(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014738
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/46 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118871
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郷津 雄資
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
5E316BB16
5E316CC06
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316DD02
5E316DD25
5E316DD33
5E316FF03
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH07
(57)【要約】
【課題】多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性を向上すること。
【解決手段】配線基板は、配線層と、絶縁層と、複数の開口部と、接続端子とを有する。配線層は、配線パターンを備える。絶縁層は、配線層上に積層され、配線パターンを被覆する。複数の開口部は、絶縁層を配線パターンまで貫通し、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる。接続端子は、各開口部に形成され、各開口部から露出する配線パターンの上面に接触する。配線層は、単層の金属層からなる第1配線パターンと、積層された複数の金属層からなり、第1配線パターンよりも厚い第2配線パターンとを有する。第2配線パターンの最上層の金属層は、接続端子との接触面であり、最上層以外の層の金属層の上面と幅が同一である上面を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンを備える配線層と、
前記配線層上に積層され、前記配線パターンを被覆する絶縁層と、
前記絶縁層を前記配線パターンまで貫通し、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる複数の開口部と、
各前記開口部に形成され、各前記開口部から露出する前記配線パターンの上面に接触する接続端子とを有し、
前記配線層は、
単層の金属層からなる第1配線パターンと、
積層された複数の金属層からなり、前記第1配線パターンよりも厚い第2配線パターンとを有し、
前記第2配線パターンの最上層の前記金属層は、
前記接続端子との接触面であり、最上層以外の層の前記金属層の上面と幅が同一である上面、又は最上層以外の層の前記金属層の上面よりも幅が大きい上面を有することを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第2配線パターンの最上層の前記金属層は、
断面形状において、側面が最上層以外の層の前記金属層の側面と同一直線上に位置し且つ直線状である
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第2配線パターンの最上層の前記金属層は、
断面形状において、側面が最上層以外の層の前記金属層の側面と同一直線上に位置し且つテーパ状である
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第2配線パターンの最上層の前記金属層は、
断面形状において、側面が最上層以外の層の前記金属層の側面よりも外方に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2配線パターンの最上層の前記金属層は、
最上層以外の層の前記金属層とは異なる金属の層である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の配線基板。
【請求項6】
前記複数の開口部は、
第1開口部と、
前記第1開口部よりも径及びピッチが小さい第2開口部とを有し、
前記第1開口部は、
前記絶縁層を前記第1配線パターンまで貫通し、
前記第2開口部は、
前記絶縁層を前記第2配線パターンまで貫通する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記複数の開口部は、
第1開口部と、
前記第1開口部よりも径及びピッチが大きい第2開口部とを有し、
前記第1開口部は、
前記絶縁層を前記第1配線パターンまで貫通し、
前記第2開口部は、
前記絶縁層を前記第2配線パターンまで貫通する
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項8】
配線パターンを備える配線層を形成する工程と、
前記配線層上に、前記配線パターンを被覆する絶縁層を積層する工程と、
前記絶縁層に、前記配線パターンまで貫通し、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる複数の開口部を形成する工程と、
各前記開口部に、各前記開口部から露出する前記配線パターンの上面に接触する接続端子を形成する工程とを有し、
前記配線層を形成する工程は、
単層の金属層を積層して、第1配線パターンを形成する工程と、
複数の金属層を積層して、前記第1配線パターンよりも厚い第2配線パターンを形成する工程とを有し、
前記第2配線パターンを形成する工程では、
前記第2配線パターンの最上層の前記金属層の、前記接続端子との接触面である上面の幅を、最上層以外の層の前記金属層の上面の幅と同一にする、又は最上層以外の層の前記金属層の上面の幅よりも大きくする
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップが搭載される配線基板には、半導体チップとの接続端子が形成される。接続端子は、配線基板における配線層の配線パターンに接触する金属の突起であり、配線パターンを被覆する絶縁層に設けられる開口部から外方へ突出する。
【0003】
配線基板と半導体チップは、一般に、複数の接続端子を介して接続される。このような場合、接続端子の径及びピッチは、すべて同一であるとは限らず、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる接続端子が設けられることがある。例えば、電気信号の入出力のための接続端子は比較的小径且つ小ピッチである一方、電源電圧の印可のための接続端子は比較的大径且つ大ピッチである等のように、小径且つ小ピッチの接続端子と大径且つ大ピッチの接続端子とが混在する。
【0004】
かかる複数の接続端子は、配線パターンを被覆する絶縁層に、配線パターンまで貫通し且つ径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる複数の開口部を形成し、各開口部において、例えば電解銅めっきが施されることにより、形成される。例えば、小径及び小ピッチの開口部において、小径且つ小ピッチの接続端子が形成され、大径及び大ピッチの開口部において、大径且つ大ピッチの接続端子が形成される。
