IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-セラミックス基板 図1
  • 特開-セラミックス基板 図2
  • 特開-セラミックス基板 図3
  • 特開-セラミックス基板 図4
  • 特開-セラミックス基板 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147241
(43)【公開日】2023-10-12
(54)【発明の名称】セラミックス基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20231004BHJP
   H05K 3/20 20060101ALI20231004BHJP
【FI】
H05K1/02 F
H05K3/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023046136
(22)【出願日】2023-03-23
(62)【分割の表示】P 2022155898の分割
【原出願日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2022054655
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】大森 輝行
【テーマコード(参考)】
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA18
5E338BB05
5E338BB75
5E338CD23
5E338CD25
5E338EE02
5E338EE28
5E338EE60
5E343AA02
5E343AA24
5E343BB24
5E343BB28
5E343BB67
5E343CC07
5E343CC17
5E343ER35
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】放熱板および回路板のいずれか一方を厚くしても反りを抑制することが可能なセラミックス基板を提供する。
【解決手段】平板状のセラミックスからなる絶縁基材2と、絶縁基材の第1の主面2aに設けられた第1のろう材層31と、絶縁基材の第2の主面2bに設けられた第2のろう材層32と、第1のろう材層を介して絶縁基材の第1の主面側に固定された金属からなる回路板41と、第2のろう材層を介して絶縁基材の第2の主面側に固定された金属からなる放熱板42とを備えるセラミックス基板1において、放熱板の厚みは、回路板の厚みよりも厚く、放熱板の厚みが0.6mm以上1.5mm以下であり、第1のろう材層の厚みが前記第2のろう材層よりも厚い。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のセラミックスからなる絶縁基材と、
前記絶縁基材の第1の主面に設けられた第1のろう材層と、
前記絶縁基材の第2の主面に設けられた第2のろう材層と、
前記第1のろう材層を介して前記絶縁基材の前記第1の主面側に固定された金属からなる回路板と、
前記第2のろう材層を介して前記絶縁基材の前記第2の主面側に固定された金属からなる放熱板と、を備え、
前記放熱板の厚みは、前記回路板の厚みよりも厚く、
前記放熱板の厚みが0.6mm以上1.5mm以下であり、
前記第1のろう材層の厚みが前記第2のろう材層よりも厚い、
セラミックス基板。
【請求項2】
前記絶縁基材が矩形状であり、前記絶縁基材の各辺に沿った方向の100mmあたりの前記絶縁基材の反り量が1.0mm以下である、
請求項1に記載のセラミックス基板。
【請求項3】
前記回路板の厚みが0.5mm以上1.2mm以下である、
請求項1又は2に記載のセラミックス基板。
【請求項4】
前記第1のろう材層の厚みと前記第2のろう材層の厚みとの差が、10μm以上50μm以下である、
請求項1又は2に記載のセラミックス基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばパワーモジュール等の発熱量が多い電気回路部品を搭載する基板として、耐熱性が高いセラミックス製の基材を有するセラミックス基板が用いられている。特許文献1に記載のセラミックス回路基板は、表面に金属からなる回路板がろう付けされ、裏面に金属からなる放熱板がろう付けされている。回路板は、放熱板よりも厚く形成され、エッチングによって回路パターンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-309210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、例えば自動車の駆動源としても電動モータが広く用いられるようになっており、電動モータに駆動電流を供給するためのインバータ用のパワートランジスタの大容量化も進んでいる。