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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147349
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】揚げ玉
(51)【国際特許分類】
   A23L 35/00 20160101AFI20231005BHJP
   A23L 5/10 20160101ALI20231005BHJP
【FI】
A23L35/00
A23L5/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054793
(22)【出願日】2022-03-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
(71)【出願人】
【識別番号】000226976
【氏名又は名称】日清食品ホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 寛史
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
【Fターム(参考)】
4B035LC03
4B035LE01
4B035LE17
4B035LG01
4B035LG15
4B035LG19
4B035LG21
4B035LG35
4B035LG43
4B035LK01
4B035LK03
4B035LK04
4B035LK13
4B035LP07
4B035LP31
4B036LE01
4B036LE05
4B036LF13
4B036LF19
4B036LH01
4B036LH10
4B036LH14
4B036LH22
4B036LH41
4B036LP03
(57)【要約】
【課題】本発明は、通常の揚げ玉よりもカリカリとした食感が維持されやすい揚げ玉を提供すること課題とする。
【解決手段】揚げ玉の物性を熱湯に15秒間浸漬したときの吸水率を28~53%であり、10個の平均の硬さが16~42Nの範囲に調整することにより、汁なしの即席麺などのトッピング具材として使用しても、湯気や湯切りした残り汁、ソースなどを吸水してもふやけて食感が柔らかくなりすぎることなく、カリカリとした食感が維持された揚げ玉を提供することができる。また、揚げ玉の物性としては、吸水率としては28~50%、10の平均の硬さとしては18~42Nの範囲がより好ましい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱湯に15秒間浸漬したときの吸水率が28~53%であり、
10個の平均の硬さが16~42Nであることを特徴とする揚げ玉。
【請求項2】
前記吸水率が28~50%であり、前記硬さが18~42Nであることを特徴とする請求項1記載の揚げ玉。
【請求項3】
前記揚げ玉が汁なし即席麺用であることを特徴とする請求項1または2記載の揚げ玉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即席麺などの食品のトッピングに用いる揚げ玉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、うどんやそば、たこ焼きやお好み焼きに用いる食材として、小麦粉等を含む生地をフライした「揚げ玉」が知られている。「揚げ玉」については、「天かす」と呼ぶ場合もあるが、本発明においては、料理で使用する目的のために製造するものを「揚げ玉」と呼び、天ぷらなど製造する際に副次的に出る揚げかすを「天かす」と呼ぶこととする。また、「揚げ玉」は、見た目や風味向上のために、エビやアオサ、紅ショウガなどを含むものもある。
【0003】
揚げ玉の製造方法としては、特許文献1~2の方法が知られている。
【0004】