【0005】
しかしながら、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる複数の開口部において電解銅めっきが施される場合、各開口部の径及びピッチの差等の種々の要因に応じて電解銅の析出速度に差が生じるため、これら複数の開口部に形成される複数の接続端子の高さに差が生じることがある。このように高さが異なる複数の接続端子が混在すると、配線基板と半導体チップの接続信頼性が低下するおそれがある。例えば、高さが低い接続端子では、接続端子の頂部と半導体チップの電極とが十分に接触せずにオープン不良が発生することがある。また、オープン不良を回避するために接続用のはんだ量を多くすると、高さが高い接続端子では、余剰なはんだが横方向へ伸張し、近隣の接続端子と接触するショート不良が発生することがある。
【0006】
これに対して、複数の接続端子の高さを等しくする目的から、接続端子が接触する配線層の配線パターンとして、単層構造の配線パターンと、単層構造の配線パターンよりも厚い多層構造の配線パターンとを有する配線基板が提案されている。単層構造の配線パターンは、単層の金属層を積層して形成され、多層構造の配線パターンは、複数の金属層を積層して形成される。かかる配線基板では、多層構造の配線パターンの厚さを適宜調整することにより、複数の接続端子の高さを等しくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した配線基板の多層構造の配線パターンにおいては、最上層の金属層の幅が小さくなって、配線パターンと接続端子の接続信頼性が低下することがあるという問題がある。
【0009】
すなわち、多層構造の配線パターンを形成する際には、一般に、相対的に幅が大きい金属層上に相対的に幅が小さい金属層が積層される。このため、多層構造の配線パターンにおいて、接続端子との接触面である、最上層の金属層の上面は、最上層以外の層の金属層の上面よりも幅が小さくなる。最上層の金属層の上面の幅が小さいと、配線基板では、配線パターンを被覆する絶縁層に配線パターンまで貫通する開口部を形成する際に、配線パターンの上面と開口部の底部の接触領域の面積が小さくなることがある。その結果、配線パターンの上面と開口部に形成される接続端子の接触領域の面積も小さくなり、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性が低下してしまう。
【0010】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性を向上することができる配線基板及び配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願の開示する配線基板は、一つの態様において、配線層と、絶縁層と、複数の開口部と、接続端子とを有する。配線層は、配線パターンを備える。絶縁層は、配線層上に積層され、配線パターンを被覆する。複数の開口部は、絶縁層を配線パターンまで貫通し、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる。接続端子は、各開口部に形成され、各開口部から露出する配線パターンの上面に接触する。配線層は、単層の金属層からなる第1配線パターンと、積層された複数の金属層からなり、第1配線パターンよりも厚い第2配線パターンとを有する。第2配線パターンの最上層の金属層は、接続端子との接触面であり、最上層以外の層の金属層の上面と幅が同一である上面を有する。
【発明の効果】
【0012】
本願の開示する配線基板の一つの態様によれば、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、配線層の第2配線パターンの構造を拡大して示す図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る配線基板の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、配線層形成工程の具体例を示す図である。
【
図5】
図5は、絶縁層積層工程の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、開口部形成工程の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、シード層形成工程の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、DFR層形成工程の具体例を示す図である。
【
図9】
図9は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。
【
図10】
図10は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態における配線層形成工程の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、シード層形成工程の具体例を示す図である。
【
図13】
図13は、DFR層積層工程の具体例を示す図である。
【
図15】
図15は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。
【
図16】
図16は、DFR層積層工程の具体例を示す図である。
【
図18】
図18は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。
【
図19】
図19は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【
図20】
図20は、第2実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【
図21】
図21は、第2実施形態における配線層形成工程の流れを示すフローチャートである。
【
図23】
図23は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。
【
図24】
図24は、DFR層積層工程の具体例を示す図である。
【
図26】
図26は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。
【
図27】
図27は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【
図28】
図28は、第3実施形態に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【
図29】
図29は、第3実施形態における配線層形成工程の流れを示すフローチャートである。
【
図30】
図30は、電解ニッケルめっき工程の具体例を示す図である。
【
図31】
