(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147471
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光信号送信装置及びFM異常判定方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/079 20130101AFI20231005BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20231005BHJP
H04J 1/16 20060101ALI20231005BHJP
H04B 10/2575 20130101ALI20231005BHJP
【FI】
H04B10/079 190
H04J14/02
H04J1/16
H04B10/2575 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054979
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】313005318
【氏名又は名称】パナソニックコネクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田邉 暁弘
(72)【発明者】
【氏名】下羽 利明
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智暁
(72)【発明者】
【氏名】大川原 龍弘
(72)【発明者】
【氏名】三浦 大介
(72)【発明者】
【氏名】板倉 邦治
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA46
5K102AB01
5K102AD06
5K102AH21
5K102AH27
5K102LA04
5K102LA11
5K102MH02
5K102MH13
5K102MH17
5K102MH22
5K102PB01
5K102PH11
5K102PH31
5K102PH49
5K102RD02
5K102RD05
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】より高精度にFM異常を検出すること。
【解決手段】外部から入力されたキャリア信号を、第1経路と第2経路に分岐させる電気信号分岐部と、第1経路に設けられ、キャリア信号の電力レベルの異常を検出する電気信号異常検出部と、電気信号異常検出部の後段に設けられ、キャリア信号のキャリア毎の状態を検出する周波数別電気信号状態検出部と、第2経路に設けられ、キャリア信号をFM(Frequency Modulation)一括変換してFM一括変換信号を生成するFM一括変換部と、FM一括変換信号を光信号に変換する変換部と、光信号を電気信号に変換した後に復調し、復調信号の状態検出を行う復調信号状態検出部と、周波数別電気信号状態検出部により検出されたキャリア信号のキャリア毎の状態の情報で異常と判定されたキャリアを、復調信号状態検出部により検出された復調信号の状態から除外してFM異常の判定を行う監視部と、を備える光信号送信装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力されたキャリア信号を、第1経路と第2経路に分岐させる電気信号分岐部と、
前記第1経路に設けられ、前記キャリア信号の電力レベルの異常を検出する電気信号異常検出部と、
前記電気信号異常検出部の後段に設けられ、前記キャリア信号のキャリア毎の状態を検出する周波数別電気信号状態検出部と、
前記第2経路に設けられ、前記キャリア信号をFM(Frequency Modulation)一括変換してFM一括変換信号を生成するFM一括変換部と、
前記FM一括変換信号を光信号に変換する変換部と、
前記光信号を電気信号に変換した後に復調し、復調信号の状態検出を行う復調信号状態検出部と、
前記周波数別電気信号状態検出部により検出された前記キャリア信号のキャリア毎の状態の情報で異常と判定されたキャリアを、前記復調信号状態検出部により検出された前記復調信号の状態から除外してFM異常の判定を行う監視部と、
を備える光信号送信装置。
【請求項2】
前記周波数別電気信号状態検出部は、前記キャリア信号のキャリア毎の入力レベルを測定することで前記状態を検出し、
前記復調信号状態検出部は、前記復調信号のキャリア毎の入力レベルを測定することで前記状態検出を行い、
前記監視部は、前記キャリア信号のキャリア毎の入力レベルを参照して、入力レベルが閾値未満のキャリアを復調信号の入力レベルから除外してFM異常の判定を行う、
請求項1に記載の光信号送信装置。
【請求項3】
前記周波数別電気信号状態検出部は、前記キャリア信号のキャリア毎の品質を測定することで前記状態を検出し、
