(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146550
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】検査体読取装置および検査体読取方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20231004BHJP
G01N 35/02 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G06K7/10 376
G06K7/10 416
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053780
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】関谷 研人
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】梁 宰誠
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058GC02
2G058GC05
(57)【要約】
【課題】従来に比べてバーコードの読み取り成功率を高めることが可能な検査体読取装置および検査体読取方法を提供する。
【解決手段】自発光のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fを備えており、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fから発せられる照射光が、バーコード107が設けられる面の全体を覆い、かつ照射光の光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fが、検査体101のバーコード107が設けられている検査面の法線ベクトル105A,105B,105Cに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査体に設けられたバーコードを読み取る検査体読取装置であって、
自発光のバーコードリーダを備えており、
前記バーコードリーダは、
前記バーコードリーダから発せられる照射光が、前記バーコードが設けられる面の全体を覆い、かつ
前記照射光の光軸が、前記検査体の前記バーコードが設けられている検査面の法線ベクトルに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されている
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査体読取装置において、
前記バーコードリーダを2つ以上備えており、
2つ以上の前記バーコードリーダは、
2つ以上の前記バーコードリーダを組み合わせた照射領域が前記面の全体を覆い、
2つ以上の前記光軸は、前記検査面の全て法線ベクトルからずれ、かつ
各々の前記光軸が他の全ての前記光軸に対してずれている
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査体読取装置において、
前記検査体は断面が円形であり、
前記検査体の側面を少なくとも3点以上で支えるリブを更に備え、
前記リブは、前記光軸のうち1つに対して平行な板であり、
前記検査体の側面に対して離散的に配置されている
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項4】
請求項3に記載の検査体読取装置において、
前記バーコードリーダを前記検査体の周囲に等間隔に配置し、
前記光軸と前記法線ベクトルのなす角を水平方向に0°より大きく20°以下、かつ垂直方向に0°より大きく30°以下となるように配置し、
前記リブを複数の前記バーコードリーダの間に配置する
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査体読取装置において、
前記バーコードリーダを6つ備えており、
6つの前記バーコードリーダを検査体の周囲に60°間隔で配置し、
前記光軸と前記法線ベクトルのなす角を水平方向に10°、かつ垂直方向に15°となるように配置する
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項6】
請求項3に記載の検査体読取装置において、
前記リブは、前記照射光を吸収する構成である
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項7】
請求項2に記載の検査体読取装置において、
前記検査体を搬送する搬送装置に、前記バーコードリーダが前記検査体の全方位を走査する領域が設けられており、
前記バーコードリーダは、前記領域に位置する前記検査体の情報を読み取る
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項8】
請求項7に記載の検査体読取装置において、
前記領域を、前記照射光が重ならないように前記バーコードリーダをずらして配置することで構成し、前記検査体の搬送中に全方位の一部を順に走査する
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項9】
請求項2に記載の検査体読取装置において、
前記バーコードリーダを異なるタイミングで発光させるコントローラを更に備えた
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項10】
請求項9に記載の検査体読取装置において、
前記コントローラは、前記バーコードの読み取りに成功した場合は読み取り動作を終了し、前記バーコードの読み取りに失敗した場合は、まだ発光させていない前記バーコードリーダの中から1つ選んで発光させる
ことを特徴とする検査体読取装置。
【請求項11】
バーコードを読み取る検査体読取方法であって、
自発光型のバーコードリーダから発せられる照射光が、検査体に設けられたバーコードが設けられる面の全体を覆い、かつ前記照射光の光軸が、前記検査体の前記バーコードが設けられている検査面の法線ベクトルに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されている複数の前記バーコードリーダにより前記バーコードを読み取る