図31は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【
図32】
図32は、シード層エッチング工程の具体例を示す図である。
【
図33】
図33は、変形例に係る配線基板の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本願の開示する配線基板及び配線基板の製造方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る配線基板100の構成を示す断面図である。
図1においては、接続端子が形成される配線基板100の表面付近の断面を示す。以下の説明においては、接続端子が形成される側の面を配線基板100の「上面」と呼ぶとともに、これに準じて上下方向を規定するが、配線基板100は、例えば上下反転して製造及び使用されても良く、任意の姿勢で製造及び使用されて良い。
【0016】
配線基板100は、絶縁層110、120、配線層111及び接続端子131、132を有する。
図1においては図示を省略しているが、絶縁層110の下方には、他の絶縁層及び配線層が形成されても良く、例えばガラス等を材料とするコア層が形成されても良い。
【0017】
絶縁層110は、例えばエポキシ系樹脂又はポリイミド系樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いて形成される。絶縁性樹脂としては、例えば、熱硬化性の絶縁性樹脂又は感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層110は、シリカ(SiO2)などのフィラーを含んでいても良い。
【0018】
配線層111は、絶縁層110上に積層される。配線層111の材料としては、例えば銅等を用いることができる。配線層111は、絶縁層110を貫通する図示しないビア配線等を介して、絶縁層110の下方の図示しない配線層と接続されていても良い。
【0019】
配線層111は、第1配線パターン210と、第1配線パターン210よりも厚い第2配線パターン220とを有する。第1配線パターン210は、単層の金属層から構成される。第2配線パターン220は、金属層221上に金属層222が積層されて構成される。金属層222は、最上層の金属層である。
図1においては、2層の金属層221、222が積層されているが、積層される金属層の数は3つ以上であっても良い。後述するように、第2配線パターン220の最上層の金属層222の上面は、最上層と隣接する層の金属層221の上面と幅が同一となっている。
【0020】
絶縁層120は、配線層111の配線パターン(つまり、第1配線パターン210及び第2配線パターン220)を被覆するように形成される。絶縁層120は、配線基板100の上面側の最外絶縁層である。絶縁層120の材料や厚さは、例えば絶縁層110と同様とすることができる。絶縁層120も絶縁層110と同様に、シリカ(SiO2)などのフィラーを含んでいても良い。
【0021】
絶縁層120には、絶縁層120を貫通し、底部から配線層111の配線パターン(つまり、第1配線パターン210及び第2配線パターン220)の上面を露出させる開口部121、122が形成されている。開口部121、122の径及びピッチの少なくともいずれか一方は異なっており、開口部122は、開口部121よりも径及びピッチの少なくともいずれか一方が小さい。本実施形態においては、開口部122は、開口部121よりも径及びピッチの両方が小さい。開口部121は、絶縁層120を第1配線パターン210まで貫通し、底部から第1配線パターン210の上面を露出させている。開口部122は、絶縁層120を第2配線パターン220まで貫通し、底部から第2配線パターン220の上面を露出させている。
【0022】
開口部121、122には、配線層111の配線パターンと半導体チップの電極とを接続するための接続端子131、132が形成される。開口部121、122の径及びピッチが異なるため、接続端子131、132の径及びピッチも異なる。すなわち、大径且つ大ピッチの開口部121には大径且つ大ピッチの接続端子131が形成され、小径且つ小ピッチの開口部122には小径且つ小ピッチの接続端子132が形成される。接続端子131、132は、開口部121、122から露出する配線パターン(つまり、第1配線パターン210及び第2配線パターン220)の上面に接触している。
【0023】
開口部121、122の径及びピッチが異なるため、接続端子131、132の高さに差が生じる可能性がある。例えば、小径且つ小ピッチの開口部122に形成される接続端子132の絶縁層120の上面からの高さが接続端子131の高さよりも低くなる可能性がある。本実施形態においては、接続端子132と接触する第2配線パターン220が接続端子131と接触する第1配線パターン210よりも厚くなっている。このため、第2配線パターン220の厚さを適宜調整することにより、接続端子131、132の高さを等しくすることができる。
【0024】
図2を参照して、接続端子132と第2配線パターン220の接触部分の構成について、具体的に説明する。
図2は、配線層111の第2配線パターン220の構造を拡大して示す図である。上述の通り、第2配線パターン220は、金属層221上に金属層222が積層された2層構造を有する。
【0025】
第2配線パターン220の最上層の金属層222の上面は、接続端子132との接触面である。最上層の金属層222の上面は、最上層に隣接する層の金属層221の上面と幅が同一である。すなわち、金属層222の上面の幅W1が金属層221の上面の幅W2と同一である。
【0026】
このように、第2配線パターン220の最上層の金属層222は、最上層以外の層の金属層221の上面と幅が同一である上面を有し、かかる上面において接続端子132と接触する。このため、最上層の金属層の上面が最上層以外の層の金属層の上面よりも幅が小さい場合と比較して、最上層の金属層222の上面(つまり、第2配線パターン220の上面)の表面積を大きくすることができる。これにより、絶縁層120に第2配線パターン220まで貫通する開口部122を形成する際に、第2配線パターン220の上面と開口部122の底部の接触領域の面積を大きくすることができる。その結果、第2配線パターン220の上面と開口部122に形成される接続端子132の接触領域の面積を大きくすることができ、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性を向上することができる。
【0027】
また、第2配線パターン220の最上層の金属層222の断面形状は、側面が最上層に隣接する層の金属層221の側面と同一直線上に位置し且つ直線状の断面形状である。すなわち、第2配線パターン220の最上層の金属層222の側面と最上層に隣接する層の金属層221の側面とは、断面形状において、連続し且つ直線状に延びるように形成されている。このように、第2配線パターン220の最上層の金属層222の側面と最上層に隣接する層の金属層221の側面とが連続して直線状に延びることにより、絶縁層120から第2配線パターン220の側面へ付与される応力を均等に分散することができる。その結果、最上層の金属層222と最上層に隣接する層の金属層221との剥離を抑制することができ、多層構造の配線パターンにおける電気特性の低下を抑制することができる。
