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▶ 株式会社J−オイルミルズの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147350
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】凝固卵黄様食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 15/00 20160101AFI20231005BHJP
   A23L 11/00 20210101ALI20231005BHJP
【FI】
A23L15/00 A
A23L11/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054795
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】302042678
【氏名又は名称】株式会社J-オイルミルズ
(72)【発明者】
【氏名】荒井 潤子
(72)【発明者】
【氏名】相楽 浩二
(72)【発明者】
【氏名】石川 千弘
【テーマコード(参考)】
4B020
4B042
【Fターム(参考)】
4B020LB27
4B020LC07
4B020LG08
4B020LG09
4B020LK04
4B020LK07
4B020LP03
4B042AC06
4B042AD37
4B042AK06
4B042AK10
4B042AP02
(57)【要約】
【課題】食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を提供すること。
【解決手段】植物性タンパク素材と食用油脂を含む、凝固卵黄様食品であって、植物性タンパク素材の由来植物が、マメ科エンドウ属植物、マメ科ササゲ属植物、マメ科ソラマメ属植物、及びマメ科ヒヨコマメ属植物からなる群から選択される1種又は2種以上であり、食用油脂の含有量が、植物性タンパク素材に対する質量比で0.1以上1.1以下である、凝固卵黄様食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性タンパク素材と食用油脂を含む、凝固卵黄様食品であって、
前記植物性タンパク素材の由来植物が、マメ科エンドウ属植物、マメ科ササゲ属植物、マメ科ソラマメ属植物、及びマメ科ヒヨコマメ属植物からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
前記食用油脂の含有量が、前記植物性タンパク素材に対する質量比で0.1以上1.1以下である、凝固卵黄様食品。
【請求項2】
前記植物性タンパク素材の含有量が、当該凝固卵黄様食品全体に対して40質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載の凝固卵黄様食品。
【請求項3】
前記食用油脂の含有量が、当該凝固卵黄様食品全体に対して10質量%以上60質量%以下である、請求項1又は2に記載の凝固卵黄様食品。
【請求項4】
前記食用油脂の20℃における固体脂含量が0%以上60%以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の凝固卵黄様食品。
【請求項5】
前記植物性タンパク素材が粉末状である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の凝固卵黄様食品。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の凝固卵黄様食品を含む、加工食品。
【請求項7】
植物性タンパク素材と食用油脂を混合し混合物を得る工程を含む、凝固卵黄様食品の製造方法であって、
前記植物性タンパク素材の由来植物が、マメ科エンドウ属植物、マメ科ササゲ属植物、マメ科ソラマメ属植物、及びマメ科ヒヨコマメ属植物からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
前記食用油脂の含有量が、前記植物性タンパク素材に対する質量比で0.1以上1.1以下である、凝固卵黄様食品の製造方法。
【請求項8】
前記混合物を加熱する工程をさらに含む、請求項7に記載の凝固卵黄様食品の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の方法により凝固卵黄様食品を得る工程、および
当該凝固卵黄様食品を含む材料を調製して加工食品を得る工程、
を含む、加工食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝固卵黄様食品、加工食品、凝固卵黄様食品の製造方法、並びに加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目玉焼きやゆで卵等の卵食品は、多くの人々に広く親しまれている。しかしながら、卵はアレルゲン原料となるため、卵を摂取できない人々も多く存在している。また、近年は健康に対する関心や環境問題に対する関心の高まりにより、動物性食品を摂取しないビーガン食が普及し始めており、植物性原料のみから製造された卵代替品のニーズが高まっている。このような背景から、卵代替品について種々検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、熱凝固性植物蛋白素材、不溶性微粒子、油脂および硫黄含有塩を含有することを特徴とする固形状卵黄様食品が記載されている。
特許文献2には、卵液と粒子状の水不溶性蛋白質を混合し、当該混合物を加熱して凝固させることを特徴とする加熱凝固卵の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-163909号公報
