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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023146986
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】ゼリー飲料
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/52 20060101AFI20231004BHJP
   A23L 2/00 20060101ALI20231004BHJP
   A23L 29/238 20160101ALI20231004BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20231004BHJP
   A23L 29/256 20160101ALI20231004BHJP
   A23L 29/269 20160101ALI20231004BHJP
【FI】
A23L2/52
A23L2/00 Z
A23L2/52 101
A23L29/238
A23L29/244
A23L29/256
A23L29/269
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054479
(22)【出願日】2022-03-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月30日に、ローソンJCHO北海道病院、ローソンJPローソン赤れんがテラス、ローソンS倶知安厚生病院等、別紙リスト1-1~1-9に記載の56677の店舗で販売開始し、令和3年3月31日以降に、(株)99イチバ、(株)Aコープ東日本、(株)Olympicグループ等、別紙リスト2に記載の207の企業に卸した。
(71)【出願人】
【識別番号】000006116
【氏名又は名称】森永製菓株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 直美
(72)【発明者】
【氏名】西村 雅明
【テーマコード(参考)】
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B041LC03
4B041LD01
4B041LD10
4B041LE08
4B041LH05
4B041LH08
4B041LH10
4B041LH16
4B041LK02
4B041LK07
4B041LK11
4B041LP01
4B041LP18
4B117LC02
4B117LE10
4B117LG05
4B117LK01
4B117LK08
4B117LK12
4B117LK13
4B117LK30
4B117LL04
4B117LL09
4B117LP17
(57)【要約】
【課題】果肉様食感を有する新規なゼリー飲料を提供することを目的とする。
【解決手段】果肉様食感を有するゼリー飲料は、粒状の第1のゼリーと前記第1のゼリーをとりまく第2のゼリーを含み、ゲル強度が90~200gであって、摩擦係数が0.3~1.1であって、カルシウム塩の濃度が0.18~1.00%である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果肉様食感を有するゼリー飲料であって、
粒状の第1のゼリーと前記第1のゼリーをとりまく第2のゼリーを含み、
ゲル強度が100~200gであって、
摩擦係数が0.3~1.1であって、
カルシウム塩の濃度が0.18~1.00%である、
ゼリー飲料。
【請求項2】
LMペクチン、ジェランガム、カラギナン、グルコマンナン、およびキサンタンを含有する、請求項1に記載のゼリー飲料。
【請求項3】
さらに、寒天を含有する、請求項1または2に記載のゼリー飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゼリー飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果肉用食感を有するゼリー飲料が開発され、様々な技術があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-194661号公開特許公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、果肉用食感を有する新規なゼリー飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施態様は、果肉様食感を有するゼリー飲料であって、粒状の第1のゼリーと前記第1のゼリーをとりまく第2のゼリーを含み、ゲル強度が100~200gであって、摩擦係数が0.3~1.1であって、カルシウム塩の濃度が0.18~1.00%である、ゼリー飲料である。LMペクチン、ジェランガム、カラギナン、グルコマンナン、およびキサンタンを含有してもよい。さらに、寒天を含有してもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって、果肉用食感を有する新規なゼリー飲料を提供することができるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の目的、特徴、利点、およびそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態および具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示または説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。なお、本明細書における%は重量%とする。
