IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京応化工業株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147017
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】感光性組成物
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/038 20060101AFI20231004BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20231004BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20231004BHJP
   C08F 290/12 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G03F7/038 501
G03F7/004 501
C08F2/44 A
C08F290/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054522
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】古谷 和之
(72)【発明者】
【氏名】引田 二郎
(72)【発明者】
【氏名】居島 洋一郎
【テーマコード(参考)】
2H225
4J011
4J127
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AC44
2H225AC46
2H225AD06
2H225AM86P
2H225AN39P
2H225AN72P
2H225AP08P
2H225BA05P
2H225BA13P
2H225BA20P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA21
2H225CB02
2H225CC01
2H225CC13
4J011PA07
4J011PB15
4J011PB16
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA23
4J011QA33
4J011QB03
4J011SA02
4J011SA03
4J011SA04
4J011SA05
4J011SA06
4J011SA12
4J011SA14
4J011SA15
4J011SA16
4J011SA17
4J011SA19
4J011SA20
4J011SA22
4J011SA25
4J011SA26
4J011SA27
4J011SA28
4J011SA29
4J011SA32
4J011SA34
4J011SA38
4J011SA42
4J011SA45
4J011SA48
4J011SA54
4J011SA58
4J011SA61
4J011SA62
4J011SA63
4J011SA64
4J011SA65
4J011SA76
4J011SA77
4J011SA78
4J011SA79
4J011SA83
4J011SA84
4J011TA02
4J011TA07
4J011TA08
4J011TA09
4J011TA10
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J011WA10
4J127AA03
4J127AA04
4J127AA06
4J127BB041
4J127BB071
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC151
4J127BD021
4J127BD061
4J127BG101
4J127BG10Y
4J127BG161
4J127BG16Y
4J127BG171
4J127BG17Y
4J127BG311
4J127BG31Y
4J127CB371
4J127CC111
4J127DA06
4J127FA08
4J127FA17
4J127FA21
4J127FA37
(57)【要約】
【課題】高屈折率であり、耐溶剤性に優れる透明な硬化物を与える感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物と、前述の感光性組成物を用いる硬化膜の形成方法とを提供すること。
【解決手段】アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含む感光性組成物において、エチレン性不飽和二重結合を有する架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂(a-1)アルカリ可溶性樹脂(A)として用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、
前記アルカリ可溶性樹脂(A)が、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂(a-1)を含み、
前記架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)が、エチレン性不飽和二重結合を有し、
前記芳香族単位(a2)が、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する単位である、感光性組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、前記芳香族単位(a2)の比率が、60モル%以上である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、前記架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)の比率が、5モル%以上30モル%以下である、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項4】
金属酸化物粒子(D)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の感光性組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物の硬化物。
【請求項6】
基板上に、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物を塗布して塗布膜を形成することと、
前記塗布膜を露光することと、を含む硬化膜の形成方法。
【請求項7】
基板上に、請求項1~4のいずれか1項に記載の感光性組成物を塗布して塗布膜を形成することと、
前記塗布膜を位置選択的に露光することと、
露光された前記塗布膜を現像することと、を含むパターン化された硬化膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物と、前述の感光性組成物を用いる硬化膜の形成方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハードコート等のコーティング材料や、液晶表示ディスプレイパネル、及び有機ELディスプレイパネル等のディスプレイパネルを構成する透光性材料や、タッチパネルにおける保護膜や絶縁膜等を形成するための材料として、不飽和二重結合を有する光重合性化合物と、光重合開始剤とを含み、且つ透明な硬化物を与える感光性組成物が用いられている。
【0003】
かかる感光性組成物として、例えば、光重合性モノマー、特定の構造の樹脂の混合物である透明樹脂、光重合開始剤、及び溶剤を含有する、タッチパネルにおける保護膜や絶縁膜等を形成するための感光性組成物が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-064973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ディスプレイパネルに適用される透明な硬化物には高い屈折率が求められることが多い。また、ディスプレイパネル等の製造工程において、感光性組成物を用いて形成される透明な硬化物は、他の層が積層される際や、洗浄等のプロセスにおいて有機溶媒に接触することが多い。
以上のような事情から、高屈折率であり、耐溶剤性に優れる透明な硬化物を与える感光性組成物が求められている。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、高屈折率であり、耐溶剤性に優れる透明な硬化物を与える感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物と、前述の感光性組成物を用いる硬化膜の形成方法とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性化合物(B)と、光重合開始剤(C)とを含む感光性組成物において、エチレン性不飽和二重結合を有する架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂(a-1)アルカリ可溶性樹脂(A)として用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0008】
本発明の第1の態様は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、
アルカリ可溶性樹脂(A)が、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂を含み、
架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)が、エチレン性不飽和二重結合を有し、
芳香族単位(a2)が、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する単位である、感光性組成物である。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる感光性組成物の硬化物である。
【0010】
本発明の第3の態様は、基板上に、第1の態様にかかる感光性組成物を塗布して塗布膜を形成することと、
塗布膜を露光することと、を含む硬化膜の形成方法である。
【0011】
本発明の第4の態様は、基板上に、第1の態様にかかる感光性組成物を塗布して塗布膜を形成することと、
塗布膜を位置選択的に露光することと、
露光された塗布膜を現像することと、を含むパターン化された硬化膜の形成方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高屈折率であり、耐溶剤性に優れる透明な硬化物を与える感光性組成物と、当該感光性組成物の硬化物と、前述の感光性組成物を用いる硬化膜の形成方法とを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪感光性組成物≫
感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含む。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂(a-1)を含む。
架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)は、エチレン性不飽和二重結合を有する。
芳香族単位(a2)は、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する単位である。
【0014】
本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの双方を意味する。本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの双方を意味する。本出願の明細書及び特許請求の範囲において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの双方を意味する。
【0015】
上記の構成を備える感光性組成物は、露光により良好に硬化し、高屈折率であり、耐溶剤性に優れる透明な硬化物を与える。
【0016】
以下、感光性組成物が含む、必須、又は任意の成分について説明する。
【0017】
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)を含む。アルカリ可溶性樹脂(A)は、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂(a-1)を含む。
架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)は、エチレン性不飽和二重結合を有する。
芳香族単位(a2)は、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する単位である。
【0018】
アルカリ可溶性樹脂(A)は、所望する効果が損なわれない範囲で、(メタ)アクリル樹脂(a-1)以外のアルカリ可溶性樹脂を含んでもよい。
感光性組成物を用いて形成される硬化物の透明性と屈折率の高さとから、アルカリ可溶性樹脂(A)の質量に対する、(メタ)アクリル樹脂(a-1)の質量の比率は、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0019】
以下、アルカリ可溶性樹脂(A)に関して、(メタ)アクリル樹脂(a-1)と、(メタ)アクリル樹脂(a-1)以外のアルカリ可溶性樹脂とについて説明する。
【0020】
〔(メタ)アクリル樹脂(a-1)〕
(メタ)アクリル樹脂(a-1)は、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香族単位(a2)とを含む。
架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)は、エチレン性不飽和二重結合を有する。
芳香族単位(a2)は、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する単位である。
(メタ)アクリル樹脂(a-1)は、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)、及び芳香族単位(a2)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
【0021】
以下、(メタ)アクリル樹脂(a-1)が含み得る、必須、又は任意の構成単位について説明する。
【0022】
(架橋性(メタ)アクリレート単位(a1))
架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)は、エチレン性不飽和二重結合を有する。架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)は、(メタ)アクリル酸、又は(メタ)アクリル酸エステルから誘導され得る構成単位であって、且つ、エチレン性不飽和二重結合を有する構成単位であれば特に限定されない。
【0023】
例えば、エポキシ基を有する構成単位を有する(メタ)アクリル樹脂において、エポキシ基を有する構成単位に、(メタ)アクリル酸のような不飽和カルボン酸を反応させることにより、(メタ)アクリル樹脂中に架橋性(メタ)アクリレート単位を生成させることができる。
この場合、エポキシ基と、不飽和カルボン酸との反応によって、水酸基が生成する。(メタ)アクリル樹脂(a-1)にアルカリ可溶性を付与する目的で、エポキシ基を有する構成単位に、不飽和カルボン酸を反応させた後に、当該反応により生成した水酸基に、ジカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物を反応させてもよい。
【0024】
具体例としては、グリシジルメタクリレートに由来する構成単位に、アクリル酸を反応させると、下記反応式中に示される、(メタ)アクリロイル基と、水酸基を有する構成単位が生成する。かかる水酸基を有する構成単位に、テトラヒドロフタル酸無水物等の多塩基酸無水物を反応させることにより、カルボキシ基と不飽和二重結合とを有する、樹脂にアルカリ可溶性を付与する構成単位が生成する。
【化1】
【0025】
(メタ)アクリル樹脂に、エポキシ基を有する構成単位を与える化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類が挙げられる。
【0026】
また、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルも、(メタ)アクリル樹脂に、エポキシ基を有する構成単位を与える化合物として好ましい。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
【0027】
脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルである場合の具体例としては、例えば下記式(a-1-1a)~(a-1-1o)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、下記式(a-1-1a)~(a-1-1e)で表される化合物が好ましく、下記式(a-1-1a)~(a-1-1c)で表される化合物がより好ましい。
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
上記式中、Ra20は水素原子又はメチル基を示し、Ra21は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra22は炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基を示し、tは0以上10以下の整数を示す。Ra21としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra22としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、-CH-Ph-CH-(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
【0032】
多塩基酸無水物の具体例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、及び4-エチルテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0033】
また、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を有する(メタ)アクリル樹脂において、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位に、不飽和基含有エポキシ化合物を反応させることにより、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)を生成させることもできる。
不飽和基含有エポキシ化合物としては、上記の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステルや脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