前記復調信号状態検出部は、前記復調信号のキャリア毎の品質を測定することで前記状態検出を行い、
前記監視部は、前記キャリア信号のキャリア毎の品質を参照して、品質が閾値未満のキャリアを復調信号の品質から除外してFM異常の判定を行う、
請求項1に記載の光信号送信装置。
【請求項4】
前記周波数別電気信号状態検出部により検出された前記キャリア信号のキャリア毎の状態に基づく異常を警報として発出する警報処理部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光信号送信装置。
【請求項5】
外部から入力されたキャリア信号を、第1経路と第2経路に分岐させ、
前記第1経路に分岐された前記キャリア信号の電力レベルの異常を検出し、
前記キャリア信号のキャリア毎の状態を検出し、
前記第2経路に分岐された前記キャリア信号をFM(Frequency Modulation)一括変換してFM一括変換信号を生成し、
前記FM一括変換信号を光信号に変換し、
前記光信号を電気信号に変換した後に復調し、復調信号の状態検出を行い、
前記キャリア信号のキャリア毎の状態の情報で異常と判定されたキャリアを、検出された前記復調信号の状態から除外してFM異常の判定を行うFM異常判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号送信装置及びFM異常判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
映像等の信号を周波数分割多重方式(以下「FDM方式」(Frequency Division Multiplexing)ともいう。)を用いて送信する場合、各々の周波数帯域には、あるサービスカテゴリにおいて定義される個々のサービスが割り当てられる。例えば、テレビジョン放送というサービスカテゴリの場合、個々のサービスとして「チャンネル」が定義されているため、各々の周波数帯域には「チャンネル」が割り当てられる。
【0003】
テレビジョン放送は、空中を伝搬する無線電波を用いて行われることもあれば、CATV(Common Antenna Television)のように有線の電気回線を用いて行われる場合、強度変調方式又は非特許文献1に規定されているFM(Frequency Modulation)一括変換方式が適用される通信システムのように光回線を用いて行われる場合もある。
【0004】
図5を参照しつつFM一括変換方式が適用される通信システムにおける光信号送信装置100の概要について説明する。光信号送信装置100は、電気信号分岐部110と、電気信号増幅部120と、電気信号異常検出部130と、FM一括変換信号生成部140と、電気・光変換部150と、光信号増幅部160と、監視部170と、警報処理部180とを備える。なお、一部の機能部から監視部170に延びている点線は、制御信号を表す。電気信号分岐部110は、外部から入力されるキャリア信号を分岐して電気信号増幅部120と電気信号異常検出部130とに出力する。電気信号増幅部120は、キャリア信号を増幅してFM一括変換信号生成部140に出力する。
【0005】
電気信号異常検出部130は、キャリア信号の電力レベルの異常を検出する。電気信号異常検出部130は、キャリア信号の電力レベルの異常の有無を示す検出結果を監視部170に出力する。FM一括変換信号生成部140は、キャリア信号をFM一括変換して、広帯域FM信号であるFM一括変換信号を生成して電気・光変換部150及び監視部170に出力する。電気・光変換部150は、FM一括変換信号生成部140により生成されたFM一括変換信号を光信号に変換して光信号増幅部160及び監視部170に出力する。光信号増幅部160は、電気・光変換部150から出力された光信号を増幅して外部及び監視部170に出力する。
【0006】
監視部170は、電気信号異常検出部130、FM一括変換信号生成部140、電気・光変換部150及び光信号増幅部160から出力された各信号に基づいて各機能部の異常を検出する。例えば、監視部170は、以下の異常を検出する。監視部170は、電気信号異常検出部130から出力された信号に基づいて、入力されたキャリア信号の電力レベルの異常を検出する。さらに、監視部170は、FM一括変換信号生成部140から出力された信号に基づいて、入力されたFM一括変換信号の中心周波数の異常を検出する。さらに、監視部170は、電気・光変換部150から出力された信号に基づいて、電気・光変換部150における光変換レベルの異常を検出する。さらに、監視部170は、光信号増幅部160から出力された信号に基づいて、光増幅出力の異常を検出する。
【0007】
