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特開2023-147073光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147073
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20231004BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20231004BHJP
   C01B 33/32 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
G02B5/08 C
H01L33/60
C01B33/32
G02B5/08 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054625
(22)【出願日】2022-03-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(72)【発明者】
【氏名】三橋 信也
【テーマコード(参考)】
2H042
4G073
5F142
【Fターム(参考)】
2H042DA01
2H042DA02
2H042DA10
2H042DA12
2H042DC01
2H042DE04
4G073BA02
4G073BA04
4G073BA05
4G073BA20
4G073BA21
4G073BA56
4G073BA57
4G073BA63
4G073BA69
4G073BA75
4G073CB03
4G073FD01
4G073GA40
4G073UB14
4G073UB60
5F142AA86
5F142BA02
5F142CA11
5F142CB03
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CE03
5F142CE17
5F142CE18
5F142DB18
5F142DB24
5F142FA21
(57)【要約】
【課題】 複数の発光装置の間で光反射部材の形状にばらつきが生じることを抑制できる光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 本開示の一実施形態に係る光反射部材の製造方法は、シリカの粉体およびアルカリ溶液を準備する準備工程と、前記シリカの粉体と前記アルカリ溶液とを混合する第1混合工程と、前記混合して得られる第1部材を、化学平衡の状態にする反応工程と、前記化学平衡の状態にある第2部材に、光反射材の粉体を混合する第2混合工程と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカの粉体およびアルカリ溶液を準備する準備工程と、
前記シリカの粉体と前記アルカリ溶液とを混合する第1混合工程と、
前記混合して得られる第1部材を、化学平衡の状態にする反応工程と、
前記化学平衡の状態にある第2部材に、光反射材の粉体を混合する第2混合工程と、
を含む、光反射部材の製造方法。
【請求項2】
前記反応工程において、前記第1部材を40分以上100分以下静置することにより、前記化学平衡の状態にする、請求項1に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項3】
前記準備工程において、前記シリカの粉体と前記アルカリ溶液の溶質との質量比は、2:1以上10:1以下である、請求項2に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項4】
前記準備工程において、前記アルカリ溶液の濃度は、1mol/L以上5mol/L以下である、請求項3に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項5】
前記準備工程において、前記アルカリ溶液は、水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム溶液である、請求項1から4のいずれか1項に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項6】
前記第2混合工程において、前記光反射材は、窒化ホウ素又はアルミナである、請求項5に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項7】
前記第2混合工程において、前記第2部材にさらに光散乱材の粉体を混合する、請求項6に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項8】
前記第2混合工程において、前記光散乱材は、ジルコニア又はチタニアを含む、請求項7に記載の光反射部材の製造方法。
【請求項9】
支持体と、前記支持体上に配置される発光素子とを有する中間体を準備する中間体準備工程と、
上面視において前記発光素子を囲むように、前記請求項1に記載の光反射部材の製造方法によって製造された光反射部材を前記支持体上に配置する配置工程と、
前記光反射部材を硬化する硬化工程と、を含む、発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記硬化工程は、
前記光反射部材を第1温度で加熱する第1加熱工程と、
前記第1温度で加熱された前記光反射部材を前記第1温度よりも高い第2温度で加熱する第2加熱工程と、を含む請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光反射部材を備える発光装置が知られている。例えば、特許文献1に開示される発光装置は、サブマウント基板の発光素子搭載面、発光素子の側面及びワイヤの一部を覆う反射部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-216416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光反射部材の形状は、発光装置の光取り出し効率等、発光装置の性能に影響し得る。また、発光装置は通常、一度に複数個製造され、発光装置毎に光反射部材の形状が異なると発光装置の性能がばらつく原因になり得る。