(メタ)アクリル酸に由来する構成単位に、不飽和基含有エポキシ化合物を反応させた際にも、エポキシ基と、カルボキシ基との反応によって、水酸基が生成する。(メタ)アクリル樹脂(a-1)にアルカリ可溶性を付与する目的で、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位に、不飽和基含有エポキシ化合物を反応させた後に、当該反応により生成した水酸基に、ジカルボン酸無水物等の多塩基酸無水物を反応させてもよい。
【0034】
(メタ)アクリル樹脂が、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位を有する場合、当該構成単位中の水酸基を、(メタ)アクリル酸クロライドのような不飽和カルボン酸ハライドでアシル化したり、アリルクロライドのようなハロゲン化アルケンを用いてエーテル化したりすることにより、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)を生成させることもできる。
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、4-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリート、3-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアリール(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0035】
架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)の好適な具体例としては、以下の構成単位が挙げられる。
【化5】
【0036】
【化6】
【0037】
(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)の比率は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。
(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)の比率は、5モル%以上30モル%以下が好ましく、5モル%以上20モル%以下がより好ましい。
【0038】
(芳香族単位(a2))
芳香族単位(a2)は、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、又は芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレンに由来する単位である。
芳香族単位(a2)は、感光性組成物を用いて形成される硬化物の耐溶剤性と屈折率の高さに寄与する。
【0039】
芳香族単位(a2)は、カルバゾリル基、又はフルオレニル基上に置換基を有してもよい。
【0040】
芳香族単位(a2)が、カルバゾリル基、又はフルオレニル基上に有してもよい置換基の種類は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。
置換基の具体例としては、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(-NH、-NHR、-NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
【0041】
芳香族単位(a2)が、カルバゾリル基、又はフルオレニル基上に2以上の置換基を有する場合、2以上の置換基のうちの2つが結合して環を形成してもよい。2つの置換基が結合して形成される環は、脂肪族炭化水素環でも、脂肪族複素環でも、芳香族炭化水素環でも、芳香族複素環でもよい。
【0042】
(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、芳香族単位(a2)の比率は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。
(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、芳香族単位(a2)の比率は60モル%以上が好ましく、60モル%以上95モル%以下がより好ましく、70モル%以上90モル%以下がさらに好ましい。
【0043】
(不飽和カルボン酸単位(a3))
(メタ)アクリル樹脂(a-1)は、アルカリ可溶性樹脂である。このため、(メタ)アクリル樹脂(a-1)は、不飽和カルボン酸類に由来する不飽和カルボン酸単位(a3)を含むのが好ましい。
なお、前述の架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)や芳香族単位(a2)が、カルボキシ基や、フェノール性水酸基のようなアルカリ可溶性基を有する場合、(メタ)アクリル樹脂(a-1)は、必ずしも不飽和カルボン酸単位(a3)を有する必要はない。
【0044】
不飽和カルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸が好ましい。
【0045】
(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、不飽和カルボン酸単位(a3)は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。
(メタ)アクリル樹脂(a-1)の全構成単位に対する、不飽和カルボン酸単位(a3)の比率は、5モル%以上20モル%以下が好ましく、5モル%以上15モル%以下がより好ましい。
【0046】
(その他の単位(a4))
(メタ)アクリル樹脂(a-1)は、所望する効果が損なわれない限りにおいて、前述の架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)、芳香族単位(a2)、不飽和カルボン酸単位(a3)以外に、その他の単位(a4)を含んでいてもよい。
【0047】
その他の単位(a4)としては、例えば、下記式(a-1-1)で表される(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位が挙げられる。
【0048】
【化7】
【0049】
上記式(a-1-1)中、Ra9は、水素原子又はメチル基であり、Ra10は、1価の有機基である。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。ただし、Ra10としての1価の有機基は、エチレン性不飽和二重結合を有する。
【0050】
a10の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(-NH、-NHR、-NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
【0051】
また、Ra10としての有機基は、エポキシ基、オキセタニル基等の反応性の官能基を有していてもよい。
【0052】
a10としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよい。また、これらの基がアルキレン部分を含む場合、アルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
【0053】
アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上15以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基等が挙げられる。
【0054】
アルキル基が、脂環式基、又は脂環式基を含む基である場合、アルキル基に含まれる好適な脂環式基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等単環の脂環式基や、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
【0055】
式(a-1-1)で表される化合物が、エポキシ基を有する鎖状の基をRa10として有する場合の、式(a-1-1)で表される化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類が挙げられる。
【0056】
また、式(a-1-1)で表される化合物は、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
【0057】
式(a-1-1)で表される化合物が脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルである場合の具体例としては、例えば前述の式(a-1-1a)~(a-1-1o)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度な範囲内にするためには、下記式(a-1-1a)~(a-1-1e)で表される化合物が好ましく、下記式(a-1-1a)~(a-1-1c)で表される化合物がより好ましい。
【0058】
また、その他の単位(a4)としては、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等のモノマーに由来する構成単位が挙げられる。これらのモノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0059】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アリール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アリール(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0060】
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
【0061】
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
【0062】
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
【0063】
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン、4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
【0064】
(メタ)アクリレート樹脂(a-1)の重量平均分子量は、2000以上50000以下が好ましく、3000以上30000以下がより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスをとりやすい傾向がある。
【0065】
〔カルド構造を有する樹脂(a-2)〕
感光性組成物は、所望する効果が損なわれない限りにおいて、アルカリ可溶性樹脂(A)として、下記のカルド構造を有する樹脂(a-2)を含んでいてもよい。
以下、カルド構造を有する樹脂(a-2)について、「カルド樹脂(a-2)」とも記す。
カルド樹脂(a-2)としては、その構造中にカルド構造を有し、所定のアルカリ可溶性を有する樹脂を用いることができる。カルド構造とは、第1の環状構造を構成している1つの環炭素原子に、第2の環状構造と第3の環状構造とが結合した構造をいう。なお、第2の環状構造と、第3の環状構造とは、同一の構造であっても異なった構造であってもよい。
カルド構造の代表的な例としては、フルオレン環の9位の炭素原子に2つの芳香環(例えばベンゼン環)が結合した構造が挙げられる。
【0066】
カルド樹脂(a-2)としては、特に限定されず、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a-1)で表される樹脂が好ましい。下記式(a-1)で表されるカルド樹脂(a-2)は、(メタ)アクリロイル基を有するため、光重合性樹脂(A1-1)にも該当する。
【0067】
【化8】
【0068】
式(a-1)中、Xは、下記式(a-2)で表される基を示す。t1は0以上20以下の整数を示す。
【0069】
【化9】
【0070】
上記式(a-2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Ra3は、それぞれ独立に直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、t2は、0又は1を示し、Wは、下記式(a-3)で表される基を示す。
【0071】
【化10】
【0072】
式(a-2)中、Ra3としては、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基が特に好ましく、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、及びプロパン1,3-ジイル基が最も好ましい。
【0073】
式(a-3)中の環Aは、芳香族環と縮合していてもよく置換基を有していてもよい脂肪族環を示す。脂肪族環は、脂肪族炭化水素環であっても、脂肪族複素環であってもよい。
脂肪族環としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが挙げられる。
脂肪族環に縮合してもよい芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、芳香族炭化水素環が好ましい。具体的にはベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい。
【0074】
式(a-3)で表される2価基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
【化11】
【0075】
式(a-1)中の2価基Xは、残基Zを与えるテトラカルボン酸二無水物と、下式(a-2a)で表されるジオール化合物とを反応させることにより、カルド樹脂(a-2)中に導入される。
【化12】
【0076】
式(a-2a)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びt2は、式(a-2)について説明した通りである。式(a-2a)中の環Aについては、式(a-3)について説明した通りである。
【0077】
式(a-2a)で表されるジオール化合物は、例えば、以下の方法により製造し得る。
まず、下記式(a-2b)で表されるジオール化合物が有するフェノール性水酸基中の水素原子を、必要に応じて、常法に従って、-Ra3-OHで表される基に置換した後、エピクロルヒドリン等を用いてグリシジル化して、下記式(a-2c)で表されるエポキシ化合物を得る。
次いで、式(a-2c)で表されるエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタクリル酸と反応させることにより、式(a-2a)で表されるジオール化合物が得られる。
式(a-2b)及び式(a-2c)中、Ra1、Ra3、及びt2は、式(a-2)について説明した通りである。式(a-2b)及び式(a-2c)中の環Aについては、式(a-3)について説明した通りである。
なお、式(a-2a)で表されるジオール化合物の製造方法は、上記の方法に限定されない。
【化13】
【0078】
式(a-2b)で表されるジオール化合物の好適な例としては、以下のジオール化合物が挙げられる。
【化14】
【0079】
上記式(a-1)中、Ra0は水素原子又は-CO-Y-COOHで表される基である。ここで、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(-CO-O-CO-)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
【0080】
上記式(a-1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、下記式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。中でも、ピロメリット酸二無水物又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましく、現像プロセスマージンが広い点で、ピロメリット酸二無水物が好ましい。
上記式(a-1)中、t1は、0以上20の整数を示す。
【0081】
【化15】
(式(a-4)中、Ra4、Ra5、及びRa6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種を示し、t3は、0以上12以下の整数を示す。)
【0082】
式(a-4)中のRa4として選択され得るアルキル基は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基である。アルキル基の備える炭素原子数をこの範囲に設定することで、得られるカルボン酸エステルの耐熱性を一段と向上させることができる。Ra4がアルキル基である場合、その炭素原子数は、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、1以上6以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
a4がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0083】
式(a-4)中のRa4としては、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。式(a-4)中のRa4は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(a-4)中の複数のRa4は、高純度のテトラカルボン酸二無水物の調製が容易であることから、同一の基であるのが好ましい。
【0084】
式(a-4)中のt3は0以上12以下の整数を示す。t3の値を12以下とすることによって、テトラカルボン酸二無水物の精製を容易にすることができる。
テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、t3の上限は5が好ましく、3がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物の化学的安定性の点から、t3の下限は1が好ましく、2がより好ましい。
式(a-4)中のt3は、2又は3が特に好ましい。
【0085】
式(a-4)中のRa5、及びRa6として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基は、Ra4として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基と同様である。
a5、及びRa6は、テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下)のアルキル基であるのが好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
【0086】
