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特開2023-147474予測支援システム、予測支援方法及び予測支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147474
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】予測支援システム、予測支援方法及び予測支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61N5/10 Q
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022054983
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-19
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、「医工連携イノベーション推進事業」「4次元照射領域最適化を実現する放射線治療計画支援システムの開発・事業化」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】592131906
【氏名又は名称】みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西尾 禎治
(72)【発明者】
【氏名】岩渕 耕平
(72)【発明者】
【氏名】前川 秀正
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC01
4C082AE03
4C082AP03
4C082AR02
(57)【要約】
【課題】放射線の照射状態を効率的に予測して、放射線の照射による治療を支援するための予測支援システム、予測支援方法及び予測支援プログラムを提供する。
【解決手段】支援装置20は、放射線の照射装置10による照射状態を予測する制御部21を備える。制御部21が、基準フェーズの体内の電子密度分布について第1ボクセルを生成し、線量分布について第2ボクセルを生成し、照射装置10側に配置された仮想焦点と、照射方向の投影面に配置された複数の終点とを直線で結んだ複数のレイを生成する。制御部21は、レイ毎に、第1ボクセルに対応させて累積相対電子密度を算出し、第1ボクセルに対応する第2ボクセルの線量を算出する。制御部21は、累積相対電子密度と、前記第2ボクセルの線量とを対応させた深度線量分布情報を生成し、予測フェーズの電子密度分布を取得した場合、深度線量分布情報を用いて、線量分布を予測する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の照射装置による照射状態を予測する制御部を備えた予測支援システムであって、
前記制御部が、
基準フェーズの体内の電子密度分布について第1ボクセルを生成し、
線量分布について第2ボクセルを生成し、
前記照射装置側に配置された仮想焦点と、照射方向の投影面に配置された複数の終点とを直線で結んだ複数のレイを生成し、
前記レイ毎に、前記第1ボクセルに対応させて累積相対電子密度を算出し、
前記第1ボクセルに対応する前記第2ボクセルの線量を算出し、
前記累積相対電子密度と、前記第2ボクセルの線量とを対応させた深度線量分布情報を生成し、
予測フェーズの電子密度分布を取得した場合、前記深度線量分布情報を用いて、線量分布を予測することを特徴とする予測支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記レイ毎に、前記第1ボクセルとの交差点を特定し、
前記レイが通過する相対電子密度の通過ボクセル内の通過距離を算出し、
前記交差点において、前記相対電子密度を用いて前記累積相対電子密度を算出することを特徴とする請求項1に記載の予測支援システム。
【請求項3】
前記制御部が、
前記レイ毎に、通過する前記第2ボクセルを特定し、
前記第2ボクセルに含まれる前記交差点を特定し、
前記特定した交差点の累積相対電子密度値を用いて、前記第2ボクセルの線量を算出することを特徴とする請求項2に記載の予測支援システム。
【請求項4】
前記交差点が含まれない第2ボクセルを特定し、
前記レイの終点間距離を用いて、前記特定した第2ボクセルの周囲の隣接ボクセルを特定し、
前記隣接ボクセルの線量を用いて、前記第2ボクセルの線量を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の予測支援システム。
【請求項5】
前記基準フェーズの累積相対電子密度と、前記予測フェーズの累積相対電子密度の差分が大きい領域が含まれる第2ボクセルを特定し、
前記特定した第2ボクセルの周囲の第2ボクセルの線量を用いて、前記第2ボクセルの線量の補正を行なうことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の予測支援システム。
【請求項6】
制御部を備えた予測支援システムを用いて、放射線の照射装置による照射状態を予測する方法であって、