ことを特徴とする検査体読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査体に貼付されたバーコードを読み取る検査体読取装置および検査体読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の周辺リーダがバーコードラベルを読み取ることができる、体外診断環境中の自動化システムにおいてバーコードラベルを有する容器を保持および搬送するように構成された搬送装置」について、「二重スプリング配列により、容器を搬送装置に搭載し、搬送動作中に搬送装置内に保持する際に、一貫して容器を捕獲できる。中央に配置されたスプリングハウジングにより、効率的な空間利用ができる。鏡像二重スロット設計が設けられ、各スロットに対する遮られていない空間は称賛され、それによって、両方のスロットにおいて(順次)同じ容器を撮像し、結果として得られるデータを融合することによって、全く遮られることのない容器の視野を構築することができる」旨記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、搬送ラインにおいて物品の向きを変えずに物品の周面に付された記号を読取ることを可能とする技術として、バーコードが付される容器に対し、それぞれ異なる方向からレーザー光を照射するための複数の記号リーダーを備え、容器に対する各記号リーダーの各読取可能範囲を組合わせることによって、容器の側面全周を読取可能範囲とし、バーコードを読取る、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2019-525169号公報
【特許文献2】特開2013-134512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
検査体に貼付されたバーコードを読み取る装置としてバーコードリーダが知られている。
【0006】
検査体は試験管などの棒状の形状のものが多く、検査体の長手方向に沿ってバーコードが貼られていることがほとんどであるが、貼付位置が常に一定であるとは限らない。
【0007】
そこで、搬送ライン上においてバーコードの貼付位置が一定でない検査体を自動的に読み取る技術が複数存在する。
【0008】
その一例である、搬送ライン上においてバーコード面を遮らずに容器を保持するための技術として特許文献1の技術が知られている。また、複数のバーコードリーダで物品の全周囲を読み取るための技術として特許文献2に記載の技術が知られている。
【0009】
従来のバーコード読取システムはバーコードに対して正面から光を照射する構成であり、強い正反射光が受光部に返ってくることで読み取りの成功率が低下する課題がある。
【0010】
搬送ラインで検査体に貼られたバーコードを読み取る際は、バーコード面が曲面であることにより、検査体が移動することでバーコードリーダの正反射領域を回避しようとするが、本質的な課題解決には至っていない。
【0011】
また、静止した検査体のバーコードを読み取る場合やバーコード面が曲面でない場合は、正面から光を照射する構成では正反射光を回避できない、との課題がある。
【0012】
本発明は、従来に比べてバーコードの読み取り成功率を高めることが可能な検査体読取装置および検査体読取方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、検査体に設けられたバーコードを読み取る検査体読取装置であって、自発光のバーコードリーダを備えており、前記バーコードリーダは、前記バーコードリーダから発せられる照射光が、前記バーコードが設けられる面の全体を覆い、かつ前記照射光の光軸が、前記検査体の前記バーコードが設けられている検査面の法線ベクトルに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、従来に比べてバーコードの読み取り成功率を高めることができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】実施例1のバーコードリーダの配置の構成の一例を示す図である。
【
図3】実施例1のバーコードリーダの配置の構成の一例を示す図である。
【
図4】実施例2の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【
図5】実施例3の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【
図6】実施例3の検査体読取装置の構成の他の一例を示す図である。
【
図7】実施例4の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【
図8】実施例5の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【
図9】実施例5の検査体読取装置の構成の他の一例を示す図である。
【
図10】実施例6の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【
図11】実施例7の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の検査体読取装置および検査体読取方法の実施例を、図面を用いて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。本発明の思想ないし趣旨から逸脱しない範囲で、その具体的構成を変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。
【0017】
以下に説明する発明の構成において、同一又は類似する構成又は機能には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」等の表記は、構成要素を識別するために付するものであり、必ずしも、数又は順序を限定するものではない。
【0019】
図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、及び範囲等は、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、及び範囲等を表していない場合がある。したがって、本発明では、図面等に開示された位置、大きさ、形状、及び範囲等に限定されない。
【0020】
<実施例1>
本発明の検査体読取装置および検査体読取方法の実施例1について
図1乃至
図3を用いて説明する。
図1は実施例1の検査体読取装置の構成の一例を示す図、
図2および
図3は実施例1のバーコードリーダの配置の構成の一例を示す図である。
【0021】