式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロプロパノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロブタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘプタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロオクタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロノナノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロウンデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロドデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロトリデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロテトラデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロペンタノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロヘキサノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0087】
カルド樹脂(a-2)の重量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、1500以上30000以下であることがより好ましく、2000以上10000以下であることがさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、硬化物についての十分な耐熱性と、機械的強度とを得ることができる。
【0088】
〔ノボラック樹脂(a-3)〕
アルカリ可溶性樹脂(A)は、所望する効果が損なわれない範囲において、ノボラック樹脂(a-3)を含んでいてもよい。
ノボラック樹脂(a-3)としては、従来から感光性組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂(a-3)としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる樹脂が好ましい。
【0089】
(フェノール類)
ノボラック樹脂(a-3)を作製する際に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、並びにp-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5-トリメチルフェノール、及び3,4,5-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素原子数1以上4以下である。);α-ナフトール;β-ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0090】
これらのフェノール類の中でも、m-クレゾール及びp-クレゾールが好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感光性組成物を用いて形成される硬化物の耐熱性等の諸特性を調節することができる。
m-クレゾールとp-クレゾールの配合割合は特に限定されないが、m-クレゾール/p-クレゾールのモル比で、3/7以上8/2以下が好ましい。m-クレゾール及びp-クレゾールをかかる範囲の比率で用いることにより、耐熱性に優れる硬化物を形成可能な感光性組成物を得やすい。
【0091】
また、m-クレゾールと、2,3,5-トリメチルフェノールとを併用して製造されるノボラック樹脂も好ましい。かかるノボラック樹脂を用いる場合、ポストベーク時の加熱により過度にフローし難い硬化物を形成できる感光性組成物を、特に得やすい。
m-クレゾールと2,3,5-トリメチルフェノールの配合割合は特に限定されないが、m-クレゾール/2,3,5-トリメチルフェノールのモル比で、70/30以上95/5以下が好ましい。
【0092】
(アルデヒド類)
ノボラック樹脂(a-3)を作製する際に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0093】
(酸触媒)
ノボラック樹脂(a-3)を作製する際に用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
(分子量)
ノボラック樹脂(a-3)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw;以下、単に「重量平均分子量」ともいう。)は、感光性組成物を用いて形成される硬化物の加熱によるフローに対する耐性の観点から、下限値として2000が好ましく、5000がより好ましく、10000が特に好ましく、15000がさらに好ましく、20000が最も好ましく、上限値として50000が好ましく、45000がより好ましく、40000がさらに好ましく、35000が最も好ましい。
【0095】
ノボラック樹脂(a-3)としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が異なる樹脂を少なくとも2種組み合わせて用いることができる。重量平均分子量が異なる樹脂を組み合わせて用いることにより、感光性組成物の現像性と、感光性組成物を用いて形成される硬化物の耐熱性とのバランスをとることができる。
【0096】
〔変性エポキシ樹脂(a-4)〕
アルカリ可溶性樹脂(A)は、所望する効果が損なわれない範囲において、エポキシ化合物(a-4a)と不飽和基含有カルボン酸(a-4b)との反応物に、多塩基酸無水物(a-4c)が付加した付加体を含んでいてもよい。かかる付加体について、「変性エポキシ樹脂(a-4)」とも記す。
なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、上記の定義に該当する化合物であって、前述のカルド構造を有する樹脂(a-2)に該当しない化合物を、変性エポキシ樹脂(a-4)とする。
【0097】
以下、エポキシ化合物(a-4a)、不飽和基含有カルボン酸(a-4b)、及び多塩基酸無水物(a-4c)について説明する。
【0098】
<エポキシ化合物(a-4a)>
エポキシ化合物(a-4a)は、エポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物であっても、芳香族基を含まない脂肪族エポキシ化合物であってもよく、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(a-4a)は、単官能エポキシ化合物であっても、2官能以上の多官能エポキシ化合物であってもよく、多官能エポキシ化合物が好ましい。
【0099】
エポキシ化合物(a-4a)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0100】
また、エポキシ化合物(a-4a)としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物が好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、主鎖に下記式(a-4a-1)で表されるビフェニル骨格を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であるのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物を用いることにより、感度と現像性とのバランスに優れ、基板への密着性に優れた硬化物を形成できる感光性組成物を得やすい。
【0101】
【化16】
(式(a-4a-1)中、Ra7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいフェニル基であり、jは1以上4以下の整数である。)
【0102】
a7が炭素原子数1以上12以下のアルキル基である場合、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基が挙げられる。
【0103】
a7がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0104】
a7が置換基を有してもよいフェニル基である場合、フェニル基上の置換基の数は特に限定されない。フェニル基上の置換基の数は、0以上5以下であり、0又は1が好ましい。
置換基の例としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上4以下の脂肪族アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
【0105】
上記式(a-4a-1)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ化合物(a-4a)としては特に限定されないが、例えば、下記式(a-4a-2)で表されるエポキシ化合物を挙げることができる。
【化17】
(式(a-4a-2)中、Ra7及びjは、式(a-4a-1)と同様であり、kは括弧内の構成単位の平均繰り返し数であって0以上10以下である。)
【0106】
式(a-4a-2)で表されるエポキシ化合物の中では、感度と現像性とのバランスに優れる感光性組成物を特に得やすいことから、下記式(a-4a-3)で表される化合物が好ましい。
【化18】
(式(a-4a-3)中、kは、式(a-4a-2)と同様である。)
【0107】
(不飽和基含有カルボン酸(a-4b))
変性エポキシ化合物(a-4)と調製するにあたって、エポキシ化合物(a-4a)と、不飽和基含有カルボン酸(a-4b)とを反応させる。
不飽和基含有カルボン酸(a-4b)としては、分子中にアクリル基やメタクリル基等の反応性の不飽和二重結合を含有するモノカルボン酸が好ましい。このような不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、α-シアノ桂皮酸、桂皮酸等を挙げることができる。また、不飽和基含有カルボン酸(a-4b)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0108】
エポキシ化合物(a-4a)と、不飽和基含有カルボン酸(a-4b)とは、公知の方法により反応させることができる。好ましい反応方法としては、例えば、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-4b)とを、トリエチルアミン、ベンジルエチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、又はトリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶媒中、反応温度50℃以上150℃以下で数時間から数十時間反応させる方法が挙げられる。
【0109】
エポキシ化合物(a-4a)と不飽和基含有カルボン酸(a-4b)との反応における両者の使用量の比率は、エポキシ化合物(a-4a)のエポキシ当量と、不飽和基含有カルボン酸(a-4b)のカルボン酸当量との比として、通常1:0.5~1:2が好ましく、1:0.8~1:1.25がより好ましく、1:0.9~1:1.1が特に好ましい。
エポキシ化合物(a-4a)の使用量と不飽和基含有カルボン酸(a-4b)の使用量との比率が、前記の当量比で1:0.5~1:2であると、架橋効率が向上する傾向があり好ましい。
【0110】
(多塩基酸無水物(a-4c))
多塩基酸無水物(a-4c)は、2個以上のカルボキシ基を有するカルボン酸の無水物である。
多塩基酸無水物(a-4c)としては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、下記式(a-4c-1)で表される化合物、及び下記式(a-4c-2)で表される化合物を挙げることができる。また、多塩基酸無水物(a-4c)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
【化19】
(式(a-4c-2)中、Ra8は、炭素原子数1以上10以下の置換基を有してもよいアルキレン基を示す。)
【0112】
多塩基酸無水物(a-4c)としては、感度と現像性とのバランスに優れる感光性組成物を得やすいことから、ベンゼン環を2個以上有する化合物であることが好ましい。また、多塩基酸無水物(a-4c)は、上記式(a-4c-1)で表される化合物、及び上記式(a-4c-2)で表される化合物の少なくとも一方を含むのがより好ましい。
【0113】
エポキシ化合物(a-4a)と不飽和基含有カルボン酸(a-4b)とを反応させた後、多塩基酸無水物(a-4c)を反応させる方法は、公知の方法から適宜選択できる。
また、使用量比は、エポキシ化合物(a-4a)と不飽和基含有カルボン酸(a-4b)との反応後の成分中のOH基のモル数と、多塩基酸無水物(a-4c)の酸無水物基の当量比で、通常1:1~1:0.1であり、好ましくは1:0.8~1:0.2である。上記範囲とすることにより、現像性が良好である感光性組成物を得やすい。
【0114】
変性エポキシ樹脂(a-4)の酸価は、樹脂固形分で、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは、70mgKOH/g以上110mgKOH/g以下である。樹脂の酸価を10mgKOH/g以上にすることにより現像液に対する充分な溶解性が得られ、また、酸価を150mgKOH/g以下にすることにより充分な硬化性を得ることができ、硬化物の表面性を良好にすることができる。
【0115】
変性エポキシ樹脂(a-4)の重量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、より好ましくは、2000以上30000以下である。重量平均分子量が1000以上であることにより耐熱性、及び強度に優れる硬化物を形成しやすい。また、重量平均分子量が40000以下であることにより現像液に対する十分な溶解性を示す感光性組成物を得やすい。
【0116】
感光性組成物における、アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、感光性組成物の質量から、後述する金属酸化物粒子(D)の質量と、溶媒(S)の質量とを除いた質量に対して、30質量%以上90質量%以下が好ましく、40質量%以上80質量%以下がより好ましい。
【0117】
〔光重合性化合物(B)〕
感光性組成物は、光重合性化合物(B)を含む。光重合性化合物(B)としては、従来より感光性組成物に配合されている化合物を特に制限なく用いることができる。
【0118】
単官能光重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能光重合性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0119】
多官能光重合性化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能モノマーや、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能光重合性化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0120】
これらの光重合性化合物(B)の中でも、硬化物の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能化合物が好ましく、4官能以上の多官能化合物がより好ましく、5官能以上の多官能化合物がさらに好ましい。
【0121】
硬化性を高める観点から、感光性組成物は、光重合性化合物(B)として、下記式(B-2a)、又は下記式(B-2b)で表される化合物を含んでいてもよい。
【化20】
(MA-(O-Rb1nb1-X-CH-CH-X-(Rb1-O)nb1-MA・・・(B-2b)
(式(B-2a)、及び式(B-2b)中、MAは、それぞれ独立に、(メタ)アクリロイル基であり、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、-NH-、又は-N(CH)-であり、Rb1は、それぞれ独立に、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、又はプロパン-1,3-ジイル基であり、Rb2は、水酸基、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は-X-(Rb1-O)nb1-MAで表される基であり(Xは前記と同様であり)、nb1、及びnb1は、それぞれ独立に、0又は1である。)
【0122】
式(B-2a)において、Rb2としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。これらのアルキル基の中では、メチル基、及びエチル基が好ましい。
【0123】
式(B-2a)で表される化合物、及び式(B-2b)で表される化合物の好ましい例としては、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、及び下記の1)~32)の化合物が挙げられる。下記1)~32)の化合物においてMAは(メタ)アクリロイル基である。
1)(MA-NH-CH-C
2)(MA-N(CH)-CH-C
3)(MA-O-CHCHCH-O-CH-C
4)(MA-O-CHCH-O-CH-C
5)(MA-O-CHCHCH-NH-CH-C
6)(MA-O-CHCH-NH-CH-C
7)(MA-O-CHCHCH-N(CH)-CH-C
8)(MA-O-CHCH-N(CH)-CH-C
9)(MA-NH-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-NH-MA)
10)(MA-N(CH)-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-N(CH)-MA)
11)(MA-O-CHCHCH-O-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-O-CHCHCH-O-MA)
12)(MA-O-CHCH-O-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-O-CHCH-O-MA)
13)(MA-O-CHCHCH-NH-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-NH-CHCHCH-O-MA)
14)(MA-O-CHCH-NH-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-NH-CHCH-O-MA)
15)(MA-O-CHCHCH-N(CH)-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-N(CH)-CHCHCH-O-MA)
16)(MA-O-CHCH-N(CH)-CH-C-CH-O-CH-C-(CH-N(CH)-CHCH-O-MA)
17)(MA-NH-CH-CH-NH-MA
18)(MA-N(CH)-CH-CH-N(CH)-MA
19)(MA-O-CHCHCH-O-CH-CH-O-CHCHCH-O-MA
20)(MA-O-CHCH-O-CH-CH-C-O-CHCH-O-MA
21)(MA-O-CHCHCH-NH-CH-CH-NH-CHCHCH-O-MA
22)(MA-O-CHCH-NH-CH-CH-NH-CHCH-O-MA
23)(MA-O-CHCHCH-N(CH)-CH-CH-N(CH)-CHCHCH-O-MA
24)(MA-O-CHCH-N(CH)-CH-CH-N(CH)-CHCH-O-MA
25)(MA-NH-CH-C-CHCH
26)(MA-N(CH)-CH-C-CHCH