前記制御部が、
基準フェーズの体内の電子密度分布について第1ボクセルを生成し、
線量分布について第2ボクセルを生成し、
前記照射装置側に配置された仮想焦点と、照射方向の投影面に配置された複数の終点とを直線で結んだ複数のレイを生成し、
前記レイ毎に、前記第1ボクセルに対応させて累積相対電子密度を算出し、
前記第1ボクセルに対応する前記第2ボクセルの線量を算出し、
前記累積相対電子密度と、前記第2ボクセルの線量とを対応させた深度線量分布情報を生成し、
予測フェーズの電子密度分布を取得した場合、前記深度線量分布情報を用いて、線量分布を予測することを特徴とする予測支援方法。
【請求項7】
制御部を備えた予測支援システムを用いて、放射線の照射装置による照射状態を予測するプログラムであって、
前記制御部を、
基準フェーズの体内の電子密度分布について第1ボクセルを生成し、
線量分布について第2ボクセルを生成し、
前記照射装置側に配置された仮想焦点と、照射方向の投影面に配置された複数の終点とを直線で結んだ複数のレイを生成し、
前記レイ毎に、前記第1ボクセルに対応させて累積相対電子密度を算出し、
前記第1ボクセルに対応する前記第2ボクセルの線量を算出し、
前記累積相対電子密度と、前記第2ボクセルの線量とを対応させた深度線量分布情報を生成し、
予測フェーズの電子密度分布を取得した場合、前記深度線量分布情報を用いて、線量分布を予測する手段として機能させることを特徴とする予測支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放射線を用いた治療において、線量の予測を支援するための予測支援システム、予測支援方法及び予測支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線を用いて治療を行なう場合、患者の被曝量を低減するために、的確な位置に適切な放射線量で照射する必要がある。呼吸時にも同期が移動するため、呼吸性移動対策を目的としたガイドラインも策定されている(例えば、非特許文献1参照)。呼吸性移動対策等のように、動的腫瘍に対する放射線治療の照射方法として、MIP(Maximum Intensity Projection)照射法、呼吸同期照射法、追尾照射法等が検討されている。MIP照射法では、3次元的に構築されたデータに対して任意の視点方向に投影処理を行なったMIP画像を利用して照射する。また、呼吸同期照射法では、定められた範囲内に腫瘍がある場合に照射する。また、追尾照射法では、呼吸運動に合わせて照射野を移動させて照射する。
【0003】
また、透視画像撮影装置によって患者に埋め込まれたマーカの現在位置を算出することにより、患者の被曝量を低減する放射線治療制御装置も検討されている(例えば、特許文献1参照)。この文献に記載された技術では、一組の透視画像撮影装置から3つ以上のマーカの透視画像を取得するとともに、各マーカ間の各々の距離を取得する。そして、各マーカの現在位置を算出することにより、治療用放射線の照射を判断する。
【0004】
また、治療に用いる放射線は高いエネルギのX線のみでなく、高いエネルギで高速の粒子線を用いる場合もある。粒子線の一つである陽子線は、入射陽子が体内で停止する寸前の場所で大きなエネルギを損失する。この場所に「ブラッグピーク」と呼ばれる高線量領域を形成する。このため、正常な領域のダメージを減らすことにより、体内の患部に強い放射線を集中的に照射することができる。この場合には、特に粒子線の照射状況の把握が大切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-192702号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】公益社団法人日本医学物理学会,“呼吸性移動対策を伴う放射線治療に関するガイドライン2019”,2019年5月24日,公益社団法人日本医学物理学会他,改訂2版[令和4年3月7日検索],インターネット<URL:https://www.jastro.or.jp/medicalpersonnel/guideline/kokyu2019.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、呼吸性移動を考慮した線量分布計算は、計算量が多いため、計算負荷が大きい。このため、呼吸性移動による線量分布の変化を、タイムリーに捉えることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する予測支援システムは、放射線の照射装置による照射状態を予測する制御部を備える。そして、前記制御部が、基準フェーズの体内の電子密度分布について第1ボクセルを生成し、線量分布について第2ボクセルを生成し、前記照射装置側に配置された仮想焦点と、照射方向の投影面に配置された複数の終点とを直線で結んだ複数のレイを生成し、前記レイ毎に、前記第1ボクセルに対応させて累積相対電子密度を算出し、前記第1ボクセルに対応する前記第2ボクセルの線量を算出し、前記累積相対電子密度と、前記第2ボクセルの線量とを対応させた深度線量分布情報を生成し、予測フェーズの電子密度分布を取得した場合、前記深度線量分布情報を用いて、線量分布を予測する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、放射線の照射状態を効率的に予測することにより、放射線の照射による治療を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態の予測支援システムの説明図である。