【0008】
==ゼリー飲料の構成==
本発明の一実施形態にかかる、果肉様食感を有するゼリー飲料は、多層構造を有し、粒状の第1のゼリーと、第1のゼリーをとりまく第2のゼリーとを含む。
【0009】
ゼリー飲料のゲル強度は、100g以上であることが好ましく、110g以上であることがより好ましく、120g以上であることがさらに好ましく、130g以上であることがさらに好ましく、また、200g以下であることが好ましく、190g以下であることがより好ましく、180g以下であることがさらに好ましく、170g以下であることがさらに好ましく、160g以下であることがさらに好ましく、150g以下であることがさらに好ましく、140g以下であることがさらに好ましい。
【0010】
ゲル強度は、例えば、レオメーター(例えば、サン科学製:CR-500DX)を使用し、直径10mmの円柱型プランジャー、進入速度60mm/分、最大荷重20N(kg・m/s)の条件で測定することができる。また、最大荷重を超えた場合には測定値を20N(kg・m/s)としてもよい。
【0011】
ゼリー飲料の摩擦係数は、0.3以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、また、1.1以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましく、0.8以下がさらに好ましく、0.7以下がさらに好ましく、0.6以下がさらに好ましく、0.5以下がさらに好ましい。
【0012】
摩擦係数として、例えば、クリープメータ(例えば、山電,RE2-33005C型)を使用し、所定の測定条件(例えば、プランジャー:XZ8;垂直荷重:0.04N;垂直荷重応答速度:1mm/秒;摺動速度:1mm/秒)で測定し、45mmの摺動距離における摩擦荷重測定データに対して、摩擦荷重が安定する擦動距離10~40mmにおける平均摩擦係数を用いることができる。
【0013】
ゼリー飲料のカルシウム塩の濃度は、0.16%以上が好ましく、0.17%以上がより好ましく、0.18%以上がさらに好ましく、また、1.00%以下が好ましく、1.10%以下がより好ましく、1.20%以下がさらに好ましく、1.30%以下がさらに好ましく、1.40%以下がさらに好ましい。カルシウム塩の種類は特に限定されないが、可溶性カルシウムが好ましく、例えば、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウムなどが例示できる。
【0014】
第1のゼリーの粒の大きさは特に限定されないが、最小幅が、0.01mm以上であることが好ましく、0.02mm以上であることがより好ましく、0.04mm以上であることがさらに好ましく、0.1mm以上であることがさらに好ましく、0.5mm以上であることがさらに好ましく、1mm以上であることがさらに好ましく、また最大幅が、10mm以下であることが好ましく、9mm以下であることがより好ましく、8mm以下であることがさらに好ましく、4mm以下であることがさらに好ましく、2mm以下であることがさらに好ましい。
【0015】
ゼリー飲料のpHは特に限定されないが、3以上が好ましく、3.3以上がより好ましく、3.6以上がさらに好ましい。また、4以下が好ましく、3.9以下がより好ましく、3.8以下がさらに好ましい。
【0016】
ゼリー飲料は、ジェランガム、カラギナン、グルコマンナン、およびキサンタンを含有することが好ましい。また、ゼリー飲料は、LMペクチンを含有してもよく、さらに、寒天を含有してもよい。
【0017】
ゼリー飲料中のジェランガムの濃度は、0.04%以上であることが好ましく、0.06%以上であることがより好ましく、0.08%以上であることがさらに好ましく、0.10%以上であることがさらに好ましく、0.11%以上であることがさらに好ましく、0.12%以上であることがさらに好ましく、また、0.25%以下であることが好ましく、0.20%以下であることがより好ましく、0.17%以下であることがさらに好ましく、0.15%以下であることがさらに好ましく、0.14%以下であることがさらに好ましく、0.13%以下であることがさらに好ましい。
【0018】
ゼリー飲料中のカラギナンの濃度は、0.06%以上であることが好ましく、0.07%以上であることがより好ましく、0.08%以上であることがより好ましく、0.09%以上であることがさらに好ましく、0.1%以上であることがさらに好ましく、また、0.38%以下であることが好ましく、0.36%以下であることがより好ましく、0.34%以下であることがさらに好ましく、0.33%以下であることがさらに好ましく、0.32%以下であることがさらに好ましく、0.31%以下であることがさらに好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
ゼリー飲料中のグルコマンナンの濃度は、0.06%以上であることが好ましく、0.07%以上であることがより好ましく、0.08%以上であることがより好ましく、0.09%以上であることがさらに好ましく、0.1%以上であることがさらに好ましく、また、0.38%以下であることが好ましく、0.36%以下であることがより好ましく、0.34%以下であることがさらに好ましく、0.33%以下であることがさらに好ましく、0.32%以下であることがさらに好ましく、0.31%以下であることがさらに好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