図1に示す検査体読取装置100は、断面が円形の検査体101に設けられたバーコード107を読み取るための装置であり、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102F、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fから構成される。
【0022】
バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fは、それぞれが自発光型のリーダであり、検査体101の周囲に等間隔に配置されている。
【0023】
より具体的には、6つのバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fが、検査体101の周囲に60°間隔で配置されている。
【0024】
また、それぞれのバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fの光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fは、全てが、検査面(バーコード107が貼付された面)の全て法線ベクトル105A,105B,105Cからずれており、かつ各々の光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fが他の全ての光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fに対してずれており、重なることがないようになっている。
【0025】
更に、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fから発せられる照射光が、バーコード107が設けられる検査体101の側面の全体を覆え、いずれか1つ以上のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fによりバーコード107を走査可能となっている。
【0026】
検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fは、検査体101の側面を少なくとも3点以上(
図1では6点)で支える部材であり、検査体101の側面に対して離散的に配置されている。また、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fを複数のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fの間に配置されている。
【0027】
更に、本実施例では、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fは、各々が光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fのうち1つに対して平行な板であり、それぞれの光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fを妨げないようになっている。
【0028】
それゆえ、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fは検査体101の側面に対して風車状に等間隔に配置される。
【0029】
図2及び
図3は、実施例1のバーコードリーダの配置の一例を説明する図である。
図2は検査体読取装置100を上から見た様子を、
図3は検査体読取装置100を側面側から見た様子を示している。
【0030】
図2に示すように、バーコードリーダ102Aについて、検査体101と光軸104Aが交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトル105Aを定義したとき、照射光の光軸104Aが、検査体101のバーコード107が設けられている検査面の法線ベクトル105Aに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されているものとする。
【0031】
より具体的には、光軸104Aと法線ベクトル105Aのなす角を水平方向に0°より大きく20°以下、より望ましくは10°となるように配置するとともに、バーコード107面における光軸104Aと法線ベクトル105Aとが平行にならないようにバーコードリーダ102Aを配置する。
【0032】
図3に示すように、バーコード107は検査体101の長手方向に沿って貼付されることから、照射光の光軸104Aが、検査体101のバーコード107が設けられている検査面の法線ベクトル105Aに対して垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されているものとする。
【0033】
より具体的には、光軸104Aと法線ベクトル105Aのなす角を垂直方向に0°より大きく30°以下、より望ましくは垂直方向に15°となるように配置するとともに、水平方向の場合と同様に、バーコード107の面における法線ベクトル105Aと光軸104Aとが平行にならないようにバーコードリーダ102Aを配置する。
【0034】
図3ではバーコード107の面に対して鉛直方向下方側から照射しているが、上方側から照射する構成においても同様である。なお、光軸104Aと法線ベクトル105Aとがなす角は、バーコードリーダ102Aの読み取り視野の範囲内で設定する必要があることは言うまでもない。
【0035】
これら
図2および
図3の配置関係は他のバーコードリーダ102B,102C,102D,102E,102Fもすべて同様であり、詳細は省略する。
【0036】
なお、
図1の検査体読取装置100の構成は一例であってこれに限定されない。
【0037】
図1では、6つのバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fが、検査体101の周囲に60°間隔で等間隔に配置されているために、検査体101とバーコードリーダ102Aの光軸104Aが交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトル105Aとバーコードリーダ102Dの光軸104Dが検査体101と交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトルとが共通であり、バーコードリーダ102Bの光軸104Bが交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトル105Bとバーコードリーダ102Eの光軸104Eが検査体101と交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトルとが共通であり、かつバーコードリーダ102Cの光軸104Cが交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトル105Cとバーコードリーダ102Fの光軸104Fが検査体101と交わる点における接線106に対して垂直な法線ベクトルとが共通となっているが、このような配置に限定されず、適宜変更可能である。