図2】実施形態のハードウェア構成の説明図である。
図3】実施形態の処理手順の説明図である。
図4】実施形態の処理手順の説明図である。
図5】実施形態の処理手順の説明図である。
図6】実施形態の処理手順の説明図である。
図7】実施形態の処理手順の説明図である。
図8】実施形態の相対電子密度分布のボクセルの説明図である。
図9】実施形態の線量分布のボクセルの説明図である。
図10】実施形態の終点密度値が高いレイトレーシングの説明図である。
図11】実施形態の終点密度値が低いレイトレーシングの説明図である。
図12】実施形態の累積相対電子密度分布の計算の説明図である。
図13】実施形態の線量分布の計算の説明図である。
図14】実施形態の深度線量分布情報の説明図である。
図15】実施形態の予測線量のボクセル化の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図15に従って、予測支援システム、予測支援方法及び予測支援プログラムを具体化した一実施形態を説明する。本実施形態では、放射線として、例えば、X線を患者の患部に照射して、患部の治療を行なう場合を説明する。
ここでは、図1に示すように、ネットワークを介して接続された治療計画装置10、支援装置20、治療装置30を用いる。
【0012】
(ハードウェア構成例)
図2は、治療計画装置10、支援装置20、治療装置30等として機能する情報処理装置H10のハードウェア構成例である。
【0013】
情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶装置H14、プロセッサH15を有する。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアを有していてもよい。
【0014】
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインタフェースであり、例えばネットワークインタフェースや無線インタフェース等である。
【0015】
入力装置H12は、ユーザ等からの入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイやタッチパネル等である。
【0016】
記憶装置H14は、治療計画装置10、支援装置20、治療装置30の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶装置H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
【0017】
プロセッサH15は、記憶装置H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、治療計画装置10、支援装置20、治療装置30における各処理(例えば、後述する制御部21における処理)を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各種処理に対応する各種プロセスを実行する。例えば、プロセッサH15は、治療計画装置10、支援装置20、治療装置30のアプリケーションプログラムが起動された場合、後述する各処理を実行するプロセスを動作させる。
【0018】
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトウェア処理を行なうものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、以下で構成し得る。
【0019】
〔1〕コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ
〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路
〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路
プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0020】
(治療計画装置10、支援装置20、治療装置30の機能)
次に、治療計画装置10、支援装置20、治療装置30の機能を説明する。