このようなパワートランジスタが実装されるセラミックス基板には、従来にも増して高い放熱性が要求される。放熱性を向上させるために、例えばセラミックス基板の放熱板の厚みを厚くして熱伝導性を高めることが考えられる。しかし、単に放熱板を厚くして、放熱板を回路板よりも厚くすると、セラミックス基板の製造時において反りが発生してしまう場合があった。また、回路板に流す電流を大きくするために、回路板を厚くして、回路板を放熱板よりも厚くした場合にも、セラミックス基板の製造時において反りが発生してしまう場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、放熱板および回路板のいずれか一方を厚くしても反りを抑制することが可能なセラミックス基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、平板状のセラミックスからなる絶縁基材と、前記絶縁基材の第1の主面に設けられた第1のろう材層と、前記絶縁基材の第2の主面に設けられた第2のろう材層と、前記第1のろう材層を介して前記絶縁基材の前記第1の主面側に固定された金属からなる回路板と、前記第2のろう材層を介して前記絶縁基材の前記第2の主面側に固定された金属からなる放熱板と、を備え、前記放熱板の厚みは、前記回路板の厚みよりも厚く、前記放熱板の厚みが0.6mm以上1.5mm以下であり、前記第1のろう材層の厚みが前記第2のろう材層よりも厚い、セラミックス基板を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、上記のセラミックス基板を複数に分割して形成されたセラミックス分割基板を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るセラミックス基板及びセラミックス分割基板によれば、放熱板および回路板のいずれか一方を厚くしても反りを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るセラミックス基板の構成例を示し、(a)は表面を示す平面図、(b)は側面図、(c)は裏面を示す平面図である。
図2】分割された一つのセラミックス分割基板の表面に電気回路部品が搭載され、裏面に放熱部品としてのヒートシンクが取り付けられた状態を示し、(a)は平図、(b)は側面図である。
図3】第1のろう材層を形成する第1のろう材層形成工程で用いられる第1のスクリーンを示す平面図である。
図4】第2のろう材層を形成する第2のろう材層形成工程で用いられる第2のスクリーンを示す平面図である。
図5】第2のろう材層の厚みに対する第1のろう材層の厚みの割合を変えてセラミックス基板の反り量を測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係るセラミックス基板の構成例を示し、(a)は表(おもて)面を示す平面図、(b)は側面図、(c)は裏面を示す平面図である。このセラミックス基板1は、平板状のセラミックスからなる絶縁基材2と、絶縁基材2の第1の主面2aに設けられた第1のろう材層31と、絶縁基材2の第2の主面2bに設けられた第2のろう材層32と、第1のろう材層31を介して絶縁基材2の第1の主面2a側に固定された金属からなる回路板41と、第2のろう材層32を介して絶縁基材2の第2の主面2b側に固定された金属からなる放熱板42とを備えている。
【0011】
本実施の形態では、セラミックス基板1が集合基板であり、より具体的にはセラミック集合回路基板である。セラミックス基板1は、図1(a)及び(b)に示す破線で切断されて複数のセラミックス分割基板11~14に分割される。複数のセラミックス分割基板11~14のそれぞれには、回路板41に電気回路部品が搭載され、放熱板42に放熱部品が取り付けられる。なお、本実施の形態では、セラミックス基板1がセラミックス分割基板11~14に4分割されるが、セラミックス基板の分割数は4に限らず、2又は3でもよく、5以上であってもよい。
【0012】
回路板41及び放熱板42の金属材料としては、電気抵抗が低く熱導電性が高いものが望ましい。本実施の形態では回路板41及び放熱板42が銅板からなるが、回路板41及び放熱板42をアルミニウム板としてもよい。ただし、熱膨張率の違いによる反りの発生を防ぐため、回路板41及び放熱板42を同種の金属とすることが望ましい。放熱板42は、平面視において矩形状に形成されており、回路板41に搭載された電気回路部品で発生した熱を絶縁基材2から放熱部品に伝達する。