【0020】
ゼリー飲料中のキサンタンの濃度は、0.002%以上であることが好ましく、0.003%以上であることがより好ましく、0.004%以上であることがさらに好ましく、0.005%以上であることがさらに好ましく、また、0.08%以下であることが好ましく、0.07%以下であることがより好ましく、0.06%以下であることがさらに好ましく、0.05%以下であることがさらに好ましい。
【0021】
ゼリー飲料中のLMペクチンの濃度は、0.2%以上であることが好ましく、0.25%以上であることがより好ましく、0.3%以上であることがさらに好ましく、また、0.5%以下であることが好ましく、0.45%以下であることがより好ましく、0.4%以下であることがさらに好ましく、0.35%以下であることがさらに好ましく、0.3%以下であることがさらに好ましい。
【0022】
LMペクチンのエステル化度(DE:ペクチン分子全体に占めるガラクチュロン酸メチルエステルの割合)は特に限定されないが、25%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、18%以下であることがさらに好ましく、また、1%以上であることが好ましく、2%以上であることがより好ましく、3%以上であることがさらに好ましい。
【0023】
ゼリー飲料が寒天を含む場合、ゼリー飲料中の寒天の濃度は、0.005%以上であることが好ましく、0.010%以上であることがより好ましく、0.015%以上であることがさらに好ましく、0.020%以上であることがさらに好ましく、0.025%以上であることがさらに好ましく、また、0.050%以下であることが好ましく、0.045%以下であることがより好ましく、0.040%以下であることがさらに好ましく、0.035%以下であることがさらに好ましく、0.030%以下であることがさらに好ましい。
【0024】
ゼリー飲料は、さらに、添加物、甘味料、抗酸化剤、保存料、消泡剤、安定化剤、香料、着色料、乳化剤、栄養成分などを含んでいてもよく、例えば、異性化糖、砂糖、果汁、クエン酸、シリコン製剤、乳酸菌飲料、食物繊維、ビタミン、ミネラル、脱脂粉乳、ホエイパウダーなどを含んでもよい。
【0025】
このゼリー飲料は、飲み口付きパウチ容器に充填されており、パウチから出した時に、第2のゼリー部分が崩れて、粒状の第1のゼリーの粒感を感じることができる。それによって、ゼリー飲料を口に入れたときに、果肉用食感を感じることができる。第1のゼリー及び/又は第2のゼリーの構成成分を変えることで、食感の果実の種類を変えることができる。果実の種類としては、例えば、モモ、マンゴー、メロン、ブドウ、洋ナシ、リンゴ、などが例示できる。
【0026】
飲み口付きパウチ容器としては、例えば、プラスチックフィルムと金属箔とをラミネート加工して得られる可撓性のシートを袋状にした容器に、飲み口としてストローが設けられた形態であってもよい(例えば、特許3663084号、特許3477396号、特許3659775号など参照)。この場合、ストローと容器は、可撓性のシートを用いて一体成型してもよく、ストローと容器を別々に製造した後で接着させてもよい。また、ストローを用いるのではなく、容器先端をテイパーさせることで、飲み口を設けてもよい(例えば、オリヒロ社「Tパウチ」;特許4988882など参照)。なお、飲み口の形状は、押出し後のゼリー飲料の食感に影響を与えるため、要望する果肉用食感に合わせて、飲み口の形状や大きさを適宜選択することができる。
【0027】
==ゼリー飲料の製造方法==
ゲル化剤の原材料を水に撹拌しながら投入し、溶解して第1の溶液を得る。一方、その他の原材料を水に撹拌しながら投入し、溶解して第2の溶液を得る。95℃に加熱した第1の溶液40~50重量部と、60~70℃に加熱した第2の溶液50~60重量部とをよく混合し、各原材料が目的の濃度になるように水を加え、さらに混合する。得られた最終的な混合溶液を90℃以上に加熱し、飲み口付きパウチ容器に充填し冷却する。
【0028】
パウチ容器の大きさは特に限定されないが、例えば幅4~12cm×高さ5~15cm×厚さ2~6cmが好ましく、典型的には幅8cm×高さ10cm×厚さ4cmである。また、ストローの口径は4~12mmが好ましく、典型的には8mmである。
【0029】
第1の溶液に溶解するゲル化剤は、LMペクチン、ジェランガム、カラギナン、グルコマンナン、およびキサンタンを含む。さらに、寒天を含んでもよい。第2の溶液に溶解する原材料は、カルシウム塩を含む。これら以外のゼリー飲料の成分は、ゲル化を阻害しない限り、どちらの溶液に含まれていてもよい。
【0030】
第1の溶液と第2の溶液の最終的な混合溶液における各成分の好ましい濃度は、「ゼリー飲料の構成」で述べたものに準ずる。
【実施例0031】
[材料および一般的な試験方法]
(1)ゼリー飲料の製造
水を撹拌しながら、各表に記載のゲル化剤の原材料を投入し、40~50重量%になるように水に溶解した。一方、水を撹拌しながら、各表に記載のその他の原材料を投入し、50~60重量%になるように水に溶解した。ゲル化剤の溶液を95℃に加熱し、その他の原材料の溶液を60~70℃に加熱し、これらの溶液を混合した。得られた溶液を90℃以上に加熱した状態で、全てのゲル化剤及び原材料が各表の濃度になるように水を加えて調整し、飲み口としてストロー(口径約8mm)の付いたパウチ容器(幅8cm×高さ10cm×厚さ4cm)に充填した。
【0032】
(2)ゲル強度の測定