治療計画装置10は、患部に対して放射線の入射方法を検討し、適切な線量が処方できているかを確認するためのシミュレータである。この治療計画装置10は、CT(computed tomography)撮影装置から、所定の画像間隔で断層撮影したCT画像(DICOMデータ)を取得する。このCT画像では、X線の吸収度の高い高吸収域(CT値が高い領域)と、X線の吸収度の低い低吸収域(CT値が低い領域)とを識別できる。そして、X線のエネルギ毎に予め測定された治療計画装置10用の「CT値-相対電子密度変換テーブル」によって、物質の電子密度を算出できる。また、治療計画装置10は、公知の方法を用いて、DICOMデータにおいて輪郭抽出を行ない、CT輪郭情報を生成する。このCT輪郭情報は、DICOM ROI(Region Of Interest)データにより構成されており、所定間隔で撮影したCT画像(断層画像)において特定した所定部位(体表面、骨、患部及びリスク臓器等)の輪郭を構成する点(座標)の集合体からなるデータである。この治療計画装置10においては、患部の体表面形状、患部の形状、位置、リスク臓器との位置関係によって、治療ビームの線質、入射方向、照射範囲、処方線量・照射回数等を決定する。
【0021】
支援装置20は、放射線治療を支援するためのコンピュータシステムである。この支援装置20は、制御部21、治療情報記憶部22、変換情報記憶部24を備えている。
【0022】
制御部21は、後述する処理(計算段階、予測段階等を含む処理)を行なう。このための予測支援プログラムを実行することにより、制御部21は、計算部211、予測部212等として機能する。
【0023】
計算部211は、基準フェーズにおいて、深度線量分布情報を作成する処理を実行する。
予測部212は、予測フェーズ(計算対象フェーズ)において、深度線量分布情報を用いて照射線量を予測する処理を実行する。
【0024】
治療情報記憶部22には、患者の治療のための放射線照射についての治療管理情報が記録される。この治療管理情報は、治療計画装置10から治療計画情報を取得した場合に記録される。この治療管理情報は、患者ID、治療予定日に関連付けて、CT輪郭情報、照射条件情報を含む。
【0025】
患者IDは、各患者を特定するための識別子である。
治療予定日は、この患者に対して、治療計画における放射線照射による治療の予定日(年月日)である。
【0026】
CT輪郭情報には、患者状態として、この患者の患部のCT画像において、所定部位(体表面、骨、患部及びリスク臓器等)の輪郭の位置情報が含まれる。このCT画像は、治療計画用CT装置から取得する。
【0027】
照射条件情報は、この患者に対して、治療予定日に照射する放射線を照射する条件である。この照射条件により、照射状態(3次元線量分布や4次元線量分布)を定める。照射条件情報には、放射線の照射位置、照射方向、照射エネルギ、照射線量、ビーム照射法等に関する情報が含まれる。ここで、ビーム照射法には、例えば、「呼吸同期照射法」や「呼吸追尾照射法」等がある。
【0028】
変換情報記憶部24には、照射線量を算出するための変換情報が記録される。この変換情報は、基準フェーズ処理を行なった場合に記録される。この変換情報は、患者ID及びレイID毎に深度線量分布情報を含む。
【0029】
患者IDは、各患者を特定するための識別子である。
レイIDは、仮想焦点と終点とを直線で結ぶ各レイを特定するための識別子である。
深度線量分布情報は、患者の体部位の深度に応じた累積相対電子密度から線量分布を算出するためのテーブル(深度線量分布テーブル)である。
【0030】
治療装置30は、放射線を患部に照射することにより、がん等の患部の治療を行なう装置である。この治療装置30には、患者の身体PB1が治療のための姿勢(仰臥や背臥等)を維持するための治療台が設けられている。そして、治療装置30は、照射装置31、検出装置32を備える。
【0031】
照射装置31は、治療台の患者の身体PB1に対して、放射線を照射する装置(ガントリー)である。
検出装置32は、放射線等を利用して物体を走査することにより、物体の内部構造の画像を生成する透視撮影装置である。例えば、この放射線治療機器併設型透視撮影装置を用いて、コーンビームCT画像を取得する。そして、検出装置32で計測したCT値から検出装置32用の「CT値-相対電子密度変換テーブル」によって、相対電子密度を算出できる。
【0032】
(照射支援処理)
図3図15を用いて、照射支援処理を説明する。この照射支援処理は、基準フェーズ処理と予測フェーズ(計算対象フェーズ)処理とからなる。
【0033】
(基準フェーズ処理)
図3を用いて、基準フェーズ処理を説明する。
まず、支援装置20の制御部21は、相対電子密度のボクセル化処理を実行する(ステップS11)。具体的には、制御部21の計算部211は、治療計画装置10で決められている相対電子密度のボクセル(第1ボクセル)のサイズを特定する。
【0034】
ここでは、図8に示すように、治療情報記憶部22に記録されたDICOM形式のCT輪郭情報のCT画像221を取得する。このCT画像221には、CT値が3次元のボクセルB1のサイズでCT値が配置されている。CT画像221には、患者の身体PB1において臓器PB10や患部PB11の領域が含まれる。次に、計算部211は、治療計画装置10用の「CT値-相対電子密度変換テーブル」を用いて、CT値分布(CTRO(x,y,z))を、相対電子密度(EDRO(x,y,z))の電子密度分布に変換する。