【0013】
図2は、分割された一つのセラミックス分割基板11の表面側に第1乃至第3の電気回路部品51~53が搭載され、裏面側に放熱部品としてのヒートシンク50が取り付けられた状態を示し、(a)は表面を示す平面図、(b)は側面図である。
【0014】
第1乃至第3の電気回路部品51~53は、例えばトランジスタやダイオード等のパワーモジュールであり、発熱部品である。ヒートシンク50は、平板状のベースプレート501と、ベースプレート501から突出するようにして設けられた複数の突片502とを有しており、第1乃至第3の電気回路部品51~53で発生して絶縁基材2から放熱板42に伝導した熱を空気中に放熱する。セラミックス分割基板11~14のそれぞれに搭載される電気回路部品の数は一つ以上であればよく、特に限定はない。なお、セラミックス分割基板11~14に搭載される電気回路部品の種類、形状、及び数量等は図2に例示するものに限らず、適宜変更して実施することが可能である。
【0015】
絶縁基材2は、一例として、珪素粉末と焼結助剤と有機バインダとを混合したスラリーをドクターブレード法によって厚みが一定の平板状に成形して切断し、脱脂処理及び窒化処理を施し、さらに焼結して形成した窒化珪素基板である。図1に示す例では、絶縁基材2が平面視において矩形状であり、長辺方向の長さL1が短辺方向の長さL2よりも長い長方形状である。L1,L2は、共に100mm以上である。なお、絶縁基材2の四隅を面取りしてもよい。なお、絶縁基材2の原料が珪素粉末でなく窒化珪素粉末である場合には、窒化処理を省略してもよい。
【0016】
第1のろう材層31及び第2のろう材層32は、銅粉及び銀粉をバインダ及び溶剤と共に混成したろう材を、スクリーン印刷法によって絶縁基材2の第1の主面2a及び第2の主面2bに塗布して形成したものである。第1のろう材層31は、回路板41における絶縁基材2側の面の全体に形成され、第2のろう材層32は、放熱板42における絶縁基材2側の面の全体に形成されている。なお、第1のろう材層31及び第2のろう材層32は、銀粉を含まないものであってもよい。
【0017】
本実施の形態では、放熱板42の厚みT42が回路板41の厚みT41よりも厚い。また、第1のろう材層31の厚みT1が第2のろう材層32の厚みT2よりも厚い。放熱板42の厚みT42が回路板41の厚みT41よりも厚いのは、セラミックス基板1の放熱性を高めるためである。第1のろう材層31の厚みT1が第2のろう材層32の厚みT2よりも厚いのは、セラミックス基板1の反りを抑制するためである。
【0018】
つまり、仮に第1のろう材層31の厚みT1が第2のろう材層32の厚みT2と同じである場合、放熱板42を回路板41よりも厚くすると、絶縁基材2の中心部における第1の主面2a側が凸となるようにセラミックス基板1が沿ってしまうことが本発明者らによって確認されており、本実施の形態ではこの反りを抑制するため、第1のろう材層31の厚みT1を第2のろう材層32の厚みT2よりも厚くしている。すなわち、本実施の形態では、放熱板42の厚みT42と回路板41の厚みT41との差によって生じるセラミックス基板1の反りを発生させる力を、第1のろう材層31の厚みT1を第2のろう材層32の厚みT2よりも厚くすることにより緩和している。本実施の形態では、絶縁基材2の各辺に沿った方向の100mmあたりの絶縁基材2の反り量が1.0mm以下となっている。
【0019】
回路板41の厚みT41と放熱板42の厚みT42の差は、0.10mm以上0.30mm以下であり、0.20mm以上0.30mm以下であってもよい。また、第1のろう材層31の厚みT1と第2のろう材層32の厚みT2との差の望ましい範囲は、10μm以上50μm以下である。一例として、回路板41の厚みT41は、0.5mm以上1.2mm以下であり、放熱板42の厚みT42は0.6mm以上1.5mm以下である。また、第1のろう材層31の厚みT1は、20μm以上70μm以下であり、第2のろう材層32の厚みT2は、10μm以上30μm以下である。
【0020】
なお、第1のろう材層31の厚みは、厚過ぎると、ろう材の一部が回路板41と絶縁基材2との間からはみ出してしまうおそれがある。また、第2のろう材層32の厚みは、薄過ぎるとボイド(空孔)が発生し、第2のろう材層32の強度が低下すると共に第2のろう材層32の熱伝導率が低下してしまうおそれがある。上記の第1のろう材層31の厚みT1及び第2のろう材層32の厚みT2の範囲は、これらのことを考慮して検討されたものである。
【0021】