監視部170は、異常を検出した場合、警報処理部180により警報を出力させる。このように、非特許文献1に記載の光信号送信装置では、各機能部の異常を検出する機構を備える。しかしながら、FM一括変換信号の中心周波数異常を除くFM一括変換信号生成部140の異常(例えば、FM異常)を検出する構成については非特許文献1には記載されていない。例えば、特定の入力キャリア信号に対する異常検出は規定されていない。
【0008】
これに対して、特許文献1に記載の技術では、FM異常を検出する構成を備えた光信号送信装置が提案されている。
図6は、FM異常を検出する構成を備えた光信号送信装置100aの一例を示す図である。光信号送信装置100aは、電気信号分岐部110と、電気信号増幅部120と、電気信号異常検出部130と、FM一括変換信号生成部140と、電気・光変換部150と、光信号増幅部160と、監視部170aと、警報処理部180と、光信号分岐部190と、光信号分岐部200と、復調信号異常検出部210とを備える。なお、一部の機能部から監視部170aに延びている点線は、制御信号を表す。
【0009】
光信号送信装置100aでは、光信号増幅部160の前後で光信号を分岐して、復調信号異常検出部210により光信号を再度電気信号に変換して、FM復調をして、入力されたキャリア信号の特定の周波数帯の異常検出を行っている。監視部170aは、不図示のメモリを備え、メモリには復調信号異常検出部210で測定した正常状態のキャリア信号のレベルの情報が保持されている。メモリに保持されている正常状態のキャリア信号のレベル(以下「正常レベル」という。)の情報は周期的に更新される。監視部170aは、メモリに保持している正常状態のキャリア信号のレベルの情報と、復調信号異常検出部210により復調されたキャリア信号のレベル(以下「測定レベル」という。)の情報とを比較して、異常状態を判別している。
【0010】
監視部170aは、正常レベルと測定レベルとの間に一定の差異がある場合にはFM異常と判定する。ただし、監視部170aは、連続する数キャリアが異常判定であればFM異常と判定し、1キャリアのみ異常であったとしてもFM異常とは判定しないように構成されている。「数キャリア連続で検出した場合」という条件としているのは、メンテナンス等の理由で、光信号送信装置100aにキャリア信号が入力された時点で、あるキャリアのレベルが最初から低い場合があり、これを故障検知から除外するためである。実際の運用上、数キャリアまとめてメンテナンスをすることは限りなくないため、連続して数キャリアが異常であれば、ほぼ故障と断定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】“Transmission equipment for transferring multi-channel television signals over optical access networks by frequency modulation conversion”, ITU-T Rec. J. 185, 2012.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
キャリアレベル測定(正常レベルと測定レベル)は、一定のキャリア幅の中心(中心周波数)を測定する。このとき、対象となるキャリアの周波数幅がキャリア幅と同じであれば問題とはならないが、周波数幅が異なるキャリアが混在していた場合、1キャリアのみ異常とは判断されずに連続する数キャリアの異常と判断されてしまう場合がある。
図7は、本発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
図7(A)に示す例では、(1)~(5)に示すキャリアが異なるため上記の条件(数キャリア連続で検出した場合という条件)を満たし、FM異常と判断できる。
【0014】
一方、例えばBS/CSダウンコンバート映像信号のような周波数幅が他キャリアと比べて広い信号が入力されており、かつメンテナンス等の理由で当該キャリアの入力レベルが低い場合には、
図7(B)に示すように1キャリアのみ異常とは判断されずに連続する数キャリアの異常と判断されてしまう。このような場合、従来のような判断基準では、実際にはFM異常ではないにもかかわらずFM異常の警報が発出されてしまうという問題があった。
【0015】
上記事情に鑑み、本発明は、より高精度にFM異常を検出することができる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様は、外部から入力されたキャリア信号を、第1経路と第2経路に分岐させる電気信号分岐部と、前記第1経路に設けられ、前記キャリア信号の電力レベルの異常を検出する電気信号異常検出部と、前記電気信号異常検出部の後段に設けられ、前記キャリア信号のキャリア毎の状態を検出する周波数別電気信号状態検出部と、前記第2経路に設けられ、前記キャリア信号をFM(Frequency Modulation)一括変換してFM一括変換信号を生成するFM一括変換部と、前記FM一括変換信号を光信号に変換する変換部と、前記光信号を電気信号に変換した後に復調し、復調信号の状態検出を行う復調信号状態検出部と、前記周波数別電気信号状態検出部により検出された前記キャリア信号のキャリア毎の状態の情報で異常と判定されたキャリアを、前記復調信号状態検出部により検出された前記復調信号の状態から除外してFM異常の判定を行う監視部と、を備える光信号送信装置である。
