(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146577
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
H02M3/155 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022053814
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 裕介
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730FD01
5H730FD31
5H730FF01
5H730FF02
5H730FG05
5H730FG25
5H730XX03
5H730XX15
5H730XX23
5H730XX35
5H730XX47
(57)【要約】
【課題】不連続モードにおいて負荷過渡応答を改善したスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】誤差検出部16が、出力電圧と目標電圧との誤差に応じた誤差信号VERRを出力する。PWM制御部20が、誤差信号VERRと基準信号VSとを比較した比較信号VCOMに応じたデューティ・サイクルでローサイドトランジスタQ1及びハイサイドトランジスタQ2を交互にオンして、出力部11を制御する。DCバイアス変更部21が、不連続モード(DCM)におけるDCバイアス信号成分が、強制PWM制御モード(FCM)におけるDCバイアス信号成分よりも低くなるように、DCバイアス信号成分を変更する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変換した出力電圧を出力する出力部を制御するスイッチング電源装置であって、
互いに直列接続されたローサイドトランジスタ及びハイサイドトランジスタと、
前記出力電圧と目標電圧との誤差に応じた誤差信号を出力する誤差検出部と、
DCバイアス信号成分と、前記出力部が有するコイルに流れるコイル電流に応じた電流信号成分とを含む基準信号を生成する基準信号生成部と、
前記基準信号と前記誤差信号とを比較した比較信号を出力するPWMコンパレータと、
前記比較信号に応じたデューティ・サイクルで前記ローサイドトランジスタ及び前記ハイサイドトランジスタを交互にオンして、前記出力部を制御する制御部とを備え、
前記基準信号に含まれる前記DCバイアス信号成分が可変に設けられている、
スイッチング電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチング電源装置において、
前記制御部は、前記コイルに逆電流が流れると、前記ローサイドトランジスタをオフする不連続モードと、前記コイルに前記逆電流が流れても前記ローサイドトランジスタ及び前記ハイサイドトランジスタを交互にオンし続ける強制PWM制御モードとに切り替え可能に設けられ、
前記不連続モードにおける前記DCバイアス信号成分が、前記強制PWM制御モードにおける前記DCバイアス信号成分よりも低くなるように、前記DCバイアス信号成分を変更するDCバイアス変更部を備えた、
スイッチング電源装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスイッチング電源装置において、
前記コイル電流のリップル電流が大きくなるに従って前記DCバイアス信号成分が高くなるように、前記DCバイアス信号成分を変更するDCバイアス変更部を備えた、
スイッチング電源装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記DCバイアス信号生成部は、前記DCバイアス信号が可変に設けられる、
スイッチング電源装置。
【請求項5】
請求項1~3の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記加算部は、前記DCバイアス信号に応じた電流が流れる第1の抵抗を有する第1の電圧/電流変換回路と、前記電流信号に応じた電流が流れる第2の抵抗を有する第2の電圧/電流変換回路と、前記第1の抵抗に流れる電流を折り返して第3の抵抗に供給する第1のカレントミラー回路と、前記第2の抵抗に流れる電流を折り返して前記第3の抵抗に供給する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第1の抵抗の抵抗値が可変に設けられる、
スイッチング電源装置。
【請求項6】