ゲル強度は、(1)で製造したゼリー飲料を、レオメーター(サン科学製:CR-500DX)を使用し、直径10mmの円柱型プランジャー、進入速度60mm/分、最大荷重20N(kg・m/s2)の条件で測定した。
【0033】
(3)摩擦係数の測定
パウチ容器からゼリーを崩さずに取り出し、測定用トレーに厚さ5mmでゼリー表面が平らになる様に調整した。測定表面はティッシュペーパーでゼリー表面の水分を拭ってから測定に供した。クリープメータ(例えば、山電,RE2-33005C型)を使用し、所定の測定条件(例えば、プランジャー:XZ8;垂直荷重:0.04N;垂直荷重応答速度:1mm/秒;摺動速度:1mm/秒)で測定した。約45mmの摺動距離における摩擦荷重測定データに対して、摩擦荷重が安定する擦動距離10~40mmにおける平均摩擦係数を本願の摩擦係数とした。
【0034】
(4)官能評価
官能評価はゼリー飲料を専門とする評価者5名による評価で行った。
具体的な評価方法は、(1)で製造したパウチ容器入りゼリー飲料をストローを通じて喫食したときに、まず、以下の3点:
繊維感:果肉様の繊維を感じるかどうか
塊:果肉を崩した様な塊を感じるかどうか
弾力:果肉の弾力を感じるかどうか
について味わいの評価を行った。評価は、以下のような点数制とし、合計点9点以上を合格とした。
【0035】
【表1】
次に、パウチ容器からストローを通じてゼリー飲料を吐出させ、ゼリー飲料を専門とする評価者1名が、吐出性について以下のような評価を行った。
【0036】
【表2】
[具体的な試験方法と結果]
(1)まず、基本構成(配合番号1)を有するゼリー飲料の原材料を表3に示す。
【0037】
【表3】
LMペクチンのエステル化度(DE)は13~18である。
【0038】
以下、特に記載がない限り、この基本配合(配合番号1)と同じ組成を有するものとする。
【0039】
(2)まず、乳酸カルシウムの濃度を変化させ、他の原材料は基本配合と同じにしてゼリー飲料を製造し、分析した。その結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
表4に示されるように、乳酸カルシウムの濃度が0.18~1.00%の場合に、官能評価が良くなった。
【0041】
(3)次に、寒天の有無で、ゼリー飲料を比較した。ここでは、寒天の代用としてジェランガムの量を増やした。その結果を表5に示す。
【0042】
【表5】
表5に示されるように、寒天の代わりに、ジェランガムの濃度を調整することで、官能評価及び吐出性が良好なゼリー飲料を製造できた。なお、寒天を入れずに、ジェランガム以外のゲル化剤の配合量を適宜調整しても、良好なゼリー飲料の食感を得ることができた。
【0043】
(4)次に、ゲル化剤の組成において、各成分の有無で、ゼリー飲料を比較した。その結果を表6に示す。なお、配合番号10では、寒天は0.035%配合されている。
【0044】
【表6】
表6に示されるように、カラギナン、グルコマンナン、ジェランガム、キサンタンガム、LMペクチンをそれぞれ含めずに製造したゼリー飲料は、官能評価が低かった。このように、ゲル化剤の成分として、カラギナン、グルコマンナン、ジェランガム、キサンタンガム、LMペクチンは必須である。
【0045】
(5)次に、ゲル化剤の組成において、LMペクチンの濃度を変えて、ゼリー飲料を比較した。その結果を表7に示す。
【0046】
【表7】
表7に示されるように、LMペクチンが0.2~0.3%の濃度で、好適なゼリー飲料になった。
【0047】
(6)次に、ゲル化剤の組成において、キサンタンガムの濃度を変えて、ゼリー飲料を比較した。その結果を表8に示す。
【0048】
【表8】
表8に示されるように、キサンタンガムが0.005~0.05%の濃度で、好適なゼリー飲料になった。
【0049】
(7)次に、ゲル化剤の組成において、カラギナンの濃度を変えて、ゼリー飲料を比較した。その結果を表9に示す。
【0050】
【表9】
表9に示されるように、カラギナンが0.1~0.3%の濃度で、好適なゼリー飲料になった。
【0051】
(8)次に、ゲル化剤の組成において、グルコマンナンの濃度を変えて、ゼリー飲料を比較した。その結果を表10に示す。
【0052】
【表10】
表10に示されるように、グルコマンナンが0.1~0.3%の濃度で、好適なゼリー飲料になった。
【0053】
(9)次に、ベースの組成において、可溶性カルシウム塩の種類を変えて、ゼリー飲料を比較した。その結果を表11に示す。
【0054】
【表11】
表11に示されるように、可溶性カルシウム塩として、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウムのいずれも用いることができた。
【0055】
(10)次に、ベースの組成において、LMペクチン(全て0.3%、他の組成は配合1と同じ)のエステル化度(DE:ペクチン分子全体に占めるガラクチュロン酸メチルエステルの割合)を変えて、ゼリー飲料を比較した。その結果を表12に示す。
【0056】
【表12】
表12に示されるように、エステル化度(DE)が3~18%の時に、好適なゼリー飲料であった。
【0057】
[結論]
上述のいずれのゼリー飲料においても、ゲル強度が100~200gであって、摩擦係数が0.3~1.1であるものは全て官能評価が高く、吐出性も良好であったが、いずれかでも満たさないものは官能評価が低いか、または吐出性が良好ではなかった。
【0058】
このように、ゲル強度が100~200gであって、摩擦係数が0.3~1.1であるゼリー飲料をパウチ容器で製造することによって、優れた果肉用食感を有し、パウチ容器からの吐出性の良好なゼリー飲料を提供できる。