【0017】
本発明の一態様は、外部から入力されたキャリア信号を、第1経路と第2経路に分岐させ、前記第1経路に分岐された前記キャリア信号の電力レベルの異常を検出し、前記キャリア信号のキャリア毎の状態を検出し、前記第2経路に分岐された前記キャリア信号をFM(Frequency Modulation)一括変換してFM一括変換信号を生成し、前記FM一括変換信号を光信号に変換し、前記光信号を電気信号に変換した後に復調し、復調信号の状態検出を行い、前記キャリア信号のキャリア毎の状態の情報で異常と判定されたキャリアを、検出された前記復調信号の状態から除外してFM異常の判定を行うFM異常判定方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、より高精度にFM異常を検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1の実施形態における光信号送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態における光信号送信装置のFM異常判定の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態における光信号送信装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】第2の実施形態における光信号送信装置のFM異常判定の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図5】FM一括変換方式が適用される従来の通信システムにおける光送信装置の構成図である。
【
図6】FM異常を検出する構成を備えた光信号送信装置の一例を示す図である。
【
図7】本発明が解決しようとする課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における光信号送信装置10の構成例を示すブロック図である。光信号送信装置10は、外部から入力されるキャリア信号をFM一括変換して、広帯域FM信号であるFM一括変換信号を生成する。外部から入力されるキャリア信号は、例えば映像信号から得られるキャリア信号である。光信号送信装置10は、電気信号分岐部11と、電気信号増幅部12と、電気信号異常検出部13と、FM一括変換信号生成部14と、電気・光変換部15と、光信号増幅部16と、光信号分岐部17と、復調信号状態検出部18と、周波数別電気信号状態検出部19と、監視部20と、警報処理部21とを備える。なお、一部の機能部から監視部20に延びている点線は、制御信号を表す。
【0021】
電気信号分岐部11と、電気信号増幅部12と、電気信号異常検出部13と、FM一括変換信号生成部14と、電気・光変換部15と、光信号増幅部16と、光信号分岐部17とは、基本的には
図6の示す同名の機能部(電気信号分岐部110、電気信号増幅部120、電気信号異常検出部130、FM一括変換信号生成部140、電気・光変換部150、光信号増幅部160、光信号分岐部200)と同様の処理を行う。以下、相違点をメインに説明する。
【0022】
復調信号状態検出部18は、光信号分岐部17により分岐された光信号を再度電気信号に変換して、FM復調をした後、復調信号(FM一括変換信号)の状態検出を行う。第1の実施形態における復調信号状態検出部18が行う状態検出は、入力された復調信号の特定の周波数帯のレベル異常検出である。復調信号状態検出部18は、測定レベルの情報を監視部20に出力する。
【0023】
周波数別電気信号状態検出部19は、電気信号異常検出部13の後段に設けられ、入力された電気信号に基づいて、キャリア毎の状態を検出する。具体的には、周波数別電気信号状態検出部19は、入力された電気信号に基づいて、キャリア毎の入力レベルを測定する。周波数別電気信号状態検出部19は、測定したキャリア毎の入力レベルの情報を監視部20に出力する。
【0024】
監視部20は、不図示のメモリを備え、周波数別電気信号状態検出部19から出力されたキャリア毎の入力レベルの情報を保持する。さらに、メモリには、従来と同様に、正常レベルの情報が保持され、周期的に更新される。監視部20は、従来と同様に、FM異常の判定を行う際、メモリに記憶されているキャリア毎の入力レベルの情報を利用する。具体的には、まず監視部20は、周波数別電気信号状態検出部19から出力されたキャリア毎の入力レベルの情報を参照して、異常があるキャリアを特定する。第1の実施形態において異常があるキャリアとは、入力レベルが閾値未満のキャリアである。次に、監視部20は、復調信号状態検出部18から得られる測定レベルの情報において異常があるキャリアを除外する。そして、監視部20は、異常があるキャリアを除外した後の測定レベルの情報と、メモリに保持している正常レベルの情報とを比較してFM異常の判定を行う。