請求項1~3の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記加算部は、前記DCバイアス信号に応じた電流が流れる第1の抵抗を有する第1の電圧/電流変換回路と、前記電流信号に応じた電流が流れる第2の抵抗を有する第2の電圧/電流変換回路と、前記第1の抵抗に流れる電流を折り返して第3の抵抗に供給する第1のカレントミラー回路と、前記第2の抵抗に流れる電流を折り返して前記第3の抵抗に供給する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第1のカレントミラー回路は、前記第3の抵抗に折り返す電流が可変に設けられる、
スイッチング電源装置。
【請求項7】
請求項1~3の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記電流信号生成部は、前記コイルに流れる電流に応じた電圧値を増幅する計装アンプを有し、前記計装アンプに供給する基準電圧が可変に設けられる、
スイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタをオンオフさせて入力電圧から所望の出力電圧を生成するスイッチング電源装置が知られている。スイッチング電源装置においては、出力電圧とコイル電流の双方を検出して出力帰還制御を行う電流モード制御方式が広く知られている(特許文献1)。また、電流モード制御方式のスイッチング電源装置において、コイルに逆電流が流れないようにする不連続モードと、コイルに逆電流が流れるのを許容する強制PWMモードとに切り替えられるものも知られている。この場合、不連続モードにおいて負荷過渡応答が悪くなる、という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、不連続モードにおいて負荷過渡応答を改善したスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明に係るスイッチング電源装置は、下記[1]~[7]を特徴としている。
[1]
入力電圧を変換した出力電圧を出力する出力部を制御するスイッチング電源装置であって、
互いに直列接続されたローサイドトランジスタ及びハイサイドトランジスタと、
前記出力電圧と目標電圧との誤差に応じた誤差信号を出力する誤差検出部と、
DCバイアス信号成分と、前記出力部が有するコイルに流れるコイル電流に応じた電流信号成分とを含む基準信号を生成する基準信号生成部と、
前記基準信号と前記誤差信号とを比較した比較信号を出力するPWMコンパレータと、
前記比較信号に応じたデューティ・サイクルで前記ローサイドトランジスタ及び前記ハイサイドトランジスタを交互にオンして、前記出力部を制御する制御部とを備え、
前記基準信号に含まれる前記DCバイアス信号成分が可変に設けられている、
スイッチング電源装置であること。
[2]
[1]に記載のスイッチング電源装置において、
前記制御部は、前記コイルに逆電流が流れると、前記ローサイドトランジスタをオフする不連続モードと、前記コイルに前記逆電流が流れても前記ローサイドトランジスタ及び前記ハイサイドトランジスタを交互にオンし続ける強制PWM制御モードとに切り替え可能に設けられ、
前記不連続モードにおける前記DCバイアス信号成分が、前記強制PWM制御モードにおける前記DCバイアス信号成分よりも低くなるように、前記DCバイアス信号成分を変更するDCバイアス変更部を備えた、
スイッチング電源装置であること。
[3]
[1]に記載のスイッチング電源装置において、
前記コイル電流のリップル電流が大きくなるに従って前記DCバイアス信号成分が高くなるように、前記DCバイアス信号成分を変更するDCバイアス変更部を備えた、
スイッチング電源装置であること。
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記DCバイアス信号生成部は、前記DCバイアス信号が可変に設けられる、
スイッチング電源装置であること。
[5]
[1]~[3]の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記加算部は、前記DCバイアス信号に応じた電流が流れる第1の抵抗を有する第1の電圧/電流変換回路と、前記電流信号に応じた電流が流れる第2の抵抗を有する第2の電圧/電流変換回路と、前記第1の抵抗に流れる電流を折り返して第3の抵抗に供給する第1のカレントミラー回路と、前記第2の抵抗に流れる電流を折り返して前記第3の抵抗に供給する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第1の抵抗の抵抗値が可変に設けられる、
スイッチング電源装置であること。
[6]
[1]~[3]の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記加算部は、前記DCバイアス信号に応じた電流が流れる第1の抵抗を有する第1の電圧/電流変換回路と、前記電流信号に応じた電流が流れる第2の抵抗を有する第2の電圧/電流変換回路と、前記第1の抵抗に流れる電流を折り返して第3の抵抗に供給する第1のカレントミラー回路と、前記第2の抵抗に流れる電流を折り返して前記第3の抵抗に供給する第2のカレントミラー回路とを有し、