【特許文献2】特開平1-304866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来報告されている卵代替品においては、数日間保存した後も良好な食感や風味を有する卵代替品を提供するという面でさらなる改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の植物性タンパク素材及び食用油脂を特定の質量比で用いることで、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明によれば、以下の凝固卵黄様食品、加工食品、凝固卵黄様食品の製造方法、並びに加工食品の製造方法が提供される。
[1] 植物性タンパク素材と食用油脂を含む、凝固卵黄様食品であって、
前記植物性タンパク素材の由来植物が、マメ科エンドウ属植物、マメ科ササゲ属植物、マメ科ソラマメ属植物、及びマメ科ヒヨコマメ属植物からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
前記食用油脂の含有量が、前記植物性タンパク素材に対する質量比で0.1以上1.1以下である、凝固卵黄様食品。
[2] 前記植物性タンパク素材の含有量が、当該凝固卵黄様食品全体に対して40質量%以上90質量%以下である、[1]に記載の凝固卵黄様食品。
[3] 前記食用油脂の含有量が、当該凝固卵黄様食品全体に対して10質量%以上60質量%以下である、[1]又は[2]に記載の凝固卵黄様食品。
[4] 前記食用油脂の20℃における固体脂含量が0%以上60%以下である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の凝固卵黄様食品。
[5] 前記植物性タンパク素材が粉末状である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の凝固卵黄様食品。
[6] [1]乃至[5]のいずれか1つに記載の凝固卵黄様食品を含む、加工食品。
[7] 植物性タンパク素材と食用油脂を混合し混合物を得る工程を含む、凝固卵黄様食品の製造方法であって、
前記植物性タンパク素材の由来植物が、マメ科エンドウ属植物、マメ科ササゲ属植物、マメ科ソラマメ属植物、及びマメ科ヒヨコマメ属植物からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
前記食用油脂の含有量が、前記植物性タンパク素材に対する質量比で0.1以上1.1以下である、凝固卵黄様食品の製造方法。
[8] 前記混合物を加熱する工程をさらに含む、[7]に記載の凝固卵黄様食品の製造方法。
[9] [7]又は[8]に記載の方法により凝固卵黄様食品を得る工程、および
当該凝固卵黄様食品を含む材料を調製して加工食品を得る工程、
を含む、加工食品の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、数値範囲の「~」は、断りがなければ、以上から以下を表し、両端の数値をいずれも含む。また、本実施形態において、各成分を単独でまたは2種以上組み合わせて含むことができる。
【0011】
本実施形態において、凝固卵黄様食品は、植物性タンパク素材及び食用油脂を含む。
【0012】
(植物性タンパク素材)
植物性タンパク素材は、植物性タンパク質を含む素材のことである。本実施形態における植物性タンパク素材は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、植物性タンパク素材の由来植物が、マメ科エンドウ属植物、マメ科ササゲ属植物、マメ科ソラマメ属植物、及びマメ科ヒヨコマメ属植物からなる群から選択される1種又は2種以上である。
【0013】
マメ科エンドウ属植物としては、エンドウ等が挙げられる。マメ科ササゲ属植物としては、リョクトウ、ササゲ、アズキ、ケツルアズキ、及びツルアズキ等が挙げられる。マメ科ソラマメ属植物としては、ソラマメ等が挙げられる。マメ科ヒヨコマメ属植物としては、ヒヨコマメ等が挙げられる。
【0014】
本実施形態における植物性タンパク素材に含まれる植物性タンパク質は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、エンドウタンパク質、リョクトウタンパク質、ソラマメタンパク質、及びヒヨコマメタンパク質からなる群から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
【0015】
本実施形態における植物性タンパク素材は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、粉末状であることが好ましい。
【0016】
凝固卵黄様食品中の植物性タンパク素材の含有量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、凝固卵黄様食品全体に対して好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらにより好ましくは55質量%以上、よりいっそう好ましくは60質量%以上、特に好ましくは65質量%以上である。
また、同様の観点から、凝固卵黄様食品中の植物性タンパク素材の含有量は、凝固卵黄様食品全体に対して好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
【0017】
凝固卵黄様食品中の植物性タンパク素材のタンパク質含有量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、凝固卵黄様食品全体に対して好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは47.5質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上、よりいっそう好ましくは52.5質量%以上である。