【0025】
なお、監視部20は、FM異常の判定の他に、従来と同様に、キャリア信号の電力レベルの異常、FM一括変換信号の中心周波数の異常、電気・光変換部15における光変換レベルの異常及び光増幅出力の異常も判定する。
【0026】
監視部20は、周波数別電気信号状態検出部19で検出する入力キャリアのレベル異常を、新たな警報(キャリア信号レベル異常)として警報処理部21から発出してもよい。
【0027】
警報処理部21は、監視部20からの指示に応じて警報を発出する。
【0028】
図2は、第1の実施形態における光信号送信装置10のFM異常判定の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
電気信号分岐部11は、外部から入力されるキャリア信号を分岐する(ステップS101)。電気信号分岐部11により分岐されたキャリア信号は、電気信号増幅部12及び電気信号異常検出部13に入力される。電気信号異常検出部13は、キャリア信号の電力レベルの異常を検出する(ステップS102)。電気信号異常検出部13は、キャリア信号の電力レベルの異常の有無を示す検出結果を監視部20に出力し、キャリア信号を周波数別電気信号状態検出部19に出力する。周波数別電気信号状態検出部19は、入力されたキャリア信号において周波数別(キャリア毎)に入力レベルを測定する(ステップS103)。周波数別電気信号状態検出部19は、測定したキャリア毎の入力レベルの情報を監視部20に出力する。
【0029】
電気信号増幅部12は、キャリア信号を増幅してFM一括変換信号生成部14に出力する(ステップS104)。FM一括変換信号生成部14は、キャリア信号をFM一括変換して、広帯域FM信号であるFM一括変換信号を生成して電気・光変換部15及び監視部20に出力する(ステップS105)。電気・光変換部15は、FM一括変換信号生成部14により生成されたFM一括変換信号を光信号に変換して光信号増幅部16及び監視部20に出力する(ステップS106)。光信号増幅部16は、電気・光変換部15から出力された光信号を増幅して光信号分岐部17及び監視部20に出力する(ステップS107)。
【0030】
光信号分岐部17は、入力された光信号を分岐する(ステップS108)。光信号分岐部17により分岐された光信号は、外部に出力される(ステップS109)。さらに、光信号分岐部17により分岐された光信号は、復調信号状態検出部18に入力される。復調信号状態検出部18は、入力した光信号を電気信号に変換する(ステップS110)。次に、復調信号状態検出部18は、電気信号を復調してFM一括変換信号を復元する(ステップS111)。そして、復調信号状態検出部18は、FM一括変換信号の状態を検出する(ステップS112)。具体的には、復調信号状態検出部18は、FM一括変換信号の特定の周波数帯のレベル検出を行う。復調信号状態検出部18は、測定レベルの情報を監視部20に出力する。
【0031】
監視部20は、各種異常の判定を行う(ステップS113)。ここで監視部20が行う各種異常の判定は、FM異常の判定、キャリア信号の電力レベルの異常の判定、FM一括変換信号の中心周波数の異常の判定、電気・光変換部15における光変換レベルの異常の判定及び光増幅出力の異常の判定である。なお、監視部20は、FM異常の判定を行う際、周波数別電気信号状態検出部19から得られたキャリア毎の入力レベルの情報を参照して、異常のあるキャリアを除いてFM異常の判定を行う。
【0032】
監視部20は、各種異常の判定結果に基づいて、いずれかの異常判定で異常ありとなったか否かを判定する(ステップS114)。監視部20は、全ての異常判定で異常なしとなったと判定した場合(ステップS114-NO)、光信号送信装置10は
図2の処理を終了する。
一方、監視部20は、いずれかの異常判定で異常ありがあると判定した場合(ステップS114-YES)、異常ありと判定された異常に応じた警報を警報処理部21に出力させるための警報信号を警報処理部21に出力する。警報処理部21は、監視部20から出力された警報信号に従って、警報を行う(ステップS115)。警報処理部21は、周波数別電気信号状態検出部19により測定されたキャリア毎の入力レベルの異常を警報として発出してもよい。光信号送信装置10は、入力レベル異常を発出しているときはFM異常の検出を停止していてもよい。そして、入力レベル異常が改善されたらFM異常検出を再開する。
