(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147431
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】注出用スパウト
(51)【国際特許分類】
B65D 47/24 20060101AFI20231005BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20231005BHJP
B65D 33/38 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D47/24 120
B65D51/22
B65D33/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054916
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】小野 松太郎
【テーマコード(参考)】
3E064
3E084
【Fターム(参考)】
3E064AA03
3E064BA22
3E064BC18
3E064FA04
3E064HM01
3E064HN05
3E064HS04
3E084AA06
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB09
3E084DB12
3E084DB17
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB08
3E084GB11
3E084HA03
3E084HB04
3E084HB05
3E084HC03
3E084HD04
3E084KA12
3E084KB01
3E084LA12
3E084LB02
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】簡単な操作により内容物を安定して注出できると共に、清潔を維持することが可能な注出用スパウトを提供する。
【解決手段】内容物が収容される容器の装着筒部11に装着される内側栓体20と、内側栓体20に対して、軸方向に移動可能に外挿される外側スリーブ30と、外側スリーブ30に装着されるオーバーキャップ50と、を備え、内側栓体20は、装着筒部11に装着される注出筒部21と、注出筒部21に設けられた封止突部24とを有し、外側スリーブ30は、封止突部24に応じた形状の先端開口部33を有するスリーブ本体31と、スリーブ本体31の外周面から突出するストッパ突部32と、を有し、オーバーキャップ50と外側スリーブ30とは、外側スリーブ30の周方向に対して斜め方向に対向した斜面35,54を有し、オーバーキャップ50を周方向に回転させると、斜面35に沿って案内される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器の装着筒部に装着される内側栓体と、
前記内側栓体に対して、軸方向に移動可能に外挿される外側スリーブと、
前記外側スリーブに装着されるオーバーキャップと、を備え、
前記内側栓体は、前記装着筒部に装着される注出筒部と、前記注出筒部に設けられた封止突部と、を有し、
前記外側スリーブは、前記封止突部に応じた形状の先端開口部を有するスリーブ本体と、前記スリーブ本体の外周面から突出するストッパ突部と、を有し、前記軸方向の移動によって、前記封止突部が前記先端開口部を閉止する閉止位置と、前記先端開口部が開放される開放位置とを切り替え可能であり、
前記オーバーキャップと前記外側スリーブとは、前記外側スリーブの周方向に対して斜め方向に対向した斜面を有し、前記オーバーキャップを前記外側スリーブの周方向に回転させると、前記オーバーキャップの斜面が前記外側スリーブの斜面に沿って案内される、注出用スパウト。
【請求項2】
前記オーバーキャップは、前記外側スリーブに装着される筒部と、前記先端開口部を覆う頂部と、を有し、前記オーバーキャップの斜面は、前記筒部の前記頂部とは反対側の端部に形成されている、請求項1に記載の注出用スパウト。
【請求項3】
前記外側スリーブの斜面は、前記ストッパ突部の先端側の面に形成されている、請求項2に記載の注出用スパウト。
【請求項4】
前記外側スリーブは、前記内側栓体に対する軸方向への移動を規制する規制部材をさらに備え、
前記オーバーキャップは、前記スリーブ本体に装着され、
