成用部材1A,1Bの使用にあたって、スペーサ4に覆われていない配列領域Rを用いてはんだボールSの転写を実施すればよい。
【0081】
また、上記実施形態では、いずれも配列領域Rにおいて凹部3内にはんだボールSが保持されているが、図15に示すように、凹部3を省略し、基体部2の第1面2aに直接はんだボールSを保持するようにしてもよい。この場合、例えば基体部2の第1面2aに微粘着性を付与することで、基体部2からのはんだボールSの脱落を抑制できる。
【0082】
はんだボールSを基体部2の第1面2aに保持する粘着剤としては、第1面2aに付着したはんだボールSが容易に脱落しない程度のタック力を有するものであればよい。粘着剤は、転写後のはんだバンプの接続性を維持する観点から、はんだボールSの転写温度において変質或いは分解しない有機性の粘着剤であり、ハンダに対する酸化及び腐食作用を生じない材料であることが好ましい。粘着剤としては、例えばアクリル系、シリコーン系、ゴム系の者を用いることができる。粘着剤を厚く塗布しても効果の増大は図られないため、粘着剤の厚さに特に制限はない。経済的な観点から、粘着剤の厚さは、100μm以下とすることが好ましい。
【0083】
凹部3を省略する場合の第2面2bから第1面2aまでの基体部2の厚さH1、スペーサ4の高さH2、はんだボールSの平均粒径H3、、スペーサ4の頂部4aとはんだボールSの頂部Saとの高さの差をH4は、図15に示すとおりである。この態様においても、(H1+H2)は、H3の1倍より大きく600倍以下となっていてもよい。H4は、H3の0.5倍以上となっていてもよく、H1は、H4の1/10よりも大きくなっていてもよい。また、H4は、H5の1/50以上10倍以下となっていてもよい。これにより、上記と同様の作用効果が奏される。
【符号の説明】
【0084】
1A,1B…はんだバンプ形成用部材、2…基体部、2a…第1面、2b…第2面、3…凹部、4…スペーサ、5…カバーフィルム、4a…頂部、R…配列領域、S…はんだボール、Sa…頂部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15