また、同様の観点から、凝固卵黄様食品中の植物性タンパク素材のタンパク質含有量は、凝固卵黄様食品全体に対して好ましくは85質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。
【0018】
(食用油脂)
本実施形態における食用油脂の具体例として、菜種油、大豆油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、アマニ油、えごま油、紅花油、ひまわり油、綿実油、こめ油、落花生油、シア脂、サル脂、カカオ脂、パーム核油、ヤシ油、グレープシード油、マカダミアナッツオイル、ココナッツオイル、月見草油などの植物油脂;牛脂、豚脂、乳脂、鶏油、魚油等の動物油脂;中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成油脂などが挙げられる。また、これらに分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂が挙げられる。
【0019】
本実施形態における食用油脂は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、好ましくは菜種油、大豆油、パーム油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、えごま油、紅花油、ひまわり油、綿実油、こめ油、落花生油、シア脂、サル脂、カカオ脂、パーム核油、ヤシ油、及びこれらに分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂からなる群から選択される1種または2種以上であり、より好ましくは菜種油、大豆油、パーム油、コーン油、及びこれらに分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂からなる群から選択される1種または2種以上である。
【0020】
本実施形態における食用油脂の形状は限定されず、液状でも固形状でもよい。
食用油脂の10℃における固体脂含量(以下、「SFC」という場合がある)は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、好ましくは0%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上、さらにより好ましくは5%以上、よりいっそう好ましくは10%以上である。
また、同様の観点から、食用油脂の10℃における固体脂含量は、好ましくは90%以下であり、より好ましくは70%以下、さらに好ましくは60%以下、さらにより好ましくは50%以下、よりいっそう好ましくは40%以下である。
【0021】
食用油脂の20℃における固体脂含量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、好ましくは0%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは3%以上、さらにより好ましくは4%以上である。
また、同様の観点から、食用油脂の20℃における固体脂含量は、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、さらにより好ましくは30%以下、よりいっそう好ましくは20%以下である。
【0022】
食用油脂の30℃における固体脂含量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、好ましくは0%以上であり、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは2%以上、さらにより好ましくは2.5%以上である。
また、同様の観点から、食用油脂の30℃における固体脂含量は、好ましくは30%以下であり、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0023】
食用油脂の35℃における固体脂含量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、好ましくは0%以上であり、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上、さらにより好ましくは1.5%以上である。
また、同様の観点から、食用油脂の35℃における固体脂含量は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
【0024】
なお、固体脂含量は、AOCS Official Method Cd16-93に記載のMethod Iに則って測定することができる。
【0025】
また、これら食用油脂は野菜等の風味付与剤で油脂を処理したもの、フレーバー等の香料や、調味料、天然素材等で油脂に風味付けを行ったものでも良い。さらに、通常食用油脂に配合される成分を、発明の効果を損なわない範囲において含有していてもよい。例えば、トコフェロール、アスコルビン酸パルミテート、ローズマリー抽出物、茶抽出物、甘草抽出物等の酸化防止剤;クエン酸やリンゴ酸等の金属キレート剤;ビタミンA、ビタミンD等のビタミン類;シリコーン;香料;乳化剤等である。
【0026】
凝固卵黄様食品中の食用油脂の含有量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、凝固卵黄様食品全体に対して好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらにより好ましくは25質量%以上である。
また、同様の観点から、凝固卵黄様食品中の食用油脂の含有量は、凝固卵黄様食品全体に対して好ましくは60質量%以下であり、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらにより好ましくは45質量%以下、よりいっそう好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下である。