【0005】
そこで、本開示は、複数の発光装置の間で光反射部材の形状にばらつきが生じることを抑制できる光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る光反射部材の製造方法は、シリカの粉体およびアルカリ溶液を準備する準備工程と、前記シリカの粉体と前記アルカリ溶液とを混合する第1混合工程と、前記混合して得られる第1部材を、化学平衡の状態にする反応工程と、前記化学平衡の状態にある第2部材に、光反射材の粉体を混合する第2混合工程と、を含む。
【0007】
本開示に係る発光装置の製造方法は、支持体と、前記支持体上に配置される発光素子とを有する中間体を準備する中間体準備工程と、上面視において前記発光素子を囲むように、本開示に係る光反射部材の製造方法で製造された光反射部材を前記支持体上に配置する配置工程と、前記光反射部材を硬化する硬化工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る光反射部材の製造方法によれば、複数の発光装置の間で光反射部材の形状にばらつきが生じることを抑制できる光反射部材の製造方法を提供することができる。
【0009】
本開示の一実施形態に係る発光装置の製造方法によれば、複数の発光装置の間で光反射部材の形状にばらつきが生じることを抑制できる光反射部材を備える発光装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示に係る光反射部材の製造方法のフロー図である
図2】本開示に係る光反射部材の製造方法によって製造された光反射部材を備える発光装置の一例を示す概略斜視図である。
図3図2に示す発光装置のIII-III線における概略断面図である。
図4図2に示す発光装置の概略平面図である
図5A図2に示す発光装置が備える光反射部材の一部を拡大した概略断面図である。
図5B図2に示す発光装置が備える光反射部材を形成する光反射材の粉体の概略斜視図の一例である。
図6】本開示に係る発光装置の製造方法のフロー図である。
図7A】本開示に係る発光装置の製造方法の一工程を示す概略斜視図である。
図7B】本開示に係る発光装置の製造方法の一工程を示す概略平面図である。
図7C】本開示に係る発光装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図7D】本開示に係る発光装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
図8】実施例1、参考例1、及び比較例1における粘度の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
光取り出し効率を向上させるために光反射部材を含む発光装置がある。近年、発光装置の高出力化が進み、光反射部材に耐熱性の向上が求められるようになってきている。耐熱性の高い光反射部材として、無機材料を用いて製造されるものがある。その中でも、発明者は、シリカと、アルカリ金属と、光反射材と、を含む光反射部材がより耐熱性を高くできるという知見を得て検討を進めた。
【0012】
以下に、光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法について詳細に説明する。
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態や実施例を説明する。なお、以下に説明する光反射部材の製造方法及び光反射部材を備える発光装置の製造方法は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例に分けて示す場合があるが、異なる実施形態や実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態や実施例では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態や実施例ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、断面図は、切断面を見たときにその後方に見える部分を省略し、切断面の形態のみを示す端面図を用いる場合がある。
【0014】
実施形態
1.光反射部材の製造方法
本開示に係る光反射部材の製造方法は、図1に示すように、
(1)シリカの粉体およびアルカリ溶液を準備する準備工程S1と、
(2)シリカの粉体とアルカリ溶液とを混合する第1混合工程S2と、
(3)混合して得られる第1部材を、化学平衡の状態にする反応工程S3と、
(4)化学平衡の状態にある第2部材に、光反射材の粉体を混合する第2混合工程S4と、
を含む。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0015】
(1)準備工程S1
準備工程S1では、シリカの粉体およびアルカリ溶液を準備する。準備するシリカの粉体とアルカリ溶液の溶質との質量比は、例えば、2:1以上10:1以下である。すなわち、シリカの粉体とアルカリ溶液の溶質とは、後述する第1混合工程S2において、例えば、アルカリ溶液の溶質の重量に対し、シリカの粉体の重量が2倍以上10倍以下で混合される。また、好ましくは、シリカの粉体とアルカリ溶液の溶質との質量比は、例えば、3:1以上7:1以下である。
シリカの粉体及びアルカリ溶液はそれぞれ、製造により準備してもよいし、例えば、購入することにより準備してもよい。