【0033】
なお、
図2では、監視部20が、FM異常の判定、キャリア信号の電力レベルの異常の判定、FM一括変換信号の中心周波数の異常の判定、電気・光変換部15における光変換レベルの異常の判定及び光増幅出力の異常の判定をステップS113でまとめて行う構成となっているが、実際の動作としては異常の判定を行うために必要な情報が得られたタイミングで異常の判定を行えばよい。例えば、監視部20は、FM異常の判定については、キャリア毎の入力レベルの情報と、測定レベルの情報とが得られたタイミングで行えばよい。
【0034】
以上のように構成された光信号送信装置10によれば、より高精度にFM異常を検出することが可能になる。具体的には、光信号送信装置10は、周波数別電気信号状態検出部19によりキャリア毎に得られた入力レベルの情報に基づいて異常があるキャリアは、FM異常の判定に用いるデータから除外する。これにより、キャリア信号の入力レベル自体の異常を検知してFM異常の判定に用いるデータから除外することができる。したがって、キャリア信号の入力レベルが低いキャリアをFM異常の判定に用いないため、FM異常の精度を向上させることが可能になる。従来手法では、入力信号がFM一括変換信号生成部を通過してきているため、FM一括変換信号生成部もしくはその手前で信号レベルが低下することも考えられるため、入力された時点で信号のレベルが低いとは言い切れないため、本発明のほうがより高精度にFM異常を検出することが可能になる。
【0035】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、キャリア毎の入力レベルではなく、キャリア毎の信号品質(CNR:Carrer-to-Noise Ratio)を測定し、FM異常の判定に用いる構成について説明する。
【0036】
図3は、第2の実施形態における光信号送信装置10aの構成例を示すブロック図である。光信号送信装置10aは、外部から入力されるキャリア信号をFM一括変換して、広帯域FM信号であるFM一括変換信号を生成する。光信号送信装置10aは、電気信号分岐部11と、電気信号増幅部12と、電気信号異常検出部13と、FM一括変換信号生成部14と、電気・光変換部15と、光信号増幅部16と、光信号分岐部17と、復調信号状態検出部18aと、周波数別電気信号状態検出部19aと、監視部20aと、警報処理部21とを備える。なお、一部の機能部から監視部20aに延びている点線は、制御信号を表す。
【0037】
光信号送信装置10aは、復調信号状態検出部18、周波数別電気信号状態検出部19及び監視部20に代えて復調信号状態検出部18a、周波数別電気信号状態検出部19a及び監視部20aを備える点で光信号送信装置10と構成が異なる。光信号送信装置10aのその他の構成については、光信号送信装置10と同様である。以下、光信号送信装置10との相違点について説明する。
【0038】
復調信号状態検出部18aは、光信号分岐部17により分岐された光信号を再度電気信号に変換して、FM復調をした後、復調信号の状態検出を行う。第2の実施形態における復調信号状態検出部18aが行う状態検出は、入力された復調信号のCNRの測定である。復調信号状態検出部18aは、CNRの情報を監視部20aに出力する。
【0039】
周波数別電気信号状態検出部19aは、電気信号異常検出部13の後段に設けられ、入力された電気信号に基づいて、キャリア毎の状態を検出する。具体的には、周波数別電気信号状態検出部19aは、入力された電気信号に基づいてキャリア毎のCNRを測定する。周波数別電気信号状態検出部19は、測定したキャリア毎のCNRの情報を監視部20aに出力する。
【0040】
監視部20aは、不図示のメモリを備え、周波数別電気信号状態検出部19aから出力されたキャリア毎のCNRの情報を保持する。さらに、メモリには、CNRの正常レベルの情報が保持され、周期的に更新される。監視部20aは、FM異常の判定を行う際、メモリに記憶されているキャリア毎のCNRの情報を利用する。具体的には、まず監視部20aは、周波数別電気信号状態検出部19aから出力されたキャリア毎のCNRの情報を参照して、異常があるキャリアを特定する。第2の実施形態において異常があるキャリアとは、CNRが閾値未満のキャリアである。次に、監視部20aは、復調信号状態検出部18aから得られるCNRの情報において異常があるキャリアを除外する。そして、監視部20aは、異常があるキャリアを除外した後のCNRの情報と、メモリに保持している正常レベルの情報とを比較してFM異常の判定を行う。
【0041】
このように、監視部20aは、FM異常判定の際、周波数別電気信号状態検出部19aから送られる情報を参照して、入力信号の品質が規定値より低い場合はFM異常の判定から除外する。監視部20aは、入力キャリアのCNRが規定値を満たしており、かつ復調信号のキャリアのCNRが規定値を下回っている場合、FM異常と判定する。なお規定値はキャリア毎に違っていてもよい。
