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特開2023-146889情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146889
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/17 20060101AFI20231004BHJP
【FI】
G06F17/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054317
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
(71)【出願人】
【識別番号】399114359
【氏名又は名称】オリックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】田中 謙司
(72)【発明者】
【氏名】佐川 大志
(72)【発明者】
【氏名】村山 能之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 雄飛
【テーマコード(参考)】
5B056
【Fターム(参考)】
5B056BB52
(57)【要約】      (修正有)
【課題】計測機器で計測された計測データの欠損に対し、機械学習により生成された推定モデルを用いて確率分布を算出し、欠損期間の累積値を制約条件としてデータの補間を行う情報処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ処理実行サーバー装置100が、ネットワーク150を介して、ブロックチェーンサーバー装置110、コード登録サーバー装置120及びIoTルーター140と通信する情報処理システム1000において、データ処理実行サーバー装置は、制御部を有する。制御部は、計測機器で計測された計測データを受信し受信した計測データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、計測データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定する。さらに、パラメータを基に、欠損期間の計測データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を、欠損期間の計測データの補間値として求める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置であって、
制御部を有し、
前記制御部は、
計測機器で計測された計測データを受信し、
受信された前記計測データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、前記計測データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定し、
前記パラメータを基に、前記欠損期間の前記計測データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を前記欠損期間の前記計測データの補間値として求める、
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
受信された前記計測データの時間粒度を細分化する処理を実行し、前記処理を実行したあとの前記計測データを入力として、前記推定モデルを用いて、前記パラメータを推定する、
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
受信された前記計測データの累積値を繋いだ線の傾きに基づきある時刻の電力データを推定することで、前記計測データの時間粒度を細分化する、
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
受信された前記計測データと、前記計測データが計測された際の気象データと、を入力として、前記推定モデルを用いて、前記パラメータを推定する、
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
スマートコントラクト上で前記パラメータを推定する処理、及び、前記補間値を求める処理を実行する、
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、
受信した前記計測データと、前記パラメータを推定する処理の方法と、前記補間値を求める処理の方法と、をブロックチェーン上に公開する、
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の情報処理装置において、
前記計測機器は、スマートメーターであり、
前記計測データは、前記スマートメーターで計測された電力データである、
情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
計測機器で計測された計測データを受信し、
受信された前記計測データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、前記計測データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定し、
前記パラメータを基に、前記欠損期間の前記計測データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を前記欠損期間の前記計測データの補間値として求める、
情報処理方法。
【請求項9】