【0028】
次に、上記のように構成される配線基板100の製造方法について、具体的に例を挙げながら、
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る配線基板100の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0029】
まず、絶縁層110上に、配線パターンを備える配線層111が形成される(ステップS101)。具体的には、例えば
図4に示すように、絶縁層110上に、第1配線パターン210及び第1配線パターン210よりも厚い第2配線パターン220を備える配線層111が形成される。
図4は、配線層形成工程の具体例を示す図である。第1配線パターン210は、例えばセミアディティブ法により、単層の金属層を積層して形成される。第2配線パターンは、例えばセミアディティブ法により、金属層221、222を積層して形成される。第2配線パターン220は、最上層の金属層222の、接続端子132との接触面である上面の幅(
図2の幅W1)が最上層に隣接する層の金属層221の上面の幅(
図2の幅W2)と同一となるように、形成される。なお、配線層111の形成工程に関しては、後に詳述する。
【0030】
配線層111が形成されると、絶縁層110上及び配線層111上に、配線層111の配線パターンを被覆するように絶縁層120が積層される(ステップS102)。具体的には、例えば
図5に示すように、絶縁層110上及び配線層111上に、配線層111の配線パターンを被覆するように絶縁層120が積層される。
図5は、絶縁層積層工程の具体例を示す図である。絶縁層120は、配線基板100の上面側の最外絶縁層である。
【0031】
絶縁層120が積層されると、絶縁層120には、半導体チップとの接続端子が設けられる位置に開口部121、122が形成される(ステップS103)。具体的には、例えば
図6に示すように、絶縁層120を貫通し、底部から配線層111の配線パターン(つまり、第1配線パターン210及び第2配線パターン220)の上面が露出する開口部121、122が形成される。このとき、例えば半導体チップの電極の種類によって接続端子の大きさが異なるため、開口部121の径及びピッチと開口部122の径及びピッチとは異なる。すなわち、例えば電気信号の入出力のための接続端子が形成される開口部122は比較的小径且つ小ピッチであるのに対し、電源電圧の印加のための接続端子が形成される開口部121は比較的大径且つ大ピッチである。
図6は、開口部形成工程の具体例を示す図である。
【0032】
開口部121、122は、例えばCO2レーザを用いたレーザ加工法などにより形成することができる。開口部121は、レーザ加工法によって絶縁層120を第1配線パターン210まで貫通するように形成される。開口部122は、レーザ加工法によって絶縁層120を第2配線パターン220まで貫通するように形成される。
【0033】
第2配線パターン220は、最上層の金属層222の、接続端子132との接触面である上面の幅が最上層に隣接する層の金属層221の上面の幅と同一となるように、形成されている。このため、開口部122がレーザ加工法によって形成される場合には、第2配線パターン220の上面と開口部122の底部の接触領域の面積を大きくすることができ、第2配線パターン220の上面に対する開口部122の脱落の可能性を低減できる。
【0034】
開口部121、122の形成後、絶縁層120の上面にシード層123が形成される(ステップS104)。具体的には、例えば
図7に示すように、絶縁層120の上面と、開口部121、122の内面と、開口部121、122の底部において露出する配線層111の配線パターンの上面とを連続的に被覆するシード層123が、例えばスパッタ法又は無電解めっき法により形成される。シード層123の材料としては、例えば銅(Cu)、ニッケル(Ni)又は銅ニッケル合金(Cu-Ni)などを用いることが可能であるが、ここでは銅(Cu)が用いられるものとする。シード層123の厚さは、例えば100~300nm程度とすることができる。
図7は、シード層形成工程の具体例を示す図である。
【0035】
シード層123の形成後、シード層123の上面に電解銅めっきのマスクとなるドライフィルムレジスト(DFR)層が形成される(ステップS105)。具体的には、シード層123上にDFRが積層され、接続端子131、132の位置に応じた露光及び現像が行われることにより、例えば
図8に示すように、接続端子131、132が形成される位置に開口部を有するDFR140が形成される。
図8は、DFR層形成工程の具体例を示す図である。
【0036】
そして、シード層123を給電層として利用する電解銅めっきが施されることにより(ステップS106)、開口部121、122に接続端子が形成される。具体的には、例えば
図9に示すように、開口部121、122の内部とDFR140の開口部内部とに、銅(Cu)が析出し、接続端子131、132が形成される。
図9は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。このとき、開口部121、122内が銅により充填され、接続端子131が開口部121から露出する第1配線パターン210の上面に接触するとともに、接続端子132が開口部122から露出する第2配線パターン220の上面に接触する。上述の通り、第2配線パターン220の上面と開口部122の底部の接触領域の面積が大きくなっているため、第2配線パターン220の上面と開口部122に形成される接続端子132の接触領域の面積も大きくなる。その結果、配線パターンと接続端子の接続信頼性を向上することができる。
【0037】
接続端子131、132が形成されると、例えばアルカリ性の剥離液により、DFR140が除去される(ステップS107)。これにより、例えば
図10に示すように、接続端子131、132が絶縁層120から上方へ突起する構造体が得られる。
図10は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【0038】
そして、接続端子131、132をマスクとして、接続端子131、132と重ならない部分のシード層123がエッチングにより除去される(ステップS108)。これにより、
図1に示した配線基板100が得られる。なお、
図1においては、シード層123が省略されている。
【0039】
次に、第1実施形態における配線層111の形成工程について、より具体的に
図11を参照しながら説明する。
図11は、第1実施形態における配線層形成工程の流れを示すフローチャートである。
【0040】
まず、絶縁層110上にシード層が形成される(ステップS201)。具体的には、例えば