【0042】
図4は、第2の実施形態における光信号送信装置10aのFM異常判定の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図4において、
図2と同様の処理を行う場合には
図2と同様の符号を付して説明を省略する。
ステップS101及び102の処理後、周波数別電気信号状態検出部19aは、入力されたキャリア信号において周波数別(キャリア毎)にCNRを測定する(ステップS201)。周波数別電気信号状態検出部19は、測定したキャリア毎のCNRの情報を監視部20aに出力する。その後、ステップS104からステップS110までの処理が実行される。復調信号状態検出部18aは、FM一括変換信号の状態を検出する(ステップS202)。具体的には、復調信号状態検出部18aは、FM一括変換信号の特定の周波数帯のCNRを測定する。復調信号状態検出部18aは、CNRの情報を監視部20aに出力する。
【0043】
監視部20aは、各種異常の判定を行う(ステップS203)。ここで監視部20aが行う各種異常の判定は、FM異常の判定、キャリア信号の電力レベルの異常、FM一括変換信号の中心周波数の異常の判定、電気・光変換部15における光変換レベルの異常の判定及び光増幅出力の異常の判定である。なお、監視部20aは、FM異常の判定を行う際、周波数別電気信号状態検出部19aから得られたキャリア毎のCNRの情報を参照して、異常のあるキャリアを除いてFM異常の判定を行う。
【0044】
監視部20aは、各種異常の判定結果に基づいて、いずれかの異常判定で異常ありとなったか否かを判定する(ステップS204)。監視部20aは、全ての異常判定で異常なしとなったと判定した場合(ステップS204-NO)、光信号送信装置10aは
図4の処理を終了する。
一方、監視部20aは、いずれかの異常判定で異常ありがあると判定した場合(ステップS204-YES)、異常ありと判定された異常に応じた警報を警報処理部21に出力させるための警報信号を警報処理部21に出力する。警報処理部21は、監視部20aから出力された警報信号に従って、警報を行う(ステップS205)。警報処理部21は、周波数別電気信号状態検出部19aにより測定されたキャリア毎の品質の異常を警報として発出してもよい。光信号送信装置10aは、品質異常を発出しているときはFM異常の検出を停止していてもよい。そして、品質異常が改善されたらFM異常検出を再開する。
【0045】
なお、
図4では、監視部20aが、FM異常の判定、キャリア信号の電力レベルの異常の判定、FM一括変換信号の中心周波数の異常の判定、電気・光変換部15における光変換レベルの異常の判定及び光増幅出力の異常の判定をステップS203でまとめて行う構成となっているが、実際の動作としては異常の判定を行うために必要な情報が得られたタイミングで異常の判定を行えばよい。例えば、監視部20aは、FM異常の判定については、キャリア毎の入力レベルの情報と、測定レベルの情報とが得られたタイミングで行えばよい。
【0046】
以上のように構成された光信号送信装置10aによれば、第1の実施形態と同様に、FM異常の精度を向上させることが可能になる。
【0047】
さらに、光信号送信装置10aでは、キャリアレベルを判定に用いる方式と比べて、入力信号に含まれる雑音量を判定条件に含めることができる。したがって、信号レベルとして異常はないが、キャリア信号としての品質が低い(映像でいうと,再生に支障が生じる)場合を検知して判定から除外できるためさらなるサービス品質の向上が可能になる。
【0048】
(第1の実施形態及び第2の実施形態に共通する変形例)
監視部20,20aは、異常発生時に他の機能へのフィードバック制御を行ってもよい。例えば、監視部20,20aは、光信号増幅部16の異常発生時(光増幅出力の異常の判定で異常の場合)に、光信号増幅処理を一時的に停止するように光信号増幅部16を制御してもよい。
【0049】
上述した実施形態における光信号送信装置10,10aをコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0050】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0051】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10、10a…光信号送信装置, 11…電気信号分岐部, 12…電気信号増幅部, 13…電気信号異常検出部, 14…FM一括変換信号生成部, 15…電気・光変換部, 16…光信号増幅部, 17…光信号分岐部, 18、18a…復調信号状態検出部, 19、19a…周波数別電気信号状態検出部, 20、20a…監視部, 21…警報処理部