前記規制部材は、前記ストッパ突部を介して、前記スリーブ本体とは反対側で、取り外し可能に設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の注出用スパウト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出用スパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の注出用スパウトでは、詰め替え容器から包装容器(充填対象容器)へと、簡単な操作によって、内容物を安定して注出できることが望まれていた。特許文献1には、先端開口部を有する外側スリーブが内側栓体に装着され、先端開口部が閉止される閉止位置と、先端開口部が開放される開放位置とを切り替え可能である注出用スパウトが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
注出用スパウトを取り付けた容器の保管時や輸送時などの未使用時に注出用スパウトにゴミや埃などの異物が付着する場合がある。
注出用スパウトを取り付けた容器に内容物が残っている場合は、注出用スパウトが容器に装着されたまま保管される場合がある。注出用スパウトを取り付けた容器の内容物を使い切った後は、注出用スパウトが廃棄される場合がある。いずれの場合も、内容物を注出した後は、注出用スパウトに内容物が付着する場合がある。
【0005】
注出用スパウトに付着したゴミ、埃や内容物が、人体や物品に触れると、汚れの原因になる場合がある。内容物が不揮発性の成分を含有する液体などの場合は、注出用スパウトに塵埃等が堆積する原因となって、ユーザーの不快感を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な操作により内容物を安定して注出できると共に、清潔を維持することが可能な注出用スパウトを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、内容物が収容される容器の装着筒部に装着される内側栓体と、前記内側栓体に対して、軸方向に移動可能に外挿される外側スリーブと、前記外側スリーブに装着されるオーバーキャップと、を備え、前記内側栓体は、前記装着筒部に装着される注出筒部と、前記注出筒部に設けられた封止突部と、を有し、前記外側スリーブは、前記封止突部に応じた形状の先端開口部を有するスリーブ本体と、前記スリーブ本体の外周面から突出するストッパ突部と、を有し、前記軸方向の移動によって、前記封止突部が前記先端開口部を閉止する閉止位置と、前記先端開口部が開放される開放位置とを切り替え可能であり、前記オーバーキャップと前記外側スリーブとは、前記外側スリーブの周方向に対して斜め方向に対向した斜面を有し、前記オーバーキャップを前記外側スリーブの周方向に回転させると、前記オーバーキャップの斜面が前記外側スリーブの斜面に沿って案内される、注出用スパウトである。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記オーバーキャップは、前記外側スリーブに装着される筒部と、前記先端開口部を覆う頂部と、を有し、前記オーバーキャップの斜面は、前記筒部の前記頂部とは反対側の端部に形成されている、注出用スパウトである。
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記外側スリーブの斜面は、前記ストッパ突部の先端側の面に形成されている、注出用スパウトである。
【0009】
本発明の第4の態様は、第1~3のいずれか1の態様において、前記外側スリーブは、前記内側栓体に対する軸方向への移動を規制する規制部材をさらに備え、前記オーバーキャップは、前記スリーブ本体に装着され、前記規制部材は、前記ストッパ突部を介して、前記スリーブ本体とは反対側で、取り外し可能に設けられる、注出用スパウトである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な操作により内容物を安定して注出できる。また、先端開口部から突出した封止突部を収容可能であるため、オーバーキャップは、開放位置でも、閉止位置と同様に、外側スリーブに装着可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】内側栓体および外側スリーブの一例を示す斜視図である。
【
図3】オーバーキャップの一例を示す斜視図である。
【
図4】閉止状態の注出用スパウトの一例を示す縦断面図である。
【
図5】開放状態のスパウト本体の一例を示す斜視図である。
【
図6】開放状態のスパウト本体の一例を示す縦断面図である。
【
図7】外側スリーブを開放位置とした注出用スパウトを示す縦断面図である。