プログラムであって、コンピュータを、請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、スマートメーターが計測した電力をエネルギー管理装置が受信し、処理を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-32630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計測機器で計測された計測データを受信し、受信したデータに基づき処理を行おうとした場合、通信中におけるデータの欠損により正確な処理が行えない問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、情報処理装置が提供される。この情報処理装置は、制御部を有する。制御部は、計測機器で計測された計測データを受信する。受信された計測データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、計測データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定する。パラメータを基に、欠損期間の計測データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を欠損期間の計測データの補間値として求める。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、データ処理実行サーバー装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、情報処理システム1000の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
図4図4は、多次元正規分布からのサンプリングイメージの一例を示す図である。
図5図5は、多次元正規分布パラメータの推定を説明するための図である。
図6図6は、多次元正規分布と制約条件との関係の一例を示すイメージ図である。
図7図7は、制約付き確率最大化問題を定式化したものを示す図である。
図8図8は、制約条件のもとで確率を最大化する解を示す図である。
図9図9は、補間の一例を示す図(その1)である。
図10図10は、補間の一例を示す図(その2)である。
図11図11は、変形例1の情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。
図12図12は、情報処理システム1000の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0008】
本明細書において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、0又は1で構成される2進数のビット集合体として信号値の高低によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0009】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0010】
<実施形態1>
1.システム構成
図1は、情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。図1に示されるように、情報処理システム1000は、システム構成として、データ処理実行サーバー装置100と、ブロックチェーンサーバー装置110と、コード登録サーバー装置120と、スマートメーター130と、IoTルーター140と、を含む。データ処理実行サーバー装置100は、ネットワーク150を介して、ブロックチェーンサーバー装置110、コード登録サーバー装置120、IoTルーター140等と通信可能に接続されている。スマートメーター130は、施設(例えば、家庭、又はオフィス等)の電気使用量を計測し、計測した電気使用量を含む電力データを、IoTルーター140を介してブロックチェーンサーバー装置110等に送信する。スマートメーター130は、計測機器の一例である。電力データは、計測データの一例である。ここで、計測機器の他の例としては、ガスの利用量を計測するメーター、水道の利用量を計測するメーター等がある。計測機器は、時間的、又は力学的、又は熱的、又は電磁気的、又は光学的な物理量及び/又はその変化を測定する機器であればどのような機器であってもよい。また、計測データは、計測機器によって計測されるデータであればどのようなデータであってもよい。
【0011】
IoTルーター140は、スマートメーター130とネットワーク150とを接続するルーターである。ブロックチェーンサーバー装置110は、スマートメーター130から送信された電力データを受信し、ブロックチェーン等に記録する。コード登録サーバー装置120は、ブロックチェーンサーバー装置110に、後述する本実施形態に係る処理を行うプログラム(コードともいう)を登録する処理を行う。ブロックチェーンサーバー装置110は、登録されたプログラムをブロックチェーン等に記録する。データ処理実行サーバー装置100は、ブロックチェーンサーバー装置110からプログラム及び電力データを取得し、プログラムに基づき、電力データの累積値を用いたデータの補間処理を実行し、補間結果をブロックチェーンサーバー装置110に登録する。このような処理を行うことによって、スマートメーター130における電力データの欠損を補間することができる。また、補間された電力データに基づき、決済等を行うことができる。
【0012】
図1では、説明の簡略化のため、情報処理システム1000において、スマートメーター130及びIoTルーター140は、施設に対応させて1台しか図示していない。しかし、施設の数だけ、スマートメーター130及びIoTルーター140が情報処理システム1000に含まれてもよい。実施形態1においてデータ処理実行サーバー装置100は、情報処理装置の一例である。
【0013】
2.ハードウェア構成