27)(MA-O-CHCHCH-O-CH-C-CHCH
28)(MA-O-CHCH-O-CH-C-CHCH
29)(MA-O-CHCHCH-NH-CH-C-CHCH
30)(MA-O-CHCH-NH-CH-C-CHCH
31)(MA-O-CHCHCH-N(CH)-CH-C-CHCH
32)(MA-O-CHCH-N(CH)-CH-C-CHCH
【0124】
感光性組成物の硬化性を高めることから、光重合性化合物(B)の質量に対する、式(B-2a)で表される化合物の質量と、式(B-2b)で表される化合物の質量との合計の比率は、50質量%以下が好ましく、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上45質量%以下がより好ましく、10質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。
【0125】
高屈折率の硬化物を形成しやすい点から、感光性組成物が、光重合性化合物(B)として下記式(B-2c)で表される化合物を含んでいてもよい。
【化21】
式(B-2c)中、R、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。R、及びRは、それぞれ独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。p、及びqはそれぞれ独立に0又は1である。
【0126】
、及びRは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基である。R、及びRは、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。式(B-2c)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、R、及びRが同一であるのが好ましい。
【0127】
、及びRは、それぞれ独立に炭素原子数1以上5以下のアルキル基である。R、及びRは、互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。式(B-2c)で表される化合物の合成や入手が容易であることから、R、及びRが同一であるのが好ましい。
【0128】
、及びRとしての炭素原子数1以上5以下のアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。R、及びRとしての炭素原子数1以上5以下のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基が挙げられる。
【0129】
式(B-2c)で表される化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化22】
【0130】
感光性組成物が、光重合性化合物(B)として式(B-2c)で表される化合物を含む場合、光重合性化合物(B)の質量に対する式(B-2c)で表される化合物の質量の比率は、70質量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下がより好ましく、20質量%以上70質量%以下がさらに好ましい。
【0131】
感光性組成物の硬化性を高めることから、感光性組成物が、光重合性化合物(B)として、下記式(B-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。
Arb1-Rb21-S-Rb22-O-CO-CRb23=CH・・・(A-2d)
(式(B-2d)中、Arb1は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基であり、Rb21は、単結合、又は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基であり、Rb22は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基であり、Rb23は、水素原子、又はメチル基である。)
【0132】
Arb1は、ハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基である。フェニル基がハロゲン原子で置換されている場合、フェニル基に結合するハロゲン原子の数は特に限定されない。フェニル基に結合するハロゲン原子の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。フェニル基に2以上のハロゲン原子が結合する場合、フェニル基に結合する複数のハロゲン原子は、同種のハロゲン原子のみからなってもよく、2種以上のハロゲン原子からなってもよい。フェニル基に結合しうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好ましい。
Arb1としては、無置換のフェニル基が好ましい。
【0133】
b21は、単結合、又は炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、及びヘキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。
b21としては、単結合、及びメチレン基が好ましく、単結合がより好ましい。
【0134】
b22は、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基である。炭素原子数1以上6以下のアルキレン基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、及びヘキサン-1,6-ジイル基が挙げられる。
b22としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、及びプロパン-1,3-ジイル基が好ましく、エタン-1,2-ジイル基、及びプロパン-1,3-ジイル基がより好ましい。
【0135】
含硫黄(メタ)アクリレートの入手の容易さや、感光性組成物の硬化性を高める点で、式(B-2d)において、Arb1がフェニル基であり、Rb21が単結合であるのが特に好ましい。
【0136】
式(B-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートの好適な具体例としては、2-フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルチオプロピル(メタ)アクリレート、2-ベンジルチオエチル(メタ)アクリレート、3-ベンジルチオプロピル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(4-クロロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-フルオロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(4-フルオロフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、2-(2-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、3-(2-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、3-(3-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレート、及び3-(4-ブロモフェニル)プロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0137】
感光性組成物が、光重合性化合物(B)として式(B-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートを含む場合、光重合性化合物(B)の質量に対する式(B-2d)で表される含硫黄(メタ)アクリレートの質量の比率は、40質量%以上50質量%以下が好ましい。
【0138】
高屈折率の硬化物を得やすい点で、感光性組成物は、光重合性化合物(B)として、下記式(B-2e)で表される化合物を含んでいてもよい。
【化23】
(式(B-2e)中、RB1、RB2、及びRB3は、それぞれ独立に有機基であり、RB1、としての有機基、RB2としての有機基、及びRB3としての有機基のうちの少なくとも2つがラジカル重合性基含有基を有する。)
【0139】
式(B-2e)で表される化合物の好ましい例として、下記式(B-2e-a)で表される化合物が挙げられる。
【化24】
【0140】
式(B-2e-a)中、RB01は、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、又は置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基である。
2-置換ベンゾチアゾリル基は2位に-S-RB0で表される基を有する。RB0は、水素原子、ラジカル重合性基含有基である。
B02、及びRB03は、ともにラジカル重合性基含有基を有する芳香環含有基である。
トリアジン環に結合している-NH-基は、RB02、及びRB03中の芳香環に結合する。
【0141】
置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、及び置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基はいずれも分極率が大きく、官能基としての体積が小さい。このため、RB01が、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、又は置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基であることが、感光性組成物の硬化物の屈折率の高さに寄与していると考えられる。
【0142】
B01としてのキノリニル基としては、キノリン-2-イル基、キノリン-3-イル基、キノリン-4-イル基、キノリン-5-イル基、キノリン-6-イル基、キノリン-7-イル基、及びキノリン-8-イル基のいずれでもよい。これらの基の中では、式(B2e-a)で表される化合物の原料化合物の入手が容易であることや、式(B2e-a)で表される化合物の合成が容易であること等から、キノリン-3-イル基、及びキノリン-4-イル基が好ましい。
【0143】
B01としてのイソキノリニル基としては、イソキノリン-1-イル、イソキノリン-3-イル基、イソキノリン-4-イル基、イソキノリン-5-イル基、イソキノリン-6-イル基、イソキノリン-7-イル基、及びイソキノリン-8-イル基のいずれでもよい。
【0144】
B01としてのキノリニル基、及びイソキノリニル基が有してもよい置換基は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。置換基の例としては、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、シアノ基、ニトロ基、及び1価の有機基が挙げられる。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
1価の有機基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、及び脂肪族アシルチオ基等が挙げられる。
また、後述するラジカル重合性基含有基も1価の有機基として好ましい。
【0145】
置換基としての1価の有機基の炭素原子数は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。置換基としての1価の有機基の炭素原子数としては、例えば1以上20以下が好ましく、1以上12以下がより好ましく、1以上8以下がさらに好ましい。アルコキシアルキル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキルチオ基、及び脂肪族アシルチオ基については、その炭素原子数の下限は2である。
【0146】
置換基としてのアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基が挙げられる。
【0147】
置換基としてのアルコキシ基の好ましい具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、及びn-オクチルオキシ基が挙げられる。
【0148】
置換基としてのアルコキシアルキル基の好ましい具体例としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-プロピルオキシメチル基、n-ブチルオキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、2-n-プロピルオキシエチル基、2-n-ブチルオキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピルオキシ基、3-エトキシ-n-プロピルオキシ基、3-n-プロピルオキシ-n-プロピルオキシ基、3-n-ブチルオキシ-n-プロピルオキシ基、4-メトキシ-n-ブチルオキシ基、4-エトキシ-n-ブチルオキシ基、4-n-プロピルオキシ-n-ブチルオキシ基、4-n-ブチルオキシ-n-ブチルオキシ基が挙げられる。
【0149】
置換基としての脂肪族アシル基の好ましい具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、及びオクタノイル基が挙げられる。
【0150】
置換基としての脂肪族アシルオキシ基の好ましい具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ペンタノイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、及びオクタノイルオキシ基が挙げられる。
【0151】
置換基としてのアルコキシカルボニル基の好ましい具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、及びn-オクチルオキシカルボニル基が挙げられる。
【0152】
置換基としてのアルキルチオ基の好ましい具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n-ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec-ブチルチオ基、tert-ブチルチオ基、n-ペンチルチオ基、n-ヘキシルチオ基、n-ヘプチルチオ基、及びn-オクチルチオ基が挙げられる。
【0153】
置換基としての脂肪族アシルチオ基の好ましい具体例としては、アセチルチオ基、プロピオニルチオ基、ブタノイルチオ基、ペンタノイルチオ基、ヘキサノイルチオ基、ヘプタノイルチオ基、及びオクタノイルチオ基が挙げられる。
【0154】
キノリニル基、及びイソキノリニル基が置換基を有する場合、置換基の数は、所望する効果が損なわれない限りにおいて特に限定されない。キノリニル基、及びイソキノリニル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1以上4以下が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
キノリニル基、及びイソキノリニル基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0155】
B01としての2-置換ベンゾチアゾリル基は、2位に-S-RB0で表される基を有する。RB01としての2-置換ベンゾチアゾリル基は、2以外の位置に、-S-RB0で表される基以外の他の置換基を有していてもよい。RB0は、水素原子、ラジカル重合性基含有基である。ラジカル重合性基含有基については後述する。
【0156】
2-置換ベンゾチアゾリル基の好ましい例としては、下記の基が挙げられる。
【化25】
【0157】
B01としての2-置換ベンゾチアゾリル基が有してもよい置換基としては、キノリニル基、及びイソキノリニル基が有してもよい置換基と同様である。
2-置換ベンゾチアゾリル基が置換基を有する場合、置換基の数は、所望する効果が損なわれない限りにおいて特に限定されない。2-置換ベンゾチアゾリル基が置換基を有する場合、置換基の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
2-置換ベンゾチアゾリル基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0158】
B02、及びRB03は、ともにラジカル重合性基含有基を有する芳香環含有基である。
なお、トリアジン環に結合している-NH-基は、RB02、及びRB03中の芳香環に結合する。
B02、及びRB03としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の結合位置は特に限定されない。
【0159】
B02としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の数と、RB03としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の数とは特に限定されない。RB02としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の数と、RB03としての芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の数とは、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0160】
B02、及びRB03としての芳香環含有基は、1つの単環式芳香環、又は1つの縮合式芳香環のみを含んでいてもよく、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含んでいてもよい。RB02、及びRB03としての芳香環含有基が、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含む場合、単環式芳香環同士、縮合式芳香環同士、又は単環式芳香環と縮合式芳香環とを連結する連結基の種類は特に限定されない。当該連結基は、2価の連結基であってもよく、3価以上の連結基であってもよく、2価の連結基が好ましい。
【0161】
2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価のハロゲン化脂肪族炭化水素基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO-、-S-、及び-S-S-、並びにこれのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0162】
また、2価の連結基としては、-CRb001b002-で表される基も好ましい。
b001及びRb002は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、又は炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基である。Rb001とRb002とは互いに結合して環を形成してもよい。-CRb001b002-で表される基の具体例としては、メチレン基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル基、シクロペンチリデン基、シクロヘキシリデン基、及びシクロヘプチリデン基が挙げられる。