前記第1のカレントミラー回路は、前記第3の抵抗に折り返す電流が可変に設けられる、
スイッチング電源装置であること。
[7]
[1]~[3]の何れか1項に記載のスイッチング電源装置において、
前記基準信号生成部は、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部と、電流信号を生成する電流信号生成部と、前記DCバイアス信号及び前記電流信号を加算して前記基準信号を生成する加算部とを有し、
前記電流信号生成部は、前記コイルに流れる電流に応じた電圧値を増幅する計装アンプを有し、前記計装アンプに供給する基準電圧が可変に設けられる、
スイッチング電源装置であること。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、不連続モードにおいて負荷過渡応答を改善したスイッチング電源装置を提供することができる。
【0007】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明のスイッチング電源装置を組み込んだDC/DCコンバータを示す回路図である。
【
図2】
図2は、ハイサイドトランジスタのオンオフ、ローサイドトランジスタのオンオフ、スイッチ端子の電位、コイル電流、電流信号、スロープ補償信号、DCバイアス信号、基準信号のタイムチャートである。
【
図3】
図3は、FCMにおけるスイッチ端子の電位、コイル電流、基準信号のタイムチャートである。
【
図4】
図4は、DCMにおけるスイッチ端子の電位、コイル電流、基準信号のタイムチャートである。
【
図5】
図5は、従来のDC/DCコンバータの負荷電流、スイッチ端子の電位、コイル電流、誤差信号、基準信号、出力電圧のタイムチャートである。
【
図6】
図6は、
図1に示す本実施形態のDC/DCコンバータの負荷電流、スイッチ端子の電位、コイル電流、誤差信号、基準信号、出力電圧のタイムチャートである。
【
図7】
図7は、
図1に示すDCバイアス信号生成部、加算部の詳細を示す回路図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す電流信号生成部の詳細を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明に関する第1実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0010】
本実施形態のDC/DCコンバータ1は、入力電圧VINを降圧した出力電圧VOUTを負荷2に供給する。入力電圧VINは、直流電源3から供給される。DC/DCコンバータ1は、入力電圧VINを降圧変換して出力電圧VOUTとして出力する出力部11と、出力部11に対してパルス状の入力電圧VINを供給して、出力部11を制御するスイッチング電源装置12と、ブートストラップコンデンサCBとを備えている。
【0011】
出力部11は、コイルL1と、出力コンデンサC1とを備えている。コイルL1は、スイッチング電源装置12のスイッチ端子TSWと、負荷2との間に接続されている。負荷2は、一端が抵抗R3を介してコイルL1に接続され、他端がグランドに接続されている。出力コンデンサC1は、一端が負荷2に接続され、他端がグランドに接続されている。
【0012】
スイッチング電源装置12は、ICチップから構成されている。スイッチング電源装置12は、ローサイドトランジスタQ1(以下、「トランジスタQ1」と略記することもある)、ハイサイドトランジスタQ2(以下、「トランジスタQ2」と略記することもある)と、ドライバ部(
図1では「DRV」と表記)131,132と、ブートストラップ部14と、電圧検出部15と、誤差検出部16と、PWMコンパレータ17と、基準信号生成部18と、過電流検出部19と、制御部としてのPWM制御部20と、DCバイアス変更部21とを備えている。
【0013】
トランジスタQ1、Q2は、NchのパワーMOSFET(metal-oxide semiconductor field-effect transistor;金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)から構成されている。ローサイドトランジスタQ1は、ソースがグランドに接続され、ドレインがスイッチ端子TSWに接続される。ハイサイドトランジスタQ2は、ソースがスイッチ端子TSW及びトランジスタQ1のドレインに接続され、ドレインが入力端子TINに接続されている。入力端子TINには、直流電源3から供給される入力電圧VINが入力されている。
【0014】