特許文献1には、球状の揚げ玉を安定して製造する方法として、みかけ比重を0.85以上0.9以下、pHを3.5以上4.5以下及び粘度を2500mPa・s以上4000mPa・s以下に調製した揚げ玉生地を使用することを特徴とする揚げ玉の製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載された技術は、良好な球状の揚げ玉を安定して製造する方法であり、食感については記載されていない。
【0005】
特許文献2には、クリスピー性にすぐれた揚げ玉の製造方法として、小麦粉を主体とする揚げ玉生地配合物20重量部~100重量部に無水炭酸ナトリウム0.01重量部~0.05重量部及び/又は焼きミョウバン0.1重量部~0.3重量部を添加し、更にこれに水温0℃~3℃の冷水60重量部~200重量部を加えて混練して得た揚げ玉生地を、生地温度を0℃~10℃に保った状態で油温180℃~190℃に保持したフライヤーの油槽の油溜りに落とし入れ、約40秒間加熱して得た揚げ玉を遠心分離機に入れて脱油することを特徴とするクリスピー性にすぐれた揚げ玉の製造方法が記載されている。しかしながら、特許文献2の製法で作製された揚げ玉は、そのままの状態ではクリスピーな食感を有しているものの、吸水しやすく、汁ありの即席麺だけでなく汁なしの即席麺の具材に使用する場合でもクリスピーな食感がすぐに失われてしまうといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5946418号公報
【特許文献2】特開2001-299293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、通常の揚げ玉よりもカリカリとした食感が維持されやすい揚げ玉を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、湯戻しした後湯切りして喫食するような汁なし即席麺(焼きそば風)などの具材として揚げ玉を検討したが、通常の揚げ玉を使用した場合、麺から出る湯気や湯切りした残り汁、ソースなどにより揚げ玉がすぐに吸水してしまい、喫食最後までカリカリとしたクリスピーな食感が得られなかった。そこで、汁なし即席麺においてカリカリとした食感が維持されやすい揚げ玉について鋭意研究した結果を見出し本発明に至った。
【0009】
すなわち、熱湯に15秒間浸漬したときの吸水率が28~53%であり、10個の平均の硬さが16~42Nであることを特徴とする揚げ玉である。
【0010】
また、本発明に係る揚げ玉としては、吸水率が28~50%であり、硬さが18~42Nであることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る揚げ玉は、汁なし即席麺用であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、通常の揚げ玉よりもカリカリとした食感が維持されやすい揚げ玉を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定されるものではない。
【0014】
<揚げ玉の物性>
(吸水率)
本発明に係る揚げ玉としては、熱湯に15秒間浸漬したときの吸水率が28~53%である。吸水率の具体的な測定方法としては、揚げ玉10gを沸騰した熱湯100gに入れ15秒間浸漬した後、網杓子ですくい、液切りして重量を測定し、重量増加量(吸水量)を揚げ玉の重量10gを100%とした場合の割合で表したものであり、例えば、湯切り後の重量が15gであれば、吸水率は50%となる。
【0015】
吸水率が28%未満であると水の吸収量が少なすぎ、揚げ玉の初期の食感が維持されやすいが、揚げ玉の初期の密度が高く硬すぎる場合が多く、硬くカリカリとした食感が得られにくい。逆に吸水率が53%よりも高いと水の吸収量が多すぎるため、すぐに柔らかくなり、揚げ玉の初期の食感が維持されにくくなる。より好ましい吸水率の範囲としては、28~50%である。
【0016】
(硬さ)
本発明に係る揚げ玉としては、10個の平均の硬さが16~42Nである。揚げ玉は、1つ1つ形状が異なるため、揚げ玉ごとに硬さが異なるが、10個の平均を取ることでサンプルの硬さとして評価できる。
【0017】