第1のろう材層31の厚みT1及び第2のろう材層32の厚みT2は、セラミックス基板1の製造時において、ろう材のスクリーン印刷に用いるスクリーンを取り換えることによって増減させることが可能である。次に、このスクリーンの構成例について、図3及び図4を参照して説明する。
【0022】
図3は、第1のろう材層31を形成する第1のろう材層形成工程で用いられる第1のスクリーン6を示す平面図である。図4は、第2のろう材層32を形成する第2のろう材層形成工程で用いられる第2のスクリーン7を示す平面図である。第1及び第2のスクリーン6,7は、枠体61,71と、平板状のスクリーンマスク62,72とを有している。スクリーンマスク62,72は、ペースト状のろう材30を透過させるメッシュ部63,73と、ろう材30が透過しない非メッシュ部64,74とを有している。
【0023】
メッシュ部63,73は、絶縁基材2の長辺方向と平行に張り渡された複数の縦糸631,731と、絶縁基材2の短辺方向と平行に張り渡された複数の横糸632,732とを格子状に編み合わせて構成されており、二本の縦糸631,731及び二本の横糸632,732によって囲まれた格子状の部分が透過孔630,730となっている。スクリーン印刷を行う際には、スキージと呼ばれる長板状の部材が複数の縦糸631,731及び横糸632,732に接触しながらメッシュ部63,73上を摺動し、ろう材30を透過孔630,730から絶縁基材2側に押し出す。
【0024】
第1のろう材層31の厚みT1及び第2のろう材層32の厚みT2は、絶縁基材2側に押し出されるろう材30の量によって変化する。本実施の形態では、第1のスクリーン6の縦糸631及び横糸632の太さが、第2のスクリーン7の縦糸731及び横糸732の太さよりも太く、かつ第1のスクリーン6の縦糸631及び横糸632の間隔が第2のスクリーン7の縦糸731及び横糸732の間隔よりも広く、単位面積当たりの第1のスクリーン6の複数の透過孔630の容積が、単位面積当たりの第2のスクリーン7の複数の透過孔730の容積よりも大きく形成されている。これにより、第1のろう材層31が第2のろう材層32よりも厚く形成される。
【0025】
なお、単位面積当たりの第1のスクリーン6の複数の透過孔630の容積は、複数の縦糸631及び横糸632の間隔や太さによって定まり、複数の縦糸631及び横糸632の間隔が大きく、縦糸631に平行な方向及び横糸632に平行な方向における透過孔630の開口幅が大きいほど大きくなる。同様に、単位面積当たりの第2のスクリーン7の透過孔730の容積は、複数の縦糸731及び横糸732の間隔や太さによって定まり、複数の縦糸731及び横糸732の間隔が大きく、縦糸731に平行な方向及び横糸732に平行な方向における透過孔730の開口幅が大きいほど大きくなる。したがって、単位面積当たりの透過孔630,730の容積は、縦糸631,731及び横糸632,732の太さ、ならびに縦糸631,731及び横糸632,732の単位面積当たりの本数により調整することができる。
【0026】
スクリーン印刷によって絶縁基材2の第1の主面2a及び第2の主面2bに塗布されたろう材は、恒温槽で乾燥されて固化される。その後、絶縁基材2をろう材と共に二枚の金属板で挟んで荷重を加えた状態で800℃程度に加熱し、ろう付けを行う。その後、これらの金属板のそれぞれの一部をエッチングにより除去し、回路板41及び放熱板42を形成する。これにより、セラミックス基板1が得られる。その後さらに、図1(a)及び(b)に示す破線でセラミックス基板1を切断することにより、セラミックス分割基板11~14が得られる。なお、回路板41及び放熱板42を予め所定の形状に加工することで、エッチングを省略してもよい。
【0027】
図5は、回路板41の厚みT41を0.65mm、放熱板42の厚みT42を0.80mmとし、第2のろう材層32の厚みT2に対する第1のろう材層31の厚みT1の割合であるろう材厚さ比(T1/T2)を三通りに変えてセラミックス基板1の反り量を測定した結果を示すグラフである。このグラフにおいて、第1のプロット点81は、ろう材厚さ比を88%としたサンプル1の測定結果を示し、第2のプロット点82は、ろう材厚さ比を100%としたサンプル2の測定結果を示し、第3のプロット点83は、ろう材厚さ比を109%としたサンプル3の測定結果を示している。なお、ろう材厚さ比は、第1のろう材層形成工程及び第2のろう材層形成工程において、ろう材のスクリーン印刷を行う前後の重量差に基づく推定値である。このグラフから、第2のろう材層32の厚みT2に対する第1のろう材層31の厚みT1の割合を大きくすることにより、セラミックス基板1の反り量を低減できることが分かる。