【
図8】オーバーキャップおよび外側スリーブの斜面の機能を示す説明図である。
【
図9】オーバーキャップおよび外側スリーブの斜面の改変例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0013】
図1にスパウト基部、
図2に内側栓体および外側スリーブの、
図3にオーバーキャップ、
図4に閉止状態の注出用スパウトの実施形態を示す。
図5および
図6に開放状態のスパウト本体を示す。
図7は、開放状態のスパウト本体にオーバーキャップを取り付けた状態を示す。
【0014】
実施形態のスパウト本体40は、
図2に示すように、少なくとも内側栓体20および外側スリーブ30を有する。スパウト本体40は、
図1に示すスパウト基部10に装着されることで、内容物の注出機能を発揮することができる。
【0015】
さらに、スパウト本体40には、
図3に示すオーバーキャップ50を装着することができる。少なくともスパウト本体40とオーバーキャップ50とにより、
図4に示す注出用スパウト100が構成される。注出用スパウト100は、さらにスパウト基部10を含んでもよい。
【0016】
図1に示すように、スパウト基部10は、内容物が収容される容器(図示せず)に取り付けられる取付部12と、取付部12から突出する装着筒部11とを備える。以下、内容物が収容される容器を本体容器という場合がある。スパウト基部10は、例えば合成樹脂の成形品等から構成することができる。スパウト基部10は、一体成形も可能であるが、2以上の部品を組み立てて構成してもよい。
【0017】
本体容器としては、特に限定されないが、パウチ容器が挙げられる。パウチ容器は、2枚のフィルムの間を開いて開口させることができる。パウチ容器の種類としては、特に限定されないが、スタンディングパウチ、三方シール袋、四方シール袋、ガゼット袋等が挙げられる。
【0018】
パウチ容器は、例えば、可撓性を有するフィルムまたはシートで構成されてもよい。フィルムまたはシートは、例えば、合成樹脂、紙、金属箔、またはこれらの2種以上を主体として形成することができる。
【0019】
図示例の取付部12は、装着筒部11を有する中央部に対して、相対する二方向に突出したいわゆる舟形状を有する。相対する二方向をパウチ容器の幅方向に合わせて取付部12の周囲にパウチ容器の開口部が溶着される。これにより、取付部12が介在せずにパウチ容器が溶着される箇所と、取付部12が介在してパウチ容器が溶着される箇所との段差を緩和することができる。特に図示しないが、取付部12が円形、多角形等でもよい。
【0020】
図示例の装着筒部11は、円筒形状である。装着筒部11の先端部には、取付部12を貫通して本体容器に通じる流路17(
図4参照)の注出口11aが開口している。装着筒部11の軸方向から見た流路17の断面形状は、例えば、円形状である。特に限定されないが、装着筒部11と取付部12との中間部には、フランジ部15,16が形成されてもよい。
【0021】
本体容器の内容物は、特に限定されないが、流路17を通じて注出可能な流動性を有することが好ましく、例えば、液体、粉体、粒体等の有体物からなる流体が挙げられる。液体の内容物としては、例えば、液体化粧料、液体洗剤、液体調味料、液体薬剤などが挙げられる。粉体または粒体、すなわち固形の内容物としては、例えば、塩、砂糖、胡椒、顆粒状調味料、粉末洗剤などが挙げられる。
【0022】
特に図示しないが、スパウト基部10が、ボトル容器などの硬質容器における容器首部であってもよい。この場合は、スパウト基部10の取付部12を省略して、装着筒部11等を本体容器の胴部または肩部に一体成形してもよい。
【0023】
装着筒部11の外周には、内側栓体20との装着に用いられる雄ねじ部13が形成されている。さらに雄ねじ部13よりも取付部12に近い側には、係止部14が形成されている。係止部14には、後述する規制部材41を係止させることができる。
【0024】
図2に示すように、内側栓体20は、装着筒部11に装着される注出筒部21と、注出筒部21に設けられた封止突部24とを有する。図示例の注出筒部21および封止突部24は、略円筒状である。内側栓体20の外周に対して外側スリーブ30を周方向に回転させる必要がないため、特に図示しないが、注出筒部21および封止突部24の外形が非円形であってもよい。
【0025】
封止突部24は、注出筒部21よりも小径に形成されている。注出筒部21の先端側には、環状の頂壁部22が形成されている。頂壁部22と封止突部24との間は、封止突部24を支持する支持部23と、内容物を流通させる開口部25とが周方向の異なる位置に形成されている。