【0016】
(アルカリ溶液)
アルカリ溶液は、例えば、水酸化カリウム溶液又は水酸化ナトリウム溶液である。アルカリ溶液の濃度は、例えば、1mol/L以上5mol/L以下である。好ましくは、アルカリ溶液の濃度は、例えば、2mol/L以上3mol/L以下である。アルカリ溶液の濃度が低すぎると、製造された光反射部材30を硬化させて使用する場合に硬化性が悪くなり、光反射部材30の強度が低下する虞がある。一方、アルカリ溶液の濃度が高すぎると、製造された光反射部材30を硬化させて使用する場合に余剰なアルカリ金属が析出する。析出したアルカリ金属が、例えば発光素子20に接触すると、発光素子20の信頼性が低下する虞がある。
【0017】
(シリカの粉体)
シリカの粉体の平均粒径は、例えば、0.1μm以上10μm以下である。この範囲内であれば、原料(光反射材やシリカ)の容量あたりにおけるシリカの密度を向上させることができるため、光反射部材30の強度を確保することができる。
シリカの粉体の平均粒径は、光反射材の粉体の平均粒径よりも小さい方が望ましい。これにより、シリカの粉体が、混合時に光反射材の粉体同士の間にできる空隙を埋めることができる。なお、シリカの粉体の平均粒径は、レーザー回析法によりシリカの粉体の粒度分布を測定することにより算出される。
【0018】
(2)第1混合工程S2
第1混合工程S2では、シリカの粉体とアルカリ溶液とを混合する。これにより、第1部材が得られる。第1混合工程S2では、例えば、シリカの粉体とアルカリ溶液とを容器に投入し、攪拌して混合する。第1混合工程S2は、例えば、常温常圧で行われる。
【0019】
(3)反応工程S3
反応工程S3では、混合して得られる第1部材を、化学平衡の状態にする。具体的には、シリカとアルカリ溶液との化学平衡状態に到達するまで第1部材を静置する。本開示において、化学平衡とは、例えば、正反応と逆反応が釣り合っており、実質的に組成の変化のない状態をいい、常温常圧における化学平衡を意味する。
【0020】
本開示において化学平衡の状態にするとは、例えば、第1部材を得てから経過した時間で規定することができる。例えば、反応工程S3において、第1部材を40分以上100分以下静置することにより、化学平衡の状態にすることができる。好ましくは、第1部材を40分以上60分以下静置することにより、化学平衡の状態にすることができる。
【0021】
反応工程S3により、第1部材が化学平衡の状態に到達すると、第2部材が得られる。アルカリ溶液が水酸化カリウム溶液の場合、以下の化学式1より、第2部材は、KO・nSiOと水(HO)とを含む。
【0022】
(化1)
nSiO+2KOH→KO・nSiO+H
【0023】
アルカリ溶液が水酸化ナトリウム溶液の場合、以下の化学式2より、第2部材は、NaO・nSiOと水(HO)とを含む。
【0024】
(化2)
nSiO+2NaOH→NaO・nSiO+H
【0025】
(4)第2混合工程S4
第2混合工程S4では、化学平衡の状態にある第2部材に、光反射材の粉体を混合する。第2部材の粘度は、常温において、例えば、1300mPa・s以上1700mPa・s以下である。好ましくは、第2部材の粘度が1400mPa・s以上1600mPa・s以下である。第2部材の粘度がこのような範囲であると、例えば、第2混合工程S4で得られる光反射部材をエア式のディスペンサ等で容易に対象物に塗布できる。
第2混合工程S4では、例えば、第2部材と光反射材とを容器に投入して攪拌して混合する。攪拌は、例えば、攪拌装置で1分以上攪拌する。第2混合工程S4は、例えば、常温で行われる。光反射材60は、例えば、窒化ホウ素又はアルミナである。
【0026】
さらに、第2混合工程S4では、第2部材に光散乱材を混合してもよい。光散乱材は、光反射材と同時に第2部材に混合してもよいし、別々に第2部材に混合してもよい。
光散乱材は、例えば、ジルコニア又はチタニアを含む。
光散乱材は、チタニア単体で用いてもよいし、チタニアの表面に、シリカ、アルミナ、ジルコニア、亜鉛、有機等の各種表面処理を行ったものを用いてもよい。
また、光散乱材は、ジルコニア単体で用いてもよいし、ジルコニアの表面にシリカ、アルミナ、亜鉛、有機等の各種表面処理を行ったものを用いてもよい。また、カルシウムやマグネシウム、イットリウム、アルミニウム等が添加された安定化ジルコニアや、部分安定化ジルコニアを用いてもよい。
【0027】
なお、第2混合工程S4によって得られる光反射部材の粘度を調節するために、水を適宜混合してもよい。この粘度は、常温において、例えば、1300mPa・s以上1700mPa・s以下の範囲になるよう調整するのが好ましく、さらには1400mPa・s以上1600mPa・s以下の範囲になるよう調整するのが好ましい。
【0028】
上記の光反射部材の製造方法は、シリカの粉体とアルカリ溶液とを混合させる第1混合工程S2と、混合された第1部材を化学平衡の状態にする反応工程S3と、化学平衡の状態にある第2部材に、光反射材の粉体を混合する第2混合工程S4と、を含む。この光反射部材の製造方法では、水を生成するシリカとアルカリ溶液との反応が化学平衡の状態に至った後に光反射材の粉体を混合するため、製造された光反射部材の粘度が、製造後、時間経過によって変化する、即ち生成される水によって粘度が徐々に低下することが抑制される。これにより、光反射部材を製造後、時間を経過させずに複数の対象物に順次設けても、実質的に一定量で光反射部材を設けることができる。その結果、複数の対象物に光反射部材を設けても、複数の対象物の間で光反射部材の形状のばらつきが生じることを抑制できる。
【0029】