【0038】
例えば、バーコードリーダの個数はバーコードリーダのセンシング範囲によって決まる。重要なことは、検査体101を回転させる必要が無いように、複数のバーコードリーダのセンシング範囲の合計が検査体101の全周360°よりも大きくなるように個数を決定することである。
【0039】
図1の検査体101のような試験管状の断面が円形である場合、バーコード面が曲面となるため、隣接する照射光の境界付近ではバーコードリーダから見てバーコード面が歪むことで、読み取りの精度の低下が懸念される。そのため、バーコードリーダの個数は必要最低数よりも多く配置して、センシング範囲を一部重複させることで安定した読み取りを実現することが望ましい。
【0040】
また、検査体保持用リブは、バーコードリーダと同じ個数を配置することが望ましいが、特に限定されず、1つ以上とすることができる。
【0041】
使用者は検査体101を検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fの中に収まるように架設し、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fを発光させる。いずれかのバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fで読み取りが完了したら、検査体101を掴み上げて取り、次の検査体101を架設する。これを繰り返すことで、必要数の検査体101の情報を読み取る。
【0042】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0043】
上述した本発明の実施例1の検査体101に設けられたバーコード107を読み取る検査体読取装置100は、自発光のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fを備えており、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fから発せられる照射光が、バーコード107が設けられる面の全体を覆い、かつ照射光の光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fが、検査体101のバーコード107が設けられている検査面の法線ベクトル105A,105B,105Cに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置されている。
【0044】
これによって、正反射光がバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fの受光部に返ってくるのを回避し、バーコード107の読み取りの成功率を高めることができることから、従来に比べて安定したバーコード読み取りを実現することができる。
【0045】
また、2つ以上のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fを組み合わせた照射領域が面の全体を覆い、2つ以上の光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fは、検査面の全て法線ベクトル105A,105B,105Cからずれ、かつ各々の光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fが他の全ての光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fに対してずれているため、バーコード107をより確実に検出できるようにするとともに、他のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fの発光による読み取りの失敗を避けることができる。
【0046】
更に、検査体101は断面が円形であり、検査体101の側面を少なくとも3点以上で支える検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fを更に備え、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fは、光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fのうち1つに対して平行な板であり、検査体101の側面に対して離散的に配置されていることで、バーコード107の読み取り時に検査体101がふらつくことを抑制でき、読み取り時の失敗をより少なくできる。また、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fによって照射光が遮られることも抑制でき、読み取り効率の低下も確実に避けることができる。
【0047】
また、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fを検査体101の周囲に等間隔に配置し、光軸104A,104B,104C,104D,104E,104Fと法線ベクトル105A,105B,105Cのなす角を水平方向に0°より大きく20°以下、かつ垂直方向に0°より大きく30°以下となるように配置し、検査体保持用リブ103A,103B,103C,103D,103E,103Fを複数のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fの間に配置することにより、バーコード107で反射された反射光がより効率的にバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fに戻る配置関係とすることができ、更に高い精度でのバーコード107の読み取りを実現することができる。
【0048】
<実施例2>
本発明の実施例2の検査体読取装置および検査体読取方法について
図4を用いて説明する。
図4は実施例2の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【0049】