【0027】
凝固卵黄様食品中の食用油脂の含有量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、植物性タンパク素材に対する質量比で0.1以上であり、好ましくは0.15以上、より好ましくは0.2以上、さらに好ましくは0.25以上、さらにより好ましくは0.3以上である。
また、同様の観点から、凝固卵黄様食品中の食用油脂の含有量は、植物性タンパク素材に対する質量比で1.1以下であり、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.7以下、さらにより好ましくは0.6以下、よりいっそう好ましくは0.5以下である。
【0028】
凝固卵黄様食品中の食用油脂の含有量は、食感や風味の経時耐性が良好な凝固卵黄様食品を得る観点から、植物性タンパク素材のタンパク質含有量に対する質量比で好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.2以上、さらにより好ましくは0.25以上、よりいっそう好ましくは0.3以上である。
また、同様の観点から、凝固卵黄様食品中の食用油脂の含有量は、植物性タンパク素材のタンパク質含有量に対する質量比で好ましくは1.3以下であり、より好ましくは1.1以下、さらに好ましくは1.0以下、さらにより好ましくは0.8以下、よりいっそう好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.6以下である。
【0029】
凝固卵黄様食品には、上述の成分以外の成分を適宜配合してもよい。かかる成分の具体例として、例えば、塩やグルタミン酸ナトリウム等の調味料、色素等の着色料、香辛料、香料、保存料、酸味料、増粘剤、ゲル化剤、酸化防止剤、水等が挙げられる。
【0030】
(凝固卵黄様食品)
本実施形態における凝固卵黄様食品とは、鶏卵の卵黄を使用し加熱等により凝固させた卵黄食品と類似した官能的特性を有する卵黄様食品のことをいう。凝固とは、卵黄様食品の少なくとも一部分が凝固していればよく、半熟状のもの等も含まれる。
凝固卵黄様食品は、例えば、ゆで卵の黄身様食品、目玉焼きの黄身様食品等が挙げられる。
【0031】
(加工食品)
本実施形態における加工食品は、上述の凝固卵黄様食品を含む。加工食品は、例えば、目玉焼きやゆで卵等の卵様加工食品、タルタルソース等のソース類、サンドウィッチのフィリング等のフィリング類、ポテトサラダ等のサラダ類等が挙げられる。
好ましくは、目玉焼き、ゆで卵、タルタルソース、フィリング及びポテトサラダからなる群から選択される1種である。
【0032】
(凝固卵黄様食品の製造方法)
本実施形態における凝固卵黄様食品の製造方法は、植物性タンパク素材と食用油脂を混合し混合物を得る工程を含む。
【0033】
前記混合方法は、植物性タンパク素材や食用油脂の性状等に応じて選択することができる。例えば、手で混合する方法、ヘラやスプーン等を用いて混合する方法、ミキサーやニーダーなどの機器を用いて混合する方法等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0034】
凝固卵黄様食品の製造方法は、前記混合工程の後、前記混合物を加熱する工程をさらに含む。
前記加熱方法は限定されず、製造する卵黄様食品に応じて適宜選択することができる。加熱方法の具体例として、焼成加熱調理、レトルト加熱調理、ボイル加熱調理等があげられる。より具体的には、薄く油をひいたフライパンや鉄板上での加熱調理;オーブン等での加熱調理;スチームコンベクションオーブン等での加熱調理;レトルト機器等での加熱調理等が挙げられる。
【0035】
(加工食品の製造方法)
本実施形態における加工食品の製造方法は、上述の凝固卵黄様食品の製造方法により凝固卵黄様食品を得る工程と、得られた凝固卵黄様食品を含む材料を調製して加工食品を得る工程を含む。
【0036】
凝固卵黄様食品を含む材料を調製して加工食品を得る工程において、調製方法は限定されず、製造する加工食品に応じて適宜選択することができる。例えば、混合、切断、加熱、冷却等により調製する方法が挙げられる。
【0037】
加工食品中の凝固卵黄様食品の含有量は、加工食品全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは10質量%以上、よりいっそう好ましくは15質量%以上である。
また、加工食品中の凝固卵黄様食品の含有量は、食品全体に対して好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下、さらにより好ましくは80質量%以下、よりいっそう好ましくは70質量%以下である。
【実施例0038】
以下に、実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明の主旨はこれらに限定されるものではない。
【0039】
原材料として、主に以下のものを使用した。
[植物性タンパク素材]
表1に記載の各素材を使用した。
【0040】
【表1】
【0041】
[食用油脂]
表2に記載の各油脂を使用した。各油脂の固体脂含量(SFC)は、AOCS Official Method Cd16-93に記載のMethod Iの方法に則って測定した。
【0042】
【表2】
【0043】
[その他]
・マヨネーズ:日清マヨドレ(日清オイリオ株式会社製)
【0044】
<実施例1>
表3に示す配合で、各例の凝固卵黄様食品及び当該凝固卵黄様食品を含むタルタルソースを以下の方法により作製した。
1.植物性タンパク素材に油脂を加え、植物性タンパク素材が軽くまとまる程度でボロボロとしたダマ状になるまで、手で混ぜた(実施例のみ)。