【0026】
図4に示すように、注出筒部21の内周面には、装着筒部11の雄ねじ部13と結合可能な雌ねじ部28が形成されている。装着筒部11と注出筒部21との結合方式は、ねじに限定されるものではなく、種々の方式を採用することができる。特に図示しないが、装着筒部11の外周面または注出筒部21の内周面の少なくとも一方において、軸方向の変位や嵌合、係合等により連結可能な凹凸を形成してもよい。
【0027】
頂壁部22の基端側には、封止筒部29が突出している。封止筒部29は、例えば円筒状としてもよい。封止筒部29の外径は注出筒部21の内径より小さいため、封止筒部29の外周面は注出筒部21の内周面から離れている。注出筒部21と封止筒部29との間には、装着筒部11の先端部が挿入される。
【0028】
封止筒部29が頂壁部22から基端側に突出する長さは、注出筒部21の軸方向の長さより短くてよい。封止筒部29の外周面が装着筒部11の内周面と接触し、また頂壁部22の基端面が装着筒部11の先端面と接触することにより、流路17に対して装着筒部11と封止筒部29とが一体の壁面を形成する。流路17に流入する内容物は、頂壁部22よりも先端側で開口部に到達することができる。
【0029】
封止突部24は、頂壁部22から支持部23を介して注出筒部21の先端側に配置されている。封止突部24の基端側には、中間壁部27が片持ち状に突出している。流路17の軸方向に沿った中間壁部27の長さは、頂壁部22の先端面から封止突部24の基端面までの距離と略同等でもよく、あるいは、当該距離より短くてもよい。
【0030】
図示例の内側栓体20では、封止突部24の周方向の2箇所に開口部25を有し、中間壁部27は、これらの開口部25の間に配置されている。これにより、流路17を軸方向に進行する内容物は、中間壁部27に衝突して進行方向を開口部25に転換させることができる。例えば、流路17の軸方向が鉛直下向きとなる場合は、中間壁部27に衝突した内容物を2箇所の開口部25に向けて均等に案内することができる。
【0031】
特に図示しないが、封止突部24の周方向に開口部25が形成される数は任意である。開口部25が1箇所でもよく、3箇所以上でもよい。中間壁部27は省略してもよく、開口部25の位置および数に応じて、中間壁部27の形状を変更してもよい。
【0032】
内側栓体20は、注出筒部21の外周面に、環状の液止めリブ26を有する。液止めリブ26は、注出筒部21の外周面から径方向に突出している。液止めリブ26がスリーブ本体31の内周面と接触することにより、注出筒部21の外周面とスリーブ本体31の内周面との隙間に内容物が流入することを抑制することができる。
【0033】
図2および
図4に示すように、外側スリーブ30は、封止突部24に応じた形状の先端開口部33を有するスリーブ本体31と、スリーブ本体31の外周面から突出するストッパ突部32とを有する。外側スリーブ30は、内側栓体20に対して軸方向に移動可能である。
【0034】
先端開口部33は、スリーブ本体31の先端面に開口されている。先端開口部33は、封止突部24が嵌合することによって閉止される。
図4に示すように、封止突部24が先端開口部33を閉止する位置を閉止位置という。閉止位置では、封止突部24の先端面がスリーブ本体の先端と同一面上になってもよい。
【0035】
外側スリーブ30が、内側栓体20の基端側に移動すると、
図5および
図6に示すように、先端開口部33が開放される。封止突部24が先端開口部33から離れて先端開口部33が開放される位置を開放位置という。開放位置では、内側栓体20の開口部25がスリーブ本体31の先端面よりも突出して、内容物が先端開口部33から流出することを可能にする。
【0036】
外側スリーブ30は、内側栓体20に外挿される。図示例では、注出筒部21の全体が、閉止位置でも開放位置でも、外側スリーブ30に収容されている。特に図示しないが、注出筒部21の一部のみが外側スリーブ30に収容されていてもよい。
【0037】
図示例のスリーブ本体31は円筒状であり、先端開口部33は円形である。内側栓体20の外周に対して外側スリーブ30を周方向に回転させる必要がないため、特に図示しないが、スリーブ本体31および先端開口部33が非円形であってもよい。
【0038】
図示例のスリーブ本体31は、先端開口部33から基端側に離れた位置の内周面に段差部34を有する。