【0028】
上記の実施の形態では、放熱板の厚みが回路板の厚みよりも厚い場合には、第1のろう材層の厚みを第2のろう材層よりも厚くすることで、セラミックス基板の反り量を低減できることを示した。同様に、回路板の厚みが放熱板の厚みよりも厚い場合には、第2のろう材層の厚みを第1のろう材層よりも厚くすることで、セラミックス基板の反り量を低減できる。例えば、回路板の厚みを0.8mm、放熱板の厚みを0.65mm、第1のろう材層の厚みを15mm、第2のろう材層の厚みを30mmとすることができる。また、このよう場合には、回路板の厚みを0.6mm~1.5mm、放熱板の厚みを0.5mm~1.2mm、第1のろう材層の厚みを10mm~30mm、第2のろう材層の厚みを20mm~30mmとすることが好ましい。
すなわち、放熱板および回路板のいずれか一方の厚みが他方の厚みよりも厚くとも、第1のろう材層および第2のろう材層の厚さを調整することでセラミックス基板の反り量を低減することができる。
【0029】
(実施の形態の効果)
以上説明した本実施の形態によれば、放熱板42および回路板41のいずれか一方の厚みを他方の厚みよりも厚くしてもセラミックス基板1の反りを抑制することが可能となる。
【0030】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0031】
[1]平板状のセラミックスからなる絶縁基材(2)と、前記絶縁基材(2)の第1の主面(2a)に設けられた第1のろう材層(31)と、前記絶縁基材(2)の第2の主面(2b)に設けられた第2のろう材層(32)と、前記第1のろう材層(31)を介して前記絶縁基材(2)の前記第1の主面側(31)に固定された金属からなる回路板(41)と、前記第2のろう材層(32)を介して前記絶縁基材(2)の前記第2の主面(2b)側に固定された金属からなる放熱板(42)とを備え、前記放熱板(42)および前記回路板(41)は、いずれか一方の厚みが他方の厚みよりも厚く、前記放熱板(42)の厚みが前記回路板(41)の厚みよりも厚い場合には、前記第1のろう材層(31)の厚みが前記第2のろう材層(32)よりも厚く、前記回路板(41)の厚みが前記放熱板(42)の厚みよりも厚い場合には、前記第2のろう材層(32)の厚みが前記第1のろう材層(31)よりも厚い、セラミックス基板(1)。
【0032】
[2]前記回路板(41)と前記放熱板(42)との厚みの差が、0.10mm以上0.30mm以下である、上記[1]に記載のセラミックス基板(1)。
【0033】
[3]前記回路板(41)と前記放熱板(42)との厚みの差が、0.20mm以上0.30mm以下である、上記[1]に記載のセラミックス基板(1)。
【0034】
[4]前記第1のろう材層(31)の厚み(T1)と前記第2のろう材層(32)の厚み(T2)との差が、10μm以上50μm以下である、上記[1]又は[2]に記載のセラミックス基板(1)。
【0035】
[5]前記回路板(41)の厚み(T41)が0.5mm以上1.2mm以下であり、前記放熱板(42)の厚み(T42)が0.6mm以上1.5mm以下であり、前記第1のろう材層(31)の厚み(T1)が20μm以上70μm以下であり、前記第2のろう材層(32)の厚み(T2)が10μm以上30μm以下である、上記[1]乃至[4]の何れか一つに記載のセラミックス基板。
【0036】
[6]前記絶縁基材(2)が矩形状であり、前記絶縁基材(2)の各辺に沿った方向の100mmあたりの前記絶縁基材(2)の反り量が1.0mm以下である、上記[1]乃至[5]の何れか一つに記載のセラミックス基板。
【0037】
[7]上記[1]乃至[6]の何れか一つに記載のセラミックス基板(1)を複数に分割して形成された、セラミックス分割基板(11)。
【0038】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0039】
また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記の実施の形態では、セラミックス基板1が集合基板であり、複数のセラミックス分割基板11~14に分割される場合について説明したが、これに限らず、集合基板ではないセラミックス基板に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…セラミックス基板 11~14…セラミックス分割基板
2…絶縁基材 2a…第1の主面
2b…第2の主面 31…第1のろう材層
32…第2のろう材層 41…回路板
42…放熱板

図1
図2
図3
図4
図5