図4に示す実施例2の検査体読取装置100Aは、検査体保持用リブ202A,202Bにより照射光の反射を防ぐ構成である。
【0050】
図4に示す検査体保持用リブ202A,202Bは、照射光を吸収する素材もしくは色である部材が使用されており、照射光201A,201Bの反射を防ぐ構成となっている。これにより、バーコードリーダ102Aから発せられた照射光201A,201B、201Cのうち、バーコード107部分以外に照射された光不要な照射光201A,201Bを吸収して、検査体101への直接の照射光201Cの乱反射光のみがバーコードリーダ102Aの受光部に返ってくるようにする。
【0051】
検査体保持用リブ202A,202Bの例としては非金属であり、黒色をしたものが望ましい。
【0052】
ここで、検査体保持用リブ202A,202Bは検査体101の姿勢を垂直に保つ役割と、複数のバーコードリーダ102A,102B,102C,102D,102E,102Fからの照射光が互いに交差しないようにする役割と、の2つの役割が存在する。
【0053】
そのため、検査体保持用リブ202A,202Bは、バーコード107面を覆い隠さないように薄板であることが望ましい。例えば、縦50mm、横20mm、厚さ2mm程度の薄板を検査体の周囲に離散的に配置することで、上記の条件を満たすことが可能である。
【0054】
その他の構成・動作は前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0055】
本発明の実施例2の検査体読取装置および検査体読取方法においても、前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0056】
また、検査体保持用リブ202A,202Bは、照射光を吸収する構成であることにより、不要な照射光201A,201Bがカットされ、検査体101への直接の照射光201Cの乱反射光のみがバーコードリーダ102Aの受光部に返ってくるため、バーコード107の読み取りの成功率をより高めることができる。
【0057】
<実施例3>
本発明の実施例3の検査体読取装置および検査体読取方法について
図5および
図6を用いて説明する。
図5および
図6は実施例3の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【0058】
図5に示す本実施例の実施例3の検査体読取装置100Bは、4個のバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dでベルトコンベア301上の検査体101の全周を読み取る構成である。
【0059】
より具体的には、
図5に示すように、検査体101を搬送するベルトコンベア301の一部分にバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dによる検査体101の全方位を走査する領域が設けられており、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dは、領域に位置する検査体101の情報を読み取るようになっている。
【0060】
ベルトコンベア301では、検査体101はベルトコンベア301上を順に一方向に搬送される。
【0061】
検査体101のバーコードを読み取る例について説明すると、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dは正反射を避けるように検査体101の周囲に配置される。これらバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dは常に発光しており、複数の検査体101を順にベルトコンベア301上で搬送する合間にバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dが検査体101の全方位を走査する領域を通過して、いずれか1つ以上のバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dによりバーコード107の読み取りが完了するため、読み取り時にベルトコンベア301を停止させる必要がなく、搬送のスループットの向上を図ることが可能である。
【0062】
また、
図6に示す検査体読取装置100Cのように、4個のバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dでの読み取りタイミングをずらせるよう、照射光が重ならないようにバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dをずらして配置して、検査体101の搬送中に全方位の一部を順に走査する構成とすることができる。
【0063】
検査体読取装置100Cが適用される搬送ラインでは、検査体101はベルトコンベア301により順に一方向に搬送され、バーコードリーダ102Dからバーコードリーダ102Aの順に検査体全周の4分の1の領域を読み取る。
【0064】
バーコードリーダ102Dの読み取り範囲に入る直前に全てのバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dを発光させ、最初にバーコードリーダ102Dで全周のうち90°の範囲を読み取る。バーコード107が読み取れた場合はそのまま搬送し、読み取れなかった場合はバーコードリーダ102C、読み取りに失敗した場合はバーコードリーダ102B、更に失敗したときはバーコードリーダ102Aを順に発光させ、バーコード107の読み取りを行う。バーコードリーダ102Aの読み取りが完了した時点で、検査体101は360°全周の読み取りが完了する。
【0065】
なお、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dを同時に全て発光させるのではなく、検査体101を検知するセンサなどにより検査体101が読み取り領域に搬送されてきたことを認識したときに該当するバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dのみ発光させる形態とすることができる。
【0066】
その他の構成・動作は前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0067】
本発明の実施例3の検査体読取装置および検査体読取方法においても、前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0068】