図12に示すように、絶縁層110の上面に、例えば無電解銅めっきによってシード層112が形成される。シード層112の厚さは、例えば1μmであり、0.5~1.5μmの範囲に含まれる。
図12は、シード層形成工程の具体例を示す図である。
【0041】
そして、シード層112上にDFRが積層される(ステップS202)。具体的には、例えば
図13に示すように、シード層112の上面に、DFR230が積層される。
図13は、DFR層積層工程の具体例を示す図である。
【0042】
DFR230が積層されると、配線パターンの位置に応じた露光及び現像が行われる(ステップS203)。これにより、例えば
図14に示すように、DFR230の配線パターンが形成される位置に、径及びピッチが異なる開口部230a、230bが形成される。
図14は、現像工程の具体例を示す図である。ここでは、DFR230に、比較的に径及びピッチが大きい開口部230aと、比較的に径及びピッチが小さい開口部230bとが形成されるものとしている。開口部230a、230bの断面形状は、内側面が直線状の断面形状である。
【0043】
そして、シード層112を給電層として利用する電解銅めっきが施されることにより(ステップS204)、開口部230a、230bに銅(Cu)が析出し、単層の金属層が形成される。具体的には、例えば
図15に示すように、DFR230の開口部から露出するシード層112上に単層の金属層である金属層211、221が積層される。
図15は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。DFR230の開口部230aから露出するシード層112上に金属層211が積層されることにより、単層の金属層211からなる第1配線パターン210が形成される。また、DFR230の開口部230bから露出するシード層112上には、第2配線パターン220の最下層となる金属層221が積層される。なお、金属層211、221は、開口部230a、230bを完全に埋め込まない膜厚で積層される。
【0044】
金属層211、221が積層されると、DFR230上に他のDFRが積層される(ステップS205)。具体的には、例えば
図16に示すように、DFR230の上面に、DFR240が積層され、同時に、DFR240の一部がDFR230の開口部230a、230b内の空間まで伸展し、開口部230a、230b内の空間に充填される。
図16は、DFR層積層工程の具体例を示す図である。
【0045】
DFR240が積層されると、第2配線パターン220の位置に応じた露光及び現像が行われる(ステップS206)。これにより、例えば
図17に示すように、DFR240の開口部230a、230bと重複する領域に開口部240aが形成され、同時に開口部230b内の空間からDFR240の一部が除去される。
図17は、現像工程の具体例を示す図である。開口部230b内の空間からDFR240の一部が除去されることにより、開口部230bの底部において金属層221の上面が露出する。
【0046】
そして、シード層112を給電層として利用する電解銅めっきが施されることにより(ステップS207)、開口部230bから露出する金属層221の上面に銅(Cu)が析出し、金属層が形成される。具体的には、例えば
図18に示すように、開口部230bから露出する金属層221上に金属層222が積層される。
図18は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。開口部230bから露出する金属層221上に金属層222が積層されることにより、開口部230bに、積層された金属層221、222からなり、第1配線パターン210よりも厚い第2配線パターン220が形成される。
【0047】
開口部230bの断面形状は、内側面が直線状の断面形状であることから、開口部230bの内側面に沿って形成される第2配線パターン220の幅は上端から下端まで一定である。このため、第2配線パターン220の最上層の金属層222の上面の幅は、最上層に隣接する層の金属層221の上面の幅と同一である。また、第2配線パターン220の最上層の金属層222の側面は、開口部230bの直線状の内側面に沿って形成される。このため、第2配線パターン220の最上層の金属層222の断面形状は、側面が金属層221の側面と同一直線上に位置し且つ直線状の断面形状である。
【0048】
第2配線パターン220が形成されると、例えばアルカリ性の剥離液により、DFR230、240が除去される(ステップS208)。DFR230、240の剥離により、例えば
図19示すように、シード層112上に第1配線パターン210及び第2配線パターン220が形成された状態の配線層111が得られる。
図19は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【0049】
そして、第1配線パターン210及び第2配線パターン220をマスクとして、第1配線パターン210及び第2配線パターン220と重ならない部分のシード層112がエッチングにより除去される(ステップS209)。これにより、配線層111の形成が完了する。
【0050】
以上のように、第1実施形態に係る配線基板(例えば、配線基板100)は、配線層(例えば、配線層111)と、絶縁層(例えば、絶縁層120)と、複数の開口部(例えば、開口部121、122)と、接続端子(例えば、接続端子131、132)とを有する。配線層は、配線パターン(例えば、第1配線パターン210及び第2配線パターン220)を備える。絶縁層は、配線層上に積層され、配線パターンを被覆する。複数の開口部は、絶縁層を配線パターンまで貫通し、径及びピッチの少なくともいずれか一方が異なる。接続端子は、各開口部に形成され、各開口部から露出する配線パターンの上面に接触する。配線層は、単層の金属層(例えば、金属層211)からなる第1配線パターンと、積層された複数の金属層(例えば、金属層221、222)からなり、第1配線パターンよりも厚い第2配線パターンとを有する。第2配線パターンの最上層の金属層(例えば、金属層222)は、接続端子との接触面であり、最上層以外の層の金属層(例えば、金属層221)の上面と幅が同一である上面を有する。これにより、第1実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性を向上することができる。
【0051】
また、第1実施形態に係る第2配線パターンの最上層の金属層は、断面形状において、側面が最上層以外の層の金属層の側面と同一直線上に位置し且つ直線状である。これにより、第1実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンにおける電気特性の低下を抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態に係る複数の開口部は、第1開口部(例えば、開口部121)と、第1開口部よりも径及びピッチが小さい第2開口部(例えば、開口部122)とを有する。第1開口部は、絶縁層を第1配線パターンまで貫通し、第2開口部は、絶縁層を第2配線パターンまで貫通する。これにより、第1実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンと径及びピッチが小さい開口部に形成された接続端子の接続信頼性を向上することができる。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態における配線層111の構造のバリエーションに関する。