【0163】
B02、及びRB03としての芳香環含有基は、ラジカル重合性基含有基を有する。ラジカル重合性基含有基について、前述した通りである。
【0164】
ラジカル重合性基含有基の好適な例としては、下記式(B-I)又は下記式(B-II)で表される基であって、ビニルオキシ基含有基に該当しない基が挙げられる。
-(A01nb-R01・・・(B-I)
-(A01nb-R02-A02-R01・・・(B-II)
【0165】
式(B-I)及び式(B-II)において、R01は、炭素原子数2以上10以下のアルケニル基である。R02は、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基である。
01は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-CO-S-、-O-CO-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
02は、-O-、-S-、-CO-、-CO-O-、-CO-S-、-O-CO-、-S-CO-、-CO-NH-、-NH-CO-、又は-NH-である。
nbは、0又は1である。
【0166】
ラジカル重合性基含有基の好適な具体例としては、
-O-R03
-S-R03
-O-CHCH-O-R03
-O-CHCHCH-O-R03
-O-CHCHCHCH-O-R03
-CO-O-CHCH-O-R03
-CO-O-CHCHCH-O-R03
-CO-O-CHCHCHCH-O-R03
-O-CHCH-NH-R03
-O-CHCHCH-NH-R03
-O-CHCHCHCH-NH-R03
-CO-O-CHCH-NH-R03
-CO-O-CHCHCH-NH-R03
-CO-O-CHCHCHCH-R03
-NH-R03
-NH-CHCH-O-R03
-NH-CHCHCH-O-R03
-NH-CHCHCHCH-O-R03
-CO-NH-CHCH-O-R03
-CO-NH-CHCHCH-O-R03
-CO-NH-CHCHCHCH-O-R03
-NH-CHCH-NH-R03
-NH-CHCHCH-NH-R03
-NH-CHCHCHCH-NH-R03
-CO-NH-CHCH-NH-R03
-CO-NH-CHCHCH-NH-R03、及び、
-CO-NH-CHCHCHCH-NH-R03で表される基が挙げられる。これらの基におけるR03は、アリル基、又は(メタ)アクリロイル基である。
【0167】
B02、及びRB03としての芳香環含有基が、ラジカル重合性基含有基を1つ有する場合、RB02、及びRB03の好適な例としては下記式の基が挙げられる。下記式中、PGは、ラジカル重合性基含有基である。
【化26】
【0168】
式(B-2e)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。下記式において、Xは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルチオ基、及び3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシ-n-プロピルオキシカルボニル基からなる群より選択される基である。
【0169】
【化27】
【0170】
【化28】
【0171】
【化29】
【0172】
式(B-2e-a)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。典型的には、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルを、RB01-NH、RB02-NH、及びRB03-NHで表される芳香族アミンと反応させることにより製造することができる。これらの複数種のアミンは、同時にハロゲン化シアヌルと反応させても、順次ハロゲン化シアヌルと反応させてもよく、順次ハロゲン化シアヌルと反応させるのが好ましい。
【0173】
また、式(B-2e-a)中のRB02、及びRB03は、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基を有する芳香族アミンをハロゲン化シアヌルと反応させた後に、これらの官能基に、ラジカル重合性基含有基を与える化合物を反応させることによっても生成させることができる。ラジカル重合性基含有基を与える化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ハライド、ハロゲン化オレフィン等のラジカル重合性基を有する化合物が挙げられる。
水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基と、重合性基を有する化合物との反応としては、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、カルボン酸アミド結合、及びチオエーテル結合を生成させる周知の反応を採用できる。
【0174】
ラジカル重合性基含有基を形成する反応は多段階の反応であってもよい。例えば、ハロゲン化シアヌルにフェノール性水酸基を有する芳香族アミンを反応させた後、フェノール性水酸基をエピクロロヒドリンと反応させてグリシジル化し、次いで、グリシジル基にアクリル酸を反応させることにより、下記式で表されるラジカル重合性基含有基を芳香環上に導入することができる。
-O-CH-CHOH-CH-O-CO-CH=CH
上記の反応は一例であり、ラジカル重合性基含有基は、種々の反応を組み合わせて実施することにより形成され得る。
【0175】
式(B-2e-a)で表される化合物は、通常、有機溶媒中で合成される。かかる有機溶媒としては、ハロゲン化シアヌル、芳香族アミン、ラジカル重合性基等と反応しない不活性な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、後述する溶媒(S)の具体例として例示される有機溶媒等を用いることができる。
式(B-2e-a)で表される化合物を製造する際に、ハロゲン化シアヌルと、RB01-NH、RB02-NH、及びRB03-NHで表される芳香族アミン等の芳香族アミン類とを反応させる際の温度は特に限定されない。典型的には、反応温度は、0℃以上150℃以下が好ましい。
【0176】
式(B-2e)で表される化合物の他の好ましい例として、下記式(B-2e-b)で表される化合物が挙げられる。
【化30】
【0177】
式(B-2e-b)中、RB11、RB12、及びRB13は、それぞれ芳香環含有基である。
B12、及びRB13の少なくとも1つは下記式(B-2e-b1)で表される基である。
【化31】
トリアジン環に結合している-NH-基は、それぞれ、RB11、RB12、及びRB13中の芳香環に結合する。
式(B-2e-b1)中、Rb11及びRb12は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子である。
nB1及びnB2は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。
b13及びRb14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基である。
b13とRb14とは互いに結合して環を形成してもよい。
B14は、ラジカル重合性基含有基である。
B12、及びRB13がともに式(B-2e-b1)で表される基である場合、RB12、及びRB13は、ともにラジカル重合性基含有基を有する。
【0178】
上記の通り、式(B-2e-b)中、RB11、RB12、及びRB13は、それぞれ芳香環含有基である。式(B-2e-b)において、トリアジン環に結合している-NH-基は、それぞれ、RB11、RB12、及びRB13中の芳香環に結合する。
芳香環含有基が、式(B-2e-b1)で表される基以外の基である場合、芳香環含有基は、上記の所定の要件を満たす限りにおいて特に限定されない。
【0179】
式(B-2e-b1)で表される基以外の芳香環含有基は、1つの単環式芳香環、又は1つの縮合式芳香環のみを含んでいてもよく、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含んでいてもよい。芳香環含有基が、単環式芳香環、及び/又は縮合式芳香環を2つ以上含む場合、単環式芳香環同士、縮合式芳香環同士、又は単環式芳香環と縮合式芳香環とを連結する連結基の種類は特に限定されない。当該連結基は、2価の連結基であってもよく、3価以上の連結基であってもよく、2価の連結基が好ましい。
【0180】
2価の連結基としては、2価の脂肪族炭化水素基、2価のハロゲン化脂肪族炭化水素基、-CONH-、-NH-、-N=N-、-CH=N-、-COO-、-O-、-CO-、-SO-、-SO-、-S-、及び-S-S-、並びにこれのうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0181】
芳香環含有基の好ましい例としては、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、及び置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基が挙げられる。これらの基は、式(B-2e-a)中のRB01に関して説明した、置換基を有してもよいキノリニル基、置換基を有してもよいイソキノリニル基、及び置換基を有してもよい2-置換ベンゾチアゾリル基と同様である。
【0182】
芳香環含有基としての他の好ましい例としては、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいビフェニリル基、置換基を有してもよいフェニルチオフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシフェニル基、置換基を有してもよいフェニルスルホニルフェニル基、置換基を有してもよいベンゾチアゾリル基、置換基を有してもよいベンゾオキサゾリル基、及び置換基を有してもよいターフェニル基等が挙げられる。
これらの基が置換基を有する場合、当該置換基は、キノリニル基、及びイソキノリニル基が有してもよい置換基と同様である。これらの基が複数の置換基を有する場合、当該複数の置換基は互いに異なっていてもよい。
【0183】
置換基を有してもよいフェニル基の好適な具体例としては、フェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、2-シアノフェニル基、2,3-ジシアノフェニル基、2,4-ジシアノフェニル基、2,5-ジシアノフェニル基、2,6-ジシアノフェニル基、3,4-ジシアノフェニル基、3,5-ジシアノフェニル基、4-ニトロフェニル基、3-ニトロフェニル基、2-ニトロフェニル基、4-クロロフェニル基、3-クロロフェニル基、2-クロロフェニル基、4-ブロモフェニル基、3-ブロモフェニル基、2-ブロモフェニル基、4-ヨードフェニル基、3-ヨードフェニル基、2-ヨードフェニル基、4-メトキシフェニル基、3-メトキシフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、及び2-メチルフェニル基が挙げられる。
【0184】
置換基を有してもよいナフチル基の好適な具体例としては、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基が挙げられる。
【0185】
置換基を有してもよいビフェニリル基の好適な例としては、4-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、2-フェニルフェニル基、4-(4-ニトロフェニル)フェニル基、3-(4-ニトロフェニル)フェニル基、2-(4-ニトロフェニル)フェニル基、4-(4-シアノフェニル)フェニル基、3-(4-シアノフェニル)フェニル基、及び2-(4-シアノフェニル)フェニル基が挙げられる。
【0186】
置換基を有してもよいフェニルチオフェニル基の好適な具体例としては、4-フェニルチオフェニル基、3-フェニルチオフェニル基、及び2-フェニルチオフェニル基が挙げられる。
【0187】
置換基を有してもよいフェノキシフェニル基の好適な具体例としては、4-フェノキシフェニル基、3-フェノキシフェニル基、及び2-フェノキシフェニル基が挙げられる。
【0188】
置換基を有してもよいフェニルスルホニルフェニル基の好適な具体例としては、4-フェニルスルホニルフェニル基、3-フェニルスルホニルフェニル基、及び2-フェニルスルホニルフェニル基が挙げられる。
【0189】
置換基を有してもよいベンゾチアゾリル基の好適な具体例としては、ベンゾチアゾール-2-イル基、ベンゾチアゾール-4-イル基、ベンゾチアゾール-5-イル基、ベンゾチアゾール-6-イル基、及びベンゾチアゾール-7-イル基が挙げられる。
【0190】
置換基を有してもよいベンゾオキサゾリル基の好適な具体例としては、ベンゾオキサゾール-2-イル基、ベンゾオキサゾール-4-イル基、ベンゾオキサゾール-5-イル基、ベンゾオキサゾール-6-イル基、及びベンゾオキサゾール-7-イル基が挙げられる。
【0191】
置換基を有してもよいターフェニル基の好適な例としては、4-(4-フェニルフェニル)フェニル基、3-(4-フェニルフェニル)フェニル基、2-(4-フェニルフェニル)フェニル基、4-(3-フェニルフェニル)フェニル基、3-(3-フェニルフェニル)フェニル基、2-(3-フェニルフェニル)フェニル基、4-(2-フェニルフェニル)フェニル基、3-(2-フェニルフェニル)フェニル基、及び2-(2-フェニルフェニル)フェニル基が挙げられる。
【0192】
前述の通り、式(B-2e-b1)で表される基以外の芳香環含有基は、置換基としてラジカル重合性基含有基を有していてもよい。
芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の結合位置は特に限定されない。
【0193】
芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の数は特に限定されない。芳香環含有基におけるラジカル重合性基含有基の数は、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1が特に好ましい。
【0194】
芳香環含有基が、ラジカル重合性基含有基を1つ有する場合、そのような基の好適な例としては下記式の基が挙げられる。下記式中、PGは、ラジカル重合性基含有基である。
【化32】
【0195】
式(B-2e-b)において、RB12、及びRB13の少なくとも1つは下記式(B-2e-b1):
【化33】
で表される基である。
式(B-2e-b1)中、Rb11及びRb12は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、又はハロゲン原子である。
nA1及びnA2は、それぞれ独立に0以上4以下の整数である。
b13及びRb14は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基、又はフェニル基である。
b13とRb14とは互いに結合して環を形成してもよい。
B14は、ラジカル重合性基含有基である。
B12、及びRB13がともに式(B-2e-b1)で表される基である場合、RB12、及びRB13は、ともにラジカル重合性基含有基を有する。
【0196】
b11、及びRb12としての炭素原子数1以上4以下のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、及びtert-ブチル基が挙げられる。
b11、及びRb12としての炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、及びtert-ブチルオキシ基が挙げられる。
b11、及びRb12としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
【0197】
b13、及びRb14としての、炭素原子数1以上4以下のアルキル基の具体例は、Rb11、及びRb12としての、炭素原子数1以上4以下のアルキル基の具体例と同様である。
b13、及びRb14としての、炭素原子数1以上4以下のハロゲン化アルキル基の具体例は、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、3,3,3-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル基、及びヘプタフルオロプロピル基等が挙げられる。
【0198】
式(B-2e-b1)で表される基の好適な例としては、下記式で表される基が挙げられる。
【化34】
【0199】
式(B-2e-b1)で表される基は、RB14として、ラジカル重合性基含有基を有する。ラジカル重合性基含有基について前述した通りである。
ラジカル重合性基含有基の好適な具体例は、式(B-2e-a)で表される化合物について説明した、ラジカル重合性基含有基の好適な具体例と同様である。
【0200】
式(B-2e-b)で表される化合物の好適な具体例としては、下記式の化合物が挙げられる。下記式において、Xは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルチオ基、及び3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシ-n-プロピルオキシカルボニル基からなる群より選択される基である。
は、キノリン-3-イル基、フェニル基、4-シアノフェニル基、3-シアノフェニル基、2-シアノフェニル基、3,4-ジシアノフェニル基、4-ニトロフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-フェニルチオフェニル基、4-フェニルスルホニルフェニル基、4-ヨードフェニル基、ベンゾチアゾール-2-イル基、2-メルカプトベンゾチアゾール-5-イル基、4-フェニルフェニル基、4-(4-ニトロフェニル)フェニル基、4-(4-シアノフェニル)フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及び4-(4-フェニルフェニル)フェニル基からなる群より選択される基である。
【0201】
【化35】
【0202】
式(B-2e-b)で表される化合物の製造方法は特に限定されない。典型的には、塩化シアヌル等のハロゲン化シアヌルを、RB11-NH、RB12-NH、及びRB13-NHで表される芳香族アミンと反応させることにより製造することができる。これらの複数種のアミンは、同時にハロゲン化シアヌルと反応させても、順次ハロゲン化シアヌルと反応させてもよく、順次ハロゲン化シアヌルと反応させるのが好ましい。
【0203】
また、-NH-を介してトリアジン環に結合する芳香環含有基がラジカル重合性基含有基を有する場合、水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基を有する芳香族アミンをハロゲン化シアヌルと反応させた後に、これらの官能基に、ラジカル重合性基含有基を与える化合物を反応させることによってもラジカル重合性基含有基を生成させることができる。ラジカル重合性基含有基を与える化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ハライド、ハロゲン化オレフィン、エピクロロヒドリン、グリシジル(メタ)アクリレート等の重合性基を有する化合物が挙げられる。