硬さの測定は、クリープメータ(株式会社山電社製)等のテクスチャーアナライザーを用いる。テクスチャーアナライザーは、単軸の圧縮試験ができるものであればよく、等速
で上から下方向に押圧できるものであれば特に限定はない。また、分析に使用するプランジャーと呼ばれる押圧知具は、径が2mmのプラスチック製のものを用い、資料台も同質のプラスチック製のものを用いればよい。また、ロードセルとしては、200Nまでの負荷に耐えられるものが好ましい。
【0018】
硬さの測定方法は、資料台に揚げ玉を載せ、揚げ玉の中央付近で厚みが最大の部分にプランジャーを1.0mm/sの速度で上から下に押圧し、最大荷重(N)を測定する。測定は、10~30回/秒で行えばよい。形が歪過ぎない適当な形状のサンプルを無作為に10点選び、サンプルの最大荷重(N)を測定し、サンプルの硬さとする。
【0019】
10個の平均の硬さが42Nよりも高いと、吸水しても硬さを維持しやすいが、初期の揚げ玉の硬さが硬すぎてガリガリするため好ましくない。逆に10個の平均の硬さが16Nよりも小さいと初期の揚げ玉の硬さが弱く、吸水により容易に食感が柔らかくなりカリカリとした食感が維持されにくくなる。より好ましい10個の平均の硬さとしては18~42Nである。
【0020】
<揚げ玉の製造方法>
(原材料)
本発明に係る揚げ玉の原材料としては、小麦粉、澱粉などの主原料粉の他、大豆タンパク、卵白粉、全卵粉及び小麦タンパクなどのタンパク系素材、食塩、グルタミン酸ナトリウム、豚肉や牛肉などの肉類、エビや鰹節の魚介類、ホウレンソウや紅ショウガ、ニンニクなどの野菜類、海苔やアオサなどの海藻類等の粉末及び蛋白加水分解物等の味付け素材、ベーキングパウダー等の膨張剤、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム、リン酸塩、重合リン酸塩などのアルカリ剤、セルロース粉末、食用油脂、グリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤、色素及びトコフェロール等の酸化防止剤を用いることができる。本発明に係る揚げ玉は、揚げ玉の吸水率や硬さを特定の範囲に調整するために、密度を高くしたり、硬さを硬くするなど、原材料の配合を変更することで調整することができる。
【0021】
本発明に係る揚げ玉の主原料粉としては、膨化を抑えて密度を高くし、吸水率を低下させ、硬さを出すためデュラム粉を使用することが好ましい。デュラム粉は、通常の薄力粉などの小麦粉と比べ蛋白が強く、吸水率を低下させ、硬さを硬くすることができる。デュラム粉の配合量としては、主原料粉中に20重量%以上、より好ましくは35重量%以上程度含まれることが好ましい。
【0022】
また、本発明に係る原材料としては、通常天ぷらなどのサクサクした食感を出すために使用されているベーキングパウダーなどの膨化剤は、揚げ玉の構造がポーラスとなり、密度が低く、水分を吸収しやすくなるだけでなく、硬さも弱くなるため、吸水率や硬さが適正な範囲となるように添加することが好ましい。可能であれば、ベーキングパウダーなどの膨化剤は、添加しないことが好ましい。また、炭酸塩を添加する場合は、炭酸塩と反応するような焼きミョウバンなどの酸性物質はできるだけ含まないことが好ましい。
【0023】
本発明に係る原材料としては、グルテンなどの小麦タンパク、卵白などの蛋白素材を添加することで吸水率を調整することができる。タンパク素材は、添加しすぎると揚げ玉の生地の粘度が高くなり製造しにくくなるため、添加する場合は、卵白の場合は2重量%以下が好ましい。
【0024】
本発明に係る原材料としては、粉末セルロースなどのセルロース素材を添加することで吸水率や硬さを調整することができる。粉末セルロースを添加しすぎると揚げ玉の食感が粉っぽくなるため、添加する場合は、4重量%以下が好ましい。
【0025】
本発明に係る原材料としては、炭酸ナトリウムや炭酸カリウム、リン酸塩、重合リン酸塩などのアルカリ剤を添加することでデュラム粉や小麦粉に含まれるグルテンなどの小麦タンパクに作用し、硬さを硬くすることができる。添加量としては、多すぎると揚げ玉が保存中に変色しやすくなるため、添加する場合は、生地中に0.5重量%以下が好ましい。また、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムなどの炭酸塩を使用する場合は、焼きミョウバンなどの反応する酸性物質を添加しないことが好ましい。