【0054】
図20は、第2実施形態に係る配線基板100の構成を示す断面図である。
図20において、
図1と同じ部分には同じ符号を付す。
図20においては、接続端子が形成される配線基板100の表面付近の断面を示す。
図20に示す配線基板100は、絶縁層110、120、配線層111及び接続端子131、132を有する。
図20においては図示を省略しているが、絶縁層110の下方には、他の絶縁層及び配線層が形成されても良く、例えばガラス等を材料とするコア層が形成されても良い。
【0055】
配線層111は、第1配線パターン210Aと、第1配線パターン210Aよりも厚い第2配線パターン220Aとを有する。第1配線パターン210Aは、単層の金属層から構成される。第2配線パターン220Aは、金属層221A上に金属層222Aが積層されて構成される。金属層222Aは、最上層の金属層である。
図20においては、2層の金属層221A、222Aが積層されているが、積層される金属層の数は3つ以上であっても良い。
【0056】
第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの上面は、接続端子132との接触面である。最上層の金属層222Aの上面は、最上層と隣接する層の金属層221Aの上面よりも幅が大きい。すなわち、金属層222Aの上面の幅W1(
図2参照)が金属層221Aの上面の幅W2(
図2参照)よりも大きい。
【0057】
このように、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aは、最上層以外の層の金属層221Aの上面よりも幅が大きい上面を有し、かかる上面において接続端子132と接触する。このため、最上層の金属層の上面が最上層以外の層の金属層の上面よりも幅が小さい場合と比較して、最上層の金属層222Aの上面(つまり、第2配線パターン220Aの上面)の表面積をより大きくすることができる。これにより、絶縁層120に第2配線パターン220Aまで貫通する開口部122を形成する際に、第2配線パターン220Aの上面と開口部122の底部の接触領域の面積をより大きくすることができる。その結果、第2配線パターン220Aの上面と開口部122に形成される接続端子132の接触領域の面積をより大きくすることができ、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性をより向上することができる。
【0058】
また、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの断面形状は、側面が最上層に隣接する層の金属層221Aの側面と同一直線上に位置し且つテーパ状の断面形状である。すなわち、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの側面と最上層に隣接する層の金属層221Aの側面とは、断面形状において、連続し且つ直線状に延びるように形成されている。このように、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの側面と最上層に隣接する層の金属層221Aの側面とが連続してテーパ状に形成されることにより、絶縁層120から第2配線パターン220Aの側面へ付与される応力を均等に分散することができる。その結果、最上層の金属層222と最上層に隣接する層の金属層221との剥離を抑制することができ、多層構造の配線パターンにおける電気特性の低下を抑制することができる。
【0059】
次に、上記のように構成される配線基板100の製造方法について説明する。第2実施形態に係る配線基板100の製造方法は、配線層111の形成工程が第1実施形態に係る配線基板100の製造方法と異なる。そこで、以下においては、第2実施形態における配線層111の形成工程について、具体的に例を挙げながら
図21を参照して説明する。
図21は、第2実施形態における配線層形成工程の流れを示すフローチャートである。
図21において、ステップS301、S302、S309の工程は、それぞれ
図11に示すステップS201、S202、S209と同じ工程であるため、その詳細な説明を省略する。
【0060】
まず、絶縁層110上にシード層112が形成される(ステップS301)。そして、シード層112上にDFR230が積層される(ステップS302)。
【0061】
DFR230が積層されると、配線パターンの位置に応じたレーザ加工が施される(ステップS303)。これにより、例えば
図22に示すように、DFR230の配線パターンが形成される位置に、径及びピッチが異なる開口部230c、230dが形成される。
図22は、レーザ加工工程の具体例を示す図である。ここでは、DFR230に、比較的に径及びピッチが大きい開口部230aと、比較的に径及びピッチが小さい開口部230bとが形成されるものとしている。レーザ加工には、CO
2レーザなどが用いられる。レーザ加工によって形成される開口部230c、230dの断面形状は、内側面がテーパ状の断面形状である。
【0062】
そして、シード層112を給電層として利用する電解銅めっきが施されることにより(ステップS304)、開口部230c、230dに銅(Cu)が析出し、単層の金属層が形成される。具体的には、例えば
図23に示すように、DFR230の開口部から露出するシード層112上に単層の金属層である金属層211A、221Aが積層される。
図23は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。DFR230の開口部230cから露出するシード層112上に金属層211Aが積層されることにより、単層の金属層211Aからなる第1配線パターン210Aが形成される。また、DFR230の開口部230dから露出するシード層112上には、第2配線パターン220Aの最下層となる金属層221Aが積層される。なお、金属層211A、221Aは、開口部230c、230dを完全に埋め込まない膜厚で積層される。
【0063】
金属層211A、221Aが積層されると、DFR230上に他のDFRが積層される(ステップS305)。具体的には、例えば
図24に示すように、DFR230の上面に、DFR240が積層され、同時に、DFR240の一部がDFR230の開口部230c、230d内の空間まで伸展し、開口部230c、230d内の空間に充填される。
図24は、DFR層積層工程の具体例を示す図である。
【0064】
DFR240が積層されると、第2配線パターン220の位置に応じた露光及び現像が行われる(ステップS306)。これにより、例えば