図2に示すように、注出筒部21は先端側よりも基端側で径が拡大しており、段差部34との接触により、開放位置を規制することができる。特に図示しないが、頂壁部22が先端開口部33の周囲に接触する位置において、開放位置が規制されてもよい。
【0039】
ストッパ突部32は、スリーブ本体31の外周面から径方向に突出する。ストッパ突部32がスリーブ本体31の外周面から径方向に突出する突出量は、周方向の位置により異なる。
図2に示すストッパ突部32は、一対のフランジ部32a,32aと、一対の切り欠き部32b,32bと、を有する。
【0040】
フランジ部32aがスリーブ本体31から径方向に突出する突出量に比べて、切り欠き部32bがスリーブ本体31から径方向に突出する突出量は小さい。なお、切り欠き部32bは、スリーブ本体31から径方向に突出しなくてもよい。
【0041】
外側スリーブ30は、ストッパ突部32の基端側に規制部材41を有する。規制部材41は、ストッパ突部32を介して、スリーブ本体31とは反対側に配置されている。規制部材41は、外側スリーブ30から取り外し可能である。
【0042】
図4に示すように、規制部材41は、内側栓体20に対する外側スリーブ30の軸方向への移動を規制する。具体的には、規制部材41の内周面に突出した突起部43が、スパウト基部10の係止部14に接触することで、外側スリーブ30の移動が規制される。
【0043】
規制部材41とストッパ突部32との間は、例えば、複数の破断可能な弱化部44を介して接続される。弱化部44は、例えば、薄肉部、ブリッジ等である。この弱化部44を破断することにより、規制部材41は、外側スリーブ30から除去される。
【0044】
図2に示すように、規制部材41は周方向に周回する帯状に形成され、その端部に把持部42を有する。把持部42は、ストッパ突部32の切り欠き部32b,32bのうち片側に配置されている。把持部42をつまんで引っ張ることにより、弱化部44を破断することができる。
【0045】
規制部材41が外側スリーブ30から除去された状態では、係止部14が規制部材41と接触しない状態となり、外側スリーブ30が内側栓体20に対して軸方向に移動可能になる。外側スリーブ30は、軸方向の移動によって、閉止位置と開放位置とを切り替え可能である。閉止位置から開放位置への切り替えに加えて、開放位置から閉止位置への切り替えが可能であってもよく、さらに繰り返しの切り替えが可能であってもよい。
【0046】
オーバーキャップ50は、外側スリーブ30に装着される。
図4に示す閉止位置において、オーバーキャップ50を外側スリーブ30に装着することができる。例えば、内側栓体20および外側スリーブ30を備えるスパウト本体40が装着筒部11のキャップ機能を有するとみなしたとき、オーバーキャップ50はスパウト本体40の上に重ねて装着されるキャップとなる。外側スリーブ30は内側栓体20に対する軸方向の変位で開放されるのに対して、オーバーキャップ50は周方向の回転で取り外すことができる。
【0047】
さらに図示例のオーバーキャップ50は、
図6に示す開放位置のスパウト本体40に対して、オーバーキャップ50を外側スリーブ30に装着することができる。この場合は、
図7に示すように、外側スリーブ30が開放位置のままオーバーキャップ50を装着した注出用スパウト100が得られる。
【0048】
図示例のオーバーキャップ50は、スリーブ本体31に装着可能である。特に図示しないが、オーバーキャップ50の少なくとも一部がストッパ突部32に装着されてもよい。オーバーキャップ50が、スリーブ本体31の少なくとも一部とストッパ突部32の少なくとも一部とに装着されてもよい。
【0049】
図3に示すように、オーバーキャップ50は、筒状の筒部51と、筒部51の上端を閉塞する頂部52とを有する。さらにオーバーキャップ50は、筒部51の外周面の少なくとも一箇所に凸部53を有してもよい。凸部53は、オーバーキャップ50をスパウト本体40から取り外す際に、滑り止めに用いてもよい。
【0050】
図3および
図8に示すように、オーバーキャップ50は、筒部51の下端に凹部状の斜面54を有し、凸部53の下端は斜面54に達している。特に図示しないが、凸部53の下端は、筒部51の下端に達してもよい。図示例の斜面54は、筒部51の軸方向Aに直交する水平方向から見て、概略、山状(Λ状)の形状を有する。斜面54は平面でも曲面でもよい。
【0051】
さらに外側スリーブ30は、
図2および