【0035】
次に、支援装置20の制御部21は、線量分布のボクセル化処理を実行する(ステップS12)。具体的には、制御部21の計算部211は、照射装置31により照射される線量分布DRO(x,y,z)を取得する。そして、計算部211は、空間を所定の大きさで分割した線量分布ボクセル(第2ボクセル)を生成する。
ここでは、図9に示すように、計算部211は、線量分布D1のボクセルとして、相対電子密度のボクセルB1(図8)のボクセルサイズよりも大きい線量分布ボクセルB2を生成する。
【0036】
次に、支援装置20の制御部21は、終点密度値の決定処理を実行する(ステップS13)。具体的には、制御部21の計算部211は、入力装置H12から、ユーザによって設定された終点密度値を取得する。この終点密度値は、計算速度、計算精度を考慮して決定される。例えば、照射範囲(計算対象範囲)が広い場合には、計算速度を優先して終点密度値を下げる。また、照射範囲がリスク臓器に近い場合には、計算精度を優先して終点密度値を上げる。
【0037】
次に、支援装置20の制御部21は、レイの設定処理を実行する(ステップS14)。ここで、制御部21の計算部211は、仮想焦点、終点密度値に応じた終点によりレイを設定する。
【0038】
図10及び図11に示すように、具体的には、放射線の照射側に仮想焦点F1を設定する。次に、計算部211は、照射方向に対して身体の反対側に、2次元の投影面U1を設定する。次に、計算部211は、投影面U1に、終点密度値に応じた終点間距離で、等間隔に終点Qijを設定する。ここで、「i」及び「j」は、それぞれ2次元の2軸を示す変数である。そして、仮想焦点F1から各終点Qijまでを直線で繋げたレイRA1を生成する。
図10に示すように、終点密度値が高い場合には、レイRA1のレイ数が多い。
一方、図11に示すように、終点密度値が低い場合には、レイRA1のレイ数も少なくなる。
【0039】
次に、支援装置20の制御部21は、累積相対電子密度値列の取得処理を行なう(ステップS15)。ここでは、支援装置20の制御部21は、各レイについて、処理対象を特定して、以下の処理を繰り返す。
【0040】
まず、支援装置20の制御部21は、レイの通過ボクセルにおける交差点の特定処理を実行する(ステップS151)。具体的には、制御部21の計算部211は、処理対象のレイが通過する相対電子密度の各ボクセルB1を特定する。
【0041】
図12に示すように、レイRA1は、相対電子密度のボクセルB10,B11,B12,B13,B14,B15…を通過する。この場合、レイRA1とボクセルB10~B15とは、交差点p0,p1,p2,p3,p4,p5で交差する。
【0042】
次に、支援装置20の制御部21は、通過ボクセル内の通過距離の算出処理を実行する(ステップS152)。具体的には、制御部21の計算部211は、仮想焦点F1側から、まだ通過距離を計算していない交差点を、順次、特定する。そして、計算部211は、交差点までに、レイRA1が、通過した各ボクセル内の通過距離を算出する。ボクセルB10,B11,B12,B13,B14,B15…における通過距離L0,L1,L2,L3,L4,L5…を算出する。
【0043】
次に、支援装置20の制御部21は、累積相対電子密度値の算出処理を実行する(ステップS153)。具体的には、制御部21の計算部211は、各ボクセルの相対電子密度値を取得する。
【0044】
ここでは、図12に示すように、ボクセルB10,B11,B12,B13…の相対電子密度値RED0,RED1,RED2,RED3…をそれぞれ取得する。そして、計算部211は、累積相対電子密度値WELiを算出する。
〔WELi〕=〔REDi〕*〔Li〕+〔WELi-1〕
【0045】
例えば、ボクセルB13においては、相対電子密度値RED3を取得して、累積相対電子密度値列WEL3を算出する。
〔WEL3〕=〔RED3〕*〔L3〕+〔WEL2〕
【0046】
次に、支援装置20の制御部21は、終点に到達かどうかについての判定処理を実行する(ステップS154)。具体的には、制御部21の計算部211は、処理対象の交差点が投影面U1の終点に到達したかどうかを判定する。
【0047】
投影面の終点に到達していないと判定した場合(ステップS154において「NO」の場合)、支援装置20の制御部21は、次の交差点について、相対電子密度の通過ボクセル内の通過距離の算出処理(ステップS152)以降を実行する。
【0048】
投影面の終点に到達したと判定した場合(ステップS154において「YES」の場合)、支援装置20の制御部21は、このレイRA1についての累積相対電子密度値列の取得処理を終了する。
この場合、累積相対電子密度値列WELij=(WEL0,…WELn)を取得する。
そして、すべてのレイについて終了するまで、上記処理を繰り返す。
【0049】
次に、図4に示すように、各レイの交差点について、順次、処理対象を特定して、以下の処理を繰り返す。
【0050】