図25に示すように、DFR240の開口部230c、230dと重複する領域に開口部240aが形成され、同時に開口部230d内の空間からDFR240の一部が除去される。
図25は、現像工程の具体例を示す図である。開口部230d内の空間からDFR240の一部が除去されることにより、開口部230dの底部において金属層221Aの上面が露出する。
【0065】
そして、シード層112を給電層として利用する電解銅めっきが施されることにより(ステップS307)、開口部230dから露出する金属層221Aの上面に銅(Cu)が析出し、金属層が形成される。具体的には、例えば
図26に示すように、開口部230dから露出する金属層221A上に金属層222Aが積層される。
図26は、電解銅めっき工程の具体例を示す図である。開口部230dから露出する金属層221上Aに金属層222Aが積層されることにより、開口部230dに、積層された金属層221A、222Aからなり、第1配線パターン210Aよりも厚い第2配線パターン220Aが形成される。
【0066】
開口部230dの断面形状は、内側面がテーパ状の断面形状であることから、開口部230dの内側面に沿って形成される第2配線パターン220Aの幅は上端から下端に向かうにつれて大きくなる。このため、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの上面の幅は、最上層に隣接する層の金属層221Aの上面の幅よりも大きい。また、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの側面は、開口部230dのテーパ状の内側面に沿って形成される。このため、第2配線パターン220Aの最上層の金属層222Aの断面形状は、側面が金属層221Aの側面と同一直線上に位置し且つテーパ状の断面形状である。
【0067】
第2配線パターン220Aが形成されると、例えばアルカリ性の剥離液により、DFR230、240が除去される(ステップS308)。DFR230、240の剥離により、例えば
図27示すように、シード層112上に第1配線パターン210A及び第2配線パターン220Aが形成された状態の配線層111が得られる。
図27は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【0068】
そして、第1配線パターン210A及び第2配線パターン220Aをマスクとして、第1配線パターン210A及び第2配線パターン220Aと重ならない部分のシード層112がエッチングにより除去される(ステップS309)。これにより、配線層111の形成が完了する。
【0069】
以上のように、第2実施形態に係る第2配線パターン(例えば、第2配線パターン220A)の最上層の金属層(例えば、金属層222A)は、接続端子との接触面であり、最上層以外の層の金属層(例えば、金属層221A)の上面よりも幅が大きい上面を有する。これにより、第2実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性をより向上することができる。
【0070】
また、第2実施形態に係る第2配線パターンの最上層の金属層は、断面形状において、側面が最上層以外の層の金属層の側面と同一直線上に位置し且つテーパ状である。これにより、第2実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンにおける電気特性の低下を抑制することができる。
【0071】
(第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態における配線層111の構造のバリエーションに関する。
【0072】
図28は、第3実施形態に係る配線基板100の構成を示す断面図である。
図28において、
図1と同じ部分には同じ符号を付す。
図28においては、接続端子が形成される配線基板100の表面付近の断面を示す。
図28に示す配線基板100は、絶縁層110、120、配線層111及び接続端子131、132を有する。
図28においては図示を省略しているが、絶縁層110の下方には、他の絶縁層及び配線層が形成されても良く、例えばガラス等を材料とするコア層が形成されても良い。
【0073】
配線層111は、第1配線パターン210Bと、第1配線パターン210Bよりも厚い第2配線パターン220Bとを有する。第1配線パターン210Bは、単層の金属層から構成される。第2配線パターン220Bは、金属層221B上に金属層222Bが積層されて構成される。金属層222Bは、最上層の金属層である。
図28においては、2層の金属層221B、222Bが積層されているが、積層される金属層の数は3つ以上であっても良い。
【0074】
第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの上面は、接続端子132との接触面である。最上層の金属層222Bの上面は、最上層と隣接する層の金属層221Bの上面よりも幅が大きい。すなわち、金属層222Bの上面の幅W1(
図2参照)が金属層221Bの上面の幅W2(
図2参照)よりも大きい。
【0075】
このように、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bは、最上層以外の層の金属層221Bの上面よりも幅が大きい上面を有し、かかる上面において接続端子132と接触する。このため、最上層の金属層の上面が最上層以外の層の金属層の上面よりも幅が小さい場合と比較して、最上層の金属層222Bの上面(つまり、第2配線パターン220Bの上面)の表面積をより大きくすることができる。これにより、絶縁層120に第2配線パターン220Bまで貫通する開口部122を形成する際に、第2配線パターン220Bの上面と開口部122の底部の接触領域の面積をより大きくすることができる。その結果、第2配線パターン220Bの上面と開口部122に形成される接続端子132の接触領域の面積をより大きくすることができ、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性をより向上することができる。
【0076】
また、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの断面形状は、側面が最上層に隣接する層の金属層221Bの側面よりも外方に位置する断面形状である。すなわち、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの側面と最上層に隣接する層の金属層221Bの側面とは、断面形状において、幅方向の段差を介して接続するように形成されている。このように、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの側面と最上層に隣接する層の金属層221Bの側面との間に幅方向の段差が形成されることにより、第2配線パターン220Bの上面の表面積を増大させることができる。その結果、第2配線パターン220Bの抵抗損失を低減することができ、多層構造の配線パターンにおける電気特性の低下を抑制することができる。