また、上記の光反射部材の製造方法では、シリカの粉体とアルカリ溶液とを混合させる第1混合工程S2において光反射材の粉体が含まれていないため、シリカの粉体とアルカリ溶液との接触面積が増加する。これにより、シリカとアルカリ溶液との化学反応が進行しやすくなり、シリカとアルカリ溶液とが化学平衡の状態に到達しやすくなる。すなわち、上記の光反射部材の製造方法は、光反射材の粉体とシリカの粉体とアルカリ溶液とを同時に混合する場合と比較して、シリカの粉体とアルカリ溶液とが化学平衡の状態に到達するまでの時間を短縮できる。その結果、上記の光反射部材の製造方法は、例えば発光装置を製造する際に、光反射部材を製造する時間及び手間を軽減することができ、製造効率を改善することができる。
【0030】
2.発光装置
本開示の光反射部材の製造方法で製造された光反射部材は、例えば、発光装置の光反射部材として使用される。図2から図4に示す発光装置の一例は、本開示の光反射部材の製造方法で製造された光反射部材を備える。なお、図4では、発光装置の構成の理解を容易にするため、透光性部材40を透視した場合の構成を破線で示す。
図2に示すように、発光装置1は、例えば、外形形状が略立方体形状である。
図3に示すように、発光装置1は、支持体10と、発光素子20と、光反射部材30と、を備える。発光装置1はさらに、透光性部材40、及び/又は、保護素子50を備えていてもよい。
【0031】
(支持体)
図3に示すように、支持体10は、底部11と、壁部12と、導電部13と、を含む。
底部11は、上面11a及び下面11bを含む。壁部12は、内側面12b及び上面12aを含む。壁部12は、底部11の上面11aに配置される。底部11と壁部12とにより、凹部15が画定されている。底部11と壁部12とは、例えば、同一部材であり、一体成形されてもよい。底部11及び壁部12の材料は、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、パルプ等の絶縁材料、半導体、金属(例えば、銅、銀、金、アルミニウム等)等の導電材料の単一材料及びこれらの複合材料である。特に、金属、セラミックス等が好ましく、無機材料であるセラミックスがより好ましい。セラミックスとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、ムライト等が例示され、特に放熱性の高い窒化アルミ二ウムが好ましい。
【0032】
導電部13は、底部11に配置される。導電部13は、第1配線層13aと第2配線層13bとを含む。第1配線層13aは、底部11の上面11aに配置される。第2配線層13bは、底部11の下面11bに配置され、外部電源と電気的に接続される。第1配線層13aと第2配線層13bとは、例えば、底部11の上面11aから下面11bまで貫通する貫通孔を通じて互いに電気的に接続される。また、第1配線層13aは、アノード側の第1配線層及びカソード側の第1配線層を含む。例えば、カソード側の第1配線層には、図4に示すようにカソードマーク16が付されている。
【0033】
(発光素子)
図3に示すように、発光素子20は、支持体10の凹部15に配置される。発光素子20は、半導体層21と、正負一対の電極22と、透光性基板23と、を備える。
【0034】
透光性基板23は、半導体層21を形成するための基板である。透光性基板23は、例えば、サファイア基板である。透光性基板23は、例えば、平板形状である。上面視における透光性基板23の幅(透光性基板23が上面視で多角形状の場合、透光性基板23の最も長い辺の長さ)は、透光性基板23の厚みの、例えば、2.5倍以上3.5倍以下である。このような透光性基板23の厚みと幅との関係であれば、発光素子20からの光取り出し効率が向上する。
なお、透光性基板23は、半導体層21を形成後の任意のタイミングで除去してもよい。
【0035】
半導体層21は、上面21aと、上面21aの反対に位置する下面21bと、上面21aと下面21bとの間に位置する側面21cと、を備える。半導体層21の上面21aには、透光性基板23が配置されている。半導体層21の下面21bには、正負一対の電極22が配置されている。
半導体層21の発光ピーク波長は、例えば、260nm以上630nm以下の範囲にある。特に、半導体層21が260nm以上380nm以下の範囲に発光ピーク波長を有する場合、主に無機材料から構成される本開示の光反射部材は変質しにくいため有用である。
【0036】
正負一対の電極22はそれぞれ、第1配線層13aのアノード側の第1配線層又はカソード側の第1配線層に電気的に接続される。
【0037】
発光素子20はさらに、透光性基板23上に波長変換部材が配置されていてもよい。すなわち、透光性基板23が発光素子20と波長変換部材との間に挟まれて配置される。また、波長変換部材は、透光性基板23の代わりに、例えば半導体層21上に直接配置されていてもよい。
【0038】
(光反射部材)
図3に示すように、光反射部材30は、発光素子20から離隔して配置される。具体的には、光反射部材30は、半導体層21の側面21cから離隔して配置される。言い換えると、光反射部材30は、半導体層21の側面21cを露出させて配置される。
図4に示すように、光反射部材30は、上面視において、発光素子20を囲んで配置されている。光反射部材30は、図4に示すように、上面視において発光素子20の周囲に1つの連続した部材として配置されていてもよい。また、光反射部材30は、上面視において発光素子20の周囲に断続的に配置されていてもよい。
【0039】
光反射部材30は、支持体10の底部11の上面と壁部12の内側面12bとに跨って配置されている。光反射部材30は、図3に示すように、底部11から離れるにつれて壁部12に近づく傾斜面31を含む。底部11の上面11aに対する傾斜面31の角度は、発光素子20から出射された光を所望の方向に反射できるよう適宜決定される。傾斜面31は、平面であってもよいし、湾曲した面であってもよい。
【0040】