図8に示すように、ストッパ突部32の先端側の面に、斜面35を有する。図示例の斜面35は、スリーブ本体31の軸方向Aに直交する水平方向から見て、概略、山状(Λ状)の形状を有する。斜面35は平面でも曲面でもよい。斜面35は、外側スリーブ30の先端側、すなわち、ストッパ突部32からスリーブ本体31が形成されている側に突出している。なお、
図8では、規制部材41等の図示を省略している。
【0052】
図4に示すように、オーバーキャップ50を外側スリーブ30に装着したときは、
図8に示すように、オーバーキャップ50の斜面54と外側スリーブ30の斜面35とが対向して配置される。オーバーキャップ50の斜面54と外側スリーブ30の斜面35は、外側スリーブ30の周方向Cに対して、斜め方向に形成されている。
【0053】
オーバーキャップ50を外側スリーブ30の周方向Cに回転させると、オーバーキャップ50の斜面54が外側スリーブ30の斜面35に接触する。さらに、オーバーキャップ50の斜面54が外側スリーブ30の斜面35に沿って案内される。これにより、オーバーキャップ50が外側スリーブ30の先端側に変位し、オーバーキャップ50が外側スリーブ30から取り外される。
【0054】
すなわち、外側スリーブ30からオーバーキャップ50を取り外すときには、軸方向Aに引き抜く必要はなく、周方向Cに回転させて斜面35、54を接触させるだけで、周方向Cに回転させる力の一部を軸方向Aの力に変換することができる。
【0055】
図示例の斜面35,54は、周方向Cの両側に形成されている。これにより、オーバーキャップ50を時計回り、反時計回りのいずれの方向に回転させても、外側スリーブ30からの取り外しが容易になる。
【0056】
図9に示す改変例の外側スリーブ30Bおよびオーバーキャップ50Bのように、斜面35,54は、周方向Cの片側のみに形成してもよい。この場合は、オーバーキャップ50Bを一方に回転させたときのみ、オーバーキャップ50Bの取り外しが可能になる。図示の改変例では、周方向Cの右向きに回転させたとき、斜面35、54が接触して、オーバーキャップ50Bが外側スリーブ30Bから取り外される。
【0057】
特に図示しないが、斜面35,54は、外側スリーブ30,30Bとオーバーキャップ50,50Bとが対向して配置される適宜の位置に配置することができる。例えば、スリーブ本体31の外周面と筒部51の内周面に斜面35,54を形成してもよい。オーバーキャップ50,50Bを外側スリーブ30,30Bに装着したとき、斜面35,54が外から見える位置に配置されてもよく、オーバーキャップ50,50Bで覆われてもよい。
【0058】
図示例では、オーバーキャップ50,50Bを外側スリーブ30,30Bに装着した状態で、オーバーキャップ50,50Bの斜面54と外側スリーブ30,30Bの斜面35との間に隙間を有する。これにより、オーバーキャップ50,50Bに振動などの外力が作用する程度では、斜面35,54の接触が抑制されるので、オーバーキャップ50,50Bの意図しない脱落が抑制される。
【0059】
図4では、筒部51の内周面とスリーブ本体31の外周面に特に隙間を示していないが、両者の密着を防ぐための隙間を有してもよい。さらに、筒部51の内周面にリブ(図示せず)を突出させてスリーブ本体31の外周面に対して局所的に接触し、嵌合を可能にしてもよい。筒部51の内周面にリブを設ける場合は、周方向の1箇所以上、例えば2~4箇所に配置してもよい。
【0060】
図7に示すように、外側スリーブ30が開放位置にある場合、封止突部24は、先端開口部33から外側スリーブ30の外側に突出している。オーバーキャップ50は、先端開口部33から突出した封止突部24を収容可能である。
【0061】
オーバーキャップ50の頂部52は、先端開口部33の上方に配置され、先端開口部33を覆っている。頂部52の内面には、頂部52からスリーブ本体31に向けてスペーサー55が延出している。スペーサー55により、先端開口部33から突出した封止突部24が、先端開口部33と頂部52との間に収容可能な空間が形成される。
【0062】
図示例のスペーサー55は円筒状であるが、封止突部24と干渉しない適宜の形状であればよい。特に図示しないが、スペーサー55が筒部51の内周面に形成されてもよく、筒部51の内周面と頂部52の内面との間に形成されてもよい。
【0063】
上述したように、図示例のオーバーキャップ50は、外側スリーブ30が開放位置にある場合にも装着が可能である。特に図示しないが、オーバーキャップ50が開封前にのみ装着されればよく、開封後の装着を不要にすることも可能である。例えば、スペーサー55を省略して、先端開口部33と頂部52との間に、開封後の封止突部24を収容する空間が形成されなくてもよい。