図2は、データ処理実行サーバー装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。データ処理実行サーバー装置100は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を含む。制御部201は、CPU(Central Processing Unit)等であって、データ処理実行サーバー装置100の全体を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)の何れか又はこれらの任意の組み合わせ等であって、プログラム及び制御部201がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部201が、記憶部202に記憶されているプログラムに基づき、処理を実行することによって、データ処理実行サーバー装置100の機能及び後述するシーケンス図におけるデータ処理実行サーバー装置100の処理等が実現される。通信部203は、NIC(Network Interface Card)等であって、データ処理実行サーバー装置100をネットワーク150に接続し、他の装置(例えば、ブロックチェーンサーバー装置110等)との通信を司る。
ブロックチェーンサーバー装置110及びコード登録サーバー装置120のハードウェア構成もデータ処理実行サーバー装置100のハードウェア構成と同様である。ブロックチェーンサーバー装置110の制御部が、ブロックチェーンサーバー装置110の記憶部に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって、ブロックチェーンサーバー装置110の機能等が実現される。また、コード登録サーバー装置120の制御部が、コード登録サーバー装置120の記憶部に記憶されているプログラムに基づき処理を実行することによって、コード登録サーバー装置120の機能等が実現される。
【0014】
3.情報処理
(処理の概要)
データ処理実行サーバー装置100が実行する情報処理の概要を説明する。
データ処理実行サーバー装置100は、ブロックチェーンサーバー装置110を介してスマートメーター130で計測された電力データを受信する。データ処理実行サーバー装置100は、受信された電力データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、電力データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定する。データ処理実行サーバー装置100は、推定したパラメータを基に、欠損期間の電力データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を欠損期間の電力データの補間値として求める。
(シーケンス図を用いた説明)
図3は、情報処理システム1000の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
SQ301において、コード登録サーバー装置120は、ブロックチェーンサーバー装置110にコードを登録する。より具体的に説明すると、コード登録サーバー装置120は、ブロックチェーンサーバー装置110にコードを送信し、コードの登録を要求する。ブロックチェーンサーバー装置110は、要求に基づいて、受信したコードをブロックチェーン等に記憶し、登録する。
【0015】
SQ302において、スマートメーター130は、計測した電力データをブロックチェーンサーバー装置110に送信する。スマートメーター130は、所定間隔(例えば、1分間隔)ごとに、電力データを計測し、計測した電力データをブロックチェーンサーバー装置110に送信する。ブロックチェーンサーバー装置110は、受信した電力データを、電力データを計測したスマートメーター130を識別する識別情報及び時間に関する情報と共にブロックチェーン等に記憶し、登録する。
【0016】
SQ303において、データ処理実行サーバー装置100は、ブロックチェーンサーバー装置110のブロックチェーン等に記憶されている、電力データ及びコードを取得する。より具体的に説明すると、データ処理実行サーバー装置100は、該当するスマートメーター130に対応する電力データと、コードとを、ブロックチェーンサーバー装置110より取得する。データ処理実行サーバー装置100は、定期的にSQ303からSQ306までの処理を繰り返してもよいし、電力データに対して、何らかの処理を行う旨の信号を受け取った場合、前処理として、SQ303からSQ306までの処理を繰り返すようにしてもよい。SQ303の処理は、スマートメーター130で計測された電力データを受信する処理の一例である。
【0017】
SQ304において、データ処理実行サーバー装置100は、計測データの時間粒度を細分化する処理を実行する。より具体的に説明すると、データ処理実行サーバー装置100は、取得した電力データの累積値の右肩部分を繋ぐ線を引き、線の傾きをその時刻における電力需要として計算する。このような処理を行っても積算値は一致する。例えば、スマートメーター130が1分毎に電力データを取得していても、ある時間の電力需要がスマートメーター130の最小単位に満たなければ、そのある時間の電力需要は0として計測される。したがって、SQ304のような処理を行うことによって、より現実に近い値に修正することができる。SQ304の処理は、受信された電力データの累積値を繋いだ線の傾きに基づきある時刻の電力データを推定することで、電力データの時間粒度を細分化させる処理の一例である。
なお、データ処理実行サーバー装置100は、ブロックチェーンサーバー装置110より取得したコード(プログラム)に基づき、少なくともSQ304及びSQ305の処理を実行する。
【0018】
SQ305において、データ処理実行サーバー装置100は、データ補間処理を実行する。データ処理実行サーバー装置100は、データの時間的粒度を細分化させる処理を行った後のデータに対して、データ補間処理を行う。データ処理実行サーバー装置100は、機械学習により、確率分布を算出し、欠損期間の累積値を制約条件としてデータの補間を行う。
すなわち、データ処理実行サーバー装置100は、電力データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、電力データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定する。より具体的に説明すると、データ処理実行サーバー装置100は、受信された電力データの時間的粒度を細分化させる処理を実行し、処理を実行したあとの電力データを入力として、推定モデルを用いて、パラメータを推定する。