光反射部材30の形状は、発光装置1の光取り出し方向や光取り出し効率等、発光装置の性能に影響を及ぼす。そのため、複数の発光装置の間で光反射部材30の形状がばらつくことを抑制することで、発光装置の光取り出し方向や光取り出し効率が安定し、発光装置の信頼性を高めることができる。
【0041】
光反射部材30は、本開示の光反射部材の製造方法によって製造された光反射部材を硬化させたものである。光反射部材30は、図5Aに示すように、光反射材60と、光反射材60を支持する支持部材61と、を含む。支持部材61は、シリカ及びアルカリ金属を含む。
また、光反射部材30は、光散乱材を含んでいてもよい。
【0042】
以下に、シリカ、アルカリ金属、光反射材、及び光散乱材について詳細に説明する。
【0043】
(シリカ)
光反射部材30に含まれるシリカと光反射材60との含有比率は重量比で、例えば、1:4以上1:1以下である。すなわち、光反射部材30に含まれる光反射材60の重量は、光反射部材30に含まれるシリカの重量の、例えば、1倍以上4倍以下である。この範囲であれば、光反射部材を加熱して硬化させるとき、光反射部材の収縮を抑制することができる。光反射材60の量が多すぎると、硬化性が低下する虞がある。一方、シリカの量が多すぎると、硬化による収縮が大きくなり、硬化するときにクラックが生じる虞がある。
光反射部材30から、シリカと光反射材との含有比率を算出するには、例えば、SEMにより抽出された光反射部材30の断面を観察し、シリカと光反射材の占有率に基づいて算出できる。
【0044】
(アルカリ金属)
アルカリ金属は、本開示の光反射部材を製造方法で準備されるアルカリ溶液に含まれるアルカリ金属である。アルカリ金属は、例えば、カリウム及び/又はナトリウムである。
【0045】
(光反射材)
光反射材60の粉体は、例えば図5Bに示すように、対向する2つの主面60a、60bを有する板状の粒子である。光反射材60の対向する2つの主面60a、60bは、光反射材60の上面と下面とも呼べる。また、光反射材60の粉体は、鱗片状の粒子とも呼べる。なお、図5Bは、光反射材60の粉体の形状の説明を容易にするために、光反射材60の粉体を、例えば薄い円柱状と見なして、模式的に示した図にすぎない。
光反射材60は、上述したように、例えば、窒化ホウ素又はアルミナである。これらの材料であれば、発光素子20からの光を反射させることができる。
【0046】
光反射材60は、一次粒子でもよいし、2個以上の一次粒子が凝集した二次粒子でもよい。また、一次粒子と二次粒子が混在してもよい。
【0047】
光反射材60の平均アスペクト比は、10以上であり、望ましくは10以上70以下である。光反射材60の平均アスペクト比は、以下の方法で算出される。
【0048】
<平均アスペクト比の算出方法>
光反射材60の平均アスペクト比は、発光装置1の断面において、光反射部材30に含まれる光反射材60の厚さ及び横幅を測定することで算出される。
まず、発光装置1の断面を露出させる。該断面は、発光装置1の上面(後述する透光性部材40の一方の主面)の中心を通り、かつ該上面に略直交する面である。該断面は、発光装置1を切断加工することによって露出される。
【0049】
次に、露出させた断面を鏡面研磨する。鏡面研磨した断面を走査型顕微鏡(SEM)で撮影し、光反射材60の断面を抽出し、およそ1000個の光反射材60の断面が含まれる測定領域を選択する。顕微鏡の画素数は、およそ2000万画素に設定され、倍率は500倍~3000倍に設定される。また、本明細書において、光反射材60の断面とは、光反射材60の一方の主面60a及び/又は他方の主面60bに略垂直な面である。なお、板状の光反射材60は、その形状に起因して、光反射部材30内で互いの主面60a又は60bを対向させて重なり合うようにして配置される傾向にある。そのため、発光装置1の露出させる断面を適当に選択することで、SEMにより適宜光反射材60の断面を抽出することができる。
【0050】
次に、画像解析ソフトウェアにより、抽出した光反射材60の各断面の横幅(光反射材の断面の長手方向の長さ)と厚さ(光反射材の断面の短手方向の長さ)をそれぞれ一点ずつ測定し、厚さに対する横幅の平均値を算出する。そして、100個の光反射材60の該測定値の平均値を平均アスペクト比とする。
光反射材60が窒化ホウ素の場合、光反射材60の平均アスペクト比は、例えば、16.5以上19.2以下である。光反射材60がアルミナの場合、光反射材60の平均アスペクト比は、例えば、10以上70以下である。
【0051】
また、光反射材60の平均粒径は、0.6μm以上43μm以下である。
ここで、後述する発光装置の製造方法の硬化工程において、光反射材60の粉体とシリカの粉体との融着、及び硬化工程における光反射材60の粉体のアルカリ溶液への溶出は、わずかなものである。従って、光反射材60の粉体の形状及び寸法と、硬化工程を経て形成された光反射部材30に含まれる光反射材60の形状及び寸法とは、実質同一である。そのため、上記の光反射材60の平均粒径は、以下の方法で光反射材60の粉体の粒径を測定することにより算出される。
【0052】
<平均粒径の算出方法>
光反射材60の粉体の粒径は、例えば、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査電子顕微鏡「TM3030Plus」を用いて算出される。
まず、カーボン製の両面テープの一方の面を該顕微鏡の試料台に貼りつけ、その後、両面テープの他方の面に光反射材60の粉体を配置する。顕微鏡の画素数を123万画素に設定し、倍率を1000倍~2000倍に設定し、100個の光反射材60の粉体(粒子)の画像を取得する。その後、画像解析ソフトウェアにより各粒子の粒径を測定する。本明細書において、光反射材60の粉体の粒径は、光反射材60の主面60a又は60bから見たときの直径のうち最大の直径である。次に、測定した粒子のメジアン径を算出し、該算出値を光反射材60の平均粒径とする。また、光反射材60の粉体の粒径は、SEMにより光反射部材30の断面を抽出し、画像解析ソフトウェアにより測定して算出してもよい。