水酸基、メルカプト基、カルボキシ基、又はアミノ基等の官能基と、重合性基を有する化合物との反応としては、エーテル結合、カルボン酸エステル結合、カルボン酸アミド結合、及びチオエーテル結合を生成させる周知の反応を採用できる。
【0204】
ラジカル重合性基含有基を形成する反応は多段階の反応であってもよい。例えば、ハロゲン化シアヌルにフェノール性水酸基を有する芳香族アミンを反応させた後、フェノール性水酸基をエピクロロヒドリンと反応させてグリシジル化し、次いで、グリシジル基にアクリル酸を反応させることにより、下記式で表されるラジカル重合性基含有基を芳香環上に導入することができる。
-O-CH-CHOH-CH-O-CO-CH=CH
上記の反応は一例であり、ラジカル重合性基含有基は、種々の反応を組み合わせて実施することにより形成され得る。
【0205】
式(B-2e-b)で表される化合物は、通常、有機溶媒中で合成される。かかる有機溶媒としては、ハロゲン化シアヌル、芳香族アミン、及びラジカル重合性基等と反応しない不活性な溶媒であれば特に限定されない。溶媒としては、溶媒(S)の具体例として例示される有機溶媒等を用いることができる。
式(B-2e-b)で表される化合物を製造する際に、ハロゲン化シアヌルと、RB11-NH、RB12-NH、及びRB13-NHで表される芳香族アミン等の芳香族アミン類とを反応させる際の温度は特に限定されない。典型的には、反応温度は、0℃以上150℃以下が好ましい。
【0206】
感光性組成物における、光重合性化合物(B)の含有量は、感光性組成物の質量から、後述する金属酸化物粒子(D)の質量と、溶媒(S)の質量とを除いた質量に対して、10質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0207】
<光重合開始剤(C)>
光重合性化合物(B)を硬化させるために、感光性組成物は、光重合開始剤(C)を含む。感光性組成物の位置選択的な硬化を行うことができたり、感光性組成物の成分の熱による劣化、揮発、昇華等の懸念が無い点等から、光重合開始剤(C)としては光ラジカル重合開始剤が使用される。
光重合開始剤(C)としては、特に限定されず、従来公知の種々の重合開始剤を用いることができる。
【0208】
光重合開始剤(C)としては、具体的には、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、O-アセチル-1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンオキシム、(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)[4-(2-メトキシ-1-メチルエトキシ)-2-メチルフェニル]メタノンO-アセチルオキシム、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンヒドロペルオキシド、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)-イミダゾリル二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-tert-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。これらの光重合開始剤(C)は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0209】
光重合開始剤(C)の中では、感光性組成物の感度の点で、オキシムエステル化合物が好ましい。
オキシムエステル化合物としては、下記式(c1)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0210】
【化36】
(式(c1)中、
n1は、0、又は1であり、
c2は、一価の有機基であり、
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
*は結合手である。)
【0211】
式(c1)で表される部分構造を有する化合物は、カルバゾール骨格、フルオレン骨格、ジフェニルエーテル骨格や、フェニルスルフィド骨格を有することが好ましい。
式(c1)で表される部分構造を有する化合物は、式(c1)で表される部分構造を1つ又は2つ有することが好ましい。
【0212】
式(c1)で表される部分構造を有する化合物としては、下記式(c2)で表される化合物が挙げられる。
【0213】
【化37】
(式(c2)中、Rc1は、下記式(c3)、(c4)、又は(c5)で表される基であり、
n1は、0、又は1であり、
c2は、一価の有機基であり、
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。)
【0214】
【化38】
(式(c3)中、Rc4及びRc5は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、
n2は、0以上3以下の整数であり、
n2が2又は3の場合、複数のRc5は同一でも異なっていてもよく、複数のRc5は互いに結合して環を形成してもよい。
*は結合手である。)
【0215】
【化39】
(式(c4)中、Rc6及びRc7は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、
c6とRc7とは互いに結合して環を形成してもよく、
c7とフルオレン骨格中のベンゼン環とが互いに結合して環を形成してもよく、
c8は、ニトロ基、又は1価の有機基、であり、
n3は、0以上4以下の整数であり、
*は結合手である。)
【0216】
【化40】
(式(c5)中、Rc9は、1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
Aは、S又はOであり、
n4は、0以上4以下の整数であり、
*は結合手である。)
【0217】
式(c3)中、Rc4は、1価の有機基である。Rc4は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c4の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下の置換基を有してもよいアルキル基、炭素原子数3以上20以下の置換基を有してもよいシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよい飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
【0218】
c4の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。式(c3)で表される化合物の感光性組成物中での溶解性が良好である点から、Rc4としてのアルキル基の炭素原子数は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が特に好ましい。また、感光性組成物中での、式(c3)で表される化合物と、他の成分との相溶性が良好である点から、Rc4としてのアルキルの基の炭素原子数は、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
【0219】
c4が置換基を有する場合、当該置換基の好適な例としては、水酸基、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシルオキシ基、フェノキシ基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、-PO(OR)で表される基(Rは炭素原子数1以上6以下のアルキル基)、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロシクリル基等が挙げられる。
【0220】
c4が、ヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基は、脂肪族複素環基であっても、芳香族複素環基であってもよい。Rc4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、環数3までのものとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
c4がヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0221】
以上説明したRc4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンタン-3-イル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。
また、感光性組成物中での式(c3)で表される化合物の溶解性が良好である点から、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
【0222】
式(c3)中、Rc5は、1価の有機基、ハロゲン原子、又はニトロ基である。Rc5としての1価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c5として好適な1価の有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基(ただし、Xは、各々独立に、ハロゲン原子である)等が挙げられる。
【0223】
c5がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc5がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc5がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc5がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0224】
c5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc5がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc5がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0225】
c5がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc5がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc5がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0226】
c5が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc5が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc5が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
【0227】
c5がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc5がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0228】
c5がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc5がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc5がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc5がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc5が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc5は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
【0229】
c5がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、式(c3)中のRc4がヘテロシクリル基である場合と同様であり、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
c5がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc5がヘテロシクリル基である場合と同様である。
【0230】
c5が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc5と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
【0231】
c5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基(例えば、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基)、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ベンゾイル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1以上4以下が好ましい。Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0232】
c5に含まれる、ベンゾイル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、2-テノイル基(チオフェン-2-イルカルボニル基)、フラン-3-イルカルボニル基及びフェニル基等が挙げられる。
【0233】
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
【0234】
HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基を有する基等が挙げられ、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、又はHXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基であることがより好ましい。
【0235】
HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基を有する基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されている芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられ、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されている芳香族基であることが好ましい。
【0236】
HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されている芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されているアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等)、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられ、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されている芳香族基であることが好ましい。
【0237】
また、Rc5としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc5に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
【0238】
1価の有機基の中でも、Rc5としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
【0239】
式(c3)で表される基において、Rc5が複数存在し、複数のRc5が互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、炭化水素環や、複素環等が挙げられる。複素環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、N、OやSが挙げられる。複数のRc5が互いに結合して形成する環としては、特に芳香族環が好ましい。かかる芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても、芳香族複素環であってもよい。かかる芳香族環としては、芳香族炭化水素環が好ましい。式(c3)において、複数のRc5が互いに結合してベンゼン環を形成した場合の具体例を、以下に示す。
【0240】
【化41】
【0241】
式(c4)で表される基において、Rc8は、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc8は、式(c4)中の縮合環上で、-(CO)n1-で表される基に結合する芳香環とは異なる6員芳香環に、結合する。式(c4)中、Rc8の結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される基が1以上のRc8を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc8のうちの1つが、フルオレン骨格の7位の位置に結合することが好ましい。すなわち、式(c4)で表される基が1以上のRc8を有する場合、式(c4)で表される基は、下記式(c6)で示されることが好ましい。Rc8が複数の場合、複数のRc8は同一であっても異なっていてもよい。
【0242】
【化42】
(式(c6)中、Rc6、Rc7、Rc8、n3は、それぞれ式(c4)におけるRc6、Rc7、Rc8、n3と同様である。)
【0243】
c8が1価の有機基である場合、Rc8は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c8が1価の有機基である場合の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基の好適な例と同様の基が挙げられる。
【0244】
式(c4)中、Rc6及びRc7は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc6及びRc7とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc6及びRc7として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc6及びRc7が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
【0245】
c6及びRc7が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc6及びRc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
【0246】