【0019】
図4は、多次元正規分布からのサンプリングイメージの一例を示す図である。データ処理実行サーバー装置100は、欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布を仮定し、多次元正規分布のパラメータμ、Σを推定する。図4において、多次元正規分布からサンプリングした1点が、1つの折れ線に対応する。
【0020】
図5は、多次元正規分布パラメータの推定を説明するための図である。
データ処理実行サーバー装置100は、連続するk時間で欠損が発生したとする。x,・・・xは、欠損値である。データ処理実行サーバー装置100は、損失関数として、図5に示されるような確率密度関数の負の対数を設定し、それを最小化するように、μ、Σを推定するニューラルネットワークを学習する。上述したように、データ処理実行サーバー装置100は、機械学習したニューラルネットワークを用いて、電力データを入力として、多次元正規分布のパラメータであるμ、Σを推定する。他の例として、データ処理実行サーバー装置100は、電力データと、電力データが計測された際の気象データと、を入力として、推定モデルを用いて、パラメータを推定するようにしてもよい。気象データとは、例えば、気温であり、スマートメーター130が設置されている施設がある地域の気温である。
【0021】
データ処理実行サーバー装置100は、推定したパラメータを基に、欠損期間の電力データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を欠損期間の電力データの補間値として求める。
【0022】
図6は、多次元正規分布と制約条件との関係の一例を示すイメージ図である。データ処理実行サーバー装置100は、推定した多次元正規分布のパラメータを基に、電力総量の制約の下、その確率を最大化する1点を選択することにより、電力総量に従いつつ、需要パターンを考慮した補間を行うことができる。
【0023】
図7は、制約付き確率最大化問題を定式化したものを示す図である。ここで、Pはある時刻においてベクトルyを得る確率分布であり、事前にニューラルネットワークにより推定されるものである。また、図8は、制約条件のもとで確率を最大化する解を示す図である。データ処理実行サーバー装置100は、図8のL=で示される式をラグランジュの未定定数法で解き、解を得る。
【0024】
図9は、補間の一例を示す図(その1)である。線701は、制約条件なしで補間した値を示している。線702は、実績値を示している。線703は、本実施形態の処理を実行し、補間した値を示している。図10は、補間の一例を示す図(その2)である。線801は、制約条件なしで補間した値を示している。線802は、実績値を示している。線803は、本実施形態の処理を実行し、補間した値を示している。
【0025】
図3の説明に戻る。
SQ306において、データ処理実行サーバー装置100は、補間値として求めた欠損期間の電力データを、ブロックチェーンサーバー装置110に送信する。
SQ307において、ブロックチェーンサーバー装置110は受信した欠損期間の電力データを、データ処理実行サーバー装置100に送信した電力データと関連付け、ブロックチェーン等に記録する。
【0026】
以上、本実施形態によれば、通信中のデータの欠損を精度よく補間することができる。したがって、より正確な再生可能エネルギーの引き当てや細かい時間幅での電力種別ごとの電気料金の計算等が可能となる。
また、本実施形態の処理によれば、電力データ、及び、電力データを補間する処理を実行するコードがブロックチェーンに記録されるので、第三者も同様の処理をトレースすることができる。電力データ、及び、電力データを補間する処理を実行するコードをブロックチェーンに記憶しておくことは、受信した電力データと、パラメータを推定する処理の方法と、補間値を求める処理の方法と、をブロックチェーン上に公開することの一例である。
【0027】
(変形例1)
実施形態1の変形例1を説明する。
図11は、変形例1の情報処理システム1000のシステム構成の一例を示す図である。図11に示されるように、情報処理システム1000は、システム構成として、ブロックチェーンサーバー装置110と、コード登録サーバー装置120と、スマートメーター130と、IoTルーター140と、を含む。ブロックチェーンサーバー装置110は、ネットワーク150を介して、コード登録サーバー装置120、IoTルーター140等と通信可能に接続されている。ブロックチェーンサーバー装置110は、スマートメーター130から送信された電力データを受信し、ブロックチェーン等に記録する。コード登録サーバー装置120は、ブロックチェーンサーバー装置110に変形例1に係る処理を行うプログラム(コードともいう)を登録する処理を行う。ブロックチェーンサーバー装置110は、登録されたプログラムをブロックチェーン等に記録する。ブロックチェーンサーバー装置110は、スマートコントラクト上で、電力データ及びコードに基づき、電力データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、電力データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定する処理、及び、パラメータを基に、欠損期間の電力データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を欠損期間の電力データの補間値として求める処理を実行する。変形例1において、ブロックチェーンサーバー装置110は、情報処理装置の一例である。
【0028】
図12は、情報処理システム1000の情報処理の一例を示すシーケンス図である。
SQ1201において、コード登録サーバー装置120は、ブロックチェーンサーバー装置110にコードを登録する。より具体的に説明すると、コード登録サーバー装置120は、ブロックチェーンサーバー装置110にコードを送信し、コードの登録を要求する。ブロックチェーンサーバー装置110は、要求に基づいて、受信したコードをブロックチェーン等に記憶し、登録する。