図2に示すように、トランジスタQ2がオン、トランジスタQ1がオフすると、スイッチ端子TSWからは入力電圧VINが出力される。これに対して、トランジスタQ2がオフ、トランジスタQ1がオンすると、スイッチ端子TSWからはグランド電位0Vが出力される。トランジスタQ1、Q2を交互にオン制御することにより、スイッチ端子TSWからはHレベルが入力電圧VIN、Lレベルが0Vのパルス信号(=パルス状の入力電圧VIN)が出力される。このパルス信号を出力部11に入力してコイルL1と出力コンデンサC1とで平滑化することにより、パルス信号のデューティ・サイクルに応じた出力電圧VOUTを負荷2に供給することができる。
【0015】
なお、トランジスタQ1、Q2のオンオフ切り替え時には、直流電源3の短絡を防ぐために、トランジスタQ1、Q2の双方がオフするデッドタイムDTが設けられている。デッドタイムDT中は、スイッチ端子TSWの電位は、-0.7V、即ちグランド電位0VからトランジスタQ1の寄生ダイオードの順方向電圧0.7V分、下がった電位となる。
【0016】
ドライバ部131は、
図1に示すように、トランジスタQ1のゲートに接続され、トランジスタQ1のオンオフを駆動する回路である。ドライバ部131は、ゲート駆動用電源(
図1では「LDO」と表記)141からのゲート駆動電圧VGの供給を受けて動作する。
【0017】
ドライバ部132は、トランジスタQ2のゲートに接続され、トランジスタQ2のオンオフを駆動する回路である。トランジスタQ2は、オンするとソース電位が入力電圧VINと等しくなる。このため、トランジスタQ2のゲートにトランジスタQ1と同様にゲート駆動電圧VGを供給しても、トランジスタQ2のオンを維持することができない。そこで、ドライバ部132は、後述するブートストラップ部14からの電源供給を受けて動作する。
【0018】
ブートストラップ部14は、ブートストラップコンデンサCBを利用して、スイッチ端子TSWの電位(即ちトランジスタQ2のソース電位)にブートストラップコンデンサCBの両端電圧を加算したブート電圧VBを生成する回路である。ブートストラップコンデンサCBの両端電圧は、ゲート駆動電圧VGとほぼ等しくなる。
【0019】
ブートストラップ部14は、ゲート駆動用電源141と、ダイオードD1とを有している。ゲート駆動用電源141は、入力電圧VINからゲート駆動電圧VGを生成して出力する。ダイオードD1は、アノードにゲート駆動用電源141が接続され、カソードにブート端子TBを介してブートストラップコンデンサCBの一端が接続される。ブートストラップコンデンサCBは、他端がスイッチ端子TSWに接続されている。
【0020】
電圧検出部15は、出力電圧VOUTに応じた検出電圧VRを後述する誤差検出部16に対して出力する。電圧検出部15は、抵抗R1、R2を有する。抵抗R1は一端がグランドに接続され、他端が抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2は、他端がフィードバック端子TFBを介して出力部11の出力に接続されている。抵抗R1,R2の接続点には、出力電圧VOUTを抵抗R1、R2で分圧した検出電圧VRが出力される。
【0021】
誤差検出部16は、検出電圧VRと基準電圧VREFとの誤差(差分)を増幅した誤差信号VERRをPWMコンパレータ17に出力する。基準電圧VREFは、出力電圧VOUTが目標電圧となったときに電圧検出部15から出力される検出電圧VRと等しくなるように設定されている。
【0022】
PWMコンパレータ17は、誤差信号VERRと基準信号VSとを比較し、その比較結果を示す比較信号VCOMを出力する。
【0023】
基準信号生成部18は、スロープ補償信号成分、電流信号成分、DCバイアス信号成分を含んだ基準信号VSを生成する。基準信号生成部18は、スロープ補償信号を生成するスロープ補償信号生成部181と、電流信号を生成する電流信号生成部182と、DCバイアス信号を生成するDCバイアス信号生成部183と、スロープ補償信号、電流検出信号、DCバイアス信号を加算した基準信号VSを出力する加算部184とを有している。
【0024】
スロープ補償信号生成部181は、
図2に示すように、0Vからパルス信号の1周期にかけて上昇し、1周期が終了すると0Vに戻るノコギリ波状のスロープ補償信号を出力する。
【0025】
電流信号生成部182は、コイルL1に流れるコイル電流ILに応じた電流信号を生成する。電流信号生成部182は、コイルL1と負荷2との間に接続された抵抗R3の両端電圧を電流信号として出力する。詳しく説明すると、電流信号生成部182は、抵抗R3の一端に接続された電流検出端子TSNS1と、抵抗R3の他端に接続された電流検出端子TSNS2とに接続される。電流信号生成部182は、電流検出端子TSNS1、TSNS2の間に発生する電圧を増幅して電流信号として出力する。