【0077】
次に、上記のように構成される配線基板100の製造方法について説明する。第3実施形態に係る配線基板100の製造方法は、配線層111の形成工程が第1実施形態に係る配線基板100の製造方法と異なる。そこで、以下においては、第3実施形態における配線層111の形成工程について、具体的に例を挙げながら
図29を参照して説明する。
図29は、第3実施形態における配線層形成工程の流れを示すフローチャートである。
図29において、ステップS401~S406の工程は、それぞれ
図11に示すステップS201~S206と同じ工程であるため、その詳細な説明を省略する。
【0078】
DFR240の積層後、第2配線パターン220Bの位置に応じた露光及び現像が行われると(ステップS406)、シード層112を給電層として利用する電解ニッケルめっきが施される(ステップS407)。電解ニッケルめっきが施されることにより、開口部230bから露出する、銅(Cu)の金属層221Bの上面に、ニッケル(Ni)が析出し、金属層が形成される。具体的には、例えば
図30に示すように、開口部230bから露出する金属層221B上に金属層222Bが積層される。
図30は、電解ニッケルめっき工程の具体例を示す図である。開口部230bから露出する金属層221B上に金属層222Bが積層されることにより、開口部230bに、積層された金属層221B、222Bからなり、第1配線パターン210Bよりも厚い第2配線パターン220Bが形成される。
【0079】
この段階では、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの上面の幅は、最上層に隣接する層の金属層221Bの上面の幅と同一である。また、この段階では、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの断面形状は、側面が金属層221Bの側面と同一直線上に位置し且つ直線状の断面形状である。
【0080】
第2配線パターン220Bが形成されると、例えばアルカリ性の剥離液により、DFR230、240が除去される(ステップS408)。DFR230、240の剥離により、例えば
図31示すように、シード層112上に第1配線パターン210B及び第2配線パターン220Bが形成された状態の配線層111が得られる。
図31は、DFR層除去工程の具体例を示す図である。
【0081】
そして、第1配線パターン210B及び第2配線パターン220Bをマスクとして、シード層112のエッチングが行われる(ステップS409)。具体的には、シード層112とシード層112上に形成された第1配線パターン210B及び第2配線パターン220Bとが、例えば銅(Cu)を選択的に溶解するエッチング液に浸漬される。これにより、第1配線パターン210B及び第2配線パターン220Bの間に露出するシード層112が除去される。第1配線パターン210B及び第2配線パターン220Bの金属層221Bがシード層112と同じ金属(つまり、銅)から形成されている。このため、シード層112が溶解されると同時に、第1配線パターン210B及び第2配線パターン220Bの金属層221Bも側方から溶解される。一方で、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bは、ニッケル(Ni)を材料として形成されていることから、シード層112のエッチングに用いられるエッチング液に対してエッチング耐性を有し、エッチング液によって溶解されない。
【0082】
この結果、例えば
図32に示すように、最上層の金属層222Bの幅よりも最上層に隣接する層の金属層221Bの幅が小さい第2配線パターン220Bが形成される。
図32は、シード層エッチング工程の具体例を示す図である。つまり、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの側面と最上層に隣接する層の金属層221Bの側面との間に幅方向の段差が形成される。言い換えると、第2配線パターン220Bの最上層の金属層222Bの断面形状は、側面が最上層に隣接する層の金属層221Bの側面よりも外方に位置する断面形状である。これにより、配線層111の形成が完了する。
【0083】
以上のように、第3実施形態に係る第2配線パターン(例えば、第2配線パターン220B)の最上層の金属層(例えば、金属層222B)は、接続端子との接触面であり、最上層以外の層の金属層(例えば、金属層221B)の上面よりも幅が大きい上面を有する。これにより、第3実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンと接続端子の接続信頼性をより向上することができる。
【0084】
また、第3実施形態に係る第2配線パターン(例えば、第2配線パターン220B)の最上層の金属層(例えば、金属層222B)は、断面形状において、側面が最上層以外の層の金属層(例えば、金属層221B)の側面よりも外方に位置する。これにより、第2実施形態に係る配線基板によれば、多層構造の配線パターンにおける電気特性の低下を抑制することができる。
【0085】
(その他の変形例)
上記各実施形態では、開口部121の下方に第1配線パターン210が位置し且つ開口部122の下方に第2配線パターン220が位置する場合を例に説明したが、第1配線パターン210及び第2配線パターン220の位置は入れ替え可能である。例えば、
図33に示すように、開口部121の下方に第2配線パターン220が位置し且つ開口部122の下方に第1配線パターン210が位置するようにしてもよい。
図33は、変形例に係る配線基板100の構成を示す断面図である。
図33に示す配線基板100においては、開口部121は、絶縁層120を第2配線パターン220まで貫通し、底部から第2配線パターン220の上面を露出させている。また、開口部122は、絶縁層120を第1配線パターン210まで貫通し、底部から第1配線パターン210の上面を露出させている。かかる構成によれば、多層構造の第2配線パターン220と径及びピッチが大きい開口部121に形成された接続端子131の接続信頼性を向上することができる。
【0086】
また、上記第1及び第2実施形態では、第2配線パターン220、220Aの最上層の金属層を銅めっきにより形成する例を示したが、これに限らず、NiやAl等の電解めっきなどの方法で析出可能な金属を最上層の金属層に適用しても良い。
【符号の説明】
【0087】
100 配線基板
110 絶縁層
111 配線層
120 絶縁層
121 開口部
122 開口部
131、132 接続端子
210、210A、210B 第1配線パターン
211、211A 金属層
220、220A、220B 第2配線パターン
221、221A、221B 金属層
222、222A、222B 金属層
230a、230b、230c、230d 開口部
240a 開口部