まず、支援装置20の制御部21は、交差点が含まれる線量分布の通過ボクセルの特定処理を実行する(ステップS21)。具体的には、制御部21の計算部211は、処理対象のレイにおいて、処理対象の交差点が含まれる線量分布の通過ボクセルを特定する。
図13に示すように、例えば、交差点p0,p1は、同じ線量分布ボクセルB20を特定する。
【0051】
次に、支援装置20の制御部21は、交差点の線量の特定処理を実行する(ステップS22)。具体的には、制御部21の計算部211は、交差点が含まれる線量分布ボクセルB2の線量を特定する。そして、各交差点に、交差点が含まれる線量分布ボクセルB2の線量を割り当てる。
以上の処理を、すべての交差点について終了するまで繰り返す。
これにより、線量分布列DSij=(DS0,…DSn)を取得する。
【0052】
次に、支援装置20の制御部21は、深度線量分布情報の生成処理を実行する(ステップS23)。具体的には、制御部21の計算部211は、累積相対電子密度値列WELijに対して線量分布列DSijを対応付けた深度線量分布テーブルTijを生成する。
【0053】
図14に示すように、累積相対電子密度値を横軸、線量を縦軸としてプロットして、各プロットを結ぶことにより、深度線量分布テーブルTijについて、実線のグラフG1が生成される。
【0054】
次に、支援装置20の制御部21は、深度線量分布情報の補間処理を実行する(ステップS24)。具体的には、制御部21の計算部211は、累積相対電子密度値が高い終端付近の線量減少域において、線量勾配が特定の閾値を超えた位置で、PDD(percent depth dose)テーブルに切り替える。ここでは、例えば、閾値線量勾配=PDDテーブルの最小線量勾配(=-0.5)に設定する。なお、PDDのテーブルは照射線量6MeV相当のものを用いる。これにより、PDDのテーブルへの切り替えにより、図14に示す破線のグラフG2が付加される。
【0055】
次に、支援装置20の制御部21は、深度線量分布情報の記録処理を実行する(ステップS25)。具体的には、制御部21の計算部211は、患者ID、レイIDに関連付けて、深度線量分布テーブルTijを変換情報記憶部24に記録する。
以上の処理を、すべてのレイについて終了するまで繰り返す。
【0056】
(予測フェーズ処理)
次に、図5図7を用いて、予測フェーズ処理を説明する。例えば、この処理は、放射線の照射時に、検出装置32から、計算対象のCT画像を取得した場合に行なわれる。
【0057】
まず、図5に示すように、支援装置20の制御部21は、相対電子密度の取得処理を実行する(ステップS31)。具体的には、制御部21の予測部212は、CT画像からCT値分布を取得する。次に、予測部212は、検出装置32用の「CT値-相対電子密度変換テーブル」を用いて、各CT値を相対電子密度値に変換する。
【0058】
次に、支援装置20の制御部21は、ステップS14と同様に、レイの設定処理を実行する(ステップS32)。
次に、各レイを、順次、処理対象として特定して、以下の処理を繰り返す。
【0059】
ここでは、まず、支援装置20の制御部21は、ステップS15と同様に、累積相対電子密度値列の取得処理を実行する(ステップS33)。具体的には、制御部21の予測部212は、取得した相対電子密度値を用いて、累積相対電子密度値列(以下では、pr_WELijと表記)を生成する。
【0060】
次に、支援装置20の制御部21は、線量の算出処理を実行する(ステップS34)。具体的には、制御部21の予測部212は、変換情報記憶部24から、患者ID、処理対象のレイIDに関連付けられた深度線量分布テーブルTijを取得する。そして、予測部212は、深度線量分布テーブルTijを用いて、累積相対電子密度値pr_WELijに対応する線量分布(以下では、pr_DSijと表記)を算出する。
【0061】
次に、支援装置20の制御部21は、線量分布の決定処理を実行する(ステップS35)。具体的には、制御部21の予測部212は、算出した線量分布pr_DSijを、各レイと線量分布ボクセルB2の交差点に配置する。そして、予測部212は、線量分布ボクセルB2に含まれる交差点の線量分布を用いて、線量分布ボクセルB2の線量を決定する。ここで、一つの線量分布ボクセルB2に複数の交差点が含まれる場合には、線量分布ボクセルB2の中心からの距離に応じた線形補間により、線量分布ボクセルB2の線量を決定する。
以上の処理を、すべてのレイについて終了するまで繰り返す。
【0062】
次に、支援装置20の制御部21は、予測線量のボクセル化処理を実行する(ステップS36)。ここでは、線量分布pr_DSijはレイ上にしか計算点がない。そこで、線量分布pr_DSijを用いて、線量分布ボクセルB2に展開する。この処理については、図6を用いて後述する。
【0063】
次に、支援装置20の制御部21は、補正処理を実行する(ステップS37)。例えば、基準フェーズと比較して、累積相対電子密度値が大きく異なる座標点では、大きな線量変化が起きやすい。このため、線量変化を滑らかにするための補正を行なう。この処理については、図7を用いて後述する。