【0026】
コイル電流ILは、
図2に示すように、スイッチ端子TSWから出力されるパルス信号がHレベル(=入力電圧VIN)の間に増加し、スイッチ端子TSWから出力されるパルス信号がLレベル(=0V)の間に減少する。コイル電流ILをIV変換した電流信号も同様に、スイッチ端子TSWから出力されるパルス信号がHレベル(=入力電圧VIN)の間に増加し、スイッチ端子TSWから出力されるパルス信号がLレベル(=0V)の間に減少する。
【0027】
DCバイアス信号生成部183は、直流電圧であるDCバイアス信号を生成する。加算部184は、
図2に示すように、スロープ補償信号、電流信号、DCバイアス信号を加算した基準信号VSを出力とする。このように、基準信号VSに電流信号成分を含めた制御を電流モード制御という。電流モード制御のDC/DCコンバータ1は、位相補償の設計が簡単であり、また、帰還ループの安定性が高いため、負荷過渡応答を高速にできるメリットがある。また、DCバイアス信号は、基準信号VSをPWMコンパレータ17などの動作可能電圧(例えば0.2V以上)とするために基準信号VSに含められる。
【0028】
過電流検出部19は、コイルL1に流れるコイル電流ILに応じた電流検出端子TSNS1と、電流検出端子TSNS2との間に発生する電圧と閾値電圧とを比較し、その比較結果をPWM制御部20に対して出力する。
【0029】
PWM制御部20は、比較信号VCOMに応じたデューティ・サイクルのパルス信号をドライバ部131、132に出力してトランジスタQ1、Q2のオンオフを制御する。本実施形態では、PWM制御部20は、強制PWMモード(以下、「FCM」という)と不連続モード(以下、「DCM」という)との2つのモードに切り替えて動作することができる。
【0030】
次に、FCM、DCMについて説明する前に、負荷2に流れる負荷電流と、コイル電流ILとの関係について説明する。コイル電流ILは、トランジスタQ1、Q2が交互にオンすると負荷電流を中心として増減するリップル電流となる。負荷電流(コイルL1に流れるリップル電流ΔIL(
図2参照)の1/2)が多い場合、コイル電流ILは、
図2に示すように、トランジスタQ1、Q2が交互にオンすると負荷電流を中心として増減するが、0Aを下回ることなく、コイルL1から出力コンデンサC1に向かう電流が流れ続ける。
【0031】
しかしながら、負荷電流(リップル電流ΔILの1/2)が少ない場合、コイル電流ILは、
図3に示すように、トランジスタQ1、Q2が交互にオンして減少する際に、0Aを下回り、出力コンデンサC1からコイルL1に向かう逆電流が発生する。
【0032】
FCMにおいてPWM制御部20は、逆電流が発生してもトランジスタQ1、Q2を交互にオンオフし続ける。これにより、
図3に示すように、負荷電流が少ない場合、コイルL1に逆電流が発生する。即ち、FCMは、逆電流の発生を許容し、コイル電流ILが連続的に流れるようにする制御である。
【0033】
これに対して、DCMにおいてPWM制御部20は、逆電流を検出するとトランジスタQ1をオフする。即ち、トランジスタQ1はあたかもショットキーバリアダイオードように動作する。これにより、
図4に示すように、逆電流が発生するとすぐにトランジスタQ1がオフとなり遮断され、コイルL1には逆電流が発生しない。DCMは、負荷電流が少ないときにコイルL1に逆電流が発生せず、コイルL1及びトランジスタQ2での導通損失が発生しないため、効率をよくすることができる。
【0034】
このFCM、DCMの制御は、外部から切り替えることができる。例えば、スイッチング電源装置12に図示しない切替端子を設けて、切替端子に入力する入力電圧により切り替えることができる。また、スイッチング電源装置12に図示しない通信端子を設けて、通信端子に入力するSPIなどの通信信号によって切り替えることができる。
【0035】
しかしながら、上述した電流モード制御においてDCMを行うと、無負荷から重負荷に変更になった際の負荷過渡応答が悪くなる、という問題があった。従来のDC/DCコンバータ1においては、基準信号VSに含まれるDCバイアス信号成分は常に同じ値に設定されており、このことが原因であることが分かった。
【0036】
即ち、
図3に示すように、FCMでは逆電流が発生するため、DCバイアス信号成分を高めに設定して基準信号VSが動作可能電圧(例えば0.2V以上)となるようにしている。これに対して、DCMでは逆電流が発生していないため、FCMと同じDCバイアス信号成分を設定すると、
図4に示すように、基準信号VSが高めに設定される。
【0037】
次に、DCバイアス信号成分、基準信号VSが高めに設定されている場合の問題点について