【0053】
光反射材60が窒化ホウ素の場合、光反射材60の平均粒径は、例えば、6μm以上43μm以下である。光反射材60がアルミナの場合、光反射材60の平均粒径は、例えば、0.6μm以上10μm以下である。
【0054】
上記のような平均粒径及び平均アスペクト比を有する光反射材60は、光反射部材30が発光素子20から生じる熱によって加熱される際に、光反射部材30の骨材として機能する。これにより、発光素子20の熱による光反射部材30の収縮が抑制され、耐熱性の高い発光装置1を得ることができる。このような発光装置1は、耐用期間が長くなる。また、光反射部材30は、光反射材とシリカとの屈折率差を利用して、発光素子20からの光を反射させることができる。
【0055】
さらに、このように発光素子20の熱によって収縮が抑制される光反射部材30が得られることで、発光素子20から生じる熱が大きい条件(例えば、発光素子20に供給する電力量が大きい場合)でも発光装置1を使用することが可能になる。発光素子20に供給する電力量を大きくできることで、発光装置1あたりの光量を増やすことができる。また、紫外光を発する発光素子は、可視光を発する発光素子よりも光の持つエネルギー量が大きく、樹脂の光劣化が起こりやすいため、光エネルギーに対して耐久性が高いセラミック製の支持体(例えば、パッケージ)に搭載されている場合がある。しかしながら、本実施形態に係る光反射部材30を用いれば、セラミック製の支持体を用いることなく、紫外光を発する発光素子を光反射部材30で被覆した発光装置を提供することができる。このように光反射部材30を備える発光装置は、セラミック製の支持体を含む発光装置と比較して、製造コストを抑制することができ、また、小型化することができる。
【0056】
光反射部材30の線形熱膨張係数(Coefficient of Terminal Expansion)は、40℃~300℃の温度範囲において、0.0.5ppm/℃以上5ppm/℃以下が好ましい。これにより、発光装置を使用した際、光反射部材30の温度が上昇したとしても、光反射部材30の膨張を抑制することができ、信頼性を向上させることができる。本実施形態において、光反射部材30の線形熱膨張係数は約1ppmである。
【0057】
(光散乱材)
光散乱材は、上述したように、例えば、ジルコニアまたはチタニアを含む。発光素子が紫外光を出射する場合は、紫外波長領域の光吸収の少ないジルコニアが望ましい。光反射部材30が光散乱材を含むことで、光反射部材30による光反射率が向上する。
【0058】
光反射部材30に光散乱材を添加した場合、光散乱材は、シリカ中に分散して存在する。
【0059】
光散乱材の平均粒径は、光反射材60の平均粒径より小さいことが望ましい。これにより、光反射材60同士の隙間に光散乱材が配置されるため、発光素子20から出射され、光反射材60同士の隙間に入射した光が、光散乱材によって散乱する。散乱した光は、光反射材60によって反射するため、所望の光取り出し方向への光量を増加させるこができる。光散乱材の平均粒径は、レーザー回析法で測定される。
【0060】
なお、本実施形態の発光装置1では、光反射部材30は、発光素子20から離隔して配置されるが、発光装置の構成に応じて、発光素子の表面を被覆して配置されてもよい。また、発光装置の構成に応じて、発光装置の支持体を構成してもよい。
【0061】
(透光性部材)
図3に示すように、透光性部材40は、支持体10の壁部12の上面12aに配置される。透光性部材40は、例えば、2つの主面を有する板状の部材である。透光性部材40の一方の主面40aは、発光装置1の上面に含まれる。
透光性部材40は、樹脂を含んでもよいし、無機材料でもよい。透光性部材40が無機材料であれば、樹脂を含む透光性部材よりも耐熱性が高いため、耐熱性の高い発光装置を作製することができる。無機材料として、例えば、ガラスを用いることができる。
【0062】
透光性部材40は、蛍光体のような波長変換材料を含有してもよい。透光性部材40が無機材料の母材に蛍光体を含有されたものである場合、例えば、蛍光体として、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)、母材としてアルミナや、シリカを用いることができる。なお、透光性部材40に波長変換材料を含有させなくてもよい。この場合は、発光素子からの光が波長変換されることなく外部に出射される。
【0063】
(保護素子)
保護素子50は、半導体層部52と正負一対の電極51とを含む。保護素子50は、例えば、ツェナーダイオードである。保護素子50は、正負一対の電極51をそれぞれ、第1配線層13aのアノード側の配線層又はカソード側の配線層に電気的に接続される。
保護素子50は、例えば、光反射部材30に一部または全部が覆われている。光反射部材30が保護素子50を被覆することで、発光素子20から出射された光が保護素子50によって吸収されることを防止できる。その結果、発光装置1の光取り出し効率の低下を抑制することができる。
【0064】
3.発光装置の製造方法
図6及び図7Aから図7Dを参照して、本開示に係る発光装置の製造方法の一例を説明する。
本開示に係る発光装置の製造方法は、図6に示すように、例えば、
(a)支持体と、支持体上に配置される発光素子とを有する中間体を準備する中間体準備工程S101と、
(b)上面視において発光素子を囲むように、本開示の光反射部材の製造方法によって製造された光反射部材を支持体上に配置する第1配置工程S102と、
(c)光反射部材を硬化する硬化工程S103と、
(d)中間体に透光性部材を配置する第2配置工程S104と、
(e)透光性部材及び中間体を個片化する個片化工程S105と、