【0026】
(生地作製工程)
上記した原材料と水とを撹拌し生地を作製する。生地の作製方法は特に限定はなく、0~25℃程度の水を用いて粘度が高くならない範囲でダマが無いように撹拌すればよい。加水量としては、生地の配合により粘度が変わるため、粘度が2000~8000mPa・Sとなるように添加すればよい。粘度が高いと後述するトレーの穴より生地が落下しづらく、粘度が低すぎると揚げ玉の形状が歪となる。
【0027】
(フライ工程)
作製した生地をフライする。フライに使用するフライ油は、融点が約25℃~50℃程度の硬形脂、半硬形脂が好ましい。例えば、ラード、牛脂等の動物脂、パーム油等の植物脂、及び大豆油、ナタネ油、コーン油、米油、綿実油等の植物油の硬化油、魚油等の動物油の硬化油、またはこれらの混合油等が使用可能である。そうすることで、フライ乾燥後の油だれが防止できるだけでなく、酸化がしにくく保存性も高くなる。
【0028】
フライは、穴の開いたトレーに生地を入れ、加熱したフライ油に滴下することで揚げ玉を作製する。揚げ玉の大きさは、穴の大きさや生地の粘度により大体決まるが、不定形であるため、トッピング用の揚げ玉としては、おおよそ3~10mmの大きさとなるように生地を滴下する穴の大きさを設定すればよい。また、トレーとフライ油との距離が短すぎると揚げ玉の形状が小さく乱れやすくなり、長すぎると揚げ玉の形状が大きくなり、油が跳ねるため、30~60cm程度が好ましい。また、油の温度は、140~195℃程度が好ましい。低すぎるとフライ時間が長く、高すぎると焦げやすくなる。
【0029】
また、フライ初期は、形状が硬まっていないため、30秒~90秒程度油面表層でフライし形状を硬定した後、中の水分をしっかりと飛ばすために、網などを用いて浸漬してフライすることが好ましい。フライ後の水分として5重量%以下となるまでしっかりと水分を飛ばすことが好ましい。フライした揚げ玉は、油中より回収し、軽く油を切り粗熱を取る。
【0030】
(脱油工程)
次いでフライした揚げ玉が冷め過ぎない内に脱油する。脱油方法は特に限定はなく、遠心機や熱風エアー式などにより脱油すればよい。脱油については、油だれが発生しない程度に行えばよい。脱油後の揚げ玉の油脂含量については、揚げ玉の密度や添加している素材により異なるため、特に限定はしない。
【0031】
(その他工程)
脱油した揚げ玉は、そのまま使用してもよいが、抹茶塩や色素、香料などを添加して風味付けや色を付けてもよい。また、作製した揚げ玉は、そのまま即席食品と共に包装されてもよいが、揚げ玉のみで包装されてもよく、揚げ玉として単品で販売することもできる。
【0032】
以下に実施例を挙げて本実施形態をさらに詳細に説明する。
【実施例0033】
(試験例1)
ノズルの穴をφ5mmとする以外は、特許文献2の実施例1に記載された方法に従って揚げ玉サンプルを作製した。
【0034】
(試験例2~14)
【0035】
下記表1に記載された配合の原材料を粉体混合した後、水を加えて攪拌し、揚げ玉用生地を作製した。
【0036】
揚げ玉用生地をφ5mmの穴を開けた容器に入れ、高さ50cmのところから175℃に加熱した油に滴下し、1分間フライした後、浮き上がった揚げ玉を金網で抑えて浸漬させた状態とし、さらに2分間フライした。
【0037】
フライした揚げ玉をネットに入れ、遠心脱油(1125rpm 25秒)して揚げ玉サンプルとした。
【0038】
作製した揚げ玉サンプルの吸水率及び硬さを測定した。吸水率については、揚げ玉サンプルを10g測り、100gの沸騰水を入れ、15秒間復水した後、網杓子に入れ湯切りし、重量を測定し、揚げ玉に対する増加重量量を百分率で表した。
【0039】