【0064】
次に、注出用スパウト100の組立方法について説明する。
【0065】
図1に示すスパウト基部10の装着筒部11に対して、
図2に示すスパウト本体40を装着するには、スパウト基部10の雄ねじ部13と内側栓体20の雌ねじ部28を結合させればよい。例えば、外側スリーブ30を把持して所定の方向にスパウト本体40を回転させてもよい。内側栓体20の封止突部24は外側スリーブ30の先端開口部33に嵌合しているため、外側スリーブ30に加えられた回転力は内側栓体20に伝達される。
【0066】
図3に示すオーバーキャップ50を
図2に示すスパウト本体40に装着するには、筒部51をスリーブ本体31に装着すればよい。これにより、
図4に示す注出用スパウト100が得られる。
【0067】
スパウト基部10の取付部12に本体容器を接合する工程は、スパウト基部10の装着筒部11に内側栓体20、外側スリーブ30、オーバーキャップ50を装着する工程の前に実施しても、後に実施してもよい。スパウト基部10の装着筒部11に内側栓体20、外側スリーブ30、オーバーキャップ50を装着して得られる注出用スパウト100を完成させてから本体容器の製造工程に供給してもよい。
【0068】
次に、注出用スパウト100の使用方法について説明する。
【0069】
図4に示す注出用スパウト100を用いて、スパウト基部10に取り付けられた本体容器(図示せず)の内容物を注出するには、スパウト本体40からオーバーキャップ50が取り外される。さらに規制部材41の把持部42をユーザーが把持して、弱化部44を破断させることにより、規制部材41を外側スリーブ30から取り外すことができる。このとき、外側スリーブ30は、閉止位置にある。
【0070】
本体容器の内容物を詰め替える対象の充填対象容器は、特に図示しないが、例えば、合成樹脂製のボトル形容器であってもよい。充填対象容器は、例えば円筒状の容器首部と、内容物を収容する容器胴部を有してもよい。容器首部と容器胴部との間には容器肩部を有してもよい。
【0071】
容器首部の内径は、スリーブ本体31の外径よりも大きい。これにより、本体容器の内容物を詰め替える際に、スリーブ本体31の少なくとも一部が容器首部の内部に挿入される。スパウト本体40が倒立姿勢とされてもよい。倒立姿勢とは、外側スリーブ30の先端開口部33が鉛直方向の下向きとなる姿勢である。
【0072】
容器首部の内径は、ストッパ突部32のフランジ部32aにおける長径より小さい。これにより、フランジ部32aの先端側の面が容器首部の開口端部に接触する。さらに、容器首部の内径は、ストッパ突部32の切り欠き部32bにおける短径より大きいことが好ましい。これにより、スリーブ本体31の少なくとも一部が容器首部の内部に挿入されたとき、切り欠き部32bと容器首部の内周面との間には、空気が流入可能な隙間が形成される。
【0073】
本体容器の内容物を詰め替える際に、本体容器を倒立姿勢とし、スリーブ本体31を充填対象容器の容器首部に挿入すると、フランジ部32aの先端面が容器首部の開口端部に接触する。この状態から、容器首部および外側スリーブ30に対して、スパウト基部10と共に内側栓体20を軸方向の先端側へ押し込むと、スパウト本体40が開封される。具体的には、
図5および
図6に示すように、封止突部24が先端開口部33から離れ、外側スリーブ30が開放位置に配置される。
【0074】
先端開口部33が開口されると、本体容器の内容物は、スパウト基部10の流路17を経て内側栓体20の開口部25を通り、外部に放出される。内容物は、中間壁部27によって2つに分流され、開口部25から充填対象容器に流入する。
【0075】
所望の量の内容物が充填対象容器に注入された後、充填対象容器からスパウト本体40を抜き出し、本体容器を倒立姿勢から元の姿勢に戻すと内容物の注出が終了する。本体容器の内容物の量が本体容器の容量の範囲内である場合は、内容物の注出が終了するまで、本体容器を倒立姿勢にしていてもよい。
【0076】
図7に示すように、外側スリーブ30が開放位置にあり、封止突部24が外側スリーブ30の外側に突出していても、オーバーキャップ50は封止突部24を収容可能である。スパウト本体40を取り付けたまま本体容器を廃棄する際に、オーバーキャップ50を装着した状態にすることができる。これにより、本体容器やスパウト本体40等の内部の残留または付着した内容物の漏出を抑制することができる。
【0077】
オーバーキャップ50を外側スリーブ30に装着するときは、軸方向の先端側から基端側に向けて押し込んでもよい。
【0078】