を含む。
各工程について以下に詳細を説明する。
【0065】
(a)中間体準備工程S101
中間体準備工程S101では、支持体10と、支持体10上に配置される発光素子20とを有する中間体100を準備する。図7Aに示すように、中間体100は、互いに連続した複数の支持体10と、複数の発光素子20と、を含んでいるが、中間体100は、1つの支持体10と1つの発光素子20とを含んでいてもよい。
【0066】
支持体10を樹脂材料で形成する場合、各支持体10の底部11と壁部12とは、例えば、射出成形等で一体的に形成することができる。支持体10をセラミックス材料で形成する場合、いわゆるポストファイア法やコファイア法のいずれでも製造できる。支持体10を樹脂材料及びセラミックス材料いずれで形成する場合も、底部11と壁部12とを別々に形成した後に接着剤などを用いて接合することができる。
【0067】
発光素子20は、各支持体10の凹部15に配置されている。発光素子20は、正負一対の電極22を各支持体10の第1配線層13aと電気的に接続している。発光素子20は、例えば、はんだ等を介して正負一対の電極22を第1配線層13aに接続している。
また、中間体100は、保護素子50を含んでいてもよい。保護素子50は、正負一対の電極51を各支持体10の第1配線層13aと電気的に接続している。保護素子50は、例えば、はんだ等を介して正負一対の電極51を第1配線層13aに接続している。
【0068】
なお、発光装置を製造方法の説明において、部材を準備するとは、部材を製造することに限らず、例えば、部材を購入して取得することを含む。
【0069】
(b)第1配置工程S102
第1配置工程S102では、図7Bに示すように、上面視において発光素子20を囲むように、本開示の光反射部材の製造方法によって製造された光反射部材30Aを支持体10上に配置する。
【0070】
図7Cに示すように、第1配置工程S102では、中間体100の各支持体10の凹部15内において、支持体10の底部11上に光反射部材30Aを配置する。光反射部材30Aは、半導体層21の側面21cから離隔して配置される。光反射部材30Aは、壁部12から発光素子20に向けて高さが低くなる領域を含むように配置される。
【0071】
光反射部材30Aは、例えばエア式のディスペンサで塗布して配置される。光反射部材30Aは、例えば、壁部12及び底部11に同時に塗布される、または壁部12の内側面12bに塗布される。これにより、傾斜した領域が形成され得る。該傾斜した領域の表面が、後述する硬化工程S103を経ると、図7Dに示す傾斜面31となる。また、光反射部材30Aを壁部12及び底部11に同時に塗布する、または壁部12の内側面12bに塗布することで、発光素子20から離れた位置に光反射部材30Aを配置することができ、半導体層21の側面21cが光反射部材30Aによって覆われることを抑制できる。
【0072】
(c)硬化工程S103
硬化工程S103では、第1配置工程S102で支持体10上に配置した光反射部材30Aを硬化する。硬化工程S103では、光反射部材30Aを加熱することで硬化させる。硬化工程S103は、第1加熱工程S103Aと、第2加熱工程103Bと、を含み得る。第1加熱工程S103Aは、光反射部材30Aを第1温度T1で加熱する。第2加熱工程103Bは、第1温度T1で加熱された光反射部材30Aを第1温度T1よりも高い第2温度T2で加熱する。
【0073】
第1温度T1は、例えば、80℃以上100℃以下である。第1加熱工程S103Aは、例えば、10分以上2時間以下行われる。第2温度T2は、例えば、150℃以上250℃以下である。第2加熱工程S103Bは、例えば、30分以上1時間以下行われる。
【0074】
硬化工程S103では、第1加熱工程103Bを行わずに第2加熱工程103Bを行っていても良いが、第2加熱工程103Bの前に、第2加熱工程103Bよりも低い温度で第1加熱工程S103Aを実施することで、形成される光反射部材30にクラックが生じにくくなる。
【0075】
さらに、第1加熱工程S103A、及び第2加熱工程103Bを加圧しながら行うことで、形成される光反射部材30の光の反射率が高くなる。これは、光反射部材30Aが加圧されることで、光反射部材30A内の光反射材がより密集して配置された状態で硬化するためと考えられる。第2加熱工程103Bの間に加えられる圧力は、例えば、1MPaである。
【0076】
(d)第2配置工程S104と、
第2配置工程S104では、中間体100に透光性部材40を配置する。図7Dに示すように、透光性部材40は、各支持体10の壁部12の上面12aに配置される。透光性部材40と壁部12とは、例えば、接着剤で接着することができる。
【0077】
(e)個片化工程S105と、
個片化工程S105では、透光性部材40及び中間体100を個片化する。具体的には、図7Dに示すように、第2配置工程S104により透光性部材40及び支持体10を所定の切断位置CLに沿って個片化する。これにより、発光装置1が得られる。個片化は、例えば、ダイシングブレード、レーザー等を用いて切断することによって実施される。
なお、中間体100が1つの支持体10及び1つの発光素子20を含む場合、個片化工程S105は省略される。
【0078】
実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1、参考例1、及び比較例1では、製造工程における条件を異ならせて、製造後の時間経過による光反射部材の粘度の変化を比較した。
【0079】
実施例1
まず、シリカの粉体(デンカ株式会社)と水酸化カリウム溶液(キシダ化学株式会社)とを準備した(準備工程)。シリカの粉体とアルカリ溶液の溶質との質量比は、1.5:3であった。