c6及びRc7が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
【0247】
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc8がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc8がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc8がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0248】
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
【0249】
c6及びRc7が置換基を持たない鎖状アルコキシ基である場合、鎖状アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc6及びRc7が鎖状アルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc6及びRc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0250】
c6及びRc7が置換基を有する鎖状アルコキシ基である場合に、アルコキシ基が有してもよい置換基は、Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0251】
c6及びRc7が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6及びRc7が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合と同様である。
【0252】
c6及びRc7が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
【0253】
c6及びRc7が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
【0254】
c6及びRc7がヘテロシクリル基である場合、式(c3)中のRc5としてのヘテロシクリル基と同様の基が挙げられる。
【0255】
c6及びRc7とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc6及びRc7とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc6及びRc7とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
【0256】
c7とフルオレン骨格のベンゼン環と環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。
【0257】
c6及びRc7が結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
【0258】
以上説明したRc6及びRc7の中でも好適な基の例としては、式-A-Aで表される基が挙げられる。式中、Aは直鎖アルキレン基であり、Aは、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
【0259】
の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。Aがハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。Aがハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aが環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc6及びRc7が置換基として有する環状有機基と同様である。Aがアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc6及びRc7が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
【0260】
c6及びRc7の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロロエチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、5-クロロ-n-ペンチル基、6-クロロ-n-ヘキシル基、7-クロロ-n-ヘプチル基、8-クロロ-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
【0261】
c6及びRc7として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
【0262】
式(c5)中、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、AはSであることが特に好ましい。
【0263】
式(c5)中、Rc9は、1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。
式(c5)におけるRc9が1価の有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
式(c5)においてRc9が有機基である場合の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基と同様の基が挙げられる。
【0264】
c9の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基;置換基を有していてもよいベンゾフラニルカルボニル基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
【0265】
また、式(c5)において、n4は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n4が1である場合、Rc9の結合する位置は、Rc9が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
【0266】
式(c1)及び(c2)中、Rc2としての1価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c2としての1価の有機基の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基と同様の基が挙げられる。これらの基の具体例は、式(c3)中のRc5について説明した基と同様である。
また、Rc2としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、式(c3)中のRc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基と同様である。
【0267】
有機基の中でも、Rc2としては、上記HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数、シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数、シクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数、又は芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基については、式(c3)のRc5と同様である。
【0268】
また、Rc2としては、-A-CO-O-Aで表される基も好ましい。Aは、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Aは、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
【0269】
がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aがアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
【0270】
の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Aの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0271】
-A-CO-O-Aで表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
【0272】
また、Rc2としては、下記式(c7)又は(c8)で表される基も好ましい。
【化43】
(式(c7)及び(c8)中、Rc10及びRc11は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、
n5は0以上4以下の整数であり、
c10及びRc11がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Rc10とRc11とが互いに結合して環を形成してもよく、
c12は、1価の有機基であり、
n6は1以下8以下の整数であり、
n7は1以上5以下の整数であり、
n8は0以上(n7+3)以下の整数である。)
【0273】
式(c7)中のRc10及びRc11としての有機基は、式(c4)中のRc8と同様である。Rc10としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc10とRc11とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c7)で表される基であって、Rc10とRc11とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。
上記式(c7)中、n5は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
【0274】
上記式(c8)中、Rc12は有機基である。有機基としては、式(c4)中のRc8について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc12としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
【0275】
上記式(c8)中、n7は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c8)中、n8は0以上(n7+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。
上記式(c8)中、n6は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
【0276】
式(c2)中、Rc3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc3が脂肪族炭化水素基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。
【0277】
式(c1)及び(c2)中、Rc3としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-シクロペンチルエチル基、2-シクロブチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
【0278】
式(c2)で表され、且つRc1として式(c3)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化44】
【0279】
【化45】
【0280】
【化46】
【0281】
【化47】
【0282】
式(c2)で表され、且つRc1として式(c4)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化48】
【0283】
【化49】
【0284】
【化50】
【0285】
【化51】
【0286】
【化52】
【0287】
式(c2)で表され、且つRc1として式(c5)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【化53】
【0288】
光重合開始剤(C)としては、感光性組成物の深部硬化性が良好である点から、フォスフィンオキサイド化合物も好ましい。フォスフィンオキサイド化合物としては、下記式(c9)で表される部分構造を含むフォスフィンオキサイド化合物が好ましい。
【化54】
式(c9)中、Rc21及びRc22は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、又は炭素原子数7以上20以下の芳香族アシル基である。ただし、Rc21及びRc22の双方が脂肪族アシル基又は芳香族アシル基ではない。
【0289】
c21及びRc22としてのアルキル基の炭素原子数は、1以上12以下が好ましく、1以上8以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましい。Rc21及びRc22としてのアルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2,4,4,-トリメチルペンチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基が挙げられる。
【0290】
c21及びRc22としてのシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上12以下が好ましい。シクロアルキル基の具体例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、及びシクロドデシル基が挙げられる。
【0291】
c21及びRc22としてのアリール基の炭素原子数は、6以上12以下が好ましい。アリール基は置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基等が挙げられる。アリール基の具体例としては、フェニル基、及びナフチル基が挙げられる。
【0292】
c21及びRc22としての脂肪族アシル基の炭素原子数は、2以上20以下であり、2以上12以下が好ましく、2以上8以下がより好ましく、2以上6以下がさらに好ましい。脂肪族アシル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
脂肪族アシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、ノナデカノイル基、及びイコサノイル基が挙げられる。
【0293】
c21及びRc22としての芳香族アシル基の炭素原子数は、7以上20以下である。芳香族アシル基は置換基を有してもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基等が挙げられる。芳香族アシル基の具体例としては、ベンゾイル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,6-ジメチルベンゾイル基、2,6-ジメトキシベンゾイル基、2,4,6-トリメチルベンゾイル基、α-ナフトイル基、及びβ-ナフトイル基が挙げられる。
【0294】
式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物の好ましい具体例としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、及びビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
感光性組成物の深部硬化性の観点からは、式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物は、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンのようなα-ヒドロキシアルキルフェノン系の開始剤とともに使用されるのも好ましい。
式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物と、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンのようなα-ヒドロキシアルキルフェノン系の開始剤とを併用する場合、両者の質量の合計に対する、式(c9)で表される構造部分を含むフォスフィンオキサイド化合物の質量の比率は、20質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上70質量%以下がより好ましく、40質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。
【0295】
感光性組成物における、光重合開始剤(C)の含有量は、特に限定されない。光重合開始剤(C)の含有量は、光重合性基の種類や、光重合開始剤(C)の種類に応じて適宜決定される。
感光性組成物における光重合開始剤(C)の含有量は、後述する溶媒(S)の質量を除いた感光性組成物の質量を100質量部としたときに、0.01質量部以上20質量部以下が好ましく、0.1質量部以上15質量部以下がより好ましく、1質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0296】
<金属酸化物粒子(D)>
感光性組成物は、金属酸化物粒子(D)を含んでいてもよい。
感光性組成物が金属酸化物粒子(D)を含む場合、屈折率の高い硬化物を形成しやすい。
【0297】
金属酸化物粒子(D)を構成する金属酸化物の種類は、所望する効果が損なわれない限り特に限定されない。金属酸化物粒子(D)の好ましい例としては、酸化ジルコニウム微粒子、酸化チタン微粒子、チタン酸バリウム微粒子、酸化セリウム微粒子、及び五酸化ニオブ微粒子からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。
感光性組成物は、これらの金属酸化物粒子(D)のうちの1種を単独で含んでもよく、2種以上を組み合わせて含んでいてもよい。
【0298】
金属酸化物粒子(D)の平均粒子径は、硬化物の透明性の点や、感光性組成物中での無機微粒子(B)の分散の安定性の点から、500nm以下が好ましく、2nm以上100nm以下が好ましい。
【0299】
金属酸化物粒子(D)について、その表面が、エチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されているものが好ましい。
金属酸化物粒子(D)の表面がエチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されている場合、硬化物を形成する際に、アルカリ可溶性樹脂(A)、及び光重合性化合物(B)が金属酸化物粒子(D)とともに重合しつつ、金属酸化物粒子(D)がアルカリ可溶性樹脂(A)、及び光重合性化合物(B)の反応物からなるマトリックス中に固定される。これにより金属酸化物粒子(D)の凝集が起こりにくくなる点で好ましい。
【0300】
例えば、金属酸化物粒子(D)の表面に、エチレン性不飽和二重結合を含むキャッピング剤を作用させることにより、共有結合等の化学結合を介してその表面が、エチレン性不飽和二重結合含有基で修飾された金属酸化物粒子(D)が得られる。
【0301】