【0064】
次に、支援装置20の制御部21は、線量分布の出力処理を実行する(ステップS38)。具体的には、制御部21の予測部212は、算出した線量分布を表示装置H13に出力する。そして、線量分布を確認して、必要に応じて、放射線の照射条件を調整する。
【0065】
(予測線量のボクセル化処理)
次に、図6を用いて、予測線量のボクセル化処理(ステップS36)を説明する。
支援装置20の制御部21は、レイが通過していないボクセルの特定処理を実行する(ステップS41)。具体的には、制御部21の計算部211は、レイが通過していない線量分布ボクセルB2を特定する。
【0066】
レイが通過していない各線量分布ボクセルについて、順次、処理対象を特定して、以下の処理を実行する。
次に、支援装置20の制御部21は、近隣ボクセルの特定処理を実行する(ステップS42)。具体的には、制御部21の計算部211は、処理対象ボクセルの代表点から、深さ方向とは垂直な方向に対して、〔±m/2〕の範囲に領域の一部が存在する周囲の線量分布ボクセルを近隣ボクセルとして特定する。ここで、「m」は、終点密度値から算出される間隔である。
【0067】
次に、支援装置20の制御部21は、線量の算出処理を実行する(ステップS43)。具体的には、制御部21の計算部211は、特定した近隣ボクセル内の点列に対して、処理対象ボクセルの中心からの距離(ri)の逆数を重み(wi)として算出する。
【0068】
次に、計算部211は、重みwiを用いて、各点の線量DSiの加重平均により、処理対象ボクセルの線量分布pr_DSを算出する。
図15に示すように、線量分布ボクセルB2aにはレイが通過していない。この場合、隣接ボクセルB2b,B2cを特定する。隣接ボクセルB2bには、交差点p11,p12が含まれる。隣接ボクセルB2cには、交差点p21,p22が含まれる。そして、線量分布ボクセルB2aの中心から、交差点p11,p12,p21,p22まので距離を、それぞれ、r0,r1,r2,r3とする。
【0069】
この場合、線量分布ボクセルB2aの線量は下記式により算出する。
【0070】
【数1】
以上の処理を、レイが通過していないすべてのボクセルについて終了するまで繰り返す。
【0071】
(補正処理)
次に、図7を用いて、補正処理(ステップS37)を説明する。
まず、支援装置20の制御部21は、累積相対電子密度差の算出処理を実行する(ステップS51)。具体的には、制御部21の予測部212は、基準フェーズの累積相対電子密度値と予測フェーズの累積相対電子密度値との差分Δを、領域(x,y,z)毎に算出する。この場合には、下記式を用いる。
【0072】
【数2】
ここで、EDintRN(x,y,z)は基準フェーズの累積相対電子密度値、EDintR0(x,y,z)は予測フェーズの累積相対電子密度値である。
【0073】
次に、支援装置20の制御部21は、累積相対電子密度差が大きい領域の特定処理を実行する(ステップS52)。具体的には、制御部21の予測部212は、算出した差分Δが基準値より大きい領域を特定する。
【0074】
次に、支援装置20の制御部21は、この領域の線量分布ボクセルの特定処理を実行する(ステップS53)。具体的には、制御部21の予測部212は、特定したい領域が含まれる線量分布ボクセルB2を特定する。
【0075】
そして、支援装置20の制御部21は、特定した各線量分布ボクセルを順次、処理対象と特定して、以下の処理を繰り返す。
ここでは、支援装置20の制御部21は、ぼけ関数の適用処理を実行する(ステップS54)。具体的には、制御部21の予測部212は、ぼけ関数SP(x,y,z)を用いて、急峻な変化を緩和する。ここで、ぼけ関数SP(x,y,z)として、例えばビーム照射方向と垂直な平面における2次元ガウス分布を用いる。
【0076】
【数3】
以上の処理を、差分が大きい領域が含まれるすべての線量分布ボクセルについて終了するまで繰り返す。
【0077】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、相対電子密度のボクセル化処理を実行する(ステップS11)。これにより、相対電子密度について、ボクセル毎に計算を行なうことにより、計算負荷を軽減することができる。
【0078】
(2)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、線量分布のボクセル化処理を実行する(ステップS12)。これにより、線量分布について、ボクセル毎に計算を行なうことにより、計算負荷を軽減することができる。
【0079】
(3)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、終点密度値の決定処理(ステップS13)、レイの設定処理(ステップS14)を実行する。これにより、仮想焦点と終点とを直線で結ぶ複数のレイをトレースすることにより、深度線量分布情報を生成することができる。
【0080】