次に、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液とを、ディスポカップに投入し、ディスカップを振って混合した(第1混合工程)。シリカの粉体と水酸化カリウム溶液とは、常温常圧で混合した。
次に、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液との混合部材である第1部材を45分、常温常圧で静置した(反応工程)。この45分経過した後の状態を化学平衡の状態とした。
次に、45分静置したシリカの粉体と水酸化カリウム溶液の混合物である第2部材に光反射材として窒化ホウ素を混合し、光散乱材としてジルコニアを混合し、攪拌装置で攪拌した(第2混合工程)。
次に、水を0.75g混合し、手動で5分攪拌した後、攪拌装置で攪拌し、光反射部材を製造した。
製造後から時間経過させることなく光反射部材の粘度の測定を開始した。粘度の測定は、粘度の測定開始時(t=0)と、粘度の測定開始から15分後(t=15)と、の計2回実施した。測定は、粘度計(東機産業製TVE-35H形粘度計)を用いて実施した。測定条件は、回転数は50rpmであり、ロータは3°×R9.7であり、測定温度が25℃であり、レンジはHであり、測定時間が90秒であった。
【0080】
参考例1
参考例1は、反応工程で30分静置した点を除いては、実施例1と同様にして光反射部材を製造した。
製造後から時間経過させることなく光反射部材の粘度の測定を開始した。粘度の測定は、粘度の測定開始時(t=0)と、粘度の測定開始時から15分ごとに2回(t=15、t=30)と、の計3回実施した。粘度の測定方法は、実施例1と同一の方法であった。
【0081】
比較例1
比較例1では、シリカの粉体と、水酸化カリウム溶液と、窒化ホウ素と、ジルコニアと、を同時に混合し、攪拌装置で攪拌した。その後、水を0.75g混合し、手動で5分攪拌した後、攪拌装置で攪拌し、光反射部材を製造した。
製造後から時間経過させることなく光反射部材の粘度の測定を開始した。粘度の測定は、粘度の測定開始時(t=0)と、粘度の測定開始時から30分ごとに3回(t=30、t=60、t=90)と、その後15分ごとに3回(t=105、t=120、t=135)と、の計7回実施した。粘度の測定方法は、実施例1と同一の方法であった。
【0082】
実施例1、参考例1、及び比較例1における粘度の測定結果を図8のグラフに示す。図8に示すグラフは、横軸が時間(分)であり、縦軸が粘度(mPa・S)である。図8のグラフにおいて、プロットE1は実施例1の結果を示し、プロットR1は参考例1の結果を示し、プロットC1は比較例1の結果を示す。
【0083】
実施例1の結果より、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液との混合を光反射材の粉体との混合に先行して行うことで、製造後、時間を経過させなくても光反射部材の粘度の変化が小さいことが分かった。すなわち、製造後、時間経過させなくても、シリカと水酸化カリウム溶液との反応は化学平衡の状態に至っていると考えられた。
参考例1の結果より、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液との混合を光反射材の粉体との混合に先行して行った場合でも、反応工程の時間が30分であると、製造後から15分経過するまで、光反射部材の粘度の変化が大きいことが分かった。すなわち、製造後15分の間はシリカと水酸化カリウム溶液との反応が進行し、化学平衡の状態に至ってないと考えられた。
比較例1の結果より、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液と光反射材とを同時に混合すると、製造後から105分経過するまで、光反射部材の粘度の変化が大きいことが分かった。すなわち、製造後105分の間はシリカと水酸化カリウム溶液との反応が進行し、化学平衡の状態に至ってないと考えられた。
【0084】
また、実施例1及び参考例1における反応工程の静置時間と、参考例1及び比較例1における製造後から化学平衡の状態に至るまでの時間と、をそれぞれ待機時間とすると、実施例1、参考例1、及び比較例1それぞれの総待機時間は、以下のようになる。
実施例1の総待機時間は、反応工程における45分である。参考例1の総待機時間は、反応工程における30分と、製造後から化学平衡の状態に至るまでの15分と、の合計より、45分である。比較例1の総待機時間は、製造後から化学平衡の状態に至るまでの105分である。
以上より、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液との混合を光反射材の粉体との混合に先行して混合することで、シリカの粉体と水酸化カリウム溶液と光反射材の粉体とを同時に混合する場合と比較して、総待機時間が短縮されることが分かった。
【0085】
以上、本開示の実施形態、実施例、及び参考例を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態、実施例及び参考例における要素の組合せや順序の変化等は請求された本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0086】
1 発光装置
10 支持体
11 底部
11a 上面
12 壁部
12a 上面
12b 内側面
13 導電部
13a 第1配線層
13b 第2配線層
15 凹部
16 カソードマーク
20 発光素子
21 半導体層
21a 上面
21b 下面
21c 側面
22 正負一対の電極
30、30A 光反射部材
31 傾斜面
40 透光性部材
40a 一方の主面
50 保護素子
51 正負一対の電極
52 半導体層部
60 光反射材
60a 一方の主面
60b 他方の主面
61 支持部材
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8