【0029】
SQ1202において、スマートメーター130は、計測した電力データをブロックチェーンサーバー装置110に送信する。スマートメーター130は、所定間隔(例えば、1分間隔)ごとに、電力データを計測し、計測した電力データをブロックチェーンサーバー装置110に送信する。ブロックチェーンサーバー装置110は、受信した電力データを、電力データを計測したスマートメーター130を識別する識別情報及び時間に関する情報と共にブロックチェーン等に記憶し、登録する。SQ1202の処理は、スマートメーター130で計測された電力データを受信する処理の一例である。
【0030】
SQ1203において、ブロックチェーンサーバー装置110は、スマートコントラクト上でデータの時間的粒度を細分化させる処理を実行する。より具体的に説明すると、ブロックチェーンサーバー装置110は、取得した電力データの累積値の右肩部分を繋ぐ線を引き、線の傾きをその時刻における電力需要として計算する。このような処理を行っても積算値は一致する。SQ1203の処理は、受信された電力データの累積値を繋いだ線の傾きに基づきある時刻の電力データを推定することで、電力データの時間的粒度を細分化させる処理の一例である。
【0031】
SQ1204において、ブロックチェーンサーバー装置110は、スマートコントラクト上でデータ補間処理を実行する。ブロックチェーンサーバー装置110は、データの時間的粒度を細分化させる処理を行った後のデータに対して、データ補間処理を行う。ブロックチェーンサーバー装置110は、機械学習により、確率分布を算出し、欠損期間の累積値を制約条件としてデータの補間を行う。
すなわち、ブロックチェーンサーバー装置110は、電力データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、電力データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定する。
【0032】
SQ1205において、ブロックチェーンサーバー装置110は、補間値として求めた欠損期間の電力データを、電力データと関連付け、ブロックチェーン等に記録する。
【0033】
変形例1によって、通信中のデータの欠損を精度よく補間することができる。また、スマートコントラクト上でデータの補間処理等を行うことによって、補間の正当性を担保することができる。
【0034】
(変形例2)
実施形態1の変形例2を説明する。
例えば、データ処理実行サーバー装置100等は、第三者が電力データ及びコードを用いて計算し直したときに、ブロックチェーンに記録されている補間値と異なる補間値になった場合、累積値が一致する補間は修正を受け入れ、累積値が一致しない補間は修正を受け入れないようにする。
変形例2によれば、補間の正しさを担保することができる。
【0035】
<付記>
発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記情報処理装置において、前記制御部は、受信された前記計測データの時間粒度を細分化する処理を実行し、前記処理を実行したあとの前記計測データを入力として、前記推定モデルを用いて、前記パラメータを推定する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、受信された前記計測データの累積値を繋いだ線の傾きに基づきある時刻の電力データを推定することで、前記計測データの時間粒度を細分化する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、受信された前記計測データと、前記計測データが計測された際の気象データと、を入力として、前記推定モデルを用いて、前記パラメータを推定する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、スマートコントラクト上で前記パラメータを推定する処理、及び、前記補間値を求める処理を実行する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記制御部は、受信した前記計測データと、前記パラメータを推定する処理の方法と、前記補間値を求める処理の方法と、をブロックチェーン上に公開する、情報処理装置。
前記情報処理装置において、前記計測機器は、スマートメーターであり、前記計測データは、前記スマートメーターで計測された電力データである、情報処理装置。
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、計測機器で計測された計測データを受信し、受信された前記計測データを入力として機械学習により生成された推定モデルを用いて、前記計測データの欠損期間の長さの次元を持つ多次元正規分布のパラメータを推定し、前記パラメータを基に、前記欠損期間の前記計測データの累積値を制約条件として、確率を最大化する値を前記欠損期間の前記計測データの補間値として求める、情報処理方法。
プログラムであって、コンピュータを、前記情報処理装置の制御部として機能させるためのプログラム。
もちろん、この限りではない。
【0036】
例えば、上述のプログラムを記憶させる、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体として提供してもよい。
また、上述した実施形態及び変形例を任意に組み合わせて実施するようにしてもよい。
【0037】
最後に、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
100 :データ処理実行サーバー装置
110 :ブロックチェーンサーバー装置
120 :コード登録サーバー装置
130 :スマートメーター
140 :IoTルーター
150 :ネットワーク
201 :制御部
202 :記憶部
203 :通信部
1000 :情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12