金属酸化物粒子(D)の表面に、エチレン性不飽和二重結合を含むキャッピング剤を、共有結合等の化学結合を介して結合させる方法は特に限定されない。金属酸化物粒子(D)の表面には通常、水酸基が存在している。かかる水酸基とキャッピング剤が有する反応性基とを反応させることにより、金属酸化物粒子(D)の表面にキャッピング剤が共有結合する。
キャッピング剤が有する反応性基の好ましい例としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基;モノメトキシシリル基、モノエトキシシリル基等のモノアルコキシシリル基;トリクロロシリル基等のトリハロシリル基;ジクロロシリル基等のジハロシリル基;モノクロロシリル基等のモノハロシリル基;カルボキシ基;クロロカルボニル基等のハロカルボニル基;水酸基;ホスホノ基(-P(=O)(OH));ホスフェート基(-O-P(=O)(OH))が挙げられる。
【0302】
トリアルコキシシリル基、ジアルコキシシリル基、モノアルコキシシリル基、トリハロシリル基、ジハロシリル基、及びモノハロシリル基は、金属酸化物粒子(D)の表面とシロキサン結合を形成する。
カルボキシ基、及びハロカルボニル基は、金属酸化物粒子(D)の表面と、(金属酸化物-O-CO-)で表される結合を形成する。
水酸基は、金属酸化物粒子(D)の表面と、(金属酸化物-O-)で表される結合を形成する。
ホスホノ基、及びホスフェート基は、金属酸化物粒子(D)の表面と、(金属酸化物-O-P(=O)<)で表される結合を形成する。
【0303】
キャッピング剤において、上記の反応性基に結合する基としては、水素原子と、種々の有機基が挙げられる。有機基は、O、N、S、P、B、Si、ハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
上記の反応性基に結合する基としては、例えば、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、酸素原子(-O-)で中断されていてもよいアルキル基、直鎖状でも分岐鎖状であってもよく、酸素原子(-O-)で中断されていてもよいアルケニル基、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、酸素原子(-O-)で中断されていてもよいアルキニル基、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、及び複素環基等が挙げられる。
これらの基は、ハロゲン原子、グリシジル基等のエポキシ基含有基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、(メタ)アクリロイル基、及びイソシアネート基等の置換基で置換されていてもよい。また、置換基の数は特に限定されない。
【0304】
また、上記の反応性基に結合する基としては、-(SiRd1d2-O-)-(SiRd3d4-O-)-Rd5で表される基も好ましい。Rd1、Rd2、Rd3、及びRd4は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい有機基である。有機基の好適な例としては、メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、ナフチル基、トリル基等の芳香族炭化水素基;3-グリシドキシプロピル基等のエポキシ基含有基;(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられる。
上記式中Rd5としては、例えば、-Si(CH、-Si(CHH、-Si(CH(CH=CH)、及び-Si(CH(CHCHCHCH)等の末端基が挙げられる。
上記式中のr及びsは、それぞれ独立に0以上60以下の整数である。上記式中のr及びsは双方が0であることはない。
【0305】
キャッピング剤の好適な具体例としては、ビニルトリメトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、1-ヘキセニルトリメトキシシラン,1-ヘキセニルトリエトキシシラン、1-オクテニルトリメトキシシラン、1-オクテニルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、等の不飽和基含有アルコキシシラン;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、及び3-アリルオキシプロパノール等の不飽和基含有アルコール類;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸クロライド等の(メタ)アクリル酸ハライド等が挙げられる。
【0306】
金属酸化物粒子(D)の表面に、キャッピング剤を共有結合等の化学結合を介して結合させる際のキャッピング剤の使用量は特に限定されない。好ましくは、金属酸化物粒子(D)の表面の水酸基のほぼ全てと反応するのに十分な量のキャッピング剤が使用される。
【0307】
感光性組成物中の金属酸化物粒子(D)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。感光性組成物中の金属酸化物粒子(D)の含有量は、感光性組成物の溶媒(S)の質量を除いた質量に対して、5質量%以上95質量%以下が好ましく、35質量%以上93質量%以下がより好ましく、40質量%以上90質量%以下がさらに好ましい。
感光性組成物中の金属酸化物粒子(D)の含有量が上記の範囲内であることにより、無機微粒子(B)が安定して分散した感光性組成物を得やすく、また、金属酸化物粒子(D)の使用によりもたらされる所望する効果を有する硬化物を形成しやすい。
特に屈折率が高い硬化物を形成しやすい点からは、感光性組成物中の金属酸化物粒子(D)の含有量は、感光性組成物の溶媒(S)の質量を除いた質量に対して、50質量%以上が好ましく、50質量%以上98質量%以下がより好ましく、50質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
なお、金属酸化物粒子(D)の表面に、エチレン性不飽和二重結合含有基で修飾されている場合、金属酸化物粒子(D)の表面に存在するエチレン性不飽和二重結合含有基を有するキャッピング剤の質量を、金属酸化物粒子(D)の質量に含める。
【0308】
<溶媒(S)>
感光性組成物は、塗布性の調整の目的等で溶媒(S)を含んでいてもよい。溶媒(S)の種類は特に限定されないが、典型的には有機溶媒である。
【0309】
感光性組成物に配合され得る有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
【0310】
感光性組成物における溶媒(S)の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。例えば、感光性組成物における溶媒(S)の含有量は、感光性組成物の質量に対して、95質量%以下でもよく、80質量%以下でもよく、50質量%以下でもよく、30質量%以下でもよく、20質量%以下でもよい。
また、感光性組成物が溶媒(S)を含む場合、感光性組成物における溶媒(S)の含有量は、1質量%以上でもよく、5質量%以上でもよく、10質量%以上でもよく、20質量%以上でもよく、30質量%以上でもよい。
【0311】
感光性組成物の硬化物が硬化膜である場合、かかる硬化膜は有機ELパネル等のディスプレイパネルにおける高屈折率膜の形成に用いられることが多い。
この場合、ディスプレイパネルを構成する種々の部材にダメージを与えないために、高屈折率膜形成時の溶媒(S)の揮発や、高屈折率膜に残留する溶媒(S)に由来するアウトガスの発生が少ないことが望まれる。
溶媒(S)の揮発やアウトガスの問題は、感光性組成物における溶媒(S)の含有量を低減することにより解消され得る。しかし、一般的には、感光性組成物等において溶媒の含有量を低減する場合、組成物の塗布性が著しく損なわれ、特にインクジェット法等の塗布方法への適用が困難である。
【0312】
しかしながら、前述のスルフィド化合物(A2-1)と、(メタ)アクリレート化合物(A2-2)とを組み合わせて含む感光性組成物は、溶媒(S)を含まないか、少量しか含まない場合でも、インクジェット法に適用可能な程度の低粘度を実現できる。
【0313】
感光性組成物の粘度は、25℃にて、E型粘度計を用いて測定される粘度として、40cP以下が好ましく、30cP以下がより好ましく、28cP以下がさらに好ましく、25cP以下が特に好ましい。
感光性組成物の粘度は、例えば、基材成分(A)、及び溶媒(S)等の含有量を調整すること等によって調整することができる。
【0314】
上記の溶媒(S)の揮発やアウトガスの問題から、感光性組成物の溶媒(S)の含有量が5質量%以下であるのがよい。さらには、感光性組成物の溶媒(S)の含有量は、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、0.5質量%以下がさらにより好ましく、0.3質量%以下が特に好ましい。
溶媒(S)の揮発やアウトガスの問題を考慮する場合、感光性組成物は、溶媒(S)を実質的に含まないのが最も好ましい。感光性組成物が溶媒(S)を実質的に含まないとは、原料等に付随してごく少量の溶媒(S)が不可避的に感光性組成物に持ち込まれる他、感光性組成物に意図的に溶媒(S)が加えられていないことを言う。
感光性組成物が溶媒(S)を実質的に含まない場合の、感光性組成物の溶媒(S)の含有量は、例えば0.2質量%以下であり、0.15質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましく、0.05質量%以下がさらに好ましい。
【0315】
〔その他の成分〕
感光性組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、以上説明した成分の他に、従来から感光性組成物に配合されている種々の添加剤を含んでいてもよい。感光性組成物に配合される好ましい添加剤としては、分散剤、シランカップリング剤等の密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤としては、特に限定されず、フッ素系界面活性剤、シリコン系界面活性剤等の公知の成分を用いることができる。
【0316】
<感光性組成物の製造方法>
以上説明した成分を、それぞれ所定量混合したのち、混合物を均一に撹拌することにより感光性組成物が得られる。
【0317】
≪硬化物の製造方法≫
以上説明した感光性組成物を、所望する形状に成形した後、感光性組成物に対して露光を行うことにより硬化物を製造できる。
【0318】
感光性組成物の成形方法としては特に限定されず、硬化物の形状に応じて適宜選択される。成形方法としては、例えば、塗布や、型への注型等が挙げられる。
以下、硬化物の製造方法の代表例として、硬化膜の製造方法について説明する。
【0319】
硬化膜は、典型的には、基板上に、前述の感光性組成物を塗布して塗布膜を形成することと、
塗布膜を露光することと、を含む方法により製造される。
【0320】
まず、感光性組成物を、所望する基板上に塗布して塗布膜を形成した後に、必要に応じて、塗布膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去して塗布膜を形成する。
【0321】
基板上に感光性組成物を塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、硬化性組成物を基板上に所望の膜厚となるよう塗布して塗布膜を形成できる。
また、塗布膜の形成方法として、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法等の印刷法を適用することもできる。
【0322】
感光性組成物を基板上に塗布した後に、必要に応じて塗布膜をベークして、塗布膜から溶媒(S)の少なくとも一部を除去するのが好ましい。ベーク温度は、溶媒(S)の沸点等を勘案して適宜定められる。ベークは、減圧条件下に低温で行われてもよい。
【0323】
ベークの方法としては、特に限定されず、例えばホットプレートを用いて80℃以上150℃以下、好ましくは85℃以上120℃以下の温度において60秒以上500秒以下の時間乾燥する方法が挙げられる。
【0324】
以上のようにして形成される塗布膜の膜厚は特に限定されない。塗布膜の膜厚は、硬化膜の用途に応じて適宜決定される。塗布膜の膜厚は、典型的には、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.2μm以上5μm以下の膜厚の硬化膜が形成されるように適宜調整される。
【0325】
上記の方法により塗布膜を形成した後、塗布膜に対して露光を行うことにより、硬化膜を得ることができる。
【0326】
塗布膜を露光する条件は、硬化が良好に進行する限り特に限定されない。露光は、例えば、紫外線、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を照射することにより行われる。照射するエネルギー線量は特に制限はないが、例えば30mJ/cm以上5000mJ/cm以下が挙げられる。露光後には塗布後の加熱と同様の方法により、露光された塗布膜をベークしてもよい。
【0327】
また、塗布膜に対する露光を、位置選択的に行った後、露光された塗布膜を現像することにより、ライン形状、ドット形状等の任意の形状にパターニングされた硬化膜を形成することができる。位置選択的な露光は、典型的には、パターン形状に応じた形状のマスクを介して塗布膜を露光することにより行われる。
【0328】
現像液としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系の現像液や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
現像処理を行う場合、現像後に加熱による乾燥等の方法により、現像液を十分に除去するのが好ましい。
【0329】
以上説明した方法により、高屈折率であり、耐溶剤性に優れる透明な硬化物を形成できる。
【実施例0330】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されない。
【0331】
〔実施例1、実施例2、及び比較例1~6〕
実施例において、アルカリ可溶性樹脂(A)((A)成分)として下記のResin-A1を用いた。比較例において、アルカリ可溶性樹脂(A)に類似するアルカリ可溶性樹脂(A’)((A’)成分)として、下記のResin-A2~Resin-A4を用いた。
下記の構造において、括弧の右下の数値は、樹脂中の各構成単位の含有量(質量%)である。
【化55】
【0332】
実施例、及び比較例において、光重合性化合物(B)((B)成分)として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いた。
【0333】
実施例、及び比較例において、光重合開始剤(C)((C)成分)として、下記構造の化合物を用いた。
【化56】
【0334】
実施例、及び比較例において、金属酸化物粒子(D)((D)成分)として、酸化ジルコニウム粒子40質量%と、分散剤10質量%とを含む、酸化ジルコニウム粒子分散液を用いた。酸化ジルコニウム粒子の平均粒子径は10nmである。
【0335】
実施例、及び比較例において、酸化防止剤として、ジペンタエリスリトールテトラキス[3-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tetr-ブチルフェニル)プロピオネート]を用いた。
【0336】
実施例、及び比較例において、シランカップリング剤として、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランを用いた。
【0337】
実施例、及び比較例において、界面活性剤として、BYK-310(ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製)を用いた。
【0338】
表1に記載の種類、及び量のアルカリ可溶性樹脂(A)又はアルカリ可溶性樹脂(A’)と、表1に記載の量の光重合性化合物(B)と、表1に記載の量の光重合開始剤(C)と、表1に記載の量の金属酸化物粒子(D)と、酸化防止剤0.1質量部と、シランカップリング剤0.9質量部と、界面活性剤0.1質量部とを、固形分濃度が25質量%となるように。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)中に均一に溶解、分散させて、各実施例、及び比較例の感光性組成物を得た。
なお、実施例1、比較例1、比較例3、及び比較例5では、金属酸化物粒子(D)を用いなかった。
【0339】
得られた各実施例、及び比較例の感光性組成物を用いて、以下の方法に従い、硬化膜の屈折率、及び光透過率の測定と、耐溶剤性の評価とを行った。これらの、測定結果、及び評価結果を表1に記す。
【0340】
<屈折率測定方法>
スピンコーターを用いて、直径6インチのシリコンウエハ上に感光性組成物を塗布した。次いで、塗布された感光性組成物を100℃で120秒間加熱して塗布膜を得た。その後、*紫外線照射装置(HMW-532D、ORC社製)を用いて、露光量100mJ/cmで塗布膜を全面露光して硬化させた。露光された塗布膜を、100℃で20分間加熱して、膜厚3μmの硬化膜を得た。その膜について分光エリプソメーター(商品名:M-2000、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン(株)製)を用いて光線波長550nmでの屈折率を評価した。
【0341】
<光透過率測定方法>
屈折率測定で製膜された膜の波長400nmの光線の透過率を、大塚電子社製マルチチャンネル分光器(MCPD-3000)を用いて測定した。
【0342】
<耐溶剤性評価>
屈折率測定と同様にして作製された硬化膜を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、又はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に85℃で20分間浸漬した。浸漬後の膜厚の浸漬前の膜厚に対する比率に基づいて、以下の基準に従い耐溶剤性を評価した。
◎:浸漬後の膜厚の浸漬前の膜厚に対する比率が99%以上である。
〇:浸漬後の膜厚の浸漬前の膜厚に対する比率が97%以上99%未満である。
×:浸漬後の膜厚の浸漬前の膜厚に対する比率が97%未満である。
【0343】
【表1】
【0344】
表1によれば、アルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性化合物(B)、及び光重合開始剤(C)を含み、アルカリ可溶性樹脂(A)として、エチレン性不飽和二重結合を有する架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、N-ビニルカルバゾールに由来する芳香族単位(a2)とを含む(メタ)アクリル樹脂(a-1)を含有する実施例の感光性組成物を用いると、屈折率が高く、耐溶剤性に優れる硬化物を形成できることが分かる。
他方、エチレン性不飽和二重結合を有する架橋性(メタ)アクリレート単位(a1)と、芳香環上に置換基を有してもよいN-ビニルカルバゾール、及び芳香環上に置換基を有してもよい9-ビニルフルオレン以外の芳香族モノマーに由来する芳香族単位とを有するアルカリ可溶性樹脂(A’)を用いた比較例の感光性組成物を用いると、高屈折率と、優れた耐溶剤性とを兼ね備える硬化物を形成できなかった。