図5を参照して説明する。同図に示すように、負荷電流が、無負荷(0A)から重負荷(5A)に変動し、その後、5Aから0Aに変動した場合について考える。負荷電流が0Aの場合、スイッチ端子TSWから出力されるパルス信号がHレベル(入力電圧VIN)となると、すぐに出力電圧VOUTが目標電圧を越えてしまうため、誤差信号VERRが低下し、基準信号VSを下回った状態が多くなる。このため、PWM制御部20は、パルススキップ動作となり、数サイクルに1回だけHレベルのパルス信号をスイッチ端子TSWから出力するように動作する。
【0038】
この状態で負荷電流が増加すると、出力電圧VOUTが低下して目標電圧以下となるため、誤差信号VERRが上昇する。しかしながら、基準信号VSが高めに設定されているため、出力電圧VOUTの低下がある程度進んで、誤差信号VERRが大きく上昇しないと、基準信号VSを超えることができない。このため、負荷電流が無負荷から重負荷に切り替わる際に、出力電圧VOUTが大きく揺れ、過渡応答が悪くなる。
【0039】
また、負荷電流が重負荷(5A)から無負荷(0A)に変動し、負荷電流が減少すると、出力電圧VOUTが上昇して目標電圧を超えるため、誤差信号VERRが低下する。この場合、大きく上昇した誤差信号VERRが0V付近まで低下しないと、PWM制御部20は、パルススキップ動作に移行することができない。このため、負荷電流が重負荷から無負荷に切り替わる際にも、出力電圧VOUTが大きく揺れ、過渡応答が悪くなる。
【0040】
そこで、本実施形態では、DCバイアス変更部21を設け、DCバイアス変更部21が、DCMにおけるDCバイアス信号成分が、FCMにおけるDCバイアス信号成分よりも低くなるように、基準信号VSに含まれるDCバイアス信号成分を変更する。これにより、DCMにおいて、負荷電流が無負荷から重負荷、重負荷から無負荷に変動する際の誤差信号VERRの変化を小さくして、出力電圧VOUTの揺れを抑え、DCMにおいて負荷過渡応答を改善させることができる。
【0041】
次に、上述した本実施形態の効果について
図6を参照して説明する。同図に示すように、負荷電流が無負荷(0A)から重負荷(5A)に変動し、その後、5Aから0Aに変動した場合について考える。負荷電流が0Aとなると、従来のDC/DCコンバータ1と同様に、PWM制御部20は、パルススキップ動作となり、数サイクルに1回だけHレベルのパルス信号をスイッチ端子TSWから出力するように動作する。
【0042】
この状態で負荷電流が増加すると、出力電圧VOUTが低下して目標電圧以下となるため、誤差信号VERRが上昇する。基準信号VSが適切に設定されているため、誤差信号VERRが上昇すると、比較的速やかに基準信号VSを超える。このため、負荷電流が無負荷から重負荷に切り替わる際に、出力電圧VOUTが大きく揺れることなく、過渡応答を改善することができる。
【0043】
また、負荷電流が重負荷(5A)から無負荷(0A)に変動し、負荷電流が減少すると、出力電圧VOUTが上昇して目標電圧を超えるため、誤差信号VERRが低下する。この場合、重負荷時に誤差信号VERRはそれほど上昇していないため、速やかに0V付近まで低下して、PWM制御部20は、パルススキップ動作に移行することができる。このため、DCMにおいて、負荷電流が重負荷から無負荷に切り替わる際にも、出力電圧VOUTが大きく揺れることなく、DCMにおいて負荷過渡応答を改善することができる。
【0044】
次に、上述したDCバイアス信号成分を変更するための詳細な回路について
図7を参照にして説明する。
図7は、
図1に示すDCバイアス信号生成部183、加算部184の詳細を示す回路図である。加算部184は、電流信号、スロープ補償信号、DCバイアス信号を電圧/電流(V/I)変換するV/I変換回路1841~1843と、カレントミラー回路1844~1846とを備えている。
【0045】
DCバイアス信号生成部183は、直流のDCバイアス信号が可変に設けられている。DCバイアス変更部21は、DCMにおいてDCバイアス信号生成部183から出力されるDCバイアス信号が、FCMにおいてDCバイアス信号生成部183から出力されるDCバイアス信号よりも低くなるように、DCバイアス信号生成部183を制御する。
【0046】
第2の電圧/電流変換回路としてのV/I変換回路1841は、電流信号をV/I変換する回路であり、オペアンプOP1と、トランジスタQ4と、第2の抵抗としての抵抗R4とを有する。オペアンプOP1の非反転入力端子に電流信号を供給すると、オペアンプOP1及びトランジスタQ4の働きにより、抵抗R4には電流信号に応じた電流が流れる。
【0047】
V/I変換回路1842は、スロープ補償信号をV/I変換する回路であり、オペアンプOP2と、トランジスタQ5と、抵抗R5とを有する。オペアンプOP2の非反転入力端子にスロープ補償信号を供給すると、オペアンプOP2及びトランジスタQ5の働きにより、抵抗R5にはスロープ補償信号に応じた電流が流れる。