実施形態の注出用スパウト100によれば、外側スリーブ30に対してオーバーキャップ50を回転させるだけで、オーバーキャップ50を容易に取り外すことができる。注出用スパウト100が比較的小型であっても、指先でつまんで引き抜く場合に比べて、オーバーキャップ50を指や掌などで包み込んで回転させることができる。これにより、指先の力が弱いユーザーでも、開封が容易になる。
【0079】
オーバーキャップ50がスパウト本体40の開封前にも開封後に装着が可能である。これにより、本体容器を開封する前には、スパウト本体40の外面に塵埃等の汚れが付着することを抑制することができる。また、本体容器を開封した後には、オーバーキャップ50をスパウト本体40に装着することにより、オーバーキャップ50が本体容器から紛失すること等を抑制することができる。
【0080】
外側スリーブ30に対して内側栓体20を押し下げる簡単な操作により、内側栓体20と外側スリーブ30とが軸方向に相対移動して先端開口部33が開放され、本体容器の内容物が充填対象容器に詰め替えられる。
【0081】
スパウト本体40は、倒立姿勢としても、内側栓体20と外側スリーブ30とが相対移動するまでは先端開口部33が開かれない構造となっている。そのため、容器首部に外側スリーブ30を挿入するまでに内容物をこぼす心配が少ない。よって、スパウト本体40は、簡単な操作によって、本体容器から充填対象容器へと内容物を安定して注出できる。
【0082】
注出用スパウト100では、スパウト基部10として、汎用のスパウトを使用できる。そのため、製造コストの低減を図ることができる。内側栓体20が外側スリーブ30に収容されるため、軸方向の寸法を小さくなり、スパウト本体40の小型化が可能である。
【0083】
実施形態のスパウト本体40は、スリーブ本体31の外周面が滑らかな曲面となっている。具体的には、スリーブ本体31の外周面にリブ、ローレット等の凹凸が形成されていない。これにより、本体容器の内容物を詰め替える際に、外側スリーブ30を回転させる等の誤操作を抑制して、ストッパ突部32を充填対象容器に向けて押し込む動作に誘導させることができる。
【0084】
なお、実施形態のスパウト本体40は、内側栓体20の外周で外側スリーブ30を回転させようとしても、内側栓体20の封止突部24が外側スリーブ30の先端開口部33に嵌合しているため、弱い力では回転しにくくなっている。
【0085】
また、封止突部24が先端開口部33に嵌合するのに強い力を要するため、内容物を充填対象容器に注入し終えた後で、外側スリーブ30を内側栓体20の先端側に相対移動させる方法では閉止しにくくしてもよい。スパウト本体40が開放状態のままオーバーキャップ50を装着することができるので、注出後のスパウト本体40を閉止状態に戻す必要はなくなっている。
【0086】
以上、本発明を好適な実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0087】
注出用スパウト100の構成部品である内側栓体20、外側スリーブ30、オーバーキャップ50は、例えば合成樹脂の成形品等から構成することができる。後述する規制部材41は、外側スリーブ30と一体で成形することも可能である。注出用スパウト100の構成部品が同種の合成樹脂(単一素材)から形成されてもよい。さらにスパウト基部10が注出用スパウト100と同種の合成樹脂から形成されてもよい。
【0088】
合成樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン等の安価で汎用のプラスチックでもよい。合成樹脂がバイオプラスチック、バイオマスプラスチック、再生プラスチック、リサイクルプラスチック等を含んでもよい。
【符号の説明】
【0089】
A…軸方向、C…周方向、10…スパウト基部、11…装着筒部、11a…注出口、12…取付部、13…雄ねじ部、14…係止部、15,16…フランジ部、17…流路、20…内側栓体、21…注出筒部、22…頂壁部、23…支持部、24…封止突部、25…開口部、26…液止めリブ、27…中間壁部、28…雌ねじ部、29…封止筒部、30,30B…外側スリーブ、31…スリーブ本体、32…ストッパ突部、32a…フランジ部、32b…切り欠き部、33…先端開口部、34…段差部、35…外側スリーブの斜面、40…スパウト本体、41…規制部材、42…把持部、43…突起部、44…弱化部、50,50B…オーバーキャップ、51…筒部、52…頂部、53…凸部、54…オーバーキャップの斜面、55…スペーサー、100…注出用スパウト。