また、形状が歪過ぎない適当な形状の揚げ玉を無作為に10点選び、揚げ玉の硬さを測定した。硬さについては、クリープメータ(REONER II RE2-3305C:株式会社山電製)を用いて測定し、プランジャーNo.14(φ2mmxH22),資料台PG-112-BKを使用した。測定方法は、資料台に揚げ玉を載せ、揚げ玉の中央付近で厚みが最大の部分にプランジャーを1.0mm/sの速度で上から下に押圧し、最大荷重(N)を測定した。解析ソフトは、破断強度解析Windows(model BAS-3305 ver. 2.3)を用い解析した。最大荷重(N)を揚げ玉の硬さとし、10個の平均値を試験サンプルの硬さとした。
【0040】
また、試験例1~14の各サンプルの官能評価を行った。市販の湯切りタイプの即席焼きそば(フライ麺重量100g)に沸騰水440gを注湯し、3分間復元した後、湯切りし、液体ソースを加えて即席焼きそばを作製した。作製した即席焼きそばに揚げ玉5gを加えてさらに混ぜて、混ぜた直後及び6分間放置した後の揚げ玉を喫食し、評価を行った。評価はベテランのパネラー6人により行い、カリカリとした食感が非常に良好なものを5、やや硬いまたは柔らかいがカリカリとした食感が良好なものを4、硬いまたは柔らかいがカリカリとした食感が概ね可なものを3、かなり硬くまたは柔らかくカリカリとした食感が劣るものを2、著しく硬いまたは柔らかくカリカリとした食感が著しく劣るものを1とした。
【0041】
各試験区の吸水率、サンプルの硬さ及び官能試験結果のデータについて下記表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
試験例1は、特許文献2に記載された揚げ玉を再現したものであるが、アルカリ剤である炭酸ナトリウムが含まれており硬くなる配合であるが、焼きミョウバンも含まれているため、嵩比重が低く、試験例1同様に吸水率が高く、硬さが弱いため、混ぜた直後から表面が柔らかくなり、6分後には完全にふやけてしまった。
【0044】
試験例2は、通常の一般的な即席麺用の揚げ玉であり、主原料粉として薄力粉が使われており、また、ベーキングパウダーが使用されており、嵩比重が低く密度が低いため、硬さも弱く、吸水率が高い。そのため、混ぜた直後から表面が柔らかくなり、6分後には完全にふやけてしまった。
【0045】
試験例3~5は、デュラム粉を使用し、ベーキングパウダーの添加量を変更した試験区であるが、ベーキングパウダーの添加量が少なくなるほど嵩比重が高く、密度が高くなり、硬さも硬く、吸水率も低くなるため、混ぜた直後の食感も改善し、6分後の食感も改善していった。
【0046】
試験例5~9は、デュラム粉と薄力粉の配合比を変更した試験区であるが、デュラム粉の添加量が多いほど嵩比重が高く、密度が高くなり、硬さも硬く、吸水率も低くなった。デュラム粉100%の試験区9では、混ぜた直後は、やや硬くガリガリをした食感を感じたが、6分後には、硬さが取れて良好なカリカリとした食感を有していた。
【0047】
試験例5、試験例10及び試験例11は、卵白の添加量を変更した試験区であるが、硬さや嵩比重はさほど変化がないが、卵白を添加するほど吸水率は低下し、混ぜた直後や6分後の食感が維持される傾向であった。
【0048】
試験例7及び試験例13は、粉末セルロースの添加の有無に関する試験区であるが、粉末セルロースを添加することにより、嵩比重は大きく変わらず、密度がほぼ同じであっても吸水率を低く、硬さを強くすることができ、混ぜた直後や6分後の食感が良好以上に維持された。
【0049】
試験例14及び試験例15は、粉末セルロース又は炭酸カリウムを添加することにより、試験例9よりも、硬さを硬くした試験区であるが、嵩比重が高く、密度が高く、硬いため、混ぜた直後の食感は、硬すぎてガリガリしすぎであり、6分後の食感は、表面は若干柔らかくなるものの芯が硬く、カリカリとした食感とはならなかった。
【0050】
上記試験結果から、揚げ玉のカリカリとした食感を維持できる吸水率としては28~53%の範囲が好ましく、より好ましくは、28~50%の範囲であると考える。また、揚げ玉のカリカリとした食感を維持できる硬さとしてはとしては揚げ玉10個の平均が16~42Nの範囲が好ましく、より好ましくは、18~42Nの範囲であると考える。