【0048】
第1の電圧/電流変換回路としてのV/I変換回路1843は、DCバイアス信号をV/I変換する回路であり、オペアンプOP3と、トランジスタQ6と、第1の抵抗としての抵抗R61、R62と、スイッチSW1とを有する。スイッチSW1は、抵抗R61の両端に接続され、スイッチSW1のオンオフに応じてトランジスタQ6とグランドとの間に接続される抵抗値を変更することができる。
【0049】
詳しく説明すると、スイッチSW1をオフすると、トランジスタQ6とグランドとの間に抵抗R61、R62の双方が接続され、抵抗値が高くなる。スイッチSW1をオンすると、トランジスタQ6とグランドとの間に抵抗R62のみが接続され、抵抗値が低くなる。
【0050】
また、オペアンプOP3の非反転入力端子にDCバイアス信号を供給すると、オペアンプOP3及びトランジスタQ6の働きにより、抵抗R61、R62の双方又は抵抗R62のみにDCバイアス信号に応じた電流が流れる。
【0051】
第2のカレントミラー回路としてのカレントミラー回路1844は、抵抗R4に流れる電流信号に応じた電流を折り返して第3の抵抗としての抵抗R7に供給する回路である。カレントミラー回路1844は、ゲート・ドレインが接続されたトランジスタQ71と、トランジスタQ72とを有する。トランジスタQ71、Q72は、ゲート同士、ソース同士が接続されている。トランジスタQ72のドレインが、抵抗R7に接続されている。
【0052】
カレントミラー回路1845は、抵抗R5に流れるスロープ補償信号に応じた電流を折り返して抵抗R7に供給する回路である。カレントミラー回路1845は、ゲート・ドレインが接続されたトランジスタQ81と、トランジスタQ82とを有する。トランジスタQ81、Q82は、ゲート同士、ソース同士が接続されている。トランジスタQ82のドレインが、抵抗R7に接続されている。
【0053】
第1のカレントミラー回路としてのカレントミラー回路1846は、抵抗R61、R62の双方又は抵抗R62に流れるDCバイアス信号に応じた電流を折り返して抵抗R7に供給する回路である。カレントミラー回路1846は、ゲート・ドレインが接続されたトランジスタQ91と、トランジスタQ92,Q93と、スイッチSW2とを有する。トランジスタQ91と、トランジスタQ92,Q93とは、ゲート同士、ソース同士が接続されている。トランジスタQ92、Q93のドレインが、抵抗R7に接続されている。スイッチSW2は、トランジスタQ93のドレインと抵抗R7との間に接続される。スイッチSW2のオンオフに応じてカレントミラー回路1846から抵抗R7に供給する電流を増減することができる。
【0054】
以上の構成により、抵抗R7には電流信号に応じた電流、スロープ補償信号に応じた電流、DCバイアス信号に応じた電流を加算した電流が流れる。よって、抵抗R7には、電流信号、スロープ補償信号、DCバイアス信号を加算した基準信号VSが発生し、その基準信号VSをPWMコンパレータ17の反転入力に供給している。
【0055】
上記DCバイアス変更部21は、DCMにおいてV/I変換回路1843のスイッチSW1をオフし、FCMにおいてV/I変換回路1843のスイッチSW1をオンする。これにより、DCMにおいて抵抗R61、R62に流れる電流が少なくなり、FCMにおいて抵抗R62に流れる電流が多くなり、DCMにおけるDCバイアス信号成分が、FCMにおけるDCバイアス信号成分よりも低くなる。
【0056】
また、上記DCバイアス変更部21は、DCMにおいてカレントミラー回路1846のスイッチSW2をオフし、FCMにおいてカレントミラー回路1846のスイッチSW2をオンする。これにより、DCMにおいてカレントミラー回路1846が折り返す電流が少なくなり、FCMにおいてカレントミラー回路1846が折り返す電流が多くなり、DCMにおけるDCバイアス信号成分が、FCMにおけるDCバイアス信号成分よりも低くなる。
【0057】
なお、
図7に示す例では、DCバイアス変更部21は、DCバイアス信号生成部183が生成するDCバイアス信号の変更と、スイッチSW1のオンオフと、スイッチSW2のオンオフと、の3つを実行して、DCバイアス信号成分を変更していたが、これに限ったものではない。3つのうち何れか1つ、又は、何れか2つを実行させてDCバイアス信号成分を変更するようにしてもよい。
【0058】
次に、上述したDCバイアス信号を変更するための別の回路について
図8を参照にして説明する。
図8は、
図1に示す電流信号生成部182の詳細を示す回路である。電流信号生成部182は、抵抗R81~R84及びオペアンプOP4を有する計装アンプから構成され、電流検出端子TSNS1、TSNS2間の電圧を増幅した電流信号を出力する。
【0059】