2.実施例の場合は上記1.を、比較例の場合は植物性タンパク素材をそのまま、クッキングシートに広げ、スチームコンベクションオーブン(CombimasterplusXS、RATIONAL社製)のオーブン機能を使用し、180℃で約10分焼成し、凝固卵黄様食品を得た。
3.上記2.の凝固卵黄様食品を冷ました後、凝固卵黄様食品5gとマヨネーズ20gを混ぜ合わせ、タルタルソースを得た。
【0045】
作製したタルタルソースを2名の専門パネルが作製直後(D0)及び作製日から5日間冷蔵庫(7℃)で保存後(D5)に喫食し、以下の項目につき以下の基準で評価した。評点は専門パネルの平均点を示し、各項目2.5点以上を合格とした。評価結果を表3にあわせて示す。
【0046】
(ダマの硬さ)
5点:口の中で非常に容易に崩れ、非常に良好な硬さである。
4点:口の中で容易に崩れ、良好な硬さである。
3点:口の中でやや容易に崩れ、やや良好な硬さである。
2点:口の中でやや崩れにくく、やや硬い。
1点:口の中で崩れにくく、非常に硬い。若しくはダマが形成されていない。
【0047】
(卵黄様の食感)
5点:卵黄様のホロっとした粉っぽい食感を強く感じる。
4点:卵黄様のホロっとした粉っぽい食感を感じる。
3点:卵黄様のホロっとした粉っぽい食感をやや感じる。
2点:粉っぽさはあるが、卵黄様のホロっとした食感はあまりない。
1点:卵黄様のホロっとした粉っぽい食感はない。
【0048】
(風味)
5点:異風味を感じない。
4点:ほとんど異風味を感じない。
3点:やや異風味を感じるが、許容範囲内。
2点:異風味を感じる。
1点:異風味を強く感じる。
【0049】
【表3】
【0050】
その結果、表3に示されるように、各実施例では良好な硬さ、食感及び風味を有する凝固卵黄様食品を得ることができた。さらに各実施例では、5日間保存後も大きく品質が落ちることがなく、良好な硬さ、食感及び風味を有していた。
【0051】
<実施例2>
表4に示す配合で、各例の凝固卵黄様食品及び当該凝固卵黄様食品を含むタルタルソースを実施例1と同様の方法により作製した。
【0052】
作製したタルタルソースを2名の専門パネルが作製直後(D0)及び作製日から3日間冷蔵庫(7℃)で保存後(D3)に喫食し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表4にあわせて示す。
【0053】
【表4】
【0054】
その結果、表4に示されるように、各実施例では良好な硬さ、食感及び風味を有する凝固卵黄様食品を得ることができた。さらに各実施例では、3日間保存後も大きく品質が落ちることがなく、良好な硬さ、食感及び風味を有していた。
【0055】
<実施例3>
表5に示す配合で、各例の凝固卵黄様食品及び当該凝固卵黄様食品を含むタルタルソースを以下の方法により作製した。
【0056】
(実施例3-1)
実施例1の2.の工程を以下の工程に変更したことを除き、実施例1と同様の方法により作製した。
2.上記1.を袋に入れ真空包装機(ホットテンプ、ニチワ電機株式会社製)で真空包装(真空度70%)した後、レトルト殺菌機(HLM-36LBC、株式会社平山製作所製)を使用し、121℃で4分加熱し、凝固卵黄様食品を得た。
【0057】
(実施例3-2)
実施例1と同様の方法により作製した。
【0058】
(実施例3-3)
実施例1の2.の工程を以下の工程に変更したことを除き、実施例1と同様の方法により作製した。
2.上記1.を袋に入れ真空包装機で真空包装(真空度70%)した後、スチームコンベクションオーブンのスチームオーブン機能を使用し、100℃で約10分加熱し、凝固卵黄様食品を得た。
【0059】
作製したタルタルソースを2名の専門パネルが作製日から4日間冷蔵庫(7℃)で保存後(D4)に喫食し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表5にあわせて示す。
【0060】
【表5】
【0061】
その結果、表5に示されるように、各実施例では良好な硬さ、食感及び風味を有する凝固卵黄様食品を得ることができた。
【0062】
<実施例4>
表6に示す配合で、各例の凝固卵黄様食品及び当該凝固卵黄様食品を含むタルタルソースを実施例1と同様の方法により作製した。
【0063】
作製したタルタルソースを2名の専門パネルが作製直後(D0)及び作製日から7日間冷蔵庫(7℃)で保存後(D7)に喫食し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表6にあわせて示す。
【0064】
【表6】
【0065】
その結果、表6に示されるように、何れの油脂を用いた場合でも、良好な硬さ、食感及び風味を有する凝固卵黄様食品を得ることができた。中でも、油脂Eを用いた実施例4-4及び油脂Aを用いた実施例4-5が特に良好だった。さらに各実施例では、7日間保存後も大きく品質が落ちることがなく、良好な硬さ、食感及び風味を有していた。
【0066】
<実施例5>
表7に示す配合で、各例の凝固卵黄様食品及び当該凝固卵黄様食品を含むタルタルソースを実施例1と同様の方法により作製した。
【0067】
作製したタルタルソースを2名の専門パネルが作製日から1日冷蔵庫(7℃)で保存後(D1)及び作製日から7日間冷蔵庫(7℃)で保存後(D7)に喫食し、実施例1と同様に評価した。評価結果を表7にあわせて示す。
【0068】
【表7】
【0069】
その結果、表7に示されるように、植物性タンパク素材としてエンドウタンパク、ソラマメタンパク、ヒヨコマメタンパク、及びリョクトウタンパクを使用した各実施例では、1日保存後も良好な硬さ、食感及び風味を有する凝固卵黄様食品を得ることができた。一方で、各比較例に記載の植物性タンパク素材を使用した場合は、良好な硬さ、食感及び風味を有する凝固卵黄様食品を得ることができなかった。さらに7日間保存後の評価をした各実施例では、7日間保存後も大きく品質が落ちることがなく、良好な硬さ、食感及び風味を有していた。