また、検査体101を搬送するベルトコンベア301,301A,301Bに、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dが検査体101の全方位を走査する領域が設けられており、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dは、領域に位置する検査体101の情報を読み取ることにより、搬送中の検査体101のバーコード107を読み取ることができ、読み取りの効率化を図ることができる。
【0069】
更に、バーコード107の読み取り領域を、照射光が重ならないようにバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dをずらして配置して、検査体101の搬送中に全方位の一部を順に走査することで、他のバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dからの照射光によりバーコード107からの反射光の読み取りが阻害されることを防ぐことができ、更に効率的にバーコード107の読み取りを行うことができるようになる。
【0070】
なお、搬送装置としてベルトコンベア301が用いられる形態について説明したが、搬送装置はこれに限られず、電磁搬送や検査体のホルダが自走する自走式などの形態とすることができる。
【0071】
<実施例4>
本発明の実施例4の検査体読取装置および検査体読取方法について
図7を用いて説明する。
図7は実施例4の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【0072】
図7に示す本実施例の検査体読取装置100Dは、複数のバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dの発光タイミングを制御するものである。
図7では4つのバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dを用いる場合について説明するが、2つ以上とすることができる。
【0073】
図7に示すコントローラ401は、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dと接続されていて、異なるタイミングで発光するよう発光タイミングの制御を行う。このコントローラ401はPC等のバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dと通信可能な機器であればよく、特に限定されない。
【0074】
このコントローラ401は、バーコード107の読み取りに成功した場合は読み取り動作を終了し、バーコード107の読み取りに失敗した場合は、まだ発光させていないバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dの中から1つ選んで発光させるものとすることができる。
【0075】
例えば、最初にバーコードリーダ102Aを発光し、検査体101に貼付されたバーコード107の読み取りに成功したら、残りのバーコードリーダ102B,102C,102Dは発光させない。
【0076】
バーコードリーダ102Aでの読み取りに失敗した場合は、バーコードリーダ102B,102C,102Dから1つを選択して発光させる。以後、バーコード107の読み取りに成功するまで、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dの発光を繰り返す。最終的にはバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dのいずれかでバーコード107の読み取りが完了する。
【0077】
なお、全てのバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dでの読み取りが失敗した場合はエラーを通知する、あるいはバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dによる順々の読み取りを再度実行する、などの対応をとることができる。
【0078】
その他の構成・動作は前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0079】
本発明の実施例4の検査体読取装置および検査体読取方法においても、前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0080】
また、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dを異なるタイミングで発光させるコントローラ401を更に備えたことにより、読み取り制御の自動化を図ることができる。
【0081】
更に、コントローラ401は、バーコード107の読み取りに成功した場合は読み取り動作を終了し、バーコード107の読み取りに失敗した場合は、まだ発光させていないバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dの中から1つ選んで発光させることで、読み取り時に隣接するバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dの照射光の影響をなくすことが出来、読み取りの成功率を更に高めることができる。また、場合によっては発光させないバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dが存在することになるため、リーダの損耗を抑制できる、との効果も得られる。
【0082】
<実施例5>
本発明の実施例5の検査体読取装置および検査体読取方法について
図8および
図9を用いて説明する。
図8および
図9は実施例5の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【0083】
図8に示す本実施例の検査体読取装置100Eは、検査体101の姿勢を変えた形態である。
【0084】
図8に示すように、検査体101を水平方向に倒した状態でバーコード107の読み取りを行えるように、検査体保持用治具501A,501Bにより円筒状の検査体101の円筒軸を定位置に固定する。
【0085】
検査体保持用治具501A,501Bは、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dから発せられる照射光を透過する素材から構成される。照射光を透過する素材としては、例えば、透明なガラスを利用するとよい。