オペアンプOP4の反転入力端子には抵抗R81を介して電流検出端子TSNS1が接続されている。オペアンプOP4の非反転入力端子には抵抗R82を介して電流検出端子TSNS2が接続されている。オペアンプOP4の反転入力端子は抵抗R83を介して出力に接続されている。オペアンプOP4の非反転入力端子は抵抗R84を介して基準電源1821に接続されている。電流検出端子TSNS1、TSNS2間に発生する電圧をVIL、基準電源1821が発生する基準電圧をVREF2とすると、電流信号は下記の式(1)で表される。
【0060】
電流信号=VREF2+ゲイン×VIL …(1)
【0061】
ゲインは抵抗R81~R84によって設定される。式(1)により基準電圧VREF2を増減することにより、電流信号の直流成分を増減することができ、これによりDCバイアス信号を変更できることが分かる。
【0062】
そこで、本実施形態では、DCバイアス変更部21は、DCMにおける基準電圧VREF2を、FCMにおける基準電圧VREFよりも低く設定して、DCMにおけるDCバイアス信号成分を、FCMにおけるDCバイアス信号成分よりも低く設定する。
【0063】
なお、上述した第1実施形態では、
図7に示すDCバイアス信号生成部183、加算部184によるDCバイアス信号の変更に加えて、
図8に示す電流信号生成部182によるDCバイアス信号の変更を行っているが、これに限ったものではない。DCバイアス信号生成部183、加算部184によるDCバイアス信号の変更、電流信号生成部182によるDCバイアス信号の変更の何れか一方のみを行うようにしてもよい。
【0064】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態におけるDC/DCコンバータ1について説明する。上述した第1実施形態では、DCバイアス変更部21は、DCMか、FCMかに応じてDCバイアス信号を変更していたが、これに限ったものではない。DCバイアス変更部21は、コイル電流ILのリップル電流ΔILの大きさに応じてDCバイアス信号を変更するようにしてもよい。具体的には、DCバイアス変更部21は、リップル電流ΔILが大きくなるに従ってDCバイアス信号成分が高くなるように、DCバイアス信号成分を変更する。
【0065】
上述したように負荷電流がリップル電流ΔILの1/2以下になるとコイルL1に逆電流が発生する。このため、リップル電流ΔILが大きいほど逆電流が発生しやすく、コイル電流ILが0を下回りやすい。上述したように、リップル電流ΔILが大きくなるに従って、DCバイアス信号成分が高く設定されているので、コイル電流ILがマイナスとなっても基準信号VSが動作可能電圧となるようなDCバイアス信号に設定することができる。
【0066】
一方、リップル電流ΔILが小さいほど逆電流が発生しにくく、コイル電流ILが0を下回りにくい。上述したように、リップル電流ΔILが小さくなるに従って、DCバイアス信号成分が低く設定されるので、DCMにおける負荷電流の変動時の負荷過渡応答を改善することができる。
【0067】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0068】
上述した実施形態によれば、ハイサイドトランジスタQ2をNchのトランジスタから構成し、ブートストラップ部14を用いてハイサイドトランジスタQ2をオンオフしていたが、これに限ったものではない。ハイサイドトランジスタQ2をPchのトランジスタから構成し、ブートストラップ部14は設けなくてもよい。
【0069】
上述した実施形態によれば、基準信号VSにはスロープ補償信号成分が含まれていたが、これに限ったものではない。基準信号VSには少なくともDCバイアス信号成分と、電流信号成分とが含まれていればよく、スロープ補償信号成分が含まれていなくてもよい。
【0070】
上述した実施形態によれば、出力部11は降圧型から構成されていたが、これに限ったものではない。出力部11は入力電圧VINを昇圧変換する昇圧型から構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0071】
11 出力部
12 スイッチング電源装置
16 誤差検出部
17 PWMコンパレータ
18 基準信号生成部
20 PWM制御部(制御部)
21 DCバイアス変更部
182 電流信号生成部
183 DCバイアス信号生成部
184 加算部
1841 V/I変換回路(第2の電圧/電流変換回路)
1843 V/I変換回路(第1の電圧/電流変換回路)
1844 カレントミラー回路(第2のカレントミラー回路)
1846 カレントミラー回路(第1のカレントミラー回路)
IL コイル電流
L1 コイル
R4 抵抗(第2の抵抗)
R61、R62 抵抗(第1の抵抗)
R7 抵抗(第3の抵抗)
Q1 ローサイドトランジスタ
Q2 ハイサイドトランジスタ
VCOM 比較信号
VERR 誤差信号
VREF2 基準電圧
VS 基準信号