(4)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、累積相対電子密度値列の取得処理を行なう(ステップS15)。これにより、体内に入射した放射線における体内原子の影響をレイに従って評価することができる。
【0081】
(5)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、交差点が含まれる線量分布の通過ボクセルの特定処理(ステップS21)、交差点の線量の特定処理(ステップS22)、深度線量分布の生成処理(ステップS23)を実行する。これにより、交差点を用いて、相対電子密度と線量分布ボクセルとを関連付けることができる。
【0082】
(6)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、深度線量分布情報の補間処理を実行する(ステップS24)。これにより、仮想焦点と終点とを結ぶレイでカバーできない領域での深度線量分布情報を取得することができる。
【0083】
(7)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、相対電子密度の取得処理を実行する(ステップS31)。これにより、治療時の患者の体内状態を把握することができる。
【0084】
(8)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、累積相対電子密度値列の取得処理(ステップS33)、線量の算出処理(ステップS34)、線量分布の決定処理(ステップS35)を実行する。これにより、治療計画装置で計算された3次元線量分布を活用して、他のフェーズごとの3次元線量分布を効率的に計算することができる。そして、患者状態(例えば、治療中の呼吸や患部の変化)に応じて、その場で照射を調整するアダプティブセラピーを実現できる。
【0085】
(9)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、予測線量のボクセル化処理を実行する(ステップS36)。これにより、レイが通過していない線量分布ボクセルの線量を算出することができる。
【0086】
(10)本実施形態では、支援装置20の制御部21は、補正処理を実行する(ステップS37)。アルゴリズムの特性により、予測フェーズにおいて、線量分布ボクセルに関して、照射方向と垂直な位置に対して、線量差が極端に(不自然に)大きい位置が現れる可能性がある。ぼけ関数を用いることにより、変化をなだらかにして、不自然な変化を除去することができる。
【0087】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、放射線としてX線を用いる。ここで、放射線はX線に限定されるものではなく、例えば、陽子線、炭素線等の粒子線を用いることも可能である。
【0088】
・上記実施形態では、検出装置32として、CT装置を用いる。照射領域を検出できれば、CT装置に限定されるものではない。
・上記実施形態では、一方向から、放射線を照射する。複数方向から放射線を照射してもよい。この場合には、照射源毎に仮想焦点と、各照射方向に配置された各投影面の終点とを結ぶ複数のレイを照射方向毎に設定する。そして、支援装置20の制御部21は、照射方向毎に、基本フェーズ処理、予測フェーズ処理を行なう。
【符号の説明】
【0089】
10…治療計画装置、20…支援装置、21…制御部、211…計算部、212…予測部、22…治療情報記憶部、24…変換情報記憶部、30…治療装置、31…照射装置、32…検出装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
前記制御部が、
前記レイ毎に、通過する前記第2ボクセルを特定し、
前記第2ボクセルに含まれる前記交差点を特定し、
前記第2ボクセルに含まれる前記交差点の累積相対電子密度値を用いて、前記第2ボクセルの線量を算出することを特徴とする請求項2に記載の予測支援システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記交差点が含まれない第2ボクセルを特定し、
前記レイの終点間距離を用いて、前記交差点が含まれない前記第2ボクセルの周囲の隣接ボクセルを特定し、
前記隣接ボクセルの線量を用いて、前記交差点が含まれない前記第2ボクセルの線量を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の予測支援システム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
線量分布についてのすべての第2ボクセルの中で、前記基準フェーズの累積相対電子密度と、前記予測フェーズの累積相対電子密度の差分が基準値より大きい領域が含まれる第2ボクセルを特定し、
前記予測フェーズの累積相対電子密度の差分が基準値より大きい領域が含まれる前記第2ボクセルの周囲の第2ボクセルの線量を用いて、前記第2ボクセルの線量の補正を行なうことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の予測支援システム。