【0086】
このような場合においても、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dは照射軸の光軸104A,104B,104C,104Dがそれぞれ検査体101の側面の法線ベクトルと平行にならないように配置する。
【0087】
また、実施例1で用いたような検体保持用リブを用いることもできる。
図9に示す検査体読取装置100Fのように、検査体101を水平方向に倒した状態でバーコード107の読み取りを行う場合の他の構成の例である。
【0088】
図9に示すように、検査体保持用リブ103A,103B,103Cは検査体101が落下しないように検査体101の下側に離散的に配置する。バーコードリーダ102B,102Cは検査体保持用リブ103A,103B,103Cの間から検査体101を照射する。検査体101の上側には検査体保持用リブ103A,103B,103Cは不要であり、バーコードリーダ102A,102Dで検査体の上半分を照射する。
【0089】
その他の構成・動作は前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0090】
本発明の実施例5の検査体読取装置および検査体読取方法においても、前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0091】
<実施例6>
本発明の実施例6の検査体読取装置および検査体読取方法について
図10を用いて説明する。
図10は実施例6の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【0092】
図10に示す本実施例の検査体読取装置100Gは、検査体601の形状が実施例1等とは異なる場合に対応する構成である。
【0093】
図10に示すように、断面が四角形の検査体601のバーコード107が貼付される場所は4個の側面のうちいずれか1箇所以上とすると、検査体読取装置100Gは、バーコードリーダ102A,102B,102C,102D、およびL字型検査体保持用リブ602A,602B,602C,602Dにより構成される。
【0094】
この場合、検査体601は、L字型検査体保持用リブ602A,602B,602C,602Dによって四隅が固定される。L字型検査体保持用リブ602A,602B,602C,602Dによって検査体601が回転することを防ぎ、バーコード107の面がバーコードリーダ102A,102B,102C,102Dの照射範囲から外れないようにする。
【0095】
また、バーコードリーダ102A,102B,102C,102Dは照射光軸がバーコード107の面に垂直にならないように配置する。例えば、実施例3の搬送ラインに適用した場合、四角形のようにバーコード107面が平面であるときは、検査体601を平行移動させたとしても、照射光軸とバーコード107面とのなす角は変わらない。そこで、あらかじめ、照射光軸をバーコード107面の法線ベクトルからずらすことで、正反射による読み取り精度の低下を回避することが可能である。
【0096】
その他の構成・動作は前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0097】
本発明の実施例6の検査体読取装置および検査体読取方法においても、前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0098】
<実施例7>
本発明の実施例7の検査体読取装置および検査体読取方法について
図11を用いて説明する。
図11は実施例7の検査体読取装置の構成の一例を示す図である。
【0099】
図11に示す本実施例の検査体読取装置100Hは、多列化したベルトコンベア301A,301B上を搬送される検査体101の読み取りに好適な形態である。
【0100】
図11は横2列のベルトコンベア301,301B上で検査体101を搬送しながらバーコード107を読み取る構成である。
【0101】
図11に示すように、実施例3と同様のベルトコンベア301A,301Bを隣接して並べる。その際に、ベルトコンベア301A,301Bの間にあるバーコードリーダ102C,102Eについては、それぞれが照射光の光軸が、検査体101のバーコード107が設けられている検査面の法線ベクトルに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置することに加えて、検査体101を照射するように配置することで互いの照射光軸を妨げないように配置することが可能となる。
【0102】
その他のバーコードリーダ102A,102B,102D,102F,102G,102Hについては、照射光の光軸が、検査体101のバーコード107が設けられている検査面の法線ベクトルに対して水平方向に絶対値で0°より大きい角度、かつ垂直方向に絶対値で0°より大きい角度に傾けるように配置する。
【0103】
横2列の構成に限らず、ベルトコンベアの数を増やすことで、3列以上の多列化が実現可能である。
【0104】
その他の構成・動作は前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0105】
本発明の実施例7の検査体読取装置および検査体読取方法においても、前述した実施例1の検査体読取装置および検査体読取方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0106】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0107】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0108】
100,100A,100B,100C,100D,100E,100F,100G,100H…検査体読取装置
101…検査体(断面が円形)
102A,102B,102C,102D,102E,102F,102G,102H…バーコードリーダ
103A,103B,103C,103D,103E,103F,202A,202B…検査体保持用リブ
104A,104B,104C,104D,104E,104F…光軸
105A,105B,105C…法線ベクトル
106…接線
107…バーコード
201A,201B,201C…照射光
301,301A,301B…ベルトコンベア(搬送装置)
401…コントローラ
501A,501B…検査体保持用治具
601…検査体(断面が四角形)
602A,602B,602C,602D…L字型検査体保持用リブ